説明

炊飯器

【課題】排気温度が高くなる異常モードになった場合でも動作が停止せずやけどの危険があるという課題があった。
【解決手段】送風手段11の回転数を検知する回転数検知手段22と、送風手段11と一端を連結するとともに他端を外気と連通する排気口とした送風経路15と、一端を送風経路15と連結するとともに他端を鍋内と連通させた蒸気経路16と、回転数検知手段22の出力信号が異常回転数を超えた時に報知する報知手段を具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯中に排出される蒸気の低温化をはかった炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の炊飯器を、図4、図5において説明する。40は炊飯器本体、41は調理物を入れる鍋、42は前記鍋を加熱する加熱手段、43は鍋41の開口部を閉止する蓋、44は前記蓋43内に設けられた蒸気通路で、一端を鍋41の開口部空間と連結し、もう一方は排気口45に連結され鍋41内で発生した蒸気を外気へ放出させる。46は送風手段で吸気口47より外気を取り込み、炊飯中に排出される蒸気へ送風して蒸気の濃度を下げ、空気混合蒸気を蓋本体の前方に排出するようにしたもの(例えば、特許文献1参照)、あるいは空気混合蒸気を蓋本体の上方から排出するようにしたもの(例えば、特許文献2参照)、などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第1823119号公報
【特許文献2】特許第3560203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、排気温度が高くなる異常状態になった場合でも動作が停止せず、やけどの危険があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、排気温度が高くなる異常モードになった場合機器を確実に停止しさらに安全性を高めたとともに、送風量を安定化させ排気温度の機体間バラツキを抑える炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、鍋を加熱する鍋加熱手段と、炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、蓋本体内に配置された送風手段と、送風手段の一方に連結された吸気口と送風手段に設けられた送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、送風手段の一端を連結するとともに他端を外気と連通する排気口とした送風経路と、一端を送風経路と連結するとともに他端を鍋内と連通させた蒸気経路とを備え、回転数検知手段の出力信号が異常回転数を超えた時に報知する報知手段を具備した炊飯器である。
【0007】
これによって、吸気口または排気口に異物が詰る等の現象が発生し送風径路の抵抗が上昇すると送風手段から発生する気流が減少し、排気口から排出される排気温度が上昇する。送風経路の抵抗が大きくなると送風手段の回転数が上昇する、即ち、排気口から排出される排気温度と送風手段の回転数には相関がある。したがって、排気温度が所定の温度になった時の送風手段の回転数を異常回転数と設定することで、前記送風手段の回転数が異常回転数より高くなった場合、排気温度が所定の温度になったと判断し報知手段より報知することで安全性を高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、排気温度が高くなる異常モードになった場合、機器を確実に停止しさらに安全性を高めるとともに、送風量を安定化させ排気温度の機体間バラツキを抑える
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態における炊飯器側面の断面図
【図2】同炊飯器上面の部分断面図
【図3】本体設定のフローチャート
【図4】同炊飯器送風手段の回転数の変化グラフ
【図5】従来の炊飯器側面の断面図
【図6】従来の炊飯器上面の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記蓋本体内に配置された送風手段と、前記送風手段の一方に連結された吸気口と前記送風手段に設けられた前記送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、前記送風手段の一端を連結するとともに他端を外気と連通する排気口とした送風経路と、一端を前記送風経路と連結するとともに他端を鍋内と連通させた蒸気経路とを備え、前記回転数検知手段の出力信号が異常回転数を超えた時に報知する報知手段を具備した炊飯器とするものである。
【0011】
