説明

火力発電所の排ガス監視システム

【課題】 NOXやSOXの濃度を分析するガス分析計が排気路から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスの監視の信頼性を高めることのできる火力発電所の排ガス監視システムを提供する。
【解決手段】 NOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されると異常である旨を告知する告知手段とを備えた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されると異常である旨を告知するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガス中のNOX及びSOXの濃度を監視する火力発電所の排ガス監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気汚染等の環境問題が重視され、各種燃焼系から大気放出される排ガスに含まれるNOXやSOXの許容値として環境基準値が設定されている。これに伴い、火力発電所では、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路上にNOXを除去する脱硝装置やSOXを除去する脱硫装置等を設け、環境基準値よりも高い濃度のNOXやSOX等を含む排ガスを大気放出させないようにしている。
【0003】
さらに、火力発電所においては、ボイラで燃焼させる燃料の相違(成分の相違)や、ボイラでの燃焼不良等でNOXやSOXの発生量が変動した場合に、脱硝装置や脱硫装置の除去能力を一定にしておくとNOXやSOXの濃度が環境基準値よりも高くなる場合があることを考慮し、大気放出される排ガス中のNOXやSOXの濃度が環境基準値以下であるか否かを監視する排ガス監視システムが設けられている。
【0004】
かかる排ガス監視システムは、脱硝装置又は脱硫装置の後段(大気放出させるための煙突の入り口近傍)で、サンプリングパイプを介して排気路から導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの何れか一方の濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知(警報)手段とを備えている。
【0005】
これにより、オペレータが、告知手段による告知でNOXやSOXの濃度が環境基準値よりも高い(環境基準を超えている)ことを認識することができ、NOXやSOXの濃度が適正値(環境基準値以下)となるように対応(例えば、脱硝装置や脱硫装置の性能調整等)することで、NOXやSOXの濃度を環境基準値以下にして排ガスを大気放出するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記構成の排ガス監視システムは、サンプリングパイプを介して排気路内の排ガスをガス分析計に導入するようにしているため、サンプリングパイプの欠損や脱落等が生じて排気路とガス分析計との間で外気が入り込んだり、サンプリングパイプ内が閉塞したりすると、ガス分析計の分析結果が実際のNOXやSOXの濃度よりも低い値になってしまう。すなわち、排気路からサンプリングパイプが外れたり、サンプリングパイプが欠損していたりすると、サンプリングパイプ内に外気が入り込んでNOXやSOXの濃度が希釈される結果、ガス分析計によるNOXやSOXの分析結果が実際の濃度よりも低い値になり、サンプリングパイプ内が粉塵等によって詰まってしまうと、排気路内の排ガスがガス分析計に到達せずに、ガス分析計によるNOXやSOXの分析結果が実際の濃度よりも低い値になってしまう。
【0007】
そのため、排気路を通過する排ガス中のNOXやSOXの濃度が環境基準値よりも高い場合であっても、判断手段がNOXやSOXの濃度が環境基準値以下であると判断してしまう結果、排ガス中のNOXやSOXの濃度の状態を適正に判断されない場合があり、排ガスを監視するといった観点において信頼性に欠けるといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、NOXやSOXの濃度を分析するガス分析計が排気路から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高めることのできる火力発電所の排ガス監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムは、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「標準値」とは、正常運転時に必然的に発生する環境基準値以下の標準的なSOXの濃度を意味し、一つの値(ポイント的な濃度)は勿論のこと、幅を持った値(所定範囲の濃度)を含む概念である。
【0010】
上記構成の排ガス監視システムは、排気路上にNOXを除去する脱硝装置のみが設けられた火力発電所、すなわち、正常運転時に環境基準値以下の標準値(濃度)のSOXを含む排ガスを発生する火力発電所を対象としている。
【0011】
かかる火力発電所では、上述の如く、正常運転時において必然的に標準値のSOXを含んだ排ガスが発生するため、ガス分析計の分析結果(SOXの濃度)が標準値よりも低い場合、通常含まれているはずのSOXが含まれていないことになり、サンプリングパイプに外気が流入しているか、ガス分析計に排ガスが導入されていないことになる。
【0012】
従って、本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムによれば、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段を構成しているので、ガス分析計に排気路から排ガスが適正に導入されているか否か、すなわち、ガス分析計が排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高いものにすることができる。
【0013】
また、該排ガス監視システムは、SOXの濃度を判断の基準としているので、排ガス中のNOXが脱硝装置で完全に除去されたとしてもその除去に影響を受けることがなく、適正な判断を行うことができる。
【0014】
その上、該排ガス監視システムは、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに告知手段が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となる。
【0015】
本発明の火力発電所の排ガス監視システムは、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硫装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX又はSOXの少なくとも何れか一方の濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「標準値」とは、正常運転時に必然的に発生する環境基準値以下の標準的なNOXの濃度、及びSOXの濃度を意味し、一つの値(ポイント的な濃度)は勿論のこと、幅を持った値(所定範囲の濃度)を含む概念である。
【0016】
上記構成の排ガス監視システムは、排気路上にSOXを除去する脱硫装置のみが設けられた火力発電所、すなわち、正常運転時に環境基準値以下の標準値のNOXを含む排ガスを発生する火力発電所を対象としている。
【0017】
かかる火力発電所では、上述の如く、正常運転時において必然的に標準値のNOXを含んだ排ガスが発生するため、ガス分析計の分析結果(NOXの濃度)が標準値よりも低い場合、通常含まれているはずのNOXが含まれていないことになり、サンプリングパイプに外気が流入しているか、ガス分析計に排ガスが導入されていないことになる。
【0018】
また、該火力発電所は、排気路上に脱硫装置が設けられているが、該脱硫装置は、石灰石と排ガスとを反応させることによって脱硫を行う(SOXを除去する)もので、石灰石が過剰に投入されたとしても副産物としての石膏が不良となるだけで、正常運転時において、SOXが完全に除去されたり、SOXの濃度が標準値よりも低くなったりすることがない。
【0019】
そのため、かかる火力発電所では、ガス分析計の分析結果(SOXの濃度)が標準値よりも低い場合においても、通常含まれているはずのSOXが含まれておらず、サンプリングパイプに外気が流入しているか、ガス分析計に排ガスが導入されていないことになる。
【0020】
従って、本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムによれば、ガス分析計の分析結果を基にNOX又はSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段を構成しているので、ガス分析計に排気路から排ガスが適正に導入されているか否か、すなわち、ガス分析計が排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高いものにすることができる。また、NOX及びSOXの濃度を判断の基準としているので、適正な判断を確実に行うことができる。
【0021】
その上、該排ガス監視システムは、判断手段によってNOX又はSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに告知手段が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となる。
【0022】
