説明

火力発電プラントの制御装置、及び火力発電プラントの制御方法

【課題】本発明の目的はボイラ出口の排ガスのO濃度分布に偏りがある場合にO濃度の少ない領域に必要な空気流量を供給してボイラ排ガスのCOを効果的に低減する火力発電プラントの制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の火力発電プラントの制御装置は、ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測する計測器を備え、制御器に前記ボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段と、前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度の計測値と、前記到達領域推定手段で推定した到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートから供給する空気流量を設定する操作信号生成手段とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法に係り、特に燃料に石炭を用いて発電するボイラを備えた火力発電プラントから排出される一酸化炭素の濃度を低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料に石炭を用いて発電するボイラを備えた火力発電プラントにおいては、ボイラから排出する排ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)などの環境負荷物質の排出量低減が求められている。
【0003】
このような背景から、ボイラに設置されるバーナー、エアポートとして、ボイラの排ガス中のCO及びNOxを低減するボイラ用のバーナーやエアポートの構造が提案されている。
【0004】
例えば、特開2005−273973号公報には、燃料に石炭を用いて発電するボイラの排ガス中の低NOx化とナーナーの冷却を達成するボイラに設置されたバーナーの構造が開示されている。
【0005】
また、特開2006―162185号公報には、燃料に石炭を用いて発電するボイラの排ガス中のNOxとCOを同時に低減するボイラに設置されたエアポートの構造が記載されている。
【0006】
特開2005−273973号公報、特開2006―162185号公報のいずれの技術も、燃料の石炭の燃焼方法として2段燃焼を採用している。この2段燃焼方法は、バーナーから供給する石炭を空気不足の状態で燃焼させた後に、完全燃焼用の空気をエアポートから供給して燃焼させるものである。
【0007】
また、特開平5−33906号公報には、燃料に石炭を用いて発電するボイラに設置されたバーナー、及びエアポートから供給する空気流量を制御してボイラの排ガス中の未燃分及びNOxの濃度を規制値の範囲内に抑制してボイラの運転費用を低減する技術が記載されている。
【0008】
即ち、この特開平5−33906号公報に開示された技術では、ボイラ出口の排ガス中の酸素(O)濃度の設定値とO濃度計測器で計測したO濃度の値とが一致するようにバーナー、及びエアポートから供給する空気流量を決定して燃料を燃焼させ、ボイラの排ガス中の未燃分及びNOxの濃度が規制値を超えない範囲内に抑制してボイラの運転費用をできるだけ低減するものである。
【0009】
【特許文献1】特開2005−273973号公報
【特許文献2】特開2006―162185号公報
【特許文献3】特開平5−33906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで特開平5−33906号公報に記載された技術では、O濃度計測器はボイラ出口流路を通過する排ガスの一部を抽出して排ガスに含まれているO濃度を計測するので、このO濃度計測器によって排ガスを抽出したボイラ出口流路中の1地点のO濃度を把握することはできるが、排ガスを抽出しなかったボイラ出口流路中の他の地点のO濃度は分からない。
【0011】
そのため、ボイラ出口流路を流れる排ガスのO濃度分布に偏りがある場合に、O濃度計測器で計測した地点のO濃度の値が高くても別の地点ではO濃度が低い可能性がある。ボイラ出口流路においてO濃度の少ない領域はCOが酸化されないため排ガス中にCOが残留することになる。
【0012】
しかしながら、特開平5−33906号公報に記載された前記技術では、O濃度計測値の代表値、または平均値を目標値に設定してボイラに設置されたバーナー、及びエアポートから供給する空気流量を制御するものであるので、ボイラ出口流路を流れる排ガス中のO濃度分布に偏りがある場合には、ボイラ出口流路のうち、COを酸化させるO濃度が少ない領域を正確に検出できないため、前記のO濃度の少ない領域に供給が必要な空気流量の制御が出来ずにボイラ排ガス中のCOを効果的に低減することは困難であった。
【0013】
本発明の目的は、燃料に石炭を用いるボイラでボイラ出口の排ガス中のO濃度分布に偏りがある場合にO濃度の少ない領域に必要な空気流量を供給してボイラの排ガス中のCOを効果的に低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の火力発電プラントの制御装置は、燃料の石炭と空気をボイラに供給するバーナーと、該バーナーから供給された燃料の石炭と空気を燃焼させて生成する燃焼ガスの流れ方向下流側でこの燃焼ガスに空気を供給するエアポートとを有するボイラを備えた火力発電プラントの制御装置において、火力発電プラントのボイラに該ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測する計測器を備え、火力発電プラントの制御装置を構成する制御器に、前記ボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段と、前記計測器で計測したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定する操作信号生成手段とをそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の火力発電プラントの制御装置は、燃料の石炭と空気をボイラ内に供給するバーナーと、該バーナーから供給された燃料の石炭と空気を燃焼させて生成する燃焼ガスの流れ方向下流側でこの燃焼ガスに空気を供給するエアポートとを有する火力発電プラントの制御装置において、火力発電プラントのボイラに該ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測する計測器を備え、火力発電プラントの制御装置を構成する制御器に、前記バーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段と、ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度の分布もしくは一酸化炭素濃度の分布を推定する分布推定手段と、前記分布推定手段で推定したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度の分布推定結果と前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定する操作信号生成手段とをそれぞれ備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項1又は請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記制御器に火力発電プラントを模擬する物理モデルを内部に有して該物理モデルを用いたバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量の経路の計算に基づいてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラの出口に到達する領域を計算する数値解析実行手段と、火力発電プラントから得られる計測信号データもしくは前記数値解析実行手段を実行して得られる数値解析データのうち少なくとも1方のデータを用いてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラ出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の火力発電プラントの制御方法は、ボイラに備えたバーナーから燃料の石炭と空気をボイラ内に供給して該バーナーから供給された燃料の石炭と空気をボイラ内で燃焼させて生成する燃焼ガスを生成し、この生成した燃焼ガスの流れ方向下流側でボイラに備えたエアポートから前記燃焼ガスに空気を供給する火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントのボイラの出口に備えた計測器によりボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測し、火力発電プラントを制御する制御器に備えた到達領域推定手段によって前記バーナーもしくは前記エアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定し、前記制御器に備えた操作信号生成手段によって前記計測器で計測したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と前記到達領域推定手段で推定したバーナーもしくはエアポートから供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定して制御することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の火力発電プラントの制御方法は、ボイラに備えたバーナーから燃料の石炭と空気をボイラ内に供給して該バーナーから供給された燃料の石炭と空気をボイラ内で燃焼させて燃焼ガスを生成し、この生成した燃焼ガスの流れ方向下流側でボイラに備えたエアポートから前記燃焼ガスに空気を供給する火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントのボイラの出口に備えた計測器によりボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測し、火力発電プラントを制御する制御器に備えた到達領域推定手段によって前記バーナーもしくは前記エアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定し、該制御器に備えた分布推定手段によってボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度の分布を推定し、該制御器に備えた操作信号生成手段によって前記分布推定手段で推定した一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度の分布推定結果と、前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の到達領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定して制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、燃料に石炭を用いるボイラ出口の排ガス中のO濃度分布に偏りがある場合にO濃度の少ない領域に必要な空気流量を供給してボイラの排ガス中のCOを効果的に低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の実施例である火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の一実施例である火力発電プラントの制御装置の全体構成を示す制御ブロック図である。
