説明

火災警報器

【課題】防虫剤を用いずにメンテナンスフリーとし、また、複数種の虫に対し虫除け可能な火災警報器を提供する。
【解決手段】火災を検出して火災検出信号を出力する火災判定部40と、火災警報音として使用される周波数帯域の警報音信号及び虫が嫌う周波数帯域の防虫音信号を出力する発振部44と、虫除け機能の有無を選択する虫除け選択スイッチ48と、虫除け機能を選択した際に発振部44から防虫音信号を出力させ、火災検出信号が出力された際には発振部44から警報音信号を出力させる音響制御部42と、防虫音信号又は警報音信号を増幅して音響出力する音響出力部56とを備え、発振部は、虫の種類に応じて異なる周波数帯域を持つ複数種の防虫音信号を予め設定し、音響制御部は、虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、複数種の防虫信号を時間的にランダムに切り替えて発振部から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を検出して警報を出力すると共に虫除け機能を有する火災警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災警報器は、室温が異常に高温になったとき、または室内の煙濃度が所定値を超えたとき等に火災が発生したと判断する火災検出部を備え、火災発生時に警報音声と共に表示灯を点滅させ、火災が発生したことを周囲に通知する警報機能を備えている。
【0003】
また、揮発性物質である防虫シート上の防虫剤を放散させる方式の虫除け機能付の火災警報器も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−293306号公報
【特許文献2】特開平8−16939号公報
【特許文献3】特開平11−132843号公報
【特許文献4】特開平4−169145号公報
【特許文献5】特開2003−304797号公報
【特許文献6】特開平5−113222号公報
【特許文献7】特開2003−14267号公報
【特許文献8】特開平11−325686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような火災警報器は、防虫剤が放散して虫除けの効果がなくなってしまった場合には、新しい防虫シートへの交換作業が必要でありメンテナンスに手間がかかってしまう。
【0006】
しかも、防虫シートの交換作業は火災警報器が設置されている高所での作業となり、たとえ火災警報器を設置場所から取り外してから防虫シートの交換作業ができたとしても、火災警報器を取り外す作業は高所での作業であることには代わりなく、高齢者や身体的弱者にとっては困難で危険な作業となる。
【0007】
また、防虫剤を使用する方式では特定の種類の虫に対して虫除け効果は期待できるが、同時に異なる複数種の虫に対しての虫除けを行うことは難しい。
【0008】
本発明は、防虫剤を用いずにメンテナンスフリーとし、また、複数種の虫に対し虫除け可能な火災警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。まず本発明の火災警報器は、火災を検出して火災検出信号を出力する火災判定部と、火災警報音として使用される周波数帯域の警報音信号及び虫が嫌う周波数帯域の防虫音信号を出力する発振部と、虫除け機能の有無を選択する虫除け選択スイッチと、虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に発振部から防虫音信号を出力させ、火災判定部が火災検出信号を出力した際には発振部から警報音信号を出力させる音響制御部と、発振部から出力された防虫音信号又は警報音信号を増幅して音響出力する音響出力部とを備える。ここで発振部は、虫の種類に応じて異なる周波数帯域を持つ複数種の防虫音信号を予め設定し、音響制御部は、虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、複数種の防虫信号を時間的にランダムに切り替えて発振部から出力させる。
【0010】
また発振部は、警報音信号及び防虫音信号のそれぞれ対応した音源データをメモリに予め記憶し、メモリから音源データを繰り返し読み出してDA変換することにより警報音信号又は防虫音信号を出力する。
【0011】
また音響制御部は、発振部から防虫音信号の出力中に火災判定部が火災検出信号を出力した際には、防虫音信号の出力を停止して警報音信号の出力に切り替える。
【0012】
本発明の火災警報器は、更に、人の存在を検出して人体検出信号を出力する人体検出部を備え、音響制御部は、人体検出部が人体検出信号を出力した際には防虫音信号から人間の可聴周波数帯域をカットする。
【0013】
音響制御部は、虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、複数種の防虫信号を出力順番及び/又は出力時間に関しランダムに切り替えて発振部から出力させる。
【0014】
