説明

火災警報器

【課題】火災の検出精度を高めることができる火災警報器を提供する。
【解決手段】火災警報器1は、箱形の本体10と、本体10の一面と間隔をあけて平行に設けられた整流板30と、本体10の一面から整流板30に向かって突設された火災検知センサ21と、を有する火災警報器において、本体10の一面が、その下端に向かうにしたがって徐々に整流板30から離れる方向に傾斜された第1テーパ部111を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の室内等に設置され、その室内等において火災が発生したときに火災警報を行う火災警報器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の火災警報器は、その火災の検知手段によって大きく2つの種類に分けられる。一つは、検知手段として発光素子及び受光素子を備える光電式センサを用いた光電式火災警報器であり、もう一つは、検知手段としてサーミスタなどの熱検知素子を備える熱式センサを用いた熱式火災警報器である。
【0003】
光電式火災警報器は、煙式火災警報器とも呼ばれ、警報器が設置された空間の雰囲気に対しLED等の発光素子によって測定光を照射し、その雰囲気中に存在する煙(微小粒子)により拡散された拡散光を、直接又はプリズム等を介して、フォトダイオード等の受光素子により受光し、その雰囲気中に存在する煙の濃度に対応する受光量の高低に基づいて、その設置空間における火災の発生の有無を検出する火災警報器である。
【0004】
熱式火災警報器は、それが設置された空間の雰囲気の温度を、サーミスタなどの熱検知素子によって測定し、その測定した雰囲気の温度の高低に基づいて、その設置空間における火災の発生の有無を検出する熱式火災警報器である。
【0005】
光電式火災警報器は、火災初期に発生する煙を検知して火災発生を検出するので、早期の火災警報が可能であり、一方、熱式火災警報器は、火災によって生じた熱を検知して火災発生を検出するので、誤報が少なく確実な火災警報が可能である。
【0006】
いずれの種類の火災警報器も、それが設置された空間の雰囲気から火災を検知するものである。そして、本発明者らは、火災警報器が設置された空間の雰囲気を効率よく光電式センサに導くための火災警報器として、特許文献1に示す提案を行った。
【0007】
特許文献1の火災警報器131は、図5に示すように、箱形の本体133と、本体133の表面135に垂直に立設された取付用ボス136を介して、表面135と間隔をあけて平行に設けられた整流板139と、不図示の光電式センサを収容し表面135から整流板139に向かって突出して設けられた円筒状のハウジング137と、を備えている。ハウジング137はその周囲にスリットが設けられており、それに収容された光電式センサに雰囲気が到達するように形成されている。
【0008】
この火災警報器によれば、整流板139と本体133の表面135とによって、火災警報器131が設置された空間の雰囲気をハウジング137(即ち、光電式センサ)まで導く整流路140が形成されているので、この整流路140によって雰囲気をスムースに光電式センサへ導くことができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−149058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した火災警報器131は、それが設置される空間を形成する壁面の上部に取り付けられ、火災によって熱せられた雰囲気とともに上昇した煙を検知するものであるが、上昇してくる煙が火災警報器131の本体133の下側面133aに衝突し、その流動が乱れて煙が拡散してしまうので、雰囲気中の煙の濃度が薄まり、そのため、火災の検出が遅れてしまうことがあり、即ち、火災の検出精度が低いという問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、火災の検出精度を高めることができる火災警報器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、箱形の本体と、前記本体の一面と間隔をあけて平行に設けられた整流板と、前記本体の前記一面から前記整流板に向かって突設された火災検知センサと、を有する火災警報器において、前記本体の前記一面が、その下端に向かうにしたがって徐々に前記整流板から離れる方向に傾斜された第1テーパ部を有していることを特徴とする火災警報器である。