【0022】
図1において、燃料に石炭を用いるボイラを備えた火力発電プラント100の制御装置は制御装置200によって制御されている。制御装置200は、演算装置として、到達領域推定手段300、数値解析実行手段400、操作信号生成手段500、学習手段600、モデル700、および評価値計算手段800がそれぞれ備えられた構成となっている。
【0023】
この制御装置200には、データベースとして、計測信号データベース210、到達領域データベース220、数値解析結果データベース230、操作信号データベース240、制御ロジックデータベース250、及び学習情報データベース260がそれぞれ備えられている。
【0024】
また制御装置200には、外部とのインターフェイスとして、外部入力インターフェイス201、及び外部出力インターフェイス202が配置されている。
【0025】
そしてこの制御装置200には、外部入力インターフェイス201を介して火力発電プラント100から火力発電プラントの各種状態量である、例えばボイラ出口の燃焼ガスの酸素濃度、もしくは一酸化炭素濃度を計測した計測信号1が該制御装置200に取り込まれており、また、外部出力インターフェイス202を介して制御装置200から前記火力発電プラント100に対して、例えばボイラのバーナー、及びエアポートの空気流量を制御する操作信号18が送り出されている。
【0026】
火力発電プラント100から制御装置200に取り込んだ火力発電プラント100の各種状態量である、例えばボイラ出口の燃焼ガスの酸素濃度、もしくは一酸化炭素濃度を計測した計測信号1は、外部入力インターフェイス201を介した後に計測信号2として制御装置200に備えられたデータベースである計測信号データベース210に保存される。
【0027】
制御装置200に備えられた演算装置である操作信号生成手段500で生成する操作信号17は、操作信号生成手段500から外部出力インターフェイス202に伝送する共に、制御装置200に備えられたデータベースである操作信号データベース240に保存される。
【0028】
また、制御装置200に備えられた演算装置である数値解析実行手段400では、火力発電プラント100を高精度に模擬する詳細な物理モデルを内部に構築しており、この詳細なモデルを用いて火力発電プラント100を対象にした詳細で高精度な数値解析を実行するように構成されている。
【0029】
即ち、この数値解析実行手段400による操作によって詳細な物理モデルを用いて火力発電プラント100を構成するボイラ101の構造、ボイラ101に設置されるバーナー102とエアポート103の構造、及びバーナー102とエアポート103にそれぞれ供給する燃料流量、空気流量を境界条件に設定した高精度な模擬計算を実行することで、火力発電プラント100の運転特性を高精度に模擬して予測するものである。
【0030】
そして詳細な物理モデルを用いた数値解析実行手段400を実行することによって得られた詳細で高精度な数値解析情報6は、数値解析実行手段400から数値解析結果データベース230に送られて保存される。
【0031】
制御装置200に備えられた演算装置である到達領域推定手段300では、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ4、及び数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データ7を用いて、バーナー102、及びエアポート103からボイラ101に供給した空気がボイラ出口の流路に到達する領域を演算によって推定する。
【0032】
この到達領域推定手段300による演算で推定されたバーナー102及びエアポート103からボイラ101に供給した空気がボイラ出口の流路に到達する領域の到達領域情報5は、制御装置200に備えられたデータベースである到達領域データベース220に保存する。
【0033】
制御装置200に備えられた演算装置である学習手段600では、演算装置である統計モデル700を対象に火力発電プラント100の操作方法を学習するように構成され、モデル700では内部に構築した簡略な統計モデルによって火力発電プラント100の制御特性を短時間で模擬するように構成されている。
【0034】
すなわち、制御装置200で生成した火力発電プラント100を制御する操作信号18を制御装置200から火力発電プラント100に与え、その火力発電プラント100の制御結果である計測信号1を火力発電プラント100から制御装置200で受信するのと同様に、制御装置200の学習手段600で学習して生成したモデル入力9を学習手段600からモデル700に与え、このモデル700で模擬した火力発電プラント100の制御特性の簡略な模擬結果であるモデル出力10をモデル700から学習手段600が受信するように構成されている。
【0035】
演算装置であるモデル700では、数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データ8、及び計測信号データベース210に保存されている計測信号データ4を用いて、学習手段600から与えられるモデル入力9に基づいてモデル700の内部に構築した簡略な物理モデルを用いて火力発電プラント100の制御特性を短時間で模擬し、その模擬結果をモデル出力10として学習手段600に出力する。
【0036】
このモデル700は、例えばニューラルネットワークなどの統計モデルを用いて構築されており、モデル700を演算することによって、火力発電プラント100の運転前は、数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データ8のみを用いて前記モデル出力10を模擬計算し、火力発電プラント100の運転後は火力発電プラント100の状態量を計測した計測信号データベース210に保存されている計測信号4を併用してモデル出力8を模擬計算する。
【0037】
このようにモデル700を使用した火力発電プラント100の模擬結果が、数値解析実行手段400を演算させる際に使用する詳細な物理モデルを使用した火力発電プラント100の模擬結果と相違して火力発電プラント100の制御特性が異なる場合には、火力発電プラント100の状態量を計測した計測信号データベース210に保存されている計測信号データ4を重視して、前記モデル700にてモデル出力10を模擬計算することで、モデル700の特性を火力発電プラント100の制御特性に近づけることができる。
【0038】
学習手段600では、モデル700で模擬計算されるモデル出力10が所望の値となるように、該学習手段600から前記モデル700に入力されるモデル入力9の生成方法を学習する。
【0039】
この学習手段600でモデル入力9の生成方法を学習するための指標として、制御装置200に設けられた演算手段である評価値計算手段800にて計算される評価値11を用いて前記学習手段600で学習することができる。
【0040】
この評価値計算手段800では、モデル700で模擬計算されたモデル出力10が所望の状態であれば前記学習手段600に入力される評価値11の値を大きく設定し、所望の状態から離れる程、評価値11の値を小さく設定する。
【0041】
また、この評価値計算手段800では、制御装置200に設けられたデータベースである到達領域データベース220に保存されている到達領域データ16を用いて前記評価値11を計算することもできる。
【0042】
前記学習手段600は、強化学習、進化的計算手法などの種々の最適化手法を適用することによって構築されている。
【0043】
そして、この学習手段600では、評価値計算手段800で計算されて該学習手段600に入力される評価値11が最大となるような操作方法を学習する。
【0044】
学習手段600での学習に用いる拘束条件、モデル出力目標値などの学習情報データ13は、制御装置200に設けられたデータベースである学習情報データベース260に保存されている。
【0045】
また、学習手段600で学習した結果である学習情報データ12は、学習手段600から学習情報データベース260に出力されて該学習情報データベース260に保存される。
【0046】
制御装置200に備えられた演算装置である操作信号生成手段500では、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3、到達領域データベース220に保存されている到達領域データ16、制御ロジックデータベース250に保存されている制御ロジックデータ15、及び学習情報データベース260に保存されている学習情報データ14を必要に応じて取得し、これらの情報を用いて、火力発電プラント100から排出される一酸化炭素濃度を低減するための、例えばボイラ101のバーナー102及びエアポート103からボイラに供給する空気流量を制御する操作信号17を生成する。
【0047】
そして前記操作信号生成手段500で生成した操作信号17は、外部出力インターフェイス202を介して火力発電プラント100に対する操作信号18として制御装置200から送り出すように構成されている。
【0048】
また、図1に示したように、制御装置200の近傍にはキーボード901とマウス902で構成される外部入力装置900と、保守ツール910と、画像表示装置950が設置されている。
【0049】