本発明の火力発電所の排ガス監視システムは、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置及び脱硫装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「標準値」とは、正常運転時に必然的に発生する環境基準値以下の標準的なSOXの濃度を意味し、一つの値(ポイント的な濃度)は勿論のこと、幅を持った値(所定範囲の濃度)を含む概念である。
【0023】
上記構成の排ガス監視システムは、排気路上に脱硝装置及び脱硫装置が設けられた火力発電所を対象としている。かかる火力発電所では、排気路上に脱硝装置が設けられているので、排ガス中のNOXが完全に除去される場合があるが、脱硫装置が石灰石と排ガスとを反応させることによって脱硫を行う(SOXを除去する)もので、石灰石が過剰に投入されたとしても副産物としての石膏が不良となるだけで、正常運転時において、SOXが完全に除去されたり、SOXの濃度が標準値よりも低くなったりすることがない。
【0024】
そのため、かかる火力発電所では、ガス分析計の濃度分析から得られるSOXの濃度が標準値よりも低い場合、通常含まれているはずのSOXが含まれておらず、サンプリングパイプに外気が流入しているか、ガス分析計に排ガスが導入されていないことになる。
【0025】
従って、本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムによれば、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段を構成しているので、ガス分析計に排気路から排ガスが適正に導入されているか否か、すなわち、ガス分析計が排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高いものにすることができる。
【0026】
また、該排ガス監視システムは、SOXの濃度を判断の基準としているので、排ガス中のNOXが脱硝装置で完全に除去されたとしてもその除去に影響を受けることがなく、適正な判断を行うことができる。
【0027】
その上、該排ガス監視システムは、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに告知手段が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となる。
【0028】
そして、前記判断手段は、前記ガス分析計の分析結果を基に、NOX、及びSOXの少なくとも何れか一方の濃度の変動が予め設定された設定範囲内にあるか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX、及びSOXの少なくとも何れか一方の濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに異常である旨を告知するように構成されてもよい。このようにすれば、分析結果(NOX又はSOXの分析濃度)を変動させるガス分析計の故障等のトラブルについても告知手段の告知によって把握することができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となり、排ガスを監視するといった観点において信頼性をさらに向上させることができる。
【0029】
本発明の火力発電所の排ガス監視システムは、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置及び脱硫装置の少なくとも何れか一方が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記ガス分析計は、排ガス中のO2について濃度分析可能に構成され、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にO2の濃度が正常運転時の標準値よりも高いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってO2の濃度が標準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする。なお、ここで「標準値」とは、正常運転中の排ガス(ボイラから排出され、脱硝装置及び脱硫装置の少なくとも何れか一方を通過した排ガス)に必然的に含まれる標準的なO2の濃度を意味し、一つの値(ポイント的な濃度)は勿論のこと、幅を持った値(所定範囲の濃度)を含む概念である。
【0030】
上記構成の排ガス監視システムは、排気路上に脱硝装置及び脱硫装置の少なくとも何れか一方が設けられた火力発電所を対象としている。そして、何れの火力発電所においても、火力発電(ボイラの燃焼)に伴って発生する排ガス中のO2濃度は、燃焼によって外気のO2濃度よりも低く、正常運転においては排ガス中のO2濃度が標準値で略一定になる。
【0031】
そのため、かかる火力発電所では、ガス分析計の濃度分析から得られるO2の濃度が標準値よりも高い場合、通常含まれていないはずのO2が含まれていることになり、サンプリングパイプに外気が流入していることになる。
【0032】
従って、本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムによれば、ガス分析計が排ガス中のO2について濃度分析可能に構成され、該ガス分析計の分析結果を基にO2の濃度が標準値よりも高いか否かを判断するように判断手段を構成しているので、ガス分析計に排気路から排ガスが適正に導入されているか否か、すなわち、ガス分析計が排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高いものにすることができる。また、該排ガス監視システムは、正常運転時に安定するO2の濃度を判断の基準としているので、適正な判断を確実に行うことができる。
【0033】
その上、該排ガス監視システムは、判断手段によってO2の濃度が標準値よりも高いと判断されたときに告知手段が異常である旨を告知するように構成しているので、オペレータが告知手段の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となる。
【0034】
この場合、判断手段は、前記ガス分析計の分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定された設定範囲内にあるか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに異常である旨を告知するように構成されてもよい。このようにすれば、分析結果(NOX、SOXの或いはO2の分析濃度)を変動させるガス分析計の故障等のトラブルについても告知手段の告知によって把握することができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能となり、排ガスを監視するといった観点において信頼性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明に係る火力発電所の排ガス監視システムによれば、NOXやSOXの濃度を分析するガス分析計が排気路から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスに対する監視の信頼性を高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の第一実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システムについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0037】
本実施形態に係る排ガス監視システムの説明に先立ち、当該システムを適用する火力発電所について概略説明すると、かかる火力発電所は、図1に示す如く、発電機(図示しない)と、該発電機を駆動するためのボイラ(図示しない)と、ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路1と、排ガスを大気放出する前に、該排ガスからNOXを除去するための脱硝装置2と、排ガス中に含まれる粉塵を除去する集塵装置3とを備えている。
【0038】
本実施形態に係るボイラは、硫黄(S)成分の少ない燃料(例えば、重油)を燃焼させることによって発電機を駆動するためのスチームを発生するようになっている。このように、本実施形態に係る火力発電所は、ボイラが硫黄(S)成分の少ない燃料を燃焼させるため、発生するSOXの濃度が環境基準値よりも高くなることがないことから、脱硫装置を設けることなくNOXの除去を行う脱硝装置2のみが設けられている。なお、本実施形態に係るボイラは、重油等の燃料を燃焼させて実働する前に、重油等に比してSOxやNOxが発生しにくい燃料(例えば軽油等)で所定時間(例えば30分間)予備燃焼を行うようになっている。
【0039】
前記排気路1は、ボイラに接続されたダクト10と、該ダクト10が接続され排ガスを高所から大気放出させるための煙突11とを備えている。
【0040】
前記脱硝装置2は、ボイラからの排ガスが煙突11に向けて流通できるように排気路1上に設けられている。すなわち、該脱硝装置2は、ボイラに接続されたダクト10と、煙突11に接続されたダクト10との間に介設されている。そして、本実施形態に係る脱硝装置2は、流通する排ガスとアンモニア(NH3)とを混合した上で触媒反応させ、NOXを窒素(N2)と水(H2O)とに分解するようになっている。
【0041】
前記集塵装置3には、種々タイプのものがあるが、本実施形態においては、電気式集塵装置が採用されている。該電気式集塵装置3は、対向する一対の電極に高圧の電気を流すことで、排ガス中の粉塵を電極に吸い寄せて捕集するようになっている。
【0042】
