説明

灰皿装置

【課題】清掃時に不意に灰皿部が回転を開始しても、内部の灰や吸殻の散乱が防止されるようになる灰皿装置の提供。
【解決手段】使用位置αから清掃位置βまで引き出すと、回転可能となる灰皿部30を清掃位置βまで引き出す際に、灰皿部30に回転力が加わり、不意に灰皿部30が回転を開始しても、途中停止位置bで、半球状突起51C, 52Cが支持アーム40側の突条部44に係止され、途中停止位置bで停止する。これにより、内部の灰や吸殻が周囲に散乱することを未然に防止することができる。そして、途中停止位置bに停止した灰皿部30に故意に回転力を加えれば、弾性変形により、半球状突起51C, 52Cが支持アーム40側の突条部44から離れる方向へ変位し、突条部44による半球状突起51C, 52Cの係止が解除され、灰皿部30を倒立姿勢位置dまで回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一面が開口部となった容器状に形成されるとともに、遊技機本体における遊技者と対向する前面の所定位置で灰皿として使用される灰皿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スロットマシンやパチンコ機等の遊技機は、一般的に、遊技者と対向する前面の下方部分に取り付けられた灰皿装置を備え、この灰皿装置を遊技者の遊技中の喫煙に供している。
【0003】
このような遊技機の灰皿装置は、遊技機の清掃作業の便宜を図るために、上面が開口した容器状の灰皿部を回転可能に設けられたものが一般的である。
すなわち、灰皿装置の灰皿部は、遊技者が遊技を行っている時等の通常時には、開口が上向きにされ、その内部に煙草の灰や吸殻を溜めておけるようになっている。一方、清掃時には、開口が下向きとなるように回転させることで、内部に溜まった灰や吸殻を落下させ、下方に配置した容器に容易に回収可能とし、これにより、清掃作業の便宜を図っている(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
しかしながら、前述の灰皿装置には、灰皿部を回転可能としたために、遊技者が遊技中に、不用意に膝や指等で灰皿部を押してしまうと、灰皿部が回転して灰や吸殻を撒き散らし、遊技者の衣服等を汚すおそれがあった。
このような問題を改善する灰皿装置として、通常の使用位置から遊技者側へ離れる方向へ移動可能に灰皿部が設けられるとともに、バネで灰皿部を遊技機側へ向かって灰皿部が付勢され、さらに、通常の使用位置において灰皿部が回転しないように、使用位置に配置された灰皿部を係止するとともに、使用位置から遊技者側へ灰皿部が移動すると、灰皿部に対する係止を解除する係止手段が設けられたものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0005】
このような灰皿装置によれば、遊技者が遊技中に、膝や指等で灰皿部を押しても、灰皿部が回転しないので、不用意に灰皿部が回転して灰や吸殻を撒き散らすことがなく、これにより、遊技者の衣服等を汚すおそれがない。
また、使用位置から遊技者側へ灰皿部を引き寄せれば、灰皿部を容易に回転させることができるので、灰皿部を回転させて、その開口を下向きにすれば、内部に溜まった灰や吸殻が落下し、下方に配置した容器に容易に回収することができ、これにより、清掃作業の便宜を図ることもできる。
【0006】
【特許文献1】特許第2700199号公報
【特許文献2】特許第4582544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述の灰皿装置では、灰皿部の内部に溜まった灰や吸殻を回収する際に、灰皿部の開口を囲む側壁部の上端縁近傍に力を加えて灰皿部を移動させる場合があり、この場合、灰皿部を勢いよく移動させると、灰皿部には、当該灰皿部を引き出す力だけでなく、当該灰皿部を回転させる回転力も加わる。このため、係止手段の係止が解除される位置まで灰皿部が到達し、係止手段の係止が解除された瞬間に、不意に灰皿部が回転して、内部の灰や吸殻を周囲に撒き散らし、かえって掃除の手間が増えてしまう、という問題がある。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、清掃時に不意に灰皿部が回転を開始しても、内部の灰や吸殻の散乱が防止されるようになる灰皿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、前述の目的を達成するためになされたものである。以下に、各発明の特徴点を、図面に示した発明の実施の形態を用いて説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
