説明

炊飯器

【課題】炊飯動作中に発生する異常状態を検知可能な炊飯器において、炊飯動作中に発生する異常状態の回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供できるようにする。
【解決手段】シーケンス記憶手段5に記憶された炊飯シーケンスに合わせて制御手段2により加熱コイル12を制御し、炊飯器の状態をLCD23に表示し、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を異常状態検知手段6により検知し、異常状態検知手段6が異常状態を検知した炊飯動作回数を回数記憶手段7に記憶する。制御手段2は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD23に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯動作中に発生する異常状態を検知可能な炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能な家庭電化機器としてマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)を内蔵した各種機器が提供されている。高機能な家庭電化機器においては、使用者の選択した指令に応答して、マイコンに格納された対応する動作プログラムが起動し、使用者が望む動作が実行される。当該家庭電化機器においては、動作プログラムが起動することにより、各種動作が指定された順に稼働し、使用者の選択した所望の動作が実行される。
【0003】
しかし、家庭電化機器の動作中において、例えば使用者の誤操作、部品の故障、断線、停電等の異常状態が生じる場合がある。このように異常状態が生じた場合、使用者が指令した動作プログラムに従って忠実に実行できないため、動作プログラムに代わって安全性を確保しつつ動作を終了させるために特別なプログラムが実行されている。このような異常状態が生じた場合には、その異常状態を出来るだけ早く確実に検知して、使用者に通知する必要がある。そのため、家庭電化機器においては、各種センサを設けて異常状態を検知し、その異常状態を使用者に通知する手段を設けている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−41845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の炊飯器では、炊飯動作中に、炊飯動作が所定の時間内に、鍋の温度が所定の温度に達しないことを検知して、鍋に異物が付着している、もしくは、鍋と温度検知手段の間に米等の異物が介在することにより接触状態が異常であると検知している。
【0005】
そして、接触状態が異常であることを表示するものの、正常な鍋の温度を検知できずに炊飯動作を終了しているため、満足できる炊きあがりにならなかった。
【0006】
一方、製造上の問題により、例えば、温度検知手段の取り付けが不良なために、鍋と温度検知手段が正常に接触しない場合も、全く上記と同じ動作を行うことがある。
【0007】
そして、このような異常が鍋と温度検知手段の間に米等の異物が介在したことが原因、すなわち、使用者の使用誤りであるのか、製品不良が原因であるのか、炊飯器の制御手段では判定できず、同じ異常表示をするしか方法がないという問題を有していた。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、炊飯動作中に発生する異常状態の回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、炊飯器本体の上部を蓋で覆うとともに炊飯器本体の内部に鍋を収納し、この鍋を加熱手段により加熱し、鍋の温度を鍋温度検知手段により検知し、シーケンス記憶手段に記憶された複数の炊飯シーケンスから選択手段により任意のシーケンスを選択し、シーケンス記憶手段に記憶された炊飯シーケンスに合わせて制御手段により加熱手段を制御し、炊飯器の状態を表示手段に表示し、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を異常状態検知手段により検知し、異常状態検知手段が異
常状態を検知した炊飯動作回数を回数記憶手段に記憶するよう構成し、制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成したものである。
【0010】
これにより、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炊飯器は、炊飯動作中に正常な炊飯動作が行えなかった場合、その動作が異常状態なのか、製品に異常があるのかを判断して異常状態の表示を変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、炊飯器本体の上部を覆う蓋と、前記炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、複数の炊飯シーケンスを記憶するシーケンス記憶手段と、前記シーケンス記憶手段に記憶された複数の炊飯シーケンスから任意のシーケンスを選択する選択手段と、前記シーケンス記憶手段に記憶された炊飯シーケンスに合わせて前記加熱手段を制御する制御手段と、炊飯器の状態を表示する表示手段と、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を検知する異常状態検知手段と、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶する回数記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、前記表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、前記回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成したものであり、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0013】
第2の発明は、上記第1の発明において、制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしたものであり、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにできる。
【0014】
