説明

炊飯器

【課題】操作部を配置した蓋体のデザイン性を高めるとともに、同操作部への水などの侵入を防止することを目的とする。
【解決手段】有底筒状の鍋収納部を有する炊飯器主体と、前記鍋収納部に着脱自在に配置した鍋と、この鍋を介して内容物を加熱する加熱手段と、前記炊飯器主体の上方を開閉自在に覆う外蓋14とを具備し、前記外蓋14は有色樹脂28で成形されるとともに、前記有色樹脂28と成形密着性のある透明樹脂29、およびこの透明樹脂29の表面を覆うフィルム30で前記有色樹脂28の表面に操作部14を一体に成形し、さらに、前記フィルム30は部分的に半透明とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外蓋に操作部を配置した炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種炊飯器にあっては、表面の透明フィルム層の下層に透明材料層を有し、さらにその下層に前記透明材料層と成形密着性のある遮光性の有色材料層を一体に形成し、部分的に前記透明フィルム層のみの部分を有する外郭部材で操作部の外郭を構成し、前記操作部は前記外郭部材の前記透明フィルム層の部分に設け、前記透明フィルム層の一部に施した加飾が前記透明材料層を透過して前記外殻部材の底面に映り立体的に表現できるべく、前記透明フィルム層に比べ前記透明材料層を厚く設定したものであった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−167133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような炊飯器において、操作部外周には嵌合隙間があり、外蓋の一部に特定して操作部が配してあるため、前記嵌合隙間に水や埃、油汚れなどがたまりやすく不衛生であった。
【0004】
また、操作部内に設けた電子部品に水や油等の異物が侵入しないよう防水処理用が必要であった。
【0005】
そして、デザイン面では透明フィルム層を通して透明感のある質感を表現できるが、透明部分より透過して見える有色材料層の色は1色に限られてしまうため、多色の透明感を表現することができかった。
【0006】
加えて、透明感の色調を変更するには、都都度別色の有色材料で成形を行わなければならず、手間がかかるものであった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、水や埃、油などの溜まり、侵入を防止し、しかもデザイン面においても、透明部分から見える有色材料層の色目を多色に表現可能にし、かつ有色材料を別色で成形することなく多種の色を表現可能とした炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の炊飯器は、有底筒状の鍋収納部を有する炊飯器主体と、前記鍋収納部に着脱自在に配置した鍋と、この鍋を介して内容物を加熱する加熱手段と、前記炊飯器主体の上方を開閉自在に覆う外蓋とを具備し、前記外蓋は有色樹脂で成形されるとともに、前記有色樹脂と成形密着性のある透明樹脂、およびこの透明樹脂の表面を覆うフィルムで前記有色樹脂の表面に操作部を一体に成形し、さらに、前記フィルムは部分的に半透明としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、操作部外周の嵌合隙間に水や埃、油汚れ等がたまらなくするとともに、操作部内に設けた電子部品に外部からの水や油等の侵入を防止する防水処理を不要にする。
【0010】
また、デザイン面においても、透明部分から見える有色材料層の色目を多色に表現可能にし、かつ有色材料を別色で成形することなく多種の色を表現する炊飯器を提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、有底筒状の鍋収納部を有する炊飯器主体と、前記鍋収納部に着脱自在に配置した鍋と、この鍋を介して内容物を加熱する加熱手段と、前記炊飯器主体の上方を開閉自在に覆う外蓋とを具備し、前記外蓋は有色樹脂で成形されるとともに、前記有色樹脂と成形密着性のある透明樹脂、およびこの透明樹脂の表面を覆うフィルムで前記有色樹脂の表面に操作部を一体に成形し、さらに、前記フィルムは部分的に半透明とした。
【0012】
したがって、操作部は外蓋へ一体に成形され、操作部外周に嵌合隙間が存在しないところから、嵌合隙間に水や埃、油汚れ等は溜まらず、不衛生になることはない。また、嵌合隙間がないためにお手入れもしやすい。
【0013】
そして、外蓋と操作部は密着して一体に成形されているので、操作部内部に水や埃、異物等が侵入することはできず、浸入防止のため、防水処理等も不要となる。
【0014】
また、デザイン面においても、フィルムが半透明となっているために下層の有色樹脂の色があたかもフィルム半透明部の色であるかのごとく見える。このことは、外蓋の色と操作部の色を同じ有色樹脂を用いながらも別物であるかのような表現を可能にする。