本実施形態の対象となる火力発電所は概ね以上の構成からなり、次に、排ガス監視システムについて説明すると、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、前記排気路1から分岐するサンプリングパイプ50を介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計51と、該ガス分析計51の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段52と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段53とを備える。
【0043】
なお、本実施形態に係る火力発電所は、排ガス監視システム5のガス分析計51の他に、脱硝装置2の能力(NOXの除去能力)を確認すべく、ボイラと脱硝装置2との間(脱硝装置2の前段)、排ガス監視システム5のサンプリングパイプ50と脱硝装置2との間(脱硝装置2の後段)から分岐した分岐管100を介して排気路1から排ガスをサンプリングしてNOXの濃度分析を行う濃度分析計110が別途設けられている。
【0044】
該排ガス監視システム5は、前記サンプリングパイプ50の分岐位置の前段の排気路1上に前記脱硝装置2が設けられており、ボイラからの排ガスを脱硝した後、すなわち大気放出する直前で排ガス中のNOX及びSOXの濃度分析(測定)を行えるようになっている。
【0045】
前記ガス分析計51は、排気路1(ダクト10)から分岐したサンプリングパイプ50に接続され、排ガスを取り込むガス採取部51aと、該ガス採取部51aから取り込まれた排ガスの濃度分析を行う分析部51bとを備え、該分析部51bの濃度分析によって排ガス中のNOXの濃度及びSOXの濃度が得られるようになっている。
【0046】
そして、本実施形態に係るガス分析計51は、NOXの濃度分析を行うにあたり、間接的にNOXの濃度分析を行う方式が採用されている。すなわち、NOXの濃度は、サンプリングされた場所での排ガス中のO2の濃度が高い場合に、NOXの濃度が低くなることから、大気放出されるNOXをより厳密に規制するようにNOXの環境基準がO2(4%)換算値とされている。これに伴って本実施形態に係るガス分析計51は、NOX及びSOXの濃度分析に加え、NOXの濃度をO2(4%)換算値にするためにO2の濃度分析も行えるようになっている。
【0047】
前記判断手段52は、CPU(図示しない)やソフトウェアの記憶された記憶装置(図示しない)等で構成される、いわゆる演算処理装置で構成されている。そして、該判断手段52の記憶装置には、上述の判断の基準として、NOXの環境基準値、SOXの環境基準値が記憶されている。すなわち、NOXやSOXの環境基準は、環境基本法(平成5年11月19日法律第91号)第16条第1項の規定に基づき、全国一律に設定されおり、判断手段52の記憶手段には、法律に定められた環境基準を満たしたNOX及びSOXの濃度が環境基準値として記憶されている。
【0048】
そして、該判断手段52は、上述の如く、ガス分析計51の分析結果と記憶装置に記憶させた環境基準値とを比較し、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断するようになっている。なお、上述の如く、SOXについては、ボイラで燃焼させる燃料が硫黄(S)成分の含有率の低いものが採用されているため、通常、環境基準値よりも高くなることがないが、排ガスを大気放出するに当たって確認的にSOXの濃度についても環境基準値よりも高いか否かを判断している。
【0049】
また、該判断手段52の記憶装置には、該火力発電所の正常運転時に排出されるSOXの濃度が標準値として記憶されている。すなわち、SOXについては、ボイラが正常に作動しているときの標準的な濃度が標準値として記憶されている。なお、標準値は、SOXの濃度として一つの値を設定してもよいが、多少の変動を考慮して所定範囲の濃度を設定してもよい。但し、何れの場合も、SOXの標準値は、上述した通り環境基準値以下の値であることは勿論のことである。
【0050】
そして、該判断手段52は、前記ガス分析計51の分析結果と、記憶装置に記憶させた標準値とを比較し、SOXの濃度が、標準値よりも低いか否かについても判断するようになっている。かかる判断は、ガス分析計51が適正に排ガス(NOX及びSOX)の濃度を分析しているか否かを判断するために行われる。
【0051】
具体的には、例えば、サンプリングパイプ50が排気路1から外れていたり、サンプリングパイプ50が欠損していたりすると、サンプリングパイプ50内に外気が流入して排ガスが希釈されてしまい、ガス分析計51の分析結果は、排気路1を通過する実際の排ガス中のNOXやSOXの濃度より低いものとなる。また、サンプリングパイプ50内が閉塞している場合、排気路1内の排ガスがガス採取部51aにまで到達しないため、この場合も、ガス分析計51の分析結果は、排気路1を通過する実際の排ガス中のNOXやSOXの濃度より低いものとなる。
【0052】
そうすると、排気路1を流通する排ガスのNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高くても、上述のような分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断すると、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも低いと判断され、環境基準を満たさない排ガスが大気放出され続ける可能性がある。
【0053】
そこで、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、脱硝装置2によりNOXの除去に影響を受けることがなく、火力発電所が正常に運転しているとき略定量的に排出されるSOXの濃度(正常運転時に排出されるべきSOXの濃度)を標準値として設定し、ガス分析計51の分析結果が標準値よりも低い場合には、外部から外気が流入している(サンプリングパイプ50の脱落や欠損)、或いは、ガス採取部51aに排ガスが到達していない(サンプリングパイプ50の閉塞)といった異常が発生していると判断するようになっている。
【0054】
さらに、該判断手段52は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX及びSOXの何れかの濃度の変動が予め設定範囲内であるか否かを判断するようにも構成されており、NOX又はSOXの濃度の変動(分析結果)が予め設定した設定範囲外である場合(例えば、NOXの濃度の変動が、一分間で±10ppmを越えた場合、SOXの濃度の変動が、一分間で±30ppmを超えた場合)に、ガス分析計51にトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0055】
本実施形態においては、ガス分析計51がO2についても分析できるものであるので、上述したNOX及びSOXの変動の判断に加え、O2の濃度の変動が予め設定した設定値内であるか否かについても判断し、O2の濃度の変動(分析結果)が予め設定した設定範囲外である場合(例えば、O2の濃度の変動が、一分間で±5%を超えた場合)にも、ガス分析計51にトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0056】
前記告知手段53は、オペレータに対して異常を告知するためのもので、例えば、警報によって異常を知らしめるブザーや、音声によって異常を知らしめる音声発生装置、画像や文字等の表示で異常を知らしめるモニター等、種々のものを採用することができる。そして、本実施形態に係る告知手段53は、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いときに異常を告知する他に、上述の如く、ガス分析計51の分析結果が標準値よりも低いと判断手段52が判断したときに、異常を告知するようにもなっている。さらに、本実施形態に係る告知手段53は、NOX、SOX及びO2の濃度の変動が設定範囲外であると判断手段52が判断したときにも、異常を告知するようになっている。
【0057】
すなわち、本実施形態に係る告知手段53は、NOX及びSOXの濃度の異常と、当該排ガス監視システム5の異常とを告知するようになっており、判断手段52による各判断に対応した内容を告知するようになっている。
【0058】
本実施形態に係る排ガス監視システムは、以上の構成からなり、次に火力発電所での排ガスの監視(該システムの作動)について説明する。
【0059】
図2に示す如く、まず、ボイラの燃焼を開始し(S10)、ボイラの燃焼開始後、所定時間経過すると(S20でYES)、排ガス監視システムに5によって排ガスの監視(排ガス監視制御)が開始される(S30)。すなわち、本実施形態に係る火力発電所のボイラは、NOXやSOX等を発生させにくい燃料で予備燃焼を行ため、排ガス監視システム5は、予備燃焼から実働に切り替わると(S20でYES)、排ガスの監視(排ガス監視制御(1),(2),(3))を開始する(S30)。
【0060】
そして、排ガスの監視(排ガス監視制御(1))が開始すると、図3(a)に示す如く、ガス分析計51の分析結果と記憶手段に記憶させた環境基準値とが判断手段52によって連続的(又は、所定時間毎)に比較され、ガス分析計51の分析結果(NOX又はSOXの濃度)が環境基準値以下であると判断されると(S40でNO)、当該排ガス監視制御(1)を終了するか否かを判断し、続行する場合には(S50でNO)、上述のように分析結果と記憶手段に記憶させた環境基準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S50でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0061】