【0013】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記第1テーパ部の上端が、前記整流板の下端より上方に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記本体の前記一面が、その上端に向かうにしたがって徐々に前記整流板から離れる方向に傾斜された第2テーパ部を有し、そして、前記第2テーパ部の下端が、前記整流板の上端より下方に位置づけられていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、前記本体の前記一面が、前記第1テーパ部と前記第2テーパ部との間に設けられ且つ前記整流板に向かって凸の曲面に形成された湾曲部を有していることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記第1テーパ部が、前記湾曲部に滑らかに連続して設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記第2テーパ部が、前記湾曲部と滑らかに連続して設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載された発明において、前記第1テーパ部に火災の検出状態を示す表示部が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載された発明によれば、本体の一面に、その下端に向かって整流板から離れる方向に傾斜された第1テーパ部を有しているので、本体の下側面まで到達した雰囲気を、その流れを乱すことなく、第1テーパ部に沿って、本体の一面と整流板との間に形成される整流路に導くことができる。そのため、雰囲気を火災検知センサまで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0020】
請求項2に記載された発明によれば、第1テーパ部の上端が整流板の下端より上方に位置づけられているので、即ち、第1テーパ部が整流路内まで伸びているので、第1テーパ部に沿う雰囲気の流動を整流路内に確実に導くことができ、そのため、雰囲気を火災検知センサまで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0021】
請求項3に記載された発明によれば、本体の一面に、その上端に向かって整流板から離れる方向に傾斜された第2テーパ部を有しているので、警報器が設置される空間を形成する天井や壁面を伝って上方から本体の上側面まで到達した雰囲気を、その流れを乱すことなく、第2テーパ部に沿って上述した整流路に導くことができる。さらに、第2テーパ部の下端が整流板の上端より下方に位置づけられているので、即ち、第2テーパ部が整流路内まで伸びているので、第2テーパ部に沿う雰囲気の流動を整流路内に確実に導くことができ、そのため、雰囲気を火災検知センサまで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0022】
請求項4に記載された発明によれば、本体の一面が、第1テーパ部と第2テーパ部との間に設けられ且つ整流板に向かって凸の曲面に形成された湾曲部を有しているので、上述した整流路の奥に向かうにしたがって整流路が狭くなり、そのため、雰囲気の流動速度を高めることができるとともに、雰囲気の熱密度及び煙密度を高めることができる。よって、火災検知センサによる火災の検出感度を高めることができる。
【0023】
請求項5に記載された発明によれば、第1テーパ部が、湾曲部に滑らかに連続して設けられているので、下方から到達する雰囲気の流動をよりスムースにでき、そのため、火災検知センサによる火災の検出精度を高めることができる。
【0024】
請求項6に記載された発明によれば、第2テーパ部が、湾曲部上に滑らかに連続して設けられているので、上方から到達する雰囲気の流動をよりスムースにでき、そのため、火災検知センサによる火災の検出精度を高めることができる。
【0025】
請求項7に記載された発明によれば、第1テーパ部に火災の検出状態を示す表示部が設けられているので、火災警報器が高所に取り付けられたときに表示部を下方に向けて位置づけることができ、表示部を視認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態を示す光電式火災警報器の正面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図1の光電式火災警報器における雰囲気の流動を模式的に示した図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す熱式火災警報器の断面図である。
【図5】従来の光電式火災警報器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を示す光電式火災警報器を、図1、図2を参照して説明する。
【0028】
光電式火災警報器1(以下、警報器1)は、図1に示すように、本体10と、光電式センサ21と、整流板30と、センサハウジング40と、を備えている。
【0029】
本体10は、例えば、合成樹脂を材料として平面視略矩形状の箱形に形成されており、図2に示すように、カバー10aと、ベース10bと、によって前後二分割できるように構成されている。なお、本実施形態においては、本体が平面視略矩形状の箱形に形成されているものであったが、本発明における箱形とは、この形状に限定するものではなく、例えば、平面視楕円形状や多角形状など、内部に警報器に必要な部材を収容できる箱形であり、本発明の目的に反しないものであればその形状は任意である。
