説明

炊飯器

【課題】安全性を確保しながらコンパクト化を実現した炊飯器を提供する。
【解決手段】上枠3の上面開口部3aを開閉する蓋体12と、炊飯器本体1に着脱自在に収納される内鍋4と、上枠3の下方に位置し内鍋4内の調理物を加熱する底誘導加熱コイル6を備えた保護枠5と、底誘導加熱コイル6を制御する制御基板18を設置する基板ベース19とを備え、基板ベース19は、上枠3の直ぐ下方に位置すると共に制御基板18の上面全体を覆う水受け部27とを備え、水受け部27に溜まった水を前記制御基板18の下方に導くようにし、かつ、基板ベース19の制御基板設置面が略鉛直方向となるように設置するもので、上枠3と制御基板18の間に保護枠5が介在しないため、低コストでコンパクト化を実現でき、また、上枠3にクラックが発生し炊飯器本体1内部に水が侵入しても、水が制御基板18の下方に導かれ、制御基板18に水が付着することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、炊飯器本体をコンパクト化するために、炊飯器本体内の制御基板等の構造部品を、後方下部に纏めて設置している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された従来の炊飯器は、本体外郭を構成する上枠と、上枠の後方部下方に、まず、内鍋の加熱手段である底誘導加熱コイルが付属する難燃性部材で構成された保護枠を設置し、更に保護枠の下方に、底誘導加熱コイルを制御する制御基板をその部品面及び半田面が略鉛直方向になるように設置し、その下方に、制御基板を冷却するためのヒートシンクと、モータファンを設置したものである。この構成をとることにより、炊飯器本体内の前方部及び幅方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0004】
また、上記構成は、炊飯器本体の安全性も配慮されており、制御基板の上方の上枠に製品の落下等の異常事態でクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が炊飯器本体内部に浸入した場合にも、保護枠が制御基板の上方を覆うように構成されているので、制御基板に水が付着することを防止することができる。
【0005】
更には、部品面及び半田面が略鉛直方向になるように制御基板を設置する構成は、上枠だけでなく制御基板上方の保護枠にもクラックが発生した場合を想定したもので、前記クラック部から水が制御基板に浸入してきた場合においても、侵入してきた水が制御基板上に停滞することなく、下方に流れ落ちるように配慮し構成しているもので、制御基板上の大電流部のショートの可能性を少なくする構成である。更には、保護枠を難燃性部材で構成することは、制御基板が破損し、発火した場合を想定したもので、保護枠が炎の障壁となり炊飯器の拡大延焼を防止するものである。
【0006】
以上のように、上記特許文献1に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【0007】
また、炊飯器の内鍋収納部の下方に基板等の構造部品を設置しているものある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
上記特許文献2に記載された従来の炊飯器は、底センサーセット用の貫通穴、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を底面に有する内鍋収納部と、内鍋収納部の下方に内鍋収納部の底面と対向する面に水受け部と水流し部を有する基板ベースと、基板ベースの水受け部と水流し部を有する面の背面に制御基板の部品面及び半田面が略水平方向になるように設置したものである。
【0009】
この構成をとることにより、炊飯器本体の左右方向部に構造部品が無いため、見た目にもすっきりとしたデザイン性を有したコンパクトな炊飯器を実現している。
【0010】
また、基板ベースの水受け部と水流し部の構成は、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合を想定したもので、内鍋収納部の下方に水が浸入した場合においても、制御基板に水が付着することを防止するものである。
【0011】
以上のように、特許文献2に記載された従来の炊飯器は、製品のコンパクト化と安全性を有する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−56606号公報