これによって、吸気口または排気口に異物が詰る等の現象が発生し送風径路の抵抗が上昇すると送風手段から発生する気流が減少し、排気口から排出される排気温度が上昇する。送風経路の抵抗が大きくなると送風手段の回転数が上昇する、即ち、排気口から排出される排気温度と送風手段の回転数には相関がある。したがって、排気温度が所定の温度になった時の送風手段の回転数を異常回転数と設定することで、前記送風手段の回転数が異常回転数より高くなった場合、排気温度が所定の温度になったと判断し報知手段より報知することで安全性を高めることができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明において、回転数検知手段より出力された信号を記憶する記憶手段を具備し、送風手段の回転数を検知するとともに検知回転数を前記記憶手段に回転数Aとして記憶する異常回転数検知工程を有し、前記回転数Aにあらかじめ定められた回転異常閾値を加えるかまたは乗じて異常回転数を算出したことで、送風手段の部品ばらつきや組み付けバラツキを補正し、排気温度と送風手段の回転数の相関を高め異常判定の制度を向上させたものである。
【0013】
第3の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記蓋本体内に配置されるとともに回転数制御装置を備えた送風手段と、前記送風手段の回転数を検知し、あらかじめ定められた前記送風手段の基準回転数と比較し、検知回転数と基準回転数の差分を算出し、算出した差分を記憶手段にて記憶させる工程を有し、前記差分によって、前記送風手段の回転数を補正する回転数補正手段とを備えたことで、気流の量の安定化をはかり排気温度のバラツキを抑えるものである。
【0014】
第4の発明は、特に、第2の発明において、差分によって、送風手段の回転数を補正した後、送風手段の回転数を検知し、検知された回転数を記憶手段に回転数Aとして記憶することで排気温度のバラツキを抑えるとともに送風手段の部品ばらつきや組み付けバラツキを補正し、排気温度と送風手段の回転数の相関を高め異常判定の制度を向上させたものである。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示している。
【0017】
図に示すように、本実施の形態における炊飯器は、炊飯器本体1と、炊飯器本体1内部に形成された鍋収納部1aに収納される鍋2と、炊飯器本体1の開口部を開閉可能に炊飯器本体1に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋2の開口部を覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部を密閉可能な略円盤状の内蓋4と、鍋2を誘導加熱する鍋加熱装置5とを有している。
【0018】
炊飯器本体1の鍋収納部1aは、炊飯器本体1の上部開口の内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。
【0019】
コイルベース1cの外周面には、鍋加熱装置5を構成する底内コイル5aと底外コイル5bとが取り付けられている。底内コイル5aは、コイルベース1cを介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外コイル5bは、コイルベース1cを介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0020】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられており、当該開口部分には、鍋2の温度を測定するための鍋温度検知装置の一例である鍋温度センサ6が鍋2の底部に当接可能に配置されている。
【0021】
炊飯器本体1内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御装置7が設置されている。制御装置7は、例えば蓋本体3に設けられた操作パネル(図示せず)を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0022】
炊飯器本体1の前壁上部(図1の左側上部)には、蓋本体3のフック8に係合可能なフック1dが設けられている。フック1dと上枠1bとの間にはバネ1eが設けられている。フック1dは、バネ1eにより前方(図1の左側)に付勢されている。
【0023】
蓋本体3には、蓋温度検知装置の一例である内蓋温度センサ9と、内蓋加熱装置10と、ヒンジ軸Aと、ファンなどよりなる送風手段11と、送風手段吸気側11aと外気を連通させる吸気口12と、送風手段11からの気流を蓋本体3外側へ導出する排気口13と、送風手段排気側11bと排気口13とを連通接続する送風経路15と、鍋2と送風経路15とを連通接続する蒸気経路16とが設けられている。また、送風手段11には送風手段11の回転数を知らせるパルス出力をだす出力手段11c(図示せず)を備えている。さらに、送風手段11はPWM信号により回転数を可変できる構成を有している。
【0024】