(請求項1)
(特徴点)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
すなわち、請求項1に記載された発明は、一面が開口部(31)となった容器状に形成されるとともに、遊技機(1)本体における遊技者と対向する前面の所定位置で灰皿として使用される灰皿部(30)を有し、この灰皿部(30)が、灰皿として使用される使用位置(α)、及び、この使用位置(α)から遊技者側に離間した清掃位置(β)の二位置間を移動可能に設けられ、且つ、前記灰皿部(30)は、前記開口部(31)が上向きとなった正立姿勢位置(a)、及び、前記開口部(31)が下方を向いた倒立姿勢位置(d)の一方から他方まで、前記開口部(31)が遊技者側を向く中間姿勢位置(c)を経由して回転可能に軸支され、使用位置(α)では遊技機(1)本体に設けられた係止手段(22A) に係止され、正立姿勢位置(a)から倒立姿勢位置(d)への回転が不可能とされ、使用位置(α)から移動して清掃位置(β)に配置されると、前記係止手段(22A) による係止が解除され、正立姿勢位置(a)から倒立姿勢位置(d)まで回転可能とされ、倒立姿勢位置(d)に到達すると、前記灰皿部(30)内部のものが下方へ排出されるように形成されている灰皿装置(20)であって、前記灰皿部(30)には、前記遊技機(1)本体へ向かって突出する被係合突起部(51C, 52C)が設けられ、前記遊技機(1)本体には、正立姿勢位置(a)から中間姿勢位置(c)に至るまでの途中の位置である途中停止位置(b)で前記被係合突起部(51C, 52C)と係止し、正立姿勢位置(a)から回転を開始した前記灰皿部(30)を途中停止位置(b)に停止させることが可能となった停止係合部(44)が設けられ、前記被係合突起部(51C, 52C)及び前記停止係合部(44)の少なくとも一方は、途中停止位置(b)に停止している前記灰皿部(30)に倒立姿勢位置(d)へ向かって回転させる外力が加えられると、当該外力によって弾性変形して、前記被係合突起部(51C, 52C)の前記停止係合部(44)による係止が解除されるように形成されていることを特徴する。
【発明の効果】
【0011】
(請求項1の効果)
以上のように構成されている本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち、請求項1記載の発明によれば、使用位置及び清掃位置の二位置間を移動可能且つ正立姿勢位置及び倒立姿勢位置の二位置間を回転可能となるように、灰皿部を遊技機本体に設け、さらに、灰皿部側に、遊技機本体へ向かって突出する被係合突起部を設け、且つ、遊技機本体側に、灰皿部の開口部が遊技者側を向く中間姿勢位置に至るまでの途中の位置である途中停止位置で被係合突起部と係止することで、正立姿勢位置から回転を開始した灰皿部を途中停止位置に停止させることができる停止係合部を設けたので、灰皿部の開口部を囲む側壁部の上端縁近傍に力を加え、これにより、灰皿部を回転させる回転力が加わった状態で、係止手段の係止が解除される清掃位置まで灰皿部が移動し、灰皿部が清掃位置に到達した瞬間に、灰皿部が回転を開始しても、灰皿部は、回転角度位置が途中停止位置に達すると、灰皿部の被係合突起部が遊技機本体側の停止係合部に係止され、当該途中停止位置で停止し、途中停止位置を超えて回転することが抑制される。
このため、不意に灰皿部が回転を開始しても、灰皿部は、内部の灰や吸殻が周囲に散乱してしまう回転角度位置に達する前に、回転を停止させてしまうようになり、これにより、灰皿部の内部の灰や吸殻が周囲に散乱することが防止されるようになる。
そして、途中停止位置に停止している灰皿部に対して、倒立姿勢位置へ向かって回転させる回転力を故意に加えれば、この回転力によって、灰皿部の被係合突起部及び遊技機本体の停止係合部の少なくとも一方が弾性変形して、被係合突起部の停止係合部による係止が解除され、内部の灰や吸殻が周囲に散乱しない程度の速さで、灰皿部を倒立姿勢位置まで回転させることができ、従って、灰皿部内部の灰や吸殻を下方に配置した容器に容易且つ確実に回収することができ、これにより、前記目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るスロットマシンを示す正面図である。
【図2】図1のII−II線における拡大断面図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図である。