発振部は、複数種の防虫信号を含む周波数帯域で周波数を連続的に変化させた周波数スイープの防虫音信号を予め設定し、音響制御部は、虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、周波数スイープの防虫音信号を繰り返して発振部から出力させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の火災警報器は、防虫剤を用いずに電子回路による防虫音のみを使用することで、防虫剤を使用した場合に発生する防虫シートの交換作業が不要になる。
【0016】
また、防虫音の出力中に火災を検出した際には、防虫音の出力を停止して警報音の出力に切り替えることで、簡素な構造で火災警報器と虫除け器の両機能を実現できる。
【0017】
本発明の火災警報器は、人の存在を検出した際には、出力中の防虫音から人間の可聴周波数帯域をカットすることで耳障りとならず、人に不快感を与えないで虫除けの機能を使用できる。
【0018】
また、虫の種類に応じて異なる周波数帯域を持つ複数種の防虫音をランダムに切り替えて出力することで、複数種の虫に対して虫除け効果を発揮できる。
【0019】
火災警報器が検煙部を備えた場合は、検煙部の防虫も合わせて行うことで従来備わっていた防虫網や防虫シートが不要になり、検煙部の構造を簡素化できる。更に、防虫網の清掃あるいは防虫シートの交換という作業が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による火災警報器の実施形態の外観を示した説明図
【図2】本発明による火災警報器の実施形態の回路構成を示したブロック図
【図3】図2に示す発振部が出力する防虫音信号の作成方法を示す説明図
【図4】本発明による火災警報器の実施形態の処理手順を示すフローチャート
【図5】本発明による火災警報器の他の実施形態の回路構成を示したブロック図
【図6】本発明による火災警報器の他の実施形態の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明による火災警報器の実施形態の外観を示した説明図であり、図1(A)は設置された状態を示す正面図であり、図1(B)はその斜視図である。
【0022】
火災警報器10は、本体12とカバー14で構成され、本体12の上部に位置する取り付け部16で住宅内の任意の部屋の壁面に取り付けられる。カバー14は中央部が皿状に突出しており、その周囲に煙流入口18を開口している。
【0023】
煙流入口18を備えたカバー14の内部には、図示しない煙チャンバーが組み込まれており、煙流入口18を通して火災による煙をチャンバー内に流入し、発光素子と受光素子を備えた散乱光式の検煙部により火災による煙を検出している。
【0024】
カバー14の皿状突出部の中央には人体検出用の赤外線検出素子の防護カバーを兼ねた赤外線透過フィルター20を備える。
【0025】
カバー14の左下側には音響孔22が設けられ、音響孔22に対応した内部には音響出力用のスピーカが収納されている。カバー14の右下側には警報表示灯24が設けられ、音響孔22と警報表示灯24の間にはU字型の切り抜きにより片持ち支持された警報停止ボタン26が形成され、警報停止ボタン26の内部には警報停止に使用する警報停止スイッチが組み込まれている。
【0026】
カバー14の左上側には虫除け表示灯28が設けられている。音響孔22と虫除け表示灯28の間にはU字型の切り抜きにより片持ち支持された虫除け選択ボタン30が形成され、虫除け選択ボタン30の内部には虫除け機能の選択に使用する虫除け選択スイッチが組み込まれている。
【0027】
図2は本発明による火災警報器の実施形態の回路構成を示したブロック図である。図2において、本発明の火災警報器10は、電池32、ノイズ吸収部34、警報停止スイッチ36、制御部38、虫除け選択スイッチ48、検煙部50、音響出力部56、警報表示灯部62、虫除け表示灯部64、人体検出部66及び電圧低下検出部68で構成される。
【0028】
電池32は火災警報器10の電源を供給し、ノイズ吸収部34は電池32から供給される回路電圧の安定化を図る。制御部38は、火災判定部40、音響制御部42、発振部44及びメモリ46を備え、プログラムの実行により所定のタイミングで火災判定及び人体検出判定を行う。
【0029】
更に制御部38は、警報表示灯部62及び虫除け表示灯部64の点灯制御、警報停止スイッチ36による警報停止、虫除け選択スイッチ48による虫除け機能の選択、電圧低下検出部68による電源電圧の監視などを行う。
【0030】
火災判定部40による火災の検出は煙検出でも熱検出でも構わないが、本実施形態では煙検出を例にとっている。検煙部50は発光素子52と受光素子54を備え、煙の検出は周期的に、例えば10秒周期で行われ、制御部38からのパルス信号により発光素子52、例えば赤外線発光ダイオードに電流を流して発光させ、赤外線発光ダイオードの駆動で照射された光が煙により反射した散乱光を受光素子54、例えばフォトダイオードに入射して光電流に変換し、更に電圧信号に変換して火災判定部40に出力する。
