説明

炊飯器

【課題】本願発明の目的は、底部コイルとともによりコーナーコイル全体を同様に冷却することができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】内鍋、前記内鍋を支持する内ケース、前記内ケースの下方に設けられるコイル台、前記内ケースと前記コイル台との間で前記内ケースの底部及び湾曲部に対向して設けられるワークコイル及び冷却ファンを有する炊飯器本体と、前記炊飯器本体に対し開閉自在な蓋体とを有する炊飯器であって、前記コイル台は、外周部が湾曲した皿形状で、前記冷却ファンに対向する側の外周部に開口部を有し、前記冷却ファンの冷却風は分流され、その一部は前記開口部から前記内ケースと前記コイル台との間を通り、前記コイル台の外周部で前記内ケースの湾曲部に沿って誘導される構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、炊飯器に関し、特に、ワークコイルを有効に冷却する冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器としては、金属製の内鍋を用い、該内鍋を内ケース(保護枠)内に収納し、内ケースの下部に設けられ内鍋に電磁誘導を発生させる電磁誘導コイルにより内鍋を発熱させ、炊飯量に適した最適な炊飯を行うものが知られている。
【0003】
また、ご飯の炊き上がりをより良好ならしめるために、内鍋として、非金属材料からなる内鍋(例えば、土鍋、セラミック鍋あるいは炭鍋)を用い、内鍋の底部および底部近傍に誘導発熱体を設け、該誘導発熱体を電磁誘導コイルから発生する磁界により発熱させて内鍋を加熱ものも知られている。
【0004】
ところで、内鍋に金属鍋を用いたものでも炊飯器本体内の温度が上がるため冷却ファンによる冷却は必要となる。ところが、土鍋を用いる炊飯器では、土鍋の熱伝導の悪さから炊飯器本体内により熱が籠もり易くなり、炊飯器本体内に熱が籠もると部品の温度が上昇し、炊飯時、特におこげ選択時に必要な十分な電力をかけることが出来ない場合が生じる。いずれにしても冷却ファンで部品等をいかに効率よく冷却するかは喫緊の問題である。また、冷却風で内ケースの上方まで冷却すると、かえって内鍋の上方の温度が低下し、内鍋の内側に露が発生し、その露でご飯が白ボケする問題が新たに生じる。
【0005】
本出願人は、加熱手段である底部コイル及びコーナーコイルからなるワークコイルの冷却に関するものを提案している。
【0006】
その冷却技術の要部を図6に示す。図に示すものは冷却風が流れるコイル台1の平面図である。炊飯器は誘導加熱式のもので、図示しない内ケースの底部に対向する箇所に底部コイルを、内ケースの底部から側部を繋ぐ湾曲部に対向する箇所にコーナーコイルをそれぞれ配置し、図に示すコイル台1を内ケースに取り付けることにより、底部コイル及びコーナーコイルをコイル台1に立設する複数のリブ2と内ケースに立設する図示しないリブとの間で挟持する。
【0007】
また、コイル台1には、冷却ファンからの冷却風をガイドする円弧状の壁体3、4、5が外周端より内側にほぼ同心状に立設され、更に壁体3と壁体4との間の開口に対向してコイル台1の外周端に他の壁体6が立設されている。なお、7はコイル台に一体のフェライトコア収納部、8はコイル台1と内ケースとをビスで連結するためのビス孔である。
【0008】
壁体3と壁体5との間の開口から矢印(イ)で示すように図示しない冷却ファンからの冷却風がコイル台1と内ケースの間の内部空間に導入され、該空間に配置される底部コイルを冷却する。
【0009】