【特許文献2】特開2007−312845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記特許文献1に記載された従来の炊飯器の構成では、保護枠は、その前方部に内鍋を加熱するための誘導加熱コイルを有し、その後方部には制御基板を設置する構成とその制御基板を設置する構成の直ぐ上方に制御基板に水が付着するのを防止する水受け構成を備えており、炊飯器本体の中層部を全域に跨る大きな部品であるため、成形時の反り対策(反り対策リブの配設、基本肉厚の増加)を講じていた。
【0014】
更には、炊飯器の下層部を構成するボディと直接ネジ締め構成で連結しているため、製品の落下時に、ボディが床面から受ける衝撃を受けやすい部品でもあり、落下時の衝撃対策(連結ボスの補強、基本肉厚増加)を講じてしていた。
【0015】
更には、底誘導加熱コイルの電気絶縁性、制御基板の難燃性の両方を確保する必要があり、一般樹脂材料より材料単価の高い材料で形成されていた。
【0016】
上記理由で、保護枠は、部品体積および重量が大きく、また、材料費も高い部品であるという課題を有していた。
【0017】
更には、上述のように保護枠が下方からの衝撃を受けやすい部品であったため、保護枠に設置した制御基板に衝撃が伝わり破損してしまうことがないようにするため、下方からの衝撃対策として、保護枠と制御基板との鉛直方向の隙間を、上方から落下により発生する反力対策として制御基板を設置する部位近傍の保護枠と上枠の鉛直方向の隙間を設ける必要性があったため、炊飯器本体の高さ方向が増加してしまい、炊飯器本体のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0018】
さらに、上記特許文献2に記載された従来の炊飯器の構成では、内鍋収納部の下方に制御基板等の構成部品を設置するため、前記特許文献1に記載された従来の炊飯器の構成と同様に、製品の高さ方向のコンパクト化ができないという課題を有していた。
【0019】
更には、内鍋収納部の底面に下方に底センサーセット用の貫通穴、ネジ締め用の穴等の複数個の穴を有するため、誤って内鍋内の米や水を内鍋収納部に溢してしまうと、内鍋収納部の下方に容易に水が浸入すると共に、制御基板の部品面及び半田面が略水平方向になるように構成されているため、製品の落下等の異常事態で基板ベースの水受け部と水流し部にクラックが発生した場合においては、基板ベースのクラックから侵入した水が制御基板上に停滞してしまい、制御基板の大電流部をショートしてしまう可能性が高い構成であった。
【0020】
更には、前述のように制御基板の大電流部がショートし、制御基板が破損し、その結果として制御基板が発火した場合においても、基板ベースが難燃性部材で構成されていないため、炊飯器への拡大延焼を引き起こす可能性がある構成であった。
【0021】
以上のような理由で、特許文献2に記載された従来の炊飯器の構成では、異常事態の安
全性に課題を有していた。
【0022】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、炊飯器本体の安全性を確保しながら、炊飯器本体のコストを削減し、コンパクト化を実現した炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部を自在に開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板と、前記制御基板を設置する基板ベースとを備え、前記基板ベースは、前記上枠の直ぐ下方に位置すると共に前記制御基板の上面全体を覆う水受け部と、前記水受け部に溜まった水を前記制御基板の下方に導く排水構成とを備え、前記基板ベースの制御基板設置面が略鉛直方向となるように前記炊飯器本体に設置するもので、上枠と制御基板の間に保護枠が介在しないため、保護枠の体積減少によるコスト削減および炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠にクラックが発生し、炊飯器本体内部に水が侵入した場合において、基板ベースに水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保しながら、低コストで、製品のコンパクト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の制御基板を設置した状態の基板ベースを示す要部断面図
【図3】同炊飯器の基板ベースを背面から視た斜視図
【図4】(a)同炊飯器の基板ベースの爪部穴の外周に位置する排水ガイドリブを示す要部斜視図、(b)同基板ベースのフック部穴の外周に位置する排水ガイドリブを示す要部斜視図
【図5】同炊飯器のボディを外した状態の下面図