そして火力発電プラント100の運転員は、キーボード901とマウス902で構成される外部入力装置900を用いて保守ツール入力信号51を生成し、この保守ツール入力信号51を保守ツール910に入力することによって、制御装置200に配置されている各種のデータベースの情報を、画像表示装置950に表示できるようにしている。
【0050】
前記保守ツール910は、外部入力インターフェイス920、データ送受信部930、及び外部出力インターフェイス940で構成されている。
【0051】
外部入力装置900で生成した保守ツール入力信号51は、外部入力インターフェイス920を介して保守ツール910に取り込まれる。
【0052】
保守ツール910のデータ送受信部930では、保守ツール入力信号52の情報に従って、制御装置200に配置されている各種のデータベースからデータベース情報50を取得するように構成されている。
【0053】
保守ツール910のデータ送受信処理部930では、データベース情報50を処理した結果得られる保守ツール出力信号53を、外部出力インターフェイス940に送信する。
【0054】
外部出力インターフェイス940はこの保守ツール出力信号53に基づいた出力信号54を画像表示装置950に送信して該画像表示装置950で表示する。
【0055】
尚、上記した本発明の実施例である火力発電プラントの制御装置200では、前記制御装置200に備えられたデータベースを構成する計測信号データベース210、到達領域データベース220、数値解析結果データベース230、操作信号データベース240、制御ロジックデータベース250、及び学習情報データベース260、並びに演算手段を構成する到達領域推定手段300、数値解析実行手段400、学習手段600、モデル700、及び評価値計算手段800が、前記制御装置200の内部に配置されているが、これらの全て、あるいは一部を制御装置200の外部に配置するように構成してもよい。
【0056】
図2には図1に示した実施例である火力発電プラントの制御装置の制御対象となる燃料に石炭を用いるボイラを備えた火力発電プラントの概略構成を示す。
【0057】
まず、図2(a)を用いてボイラを備えた火力発電プラント100の発電の仕組みについて説明する。
【0058】
図2(a)において、燃料となる石炭はミル110にて粉砕して微粉炭として石炭搬送用の1次空気、及び燃焼調整用の2次空気と共にボイラ101に設置したバーナー102を通じてボイラ101に投入し、ボイラ101の火炉内部で燃料の石炭を燃焼する。
【0059】
燃料の石炭と1次空気は配管134から、2次空気は配管141からバーナー102に導かれる。
【0060】
また、2段燃焼用のアフタエアを、ボイラ101に設置したアフタエアポート103を通じてボイラ101に投入する。このアフタエアは、配管142からアフタエアポート103に導かれる。
【0061】
燃料の石炭をボイラ101の火炉の内部で燃焼させて発生した高温の燃焼ガスは、ボイラ101の火炉を矢印で示した経路に沿って下流側に流れ、ボイラ101に配置された熱交換器106を通過して熱交換した後、燃焼排ガスとなってボイラ101から排出されてボイラ101の外部に設置されたエアーヒーター104に流下する。
【0062】
エアーヒーター104を通過した燃焼排ガスはその後、図示していない排ガス処理装置で燃焼排ガスに含まれている有害物質を除去した後に、煙突をから大気に放出される。
【0063】
ボイラ101を循環する給水は、タービン108に設置された図示していない復水器から給水ポンプ105を介してボイラ101に導かれ、ボイラ101の火炉に設置した熱交換器106においてボイラ101の火炉の内部を流下する燃焼ガスによって加熱されて高温高圧の蒸気となる。
【0064】
尚、本実施例では熱交換器106の数を1個として図示しているが、熱交換器を複数個配置してもよい。
【0065】
熱交換器106で発生した高温高圧の蒸気は、タービンガバナ弁107を介して蒸気タービン108に導かれ、蒸気の持つエネルギーによって蒸気タービン108を駆動し、この蒸気タービン108に連結した発電機109を回転させて発電する。
【0066】
次に、ボイラ101の火炉に設置されたバーナー102からボイラ101の火炉内に投入される1次空気及び2次空気、ボイラ101の火炉に設置されたアフタエアポート103からボイラ101の火炉内に投入されるアフタエアの経路について説明する。
【0067】
1次空気は、ファン120から配管130に導かれ、途中でエアーヒーター104の内部を通過する配管132とエアーヒーター104をバイパスする配管131とに分岐し、これらの配管132及び配管131を流下した1次空気は再び配管133にて合流してミル110に導かれる。
【0068】
エアーヒーター104を通過する空気は、ボイラ101の火炉から排出される燃焼排ガスにより加熱される。
【0069】
この1次空気を用いてミル110で生成される石炭(微粉炭)を配管133を通じてバーナー102に搬送する。
【0070】
2次空気及びアフタエアは、ファン121から配管140に導かれ、エアーヒーター104の内部を通過する配管140を流下して加熱された後に、配管140の下流側で2次空気用の配管141と、アフタエア用の配管142とに分岐して、それぞれボイラ101の火炉に設置されたバーナー102とアフタエアポート103に導かれるように構成されている。
【0071】
本実施例であるボイラを備えた火力発電プラント100の制御装置200は、ボイラの排ガス中のNOxおよびCO濃度を低減するため、バーナー102からボイラ101に投入する空気量と、アフタエアポート103からボイラ101に投入する空気量を調整する機能を持っている。
【0072】
火力発電プラント100には、該火力発電プラント100の運転状態を検出する様々な計測器が配置されており、これらの計測器から取得されたプラントの計測信号は、計測信号1として制御装置200に送信される。
【0073】
火力発電プラント100の運転状態を検出する様々な計測器として、例えば図2には流量計測器150、温度計測器151、圧力計測器152、発電出力計測器153、及びO濃度及び/又はCO濃度を計測する濃度計測器154がそれぞれ図示されている。
【0074】
流量計測器150は給水ポンプ105からボイラ101に供給される給水の流量を計測する。また、温度計測器151及び圧力計測器152は、ボイラ101に配設された熱交換器106において該ボイラ101を流下する燃焼ガスとの熱交換で発生した蒸気を蒸気タービン108に供給する蒸気の温度及び圧力をそれぞれ計測する。
【0075】
前記熱交換器106で発生した蒸気で駆動される蒸気タービン108によって回転される発電機109によって発電された電力量は発電出力計測器153で計測する。
【0076】
また、ボイラ101を流下する燃焼ガスに含まれている成分(CO、NOxなど)の濃度に関する情報は、ボイラ101の下流側であるボイラ出口の流路に設けたO濃度及び/又はCO濃度を計測する濃度計測器154で計測される。
【0077】
尚、一般的には図2に図示した以外にも多数の計測器が火力発電プラント100に配置されているが、ここでは図示を省略する。
【0078】
図2(b)は、火力発電プラント100を構成するボイラ101の下流側に設置されたエアーヒーター104と、このエアーヒーター104に配設された配管を示す部分拡大図である。
【0079】
図2(b)に示すように、エアーヒーター104の内部に配設された配管140の下流側で分岐した2次空気用の配管141及びアフタエア用の配管142、エアーヒーター104の内部に配設された配管132、及びエアーヒーター104をバイパスした配管131にはエアダンパ162、163、161、160がそれぞれ配置されている。
【0080】
そしてこれらのエアダンパ160〜163を操作することによって配管131、132、141、142内で空気が通過する面積を変更し、これらの配管131、132、141、142を通過する空気流量を個別に調整する。
【0081】
そして火力発電プラント100を制御する制御装置200によって生成されて該火力発電プラント100に出力される操作信号18を用いて、給水ポンプ105、ミル110、エアダンパ160、161、162、163などの機器を操作する。
【0082】
尚、本実施例である火力発電プラントの制御装置では、給水ポンプ105、ミル110、エアダンパ160、161、162、163などの火力発電プラントの状態量を調節する機器のことを操作端と呼び、これを操作するのに必要な指令信号を操作信号と呼ぶ。
【0083】
また、燃焼用等の空気、あるいは微粉炭等の燃料をボイラ101に投入する際に、その吐出角度を上下左右に動かすことの出来る機能をボイラ101に設置したバーナー102、及びアフタエアポート103に付加して、これらのバーナー102及びアフタエアポート103の吐出角度を調節する指令信号を前記操作信号18に含めることもできる。
【0084】
図3は、図1に示した実施例であるボイラを備えた火力発電プラント100の制御装置における制御装置200による制御の手順を示すフローチャート図である。
【0085】
図3において、制御装置200では、ステップ1000、1010、1020、1030、1040、1050を組み合わせて火力発電プラント100の制御を実行する。
【0086】
尚、ステップ1030aとステップ1030b、及びステップ1050aとステップ1050bは、それぞれ同じ動作である。以下では、それぞれのステップについて説明する。
【0087】
まず最初に、フローチャートにおける数値解析実行のステップ1000では、図1の制御装置200に備えられた詳細な物理モデルを構築した数値解析手段400を動作させ、火力発電プラント100の高精度な数値解析を実施する。
【0088】
この数値解析手段400の詳細な物理モデルを動作して得られた火力発電プラント100の高精度な数値解析結果6は、数値解析結果データベース230に保存される。
【0089】
次に、フローチャートにおける学習有無判定のステップ1010では、図1の制御装置200に夫々備えた学習手段600、モデル700、及び評価値計算手段800を組み合わせて、実行する学習を実施するかどうかについて判定する。
【0090】
そしてこの学習有無判定のステップ1010において学習を実施すると判定された場合は、学習有無判定のステップ1010からYESのルートに進んで次のモデル構築のステップ1020に入り、学習を実施しないと判定された場合は、学習有無判定のステップ1010からNOのルートに進む。
【0091】
ここで、学習を実施すると判定された場合は、学習を実施しないと判定された場合の処理内容(到達領域推定のステップ1030、操作信号生成のステップ1050)に、モデル構築のステップ1020と操作方法学習のステップ1040の処理が加わる。