【0030】
図2に示すように、カバー10aは、縦断面(即ち、図1のX−X線に沿う方向の断面)が弧となるように、その表面11が滑らかな曲面状に形成されている。ベース10bは、縦断面が略コの字形状で、警報器1を屋内の壁面に安定して取り付けられるように、その裏面16が平面状に形成されている。カバー10aとベース10bとは、例えば、図示しないタップねじ及び該タップねじが螺合される固定用ボスなどの固定手段によって、互いが組み合わされた状態で固定される。
【0031】
カバー10aの表面(即ち、本体10の表面)11は、特許請求の範囲に記載した本体の一面に相当し、その上下方向における中央近傍に、本体10の外方向に向かって凸の曲面となるように形成された湾曲部113が設けられている。また、表面11には、湾曲部113の下端から表面11の下端11Aにかけて、徐々に裏面16に近づく方向になだらかに湾曲傾斜した第1テーパ部111と、湾曲部113の上端から表面11の上端11Bにかけて、徐々に裏面16に近づく方向になだらかに湾曲傾斜した第2テーパ部112と、が設けられている。第1テーパ部111と湾曲部113と第2テーパ部112とは、下方から上方に向けて順次連続して継ぎ目なく滑らかに設けられている。表面11には、整流板30を支持する4つの取付用ボス12が互いに間隔をあけて垂直に立設されている。
【0032】
本体10の内部には、センサ基板13とメイン基板14とが、本体10内面に突出して設けられた複数のリブ15によってそれぞれ固定されている。
【0033】
センサ基板13は、本体10の表面11直下に平行に配設されている。センサ基板13におけるカバー10a側の実装面には、光電式センサ21が該実装面に対して垂直に立設されている。
【0034】
光電式センサ21は、例えば、LEDなどの発光素子22と、発光素子22の光を受光するフォトセンサなどの受光素子23と、をそれぞれ先端に備え、受光素子23が受光した光量によってその出力電圧が変化する、周知の電子部品である。光電式センサ21は、本体10の湾曲部113に設けられた図示しない貫通孔から、光電式センサ21先端の発光素子22及び受光素子23が外方向に突出するように、センサ基板13に実装されている。
【0035】
メイン基板14は、本体10内部の中央付近にセンサ基板13と間隔をあけて平行に配設されている。メイン基板14には、光電式センサ21の周辺回路を構成する電子部品、光電式センサ21の出力を受信して火災発生を判断するとともに火災警報の制御を行うマイクロコンピュータなどが実装されている。また、メイン基板14には、後述する警報ランプ51、警報停止ボタン52、及び、警報ブザー53、それぞれを構成する図示しない電子部品が、第1テーパ部111に対応する箇所に実装されている。これら電子部品についても、上述したマイクロコンピュータに接続され、それら制御が行われる。
【0036】
整流板30は、本体10の表面11とともに整流路18を形成して、光電式センサ21まで雰囲気を導くとともにその流動を整えるための整流部材である。また、整流板30は、その内側(本体10の表面11に相対する面側)に配置された光電式センサや熱式センサ等の火災検知センサを保護したり、その外側(本体10の表面11に相対する面とは反対の面側)の面に装飾を施してデザイン性を向上させたりするものでもある。整流板30は、デザイン性を考慮して開口のない平板状に形成されており、例えば、その外側の面に、警報器1が取り付けられる壁面と同じ模様が施されている。
【0037】
整流板30は、本体10の表面11と間隔をあけて平行に位置づくように、取付用ボス11の先端に不図示のねじ等からなる固定部材を用いて固定されている。なお、本発明における平行とは、厳密な意味での平行に加えて、2つの面(平面はもちろんのこと曲面も含まれる)が概ね等距離を保って位置づけられている状態を含む。整流板30は、その下端30Aが第1テーパ部111の上端111Bより下方に位置づき、その上端30Bが第2テーパ部112の下端112Aより上方に位置づくように配設されている。換言すると、第1テーパ部111の上端111Bが、整流板30の下端30Aより上方に位置づけられ、第2テーパ部112の下端112Aが、整流板30の上端30Bより下方に位置づけられている。
【0038】
センサハウジング40は、本体10の湾曲部113に設けられた光電式センサ21の貫通孔の周囲を囲むように、湾曲部113から整流板30に向けて立設された円筒形状の保護部材である。センサハウジング40は、その外周面全周にわたってスリットが設けられており、該スリットには、外部の光がセンサハウジング40内へ到達することを防ぐとともに雰囲気を通過させるメッシュ部材が取り付けられている。センサハウジング40は、本体10の表面11と整流板30との間に位置づけられており、即ち、センサハウジング40は、整流板30に覆われている。
【0039】