【図4】前記実施形態に係る灰皿装置のみを示す斜視図である。
【図5】前記実施形態に係る灰皿装置を上方から示す分解斜視図。
【図6】前記実施形態に係る灰皿装置を下方から示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態である一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(スロットマシン1の概要)
図1には、本発明の一実施形態に係る遊技機であるスロットマシン1が示されている。図1において、スロットマシン1は、三個の回転リール11の各々に記された複数種類の図柄が所定の組み合わせとなるように、回転している回転リール11を停止させる遊技を行うものである。
このスロットマシン1には、図1に示すように、当該スロットマシン1の各種装置を収納するとともに、正面形状が長方形となった筐体2が備えられている。
筐体2は、前面全体が開口された箱状の部材である。そして、筐体2の前面開口は、当該筐体2に回動可能に取り付けられた前扉3で塞がれるようになっている。なお、前扉3は、閉じられると、自動的に施錠されるようになっている。
【0014】
前扉3は、その前面をほぼ二分する上部パネル部4及び下部パネル部5を備えたものとなっている。そして、下部パネル部5の下方には、入賞時に払い出されるメダルを貯留する受皿部6Aが一体成形された受皿ユニット6が設けられている。また、また、上部パネル部4と下部パネル部5との間には、遊技に係る操作を行うための操作卓7が遊技者側に突出するように形成されている。
ここで、上部パネル部4及び下部パネル部5は、意匠的に優れた外観を確保するために、合成樹脂製の化粧板が表面に張り付けられたものとなっている。
【0015】
(上部パネル部4)
上部パネル部4には、図1中、操作卓7の上方且つ幅方向の中央部分において長方形状に形成された表示窓4Aが設けられている。
ここで、筐体2内部に設けられた三個の回転リール11の各々は、その外周面に複数種類の図柄に記されている。そして、各回転リール11の図柄は、筐体2の外部から表示窓4Aを通して目視可能となっている。
【0016】
上部パネル部4の上端縁部分には、正面形状が逆台形状に形成された演出用照明装置4Bが設けられている。この演出用照明装置4Bは、上部パネル部4の上端縁部分のほぼ中央に配置されている。演出用照明装置4Bの両端部は、上部パネル部4の角隅部分まで達することなく、その手前の位置で途切れたものとなっている。
また、上部パネル部4の上側における両角近傍には、正面形状が湾曲した帯状に形成されるとともに、漢数字の「八」を描く一対の演出用照明装置4Cが設けられている。これらの演出用照明装置4Cの各々は、その上端部が演出用照明装置4Bの端部近傍に配置されるとともに、その下端側の部分が上部パネル部4の側縁へ向かって斜め下方に延びたものとなっている。
さらに、上部パネル部4の両方の側縁には、演出用照明装置4Cの下端に接続された別の演出用照明装置4Dがそれぞれ設けられている。これらの演出用照明装置4Dの各々は、演出用照明装置4Cと同様に、上下方向に細長い帯状に形成されたものであり、演出用照明装置4Cの下端から、上部パネル部4の側縁に沿って延び、操作卓7の直近まで達するものとなっている。
これらの演出用照明装置4B〜4Dの各々は、赤色のレンズの内部に配置された高輝度発光ダイオード等の光源を備え、遊技の進行に応じて、その光源の点灯又は点滅により、遊技における視覚的な演出効果を高めるものである。
【0017】
表示窓4A及び演出用照明装置4Bの間には、遊技の演出用画像を表示する液晶表示装置4Eが設けられている。この液晶表示装置4Eは、動画を含む様々な画像を、遊技の進行に応じて表示するものである。
液晶表示装置4Eの両側には、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部4Fがそれぞれ設けられている。
【0018】
(操作卓7)
操作卓7は、遊技における操作に必要な各種のスイッチ類が配置されたものである。
すなわち、操作卓7における図1中右端の部分には、前扉3の施錠を解除するための鍵が挿入される鍵穴7Aが設けられている。この鍵穴7Aの左斜め上方には、メダルを投入するためのメダル投入口7Bが開口されたメダル投入部7Cが設けられている。
メダル投入口7Bの左斜め下方には、三個の回転リール11のそれぞれを停止させる際に操作される三個のストップボタン7Dが設けられている。これら三個のストップボタン7Dのうち、左端に配置されているストップボタン7Dの左斜め上方には、一度の操作で最大枚数のメダルを賭けることができるマックスベットボタン7Eが設けられている。