内蓋加熱装置10は、蓋本体3内に設置され、制御装置7の制御により内蓋4を誘導加熱するよう構成されている。ヒンジ軸Aは、蓋本体3の開閉軸であり、炊飯器本体1の上枠1cに両端部を回動自在に固定されている。蓋本体3はヒンジ軸Aの近傍に設けた回動バネ(図示せず)により回動する。送風手段11および送風経路15は、蓋本体3の後部でヒンジ軸Aに近い場所に組み込まれて配置されている。吸気口12は蓋本体3の横側面に複数のスリット上の穴で構成されている。
【0025】
送風経路15は、略直線状に送風手段11と排気口13を連結しており、断面積もほぼ均一である。蒸気経路16は、鍋2内の余分な蒸気を送風経路15へと排出できるように、一端を内蓋4の蒸気口4aと連通接続し、他端を送風経路14の排気口13と送風手段
11との間の下部の一部と連通接続している。
【0026】
内蓋4の一部は、誘導加熱が可能なステンレスなどの金属で構成されており、蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4aを設けている。内蓋4の外周部の鍋2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるとき、鍋2と密接する略環状の内蓋パッキン17が取り付けられている。内蓋パッキン17は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0027】
蓋本体3の外表面には、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を表示する表示手段18と、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を行うための操作ボタン19が搭載されている。
【0028】
20は炊飯プログラムを記憶し実行するためのコンピューターで、前記送風手段11の回転数を知らせるパルス出力を出す出力手段11cの信号を読取り、送風手段11の回転数を検知する回転数検知手段22(図示せず)を構成している。また、コンピューターから出力される信号に基づきPWM信号を、送風手段11に伝達し、送風手段11の回転数を制御する回転数制御手段21(図示せず)を構成している。23は本体が動作中のデーターを読み込みあるいは書き込みができる記憶手段である。記憶手段23には、あらかじめ、送風手段11の基準回転数23a及び回転異常閾値23bが記憶されている。
【0029】
操作ボタン19の操作により、炊飯器本体1に内蔵された制御装置7に内蔵された炊飯プログラムが実行され、前記鍋加熱装置5、内蓋加熱コイル10を炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施するとともに、送風装置11に関しても、制御装置7により、炊飯工程に連動して、動作、停止が制御されることとなる。
【0030】
本体が組み立てられた後、図3に示すフローチャートの基づき本体設定を行なう。まず、操作ボタン19を操作し回転数設定工程24にする。回転数設定コース24を開始すると、コンピューター20より信号を発し、送風手段11が回転を始める。送風手段11の回転数が安定する時間(本発明では4秒に設定)経過後に回転検知手段22によって送風手段11の回転数25の検知を行なう。
【0031】
記憶手段23に記憶されている、基準回転数23aと検知された回転数24の差分25を算出し、前記差分26を記憶手段23に記憶する。これで回転数設定工程24は完了する。回転数設定工程24完了後、回転数検知工程27に進む。
【0032】
回転数検知工程27では、差分26により、PWM信号を可変させ送風手段11の回転数を補正し、この補正した回転数を回転数A28として記憶手段22に記憶することで終了する。回転数設定工程27が完了後、待機状態に戻り本体設定が完了する。
【0033】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0034】
鍋2内に所定の米と水をセットし、操作ボタン19で、炊飯メニューを選択し、炊飯開始ボタンを押下することで、炊飯工程が開始される。炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、鍋2を鍋加熱装置5により一気に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、鍋2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程の間に米の糊化を進めて炊飯する。制御装置7は鍋底センサ5により鍋2の温度に応じて最適に鍋加熱装置5を制御し、あらかじめ決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。炊飯プログラムは米の種類などによって複数のコースが準備されている。この蒸らし工程が終了すると炊飯が終了し、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようにして、使用者がいつでも温かいご飯を得られる。
【0035】
炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