【0015】
さらに、半透明色の部分を複数色設ければ、様々な色を表現することも可能であり、同じ有色樹脂から多色の表現を可能にする。
【0016】
第2の発明は、前記第1の発明において、外蓋の有色樹脂を白色として、最も多彩に色味が表現できるようにしたものである。
【0017】
第3の発明は、前記第1の発明において、操作部はフィルムおよび透明樹脂部のみからなる表示枠を有し、前記表示枠の内側で前記フィルムを透明とした透明窓を構成した。
【0018】
したがって、有色樹脂の色を操作部に見せることなく、透明窓と半透明部分を構成することができる。
【0019】
以下本発明の実施の形態を説明する。なお、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜4において、炊飯器主体1は、環状の枠体2で上方間隔部が閉じられた外装体3および内装体4からなり、前記内装体4の内部空間に鍋5が出入自在に収納されるようにしてある。
【0021】
内装体4は筒状の上保護枠6と有底筒状の下保護枠7とを一体化して構成されている。
【0022】
前記炊飯器主体1は、ヒンジカバー8で覆われたヒンジ9を中心に回動する蓋体10によってその上方が開閉されるようにしてあり、閉状態を保つ尾錠11を解放することによって、バネ12の作用で蓋体10が開く。勿論、蓋体10の急激な解放を防ぐための制動手段13が設けてある。
【0023】
前記蓋体10は、操作部14を配置した外蓋15と、アルミニウムなどの熱伝導性のよ
い材料からつくられ、鍋5の上方解放部を閉じる内蓋16とから構成してあり、それら外、内蓋15,16を連通して蒸気排出路17が形成してある。
【0024】
内蓋15はその上面に配置され、蓋温度センサー18で通電制御される蓋誘導コイル19で誘導発熱して内面での結露を防止するとともに、鍋内容物上面へ至る輻射熱を発生させて蒸気の発生を抑えるものである。
【0025】
内蓋15による鍋5の閉部、内、外蓋16,15と蒸気排出路17の接合部、蒸気排出路17の仕切部などには適宜パッキングが装着されている。
【0026】
ところで、前記鍋5は磁性材からなり、その外底面中央部および外底面外周部と対応する下保護枠9には主に炊飯時に付勢される誘導コイル20,21が、上部外周部と対応する上保護枠8には炊飯時と保温時に付勢される誘導コイル22がそれぞれ配置してある。
【0027】
さらに、下保護枠9は、誘導コイル20,21と近接した下方にフェライト23を備え、前記誘導コイル20,21で発生するとともに、下方向に至る磁力線を鍋5の方向に反射するようにしている。
【0028】
前記鍋5の外底面中央部には温度センサー24が当接しており、この検知結果、つまりは鍋5の温度の応じて電力供給部25から誘導コイル20,21,222の出力がコントロールされる。
【0029】
電力供給部25で発生する熱は、ファンモータ26により外気が供給されているヒートシンク27を介して放散されるものである。
【0030】
ところで、前記外蓋15は、その外郭を構成する有色樹脂28に成形密着性のある透明樹脂29、およびその表面を覆うフィルム30で構成され、操作部14を一体に成形しているものである。
【0031】
フィルム30は透明な基材で構成され、その片面に遮光色の印刷処理部31が施されているが、部分的には遮光色でない半透明色の印刷処理部32が施されている。
【0032】
半透明色の印刷処理部32は透明樹脂29を透過して、その下層にある有色樹脂28を目視可能にする。しかしながら、半透明色の印刷処理部32の色の影響にて、外部よりの視覚は、フィルム30を透過して、あたかも有色樹脂28が半透明色の印刷処理部32の色と有色樹脂28の合成色と同色であるかのごとく見える。
【0033】
すなわち、フィルム30の半透明色の半透明色の印刷処理部32により操作部14をさまざまな有色樹脂色で成形したかのごとく視認させることが可能となり、まるで有色樹脂28とは別物が存在するかのごとく視認させることができる。
【0034】
これにより、安価でかつ配色の自由度の高いデザインを可能にする。
【0035】
さらには、半透明色の部分を複数色設ければ、様々な色を表現することも可能であり、同じ有色樹脂から多色の表現を可能にする。
【0036】
ここで、有色樹脂28の色が白色であれば、彩度、明度とも最も自由度高く半透明部の色味を表現できる。
【0037】
前記操作部14には透明樹脂29とフィルム30のみからなる表示枠33が設けてある
。表示枠33周囲は半透明色の印刷処理部32が施してあり、また、同表示枠33よりおよそ0.5〜2mm程度内側でフィルム30を透明にし、透明窓34を構成している。
【0038】
表示枠33外周は半透明色の印刷処理部32により覆われているので、有色樹脂28の色が外観上目視されることがない。
【0039】
したがって、あたかも透明窓34は半透明色の印刷処理部32の半透明の色の部品で周囲を構成されているように見える。