他方、判断手段52によってガス分析計51の分析結果(NOX又はSOXの濃度)が環境基準値よりも高いと判断されると(S40でYES)、告知手段53がNOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高い(環境基準を超えている)旨を告知(警告)する(S60)。この告知によってオペレータは、NOX又はSOXの濃度が環境基準値以下になるように適宜対応する。
【0062】
そして、その異常が解消したかどうかが判断され(S70)、異常が解消されない場合(S70でNO)には、告知手段53による告知が引き続き行われる。なお、かかる異常が解消したか否かは、ガス分析計51の分析結果を基に、NOX又はSOXの濃度が環境基準値以下になったか否かによって判断してもよいし、トラブルを解消するオペレータが異常を解消したか否かを指示することに基づくものであってもよい。
【0063】
そして、異常が解消した場合(S70でYES)には、告知手段53による告知を終了した後(S80)、当該排ガス監視制御を終了するか否かを判断し、続行する場合には(S50でNO)、上述のように分析結果と記憶手段に記憶させた環境基準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0064】
さらに、排ガス監視システムは、図3(b)に示す如く、排ガスの監視(排ガス監視制御(2):図2のS30)において、上記排ガス監視制御(1)と併行して、ガス分析計51の分析結果(SOXの濃度)と記憶手段に記憶させた標準値とが判断手段52によって連続的(又は、所定時間毎)に比較され(S90)、分析結果(SOXの濃度)が標準値であると判断されると(S90でNO)、当該排ガス監視制御を終了するか否かを判断し(S100)、続行する場合には(S100でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0065】
他方、判断手段52によってガス分析計51の分析結果(SOXの濃度)が標準値よりも低いと判断されると(S90でYES)、告知手段53がガス分析計51に排ガスが適正に導入されていない旨を告知(警告)する(S110)。この告知によってオペレータは、ガス分析計51に対して排ガスが導入されるように、サンプリングパイプ50の欠損や脱落の有無の確認等を行って適宜対応する。
【0066】
そして、その異常が解消したかどうかが判断され(S120)、異常が解消されない場合(S120でNO)には、告知手段53による告知が引き続き行われる。なお、この場合においても、異常が解消したか否かは、ガス分析計51の分析結果を基に、SOXの濃度が標準値になったか否かによって判断してもよいし、トラブルを解消するオペレータが異常を解消したか否かを指示することに基づくものであってもよい。
【0067】
そして、異常が解消した場合(S120でYES)には、告知手段53による告知を終了した後(S130)、当該排ガス監視制御(2)を終了するか否かを判断する(S100)。そして、排ガス監視制御(2)を続行する場合には(S100でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0068】
さらに、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、図3(c)に示す如く、排ガスの監視(排ガス監視制御(3):図2のS30)において、上記二つの処理(排ガス監視制御(1),(2))と併行して、ガス分析計51の分析結果(NOX、SOX、O2の濃度)の変化と記憶手段に記憶させた設定範囲とが判断手段52によって連続的(又は、所定時間毎)に比較され(S140)、NOX、SOX、O2の濃度の変動が設定範囲内であると判断されると(S140でYES)、当該排ガス監視制御(3)を終了するか否かを判断し(S150)、続行する場合には(S150でNO)、上述のようにNOX、SOX、O2の濃度の変動が設定範囲内にあるか否かの比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S150でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0069】
他方、判断手段52によってガス分析計51の分析結果(NOX、SOX、及びO2の少なくとも何れか一つの濃度)の変動が設定範囲外であると判断されると(S140でNO)、ガス分析計51に不具合が生じている旨を告知(警告)する(S160)。この告知によってオペレータは、ガス分析計51の不具合を確認し、正常に動作するように適宜対応する。
【0070】
そして、その異常が解消したかどうかが判断され(S170)、異常が解消されない場合(S170でNO)には、告知手段53による告知が引き続き行われる。なお、異常が解消したか否かは、ガス分析計51の分析結果を基に、NOX、SOX、O2の濃度の変動が設定範囲内になったか否かによって判断してもよいし、トラブルを解消するオペレータが異常を解消したか否かを指示することに基づくものであってもよい。
【0071】
そして、異常が解消した場合(S170でYES)には、告知手段53による告知を終了した後(S180)、当該排ガス監視制御(3)を終了するか否かを判断される(S150)。そして、該排ガス監視制御(3)を続行する場合には(S150でNO)、上述のように分析結果と記憶手段に記憶させた環境基準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御(3)を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S150でYES)、当該システムでの排ガスの監視を終了する(A:図2でEND)。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5によれば、ガス分析計51の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段52を構成しているので、排ガス中のNOXが脱硝装置2で完全に除去されたとしてもその除去に影響を受けることなく、ガス分析計51が排気路1から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスの監視の信頼性を高めることができる。また、該排ガス監視システム5は、判断手段52によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されると告知手段53が異常である旨を告知するように構成されているので、オペレータが告知手段53の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0073】
その上、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定した設定範囲内であるか否かを判断するように判断手段52を構成し、判断手段52によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに告知手段53が異常である旨を告知するように構成したので、分析結果を変動させるようなトラブル(例えば、ガス分析計51の故障等)についても告知手段53の告知によって把握することができる。これによっても、トラブルを解消するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0074】
次に、本発明の第二実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システムについて説明する。なお、なお、本実施形態において、第一実施形態で説明した構成と同一又はそれに相当する構成については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と相違する点について説明する。
【0075】
本実施形態に係る排ガス監視システム5が採用される火力発電所は、図4に示す如く、第一実施形態と同様に、発電機(図示しない)、ボイラ(図示しない)、排気路1、集塵装置3を備えており、脱硝装置2に代えて排気路1上に脱硫装置4が設けられている。
【0076】
すなわち、本実施形態に係る火力発電所は、ボイラの燃料として硫黄(S)成分を多く含み、且つ燃焼時にNOXが環境基準値よりも高い濃度で発生することのないもの(例えば、原油等)が採用されている。そのため、本実施形態に係る火力発電所は、発生するNOXの濃度が環境基準値よりも高くなることがないことから、脱硝装置2を設けることなくSOXの除去を行う脱硫装置4のみが設けられている。なお、本実施形態に係るボイラも、第一実施形態と同様に、実働に入る前に予備燃焼を行うようになっている。
【0077】
前記脱硫装置4は、ボイラからの排ガスが煙突11に向けて流通できるように排気路1上に設けられている。すなわち、該脱硫装置4は、ボイラに接続されたダクト10と、煙突11に接続されたダクト10との間に介設されている。そして、本実施形態に係る脱硫装置4は、流通する排ガスに石灰石(水と石灰石とを混合したスラリー)を吹き付けることで、排ガス中のSOXと石灰と反応させて亜硫酸カルシウムにし、これを酸素と反応させて副産物としての石膏として取り出すようになっている。
【0078】