【0092】
次のフローチャートにおけるモデル構築のステップ1020では、図1の制御装置200に備えた数値解析結果データベース230、及び計測信号データベース210に保存されている火力発電プラント100の各種状態量を計測したデータに基づいて、図1の制御装置200に備えたモデル700を構築し、この構築したモデル700を用いて火力発電プラント100の特性を模擬演算する。
【0093】
尚、火力発電プラント100を運転開始した直後は、計測信号データベース210には火力発電プラント100の各種状態量を計測したデータが蓄積されていない。
【0094】
そこでこの状況下では、数値解析結果データベース230に保存されている数値解析結果データ8を用いてモデル700の簡略な物理モデルを構築して火力発電プラント100の特性を模擬する。
【0095】
火力発電プラント100を運転開始して暫らく経過した後に火力発電プラント100の各種状態量を計測した計測データ1を取得して計測信号データベース210に前記火力発電プラント100の各種状態量のデータが蓄積された場合には、演算処理によってモデル700と火力発電プラント100の特性が一致するように前記モデル700を修正する。
【0096】
上記したように制御装置200に火力発電プラント100を対象とした数値解析を実行する機能をモデル700に備えることによって、火力発電プラント100のボイラから排出される排ガス中のCO濃度、NOx濃度や、ボイラ出口でのガス濃度分布などを短時間で容易に予測することできる。
【0097】
次にフローチャートにおける到達領域推定のステップ1030では、図1の制御装置200に備えた到達領域推定手段300を動作させ、火力発電プラント100のボイラ101に配置されているバーナー102及びエアポート103から供給される空気流量が、ボイラ出口の流路のどの部分に到達するかを推定する。
【0098】
次にフローチャートにおける操作方法学習のステップ1040では、図1の制御装置200にそれぞれ備えた学習手段600、モデル700、及び評価値計算手段800を組み合わせて、火力発電プラント100の操作方法を学習する。
【0099】
制御装置200に備えた学習手段600における学習アルゴリズムについては、図7を用いて後述するが、この操作方法学習のステップ1040で得られた学習手段600による学習結果は、学習情報データベース260に保存される。
【0100】
次にフローチャートにおける操作信号生成のステップ1050では、図1の制御装置200に備えた操作信号生成手段500を動作させ、制御装置200から火力発電プラント100の操作端に出力される指令信号となる操作信号17を生成する。
【0101】
図4は、この操作信号17を生成する図1の制御装置200に備えた操作信号生成手段500の構成を示す制御ブロック図である。
【0102】
図4に示すように操作信号生成手段500は、制御ロジックデータベース250に保存されている制御ロジックデータ15、及び計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて基準信号30を生成する基準信号生成部510と、到達領域データベース220に保存されている到達領域データ16、及び計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて、第1の補正信号33を生成する第1の補正信号生成部520と、学習情報データベース260に保存されている学習情報データ14、及び計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて第2の補正信号36を生成する第2の補正信号生成部530と、ゼロ値の信号を生成するゼロ値生成器540、550と、入力される2つの信号の内1つの信号を選択し、選択した信号を出力信号とする切替器560、570とを備えて構成されている。
【0103】
そして図4における操作信号生成手段500を構成する前記基準信号生成部510は、制御ロジックデータベース250に保存されている制御ロジックデータ15と、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて、基準信号30を生成する。
【0104】
この基準信号生成部510ではボイラ出口の流路における燃焼ガス中の酸素(O)濃度が、予め定められている値と一致するようにボイラ101に設置したバーナー102及びエアポート103から供給する空気流量を決定する。
【0105】
図4における操作信号生成手段500を構成する前記第1の補正信号生成部520は、到達領域データベース220に保存されている到達領域データ16と、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて、第1の補正信号33を生成する。
【0106】
この第1の補正信号生成部520ではボイラ出口の流路における酸素濃度の低い領域に到達する空気流量を増加させる、もしくは一酸化炭素濃度の高い領域に到達する空気流量を増加させるように、ボイラ101に設置したバーナー102及びエアポート103の空気流量を決定する制御回路を構成している。
【0107】
到達領域データベース220に保存される情報、及び第1の補正信号33の生成方法は、図5、及び図6を用いて後述する。
【0108】
図4における操作信号生成手段500を構成する前記第2の補正信号生成部530は、学習情報データベース260に保存されている学習情報データ14と、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ3を用いて、第2の補正信号36を生成する。
【0109】
学習情報データベースに保存される情報、及び第2の補正信号36の生成方法は、図7を用いて後述する。
【0110】
図4における操作信号生成手段500を構成する前記切替器560、570では、入力される2つの信号の内、1つの信号を選択し、選択された信号を出力信号とする。
【0111】
従って、切替器560で選択されて出力される信号34は、第1の補正信号生成部520で生成した第1の補正信号33か、ゼロ値生成器540で生成したゼロ値信号32のどちらかと一致する。
【0112】
また、切替器570で選択されて出力される信号37は、第2の補正信号生成部530で生成した第2の補正信号36か、ゼロ値生成器550で生成したゼロ値信号35のどちらかと一致する。
【0113】
図4に示すように、操作信号生成手段500から出力される操作信号17は、基準信号生成部510で生成して出力された基準信号30に、切替器560で選択され出力された信号34と、切替器570で選択され出力された信号37とを加算して生成した出力信号である。
【0114】
したがってこの操作信号17は、基準信号生成部510で生成して出力された基準信号30と同じ値、基準信号30と第1の補正信号生成部520で生成した第1の補正信号33との合計値、基準信号30と第2の補正信号生成部530で生成した第2の補正信号36との合計値、あるいは基準信号30と第1の補正信号33と第2の補正信号36との合計値のいずれかとなる。
【0115】
尚、切替器560、570に入力される信号のうち、どの信号を出力信号とするのかを決定するデータは、図1の制御装置200に備えた制御ロジックデータベース250に保存されている。
【0116】
図5は、図1に示した本実施例の制御装置200に備えた到達手段推定手段300の機能と、到達領域データベース220に保存される情報を説明する図である。また図1に示した数値解析実行手段400では、ボイラ101内の流体の動きを3次元で解析するように構成されている。
【0117】
図1の制御装置200に備えた到達手段推定手段300による推定と数値解析実行手段400による解析の結果、図5(a)に示すようにボイラ101に備えたエアポート103、バーナー102から投入した空気流量が、ボイラ出口の流路を12分割したどの領域に到達するかを計算でき、そしてこの計算結果である数値解析データ6は、数値解析結果データベース230に保存される。
【0118】
到達領域推定手段300では、数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データを参照することによって、ボイラ101に備えたエアポート103及びバーナー102からボイラに投入した空気が、ボイラ出口の流路を12分割したどの領域に到達するかを把握する。
【0119】
また、空気流量の操作信号とボイラ出口のガス濃度の計測値情報から、ボイラ101に備えたエアポート103及びバーナー102から投入した空気流量が、ボイラ出口の流路を12分割したどの領域に到達するかを求めることもできる。
【0120】
図5(b)を用いて説明すると、図5(b)は、ボイラ101のAからEのエアポート毎の空気流量と、ボイラ出口の流路を12分割した各分割領域の酸素(O)濃度の計測値の関係である。
【0121】
図5(b)に示した本実施例では、ボイラ出口の流路を幅方向に4分割、奥行き方向に3分割し、これらの12分割した各領域に濃度計測器154として酸素濃度計測器をそれぞれ配置したことを想定している。
【0122】
したがって、本実施例ではボイラ出口の流路を12分割した領域に12個の酸素濃度計測器を配置しているが、ボイラ出口の流路の分割数の変更や、分割した各領域に配置する酸素濃度計測器の数を増やしてもよい。
【0123】
図5(b)において、最初、ボイラ101のエアポート103のA〜Eから投入する空気流量は一定であり、ボイラ出口の流路において酸素(O2)濃度の高い場所はない。そこで空気流量のバランスを変化させエアポート103のAから供給する空気流量を増加させると、ボイラ出口の流路を12分割した右上領域で酸素濃度の計測値が高くなった。
【0124】
この結果から、エアポート103のAから供給した空気が、ボイラ出口の流路を12分割した右上領域に到達していることが判定できる。
【0125】
このように制御装置200の数値解析実行手段400は、空気流量の操作信号とボイラ出口の流路におけるガス濃度の計測値情報から、ボイラ101に備えたエアポート103及びバーナー102からボイラに投入した空気がボイラ出口の流路を12分割したどの領域に到達するかを求める機能を持つ。
【0126】
尚、図5(b)では、ボイラ出口に排ガス中のガス濃度を計測する濃度計測器154として酸素(O2)濃度計測器を配置したことを例に説明したが、濃度計測器154として酸素濃度計測器に替えて一酸化炭素(CO)濃度計測器を配置してもよい。この場合は、エアポート103のAから供給する空気流量が到達するボイラ出口の流路の領域は、エアポート103のAの空気流量を増やした場合にCO濃度が減少した場所と判断する。
