説明

炊飯器

【課題】鍋径を炊飯容量の少ないタイプに合わせて同径とし、鍋高さを変えることにより、本体形状を変えることなく、炊飯容量の多いタイプでも、少ないタイプと同じ設置面積になり、コンパクトにすることができる炊飯器を提供すること。
【解決手段】本体30と前記本体30内に着脱自在に収納される鍋32と、前記本体30内に設けられた前記鍋32を加熱する加熱手段37と、前記本体30の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋45と、前記加熱手段37を制御する加熱基板40と、前記加熱基板40を冷却するヒートシンク43を備え、前記本体30高さに応じて使用する前記ヒートシンク43を複数個積み重ねることで、各容量に適した冷却性能を確保することができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、図7,8は特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。図7において、胴部102a及び底部102bを一体に形成した外ケース102と内ケース(保護枠ともいう)103と肩部104とからなる炊飯器本体101と、前記内ケース103内に出し入れ自在に収納されるもので磁性体金属材料からなる内鍋105と、該内鍋105を加熱する加熱手段1010と、炊飯器本体101の底壁を形成する底部材106と、炊飯器本体の内部空間107(つまり外ケース101と内ケース103と肩部104と底部材106とで囲まれた空間部)に収納された電源接続用のコードリール150と、前記炊飯器本体101の上部開口101aを被蓋する蓋120などを備えている。炊飯器本体101の後部に蓋120を開閉自在に枢着したヒンジ部124の下方位置における炊飯器本体101の内部空間7には、電源コードの回転軸線が水平位置になるように、縦向きに配置したコードリール150と、このコードリール150を結合した取付部材160とを備え、前記取付部材160の一方側はコードリール150に取り付けるとともに、他方側は炊飯器本体101の肩部104に取り付け、該コードリール150を取付部材160を介して炊飯器本体101の肩部104にネジ止めにて吊持させるようにしている。
【0003】
図8において、取付部材160の側板162は、上部が幅広で下部を幅狭とし、かつ外郭が略Y字形とした脚部167と、この脚部167の片側上部に連続形成した羽根部168とを有している。そして、前記脚部167の下部には、コードリール150の取付高さを調節するための複数の取付穴170、171、172・・・が上下方向に穿設してあり、これらの取付穴170、171、172・・・を高さ調節部169としてある。
【0004】
そして、取付部材160の脚部167に形成した高さ169たる取付穴170〜172のいずれかをコードリール150の雌ネジ部155に螺合した場合に、前記高さ調節部174たる取付穴175〜177のいずれかに対応するように設けてある。つまり、170から171までの距離と175から176までの距離、及び171から172までの距離と176から177までの距離とは同一としてあり、肩部104に取り付けた取付部材160に対して取付穴170,171、172によりコードリール150の高さを調節した場合に、その調節ストロークに対応して、取付穴175、176、177のいずれかにネジ178で止め、コードリール150は炊飯器本体101に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−298505号公報
【特許文献2】特開平10−99191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の構成では、炊飯容量により高さの異なる複数のモデル(例えば、1.8Lと1.0L)を製造する場合には、全モデルにコードリール取付部材を取り付け、複数の異なるコードリール取り付け位置を、モデルごとに取付部材の高さ調節部の取付穴を変えて、ネジ止めを行う構成が記載されている。一方、前記のような容量違いの炊飯器を製造する場合には、容量違いで発生する各部品に必要な冷却性能の違いを考慮し、容量違いによる最適な冷却性能を確保しなければならないという課題を発生していた。
【0007】
特許文献2には、ヒートシンクを積み重ねて冷却性能を確保する構成が記載されているが、ヒートシンクの複数個重ねる事で、冷却ファンを廃止できる事の記載のみであり、容量違いに応じて発生する冷却性能の違いについてどのように最適な冷却性能を確保していくのかの具体的な方法は記載されていない。
【0008】