本実施形態の対象となる火力発電所は概ね以上の構成からなり、次に、排ガス監視システムについて説明すると、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、第一実施形態と同様に、排気路1から分岐するサンプリングパイプ50を介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計51と、該ガス分析計51の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段52と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段53とを備える。なお、本実施形態に係る火力発電所は、排ガス監視システム5のガス分析計51の他に、脱硫装置4の能力(SOXの除去能力)を確認すべく、ボイラと脱硫装置4との間(脱硝装置2の前段)、排ガス監視システム5のサンプリングパイプ50と脱硝装置2との間(脱硝装置2の後段)から分岐した分岐管100を介して排気路1から排ガスをサンプリングしてSOXの濃度分析を行う濃度分析計110が別途設けられている。
【0079】
該排ガス監視システム5は、脱硫装置4の後段の排気路1から分岐したサンプリングパイプ50を介して排ガスをサンプリングし、サンプリングパイプ50の分岐位置の前段にある脱硫装置4によって脱硫された排ガス、すなわち大気放出される直前の排ガスの濃度分析を行えるようになっている。
【0080】
本実施形態に係るガス分析計51は、第一実施形態と同様のものが採用され、排気路1(ダクト10)から分岐したサンプリングパイプ50に接続されるガス採取部51aと、該ガス採取部51aから取り込まれた排ガスの濃度分析を行う分析部51bとを備えている。これにより、本実施形態においても、分析部51bの濃度分析によって排ガス中のNOXの濃度及びSOXの濃度が得られるようになっている。なお、本実施形態に係るガス分析計51においても、NOXの濃度をO2(4%)換算値にするためにO2の濃度分析も行えるようになっている。
【0081】
前記判断手段52は、第一実施形態と同様に、演算処理装置で構成され、記憶装置には、上述の判断の基準として、NOXの濃度の環境基準値、SOXの濃度の環境基準値が記憶されている。そして、該判断手段52は、前記ガス分析計51の分析結果と、記憶装置に記憶させた環境基準値とを比較し、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断するようになっている。なお、本実施形態において、ボイラで燃焼させる燃料にNOXを発生させる成分の少ないものが採用されているため、通常、NOXの濃度が環境基準値よりも高くなることはないが、排ガスを大気放出するに当たって確認的にNOXの濃度についても環境基準値よりも高いか否かを判断している。
【0082】
また、該判断手段52の記憶装置には、該火力発電所の正常運転時に排出されるNOXの濃度及びSOX濃度が標準値として記憶されている。すなわち、NOXについては、ボイラが正常に作動しているときの標準的な濃度が標準値として記憶され、SOXについては、ボイラ及び脱硫装置4が正常に作動しているときの標準的な濃度が標準値として記憶されている。なお、NOX及びSOXの標準値は、NOX及びSOXの濃度として、それぞれに一つの値を設定してもよいが、多少の変動を考慮し、NOX及びSOXのそれぞれに所定範囲の濃度を設定してもよい。但し、何れの場合も、NOX及びSOXの標準値は、環境基準値以下の値であることは勿論のことである。
【0083】
そして、該判断手段52は、前記ガス分析計51の分析結果と、記憶装置に記憶させた標準値とを比較し、NOX又はSOXの何れか一方の濃度が、標準値よりも低いか否かについても判断するようになっている。かかる判断は、ガス分析計51が適正に排ガス(NOX及びSOX)の濃度を分析しているか否かを判断するために行われる。
【0084】
具体的には、例えば、サンプリングパイプ50が排気路1から外れていたり、サンプリングパイプ50が欠損していたりすると、サンプリングパイプ50内に外気が流入して排ガスが希釈されてしまい、ガス分析計51の分析結果は、排気路1を通過する実際の排ガス中のNOXやSOXの濃度より低いものとなる。また、サンプリングパイプ50内が閉塞している場合、排気路1内の排ガスがガス採取部51aにまで到達しないため、この場合も、ガス分析計51の分析結果は、排気路1を通過する実際の排ガス中のNOXやSOXの濃度より低いものとなる。
【0085】
そうすると、排気路1を流通する排ガスのNOXやSOXの濃度が環境基準値よりも高くても、上述のような分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断すると、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも低いと判断され、環境基準を満たさない排ガスが大気放出され続ける可能性がある。
【0086】
そこで、本実施形態においては、火力発電所が正常に運転しているときのNOXの濃度(正常運転時に排出されるべきNOXの濃度)を標準値として設定し、ガス分析計51の分析結果が標準値よりも低い場合には、外部から外気が流入している(サンプリングパイプ50の脱落や欠損)、或いは、ガス採取部51aに排ガスが到達していない(サンプリングパイプ50の閉塞)といったトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0087】
また、本実施形態に係る火力発電所は、脱硫装置4を備えているが、かかる脱硫装置4での脱硫が排ガスと石灰石との反応によって行われるもので、SOXの濃度によって多少異なるがSOXが概ね90〜95%除去される、すなわち、SOXが完全に除去されることがないため、上述の如くSOXについても正常運転時の標準値を設定し、ガス分析計51の分析結果が標準値よりも低い場合には、外部から外気が流入している(サンプリングパイプ50の脱落や欠損)、或いは、ガス採取部51aに排ガスが到達していない(サンプリングパイプ50の閉塞)といったトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0088】
さらに、本実施形態においても、該判断手段52は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定範囲内であるか否かを判断するようにも構成されており、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動(分析結果)が設定範囲外である場合に、ガス分析計51にトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0089】
本実施形態に係る告知手段53は、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常を告知する他に、ガス分析計51の分析結果が標準値よりも低いと判断手段52に判断されたときに、異常を告知するようにもなっている。さらに、本実施形態に係る告知手段53は、NOX、SOX及びO2の濃度の変動が設定範囲外であると判断手段52に判断されたときにも、異常を告知するようになっている。
【0090】
すなわち、本実施形態に係る告知手段53は、NOX又はSOXの濃度の異常と、当該排ガス監視システム5の異常とを告知するようになっており、判断手段52による各判断に対応した内容を告知するようになっている。
【0091】
本実施形態に係る排ガス監視システムは、以上の構成からなり、次に火力発電所での排ガスの監視(該システムの作動)について説明する。なお、基本的な作動は、第一実施形態の作動と同様であり、また、排ガス監視システムに5による排ガスの監視では、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かの判断(排ガス監視制御(1):図2のS30)、ガス分析計51の動作不良の判断(排ガス監視制御(1):図2のS30)についての基準や手順が第一実施形態と同様であるので、図2、図3(a)及び図3(c)を参照してこれらの処理についての説明を割愛し、以下において、図2のS30におけるガス分析計51への排ガスの導入不良の判断(排ガス監視制御(2))についてのみ説明する。
【0092】
図5に示す如く、排ガス監視制御(2)が開始すると、図3(a)及び図3(c)に示す排ガス監視制御(1),(3)と併行して、ガス分析計51の分析結果(NOX及びSOXの濃度)と記憶手段に記憶させた標準値とが判断手段52によって連続的(又は、所定時間毎)に比較され(S90’)、分析結果(NOX及びSOXの濃度)が標準値であると判断されると(S90’でNO)、当該排ガス監視制御(2)を終了するか否かを判断し、続行する場合には(S100’でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御(2)を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100’でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0093】
他方、判断手段52によってガス分析計51の分析結果(NOX又はSOXの少なくとも何れか一方の濃度)が標準値より低いと判断されると(S90’でYES)、告知手段53がガス分析計51に排ガスが適正に導入されていない旨を告知(警告)する(S110’)。この告知によってオペレータは、ガス分析計51に対して排ガスが導入されるように、サンプリングパイプ50の欠損や脱落の有無の確認等を行って適宜対応する。そして、その異常が解消したかどうかが判断され(S120’)、異常が解消されない場合(S120’でNO)には、告知手段53による告知が引き続き行われる。なお、この場合においても、異常が解消したか否かは、ガス分析計51の分析結果を基に、SOXの濃度が標準値になったか否かによって判断してもよいし、トラブルを解消するオペレータが異常を解消したか否かを指示することに基づくものであってもよい。