次いで、矢印(ロ)で示すように冷却風は、壁体3と壁体4との間の開口より前記内部空間の外に排出される。内部空間の外に排出された冷却風は、壁体6に衝突し、向きを変え矢印(ハ)で示すように上方に誘導されたり、或いは矢印(ニ)、(ホ)で示すように左右方向に誘導され、主として矢印(ハ)で示すように上動する冷却風によりコーナーコイルが冷却される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−325868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1のものは、外周端の壁体6で冷却風を上動させ、コーナーコイルを冷却するが、構成上、冷却されるコーナーコイルはどうしても壁体6の上方のものに限られる。また、矢印(ニ)、(ホ)で示すように左右方向に流れる冷却風は、その一部は上方のコーナーコイルに向かうものもあるが、その多くは図4に示すような炊飯器の底部材の後方側に設けられる排気口から排気されるというように、コーナーコイルを冷却する冷却風の量は必然的に少なくなる。このように、上記特許文献1のものは、コーナーコイルに対する冷却が必ずしも十分とはいえない。更に、冷却風はほぼ直角に向きを変えるため、壁体6の上方にコーナーコイルを配置する必要があるというように、設計の自由度が狭まるという問題を有している。
【0012】
本願発明の目的は、底部コイルとともによりコーナーコイル全体をほぼ同様に冷却することができる炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0014】
請求項1に係る発明では、内鍋、前記内鍋を支持する内ケース、前記内ケースの下方に設けられるコイル台、前記内ケースと前記コイル台との間で前記内ケースの底部及び湾曲部に対向して設けられるワークコイル及び冷却ファンを有する炊飯器本体と、前記炊飯器本体に対し開閉自在な蓋体とを有する炊飯器であって、前記コイル台は、外周部が湾曲した皿形状で、前記冷却ファンに対向する側の外周部に開口部を有し、前記冷却ファンの冷却風は分流され、その一部は前記開口部から前記内ケースと前記コイル台との間を通り、前記コイル台の外周部で前記内ケースの湾曲部に沿って誘導される構成を特徴とする。
【0015】
請求項2に係る発明では、更に、前記コイル台の上方に、前記内ケースを隙間を有して取り囲む環状の遮蔽板を更に有し、前記コイル台の外周部で前記内ケースの湾曲部に沿って誘導される冷却風は、前記内ケースと前記遮蔽板との間を通る構成を特徴とする。
【0016】
請求項3に係る発明では、更に、前記遮蔽板の上方に、前記内ケースを取り囲む環状の断熱材を更に有し、前記内ケースと前記遮蔽板との間を通る冷却風は、前記断熱材に当たり方向を変える構成を特徴とする。
【0017】
請求項4に係る発明では、更に、前記断熱材は、前記遮蔽板で支持される構成を特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、コイル台を外周部が湾曲した皿形状とし、冷却ファンに対向する側の外周部に湾曲部を削除した開口部を形成し、分流される冷却風の一部を前記開口部から内ケースとコイル台との間に誘導し底部コイルを冷却し、その後底部コイルを冷却したほとんどの冷却風をコイル台の湾曲した外周部(湾曲部)で内ケースの湾曲部に沿って上動させることにより、底部コイルを冷却したより多くの冷却風をコーナーコイルを冷却するために利用することができるとともに、後方のコーナーコイルは勿論のこと左右側のコーナーコイルも含め広い範囲のコーナーコイルを冷却することができる。また、冷却風は、コーナーコイルに対し下方から上方に向かってコーナーコイルに沿うように流れるため、コーナーコイルを配置するための設計の自由度を高めることができる。
【0019】
請求項2に係る発明では、コイル台の上方に、内ケースを隙間を有して取り囲む環状の遮蔽板を設け、コイル台の外周部で内ケースの湾曲部に沿って誘導される冷却風を、内ケースと遮蔽板との間を通るようにすることにより、請求項1に係る発明の効果に加え、コーナーコイルに沿って流れる風の分散を防止することができ、その結果、コーナーコイルをより十分に冷却することができる。
【0020】
請求項3に係る発明では、遮蔽板の上方に、内ケースを取り囲む(隙間なし)環状の断熱材を設け、内ケースと遮蔽板との間を通る冷却風を、断熱材に当てて方向を変える。その結果、冷却風は排気口に近づく方向に変流されるため、請求項2に係る発明の効果に加え、内ケース上方の断熱材による断熱効果の低下を防止することができる。また、風の流れは、断熱材の下端部に沿って内ケース外方に流れ、その後排気口方向に向かうというように炊飯器本体内での冷却風の流れが良好になり、その結果、冷却効率を向上することができる。
