説明

灯油タンクの残油量表示装置

【課題】 ユーザがコップ型油量計の表示子の位置を検知するセンサー部を灯油タンクのコップ型油量計に簡単に取り付けられ又取り外しできる灯油タンクの残油量表示装置を提供する。
【解決手段】 灯油タンクの残油量表示装置10は、灯油タンク16のコップ型油量計20の表示子26の位置を検知するセンサー部12と、前記センサー部12の出力に応じて残油量を表示する残油量表示部14とを有するものである。センサー部12は、前記油量計20のケース22に被せるものであって光を通さない被覆カバー18と、その被覆カバー18の内側に設ける投光用LED1乃至5と、その投光用LED1乃至5の光17を受光するための筒部30を備えた硫化カドニウムセルCdS1乃至5とを有する。灯油タンクの残油量表示装置10によると、センサー部12が表示子26の位置を検知し、その位置を残油量表示部14の表示用ランプL1乃至5にて屋内で確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯油タンクの残油量表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用のホームタンクとして、灯油などを入れるポリエチレン製の容器、ポリタンクが使用されていた。しかし、家庭で使用されるポリタンクは、10リットルから20リットル程度の容器であり、冬季時などのように暖房のため灯油を多量に消費する場合は頻繁に補充しなければならず面倒であった。そのため、近年では、容量が100リットルから200リットル以上の灯油タンクが普及している。
上記灯油タンクは金属製の筐体からなるものであり、灯油の残油量を外部から目視することはできないものであるため、当該灯油タンク内の灯油の残油量は、その灯油タンク上部(又は平面)に備えるコップ型油量計で確認していた。
【0003】
コップ型油量計は、灯油の上面に浮くフロートとそのフロートの位置に応じて上下動する作動ロッドとその作動ロッドの上部先端部に形成される円盤状の表示子とから構成されるものである。表示子は、灯油タンク内の灯油の水位に応じて上下動する。灯油タンク内の灯油が消費されて減少すると、表示子の位置も下降する。
また、表示子は透明なケースで被われており、そのケースには所定の目盛りが表示されている。ユーザは、表示子が示すケースの目盛りを目視して、灯油タンク内の残油量を確認していた。
【0004】
しかし、灯油タンクは屋外に設置されるものであるため、その残油量を確認する場合は屋外に出て灯油タンクが設置されている場所まで行って確認しなければならないという不便があった。
また、豪雪地方では、屋外設置される灯油タンクが降雪により埋もれてしまうと、表示子の位置を容易に確認できなくなるという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、従来、灯油タンクの残油量を屋内で容易に確認できる灯油タンクの残量表示装置が提供されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−20390
【0006】
特許文献1の灯油タンクの残量表示装置は、屋外設置される灯油タンク内のフロートの上下方向の位置を電気的に検出するセンサーと、屋内に設置されるものであって上記センサーの出力に基づいて残油状態を可視的に表示する表示手段とを備えるものであった。上記センサーは、作動ロッドを案内するガイド部材の上部側に取り付けられており、作動ロッドの上下動を検知するものである。上記作動ロッドには、上下一対の係合突部が突設されており、両係合突部間に、センサーとしてのポテンショメータの検知子が配置されている。ポテンショメータの検知子は、作動ロッドの上下動に伴って上下動する。ポテンショメータの検知子の位置は、ポテンショメータに接続されるケーブルを通じて残量表示器に出力されるため、ユーザは、屋内において灯油タンクの残油量を確認することができる。
【0007】
しかし、特許文献1の灯油タンクの残量表示装置に係るセンサーを灯油タンクに取り付ける場合、作動ロッドにポテンショメータの検知子を取り付け、ガイド部材にポテンショメータの取り付けが必要であった。これらの取り付け作業は、灯油タンクへの雨水侵入事故防止の観点から鑑みると、相当の専門技術を有する者でなければできず、ユーザが簡単に取り付けられるものではなかった。
また、コップ型油量計は、その油量計に設けられているネジで灯油タンク本体に取り付けられ固定されているが、そのネジが腐食した場合、新しい油量計に交換する必要があった。しかし、ポテンショメータ等を取り付けた状態で油量計交換作業を行うことは困難であった。
また、表示子を被う透明なケースは、長期間直射日光・風雨などにさらされると劣化し、その透明度が低下するため、その内部に有る表示子を目視し難くなり、灯油の残油量を正確に確認できなくなるという問題があった。さらには、前記劣化によりケース本体にひび割れ(亀裂)が生じ、その隙間から水が灯油タンク内に流入する場合があり、灯油タンク自体を買え替えなければならなくなるという問題も生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の欠点を解決するために、ユーザがコップ型油量計の表示子の位置を検知するセンサー部を灯油タンクのコップ型油量計に簡単に取り付けられ又取り外しできる灯油タンクの残油量表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置は、灯油タンクのコップ型油量計のケースに被せるものであって光を通さない被覆カバーと、その被覆カバーの内側に設ける光発生手段と、前記被覆カバーの内側に設けるものであって前記光発生手段の光を受光するための筒部を備えた光検知手段とを有する前記コップ型油量計の表示子の位置を検知するセンサー部と、前記センサー部の出力に応じて残油量を表示する残油量表示部とを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置によると、灯油タンクの油量計の表示子の位置を屋内で確認することができる。これにより、屋外に出て油量計を確認するというユーザの不便を解消できる。