【0094】
そして、異常が解消した場合(S120’でYES)には、告知手段53による告知を終了した後(S130’)、当該排ガス監視制御(2)を終了するか否かを判断する(S100’)。そして、該排ガス監視制御(2)を続行する場合には(S100’でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100’でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0095】
以上のように、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5によれば、ガス分析計51の分析結果を基にNOX又はSOXの何れか一方の濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段52を構成しているので、ガス分析計51が排気路1から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができる。
【0096】
その上、判断手段52によってNOX又はSOXの何れか一方の濃度が標準値よりも低いと判断されると告知手段53が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段53の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0097】
また、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定した設定範囲内であるか否かを判断するように判断手段52を構成し、判断手段52によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに告知手段53が異常である旨を告知するように構成したので、分析結果を変動させるようなトラブル(例えば、ガス分析計51の故障等)についても告知手段53の告知によって把握することができる。これによっても、トラブルを解消するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0098】
次に、本発明の第三実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システムについて説明する。なお、本実施形態において、第一又は第二実施形態で説明した構成と同一又はそれに相当する構成については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、第一及び第二実施形態と相違する点について説明する。
【0099】
本実施形態に係る排ガス監視システム5が採用される火力発電所は、図6に示す如く、第一及び第二実施形態と同様に、発電機(図示しない)、ボイラ(図示しない)、排気路1、集塵装置3を備えており、第一実施形態で説明した脱硝装置2、及び第二実施形態で説明した脱硫装置4の両方が排気路1上に設けられている。
【0100】
すなわち、本実施形態に係る火力発電所は、ボイラの燃料として硫黄(S)成分を多く含み、且つ燃焼時にNOXが環境基準値よりも高い濃度で発生するもの(例えば、石炭)が採用されている。そのため、本実施形態に係る火力発電所は、ボイラの燃焼に伴って発生するNOXを除去する脱硝装置2、SOXの除去を行う脱硫装置4が設けられている。なお、本実施形態にかかるボイラも、第一及び第二実施形態と同様に、実働に入る前に予備燃焼を行うようになっている。
【0101】
本実施形態の対象となる火力発電所は概ね以上の構成からなり、次に、排ガス監視システムについて説明すると、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、第一及び第二実施形態と同様に、排気路1から分岐するサンプリングパイプ50を介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計51と、該ガス分析計51の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段52と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段53とを備える。
【0102】
なお、本実施形態に係る火力発電所についても、排ガス監視システム5のガス分析計51の他に、脱硝装置2の能力(NOXの除去能力)及び脱硫装置4の能力(SOXの除去能力)を確認すべく、排気路1から排ガスをサンプリングしてNOX及びSOXの濃度分析を行う濃度分析計110が別途設けられている。
【0103】
該排ガス監視システム5は、脱硝装置2及び脱硫装置4の後段の排気路1から分岐したサンプリングパイプ50を介して排ガスをサンプリングし、サンプリングパイプ50の分岐位置の前段にある脱硝装置2及び脱硫装置4によって脱硝・脱硫処理された排ガス、すなわち大気放出される直前の排ガスの濃度分析を行えるようになっている。
【0104】
本実施形態に係るガス分析計51は、第一及び第二実施形態と同様のものが採用され、NOXの濃度をO2(4%)換算値にするためにO2の濃度分析も行えるようになっている。
【0105】
前記判断手段52は、第一及び第二実施形態と同様に、演算処理装置で構成され、記憶装置には、上述の判断の基準として、NOXの濃度の環境基準値、SOXの濃度の環境基準値が記憶されている。そして、該判断手段52は、前記ガス分析計51の分析結果と、記憶装置に記憶させた環境基準とを比較し、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断するようになっている。
【0106】
また、本実施形態において、判断手段52の記憶装置には、該火力発電所の正常運転時に排出されるSOXの濃度が標準値として記憶されている。当然のことではあるが、かかるSOXの標準値は、上述した通り環境基準値よりも低い値である。
【0107】
そして、該判断手段52は、第一実施形態と同様に、前記ガス分析計51の分析結果と、記憶装置に記憶させた標準値とを比較してSOXの濃度が標準値よりも低いか否かを判断し、SOXの濃度が標準値よりも低いと判断したときに、ガス分析計51が適正に排ガス(NOX及びSOX)の濃度を分析していない、すなわち、サンプリングパイプ50の脱落や欠損等といった異常が発生していると判断するようになっている。
【0108】
具体的には、第一実施形態でも説明したが、脱硫装置4では、SOXを完全に除去することができず、排ガス中にSOXが残存する一方で、脱硝装置2では、NOXを完全に除去できるため、正常運転時に行う比較の基準(標準値)にNOXの濃度を採用すると、脱硝装置による脱硝によってNOXが完全に除去されたときに、異常が発生したとして誤認される可能性があるため、本実施形態においては、正常運転時に略定量的に排出され、且つ排出量がゼロになることのないSOXの標準的な濃度を標準値として設定し、該SOXの標準値と分析結果とを比較して異常の発生の有無を認識するようにしている。
【0109】
さらに、本実施形態においても、第一及び第二実施形態と同様に、判断手段52は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定範囲内であるか否かを判断するようにも構成されており、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動(分析結果)が設定範囲外である場合に、ガス分析計51にトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0110】
本実施形態に係る告知手段53は、第一実施形態と同様に、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断手段52が判断したときに異常を告知する他に、SOXの濃度が標準値よりも低いと判断手段52が判断したときにも異常を告知し、さらに、NOX、SOX及びO2の濃度の変動が設定範囲外であると判断手段52が判断したときにも、異常を告知するようになっている。
【0111】
本実施形態に係る排ガス監視システム5は、対象とする火力発電所の構成が異なるが、上述のように、NOX及びSOXが環境基準以下であるか否かの判断(排ガス監視制御(1))、ガス分析計51への排ガスの導入不良の判断(排ガス監視制御(2))、ガス分析計51の動作不良の判断の判断(排ガス監視制御(3))における基準(標準値の対象)や処理の手順が第一実施形態と同様である。従って、本実施形態に係る排ガス監視システム5の作動については、図2及び図3を参照してここでの説明は割愛する。
【0112】
以上のように、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5によれば、第一実施形態と同様に、ガス分析計51の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように判断手段52を構成しているので、排ガス中のNOXが脱硝装置2で完全に除去されたとしてもその除去に影響を受けることなく、ガス分析計51が排気路1から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスの監視の信頼性を高めることができる。
【0113】
また、判断手段52によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されると告知手段53が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段53の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0114】