【0021】
請求項4に係る発明では、断熱材を遮蔽板で支持することにより、断熱体の支持を安定させることができる。なお、この場合、炊飯器の後方側では遮蔽板は断熱材を支持していない、即ち、断熱材と遮蔽板との間には、冷却風の出口となる隙間が設けられている。このような形態にすることにより、排気口への冷却風の流れをより良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の炊飯器の全体断面図
【図2】本願発明のコイル台を斜め上方からみた斜視図
【図3】本願発明の内ケースを斜め下方からみた斜視図
【図4】本願発明の底部材を下方からみた図
【図5】従来の内ケースを斜め下方からみた斜視図
【図6】従来のコイル台を上からみた図
【実施例】
【0023】
図1は炊飯器の全体断面図を示し、図2はコイル台を斜め上方からみた斜視図を示し、図3は内ケースを斜め下方からみた斜視図を示し、図4底部材を下方からみた図を示す。なお、炊飯器の表示パネル側(図1の左側)を前方側、ヒンジ機構側(図1の右側)を後方側とし、前後方向側に直交する側(図1の紙面に直交する側)を左右側とする。
【0024】
炊飯器Sは、図1に示すように大別して、内部に内鍋である土鍋50を収納可能な炊飯器本体40と、該炊飯器本体40の上部開口を開閉自在な蓋体20とからなる。
【0025】
蓋体20は、合成樹脂製の部材であり、上面を形成する上板21と、下面を形成する下板22を有する。そして、上板21と下板22とは、それぞれの周端部が当接する形態で形成されている。
【0026】
蓋体20の中央部には、調圧部材23が着脱自在に設けられる。この調圧部材23は、蒸気通路24、蒸気弁25及び蒸気口26を有し、炊飯時、土鍋50内の過剰な蒸気を蒸気口26から外部に放出する。
【0027】
前記下板22の下方には、内蓋27が着脱自在に取り付けられる。この内蓋27には、後記の肩部材43に取り付けられる肩ヒータ47からの熱を受け、ふきこぼれや露付きを防止したり等する。また、この内蓋27の外周縁には、シールパッキン28が狭持され、蓋体20の閉蓋時、前記土鍋50の上縁部に当接し、土鍋50内の熱の逃げを防止している。
【0028】
蓋体20の後方側には、ヒンジ機構30が設けられる。ヒンジ機構30は、肩部材43に取り付けられるヒンジピン31と、該ヒンジピン31に嵌合され、その一端を肩部材43に支持し、その他端を蓋体20に支持するばね32とを有し、炊飯器Sの前方側上部に設けられる蓋ロック部材33を押圧するとばね32の力により蓋体20は後方側に開放する。
【0029】
炊飯器本体40は、外壁を形成する外ケース41、該外ケース41内にあり内壁を形成する保護枠でもある内ケース42、それら内外ケース41、42の上端部を形成する肩部材43、及び炊飯器Sの底部を形成する底部材44からなる。
【0030】
前記外ケース41は、ステンレス等の金属製で上下開口の円筒状部材であり、炊飯器Sの胴部を形成する。前記肩部材43は、樹脂製、例えばポリプロピレン(PP)等からなり、炊飯器本体40の上部の肩部を形成する部材であり、その後方側にはヒンジ機構30及び取手45が設けられる。
【0031】
炊飯器本体40の内部に設けられる前記内ケース42は、上方が開口される容器状の樹脂製部材であり、その上端部には、肩部材43との間で断面略矩形状で平面視環状の空間46が形成され、その空間46内には両端が繋がっていない略環状の肩ヒータ47が設けられる。そして、内ケース42の内部には、非金属製内容器である焼成セラミックスやガラスなどからなる陶磁器製の土鍋50が収納される。土鍋50の底部には、後記する底部コイル55及びコーナーコイル56に対向する箇所には例えば銀ペースト等の金属製の誘導発熱体が貼設され、底部コイル55及びコーナーコイル56により誘起される渦電流によって発熱する。
【0032】
また、内ケース42の底部内面にはドーナツ状のセラミックプレート51が設けられ、下方への熱の逃げを防止している。内ケース42の中央部には中央口42d(図3)が設けられており、該中央口42dと、セラミックプレート51の中央の穴を貫通する形態でセンターセンサ52が設けられ、そのセンターセンサ52の先端は土鍋50の底部に当接し、土鍋50の温度を検知する。