また、ヒートシンクを複数個重ねることにより、ヒートシンク同士の接触面の熱伝導が一つのヒートシンクの熱伝導よりも低下するため、この接触面の熱伝導の向上させるという課題が発生していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯容量が異なる複数のモデルにおいて、容量違いで発生する冷却性能の違いを各々の容量に応じた最適な冷却性能を確保すると共に、加熱制御基板の生産性を向上させ、設置面積が同一で各種容量違いを実現することで、設置面積のコンパクトな炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、上面を構成する上枠と側面および底面を構成するボディとを有する本体と、本体内に着脱自在に収納される鍋と、本体内に設けられた鍋を加熱する加熱手段と、加熱手段を制御する制御装置を有する加熱基板と、加熱基板を冷却するヒートシンクを備え、本体高さに応じて使用するヒートシンクとを複数個積み重ねたものである。
【0011】
これにより、炊飯容量が異なることにより、本体の高さの異なる複数のモデルを製造する場合には、容量が少なく製品高さの低いモデルには、ヒートシンクを1個設置し、高さの高いモデルには、ヒートシンクを複数積み重ねて設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器は、炊飯容量により高さの異なる複数のモデルを製造する場合において、積み上げるヒートシンクの数に応じて、各容量に応じた冷却性能を確保できると共に、ヒートシンクをファンモーターに固定した場合、高さの異なるモデルに対して、ヒートシンクがファンモーターのスペーサの役割も兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における炊飯器の要部斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加熱制御基板の組立図
【図6】従来例の炊飯器本体の断面図
【図7】従来例の炊飯器本体の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、上面を構成する上枠と側面および底面を構成するボディとを有する本体と、本体内に着脱自在に収納される鍋と、本体内に設けられた鍋を加熱する加熱手段と、本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋と、加熱手段を制御する制御装置を有する加熱基板と、加熱基板を冷却するヒートシンクを備え、本体高さに応じて使用するヒートシンクを複数個積み重ねることにより、本体高さの高いモデルにはヒートシンクを複数個積み重ねて使用し、本体高さの低いモデルはヒートシンクを1個使用することで、本体高さの違うモデルでも同一基板を使用でき、更にヒートシンクの使用数により冷却能力を変動させることができる。
【0015】
第2の発明は、特に第1の発明のヒートシンクに加熱基板を冷却する冷却ファンを固定することにより、冷却ファンからの送風を本体高さによらず、効率良くヒートシンクに送ることができる。
【0016】
第3の発明は、特に第1または2の発明のヒートシンクは第1のヒートシンクを加熱基板に設置し、その他のヒートシンクは、第1のヒートシンクと冷却ファンに挟持することにより、ヒートシンク間の固定と冷却ファンの固定を同時にできると共にヒートシンク間の隙間を一定に保つ事ができヒートシンク間の熱伝導をも安定化することができる。
【0017】
第4の発明は、特に第1〜3の発明のいずれか1つの発明の第1のヒートシンクと冷却ファンを固定する固定ネジが、その他のヒートシンクの位置決めするものである。
【0018】
第5の発明は、特に、第1〜4の発明のいずれか1つの発明のヒートシンクは接触面形状を同一にしたことにより、ヒートシンク間の熱伝導を向上させることができる。
【0019】
第6の発明は、特に、第1〜5の発明のいずれか1つの発明の各々のヒートシンク接触面に熱伝達材を設けることにより、ヒートシンクの接触面の形状バラツキを吸収する事で、安定した冷却性能を確保することができる。
【0020】
第7の発明は、上面を構成する上枠と側面および底面を構成するボディとを有する本体と、本体内に着脱自在に収納される鍋と、本体内に設けられた鍋を加熱する加熱手段と、本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋と、加熱手段を制御する制御装置を有する加熱基板と、加熱基板に設置される主ヒートシンクと、主ヒートシンクに結合される従ヒートシンクと、主ヒートシンクと従ヒートシンクとを冷却する冷却ファンと、従ヒートシンクを貫通して主ヒートシンクと冷却ファンを接続する固定ねじとを備えたもので、炊飯容量が異なることにより、本体の高さの異なる複数のモデルを製造する場合には、容量が少なく製品高さの低いモデルには、主ヒートシンクを1個設置し、高さの高いモデルには、主ヒートシンクと従ヒートシンクを複数積み重ねて設けることができる。さらに、主ヒートシンク、従ヒートシンク間の固定と冷却ファンの固定を同時にできると共に主ヒートシンク、従ヒートシンク間の熱伝導を安定化することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。
【0023】