表示操作部50は、警報器1の使用者に対して火災の検出状態を通知し、また、使用者による操作を入力するための部位であり、警報ランプ51と、警報停止ボタン52と、警報ブザー53と、を備えている。これらの表示操作部50を構成する部材は、第1テーパ部111上に配設されている。なお、表示操作部50が、特許請求の範囲に記載した表示部に相当する。
【0040】
警報ランプ51は、例えば、LEDなどの発光素子からなり、火災がないときは消灯し、火災発生を検出したときに作動(点灯又は点滅)し、警報器1の使用者に対して視覚的に火災を通知する通知手段である。警報ブザー53は、例えば、大音量が出力可能な圧電ブザー等からなり、警報ランプ51の作動に同期して警報音を鳴動し、警報器1の使用者に対して聴覚的に火災を通知する通知手段である。警報停止ボタン52は、それが押下されることにより警報ランプ51の作動及び警報ブザー53の鳴動を停止するための、円形の押しボタンスイッチである。
【0041】
次に、警報器1の概略動作について、図3を参照して説明する。図3は、警報器1における雰囲気の流動を模式的に示した図である。
【0042】
警報器1は、火災を検出する空間の壁面Wに取り付けられている。下方から警報器1まで上昇してきた雰囲気F1は、第1テーパ部111に沿って整流路18内に流れ込み、そして、整流路18によって光電式センサ21まで導かれる。また、壁面Wを伝って上方から警報器1まで下降してきた雰囲気F2は、第2テーパ部112に沿って整流路18内に流れ込み、そして、整流路18によって光電式センサ21まで導かれる。整流路18は光電式センサ21に近づくにしたがって徐々に高さ(整流板30と本体10の表面11との距離)が小さくされているので、流速及び煙密度が高められた雰囲気F1、F2が光電式センサに到達する。そして、光電式センサ21によって、雰囲気F1、F2に含まれる煙が所定の濃度を超えたことが検知されたとき、火災発生を示す警報ランプ51を点灯すると同時に、警報ブザー53を鳴動する。その後、警報停止ボタン52が押下されると、警報ランプ51を消灯し、警報ブザー53の鳴動を停止する。
【0043】
以上より、本発明によれば、本体10の表面11に、その下端11Aに向かって裏面16に近づく方向(即ち、整流板30から離れる方向)に傾斜された第1テーパ部111を有しているので、表面11の下端11Aまで到達した雰囲気を、その流れを乱すことなく、第1テーパ部111に沿って、本体10の表面11と整流板30とで形成される整流路18に導くことができる。そのため、雰囲気を光電式センサ21まで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0044】
また、第1テーパ部111の上端111Bが整流板30の下端30Aより上方に位置づけられているので、即ち、第1テーパ部111が整流路18内まで伸びているので、第1テーパ部111に沿う雰囲気の流動を整流路18内に確実に導くことができ、そのため、雰囲気を光電式センサ21まで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0045】
また、本体10の表面11に、その上端11Bに向かって裏面16に近づく方向(即ち、整流板30から離れる方向)に傾斜された第2テーパ部112を有しているので、警報器1が設置される空間を形成する天井や壁面を伝って上方から表面11の上端11Bまで到達した雰囲気を、その流れを乱すことなく、第2テーパ部112に沿って整流路18に導くことができる。さらに、第2テーパ部112の下端112Aが整流板30の上端30Bより下方に位置づけられているので、即ち、第2テーパ部112が整流路18内まで伸びているので、第2テーパ部112に沿う雰囲気の流動を整流路18内に確実に導くことができ、そのため、雰囲気を光電式センサ21まで確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。
【0046】
また、本体10の表面11が、本体10の外方向に向かって(即ち、整流板30に向かって)凸の曲面に形成された湾曲部113を有しているので、整流路18の奥(即ち、光電式センサ21が配設されている箇所)に向かうにしたがって整流路18の高さが狭くなり、そのため、雰囲気の流動速度を高めることができるとともに、雰囲気の煙密度を高めることができる。よって、光電式センサ21による火災の検出感度を高めることができる。
【0047】
また、第1テーパ部111が、湾曲部113に滑らかに連続して設けられているので、下方から到達する雰囲気の流動をよりスムースにでき、そのため、光電式センサ21による火災の検出精度を高めることができる。
【0048】
また、第2テーパ部112が、湾曲部113に滑らかに連続して設けられているので、上方から到達する雰囲気の流動をよりスムースにでき、そのため、光電式センサ21による火災の検出精度を高めることができる。
【0049】