【0033】
前記内ケース42は、略垂直な側部42aと、略水平な底部42bと、側部42aと底部42bとの間の湾曲部42cを有し、前記側部42aの外周面には保温ヒータ53及び断熱材54が設けられる。断熱材54は、保温ヒータ53を覆い、側部42aの外周面にほぼ隙間なく設けられ、且つ前記湾曲部42cの近傍まで延設される厚みを有する環状の部材であり、内ケース42の側部42aから外方への熱の逃げを防止するとともに、後記するようにその下端部で冷却風の流れを排気口44bに近づく方向に変える。
【0034】
内ケース42の底部42b及び湾曲部42cの外方には、底部コイル55及びコーナーコイル56からなるワークコイルが設けられる。そして、土鍋50を内ケース42内にセットし、炊飯用のスイッチを押すと、センターセンサ52がオンし、底部コイル55及びコーナーコイル56が通電し、渦電流に起因したジュール熱により土鍋50が加熱され、飯米等の内容物の炊飯が行われる。
【0035】
図3に示すように、内ケース42の底部42b及び湾曲部42cの外面には、複数個のケース底部リブ57及びケース側部リブ58、更には複数個、この例では4個のビス取付ボス59が設けられており、底部コイル55及びコーナーコイル56は、後記するコイル台65が図示しないビスにより内ケース42に取り付けられるとコイル台65に設けられる台底部リブ66b及び台側部リブ72との間で挟持され支持される。
【0036】
炊飯器本体40の前方上部には、各種スイッチを有する表示パネル60が設けられ、表示パネル60上の各種スイッチを操作することによりユーザーが望む炊飯等が実行される。また、炊飯器本体40内には、IGBT等の発熱素子を冷却する冷却フィン61a、並びに該冷却フィン61a等に冷却風を送る冷却ファン61が設けられ、炊飯器本体40内を含め必要箇所を冷却する。
【0037】
前記冷却ファン61は水平に配置されており上方に向かって冷却風を吐出しており、該冷却ファン61の略中央には、制御基板62を支持する支持部材63が立設され、更に該支持部材63の下方には後方側(内ケース42側)に延びる断面(図1に直交する断面)略矩形状の導風ダクト64が設けられており、冷却ファン61の冷却風は、該支持部材63により制御基板62に沿った上方の流れ(矢印(2)方向)と、導風ダクト64に沿った水平方向で内ケース42方向(矢印(3)方向)に向かう流れとに分流される。
【0038】
前記内ケース42の周りに内ケース42との間に隙間を有して環状の遮蔽板48が設けられる。この遮蔽板48は、断熱材54の下方で、且つコイル台65の上方に位置し、少なくともコーナーコイル56を包囲しており、ワークコイルの電磁波或いはノイズを遮蔽する部材である。なお、前記断熱材54の下端は、その多くの部分が遮蔽板48の上端に当接し支持されており、断熱材54の下方への移動を防止している。なお、後記するように排気口44bが底部材44の後方側に設けられるため、少なくとも後方側の遮蔽板48の上端部と断熱材54の下端部との間には冷却風が通るための隙間48aが設けられる。そして、図1に示すように内ケース42と遮蔽板48との間を通り、断熱材54の下端部に衝突する冷却風を隙間48aから排気口44bに近づく方向(後方側)に変える。
【0039】
底部材44には、図4に示すようにその前方側であって前記冷却ファン61に対向する箇所に吸気口44aが設けられるとともに、この後方側に後方側の広い範囲に亘って排気口44bが設けられており、冷却ファン61による冷却風を吸気口44aより導入し、制御基板62及び底部コイル55、コーナーコイル56等を冷却し、排気口44bより排出される。また、底部材44には、4個のビス貫通口44cが設けられる。
【0040】
符号65はコイル台であり、その斜視図を図2に示す。コイル台65は、底部66、湾曲部67及びフェライトコア収納部68を有する樹脂製の皿状(フェライトコア収納部68を除いた形状)部材である。
【0041】