また、左端のストップボタン7Dの左方であって、マックスベットボタン7Eの左斜め下方の位置には、三個の回転リール11を一斉に回転させる際に操作されるスタートレバー7Fが設けられている。このスタートレバー7Fの左斜め上方には、1回の操作で貯留されているメダルを1枚賭けることのできる、換言すると、メダルを1枚ずつ賭ける際に操作されるベットスイッチ7Gが設けられている。
さらに、ベットスイッチ7Gの左斜め下方には、精算時に貯留されているメダルを払い出させる精算ボタン7Hが設けられている。
【0019】
(下部パネル部5及び受皿ユニット6)
下部パネル部5には、スロットマシン1のモデルタイプを表す象徴するキャラクター等が描かれたパネル5Aが設けられている。
受皿ユニット6には、メダルを貯留する前述の受皿部6Aに加えて、入賞時に受皿部6Aへ向かって払い出されるメダルを排出させるメダル払出口6Bと、遊技に係る効果音を発生するスピーカを備えた音声出力部6Cとが設けられている。
この受皿ユニット6には、喫煙する遊技者の煙草の灰や吸殻を受けるために、本発明に基づく灰皿装置20が、受皿部6Aの図1中左端に隣接して設けられている。
【0020】
(灰皿装置20の概略)
灰皿装置20は、図1中上方を向いた一面が開口部31となった容器状に形成された灰皿部30を有するものである。この灰皿部30は、図1の如く、スロットマシン1の本体における遊技者と対向する前面の所定位置、具体的には、図1中左側下部の角隅近傍で灰皿として使用される位置に配置されている。
ここで、灰皿部30は、図2及び図3に示すように、灰皿として使用される使用位置α、及び、この使用位置αから遊技者側に離間した清掃位置βの二位置間を摺動可能にスロットマシン1に設けられている。
また、灰皿部30は、図3の如く、清掃位置βに配置された状態において、開口部31が上向きとなった正立姿勢位置a、及び、開口部31が下方を向いた倒立姿勢位置dの一方から他方まで、開口部31が遊技者側を向く中間姿勢位置cを経由して回転可能に軸支されたものとなっている。
【0021】
(灰皿装置20の詳細)
このような灰皿装置20について、以下に詳しく説明する。
すなわち、灰皿装置20は、灰皿部30に加えて、図4〜図6に示すように、灰皿部30を両側から抱え込んで支持するためにU字状に形成された支持アーム40と、灰皿部30を軸支するために支持アーム40に形成された後述する回転軸41を保持するリテーナ部50とを備えたものとなっている。
【0022】
ここで、スロットマシン1の本体側、具体的には、受皿ユニット6には、図5の如く、灰皿装置20の灰皿部30を内部に収納可能な容積を有する収納凹部21が形成されている。
収納凹部21の図5中背面側に配置された内側面22には、灰皿部30が正立姿勢位置から回転不可能にするために灰皿部30を係止する係止手段である係止穴22A と、支持アーム40の後述する一対の腕部42をそれぞれ挿通する一対の挿通孔22B とが設けられている。
【0023】
また、収納凹部21の図5中左右両側に配置された側面23, 24には、一対の挿通孔22B のそれぞれに挿通された支持アーム40の腕部42を内部に収納可能な大きさの溝部23A, 24Aが設けられている。
支持アーム40の腕部42は、回転軸41以外の部分が溝部23A, 24Aの内部に収納され、回転軸41のみが側面23, 24から収納凹部21の内部へ突出するようになっている。
【0024】
灰皿部30は、図5及び図6に示すように、上方を向いた開口部31の周囲を囲むように形成された四つの側壁部32〜35と、容器状に形成された当該灰皿部30の底となる底部36とを備えたものとなっている。
このうち、灰皿部30における図5中前面の側壁部32の上端縁には、煙草を係止する凹部32A が形成されている。
また、灰皿部30における図5中左右の側壁部33, 35には、支持アーム40の回転軸41を受けるために、開口が横向きとなったU字形状の軸受部33A, 35Aと、灰皿部30の摺動方向に沿って位置がずれないようにリテーナ部50を固定するための突条33B, 35Bとがそれぞれ設けられている。
【0025】
図6において、灰皿部30における図6中背面側の側壁部34には、スロットマシン1本体としての受皿ユニット6に向かって突出する被係止部34A が設けられている。
この被係止部34A は、灰皿部30の摺動方向に沿って延びる平板部34B と、被係止部34A を補強するために、平板部34B の先端と側壁部34とを連結する三角形状のスチフナ部34C とを備えたものとなっている。