【0011】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置は、そのセンサー部を灯油タンクのコップ型油量計のケースに被せるだけで、当該コップ型油量計の表示子の位置を検知するものである。従って、灯油タンクに関する専門的知識や取り付けに関する専門技術がない者でも簡単に取り付けることができる。また、センサー部を形成する被覆カバーがコップ型油量計のケースを被うため、当該コップ型油量計のケースは直射日光・風雨・寒暖などの過酷な環境下にさらされることはなく、同コップ型油量計のケースの劣化を防止できる。
【0012】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置は、センサー部を灯油タンク外部に設ける。従来の灯油タンクの残油量表示装置のように、灯油タンク内部にセンサーを取り付けるものではないため、センサーを取り付けるために必要な油量計の改造は不要となる。また、油量計の劣化に伴う油量計交換作業も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、灯油タンクへの取り付けが簡単であり、かつ、灯油タンク残油量を屋内で容易に確認できることを実現するものである。
【実施例1】
【0014】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置を図に基づいて説明する。図1は、本発明の灯油タンクの残油量表示装置の構成図である。図2は、本発明の灯油タンクの残油量表示装置のセンサー部の動作状態を示す図である。図3は、本発明の灯油タンクの残油量表示装置の回路図である。
本発明の灯油タンクの残油量表示装置10は、センサー部12と残油量表示部14とからなるものである。センサー部12は屋外に設置される灯油タンク16に取り付けられるものであり、残油量表示部14は屋内に設置されるものである。センサー部12と残油量表示部14とは細いハーネス15でつながれているものとする。
センサー部12は、被服カバー18と、その被服カバー18の一の側面に取り付けた光発生手段としての発光ダイオードLED(Light Emitting Diode)1乃至5(以下、「投光用LED1乃至5」という。)、投光用LED1乃至5が発光する光17を受光する光検知手段であって前記一の側面に対向する側面に取り付けた硫化カドミウムセルCdS1乃至5とを備えるものである。
【0015】
被服カバー18は、開口部を有するコップ型のものであり、灯油タンク16のコップ型油量計20を被うケース22より径大のものである。灯油タンク16の油量計20は、灯油タンク16の平面上に設けられるものであり、灯油タンク16に貯蔵される灯油の残油量を示すものである。
油量計20は、作動ロッド24とその上端に設けられる円盤状の表示子26を有するものである。作動ロッド24及び表示子24は、灯油の残油量に応じて灯油タンク16の平面上で上下に移動する。また、油量計20はケース22で被われており、そのケース22には図示しない残油量を示す目盛りが記されている。ユーザは、表示子26が指す目盛りを目視することによって、残油量を確認できるようになっている。被服カバー18は、ケース22を被うように取り付けられている。なお、被服カバー18の開口部(被服カバー18と灯油タンク16との接触部分)は、磁石28やネジ等の固定手段で灯油タンク16の平面上に固定されている。
【0016】
また、被服カバー18は、一定の厚さを有するものであり、直射日光を通さない色、例えば黒色、茶色で形成されている。これにより、硫化カドミウムセルCdS1乃至5の抵抗値は、投光用LED1乃至5から受光する光17の量のみに従って変化する。
【0017】
硫化カドミウムセルCdS1乃至5は、油量計20(又は表示子26)を隔てて投光用LED1乃至5と対峙する位置に配置されており、油量計20に遮られずに通過した光17を受光できる状態に設けられている。投光用LED1乃至5及び硫化カドミウムセルCdS1乃至5は、被服カバー18の側面の上下方向に一列に数個(図1では5個)配列された状態にある。
【0018】
また、硫化カドミウムセルCdS1乃至5のセル部分29には、光17を受光するための筒部30が設けられている。セル部分29に筒部30を設けることにより、硫化カドミウムセルCdS1乃至5に強い指向性を持たせることができる。筒部30を形成する筒部材には、その内径がセル部分29の外径と同一のものを使用する。例えば、プラスチックの筒を所定の長さに切断し、その筒を筒部30としてセル部分29に装着する。筒部30の長さAは、セル部分29から10mm乃至15mmが好ましい。
なお、図1においては、硫化カドミウムセルCdS及び投光用LEDをそれぞれ5個取り付けたが、個数はこれに限定されるものではない。
【0019】
次に、硫化カドミウムセルCdSが受光する光量を図1及び図2に基づいて説明する。特に、投光用LED1乃至5から投光される光17が表示子26を通過する場合(図2(a))及び作動ロッド24を通過する場合(図2(b))について説明する。