【0040】
操作部14の内側は操作基板35が基板カバー36に覆われて設置されている。
【0041】
操作基板35上の液晶37は炊飯器の設定状態や動作状態を表示し、透明窓34を透過し目視可能になっている。
【0042】
また、操作部14は部分的にフィルム30のみの部分からなるエンボス部38を有している。
【0043】
このエンボス部38は上下に撓み、このエンボス部38と操作基板35上に設けたキートップ39、およびタクトSW40で操作スイッチを構成し、炊飯器を操作可能にしている。
【0044】
すなわち、操作部14は外蓋15へ一体に成形されており、その外周部41には嵌合隙間が存在しない。
【0045】
したがって、嵌合隙間に水や埃、油汚れ等は溜まらず、不衛生になることはなく、また、嵌合隙間がないために手入れもしやすい。
【0046】
そして、外蓋15と操作部14は密着して一体に成形されているので、操作部14の内部に水や埃、異物等が侵入することはできず、浸入防止のため防水処理等も不要となり、低コストで高品質の外蓋15を可能にする。
【0047】
基板カバーパッキン42は基板カバー36の外周部と外蓋15との間に設けたシールで、リブ43で挟持され、万が一、蓋体10内に蒸気が侵入しても基板35が結露しないようにしてある。
【0048】
本実施の形態の炊飯器の動作を一応述べておく。
【0049】
蓋10を開け、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋5に入れ、鍋収納部に内挿する。
【0050】
引き続き、そして操作部14の炊飯開始スイッチを使用者が操作すると、マイコンが炊飯開始スイッチよりの入力を受け、炊飯工程が実施される。
【0051】
このとき液晶37に動作状態が表示され、透明窓34を介して使用者に炊飯器の動作状態を知らせる。
【0052】
温度センサー24よりの信号を受けたマイコンは浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分された炊飯工程のそれぞれにおいて鍋5の内部の水と米の状態が適正値として設定された温度に所定時間に維持されるよう電力供給部25より通電される誘導コイル20,21などの通電量を出力として制御する。
【0053】
誘導発熱方式は、各誘導コイルに通電した高周波電流から発生する高周波磁界が金属を通過する際に誘導発熱を引き起こす。
【0054】
ここで、高周波電流を各誘導コイルへ供給する際、電気抵抗ロスおよび高周波発生時のスイッチングロスで自己発熱するが、この熱はアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク27を介して放熱される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように本発明にかかる炊飯器は、操作部外周の嵌合隙間に水や埃、油汚れ等がたまらなくするとともに、操作部内に設けた電子部品に外部からの水や油等の侵入を防止する防水処理を不要にするとともに、デザイン面においても、透明部分から見える有色材料層の色目を多色に表現可能にし、かつ有色材料を別色で成形することなく多種の色を表現できるもので、水を使用する機器に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の要部断面図
【図3】同炊飯器の上面図
【図4】同炊飯器の要部拡大断面図
【符号の説明】
【0057】
1 炊飯器主体
5 鍋
20,21,22 誘導コイル(加熱手段)
14 操作部
15 外蓋
28 有色樹脂
29 透明樹脂
30 フィルム
34 透明窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の鍋収納部を有する炊飯器主体と、前記鍋収納部に着脱自在に配置した鍋と、この鍋を介して内容物を加熱する加熱手段と、前記炊飯器主体の上方を開閉自在に覆う外蓋とを具備し、前記外蓋は有色樹脂で成形されるとともに、前記有色樹脂と成形密着性のある透明樹脂、およびこの透明樹脂の表面を覆うフィルムで前記有色樹脂の表面に操作部を一体に成形し、さらに、前記フィルムは部分的に半透明とした炊飯器。
【請求項2】
外蓋の有色樹脂を白色とした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
操作部はフィルムおよび透明樹脂のみからなる表示枠を有し、前記フィルムの表示枠と対応する部位を透明として透明窓を構成した請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−225817(P2009−225817A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71012(P2008−71012)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】