一方、受皿ユニット6には、図5の如く、使用位置αに配置されている状態の灰皿部30の被係止部34A を係止する係止手段として係止穴22A が形成されている。
【0026】
以上において、灰皿部30は、使用位置αでは、受皿ユニット6側に形成された係止穴22A に被係止部34A が係止され、正立姿勢位置aから倒立姿勢位置dへの回転が不可能となっている。
また、灰皿部30は、使用位置αから移動して清掃位置βに配置されると、被係止部34A が係止穴22A の外部へ離脱し、係止穴22A による被係止部34A の係止が解除され、正立姿勢位置aから倒立姿勢位置dまで回転可能となるように形成されている。
【0027】
灰皿部30の底部36は、図6の如く、二段の階段状に形成され、上側の上段部36A と下側の下段部36B と、上段部36A 及び下段部36B を相互に連結する段差面部36C とを有するものとなっている。
このうち、上段部36A における、図6中、下側の面には、下方へ突出するとともに略円筒状に形成されたボス部36D と、ボス部36D と同様に下方へ突出するとともに、四角柱状に形成された係止突条36E とが設けられている。
【0028】
支持アーム40は、スロットマシン1の本体側、具体的には、受皿ユニット6に設けられるものであって、灰皿部30を回転可能に支持する部材である。
さらに詳しく説明すると、支持アーム40は、図5及び図6の如く、前述した一対の腕部42と、腕部42の基端を相互に連結する連結基部43とを備えたU字状の部材である。
このような支持アーム40は、一対の腕部42が、受皿ユニット6の裏側から挿通孔22B を通って、受皿ユニット6の表側に形成された収納凹部21の内部に配置され、これらの腕部42で灰皿部30を両側から抱え込み、腕部42の先端の回転軸41が灰皿部30の軸受部33A, 35Aに受けられ、これにより、回転軸41で灰皿部30を回転可能に軸支するものである。
【0029】
支持アーム40の連結基部43は、当該連結基部43を腕部42の延出方向に沿って貫通するガイド孔43A と、腕部42の延出方向に沿って延びる円筒状に形成されるとともに、ガイド孔43A の両側に配置された一対のスライド部43B とを備えたものとなっている。
一方、受皿ユニット6には、図6の如く、収納凹部21における内側面22とは反対側の面25から支持アーム40側へ向かって突出するバネ案内ボス部26と、バネ案内ボス部26の両側に配置された一対のスライド案内ボス部27とが設けられている。
支持アーム40は、腕部42が受皿ユニット6の挿通孔22B に挿通されるのと同時に、ガイド孔43A 及びスライド部43B の内部に、受皿ユニット6側のバネ案内ボス部26及びスライド案内ボス部27が挿通されるようになっている。
また、支持アーム40及び受皿ユニット6の間には、図2にも示すように、バネ案内ボス部26を内部に挿通させ状態で配置されるとともに、支持アーム40を受皿ユニット6側に引き寄せる方向に付勢するコイルバネ28が介装されている。
【0030】
以上のような支持アーム40に支持される灰皿部30は、コイルバネ28に弾性力に抗する外力が加えられると、受皿ユニット6側のスライド案内ボス部27にスライド部43B が案内されて、使用位置αから清掃位置βへ摺動可能となっている。
そして、灰皿部30は、前述の外力が解除されると、コイルバネ28に弾性力によって、清掃位置βから使用位置αへ自動的に復帰するようになっている。
【0031】
また、支持アーム40には、図5及び図6の如く、一対の腕部42における互いに対向する面から互いに近づくように突出する一対の突条部44が設けられている。
この突条部44は、正立姿勢位置aから回転を開始した灰皿部30を、後述する途中停止位置bに停止させることが可能とするために、スロットマシン1本体に設けられた停止係合部である。
【0032】
リテーナ部50は、灰皿部30と一体化される部材であり、灰皿部30の側壁部33, 35のそれぞれに沿わせる側板部51, 52と、灰皿部30の底部36に沿わせるとともに、側板部51, 52の下端縁同士を連結する底板部53とを有するものとなっている。
このうち、側板部51, 52のそれぞれには、灰皿部30の軸受部33A, 35Aに受けられた支持アーム40の回転軸41が軸受部33A, 35Aから外れないように、軸受部33A, 35Aの開口を閉じる閉鎖部51A, 52Aと、灰皿部30の突条33B, 35Bが内部に嵌合されるスリット51B, 52Bと、支持アーム40の突条部44に形成される半球状突起51C, 52Cとが設けられている。
【0033】