第3の発明は、上記第1の発明において、制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、少なくとも前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯シーケンスが選択手段で選択された場合に炊飯動作を停止するようにしたものであり、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにでき、製品に異常のない使用方法では使用可能にすることで、使い勝手のよい炊飯器を提供できる。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、炊飯中の工程時間を計時する計時手段を備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において前記計時手段により計時された時間が第1の所定の時間内に鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第1の所定の温度に到達しない場合に、前記鍋温度検知手段の温度検知が正常でない異常状態と判断するようにしたものであり、炊飯動作中の所定の工程において前記計時手段により計時された時間が第1の所定の時間内に鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第1の所定の温度に到達しない場合に、鍋温度検知手段が正常に鍋の温度を検知できなかったと判断し、鍋温度検知手段の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ鍋温度検知手段の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、鍋温度検知手段に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0016】
第5の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、沸騰を検知する沸騰検知手段と、炊飯中の工程時間を計時する計時手段とを備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において前記計時手段により計時された時間が第2の所定の時間内に前記沸騰検知手段により沸騰を検知しない場合に、前記沸騰検知手段が正常でない異常状態と判断するようにしたものであり、炊飯動作中の所定の工程において計時手段により計時された時間が第2の所定の時間内に記沸騰検知手段により沸騰を検知しない場合に、沸騰検知手段が正常に温度検知できなかったと判断し、沸騰検知手段の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ沸騰検知手段の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、沸騰検知手段に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0017】
第6の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、沸騰を検知する沸騰検知手段と、炊飯中の工程時間を計時する計時手段とを備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第2の所定の温度に達してから前記計時手段により計時された時間が第3の所定の時間内に前記沸騰検知手段により沸騰を検知した場合に、前記鍋温度検知手段が正常でない異常状態と判断するようにしたものであり、炊飯動作中の所定の工程において鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第2の所定の温度に達してから計時手段により計時された時間が第3の所定の時間内に沸騰検知手段により沸騰を検知した場合に、鍋温度検知手段が正常に温度検知できなかったと判断し、鍋温度検知手段の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ鍋温度検知手段の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、鍋温度検知手段に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の炊飯器の主要部ブロック図を示し、図2は、同炊飯器の断面図を示すものである。なお、図面を簡潔にするために、電気的接続のためのリード線等は省略している。
【0020】
図2に示すように、炊飯器本体10は、上面が開口する略円筒形に形成し、内部に鍋11を着脱自在に収納するため有底筒状の鍋収納部10aを有している。鍋収納部10aの底部には、鍋11を誘導加熱する加熱コイル(加熱手段)12を設けている。底温度セン
サー13は、鍋11の温度を検知するもので、鍋温度検知手段を構成しており、鍋11の底面と当接するよう付勢して装着し、炊飯および保温時の鍋11の温度を検知している。
【0021】
炊飯器本体10の上面開口部10bは、炊飯器本体10にヒンジ軸15により開閉自在に支持された蓋14で覆われている。蓋14に設けた蒸気口16は、炊飯中の蒸気を排出するものである。蓋14の下面には、鍋11に面した内蓋を構成する放熱板17を設け、この放熱板17上に蓋加熱手段である蓋ヒータ18を設け、放熱板17を加熱するようにしている。また、蓋温度センサー19は、放熱板17の温度を検知して沸騰を検知するもので、沸騰検知手段を構成しており、放熱板17に当接するように設けている。鍋パッキン20は、蓋14を閉じたときに、鍋11の上辺に当接し鍋11を密閉する。
【0022】
制御基板21は、図1に示すように、マイクロコンピュータ1などで構成される制御手段2を搭載し、インバータ回路3を介して加熱コイル12への電力供給を制御するとともに蓋ヒータ18への電力供給を制御し、底温度センサー13、蓋温度センサー19の信号を読み込み、かつ計時手段4とシーケンス記憶手段5とを有している。計時手段4は炊飯中の工程時間を計時するものであり、シーケンス記憶手段5は複数の炊飯シーケンスを記憶するものである。入力スイッチ22は、選択手段を構成し、シーケンス記憶手段5に記憶された複数の炊飯シーケンスから任意のシーケンスを選択するもので、使用者が操作時に用いるものである。制御基板21上には、炊飯器の状態を表示するLCD(表示手段)23や、操作時の入力受付報知や炊飯動作終了報知、再加熱動作終了報知のためのブザー(図示せず)を設けている。
【0023】
加熱基板24は、制御基板21からの制御信号を入力して、加熱コイル12への電力通電を制御するインバータ回路3を搭載するとともに、蓋ヒータ18への電力通電を制御する駆動手段(図示せず)を搭載している。
【0024】