【0127】
図6は、図1の本実施例の制御装置200に備えた操作信号生成手段500における操作信号の生成方法を説明する図である。操作信号生成手段500では、図1の制御装置200に示したように到達領域データベース220に保存されている到達領域データ16と、計測信号データベース210に保存されている火力発電プラント100の状態量の計測信号データ3を用いて演算して、操作信号17を生成する。
【0128】
図6(a)に図5で説明したボイラ出口の流路に排ガス中のCO濃度を計測する濃度検出器154を設置して一酸化炭素(CO)の濃度計測値を計測した場合を示したように、前記操作信号生成手段500では、ボイラ出口の流路を12分割した各分割領域において、ボイラ101に設置したバーナー102、あるいはエアポート103から投入した空気流量の到達量と、濃度計測器154として各分割領域に設置した一酸化炭素の濃度計測器で計測したCO濃度計測値とを掛け合わせ、これらの総和を算出する。この総和を第1の影響値と定義する。
【0129】
前記操作信号生成手段500では、第1の影響値に占める割合が大きいバーナー102、あるいはエアポート103の空気流量を増加するように、第1の影響値を用いて操作信号生成手段500によって火力発電プラント100に対する指令信号となる操作信号17を演算して生成する。
【0130】
図6(a)では、AからEまであるエアポート103のうち、エアポートAの第1の影響値よりも、エアポートBの第1の影響値が大きい場合を示している。この場合、操作信号生成手段500によってエアポートBから投入する空気流量を増加させる操作信号17を生成する。
【0131】
以上に述べた方法を用いて操作信号生成手段500によって火力発電プラント100に対する指令信号となる操作信号17(空気流量指令値)を計算して生成することによって、一酸化炭素濃度の高い領域に到達する空気を供給するボイラ101に設置したバーナー102、エアポート103の空気流量を増やすことができる。
【0132】
これにより、本実施例の火力発電プラント100のボイラ101では一酸化炭素の濃度の高い領域に到達する空気を供給することによって一酸化炭素(CO)と供給した空気の酸素(O)とを反応させて一酸化炭素を酸化できることから、ボイラ101の出口から排出される排ガス中の一酸化炭素の濃度を低減させることができる。
【0133】
また、図6(b)に図5で説明したボイラ出口の流路を流れる燃焼ガス中の酸素(O)濃度を計測する濃度検出器154を設置して酸素濃度の度計測値を計測した場合を示したように、前記操作信号生成手段500では、ボイラ出口の流路を12分割した各領域において、ボイラ101に設置バーナー102、あるいはエアポート103から投入した空気流量の到達量と、濃度計測器154として各分割領域に設置した酸素濃度の計測値とを掛け合わせ、これらの総和を算出する。これらの総和を第2の影響値と定義する。
【0134】
この場合、前記操作信号生成手段500では、第2の影響値に占める割合が大きいバーナー102、あるいはエアポート103の空気流量を減少するように、操作信号生成手段500によって火力発電プラント100に対する指令信号となる操作信号17を演算して生成する。
【0135】
ボイラ出口を流れる燃焼ガスにおいて、ボイラ出口の流路を12分割した各分割領域のうち酸素(O)濃度が高い領域が生じる場合は、他の領域で酸素が不足する可能性があり、この場合は酸素が不足する他の領域で一酸化炭素(CO)の濃度が高くなる。
【0136】
また、酸素濃度が高い領域が生じる場合は空気を過剰に投入している可能性があるので、過剰に投入した空気を減らすことで空気を供給するファンの動力を低減できるなどのコストメリットがある。従って、酸素濃度の高い領域はできるだけ少ない方がよい。
【0137】
したがって前記操作信号生成手段500では、第2の影響値を用いて操作信号生成手段500によって火力発電プラント100に対する指令信号となる操作信号17を演算して導出することによって、O濃度分布に偏りが生じないように空気流量を制御でき、よって本実施例の火力発電プラント100のボイラ101ではボイラ101から排出される燃焼ガス中の一酸化炭素の発生抑制だけでなく、ファン動力の低減などの省エネの効果が得られる。
【0138】
図7は、本実施例である図1の制御装置200に備えた演算装置である学習手段600における学習アルゴリズムの演算手順を説明するフローチャートであり、図3に示したフローチャートにおける操作方法学習のステップ1040の動作を詳細に示したものである。
【0139】
尚、図7では前記学習アルゴリズムに強化学習を用いた時を例に記載しているが、本実施例の学習アルゴリズムに遺伝的アルゴリズム、やきなまし法など、種々の最適化技術を用いることもできる。
【0140】
図7のフローチャートに示すように、図1の制御装置200に備えた学習手段600で演算される学習アルゴリズムはステップ1100、1110、1120、1130、1140、1150、1160、1170、1180、1190の各ステップを組み合わせて動作させる。
【0141】
まずモデル入力の初期値をランダムに設定するステップ1100において、モデル入力9の初期値をランダムに設定する。
【0142】
次にモデル出力を計算するステップ1110では、ステップ1110で設定したモデル入力9を図1の制御装置200に備えたモデル700に入力し、このモデル700を用いて火力発電プラント100の模擬演算を行ってモデル出力10を得る。
【0143】
次に、初期値判定のステップ1120では、モデル出力を計算するステップ1110で得られたモデル出力10とモデル出力の目標値とを比較し、モデル出力10がモデル出力目標値を達成していればモデル出力を計算するステップ1100に戻り、モデル出力10がモデル出力目標値を達成していない場合はモデル入力変化幅を決定するステップ1130に進む。
【0144】
次の、モデル入力変化幅を決定するステップ1130では、図1の制御装置200に備えた学習手段600において、図1の制御装置200に備えた学習情報データベース260に保存されている学習情報データ13の情報を用いてモデル入力変更幅Δaを決定する。
【0145】
次の、モデル入力を決定するステップ1140では、前記学習手段600において式(1)を用いて学習した学習情報データ12を得る。
a(t+1)=a(t)+Δa・・・(1)
ここで、aは操作である。
【0146】
次の、モデル出力を計算するステップ1150では、モデル入力を決定するステップ1140で得た学習手段600で生成したモデル入力9を図1の制御装置200に備えたモデル700に入力し、このモデル700において火力発電プラント100の模擬計算を行ってモデル出力10を得る。
【0147】
次の、評価値を計算するステップ1160では、モデル出力を計算するステップ1150で得たモデル700で模擬計算されたモデル出力10をもとに、図1の制御装置200に備えた評価値計算手段800によって、式(2)を用いて評価値11を計算する。
Q(s,a)=E(Σγt+k+1) ・・・(2)
(尚、Σで和を計算する範囲は、k=0から、k=∞)
ここで、Q(s,a)は状態sで操作aを選択することの価値、γ(0≦γ<1)は割引率、γtは時刻tの報酬である。価値Q(s,a)が時刻での総和により決定されているが、これには意味がある。
【0148】
状態sとは例えば空気流量の条件、操作aとは例えば空気流量の増加、あるいは空気流量の減少を意味する。また、価値Q(s,a)とは例えば価値大だと一酸化炭素の濃度が減少し、価値小だと一酸化炭素の濃度が増加することを意味する。
【0149】
実際に操作a、ここでは制御装置200の学習手段600によって学習した結果を用いて火力発電プラント100を操作した場合の応答には遅れ時間を伴う場合が多い。
【0150】
従って、操作aの操作直後に対する報酬により価値を決定するのではなく、将来的に与えられる報酬の総和で価値を決定する方がより現実的である。また、割引率γの導入により、操作aの操作直後に得られた報酬が高くなるように設定することで、モデル700のモデル出力10に基づいて評価値を計算する制御装置200の評価値計算手段800によって応答性も考慮した評価値11を算出できる。
【0151】
また、評価値計算手段800で設定する報酬γtの設定方法としては、モデル出力10がその目標値に到達した時にのみ報酬を与える方法、モデル出力10と目標状態が近い程、報酬値を大きくする方法がある。
【0152】
さらに、図5に示した手法を応用して評価値11を計算することもできる。
【0153】
モデル700にて火力発電プラント100を模擬計算したモデル出力10は、ボイラ出口の流路の排ガス中のCO濃度分布、O濃度分布を含んでいる。このCO濃度分布、O濃度の分布と、ボイラに設置した各エアポートから供給する空気が到達するボイラ出口の流路における領域を掛け合わせることで、図5に示した影響値を計算できる。
【0154】
評価値計算手段800において、操作信号生成手段500で算出するときに用いたものと同様に、第1の影響値が大きいほど評価値が大きくなるように設定する。また、第2の影響値が大きいほど評価値が小さくなるように設定することもできる。
【0155】
次の、学習パラメータを更新するステップ1170では、エピソード終了判定のステップ1180で計算した評価値をもとに、図1の制御装置200に備えた前記学習手段600にて式(3)を用いて演算してエージェントのパラメータを更新し、その更新した結果を制御装置200の学習情報データベース260に保存する。
Q(s,a)←Q(s,a)+α(r+γmaxQ(st+1,at+1)−Q(s,a))
・・・(3)
ここで、α(0≦α<1)は学習率である。
【0156】
エピソード終了判定のステップ1180では、モデル出力を計算するステップ1150で計算したモデル700による模擬演算のモデル出力10がモデル出力目標値を達成している場合には学習終了判定のステップ1190に進み、前記モデル出力10がモデル出力目標値を達成していない場合にはモデル入力変化幅を決定するステップ1130に戻る。尚、エピソード終了判定は学習手段600で判断される。
【0157】
以上、図7のフローチャートを用いて説明した制御装置200の学習手段600における学習アルゴリズムにおいて、前記学習手段600で学習してモデル700に入力されるモデル入力9にボイラ出口の流路における燃焼ガス中のCO濃度、O濃度を含めて、この学習手段600で学習することによってボイラから排出される燃焼ガス中のCO濃度を低減させる操作方法を学習できる。