投光用LED1乃至5から投光される光17が表示子26を通過する場合(図2(a))の硫化カドミウムセルCdSが受光する光量は、作動ロッド24を通過する場合(図2(b))の受光する光量より少ない。これは、表示子26は円盤状に形成されておりかつ所定の厚みを有するため、細い棒状の作動ロッド24より投光用LED1乃至5から投光される光17を遮る量が多いためである。この場合、図2(a)の表示子26と硫化カドミウムセルCdSの間の領域は、(図2(b))の作動ロッド24と硫化カドミウムセルCdSの間の領域より暗くなり、硫化カドミウムセルCdSの抵抗値は増大する。なお、前記筒部30を硫化カドミウムセルCdSに設けない場合、硫化カドミウムセルCdSの抵抗値は増大しない。即ち、灯油タンクの残油量表示装置10は、表示子26の位置を検知することができない。
【0020】
次に、本発明の灯油タンクの残油量表示装置の動作を図3に基づいて説明する。
残油量表示部14は、接続カプラ32を介してセンサー部12と接続されており、センサー部12の出力に応じて残油量を表示するものである。
図1において、投光用LED5が投光する光17を遮る位置に表示子26がある場合は満タン時であり、残油量表示部14の表示用ランプL5が点灯する。また、投光用LED1が投光する光17を遮る位置に表示子26がある場合は残油量が少ない時であり、残油量表示部14の表示用ランプL1が点灯する。灯油タンク16の残油量が減少して表示子26の位置が下がるに従って、表示用ランプL5からL1の順に点灯するようになっている。
【0021】
投光用LED1乃至5は、順方向に電圧を加えると、同時に発光する。例えば、満タン時から灯油の残油量が減少し、表示子26が投光用LED4から投光される光17を遮る位置にある場合を考える(図1)。投光用LED1、LED2、LED3、LED4、LED5から投光された場合、硫化カドニウムセルCdS1、CdS2、CdS3、CdS5が受光する光17は明るいが、硫化カドニウムセルCdS4が受光する光17は表示子26で遮られて暗い。硫化カドニウムセルCdS1、CdS2、CdS3、CdS5が受光する光17は明るいため、その抵抗値が小さくなる。この場合、硫化カドニウムセルCdS1、CdS2、CdS3、CdS5の電圧降下は低く、トランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr5のベースには電流が流れない。トランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr5はオフ状態となり、表示用ランプL1、L2、L3、L5は点灯しない。一方、硫化カドニウムセルCdS4が受光する光17は暗いため、その抵抗値は増大する。この場合、硫化カドニウムセルCdS4の電圧降下が高くなり、Tr4のベースに電流が流れる。Tr4がオン状態となり、表示用ランプL4が点灯する。
【0022】
灯油の残油量がさらに減少して、表示子26が投光用LED4の位置からLED3の位置まで移動する間は、硫化カドニウムセルCdS1乃至5全ての抵抗値が減少する。しかし、その前にトランジスタTr4がオン状態にあるため、硫化カドニウムセルCdS4の抵抗値が減少してもトランジスタTr4はオフにまで至らず、表示子26が投光用LED4の位置からLED3の位置まで移動する間は表示用ランプL4が点灯される。表示子26が投光用LED3の位置に移動すると、硫化カドニウムセルCdS3の抵抗値が増大し、Tr3がオンし表示用ランプL3が点灯する。この時、抵抗R1の電圧降下が増大し、トランジスタTr4がオフになるため、表示用ランプL4は消灯する。
以上のように、本発明の灯油タンクの残油量表示装置10によると、表示子26の位置を屋内で確認することができる。
なお、本実施例において、上記表示用ランプL1乃至5は、発光ダイオードLEDである。また、残油量表示部14の回路図は、図3に示すものに限定されるものではない。
【0023】
本発明の灯油タンクの残油量表示装置10における光発生手段は、発光ダイオードLEDに限るものではなく、光を発生する機器であればよい。また、光検知手段は、硫化カドニウムセルCdSに限るものではなく、光を検知する機器であればよい。例えば、レーザー光発生装置とレーザー光の受光器を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の灯油タンクの残油量表示装置の構成図である。
【図2】本発明の灯油タンクの残油量表示装置のセンサー部の動作状態を示す図である。
【図3】本発明の灯油タンクの残油量表示装置の回路図である。
【符号の説明】
【0025】
10 灯油タンクの残油量表示装置
12 センサー部
14 残油量表示部
16 灯油タンク
17 光
18 被服カバー
20 コップ型油量計
22 ケース
26 表示子
30 筒部
投光用LED1乃至5
CdS1乃至5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯油タンクのコップ型油量計のケースに被せるものであって光を通さない被覆カバーと、その被覆カバーの内側に設ける光発生手段と、前記被覆カバーの内側に設けるものであって前記光発生手段の光を受光するための筒部を備えた光検知手段とを有する前記コップ型油量計の表示子の位置を検知するセンサー部と、
前記センサー部の出力に応じて残油量を表示する残油量表示部と
を備えることを特徴する灯油タンクの残油量表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−260545(P2008−260545A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103233(P2007−103233)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【特許番号】特許第4145342号(P4145342)
【特許公報発行日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(507117061)
【Fターム(参考)】