【0036】
炊飯が開始されると、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御装置7は、鍋加熱装置5により鍋2を加熱し、鍋2内の水の温度を鍋底センサ5によって検知し、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。
【0037】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御装置7は、鍋加熱装置5を動作させて鍋2を急速に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態とする。このとき連続的に沸騰が生じて蒸気が大量に発生する。発生した蒸気が鍋2を充満すると、余分な蒸気は蒸気経路16に入り込み、送風経路15内に入り込む。制御装置7は、鍋2内の水が沸騰したことを鍋温度センサ6により検知し、送風手段(ファン)11を動作させる。送風手段(ファン)11は吸気口12から外気を吸い込み、室温の空気を送風経路15へと導入する。蒸気経路16から送風経路15へ導かれた蒸気は室温の空気と混合され、この空気と蒸気の混合流体が、蓋本体3の側面の排出口13から外へと排出される。空気と混合することで、蒸気の濃度を低減することができるので、排出される混合流体の温度は低下する。この時、差分25のデーターによってPWM信号を可変させ、送風手段11の回転数を補正させることで、本体バラツキを吸収できるため排気温度が安定する。
【0038】
また、低温下で炊飯した時などは、排気口13部に排気された蒸気が結露し水滴が付着することがある。この場合、送風経路15の抵抗が増加し機体のバラツキにより、送風手段11の回転数が回転異常閾値23bをも上回る場合がある。この時、排気の蒸気温度が所定温度よりも下回っている場合でも異常と判断し鍋加熱装置5通電を停止してしまうため炊飯が停止してしまうためご飯が生炊きになる課題が生じることがあった。
【0039】
本実施の形態では送風手段11として、シロッコファンを使用している。シロッコファンは送風径路15の抵抗が増加すると気流の量が減少し、シロッコファンが空回りするため回転数が上昇する。
【0040】
送風手段11の回転数の変化を図4に示す。図のX軸は送風経路15に異物などが無い状態での送風手段11の回転数、Y左軸は排気温度が60℃になった時の送風手段11の回転数、Y右軸は排気温度が60℃になった時の送風手段11の回転数の増加を示している。グラフ中31は、排気温度が60℃になった時の送風手段11の回転数、32は排気温度が60℃になった時の送風手段11の回転数の増加を示している。
【0041】
図4より明らかなように、送風手段11の回転数の増加量を送風手段11の回転数を検知し、検知された回転数を記憶手段21に回転数A28として記憶する回転数検知工程を有したことで、送風手段11の部品ばらつきや組み付けバラツキを補正し、排気温度と送風手段11の回転数の相関を高め異常判定の精度を向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態は、蓋本体3に、送風手段11、送風経路15を設置しているので蓋本体3の重量は増加するが、送風手段11、送風経路15をヒンジ軸Aに近い場所に配置し、重心がヒンジ軸Aに近づいているので、蓋本体3を開く際に必要な力を小さくすることができ、蓋本体3の回動バネ(図示せず)の力を増やす必要がなくなる。このことにより、回動バネの力が大きいと蓋本体3が炊飯器本体1に対して略90度の角度まで開ききった場合に大きな力が働いて、鍋2が空の場合には炊飯器本体1が浮き上がってしまいがちになるという不具合も低減することができ、使い勝手の良い炊飯器を提供することができる。
【0043】
また、蓋本体3の後半部分に送風手段11、送風経路15を収めているので、蓋本体3
後半の厚みは増えるが、前半部は厚みが増えることはなく、蓋本体3の大型化を最小限に留めることができる。
【0044】
以上の構成により、本実施の形態の炊飯器は、空気と蒸気の混合流体を排出する排気口13を蓋本体3の横側面に設置し、排気口13に排気方向規制手段14を設けることで、横側面の排気口13から斜め前方向に混合気流を排出することができ、棚の中に炊飯器本体を収納して炊飯しても、棚内に蒸気が滞留しにくく、棚材の劣化、制御手段7への悪影響を低減した炊飯蒸気の冷却機能を備えた炊飯器を提供することが可能となる。また、送風手段11、送風経路15を蓋本体3の後半部分に組み込んで、蓋本体3の大型化を抑え、さらに重心をヒンジ軸Aに近づけているので、蓋本体3の回動バネを強くする必要が無く、蓋開操作時に炊飯器本体1が浮くなどの不具合が無く、使い勝手も良い炊飯蒸気の冷却機能を備えた炊飯器を提供できる。
【0045】
なお、送風手段11から排出される空気が排気口13に向けてほぼ直線に流れる構成であるため、送風手段11が有する単体の送風性能に対して、蓋本体3内に組み込んだ場合の送風性能の低下を最小限に抑えることができるので、排気方向規制手段14により圧力損失増加し風量が低下しても、十分な蒸気冷却性能を確保することができる。