【図6】本発明に第2の実施の形態における炊飯器の基板ベースを背面から視た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の発明は、炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部を自在に開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板と、前記制御基板を設置する基板ベースとを備え、前記基板ベースは、前記上枠の直ぐ下方に位置すると共に前記制御基板の上面全体を覆う水受け部と、前記水受け部に溜まった水を前記制御基板の下方に導く排水構成とを備え、前記基板ベースの制御基板設置面が略鉛直方向となるように前記炊飯器本体に設置するもので、上枠と制御基板の間に保護枠が介在しないため、保護枠の体積減少によるコスト削減および炊飯器本体の高さ方向のスペースを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現することができる。同時に、制御基板上方の上枠にクラックが発生し、炊飯器本体内部に水が侵入した場合において、
基板ベースに水受け、排水構成を設けているため、制御基板に水が付着することがなく、安全性を損なうこともない。以上のように、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化を実現することができる。
【0027】
第2の発明は、特に、第1の発明の排水構成を、水受け部を基板ベースの背面側を下方とする傾斜面で構成したもので、制御基板上方の上枠にクラックが発生し、浸入した水の流路を基板ベースの背面の外側に限定することができ、制御基板に水が付着すること防止できるとともに、炊飯器本体内部に設置する制御基板の以外の充電部(例えば、電池基板)を基板ベースの側面の外側のスペースに設置することができるため、炊飯器本体の前後方向の大きさを詰めることができ、炊飯器本体のコンパクト化を実現できる。
【0028】
第3の発明は、特に、第1の発明の排水構成を、水受け部を基板ベースの側面側を下方とする傾斜面で構成したもので、制御基板上方の上枠にクラックが発生し、浸入した水の流路を基板ベースの側面側に限定することができ、制御基板に水が付着すること防止できるとともに、炊飯器本体内部に設置する制御基板の以外の充電部(例えば、電池基板)を基板ベースの背面の外側のスペースに設置することができるため、炊飯器本体の左右方向の大きさを詰めることができ、製品のコンパクト化を実現できる。
【0029】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1項に記載の基板ベースを、難燃性樹脂または難燃性部材で形成するもので、制御基板が発火した場合に炊飯器本体への拡大延焼を防止することができる。
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図、図2は、同炊飯器の制御基板を設置した状態の基板ベースを示す要部断面図、図3は、同炊飯器の基板ベースを背面から視た斜視図、図4(a)は、同炊飯器の基板ベースの爪部穴の外周に位置する排水ガイドリブを示す要部斜視図、図4(b)は、同基板ベースのフック部穴の外周に位置する排水ガイドリブを示す要部斜視図、図5は、同炊飯器のボディを外した状態の下面図である。
【0032】
図1において、本実施の形態における炊飯器の炊飯器本体1は、ボディ2及び上面開口部3aを有する上枠3から構成されており、その内部に、内鍋4を収納する保護枠5を設け、保護枠5の下方には、内鍋4を加熱する内鍋加熱手段である底誘導加熱コイル6と、内鍋4の温度を検知する内鍋温度検知手段である底センサー7を設置している。保護枠5の下方をボディ2とネジ締め構成で連結し、上方を上枠3とネジ締め構成で連結している。
【0033】
保護枠5の炊飯器本体1での構成領域は、内鍋4の下方とボディ2および上枠3との連結部近傍でとどまり、炊飯器本体1の後方部まで至っていない。内鍋4は、上枠3に設置している上枠キャップ8により支持され、底誘導加熱コイル6との距離を保っている。内鍋4の側面部には、内鍋4の側面を加熱する内鍋側面部加熱手段である側面誘導加熱コイル9を設置している。
【0034】
12は、炊飯器本体1の上部を形成すると共に上枠3の上面開口部3aを自在に開閉する蓋体で、蓋体12が閉じている状態では、フックレバー10により炊飯器本体1に支持されている。蓋体12の下部には、蓋加熱板11を設置し、内部には、蓋12を加熱する蓋加熱板加熱手段である蓋誘導加熱コイル14と、蓋温度検知手段である蓋センサー13
を、上部には、炊飯器本体1の入力装置である操作部40をそれぞれ配設している。
【0035】
