説明

炊飯器

【課題】簡単な構成で攪拌アームが蓋体側に近接した状態にあるか否かを容易に判定できる炊飯器を提供する。
【解決手段】蓋体に近接した近接状態および蓋体から先端が離間した離間状態となることが可能な攪拌アーム11を備える。攪拌アーム11の先端側に攪拌アーム側磁石16を設ける。蓋体に設けられた磁気センサ204は、攪拌アーム11が蓋体側に近接した近接状態のときに攪拌アーム側磁石16の磁気を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器としては、炊飯器本体の上部を開閉する蓋体に回転自在に攪拌体が設けられ、その攪拌体を回転駆動装置により駆動することにより内鍋内の炊飯物を攪拌するものがある(例えば、特開2008−278924号公報(特許文献1)参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来の炊飯器では、蓋体に取り付けた攪拌体を蓋体側に近接させた状態に折り畳みできず、攪拌体が内鍋や炊飯物と干渉して蓋体の開閉が極めて困難である。
【0004】
そこで、蓋体に取り付けられた攪拌アームを蓋体側に近接させた状態に折り畳み可能な機構を備えた炊飯器が考えられるが、内鍋内の炊飯物を攪拌しようとしたときに、蓋体に取り付けられた攪拌アームの状態が分からず、攪拌を確実に行うことができないという問題がある。そのような機構の炊飯器では、ギア等の動力伝達機構で攪拌アームが駆動部と連結されるため、構造が複雑になって、攪拌アームが蓋体に近接した状態にあるか否かを簡単な構成で判定することは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−278924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、簡単な構成で攪拌アームが蓋体に近接した状態にあるか否かを容易に判定できる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の炊飯器は、
炊飯器本体と、
上記炊飯器本体内に収容される内鍋と、
上記内鍋の開口を覆う蓋体と、
上記蓋体に近接した近接状態および上記蓋体から先端が離間した離間状態となることが可能な攪拌アームと、
上記炊飯器本体または上記蓋体に設けられ、上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態であるか否かを検知するセンサと
を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、炊飯器本体(または蓋体)に設けられたセンサによって、内鍋の開口を覆う蓋体に近接した近接状態および蓋体から先端が離間した離間状態となることが可能な攪拌アームが、蓋体に近接した近接状態であるか否かを検知するので、簡単な構成で攪拌アームが蓋体に近接した状態にあるか否かを容易に判定できる。
【0009】
また、一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌アームは、上記蓋体の上記内鍋側に着脱自在かつ回転軸を中心に回転自在かつ上記蓋体側を支点に上下方向に回動可能に取り付けられると共に、先端側に攪拌アーム側磁石が設けられており、
上記センサは、上記蓋体に設けられ、上記攪拌アームが上記蓋体側を支点に上方向に回動して上記蓋体に近接した近接状態にあるときに上記攪拌アーム側磁石の磁気を検知する磁気センサであり、
上記攪拌アームを駆動する駆動手段と、
上記駆動手段を制御することにより、上記攪拌アームを上記蓋体から先端が離間した離間状態にして、上記内鍋内に収納された被加熱物を上記攪拌アームに攪拌させる攪拌制御手段と、
上記磁気センサにより検出された上記攪拌アーム側磁石の磁気に基づいて、上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態にあるか否かを判定する攪拌アーム判定手段と
を備えた。
【0010】
上記実施形態によれば、攪拌制御手段により駆動手段を制御して内鍋内の被加熱物を攪拌アームに攪拌させるとき、磁気センサにより検出された攪拌アーム側磁石の磁気に基づいて、攪拌アーム判定手段により攪拌アームが蓋体に近接した近接状態にあるか否かを判定することによって、簡単な構成で攪拌アームの状態を容易に判定できる。
【0011】
また、一実施形態の炊飯器では、
上記蓋体の上記内鍋側に着脱自在かつ上記回転軸を中心に回転自在に取り付けられ、上記攪拌アームの上記支点が設けられた回転体と、
上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態で、上記回転体において上記回転軸の中心に対して上記攪拌アーム側磁石と対称な位置に設けられた回転体側磁石と
を備えた。
【0012】
上記実施形態によれば、攪拌アームが蓋体に近接した近接状態において、回転体の回転軸の中心に対して攪拌アーム側磁石と対称な位置に回転体側磁石を設けることによって、磁気センサは、攪拌アーム側磁石の磁気および回転体側磁石の磁気の両方を検出することが可能となる。これによって、攪拌アームが蓋体から先端が離間した離間状態である場合でも、磁気センサにより検出された回転体側磁石の磁気に基づいて、攪拌アームが上方位置にあるか下方位置にあるかに係わらず、攪拌アームと回転体が内鍋側に取り付けられているか否かを判定できる。
【0013】