図1において、炊飯器本体30は上面を構成する上枠33と側面および底面を構成するボディ34でその外郭が構成されており、上枠33は円筒状の穴部33a有し、穴部33aより連なる筒状で保護枠胴35と皿状の保護枠36により有底筒状の内鍋収納部30aを構成し、着脱自在に内鍋32を収納する。保護枠36の底部には底誘導コイル37を配置し、底誘導コイル37の外側には、内鍋32底部の底誘導加熱コイル37と側面部の底誘導コイル37の間を磁気結合する目的で磁性材料にて構成された底フェライト38を複数配置している。底誘導コイル37が内鍋加熱手段であり、誘導加熱方式は、各誘導コイルに通電した高周波電流から発生する高周波磁界が被加熱金属を通過する際に誘導加熱を引き起こし発熱することにより、内鍋32を誘導加熱し炊飯・保温を行う。底誘導コイル37の下方には反射板56を設けており、底誘導コイル37からの高周波磁界が炊飯器本体30の外部に漏れ出すのを防止し、周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0024】
保護枠36の下方には、内鍋32と当接し、内鍋32の温度検知をする内鍋温度検知手段である底センサー39を配置している。内鍋32は上枠33に配設している上枠キャップ59により支持され、底誘導加熱コイル37との距離を保っている。内鍋32の側面部には、内鍋側面部の加熱手段である側面誘導加熱コイル51を配置している。
【0025】
蓋45は炊飯器本体30上部を形成する開閉自在で、蓋45が閉じている状態では、フックレバー48により炊飯器本体30に支持されている。蓋45の下部には、蓋加熱板52を配置し、内部には蓋加熱手段である蓋誘導加熱コイル(図示しない)と蓋温度検知手段である蓋センサー(図示しない)を配設している。外蓋45内面には、内鍋フランジ部32aと当接する内鍋パッキン55を配設し、内鍋32内の調理物が加熱されることにより発生する蒸気等が漏れないようにシールをしている。なお、底誘導加熱コイル37、側面誘導加熱コイル51、蓋誘導加熱コイルはヒーターであっても良い。
【0026】
上枠33には、炊飯器を操作するための入力装置を備えた操作制御基板57が配設されている。
【0027】
各加熱手段を制御する制御装置を備えた加熱制御基板40は、加熱制御基板用基板ベース41に支持され、上枠33の下方に垂直に保護枠36に固定している。前述の各基板はフェノール積層板、加熱制御基板用基板ベース41は難燃性樹脂でできている。加熱制御基板40に配設された加熱電力送出部42はアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク43を有し、ヒートシンク43に外気を送風する冷却ファン44が取り付けてある。
【0028】
ヒートシンク43と冷却ファン34について、詳細に構成を説明すると、まず加熱制御基板40の特に冷却が必要である電子部品に冷却性能を最大限確保するために、ヒートシンク43はこの電子部品に直接ネジ固定を行い、その電子部品付きヒートシンク43を加熱制御基板40に固定している。また、このヒートシンク43に効果的に冷却風を接触させるために、ヒートシンク43に冷却ファン44を固定している。
【0029】
上枠33の本体後方の上面にはヒンジ部33bが設けられており、蓋45がヒンジ部33bに取り付けたヒンジ軸46にて軸支され、開閉自在に本体上面を覆っている。ヒンジ部33bには、ヒンジバネ47が蓋45と炊飯器本体30双方に係合するように取り付けてあり、蓋45に対し開放する方向の付勢力を有している。そして、ヒンジ部33bの後部は、ヒンジカバ−58がその外郭を覆い、外部よりヒンジ軸46やヒンジバネ47が見えないようにしている。
【0030】
従来は、炊飯容量の異なる炊飯器では、炊飯容量の少ない炊飯器の鍋よりも炊飯容量の多い炊飯器の鍋の方が、鍋径が大きくなり、設置面積も大きくなっていたが、本実施の形態は、炊飯容量の多い方の鍋径を炊飯容量の少ない方に合わせて同径とし、本体形状を変えることなく、炊飯容量の多い方でも少ない方と同じ設置面積にするために、炊飯容量の多い方の鍋高さを高くしたものである。
【0031】
以上のように構成された炊飯器について、以下その作用を説明する。
【0032】
まず、加熱制御基板40とヒートシンク43の固定は前述した構成であるが、この構成にするには、加熱制御基板40に電子部品を設置する工程で、電子部品付きヒートシンク43も設置しておかなくてはならない。図5に示すように、例えば加熱制御基板を一つのシートで4枚取りの加熱制御基板40を生産する場合、ヒートシンク43は、加熱制御基板40の面積内にヒートシンク43を収めれば、最小面積のシートで最大面積の加熱制御
基板40を生産できる。
【0033】