その上、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定した設定範囲内であるか否かを判断するように判断手段52を構成し、判断手段52によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに告知手段53が異常である旨を告知するように構成したので、分析結果を変動させるようなトラブル(例えば、ガス分析計51の故障等)についても告知手段53の告知によって把握することができる。これによっても、トラブルを解消するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0115】
次に、本発明の第四実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システムについて説明する。なお、本実施形態において、第一乃至第三実施形態で説明した構成と同一又はそれに相当する構成については、同一名称及び同一符号を付して説明を割愛し、第一乃至第三実施形態と相違する点について説明する。
【0116】
本実施形態に係る排ガス監視システム5は、第一乃至第三実施形態の何れの火力発電所にも採用できるもので、ここでは、第三実施形態に係る火力発電所に適用した場合を一例にして説明する。
【0117】
かかる排ガス監視システム5は、第一乃至第三実施形態と同様に、排気路1から分岐するサンプリングパイプ50を介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計51と、該ガス分析計51の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段52と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段53とを備える。
【0118】
そして、本実施形態においても、ガス分析計51は、排ガス中のO2の濃度分析が可能なものが採用されている。本実施形態に係る判断手段52の記憶装置には、NOX及びSOXの環境基準値に加え、該火力発電所が正常に運転(ボイラ、排気路1上に設けられた装置(本実施形態においては脱硝装置2、脱硫装置4)が正常に作動)している状態で排気路1を流れる排ガス中に含まれるO2の濃度が標準値として記憶されている。なお、O2の標準値は、O2の濃度として一つの値を設定してもよいが、多少の変動を考慮し、所定範囲の濃度を設定してもよい。
【0119】
そして、該判断手段52は、第一乃至第三実施形態と同様に、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断し、さらに、ガス分析計51の分析結果(O2の濃度)と、記憶装置に記憶させた標準値とを比較し、O2の濃度が、標準値よりも高いか否かを判断するようになっている。
【0120】
すなわち、本実施形態に係る判断手段52は、火力発電所が正常に稼働している状態での排ガス中のO2の濃度が、ボイラの燃焼等によって外気よりも薄く、且つ略一定であり、例えば、サンプリングパイプ50内に外気が流入するとO2が増加することを前提に、O2の濃度が標準値よりも高いか否かを判断し、ガス分析計51が適正に排ガスを濃度分析しているか否か(分析部51bに排ガスが適正に導入されているか否か)を把握するようになっている。
【0121】
さらに、本実施形態においても、判断手段52は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定範囲内であるか否かを判断するようにも構成されており、NOX、SOXの及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動(分析結果)が設定範囲外である場合に、ガス分析計51にトラブルが発生していると判断するようになっている。
【0122】
本実施形態に係る告知手段53は、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断手段52が判断したときに異常を告知する他に、ガス分析計51の分析結果(O2の濃度)が標準値よりも高いと判断手段52が判断したときにも、異常を告知するようにもなっている。さらに、本実施形態に係る告知手段53は、NOX、SOX及びO2の濃度の変動が設定範囲外であると判断手段52が判断したときにも、異常を告知するようになっている。
【0123】
本実施形態に係る排ガス監視システムは、以上の構成からなり、次に火力発電所での排ガスの監視(該システムの作動)について説明する。なお、基本的な作動は、第一乃至第三実施形態の作動と同様であり、また、排ガス監視システムに5による排ガスの監視では、NOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かについての判断(排ガス監視制御(1):図2のS30)、ガス分析計51の動作不良の判断(排ガス監視制御(1):図2のS30)についての基準や手順が第一乃至第三実施形態と同様であるので、図2、図3(a)及び図3(c)を参照してこれらの処理についての説明を割愛し、以下において、図2のS30におけるガス分析計51への排ガスの導入不良の判断(排ガス監視制御(2))についてのみ説明する。
【0124】
図7に示す如く、排ガス監視制御(2)が開始すると、図3(a)及び図3(c)に示す排ガス監視制御(1),(3)と併行して、ガス分析計51による分析結果(O2の濃度)と記憶手段に記憶させた標準値とが判断手段52によって連続的(又は、所定時間毎)に比較され(S90’’)、分析結果(O2の濃度)が標準値であると判断されると(S90’’でNO)、当該排ガス監視制御(2)を終了するか否かを判断し、続行する場合には(S100’’でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御(2)を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100’’でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0125】
他方、判断手段52によってガス分析計51の分析結果(O2の濃度)が標準値よりも高いと判断されると(S90’’でYES)、告知手段53がガス分析計51に排ガスが適正に導入されていない旨を告知(警告)する(S110’’)。この告知によってオペレータは、ガス分析計51に対して排ガスが導入されるように、サンプリングパイプ50の欠損や脱落の有無の確認等を行って適宜対応する。そして、その異常が解消したかどうかが判断され(S120’’)、異常が解消されない場合(S120’’でNO)には、告知手段53による告知が引き続き行われる。なお、この場合においても、異常が解消したか否かは、ガス分析計51の分析結果を基に、O2の濃度が標準値になったか否かによって判断してもよいし、トラブルを解消するオペレータが異常を解消したか否かを指示することに基づくものであってもよい。
【0126】
そして、異常が解消した場合(S120’’でYES)には、告知手段53による告知を終了した後(S130’’)、当該排ガス監視制御(2)を終了するか否かを判断する(S100’’)。そして、該排ガス監視制御(2)を続行する場合には(S100’’でNO)、上述のように分析結果と標準値との比較が繰り返される一方、排ガス監視制御を終了すると判断した場合(例えば、発電を終了する場合)には(S100’’でYES)、当該システムでの排ガスの監視が終了する(A:図2でEND)。
【0127】
以上のように、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5によれば、ガス分析計51の分析結果を基にO2の濃度が正常運転時の標準値よりも高いか否かを判断するように判断手段52を構成しているので、ガス分析計51が排気路1から導入される排ガスを適正に分析しているか否かを把握することができ、排ガスの監視の信頼性を高めることができる。
【0128】
また、判断手段52によってO2の濃度が標準値よりも高いと判断されると告知手段53が異常である旨を告知するようにしているので、オペレータが告知手段53の告知によって異常に気付くことができる。これにより、異常を改善するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。特に、本実施形態に係る排ガス監視システム5は、排気路1上に脱硝装置2や脱硫装置4等が設けられるかどうかに拘わらず、各種火力発電所に適用でき、汎用性があるといったメリットもある。
【0129】
その上、本実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システム5は、ガス分析計51の経時的な分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定した設定範囲内であるか否かを判断するように判断手段52を構成し、判断手段52によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに告知手段53が異常である旨を告知するように構成したので、分析結果を変動させるようなトラブル(例えば、ガス分析計51の故障等)についても告知手段53の告知によって把握することができる。これによっても、トラブルを解消するための対応を迅速にとることができ、早期回復が可能である。
【0130】
尚、本発明の火力発電所の排ガス監視システムは、上記何れの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0131】