異常状態検知手段6は、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を検知するものであり、回数記憶手段7は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶するものである。
【0025】
ここで、制御手段2は、シーケンス記憶手段5に記憶された炊飯シーケンスに合わせて加熱コイル12を制御するとともに、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数(例えば、3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしている。
【0026】
このとき、異常状態検知手段6は、炊飯動作中の所定の工程(例えば、炊き上げ工程)において、計時手段4により計時された時間が第1の所定の時間(例えば、炊き上げ終了時間)内に底温度センサー(鍋温度検知手段)13により検知した鍋11の温度が第1の所定の温度(例えば、炊き上げ終了温度)に到達しない場合に、底温度センサー13の温度検知が正常でない異常状態と判断するようにしている。
【0027】
上記構成において図3を参照しながら動作を説明する。図3は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。
【0028】
図3のステップS1にて動作を開始すると、制御手段2はステップS2にて前炊き工程を行った後、ステップS3に進み炊き上げ工程に入る。ステップS4にて底温度センサー13にて検知した鍋11の温度が鍋炊き上げ終了温度に到達したかを判定し、鍋炊き上げ終了温度に到達していなければステップS5に進み、炊き上げ終了時間に到達したかを判定する。ステップS5にて炊き上げ終了時間に到達していなければステップS3に戻り、
ステップS3からステップS5の動作を繰り返す。ステップS5にて炊き上げ終了時間に到達するまでに、ステップS4にて炊き上げ終了温度に到達するとステップS6に進み、ステップS6にてむらし工程を行った後、ステップS7に進み、終了する。
【0029】
一方、ステップS4にて炊き上げ終了温度に到達する前に、ステップS5にて炊き上げ終了時間に到達すると、異常状態検知手段6は底温度センサー13の温度検知が正常でない異常状態と判断し、ステップS8に進み異物炊飯工程に入る。そして、ステップS9にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数に1をプラスし、ステップS10にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)以上かどうかを判定する。
【0030】
ステップS10にて、記憶回数が所定回数(3回)以上でなければステップS11に進み、ステップS11にてLCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、その後、ステップS12に進んで炊飯動作を停止して終了する。ステップS10にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)を超えた場合にはステップS13に進み、ステップS13にてLCD(表示手段)23に炊飯器異常である異常表示(H12)を行い、その後、ステップS14に進んで炊飯動作を停止して終了する。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段2は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更するよう構成したので、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0032】
また、制御手段2は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにしたので、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにできる。
【0033】
また、異常状態検知手段6は、炊飯動作中の所定の工程(炊き上げ工程)において、計時手段4により計時された時間が第1の所定の時間(炊き上げ終了時間)内に底温度センサー13により検出された鍋11の温度が第1の所定の温度(炊き上げ終了温度)に到達しない場合に、底温度センサー13の温度検知が正常でない異常状態と判断するようにしたので、炊飯動作中の所定の工程において、底温度センサー13の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ鍋温度検出手段の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、底温度センサー13に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0034】
(実施の形態2)
図1に示す制御手段2は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更し、異常状態検知手段6が異常状態を検知し
た炊飯シーケンスが入力スイッチ(選択手段)22で選択された場合に炊飯動作を停止するようにしている。他の構成は上記実施の形態1と同じである。
【0035】
上記構成において図4を参照しながら動作を説明する。図4は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。なお、ステップS1からステップS14までの動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0036】
図4のステップS1にて動作を開始し、ステップS15にて入力スイッチ(選択手段)22を入力し、ステップS16にて、入力スイッチ22で選択された炊飯シーケンスが異常状態検知手段6により異常状態を検知した炊飯シーケンスであるかどうかを判定し、異常状態検知手段6が異常状態を検知した炊飯シーケンスでなければ、ステップS2に進み、以降、上記実施の形態1の動作と同じ動作を行う。
【0037】
ステップS16にて、入力スイッチ(選択手段)22で選択された炊飯シーケンスが異常状態検知手段6により異常状態を検知した炊飯シーケンスであれば、ステップS17に進み、ステップS17にてLCD(表示手段)23に炊飯器異常である異常表示(H12)を行い、その後、ステップS18に進んで炊飯動作を停止して終了する。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、制御手段2は、異常状態検知手段6が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、LCD(表示手段)23に異常状態による炊飯動作である異常炊飯表示(U12)を行い、回数記憶手段7に記憶された回数が所定回数(3回)を超えた場合には炊飯器異常である異常表示(H12)に表示を変更し、異常状態検知手段6が異常状態を検知した炊飯シーケンスが入力スイッチ(選択手段)22で選択された場合に炊飯動作を停止するようにしているので、炊飯動作中に、正常な炊飯動作が行えなかった場合、その回数を記憶して、同じ異常状態が連続する場合は、製品に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるとともに、製品に異常がある場合には製品の異常が拡大しないようにでき、製品に異常のない使用方法では使用可能にすることで、使い勝手のよい炊飯器を提供できる。