【0158】
ここで、学習手段600においては、第1の影響値が大きいほど、評価値が大きくなるように設定した場合、学習手段600ではCO濃度の低い領域に到達する空気を供給するボイラ101のバーナー102、エアポート103の空気流量を増やす操作方法を学習できる。
【0159】
また、同様に学習手段600においては、第2の影響値が大きいほど、評価値が小さくなるように設定した場合、学習手段600ではO濃度分布に偏りが生じないようなボイラ101のバーナー102、エアポート103の空気流量の操作方法を学習できる。
【0160】
次に、図8及び図9を用いて、図1の本発明の一実施例である火力発電プラント100の制御装置を構成する保守ツール910のデータ送受信処理部930からの出力信号を表示する画像表示装置950に表示される画面の実例を説明する。
【0161】
図8は図5に示したものと同様に、画像表示装置950にボイラ101のボイラ出口の流路を12分割した各分割領域の燃焼ガス中のガス濃度としてCO濃度及びO濃度と、このボイラ出口の流路を12分割した各分割領域にボイラ101のエアポート103から投入した空気が到達する到達領域とを表示している。
【0162】
尚、図8ではエアポート103から投入した空気のボイラ出口における到達領域を表示するようにしているが、ボイラ101のバーナー102から投入した空気のボイラ出口における到達領域を表示することや、バーナー102とエアポート103から投入した空気のボイラ出口における到達領域を任意に組み合わせて表示してもよい。
【0163】
また、図9は図8示したものと同様に、画像表示装置950にボイラ101のボイラ出口の流路を12分割した各分割領域の燃焼ガス中のガス濃度としてCO濃度及びO濃度と、このボイラ出口の流路を12分割した各分割領域にボイラ101のエアポート103から投入した空気が到達する到達領域と、前記ガス濃度のCO濃度分布と到達領域とを掛け合わせた図と、図6の説明で示した影響値とをそれぞれ表示している。
【0164】
ところで、ボイラ101のバーナー102、エアポート103から投入する空気流量の調整を、手動で実施する場合がある。この場合、画像表示装置950に図8、及び図9の画面を表示させることによって、ボイラ101のバーナー102、エアポート103から投入する各空気流量の調整作業を支援でき、これによりボイラ101のバーナー102、エアポート103から投入する空気流量の調整作業に要する期間を短縮する効果が得られる。
【0165】
上記した本発明の実施例によれば、燃料に石炭を用いるボイラ出口の排ガス中の酸素濃度分布に偏りがある場合に、酸素濃度の少ない領域に必要な空気流量を供給してボイラの排ガス中の一酸化炭素濃度を効果的に低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法が実現できる。
【0166】
また、ボイラに投入する空気流量がボイラの燃料の燃焼に必要な流量に低減できるので、空気を供給するファン動力を削減して火力発電プラント内で消費する電力を省エネできる。
【実施例2】
【0167】
図10は本発明の他の実施例である火力発電プラントの制御装置の全体構成を示す制御ブロック図である。
【0168】
図10に示した本発明の他の実施例である火力発電プラントの制御装置は、先に図1に示した本発明の実施例である火力発電プラントの制御装置と基本的な装置の構成、並びに制御方法は共通しているので、両者に共通した装置の構成及び制御方法についての説明は省略し、相違する部分について以下に説明する。
【0169】
図10において、ボイラを備えた火力発電プラント100の制御装置に備えられた制御装置200には、図1の実施例の火力発電プラント100を制御する制御装置200に備えられた演算装置として、分布推定手段350及び分布情報データベース270が追加されている。
【0170】
分布推定手段350では、計測値信号データベース210に保存されている計測信号データ4、及び数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データ7に基づいて推定演算して、ボイラ出口の流路の排ガス中の酸素(O)濃度分布、一酸化炭素(CO)濃度分布を含む分布情報19を生成する。
【0171】
そしてこの分布推定手段350で推定演算した前記O濃度分布、CO濃度分布を含む分布情報19は、分布情報データベース270に保存する。
【0172】
図1に示した先の実施例の制御装置200では、図5(b)に示した濃度計測器で計測したO濃度、CO濃度の計測値を、その濃度計測器が配置されてあるボイラ出口の流路の分割領域の代表値としている。
【0173】
また、図6に示すように、制御装置200に備えられた操作信号生成手段500では、ボイラ出口の流路の分割領域内の排ガス中の濃度を代表値で一定として、影響値を計算している。
【0174】
しかしながら、実際にはボイラ出口の流路の分割領域内での排ガス中の濃度は一定ではなく濃度分布が形成されているので、制御装置200の分布推定手段350は、ボイラ出口の流路の排ガス中のO濃度の分布状況、CO濃度の分布状況を推定する機能を持たせて、推定演算した前記O濃度分布、CO濃度分布を含む分布情報19を生成するものである。
【0175】
更に図10に示した本実施例の火力発電プラント100の制御装置200に設置された操作信号生成手段500では、図1の先の実施例に記載された制御装置200の操作信号生成手段500と同様な構成及び方法によって火力発電プラント100に対する操作信号17を生成するだけでなく、更に分布情報データベース270に保存されている分布情報データ20を用いて制御対象となる火力発電プラント100に対する操作信号17を生成するように形成されている。
【0176】
すなわち、図4に示した操作信号生成手段500を構成する第1の補正信号生成部520、及び第2の補正信号生成部530への入力信号に、前記分布情報データ20が追加されるように構成されている。
【0177】
図11は、図10に示した他の実施例である火力発電プラントの制御装置200の演算装置を構成する分布推定手段350の機能を説明する図である。ここでは、計測信号データベース210に保存されている計測信号データ4を用いてボイラ101のボイラ出口流路のO濃度分布を推定する場合を例に説明する。
【0178】
図11(a)に示すように、ボイラ101のボイラ出口流路を12分割した分割領域に設置された排ガス中のO濃度を計測するO2濃度計測器154によって、ボイラ出口の各分割領域を流下する排ガス中のO濃度は計測される。
【0179】
図11(a)では、ボイラ出口流路を12分割した分割領域のうち、左上の4領域に配置されたO濃度計測器154a、154b、154c、154dでそれぞれ計測した排ガス中のO濃度の計測値について、図11(b)に排ガス中のO濃度の計測値の平均値、分散値、最大値、及び最小値を示した。
【0180】
図11(b)にトレンドグラフとして示すように、O濃度計測器154で計測した排ガス中のO濃度の値は、時間が経過するのに伴って変化する。
【0181】
図1の先の実施例による機器の機能を示した図5、及び図6では、例えばボイラ出口の排ガスの濃度の計測値の平均値を、ボイラ出口の流路を複数に分割した領域の代表値とする等、計測値を平滑化処理した結果を分割した領域の代表値としている。
【0182】
これに対して、本実施例の制御装置200における分布推定手段350では、図11(b)に示したようにボイラ出口流路の排ガスの濃度の計測値の平均値、分散値、最大値、最小値を用いて、排ガスの濃度、例えばO濃度の濃度分布を推定するように構成している。
【0183】
まず、ボイラ出口流路を12分割した分割領域のうち、左上の4領域に配置されたO濃度計測器154a、154b、154c、154dでそれぞれ計測した排ガス中のO濃度の計測値a、b、c、dのうち、計測値a、bと、計測値c、dを比較すると、計測値a、bの値の平均値は計測値c、dの平均値の値より低いことが分かる。
【0184】
これらの計測信号データ4に基づいて、分布推定手段350ではボイラ出口流路を12分割した分割領域のうち、O濃度の低い領域が、計測値a、bを検出したO濃度計測器154aと154bが設置された領域内にあると判断する。
【0185】
次に、分布推定手段350では計測値aと計測値bの分散値を用いて、O濃度計測器154aと154bが設置された領域のどの部分のO濃度が低いかを判断する。
【0186】
計測値aと計測値bの分散値が、予め定められた閾値よりも小さい場合は、例えばO濃度計測器154aと154bが配置されている領域のO濃度が低いと判断し、計測値aと計測値bの分散値が閾値よりも大きい場合には、例えばO濃度計測器154aと154bが配置されている領域の境界のO濃度が低いと判断する。
【0187】
これは、ボイラ101のバーナー102、及びエアポート103から供給する空気流量を一定に制御しようとしても、実際にはある範囲内で空気流量が変動するため、ボイラ出口流路の12分割された分割領域の排ガス中の例えばO濃度の濃度分布も、ある範囲内で変動することを利用した判断方法である。
【0188】
そして分布推定手段350では、ボイラ出口流路の12分割された分割領域に設置された特定のO濃度計測器で計測されたO濃度の分散値が閾値よりも小さい場合は、そのO濃度計測器が配置してある分割領域の場所が、常にO濃度の低い領域と重なっていると判断できることから、そのO濃度計測器が配置されている箇所の領域のO濃度が低いと判断する。
【0189】
一方、特定のO濃度計測器で計測されたO濃度の分散値が閾値よりも大きい場合は、そのO濃度計測器が配置されてある分割領域の場所のO濃度が高くなったり低くなったりしていることを意味する。
【0190】
従って、そのO濃度計測器が配置されている分割領域の箇所ではなく、そこから少しずれた場所の領域にO濃度の低い場所が存在すると判断する。
【0191】
また、本実施例の分布推定手段350では、数値解析結果データベース230に保存されている数値解析データ7を用いて、ボイラ出口流路の排ガス中のCO濃度、及びO濃度分布を推定することもできる。
【0192】
本実施例の制御装置200に備えられた操作信号生成手段500では、前記分布推定手段350で推定したボイラ出口流路の排ガス中のCO濃度、及びO濃度の濃度分布情報を用いて、操作信号17を計算する。
【0193】
すなわち、図6に示した先の実施例の制御装置200におけるCO濃度計測値、及びO2濃度計測値をそれぞれ、CO濃度分布推定値、及びO2濃度分布推定値に置き換えて、影響値を計算する。
【0194】