上記第一乃至第三実施形態において、排気路1上に設けられる装置(脱硝装置2、脱硫装置4)に対応させてNOX又はSOXに対する標準値を設定し、分析結果が標準値よりも低いか否かについて判断手段52で判断させるようにしたが、上述のように第四実施形態に係る排ガス監視システム5は、排気路1上に設けられる装置の種類に関係なく適用できるので、例えば、第一乃至第三実施形態の排ガス監視システム5に対して、第四実施形態に係る排ガス監視システム5を組み合わせるようにしてもよい。
【0132】
すなわち、第一乃至第三実施形態の排ガス監視システム5の判断手段52を、NOX、又はSOXの濃度が標準値よりも低いか否か判断できるように構成するとともに、O2の濃度が該O2の標準値よりも高いか否かを判断するように構成し、NOX、又はSOXの濃度が標準値よりも低い場合、又は、O2の濃度がO2の標準値より高い場合に、ガス検知計に排ガスが適正に導入されていない(トラブルが発生した)として、異常が発生した旨を告知手段53に告知させるようにしてもよい。
【0133】
上記第一乃至第四実施形態において、NOX、SOX、又はO2の濃度の変動が、設定範囲外であるときに、ガス分析計51に異常が発生していると判断し、その旨を告知手段53で告知するようにしたが、かかる構成は、必要に応じて設けるようにすればよい。但し、排ガス監視システム5の信頼性の向上を図るには、上記実施形態と同様にすることが好ましい。
【0134】
また、第一乃至第四実施形態において、NOX、SOX、O2の何れに対しても濃度の変動の有無を把握するように判断手段52を構成したが、これに限定されるものではなく、NOX、SOX、又はO2の少なくとも一つに対する濃度の変動を把握するようにしてもよい。このようにしても、ガス分析計51に導入されるガスを対象して判断するため、ガス分析計51の異常を把握することができる。但し、判断の対象となる成分の数を多くすれば、異常を発見するといった観点で信頼性を高めることができる。
【0135】
また、第一乃至第三実施形態において、NOX、SOX、又はO2の濃度の変動が、設定範囲外であるときに、ガス分析計51に異常が発生していると判断し、その旨を告知手段53で告知するようにしたが、これに限定されるものではなく、第一乃至第三実施形態に係る火力発電所においては、例えば、NOX、又はSOXの濃度の変動が、設定範囲外であるときに、ガス分析計51に異常が発生していると判断し、その旨を告知手段53で告知するようにしてもよい。すなわち、第一乃至第三実施形態において、基本となるNOX及びSOXについて濃度分析できるものを採用し、NOX及びSOXの濃度の変動を基に、ガス分析計51に異常が発生しているか否かを把握するようにしてもよい。このようにしても、ガス分析計51に導入されるNOX及びSOXを判断の基準とするので、ガス分析計51の異常の発生の有無を把握することができる。但し、O2の濃度の変動についても判断に対象とすれば、異常を発見するといった観点において信頼性を高めることができる。
【0136】
上記第一乃至第四実施形態において、NOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断するに際し、NOXの濃度をO2(4%)換算した値を環境基準値との比較の対象としたが、これに限定されるものではなく、例えば、NOXの濃度分析についてガス分析計51自体に信頼性がある場合には、ガス分析計51による分析結果(測定濃度)を環境基準値との比較の対象とするようにしてもよい。従って、第一乃至第三実施形態においては、ガス分析計51の異常の有無を判断するのにNOX又はSOXとし、NOXの分析結果を環境基準値との比較の対象とする場合には、ガス分析計51は、NOX及びSOXに対する分析ができればよい。
【0137】
上記第一、第三、及び第四実施形態において、排ガスとアンモニアとを混合して触媒反応させる脱硝装置2を採用したが、脱硝方法はこれに限定されるものではない。また、第二乃至第四実施形態において、排ガスにスラリー状にした石灰石を吹き付けることで脱硫を行う脱硫装置4を採用したが、脱硫においても当該方法に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第一実施形態に係る火力発電所、及び該火力発電所の排ガス監視システムの概略構成図を示す。
【図2】第一乃至第四実施形態に係る火力発電所の排ガス監視システムの概略処理フローを示す。
【図3】図2のS30のサブフローであって、(a)は、NOX及びSOXが環境基準値であるかどうかを判断する場合を示し、(b)は、ガス分析計への排ガスの導入不良を判断する場合を示し、(c)は、ガス分析計の不具合の有無を判断する場合を示す。第一実施形態にかかる火力発電所の排ガス監視システムの概略処理フローを示す。
【図4】本発明の第二実施形態に係る火力発電所、及び該火力発電所の排ガス監視システムの概略構成図を示す。
【図5】第二実施形態に係る排ガス監視システムにおける排ガス監視制御(図2のS30)のサブフローであって、ガス分析計への排ガスの導入不良を判断する場合を示す。
【図6】本発明の第三及び第四実施形態に係る火力発電所、及び該火力発電所の排ガス監視システムの概略構成図を示す。
【図7】第四実施形態に係る排ガス監視システムにおける排ガス監視制御(図2のS30)のサブフローであって、ガス分析計への排ガスの導入不良を判断する場合を示す。
【符号の説明】
【0139】
1…排気路、2…脱硝装置、3…集塵装置、4…脱硫装置、5…排ガス監視システム、10…ダクト、11…煙突、50…サンプリングパイプ、51…ガス分析計、51a…ガス採取部、51b…分析部、52…判断手段、53…告知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする火力発電所の排ガス監視システム。
【請求項2】
ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硫装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX又はSOXの少なくとも何れか一方の濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする火力発電所の排ガス監視システム。
【請求項3】
ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置及び脱硫装置が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にSOXの濃度が環境基準値以下に設定された正常運転時の標準値よりも低いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってSOXの濃度が標準値よりも低いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする火力発電所の排ガス監視システム。
【請求項4】
前記判断手段は、前記ガス分析計の分析結果を基に、NOX、及びSOXの少なくとも何れか一方の濃度の変動が予め設定された設定範囲内にあるか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX、及びSOXの少なくとも何れか一方の濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに異常である旨を告知するように構成されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の火力発電所の排ガス監視システム。
【請求項5】
ボイラの燃焼に伴って発生する排ガスを大気放出させるための排気路から分岐するサンプリングパイプを介して導入される排ガス中のNOX及びSOXについて濃度分析するガス分析計と、該ガス分析計の分析結果を基にNOX及びSOXの濃度が環境基準値よりも高いか否かを判断する判断手段と、NOX又はSOXの濃度が環境基準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知する告知手段とを備え、サンプリングパイプの分岐位置に対して前段の排気路上に脱硝装置及び脱硫装置の少なくとも何れか一方が設けられた火力発電所の排ガス監視システムにおいて、前記ガス分析計は、排ガス中のO2について濃度分析可能に構成され、前記判断手段は、ガス分析計の分析結果を基にO2の濃度が正常運転時の標準値よりも高いか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってO2の濃度が標準値よりも高いと判断されたときに異常である旨を告知するように構成されていることを特徴とする火力発電所の排ガス監視システム。
【請求項6】
判断手段は、前記ガス分析計の分析結果を基に、NOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が予め設定された設定範囲内にあるか否かを判断するように構成され、告知手段は、判断手段によってNOX、SOX及びO2の少なくとも何れか一つの濃度の変動が設定範囲外であると判断されたときに異常である旨を告知するように構成されている請求項5に記載の火力発電所の排ガス監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−89553(P2008−89553A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274108(P2006−274108)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】