前記底部66は、その中央にセンターセンサ取付部69を有し、その内面の外周側に複数個の補強リブ66aを有し、補強リブ66aの領域に4個のビス貫通口70を有し、センターセンサ取付部69と補強リブ66aとの間に補強リブ66aより上方に位置する複数個の台底部リブ66bを有する略水平状の部分である。前記4個のビス貫通口70には、図示しないビスが図2の紙面と反対側から挿入され、内ケース42に設けられる4個のビス取付ボス59のビス穴に螺合される。その結果、コイル台65は内ケース42に一体に連結される。
【0042】
前記湾曲部67は、底部66の外周部に相当する部分であり、内ケース42の湾曲部42cと略同形の円弧状(必ずしも同形でなくてもよいが、同形がベストである。)として形成されており、冷却風を内ケース42の湾曲部42cに沿った流れにする。
【0043】
前記フェライトコア収納部68は、底部66から湾曲部67にかけての部分と、その部分から上方に円弧状に突き出た部分とからなり、略等間隔に4個設けられる。このフェライトコア収納部68には磁束を強めるためのフェライトコアが挿入される。このフェライトコアは、例えば酸化鉄を主原料とし、高透磁率の材料を焼結したものであり、ワークコイルの磁束を増幅させる。
【0044】
このフェライトコア収納部68の上方内面には、コーナーコイル56を挟持するための台側部リブ72が設けられ、また、このフェライトコア収納部68のそれぞれの側部には、底部材44を取り付けるためのビス取付ボス71が形成される。そして、前記底部材44の4個のビス貫通口44cには、図示しないビスが図4の紙面の上方側から挿入され、コイル台65に設けられる4個のビス取付ボス71のビス穴に螺合される。その結果、底部材44はコイル台65に一体に連結される。
【0045】
また、コイル台65の湾曲部67の部分であって導風ダクト64に対向する部分には湾曲部67が形成されない前記底部66と略面一の開口部67a(図2に示す冷却風の入口領域R)が形成される。その結果、開口部67aから矢印(イ)のように底部66に導入される冷却風は湾曲部67により矢印(ロ)、(ハ)、(ニ)のように全ての湾曲部67の箇所から上方へ滑らかに方向が変えられる。
【0046】
冷却風の流れ等について説明する。炊飯器Sを逆さまにし、内ケース42の底部42bのケース底部リブ57上に底部コイル55を置き、内ケース42の湾曲部42cのケース側部リブ58上にコーナーコイル56を置き、更にその上にコイル台65を置く。すると、底部コイル55の上には台底部リブ66bが位置し、コーナーコイル56の上には台側部リブ72が位置する。その後、コイル台65の4個のビス貫通口70からビスを挿入し、そのビスを内ケース42の4個のビス取付ボス59のビス穴に螺合し、コイル台65を内ケース42に一体に連結する。
【0047】
その後、冷却ファン61等を所定の位置に取付、底部材44を取り付ける。底部材44の取り付けは、4個のビス貫通口44cにビスを挿入し、そのビスをコイル台65に設けられる4個のビス取付ボス71のビス穴に螺合し、底部材44をコイル台65に一体に連結する。
【0048】
炊飯器Sが組み立てられると、図1に示すように底部コイル55の上下に冷却風通路が形成される。冷却ファン61が駆動されると、冷却風は、矢印(1)で示すように底部材44の吸気口44aから導入され、支持部材63により矢印(2)で示すように制御基板62側と、矢印(3)で示すように導風ダクト64側とに分流される。
【0049】
導風ダクト64側に分流された冷却風は、導風ダクト64内を通り、コイル台65の入口領域Rである開口部67aより内ケース42とコイル台65との間に浸入し、その間に挟持される底部コイル55を冷却する。底部コイル55を冷却した冷却風は、矢印(4)で示すように湾曲部67で上方で且つ内ケース42の湾曲部42cに沿った方向に流れが誘導され、次いで、矢印(5)で示すように内ケース42と遮蔽板48との間の隙間48aを通りコーナーコイル56を冷却する。
【0050】
その後、冷却風は、断熱材54の下端部に衝突してそれ以上の上動が阻止され、内ケース42の上方部が必要以上に冷やされる弊害を防止する。断熱材54の下端部に衝突した冷却風は、断熱材54の下端部に沿って外方に流れ、矢印(6)で示すように遮蔽板48の上端部と断熱材54の下端部との間に形成される隙間48aを通って遮蔽板48の外方に流れ、その後矢印(7)で示すように底部材44の後方側に形成される排気口44bより外部に排出される。即ち、断熱材54の下端部に衝突する冷却風は、排気口44bに近づく方向に流れを変えるため、排気口44bからの排出がスムーズになり、その結果、冷却効率が向上する。