【0046】
なお、本実施の形態は、吸気口12および排気口13を蓋本体3の横側面に設けることによって、誤って蓋本体3上方から液体などが落下した場合でも送風経路15に落下した液体などが進入して送風手段11に液体などが付着することを低減することができる。
【0047】
なお、送風手段11を蓋本体3の後部左に、排気口13を蓋本体3の後部右側面に配置したが、逆に、送風手段11を蓋本体3の後部右、排気口13を蓋本体3の後部左側面に配置する構成をとってもよく、両方の仕様を用意することで、使用者が炊飯器の設置環境に合わせて利便性のある仕様を任意に選択することができる。
【0048】
なお、蒸気経路16の少なくとも一部は着脱自在に設けられていると、おねばの通りやすい通路である、蒸気経路16のお手入れが容易に可能となるのでよいし、蒸気経路16の着脱はできなくとも蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れ行うときに蓋を開けることで可能となるような構成でもよい。
【0049】
なお、送風手段11は蒸気の排出時に動作して、蒸気の濃度を下げることができれば、鍋温度センサ6の検知温度に依存せず、炊き上げ工程に入って一定温度で動作を開始、または内蓋温度センサ9など他のセンサの検知温度によって動作開始でもよい。
【0050】
なお、送風経路15の少なくとも一部は着脱自在に設けられていると、通常よりも多い水量で炊飯された場合など異常使用時におねばや水が送風経路15に入り込んだ場合でも、お手入れが容易となるのでよいし、送風経路15の着脱はできなくとも蓋を設けて、汚れやすい部分のお手入れ時に蓋を開けることで可能となるような構成でもよい。
【0051】
なお、蒸気経路16は送風経路15の底面と接続しているが、送風経路15の側面の底面近くでも同様の効果が見込めるし、送風経路15のその他の部分に接続してリブを付加するなどしても蒸気と空気が略均一に混合できればよい。
【0052】
なお、吸気口12は送風手段11の種類に合わせて送風手段11の性能が十分発揮できるように圧力損失が少なくなるように設ければよく、位置や形状は異なってもよい。また、蓋本体3内部は気密空間になっていないことが多く、外気とどこかでつながっているので、送風手段11の送風に支障がなければ、吸気口12を特に設けることなく、従来から存在する蓋本体3と外気との連通した隙間を吸気口12としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、蒸気の冷却機能に関するものであるので、他の蒸気を排出する調理機器の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
3 蓋本体
11 送風手段
13 排気口
14e ダクト
15 送風経路
16 蒸気経路
20 コンピューター
23 記憶手段
24 回転数設定工程
27 周波数検知工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記蓋本体内に配置された送風手段と、前記送風手段の一方に連結された吸気口と前記送風手段に設けられた前記送風手段の回転数を検知する回転数検知手段と、前記送風手段の一端を連結するとともに他端を外気と連通する排気口とした送風経路と、一端を前記送風経路と連結するとともに他端を鍋内と連通させた蒸気経路とを備え、前記回転数検知手段の出力信号が異常回転数を超えた時に報知する報知手段を具備した炊飯器。
【請求項2】
回転数検知手段より出力された信号を記憶する記憶手段を具備し、送風手段の回転数を検知するとともに検知回転数を前記記憶手段に回転数Aとして記憶する異常回転数検知工程を有し、前記回転数Aにあらかじめ定められた回転異常閾値を加えるかまたは乗じて異常回転数を算出する請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の内部に形成された鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を開閉可能な蓋本体と、前記蓋本体内に配置されるとともに回転数制御装置を備えた送風手段と、前記送風手段の回転数を検知し、あらかじめ定められた前記送風手段の基準回転数と比較し、検知回転数と基準回転数の差分を算出し、算出した差分を記憶手段にて記憶させる工程を有し、前記差分によって、前記送風手段の回転数を補正する回転数補正手段とを備えた炊飯器。
【請求項4】
差分によって、送風手段の回転数を補正した後、前記送風手段の回転数を検知し、検知された回転数を記憶手段に回転数Aとして記憶する請求項2に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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