【0039】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3における炊飯器の炊飯器の主要部ブロック図を示すものである。
【0040】
図5に示すように、蓋温度センサー19は、放熱板17の温度を検知して沸騰を検知するもので、沸騰検知手段を構成している。異常状態検知手段6は、炊飯動作中に発生する異常状態を検知するもので、炊飯動作中の所定の工程(例えば、炊き上げ工程)において計時手段4により計時された時間が第2の所定の時間(例えば、沸騰検知終了時間)内に蓋温度センサー19により沸騰を検知しない場合に、蓋温度センサー19が正常でない異常状態と判断するようにしている。他の構成は上記実施の形態1または2と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
上記構成において図6を参照しながら動作を説明する。図6は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。なお、ステップS1からステップS3、ステップS6、ステップS7、ステップS9およびステップS10の動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0042】
図6のステップS1にて動作を開始すると、制御手段2はステップS2にて前炊き工程を行った後、ステップS3に進み、炊き上げ工程に入る。ステップS19にて蓋温度センサー19にて検知した蓋14の温度が沸騰検知温度に到達したかを判定し、沸騰検知温度に到達していなければステップS20に進み、沸騰検知終了時間に到達したかを判定する
。ステップS5にて沸騰検知終了時間に到達していなければステップS3に戻り、ステップS3、ステップS19、ステップS20の動作を繰り返す。ステップS20にて沸騰検知終了時間に到達するまでに、ステップS19にて沸騰検知温度に到達するとステップS6に進み、ステップS6にてむらし工程を行った後、ステップS7に進み、終了する。
【0043】
一方、ステップS19にて沸騰検知温度に到達する前に、ステップS20にて沸騰検知終了時間に到達すると、異常状態検知手段6は蓋温度センサー19の温度検知が正常でない異常状態と判断し、ステップS21に進み沸騰検知誤動作炊飯工程に入る。そして、ステップS9にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数に1をプラスし、ステップS10にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)以上かどうかを判定する。
【0044】
ステップS10にて、記憶回数が所定回数(3回)以上でなければステップS22に進み、ステップS22にてLCD(表示手段)23に沸騰検知誤動作による炊飯動作である異常炊飯表示(U13)を行い、その後、ステップS23に進んで炊飯動作を停止して終了する。ステップS10にて回数記憶手段7に記憶されている記憶回数が所定回数(3回)を超えた場合にはステップS24に進み、ステップS24にてLCD(表示手段)23に炊飯器異常である異常表示(H13)を行い、その後、ステップS25に進んで炊飯動作を停止して終了する。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、異常状態検知手段6は、炊飯動作中の所定の工程(炊き上げ工程)において計時手段4により計時された時間が第2の所定の時間(沸騰検知終了時間)内に蓋温度センサー19により沸騰を検知しない場合に、蓋温度センサー19が正常でない異常状態と判断するようにしたので、炊飯動作中の所定の工程(炊き上げ工程)において計時手段4により計時された時間が第2の所定の時間(沸騰検知終了時間)内に蓋温度センサー19により沸騰を検知しない場合に、蓋温度センサー19が正常に温度検知できなかったと判断し、蓋温度センサー19の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ蓋温度センサー19の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、蓋温度センサー19に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【0046】
(実施の形態4)
図5に示す異常状態検知手段6は、炊飯動作中の所定の工程(例えば、炊き上げ工程)において底温度センサー(鍋温度検知手段)13により検知した鍋11の温度が第2の所定の温度(例えば、計時開始温度)に達してから計時手段4により計時された時間が第3の所定の時間(例えば、沸騰検知最低時間)内に蓋温度センサー(沸騰検知手段)19により沸騰を検知した場合に、底温度センサー13が正常でない異常状態と判断するようにしている。他の構成は上記実施の形態1〜3と同じである。
【0047】
上記構成において図7を参照しながら動作を説明する。図7は、本実施の形態における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャートを示すものである。なお、ステップS1、ステップS2およびステップS6からステップS14の動作は、上記実施の形態1の動作と同じであるので説明を省略する。
【0048】
図7のステップS1にて動作を開始すると、制御手段2はステップS2にて前炊き工程を行った後、ステップS26に進み炊き上げ工程1に入る。ステップS27にて底温度センサー13にて検知した鍋11の温度が計時開始温度に到達したかを判定し、計時開始温度に到達していなければステップS26に戻り、ステップS26とステップS27を繰り返す。ステップS27にて底温度センサー13にて検知した鍋11の温度が計時開始温度
に到達するとステップS28に進み、計時手段4による計時を開始する。
【0049】