蓋加熱板11には、内鍋フランジ部15と当接する内鍋シールパッキン16を設置し、内鍋4内の調理物17が加熱されることにより発生する蒸気等が漏れないようシールしている。18は、底センサー7、蓋センサー13の温度情報を基に各加熱手段への電流供給量を制御し、内鍋4への加熱量を調整する制御装置(図示せず)を備えた制御基板であり、この制御基板18より発せられる信号を基に、内鍋4内の調理物17を、炊飯及び保温を行っている。なお、調理物17とは、炊飯前の米と水又は炊き上がったご飯等である。なお、各加熱手段は、ヒーターであっても良い。
【0036】
図1、2に示すように、基板ベース19は、難燃性部材で成形され、1面が開口した角柱形状であり、開口面が略鉛直面となるように炊飯器本体1の後方の上枠3の直ぐ下方に保護枠5とネジ20で固定されている。制御基板18は、半田面側21が、基板ベース19の制御基板設置面22と対向するように設置されている。また、制御基板18の半田面側21と基板ベース19との間には、一定の空間23が設けられており、この空間23は、制御基板18に載せられた基板部品のリード端子(図示せず)やパターン(図示せず)と基板ベース19が直接接触するのを防止する役割を果たしている。
【0037】
制御基板18の設置は、制御基板18が、基板ベース19の制御基板設置面22に浮き等なく確実に固定するために、爪嵌合、フックへの引っ掛け、ネジ固定等で確実に固定している。前記構成は、水の付着、基板割れ等の異常事態により制御基板18が発火した場合においても、制御基板18の半田面側21から炊飯器本体1への拡大延焼を防止する意図で取られている。
【0038】
また、制御基板18は、その下方に基板部品を冷却するためのヒートシンク24と、ヒートシンク24の直ぐ下方に炊飯器本体1の外部の空気を炊飯器本体1内部に送り込むためのファンモータ25を備えている。ファンモータ25の回転を制御する制御基板26は、ファンモータ25の略中央部に設けられている。
【0039】
以上のように、制御基板18、基板ベース19、ヒートシンク24、ファンモータ26は、一体に纏まった状態で炊飯器本体1の後方部に設置されている。
【0040】
基板ベース19の上部には、制御基板18の上面を覆う水受け部27を設けている。この水受け部27は、基板ベース19の背面側(炊飯器本体1の前側)を下方とする傾斜面で構成され、基板ベース19の背面方向以外の水受け部27の外周部に凸リブ28を配設している。
【0041】
図3に示すように、基板ベース19の背面には、成形時の反り対策で複数の格子状のリブ29が同一面で配設されている。ファンモータ25の制御基板26の上方には、格子状のリブ29より突出した排水ガイドリブ30が2個設けられている。
【0042】
また、図4(a)、(b)に示すように制御基板18の固定のために設けられている爪部(図示せず)とフック部(図示せず)の背面に成形金型構成により発生する穴31の外周部にも、下方が開口すると共に格子状のリブ29より突出した排水ガイドリブ32が設けられている。また、排水ガイドリブ32の下端は、穴31の下端よりも下方となるように配設されている。
【0043】
また、図5に示すように、内鍋加熱手段である底誘導加熱コイル6と制御基板18の接続部33は、制御基板18上の下方に位置し、その外周は、難燃性部材で成形されているターミナルカバー34で覆う構成となっている。前記構成は、底誘導加熱コイル6と制御
基板18の接続部33は大電流接続部であり、水の付着、接続不良等の異常事態により接続部33から発火が生じた場合においても、その外周を難燃性で覆うことで、接続部33からの炊飯器本体1への拡大延焼を防止する意図でとられている。
【0044】
また、図3に示すように、基板ベース19には、底誘導加熱コイル6と制御基板18の接続部33の上方にも水受け部35を設け、その側面部に排水路36を設けている。
【0045】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯器について、炊飯器の落下等の異常事態で、上枠3の制御基板18の上方に位置する部分にクラックが発生し、そのクラック部(図示せず)から水が浸入した場合の動作、作用を説明する。
【0046】
上枠3に発生したクラック部から侵入した水は、まず、基板ベース19の水受け部27に滴下する。水受け部27は、基板ベース19の背面側(炊飯器本体1の前側)を下方とする傾斜面で構成され、基板ベース19の背面方向以外の外周部に凸リブ28を配設しているため、滴下した水は、水受け部27から基板ベース19の背面側に導かれる。
【0047】