また、本実施例の制御装置200に備えた学習手段600における学習アルゴリズムの演算手順においても、学習アルゴリズムの演算手順を示したフローチャート図7の評価値を計算するステップ1160において、制御装置200の評価値計算手段800によって評価値を計算する際に、前述した影響値を用いることもできる。
【0195】
この場合、CO濃度計測値、及びO2濃度計測値の計測値情報のみを用いた先の実施例の場合と比較して、CO濃度分布推定値、及びO2濃度分布推定値の分布情報を用いた本実施例の場合では実機に近い排ガス中のCO濃度分布推定値、及びO2濃度分布推定値が得られるので、排ガス中の更なるCO濃度の低減効果が実現できる。
【0196】
これは、制御装置200内で把握するボイラ出口流路の排ガス中の濃度分布が、ボイラ出口流路を12分割した分割領域の代表値を用いる場合と比較して、分布推定手段350によって推定した排ガス中の濃度分布を用いる場合の方が実機と近いものとなっているため、CO濃度を低減させるためにボイラ101のバーナー102、及びエアポート103から供給する空気流量をより適切に調節する空気流量の指令信号を生成できるためである。
【0197】
図12は、図10に示した本発明の他の実施例である火力発電プラントの制御装置の動作フローチャートである。
【0198】
図12のフローチャートは、図3に示したフローチャートにおいて、モデル構築のステップ1020と供給場所推定のステップ1030bとの間に分布推定のステップ1060を追加したものであり、その他のステップは図3のフローチャートと同じである。
【0199】
この分布推定のステップ1060では、前述したように図10の制御装置に備えた分布推定手段350で演算することによって、ボイラ出口流路における排ガス中のガス濃度分布(O2濃度分布、CO濃度分布)を推定するものである。
【0200】
上記した図10に示した本発明の他の実施例である火力発電プラントの制御装置を用いると、画像表示装置950に分布情報データベース270に保存されている情報を表示できる。よって図1に示した先の実施例である火力発電プラントの制御装置を用いた場合に、図8、図9に示すように、画像表示装置950にはボイラ出口の排ガス中のガス濃度を領域毎に区切って表示しているが、本実施例である火力発電プラントの制御装置を用いると、ボイラ出口ガス濃度を実機に近い濃度分布状態で表示することができる。
【0201】
上記した本発明の実施例によれば、燃料に石炭を用いるボイラ出口の排ガス中のO濃度分布に偏りがある場合にO濃度の少ない領域に必要な空気流量を供給してボイラの排ガス中のCOを効果的に低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法が実現できる。
【0202】
また、ボイラに投入する空気流量がボイラの燃料の燃焼に必要な流量に低減できるので、空気を供給するファン動力を削減して火力発電プラント内で消費する電力を削減できる。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明は、燃料に石炭を用いるボイラを備えた火力発電プラントから排出される一酸化炭素の濃度を低減する火力発電プラントの制御装置及び火力発電プラントの制御方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の一実施例である火力発電プラントの制御装置の全体構成を示す制御ブロック図。
【図2】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置による制御対象の火力発電プラントを示す概略構成図。
【図3】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置による制御の手順を示すフローチャート。
【図4】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置における操作信号生成手段の構成を示す制御ブロック図。
【図5】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置における到達領域推定手段の機能の説明図。
【図6】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置における操作信号生成手段による操作信号の生成方法の説明図。
【図7】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置における学習手段による学習アルゴリズムの演算手順を示すフローチャート。
【図8】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置に備えた画像表示装置による表示画面の一例。
【図9】図1に示した実施例の火力発電プラントの制御装置に備えた画像表示装置による表示画面の他の一例。
【図10】本発明の他の実施例である火力発電プラントの制御装置の全体構成を示す制御ブロック図。
【図11】図10に示した他の実施例である火力発電プラントの制御装置における分布推定手段の機能の説明図。
【図12】図10に示した他の実施例である火力発電プラントの制御装置による制御の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0205】
100:プラント、200:制御装置、201:外部入力インターフェイス、202:外部出力インターフェイス、210:計測信号データベース、220:到達領域データベース、230:数値解析結果データベース、240:操作信号データベース、250:制御ロジックデータベース、260:学習情報データベース、300:到達領域推定手段、400:数値解析実行手段、500:操作信号生成手段、600:学習手段、700:モデル、800:評価値計算手段、900:外部入力装置、901:キーボード、902:マウス、910:保守ツール、920:外部入力インターフェイス、930:データ送受信処理部、940:外部出力インターフェイス、950:画像表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の石炭と空気をボイラに供給するバーナーと、該バーナーから供給された燃料の石炭と空気を燃焼させて生成する燃焼ガスの流れ方向下流側でこの燃焼ガスに空気を供給するエアポートとを有するボイラを備えた火力発電プラントの制御装置において、火力発電プラントのボイラに該ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測する計測器を備え、火力発電プラントの制御装置を構成する制御器に、前記ボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段と、前記計測器で計測したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定する操作信号生成手段とをそれぞれ備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項2】
燃料の石炭と空気をボイラ内に供給するバーナーと、該バーナーから供給された燃料の石炭と空気を燃焼させて生成する燃焼ガスの流れ方向下流側でこの燃焼ガスに空気を供給するエアポートとを有する火力発電プラントの制御装置において、火力発電プラントのボイラに該ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測する計測器を備え、火力発電プラントの制御装置を構成する制御器に、前記バーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段と、ボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度の分布もしくは一酸化炭素濃度の分布を推定する分布推定手段と、前記分布推定手段で推定したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度の分布推定結果と前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定する操作信号生成手段とをそれぞれ備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記制御器に火力発電プラントを模擬する物理モデルを内部に有して該物理モデルを用いたバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量の経路の計算に基づいてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラの出口に到達する領域を計算する数値解析実行手段と、火力発電プラントから得られる計測信号データもしくは前記数値解析実行手段を実行して得られる数値解析データのうち少なくとも1方のデータを用いてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラ出口に到達する領域を推定する到達領域推定手段とを備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記制御器に火力発電プラントを模擬する物理モデルを内部に有して該物理モデルを用いたボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度分布もしくは一酸化炭素濃度分布を計算する数値解析実行手段と、前記計測器で計測された火力発電プラントから得られるボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度の計測信号データもしくは前記数値解析実行手段を実行して得られるボイラの出口の燃焼ガスの酸素濃度分布もしくは一酸化炭素濃度分布の数値解析データのうち少なくとも一方のデータを用いてボイラの出口の酸素濃度分布もしくは一酸化炭素濃度分布を推定する分布推定手段とを備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記計測器はボイラ出口の流路断面を任意の数の分割領域に区分した分割領域毎に一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度を計測するように配設し、前記制御器に備えた操作信号生成手段は、ボイラ出口の流路断面の分割領域毎に配設した前記計測器で計測した一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と、前記到達領域推定手段によるボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域の推定値とを積算した値の総和となる一酸化炭素濃度の第1の影響値もしくは酸素濃度の第2の影響値をそれぞれ計算して、この第1の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を増加させる、もしくは第2の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を減少させるように制御する機能を有するように構成したことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項6】