【0051】
なお、図5に示すように、従来は、底部材44を取り付けるためのビス取付ボス71を内ケース42の側部42aに取り付けていた。そのため、内ケース42の側部42aの面積がビス取付ボス71の分だけ小さくなり、その結果、保温ヒータ53及び断熱材54を設ける面積が小さくなって側部の保温が十分に行われないという弊害を有していた。上述したように、本願発明は、コイル台65に底部材44を取り付けるためのビス取付ボス71を設け、このビス取付ボス71を利用して底部材44を取り付けているため、内ケース42の側部42aの面積を大きくすることができ、その結果、保温ヒータ53及び断熱材54を広い範囲に設けることができるようになり、側部の保温を十分に行うことができるようになる。
【0052】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能であり、例えば内鍋は土鍋で説明したが、金属製等のものでもよい。
【符号の説明】
【0053】
S…炊飯器 20…蓋体
21…上板 22…下板
23…調圧部材 24…蒸気通路
25…蒸気弁 26…蒸気口
27…内蓋 28…シールパッキン
30…ヒンジ機構 31…ヒンジピン
32…ばね 33…蓋ロック部材
40…炊飯器本体 41…外ケース
42…内ケース 42a…側部
42b…底部 42c…湾曲部
42d…中央口 43…肩部材
44…底部材 44a…吸気口
44b…排気口 44c…ビス貫通口
45…取手 46…空間
47…肩ヒータ 48…遮蔽板
48a…隙間 50…土鍋
51…セラミックプレート 52…センターセンサ
53…保温ヒータ 54…断熱材
55…底部コイル 56…コーナーコイル
57…ケース底部リブ 58…ケース側部リブ
59…ビス取付ボス 60…表示パネル
61…冷却ファン 61a…冷却フィン
62…制御基板 63…支持部材
64…導風ダクト 65…コイル台
66…底部 66a…補強リブ
66b…台底部リブ 67…湾曲部
67a…開口部 68…フェライトコア収納部
69…センターセンサ取付部 70…ビス貫通口
71…ビス取付ボス 72…台側部リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋、前記内鍋を支持する内ケース、前記内ケースの下方に設けられるコイル台、前記内ケースと前記コイル台との間で前記内ケースの底部及び湾曲部に対向して設けられるワークコイル及び冷却ファンを有する炊飯器本体と、前記炊飯器本体に対し開閉自在な蓋体とを有する炊飯器であって、
前記コイル台は、外周部が湾曲した皿形状で、前記冷却ファンに対向する側の外周部に開口部を有し、
前記冷却ファンの冷却風は分流され、その一部は前記開口部から前記内ケースと前記コイル台との間を通り、前記コイル台の外周部で前記内ケースの湾曲部に沿って誘導されることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記コイル台の上方に、前記内ケースを隙間を有して取り囲む環状の遮蔽板を更に有し、前記コイル台の外周部で前記内ケースの湾曲部に沿って誘導される冷却風は、前記内ケースと前記遮蔽板との間を通ることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記遮蔽板の上方に、前記内ケースを取り囲む環状の断熱材を更に有し、前記内ケースと前記遮蔽板との間を通る冷却風は、前記断熱材に当たり方向を変えることを特徴とする請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記断熱材は、前記遮蔽板で支持されることを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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