基板ベース19の背面側に導かれた水の一部は、ファンモータ25の制御基板26上方部及び制御基板18の固定のために設けられている爪部とフック部の背面に成形金型構成により発生する穴31の外周部近傍にも導かれるが、それぞれの排水ガイドリブ30、32に水が伝い、ファンモータ25の制御基板26に水が付着したり、穴31に水が浸入することなく、基板ベース19の背面下方に導かれる。なお、排水ガイドリブ32の下端が、穴31の下端よりも下方となるように設けられているのは、排水ガイドリブ32を伝った水が排水ガイドリブ32の下端から穴31に表面張力により回り込み侵入しないようにするためである。
【0048】
制御基板18の下方には、大電流接続部である底誘導加熱コイル6との接続部33があるが、その上方にも、水が回り込み侵入しないように基板ベース19に水受け部35を設け、さらに溜まった水が溢れないように排水路36も設けているため、底誘導加熱コイル6との接続部33の上方へ導かれた水は、接続部33に侵入することなく基板ベース19の背面下方へ導かれる。基板ベース19の背面下方へと導かれた水は、基板ベース19の下面と対向するボディ2に滴下し、ボディ2に設けられた排水口(図示しない)を介して炊飯器本体1の外側に排出される。
【0049】
以上のように、上枠3のクラック部から侵入した水は、制御基板18、ファンモータ25の制御基板26に付着することなく炊飯器本体1の外側に排出される。
【0050】
以上のように本実施の形態における炊飯器においては、炊飯器の落下等の異常事態で、上枠3の制御基板18の上方に位置する部分にクラックが発生した場合においても、制御基板18およびファンモータ25の制御基板26、底誘導加熱コイル6と制御基板18との接続部33に水が付着することがなく、製品としての安全性を確実に確保することができる。
【0051】
また、水受け部27を、基板ベース19の背面側(前記炊飯器本体1の前側)を下方とする傾斜面とすることにより、浸入した水の流路を基板ベース19の背面側に限定することができることから、炊飯器本体1内部に設置する制御基板18以外の充電部(例えば、電池基板)を基板ベース19の側面の外側のスペースに設置することができるため、炊飯器本体1の前後方向の大きさを詰めることができ、炊飯器本体1のコンパクト化を実現できる。
【0052】
また、本実施の形態においては、上枠3と制御基板18の間に、保護枠5による制御基
板18の取付け構成と水受け構成を必要としないため、炊飯器本体1における保護枠5の構成領域を、内鍋4の下方とボディ2および上枠3の連結部近傍に限定することができ、保護枠5の大幅な体積減少による炊飯器本体1のコスト削減を実現できる。
【0053】
また、本実施の形態においては、基板ベース19は、図1に示すように、保護枠5にネジ20で固定されて、炊飯器の落下による衝撃をボディ2から直接受けない構成のため、制御基板18と基板ベース19の設置における鉛直方向の隙間を設ける必要がなくなり、炊飯器本体1の高さ方向での炊飯器本体1のコンパクト化を実現できる。
【0054】
更には、前述と同様の理由で、基板ベース19の基本肉厚を難燃性を確保できる肉厚に設定すれはよいため、保護枠5で、水受け部を構成した従来の炊飯器の水受け部肉厚の70%程度の肉厚で、基板ベース19を形成することができるようになり、炊飯器本体1の製品高さ方向での炊飯器本体1のコンパクト化を実現できる。
【0055】
また、本実施の形態においては、基板ベース19の制御基板設置面22が略鉛直方向となるように炊飯器本体1に設置することにより、製品の落下等の異常事態で上枠3の制御基板18の上方及び基板ベース19の水受け部27の両方にクラックが発生し、水が侵入した場合においても、侵入してきた水が制御基板18上に停滞することなく、下方に流れ落ち、制御基板18上の大電流部のショートの可能性を少なくすることができる。
【0056】
(実施の形態2)
図6は、本発明の第2の実施の形態における炊飯器の基板ベースを背面から視た斜視図である。なお、上記第1の実施の形態における炊飯器と同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
本実施の形態における炊飯器は、図6に示すように、基板ベース19の上部に、制御基板18の上面を覆う水受け部27を設け、この水受け部27は、基板ベース19の水受け部27の略中央部を頂点37とし、両側面側を下方とする傾斜面で構成し、両側面方向以外の水受け部27の外周部に凸リブ28を配設したものである。
【0058】
また、基板ベース19の側面側には、水を側面部の下方へ導く排水ガイドリブ38と、制御基板18を固定するための爪部の上方を覆う排水ガイドリブ39を、その下端が穴31の下端より下方になるように設けたもので、その他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0059】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯器について、炊飯器の落下等の異常事態で、上枠3の制御基板18の上方に位置する部分にクラックが発生し、そのクラック部から水が浸入した場合を基にその動作、作用を説明する。