しかし、炊飯器は1つの容量だけではなく、前述したように、5合炊き仕様や10合炊き仕様など、容量違いを生産する事が常識であるが、容量違いの炊飯を実現するためには、容量の大きい方が調理物の量も多く、基板の冷却性能も、容量が小さい方よりもより多く必要になってくる。容量の大きい方の冷却性能にヒートシンクの大きさを合わせると、容量の小さな方では冷却性能が過剰になるだけではなく、ヒートシンク43が大きいために加熱制御基板43の生産効率も低下してしまう。このため、従来は、生産効率を確保しつつ炊飯器の容量違いを実現させるためには、鍋径を容量違いで変えることで、高さ方向の差を小さくしていた。
【0034】
しかし、鍋径の大小で炊飯器の容量を変えると、容量の大きい炊飯器は設置面積が大きくなってしまう。炊飯器に限らず、製品のコンパクト化には、同一の設置面積でより容量の大きな炊飯器を置くことができるということが大きな要因となる。このため設置面積を同一にして、最適な冷却構成を確保しつつ、加熱制御基板40の生産性を高めるために、ヒートシンク40を一つで構成するのではなく、炊飯容量の小さな炊飯器には必要最小限の大きさの第1の(主)ヒートシンク43aで加熱制御基板40の生産性を高め、高さ方向のみで炊飯器の容量違いを実現させ、炊飯容量の大きな炊飯器には第2の(従)ヒートシンク43bを第1の(主)ヒートシンク43aに設置することで、冷却性能を確保すると共に、設置面積の縮小化を図る。
【0035】
この場合、加熱制御基板40は第1の(主)シートシンク43aのみで4個取りで製造し、基板が完成した後、第2の(従)ヒートシンク43bを冷却ファン44の間に設置する。
【0036】
また、この方式で、加熱制御基板40を生産することで、容量違いの加熱制御基板40は第2の(従)ヒートシンク43bを設置するまでは、同一基板を製造すれば良いため、容量違いの基板製造の切替えを削減する事も可能になる。
【0037】
しかし、ヒートシンク43を第1の(主)ヒートシンク43aと第2の(従)ヒートシンク43bに分割することの課題もまた発生する。それは第1の(主)ヒートシンク43aと第2の(従)ヒートシンク43b間の熱伝導である。ヒートシンクを分割せず一つのヒートシンク43で構成すれば、熱伝導はヒートシンクの材質により、ほぼ決定する。しかし、ヒートシンク43を分割することで、ヒートシンクの分割面の熱伝導が一つのヒートシンク43の熱伝導よりも低下するため、この分割面の熱伝導の向上が不可欠になる。すなわち、ヒートシンクを1つしか使わない炊飯器の製造工数にできる限り近づけながら、ヒートシンクの分割面の熱伝導を確保する必要がある。
【0038】
まず、第2の(従)ヒートシンク43bは第1の(主)ヒートシンク43aと冷却ファン44で挟持する構成にし、冷却ファン44を固定する固定ネジ46を長くし、固定ネジ46は第2の(従)ヒートシンク43bに固定するのではなく、第1の(主)ヒートシンク43aに固定するのである。この構成にすれば、ヒートシンクを一つしか使わない加熱制御基板40と2つ使う加熱制御基板40では第2の(従)ヒートシンク43bを設置する製造工数以外は固定ネジ46の固定方法は同一であり、ほぼ同一の製造工数で生産できる。
【0039】
次に、分割面での熱伝導を確保するためには、まず各々のヒートシンクの接触面形状を同一にし、熱伝導の低下を防止する。各々のヒートシンクの接続のズレを防止するためにはヒートシンク同士の位置決めが必要になる。ただ、第1の(主)ヒートシンク43aの第2の(従)ヒートシンク43bを設置するときに位置決めを設けると、第2の(従)ヒ
ートシンク43bを設置する工数が増大してしまう。そこで、第2の(従)ヒートシンク43bの固定ネジ46が貫通する穴径を最小限に留めることで、固定ネジ46外形と第2の(従)ヒートシンク43bの穴径で位置決めが可能になる。固定ネジ46と第2の(従)ヒートシンク43bの穴で位置決めを実施することで、第2の(従)ヒートシンク43bは冷却ファン44を設置すれば、自動的に位置決め実施されており、わざわざ位置決めを実施する必要がなくなる。
【0040】
また、若干の製造工数は増加するが、分割面に熱伝達材47を設置すれば、分割面の微小なバラツキをも吸収できるため、熱伝導の安定化を図ることができる。
【0041】
また、本構成は加熱制御基板40を4個取りの構成で説明したが、取数は4個に限らず、容量違いの炊飯器をヒートシンク43の使用する数で作り分けることで同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、本構成は容量を5合炊き、10合炊きの2種類の容量違いについて説明したが、2種類容量違いに限定するものではなく、ヒートシンク43の使用数により、2種類以上の容量違いの炊飯器を可能にするものである。
【0043】
また、ヒートシンク43をアルミ材などの押出しの製造方法で製造し、ヒートシンク43の分割面をヒートシンク43の切断面とすると、ヒートシンク43のカット寸法を変化させることで、複数のヒートシンク43を製造する事ができるため、一つの押出し金型で、複数の容量違いの炊飯器が可能になる。
【0044】
また、複数の容量違いの冷却性能を本構成ではヒートシンク43の大きさのみで、作り分ける説明を行ったが、ヒートシンク43の大きさのみに頼るのではなく、冷却ファン44の回転数も冷却性能には大きな影響があるため、最適な冷却性能を確保するためには、ヒートシンク43の大きさと冷却ファン44の回転数の組合せによっても冷却性能を変化させ、最適化を図る事も可能である。