【0031】
火災判定部40は、周期的に検煙部50の受光素子54からの信号レベルを取得して火災を判定するが、誤報を防止するために2回連続して火災を判定した場合に警報を出力し、その後2回連続して火災を判定しなければ警報を停止する。
【0032】
人体の検出も周期的に行われ、人体検出部66は赤外検出素子を備え、例えば10秒周期で赤外線検出素子の出力レベルを取得して人体の存在有無を判定する。なお、煙の検出周期及び人体の検出周期は10秒である必要はない。
【0033】
発振部44は、メモリ46が予め記憶している警報音信号及び防虫音信号のそれぞれに対応した音源データを繰り返し読み出してDA変換し音響出力部56に出力する。
【0034】
また発振部44は、虫の種類に応じて異なる周波数帯域を持つ複数種の防虫音信号を予め設定し、音響制御部42は複数種の防虫音信号を例えば図3に示すように時間的にランダムに切り替えて発振部44から出力させる。
【0035】
本実施形態において発振部44は、メモリ46に所定の周波数帯域をもった所定の長さの音源データを予め記憶し、これを繰り返し読出してDA変換して出力する。
【0036】
音源データは、例えば複数の発振器の合成信号や周波数シンセサイザーの出力信号から作られ、必要な周波数帯域の周波数をf1〜f2とし、所定の周波数をΔfずつ変化させた周波数f1、f1+Δf、f1+2Δf、・・・・、f1+nΔf、f2を発生してAD変換した一定長のデータを生成し、これを加算合成したデータを音源データとする。この場合はΔfの大きさで分解能が決まる。
【0037】
また、発振部44を単一周波数を発振する発振器とした場合は、周波数をf1〜f2の範囲で周波数を連続的に変化させた周波数スイープデータを音源データとし、これを繰り返し発生すれば実質的に必要な周波数帯域を発生したと同じになる。
【0038】
図3の例では、発振部44が出力する防虫音信号を、蚊の嫌がる周波数帯信号、ハエの嫌がる周波数帯信号、アリの嫌がる周波数帯信号及びゴキブリの嫌がる周波数帯信号の4種類として、その出力順番及び出力時間に関しランダムに切り替える様子を示している。
【0039】
各周波数帯域の時間幅はそれぞれの虫に応じて予め設定されており、同じ時間幅である必要はない。また、虫の種類及び作成する周波数帯域信号の数もこれに限定されない。
【0040】
更に、出力する防虫音信号をその出力順番及び出力時間に関しランダムに切り替えず、所定の出力順番と所定の出力時間を繰り返してもかまわない。また、出力順番は変えずに出力時間のみをランダムに切り替えても、出力時間は変えずに順番のみをランダムに切り替えてもかまわない。
【0041】
再び図2を参照し、音響制御部42は、虫除け選択スイッチ48で虫除け機能を選択した際に、発振部44から防虫音信号を出力させ、火災判定部40で火災を検出した際には発振部44から警報音信号を出力させる。
【0042】
ここで音響制御部42は、発振部44から防虫音信号の出力中に火災判定部で火災を検出した際には、防虫音信号の出力を停止して警報音信号の出力に切り替える。音響出力部56は、発振部44から防虫音信号又は警報音信号としてアナログ信号の出力を受けると、増幅部58で増幅した音響をスピーカ60で出力する。
【0043】
音響出力部56は、概ね1〜45kHzの周波数帯域の警報音信号及び防虫音信号を音響出力するが、通常このような広帯域では単一スピーカでの変換は困難である。したがって、帯域分割し音響振動子(スピーカ)と超音波振動子を別々に設ける方が好ましい。
【0044】
警報表示灯部62は、火災判定部40が火災を判定した際の出力を受けて、図1に示すLED等の警報表示灯24を所定の周期で点滅させる。
【0045】
警報停止スイッチ36は、図1に示す警報停止ボタン26の押圧により作動し、警報停止スイッチ36が作動すると制御部38は所定時間、例えば6分間、音響出力部56による警報音の出力及び警報表示灯部62による警報表示灯24の発光を停止する。
【0046】
虫除け選択スイッチ48は、図1に示す虫除け選択ボタン30の押圧により作動し、発振部44から防虫音信号を出力させ、音響出力部56のスピーカ60から防虫音を出力することで虫除け機能が働く。虫除け表示灯部64は、虫除け選択スイッチ48で虫除け機能を選択した際に、図1に示すLED等の虫除け表示灯28を点灯させる。
【0047】
電圧低下検出部68は電源電圧を監視し、検出した電圧が所定の電圧以下に低下すると、制御部38は警報表示灯24を所定の周期で点滅させ、またスピーカ60から所定の周期、例えば40秒周期で警告音を鳴動させる。
【0048】
図4は、本発明による火災警報器の実施形態の処理手順を示すフローチャートである。まず、火災警報器10の電源が投入されると制御部38において処理が開始され、ステップS1で検煙部50の発光素子52を所定の周期、例えば10秒周期で発光駆動し、受光素子54は発光素子52の駆動で照射された光が煙により反射した散乱光を受光素子54に入射して受光信号を火災判定部40に出力する。
【0049】