【0060】
上枠3に発生したクラック部から侵入した水は、まず、基板ベース19の水受け部27に滴下する。水受け部27は、基板ベース19の水受け部27の略中央部を頂点37とし、両側面側を下方とする傾斜面で構成され、両側面方向以外の外周部に凸リブ28を配設しているため、滴下した水は、水受け部27から基板ベース19の両側の側面に導かれる。基板ベース19の側面に導かれた水は、排水ガイドリブ38の間を流れるか、もしくは排水ガイドリブ38を伝い、側面の下方へ導かれ、制御基板18を固定するための爪部の上方まで導かれるが、導かれた水は、排水ガイドリブ39を伝い、爪部の穴31に侵入することなく穴31の下方へと導かれる。
【0061】
なお、排水ガイドリブ39の下端が、穴31の下端よりも下方となるように設けられているのは排水ガイドリブ39を伝った水が排水ガイドリブ39の下端から穴31に表面張
力により回り込み侵入しないようにするためである。なお、水受け部27は、片方の側面を下方とする傾斜面で構成し、下方側の側面方向以外の水受け部27に凸リブ28を配設するようにしてもよい。
【0062】
その他の動作、作用は、上記実施の形態1と同様であるため、省略する。
【0063】
以上のように本実施の形態においては、炊飯器の落下等の異常事態で、上枠3の制御基板18の上方に位置する部分にクラックが発生した場合においても、制御基板18およびファンモータ25の制御基板26、底誘導加熱コイル6と制御基板18との接続部33に水が付着することがなく製品としての安全性を確保することができる。
【0064】
また、水受け部27を基板ベース19の両側面側を下方とする傾斜面とすることにより、浸入した水の流路を、基板ベース19の側面部に限定することができることから、炊飯器本体1内部に設置する制御基板18以外の充電部(例えば、電池基板)を、基板ベース19の側面の外側のスペースに設置することができるため、炊飯器本体1の左右方向の大きさを詰めることができ、炊飯器本体1のコンパクト化を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、炊飯器本体の安全性を確保した状態で炊飯器本体のコスト削減およびコンパクト化が可能となるので、その他の調理機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 炊飯器本体
3 上枠
3a 上面開口部
4 内鍋
5 保護枠
6 底誘導加熱コイル(加熱手段)
9 蓋体
12 蓋体
17 調理物
18 制御基板
19 基板ベース
22 制御基板設置面
27 水受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体の上面開口部を形成した上枠と、前記炊飯器本体の上部を形成すると共に前記上面開口部を自在に開閉する蓋体と、前記炊飯器本体に着脱自在に収納される内鍋と、前記上枠の下方に位置し前記内鍋内の調理物を加熱するための加熱手段を備えた保護枠と、前記加熱手段を制御する制御装置を備えた制御基板と、前記制御基板を設置する基板ベースとを備え、前記基板ベースは、前記上枠の直ぐ下方に位置すると共に前記制御基板の上面全体を覆う水受け部と、前記水受け部に溜まった水を前記制御基板の下方に導く排水構成とを備え、前記基板ベースの制御基板設置面が略鉛直方向となるように前記炊飯器本体に設置することを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
排水構成を、水受け部を基板ベースの背面側を下方とする傾斜面で構成した請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
排水構成を、水受け部を基板ベースの側面側を下方とする傾斜面で構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
基板ベースを、難燃性樹脂または難燃性部材で形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−218069(P2011−218069A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92839(P2010−92839)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】