【0045】
また、図1の断面図でも示されているが、冷却ファン44の中心は加熱制御基板40に一致してはいない。これは、冷却ファン44は加熱制御基板40のみを冷却しているのではなく、他の発熱部品、例えば底誘導加熱コイル37の冷却なども行っているため、炊飯器の底誘導加熱コイル37の方向にずらしているのである。
【0046】
ここで加熱制御基板40自身の固定は、前述の通り、上枠33に固定されているため、炊飯器の床面を基準とすると、炊飯器の容量が大きくなるにつれて、底誘導加熱コイル37の位置は変わらないが、加熱制御基板40だけが上方に移動していく。もし、容量違いの炊飯器でもヒートシンク43が同一の形状であれば、冷却ファン44は底誘導コイル37に接触してしまうため、高さ方向の変化を吸収する冷却ファン44用のスペーサが必要になる。
【0047】
しかし、本構成では容量違いの炊飯器をヒートシンク43の使用数で高さ方向を変化させているため、スペーサが必要なくなり、第2以降のヒートシンクは冷却ファン44用のスペーサとしての機能も果たしているのである。
【0048】
また、冷却ファン44の冷却は加熱制御基板40と底誘導加熱オイル37の冷却のみの説明であるが、この2部品に限るものではない。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、従来の炊飯容量と同じものよりも、設置面積
をコンパクトにすることが可能となるので、家庭用又は業務用の炊飯器に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
30 炊飯器本体
32 内鍋
33 上枠
37 加熱手段(底誘導加熱コイル)
45 蓋
40 加熱基板(加熱制御基板)
43 ヒートシンク
43a 第1のヒートシンク
43b その他のヒートシンク(第2のヒートシンク)
44 冷却ファン
46 固定ネジ
47 熱伝達材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を構成する上枠と側面および底面を構成するボディとを有する本体と、前記本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記本体内に設けられた前記鍋を加熱する加熱手段と、前記本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋と、前記加熱手段を制御する制御装置を有する加熱基板と、前記加熱基板を冷却するヒートシンクを備え、前記本体高さに応じて使用する前記ヒートシンクを複数個積み重ねた炊飯器。
【請求項2】
加熱基板を冷却する冷却ファンを備え、前記冷却ファンはヒートシンクに固定した請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
加熱基板を冷却する複数のヒートシンクは第1のヒートシンクを前記加熱基板に設置し、その他のヒートシンクは、前記第1のヒートシンクと冷却ファンに挟持された請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
第1のヒートシンクと冷却ファンを固定する固定ネジが、その他のヒートシンクの位置決めとなっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
ヒートシンクは接触面形状を同一にした請求項1〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
各々のヒートシンク接触面に熱伝達材を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
上面を構成する上枠と側面および底面を構成するボディとを有する本体と、前記本体内に着脱自在に収納される鍋と、前記本体内に設けられた前記鍋を加熱する加熱手段と、前記本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋と、前記加熱手段を制御する制御装置を有する加熱基板と、前記加熱基板に設置される主ヒートシンクと、前記主ヒートシンクに結合される従ヒートシンクと、前記主ヒートシンクと前記従ヒートシンクとを冷却する冷却ファンと、前記従ヒートシンクを貫通して主ヒートシンクと前記冷却ファンを接続する固定ねじとを備えた炊飯器。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−194117(P2011−194117A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66045(P2010−66045)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】