ここで、半球状突起51C, 52Cは、支持アーム40に設けられた停止係合部としての突条部44に係止される被係合突起部となっている。
また、側板部51, 52のそれぞれには、半球状突起51C, 52Cの近傍にスリット51D, 52Dが設けられ、これらのスリット51D, 52Dによって、弾性変形可能な帯状に形成された舌部51E, 52Eが設けられている。
前述の半球状突起51C, 52Cは、舌部51E, 52Eの先端に形成され、舌部51E, 52Eの弾性変形によって突条部44から離れる方向へ変位可能となっている。
【0034】
また、底板部53には、灰皿部30の底部36に形成されたボス部36D を内部に収納するために、図6中、下方へ突出する膨出部53A と、灰皿部30の底部36に形成された一対の係止突条36E の間に挟み込まれる突片部53C とが設けられている。
このうち、膨出部53A の頂部には、図6の如く、ネジ29を挿通させるネジ挿通孔53B が形成されている。
【0035】
以上のようなリテーナ部50は、倒立姿勢位置dに配置されるとともに、支持アーム40の回転軸41が軸受部33A, 35Aの内部に納められた状態で、逆さとなった灰皿部30の上から当該灰皿部30に被され、これにより、灰皿部30の側壁部33, 35及び底部36の上段部36A を覆うものとなっている。
この際、リテーナ部50は、底板部53が灰皿部30側の段差面部36C と係止突条36E との間に挟み込まれ、且つ、当該底板部53に形成された突片部53C が、灰皿部30側に形成された一対の係止突条36E の間に挟み込まれ(図4参照)、さらに、当該底板部53の膨出部53A の内部に、灰皿部30の底部36に形成されたボス部36D が収納された状態となっている。
また、リテーナ部50は、側板部51, 52のそれぞれに形成された閉鎖部51A, 52Aが、支持アーム40の回転軸41を内部に収納した軸受部33A, 35Aの開口を閉じる位置に配置され(図3参照)、且つ、側板部51, 52に形成されたスリット51B, 52Bの内部に、灰皿部30側の突条33B, 35Bが嵌め込まれた状態となっている。
【0036】
このような状態となったリテーナ部50は、その膨出部53A の頂部に形成されたネジ挿通孔53B に挿通されたネジ29を、灰皿部30の底部36に形成されたボス部36D に螺合させることで、灰皿部30に固定されている。
ここで、リテーナ部50は、その底板部53が灰皿部30側の段差面部36C と係止突条36E との間に挟み込まれ、且つ、側板部51, 52に形成されたスリット51B, 52Bの内部に、灰皿部30側の突条33B, 35Bが嵌め込まれ、これにより、閉鎖部51A, 52Aが軸受部33A, 35Aから離れて軸受部33A, 35Aを開口させる方向へ移動しないように、同方向に対して強固に固定されている。
【0037】
以上において、灰皿部30は、図3の如く、使用位置αでは、スロットマシン1の本体側、具体的には、受皿ユニット6に設けられた係止穴22A に被係止部34A が係止され、正立姿勢位置aから倒立姿勢位置dへの回転が不可能となっている。
一方、灰皿部30は、使用位置αから移動して清掃位置βに配置されると、係止穴22A による被係止部34A の係止が解除され、正立姿勢位置aから倒立姿勢位置dまで回転可能となるように形成されている。
ここで、正立姿勢位置aから倒立姿勢位置dへ向かって回転を開始した灰皿部30は、正立姿勢位置aから中間姿勢位置cに至るまでの途中の位置である途中停止位置bに達すると、半球状突起51C, 52Cが支持アーム40側に形成された突条部44と係止し、これにより、途中停止位置bで停止するようになっている。
そして、途中停止位置bに停止した灰皿部30は、さらに、倒立姿勢位置dへ向かって回転させる外力が加えられると、当該外力によって、リテーナ部50の舌部51E, 52Eが弾性変形し、半球状突起51C, 52Cが支持アーム40側の突条部44から離れる方向へ変位し、突条部44による半球状突起51C, 52Cの係止が解除され、途中停止位置bから倒立姿勢位置dへ向かって回転を開始するように形成されている。