続いて、ステップS2で人体検出部66の赤外線検出素子の出力レベルに基づく人体検出情報を所定の周期、例えば10秒周期で音響制御部42に出力する。
【0050】
次に、ステップS3で火災検出、人体検出、虫除け機能の選択、音響信号等のパラメータの初期化を行い、防虫音信号を発振部44から音響出力部56に出力する。
【0051】
音響制御部42は、ステップS4で虫除け選択スイッチ48により虫除け機能が選択されているか否かを判定し、虫除け機能が選択されていない場合は、ステップS8で音響出力部56から検煙部50の防虫を行う低レベルの音圧で防虫音を音響出力する。
【0052】
音響制御部42は、ステップS4で虫除け機能が選択されている場合には、更にステップS5で人体検出部66が人の存在を検出したか否かを判定し、人の存在を検出しない場合は、ステップS7で音響出力部56から虫除け機能として効力のある高レベルの音圧で防虫音を音響出力する。
【0053】
音響制御部42は、ステップS5で人の存在を検出した場合は、発振部44から出力される防虫音信号から人間の可聴周波数帯域を、例えばハイパスフィルタでカットし、ステップS7で音響出力部56から虫除け機能として効力のある高レベルの音圧で防虫音を音響出力する。
【0054】
次に火災判定部40は、ステップS9で検煙部50の受光素子54から受けた受光信号の信号レベルを取得し、ステップS10で信号レベルを基に煙の検出があったか否かを判定し、煙の検出を判定した場合、すなわち火災を検出するとステップS11に進む。
【0055】
音響制御部42はステップ11で発振部44から音響出力部56に出力されている防虫音信号を停止し、ステップS12で発振部44から警報音信号を音響出力部56に出力することで、音響出力部56からの音響出力は防虫音から警報音に切り替わる。
【0056】
音響出力部56のスピーカ60から警報音が出力された後、音響制御部42はステップS13で警報停止スイッチ36を操作し警報停止指示がされているか否かを判定し、警報停止指示があった場合はステップS14に進み警報を停止し、更にステップS15で処理の停止指示があるか否かを判定し、処理停止指示があれば処理を停止する。
【0057】
ステップ13で警報停止指示がなかった場合、及びステップ15で処理停止指示がなかった場合はステップS9に戻り、検煙部50の受光素子54から受けた受光信号の信号レベルを取得し、ステップS10で信号レベルを基に煙の検出があったか否かを判定し、火災を検出しない場合はステップS3に戻り、パラメータの初期化を行うことで警報音の出力が停止する。
【0058】
図5は本発明による火災警報器の他の実施形態として、火災による熱を検出する検熱部を備えた方式の回路構成を示したブロック図であり、図2に示す本発明による火災警報器の実施形態の検煙部50が感熱素子72、例えばサーミスタを備えた検熱部70に変更された以外は同じ構成である。
【0059】
図6は、図5に示す本発明による火災警報器の他の実施形態の処理手順を示したフローチャートである。
【0060】
まず、火災警報器10の電源が投入されると制御部38において処理が開始され、ステップS1で検熱部70の感熱素子72を所定の周期、例えば10秒周期で検出駆動し、感熱信号を火災判定部38に出力する。
【0061】
続いて、ステップS2で人体検出部66の赤外線検出素子の出力レベルに基づく人体検出情報を所定の周期、例えば10秒周期で音響制御部42に出力する。
【0062】
次に、ステップS3で火災検出、人体検出、虫除け機能の選択、音響信号等のパラメータの初期化を行い、防虫音信号を発振部44から音響出力部56に出力する。
【0063】
音響制御部42は、ステップS4で虫除け選択スイッチ48により虫除け機能が選択されているか否かを判定し、虫除け機能が選択されていない場合には防虫音を出しない。
【0064】
音響制御部42は、ステップS4で虫除け機能が選択されている場合は、更にステップS5で人体検出部66が人の存在を検出したか否かを判定し、人の存在を検出しない場合は、ステップS7で音響出力部56から虫除け機能として効力のある適切なレベルの音圧で防虫音を音響出力する。
【0065】
音響制御部42は、ステップS5で人の存在を検出した場合は、発振部44から出力される防虫音信号から人間の可聴周波数帯域を、例えばハイパスフィルタでカットし、ステップS7で音響出力部56から虫除け機能として効力のある適切なレベルの音圧で防虫音を音響出力する。
【0066】
次に火災判定部40は、ステップS8で検熱部70の感熱素子72から受けた感熱信号の信号レベルを取得し、ステップS9で信号レベルを基に熱の検出があったか否かを判定し、熱の検出を判定した場合、すなわち火災を検出するとステップS10に進む。
【0067】
音響制御部42はステップ10で発振部44から音響出力部56に出力されている防虫音信号を停止し、ステップS11で発振部44から警報音信号を音響出力部56に出力することで、音響出力部56からの音響出力は防虫音から警報音に切り替わる。
【0068】