ついで、ステップS29に進み合数判定工程に入り、ステップS30にて蓋温度センサー19により検知した温度が沸騰検知温度に到達したかを判定する。蓋温度センサー19により検知した温度が沸騰検知温度に到達していなければステップS29に戻り、ステップS29とステップS30を繰り返す。ステップS30にて蓋温度センサー19にて検知した温度が沸騰検知温度に到達するとステップS31に進む。ステップS31で沸騰検知最低時間に到達しているかを判定し、沸騰検知最低時間に到達していればステップS32に進み、炊き上げ工程2を行った後、ステップS6に進み、ステップS6にてむらし工程を行った後、ステップS7に進み、終了する。
【0050】
ステップS31で沸騰検知最低時間に到達していなければ、異常状態検知手段6は、底温度センサー13が正常でない異常状態と判断し、ステップS8に進み異物炊飯工程に入る。そして、上記実施の形態1と同様に、ステップS9からステップS14の動作を行う。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、異常状態検知手段6は、炊飯動作中の所定の工程(炊き上げ工程)において底温度センサー(鍋温度検知手段)13により検知した鍋11の温度が第2の所定の温度(計時開始温度)に達してから計時手段4により計時された時間が第3の所定の時間(沸騰検知最低時間)内に蓋温度センサー(沸騰検知手段)19により沸騰を検知した場合に、底温度センサー13が正常でない異常状態と判断するようにしたので、炊飯動作中の所定の工程において底温度センサー13により検知した鍋11の温度が第2の所定の温度(計時開始温度)に達してから計時手段4により計時された時間が第3の所定の時間(沸騰検知最低時間)内に蓋温度センサー19により沸騰を検知した場合に、底温度センサー13が正常に温度検知できなかったと判断し、底温度センサー13の温度検知異常により正常な炊飯動作が行えなかったことが使用者にわかるように表示でき、その回数を記憶して、同じ底温度センサー13の温度検知異常が連続する場合は、使用者の取り扱いが問題ではなく、底温度センサー13に異常があると判断して製品異常表示に変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯動作中に正常な炊飯動作が行えなかった場合、その動作が異常状態なのか、製品に異常があるのかを判断して異常状態の表示を変更し、使用者に正確な異常状態の情報を提供することができるので、炊飯動作中に発生する異常状態を検知可能な炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の主要部ブロック図
【図2】同炊飯器の断面図
【図3】同炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態3における炊飯器の主要部ブロック図
【図6】同炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態4における炊飯器の誤動作表示動作のフローチャート
【符号の説明】
【0054】
2 制御手段
5 シーケンス記憶手段
6 異常状態検知手段
7 回数記憶手段
10 炊飯器本体
11 鍋
12 加熱コイル(加熱手段)
13 底温度センサー(鍋温度検知手段)
14 蓋
22 入力スイッチ(選択手段)
23 LCD(表示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体の上部を覆う蓋と、前記炊飯器本体の内部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、複数の炊飯シーケンスを記憶するシーケンス記憶手段と、前記シーケンス記憶手段に記憶された複数の炊飯シーケンスから任意のシーケンスを選択する選択手段と、前記シーケンス記憶手段に記憶された炊飯シーケンスに合わせて前記加熱手段を制御する制御手段と、炊飯器の状態を表示する表示手段と、炊飯動作中に発生する誤操作、誤動作などの異常状態を検知する異常状態検知手段と、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯動作回数を記憶する回数記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、前記表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、前記回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、炊飯動作を停止するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
制御手段は、異常状態検知手段が異常状態を検知した場合に、炊飯動作終了後、表示手段に異常状態による炊飯動作である異常状態表示を行い、回数記憶手段に記憶された回数が所定回数を超えた場合には炊飯器異常である異常表示に表示を変更し、少なくとも前記異常状態検知手段が異常状態を検知した炊飯シーケンスが選択手段で選択された場合に炊飯動作を停止するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
炊飯中の工程時間を計時する計時手段を備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において前記計時手段により計時された時間が第1の所定の時間内に鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第1の所定の温度に到達しない場合に、前記鍋温度検知手段の温度検知が正常でない異常状態と判断するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
沸騰を検知する沸騰検知手段と、炊飯中の工程時間を計時する計時手段とを備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において前記計時手段により計時された時間が第2の所定の時間内に前記沸騰検知手段により沸騰を検知しない場合に、前記沸騰検知手段が正常でない異常状態と判断するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
沸騰を検知する沸騰検知手段と、炊飯中の工程時間を計時する計時手段とを備え、炊飯動作中に発生する異常状態を検出する異常状態検知手段は、炊飯動作中の所定の工程において鍋温度検知手段により検知した鍋の温度が第2の所定の温度に達してから前記計時手段により計時された時間が第3の所定の時間内に前記沸騰検知手段により沸騰を検知した場合に、前記鍋温度検知手段が正常でない異常状態と判断するようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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