請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記制御器に備えた操作信号生成手段は、前記分布推定手段で推定したボイラ出口の流路断面を任意の数の分割領域に区分した分割領域の一酸化炭素濃度の推定値もしくは酸素濃度の推定値と、前記到達領域推定手段によるボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域の推定値とを積算した値の総和となる一酸化炭素濃度の第1の乗算値もしくは酸素濃度の第2の影響値をそれぞれ計算して、この第1の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を増加させる、もしくは第2の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を減少させるように制御する機能を有するように構成したことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載した火力発電プラントの制御装置において、前記制御器に火力発電プラントの特性を簡略に模擬する簡略な物理モデルを内部に有してこの簡略な物理モデルを対象にして一酸化炭素濃度の前記第1の影響値と酸素濃度の前記第2の影響値をそれぞれ計算する評価値計算手段と、前記評価値計算手段で計算された第1の影響値が大きくなる操作方法を学習する、もしくは第2の影響値が小さくなる操作方法を学習する学習手段とを備え、前記操作信号生成手段は前記学習手段による学習結果に基づいてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定するように構成したことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載した火力発電プラントの制御装置において、制御器に設けた前記到達領域推定手段によって推定したバーナーもしくはエアポートからボイラに供給した空気がボイラの出口に到達する到達領域を画面に表示する表示手段を備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項9】
請求項5又は請求項6に記載した火力発電プラントの制御装置において、制御器に設けた前記操作信号生成手段によって計算した第1の影響値もしくは第2の影響値を画面に表示する表示手段を備えたことを特徴とする火力発電プラントの制御装置。
【請求項10】
ボイラに備えたバーナーから燃料の石炭と空気をボイラ内に供給して該バーナーから供給された燃料の石炭と空気をボイラ内で燃焼させて生成する燃焼ガスを生成し、この生成した燃焼ガスの流れ方向下流側でボイラに備えたエアポートから前記燃焼ガスに空気を供給する火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントのボイラの出口に備えた計測器によりボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測し、火力発電プラントを制御する制御器に備えた到達領域推定手段によって前記バーナーもしくは前記エアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定し、前記制御器に備えた操作信号生成手段によって前記計測器で計測したボイラの出口の燃焼ガスの一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と前記到達領域推定手段で推定したバーナーもしくはエアポートから供給された空気がボイラの出口に到達する領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定して制御することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。
【請求項11】
ボイラに備えたバーナーから燃料の石炭と空気をボイラ内に供給して該バーナーから供給された燃料の石炭と空気をボイラ内で燃焼させて燃焼ガスを生成し、この生成した燃焼ガスの流れ方向下流側でボイラに備えたエアポートから前記燃焼ガスに空気を供給する火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントのボイラの出口に備えた計測器によりボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度を計測し、火力発電プラントを制御する制御器に備えた到達領域推定手段によって前記バーナーもしくは前記エアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域を推定し、該制御器に備えた分布推定手段によってボイラの出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度の分布を推定し、該制御器に備えた操作信号生成手段によって前記分布推定手段で推定した一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度の分布推定結果と、前記到達領域推定手段で推定した供給された空気がボイラの出口に到達する領域の到達領域の推定結果とに基づいて前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の一酸化炭素濃度の高い領域もしくは酸素濃度の低い領域に到達する空気流量が増加するようにバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定して制御することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載した火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントを制御する制御器に備えた数値解析実行手段によって火力発電プラントを模擬する物理モデルを内部に有して該物理モデルを用いてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量の経路の計算に基づいて該制御器に備えた到達領域推定手段によってバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラ出口に到達する領域を計算し、前記制御器に備えた到達領域推定手段によって火力発電プラントから得られる前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度の計測信号データもしくは前記数値解析実行手段を実行して得られる数値解析データのうち、少なくとも1方のデータを用いてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量がボイラ出口に到達する領域を推定することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。
【請求項13】
請求項11に記載した火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントを制御する制御器に備えた数値解析実行手段によって火力発電プラントを模擬する物理モデルを内部に有して該物理モデルを用いてボイラの出口の酸素濃度分布もしくは一酸化炭素濃度分布を計算し、前記制御器に備えた分布推定手段によって火力発電プラントから得られる前記計測器で計測したボイラ出口の燃焼ガス中の酸素濃度もしくは一酸化炭素濃度の計測信号データもしくは前記数値解析実行手段を実行して得られる酸素濃度分布データもしくは一酸化炭素濃度分布データのうち、少なくとも1方のデータを用いてボイラ出口における酸素濃度分布もしくは一酸化炭素濃度分布を推定することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。
【請求項14】
請求項10または請求項11に記載した火力発電プラントの制御方法において、ボイラ出口の流路断面を任意の数の分割領域に区分して分割領域毎に計測器により燃焼ガス中の一酸化炭素濃度もしくは酸素濃度を計測し、制御器に備えた操作信号生成手段によってこれらのボイラ出口の分割領域毎の一酸化炭素濃度の計測値もしくは酸素濃度の計測値と、到達領域推定手段によるボイラのバーナーもしくはエアポートから供給した空気がボイラの出口に到達する領域の推定値とを積算した総和となる一酸化炭素濃度の第1の影響値もしくは酸素濃度の第2の影響値を求め、この第1の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を増加させる、もしくは第2の影響値に占める割合が大きいバーナーもしくはエアポートの空気流量を減少させるように制御することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。
【請求項15】
請求項14に記載した火力発電プラントの制御方法において、火力発電プラントを制御する制御器に備えた火力発電プラントを模擬する物理モデルを対象にして該制御器に備えた評価値計算手段によって第1の影響値と酸素濃度の前記第2の影響値を計算し、該制御器に備えた学習手段によってこの評価値計算手段で計算された第1の影響値が大きくなる操作方法を学習する、もしくは第2の影響値が小さくなる操作方法を学習し、制御器に備えた前記操作信号生成手段では前記学習手段による前記学習結果に基づいてバーナーもしくはエアポートからボイラに供給する空気流量を設定することを特徴とする火力発電プラントの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−249187(P2008−249187A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88067(P2007−88067)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】