【0038】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、使用位置α及び清掃位置βの二位置間を摺動可能とされ、且つ、清掃位置βにおいて、正立姿勢位置a及び倒立姿勢位置dの二位置間を回転可能となるように、灰皿部30を受皿ユニット6に設け、さらに、灰皿部30の両側面を覆うリテーナ部50の側板部51, 52に、受皿ユニット6へ向かって突出する半球状突起51C, 52Cを設け、且つ、受皿ユニット6側に、途中停止位置bで半球状突起51C, 52Cと係止する突条部44を設け、この突条部44による半球状突起51C, 52Cの係止によって、正立姿勢位置aから回転を開始した灰皿部30を途中停止位置bに停止させるようにしたので、灰皿部30の側壁32の上端縁近傍に力を加え、これにより、灰皿部30を回転させる回転力が加わった状態で、清掃位置βまで灰皿部30が移動し、灰皿部30が清掃位置に到達した瞬間に、灰皿部30が回転を開始しても、灰皿部30は、その回転角度位置が途中停止位置bに達すると、灰皿部30の半球形状突起51C, 52Cが受皿ユニット6側の突条部44に係止され、当該途中停止位置bで停止し、途中停止位置bを超えて回転することが抑制される。
このため、不意に灰皿部30が回転を開始しても、内部の灰や吸殻が周囲に散乱してしまう回転角度位置に達する前に、灰皿部30の回転が停止してしまうようになり、これにより、灰皿部30の内部の灰や吸殻が周囲に散乱することを未然に防止することができる。
そして、途中停止位置bに停止している灰皿部30に対して、倒立姿勢位置dへ向かって回転させる回転力を故意に加えれば、この回転力によって、灰皿部30が回転を開始するとともに、リテーナ部50の舌部51E, 52Eが弾性変形し、半球状突起51C, 52Cが支持アーム40側の突条部44から離れる方向へ変位し、突条部44による半球状突起51C, 52Cの係止が解除され、内部の灰や吸殻が周囲に散乱しない程度の速さで、灰皿部30を倒立姿勢位置dまで回転させることができ、従って、灰皿部30内部の灰や吸殻を下方に配置した容器に容易且つ確実に回収することができる。
【0039】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形及び改良などをも含むものである。
例えば、遊技機としては、スロットマシンに限らず、遊技球を遊技媒体とするパチンコ機等の弾球遊技機や、動画を見ながらボタンやレバー等の操作を行うアーケード遊技機でもよく、要するに、本発明は、灰皿を備えた遊技機全般に適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 遊技機としてのスロットマシン 20 灰皿装置
22A 係止手段としての係止穴 30 灰皿部
31 開口部 44 停止係合部としての突条部
51C, 52C 被係合突起部としての半球状突起 α 使用位置
β 清掃位置 a 正立姿勢位置
b 途中停止位置 c 中間姿勢位置
d 倒立姿勢位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が開口部となった容器状に形成されるとともに、遊技機本体における遊技者と対向する前面の所定位置で灰皿として使用される灰皿部を有し、この灰皿部が、灰皿として使用される使用位置、及び、この使用位置から遊技者側に離間した清掃位置の二位置間を移動可能に設けられ、且つ、前記灰皿部は、前記開口部が上向きとなった正立姿勢位置、及び、前記開口部が下方を向いた倒立姿勢位置の一方から他方まで、前記開口部が遊技者側を向く中間姿勢位置を経由して回転可能に軸支され、使用位置では遊技機本体に設けられた係止手段に係止され、正立姿勢位置から倒立姿勢位置への回転が不可能とされ、使用位置から移動して清掃位置に配置されると、前記係止手段による係止が解除され、正立姿勢位置から倒立姿勢位置まで回転可能とされ、倒立姿勢位置に到達すると、前記灰皿部内部のものが下方へ排出されるように形成されている灰皿装置であって、
前記灰皿部には、前記遊技機本体へ向かって突出する被係合突起部が設けられ、
前記遊技機本体には、正立姿勢位置から中間姿勢位置に至るまでの途中の位置である途中停止位置で前記被係合突起部と係止し、正立姿勢位置から回転を開始した前記灰皿部を途中停止位置に停止させることが可能となった停止係合部が設けられ、
前記被係合突起部及び前記停止係合部の少なくとも一方は、途中停止位置に停止している前記灰皿部に倒立姿勢位置へ向かって回転させる外力が加えられると、当該外力によって弾性変形して、前記被係合突起部の前記停止係合部による係止が解除されるように形成されていることを特徴する灰皿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−56111(P2013−56111A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197455(P2011−197455)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】