また、第1テーパ部111に、火災の検出状態を示す表示操作部50が設けられているので、警報器1が高所に取り付けられたときに、表示操作部50を下方に向けて位置づけることができる。そのため、警報ランプ51の視認性を向上させることができ、警報ブザー53の鳴動音を聞こえやすくすることができ、さらに、警報停止ボタン52の操作性を向上させることができる。
【0050】
なお、本実施形態においては、火災検知センサとして光電式センサ21を備えるものであったが、これに限定するものではなく、図4に示すように、熱式センサ25を備えるものであっても良い。図4の熱式火災警報器2(以下、警報器2)は、本体10と、整流板30と、を備えており、上述した実施形態における光電式センサ21に替えて、熱式センサ25を備えるものである。熱式センサ25は、例えば、サーミスタなどの熱検知素子を備え、この熱検知素子が検知した温度によってその出力電圧が変化する、周知の電子部品である。また、整流板30が、熱式センサ25へ雰囲気を導く整流部材として機能するとともに、熱式センサ25を保護するプロテクタ(サーミスタガード)としても機能している。
【0051】
このように、光電式センサ21に替えて、熱式センサ25を備えることにより、例えば、警報器2に到達した雰囲気の流動が乱れてしまった場合においても、煙とは異なり、雰囲気における熱の拡散は生じることがなく、そのため、熱式センサ25を用いることによって火災の検出精度を高めることができる。
【0052】
また、整流板30を備えているので、熱式センサ25への雰囲気の流入特性を向上させることができ、雰囲気を熱式センサ25へ確実に導いて、火災の検出精度を高めることができる。また、整流板30により熱式センサ25を保護することができるので、衝撃などによる警報器2の故障を防ぐことができ、信頼性を向上させることができる。
【0053】
なお、本実施形態においては、第1テーパ部111、湾曲部113、及び、第2テーパ部112がそれぞれ曲面で形成され且つそれぞれが互いに滑らかに連続して設けられているものであったが、これに限らず、整流路18に雰囲気を確実に導くことができる形状であれば、例えば、これら各部位が平面に形成されているなど、どのような形状であってもよい。
【0054】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 光電式火災警報器(火災警報器)
2 熱式火災警報器(火災警報器)
10 本体
11 表面(本体の一面)
111 第1テーパ部
112 第2テーパ部
113 湾曲部
18 整流路
21 光電式センサ(火災検知センサ)
25 熱式センサ(火災検知センサ)
30 整流板
40 センサハウジング(ハウジング)
50 表示操作部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形の本体と、前記本体の一面と間隔をあけて平行に設けられた整流板と、前記本体の前記一面から前記整流板に向かって突設された火災検知センサと、を有する火災警報器において、
前記本体の前記一面が、その下端に向かうにしたがって徐々に前記整流板から離れる方向に傾斜された第1テーパ部を有していることを特徴とする火災警報器。
【請求項2】
前記第1テーパ部の上端が、前記整流板の下端より上方に位置づけられていることを特徴とする請求項1に記載の火災警報器。
【請求項3】
前記本体の前記一面が、その上端に向かうにしたがって徐々に前記整流板から離れる方向に傾斜された第2テーパ部を有し、そして、
前記第2テーパ部の下端が、前記整流板の上端より下方に位置づけられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の火災警報器。
【請求項4】
前記本体の前記一面が、前記第1テーパ部と前記第2テーパ部との間に設けられ且つ前記整流板に向かって凸の曲面に形成された湾曲部を有していることを特徴とする請求項3に記載の火災警報器。
【請求項5】
前記第1テーパ部が、前記湾曲部に滑らかに連続して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の火災警報器。
【請求項6】
前記第2テーパ部が、前記湾曲部と滑らかに連続して設けられていることを特徴とする請求項4に記載の火災警報器。
【請求項7】
前記第1テーパ部に火災の検出状態を示す表示部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の火災警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−216241(P2012−216241A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−168559(P2012−168559)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【分割の表示】特願2008−67304(P2008−67304)の分割
【原出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】