音響出力部56のスピーカ60から警報音が出力された後、音響制御部42はステップS12で警報停止スイッチ36を操作し警報停止指示がされているか否かを判定し、警報停止指示があった場合はステップS13に進み警報を停止し、更にステップS14で処理の停止指示があるか否かを判定し、処理停止指示があれば処理を停止する。
【0069】
ステップ12で警報停止指示がなかった場合、及びステップ14で処理停止指示がなかった場合はステップS8に戻り、検熱部70の感熱素子72から受けた感熱信号の信号レベルを取得し、ステップS9で信号レベルを基に熱の検出があったか否かを判定し、火災を検出しない場合はステップS3に戻り、パラメータの初期化を行うことで警報音の出力が停止する。
【0070】
なお、本実施形態は電池駆動のため、常時防虫音を出力することで電池の寿命が短くなる問題がある。対策としては、音響出力部の電源を火災警報機能とは別に設け、火災警報器の寿命に影響しないようにしても良い。
【0071】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0072】
10:火災警報器
12:本体
14:カバー
16:取り付け部
18:煙流入口
20:赤外線透過フィルター
22:音響孔
24:警報表示灯
26:警報停止ボタン
28:虫除け表示灯
30:虫除け選択ボタン
32:電池
34:ノイズ吸収部
36:警報停止スイッチ
38:制御部
40:火災判定部
42:音響制御部
44:発振部
46:メモリ
48:虫除け選択スイッチ
50:検煙部
52:発光素子
54:受光素子
56:音響出力部
58:増幅部
60:スピーカ
62:警報表示灯部
64:虫除け表示灯部
66:人体検出部
68:電圧低下検出部
70:熱検出部
72:感熱素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検出して火災検出信号を出力する火災判定部と、
火災警報音として使用される周波数帯域の警報音信号及び虫が嫌う周波数帯域の防虫音信号を出力する発振部と、
虫除け機能の有無を選択する虫除け選択スイッチと、
前記虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に前記発振部から防虫音信号を出力させ、前記火災判定部が前記火災検出信号を出力した際には前記発振部から警報音信号を出力させる音響制御部と、
前記発振部から出力された防虫音信号又は警報音信号を増幅して音響出力する音響出力部と、
を備え、
前記発振部は、虫の種類に応じて異なる周波数帯域を持つ複数種の防虫音信号を予め設定し、
前記音響制御部は、前記虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、前記複数種の防虫信号を時間的にランダムに切り替えて前記発振部から出力させることを特徴とする火災警報器。
【請求項2】
請求項1記載の火災警報器に於いて、前記発振部は、前記警報音信号及び前記防虫音信号のそれぞれ対応した音源データをメモリに予め記憶し、前記メモリから音源データを繰り返し読み出してDA変換することにより前記警報音信号又は前記防虫音信号を出力することを特徴とする火災警報器。
【請求項3】
請求項1記載の火災警報器に於いて、前記音響制御部は、前記発振部から防虫音信号の出力中に前記火災判定部が前記火災検出信号を出力した際には、前記防虫音信号の出力を停止して前記警報音信号の出力に切り替えることを特徴とする火災警報器。
【請求項4】
請求項1記載の火災警報器に於いて、更に、人の存在を検出して人体検出信号を出力する人体検出部を備え、前記音響制御部は、前記人体検出部が前記人体検出信号を出力した際には前記防虫音信号から人間の可聴周波数帯域をカットすることを特徴とする火災警報器。
【請求項5】
請求項1記載の火災警報器に於いて、
前記音響制御部は、前記虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、前記複数種の防虫信号を出力順番及び/又は出力時間に関しランダムに切り替えて前記発振部から出力させることを特徴とする火災警報器。
【請求項6】
請求項1記載の火災警報器に於いて、
前記発振部は、前記複数種の防虫音信号を含む周波数帯域で周波数を連続的に変化させた周波数スイープの防虫音信号を予め設定し、
前記音響制御部は、前記虫除け選択スイッチで虫除け機能を選択した際に、前記周波数スイープの防虫音信号を繰り返して前記発振部から出力させることを特徴とする火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113729(P2012−113729A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22812(P2012−22812)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−118289(P2007−118289)の分割
【原出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】