また、一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌アーム側磁石と上記回転体側磁石は、大きさ,個数または磁力の少なくとも1つが異なる。
【0014】
上記実施形態によれば、攪拌アーム側磁石と回転体側磁石の大きさ,個数または磁力の少なくとも1つが異なるようにすることで、磁気センサにより検出された攪拌アーム側磁石の磁気に基づいて、攪拌アーム判定手段は、攪拌アーム側磁石と回転体側磁石とを区別して判定できるので、回転体を回転させて回転体の有無を判定できる。さらに、攪拌アーム判定手段は、回転体が有るとき、攪拌アームが上方位置にあるか否かを判定できる。
【0015】
また、一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌アームが上記蓋体側を支点に下方向に回動して上記蓋体の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置において、上記回転軸の中心に対して上記攪拌アームの重心の位置が半径方向にずれている。
【0016】
上記実施形態によれば、攪拌アームが蓋体の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置において、回転軸の中心に対して攪拌アームの重心の位置が半径方向にずれているので、駆動手段により回転させられた攪拌アームには半径方向外向に遠心力が働き、その遠心力の作用により攪拌アームを蓋体側を支点に上方向に回動して引き上げることが可能になる。したがって、簡単な構成で攪拌アームを蓋体側に近接させた近接状態に容易にできる。
【0017】
これにより、例えば、攪拌アームが蓋体の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置にあって、磁気センサにより検出された攪拌アーム側磁石の磁気に基づいて、攪拌アーム判定手段は攪拌アームが上方位置にないと判定するが、次に、駆動手段により攪拌アームを回転させて、攪拌アームを蓋体側を支点に上方向に回動して引き上げ、攪拌アームを蓋体側に近接させた後に、攪拌アーム判定手段により攪拌アームが上方位置にあるか否かを判定してもよい。それでも、攪拌アーム判定手段が攪拌アームが上方位置にないと判定した場合は、攪拌アームそのものが蓋体の内鍋側に取り付けられていないこと、すなわち攪拌アームの付け忘れであることが分かる。
【0018】
また、一実施形態の炊飯器では、
上記攪拌アームの上記支点が、上記攪拌アームの回転中心から半径方向に間隔をあけた位置に設けられ、
上記攪拌アームが上記下方位置にあるとき、上記攪拌アームの重心が上記回転軸の中心に対して上記支点と反対の側に位置する。
【0019】
上記実施形態によれば、上記下方位置にあるときの攪拌アームの重心が、回転軸の中心に対して支点と反対の側に位置することによって、回転する攪拌アームに働く遠心力のうちの上向き成分により、支点を中心に攪拌アームを確実に上方向に回動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の炊飯器によれば、簡単な構成で攪拌アームが蓋体に近接した状態にあるか否かを容易に判定できる炊飯器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の炊飯器の斜視図である。
【図2】図2は図1のII−II線から見た炊飯器の縦断面図である。
【図3】図3は上記炊飯器の制御ブロック図である。
【図4】図4は上記炊飯器の炊飯運転時の内鍋内の温度変化を示す図である。
【図5】図5は上記炊飯器の攪拌アームが上方位置にある状態を示す縦断面図である。
【図6】図6は上記炊飯器の攪拌アームが下方位置にある状態を示す縦断面図である。
【図7】図7は上記炊飯器の内鍋内に米と水との混合物が収納された状態で攪拌アームの先端側が混合物の上部領域に位置するときの縦断面図である。
【図8】図8は上記炊飯器の内鍋内に米と水との混合物が収納された状態で攪拌アームの先端側が混合物を攪拌するときの縦断面図である。
【図9】図9は上記炊飯器の攪拌アームが上方位置にある状態を下方から見た平面図である。
【図10】図10は図9のX−X線から見た断面図である。
【図11】図11は図9のXI−XI線から見た断面図である。
【図12】図12は上記攪拌アームが上方位置にある状態で正方向にしたときの平面図である。
【図13】図13は図12のXIII−XIII線から見た断面図である。
【図14】図14は上記攪拌アームが上方位置にある状態で逆方向に回転したときの平面図である。
【図15】図15は上記炊飯器の蓋体側磁石用のロータが180度回転したときの平面図である。
【図16】図16は上記攪拌アームが回転によって下方位置から上方向に回動する動作原理を説明する図である。
【図17】図17は上記炊飯器の回転体に回転体側磁石を設けた変形例の縦断面図である。
【図18】図18は上記炊飯器の蓋体に電磁石を設けた変形例の縦断面図である。
【図19】図19はこの発明の第2実施形態の炊飯器の攪拌アームが上方位置にある状態を示す縦断面図である。
【図20】図20は上記炊飯器の攪拌アームが下方位置にある状態を示す縦断面図である。
【図21】図21は上記攪拌アームの側面図である。
【図22】図22は上記攪拌アームの下面図である。
【図23】図23は上記攪拌アーム用の固定開放部材の側面図である。
【図24】図24は上記固定開放部材の下面図である。
【図25】図25は上記攪拌アーム用の固定開放部材の側面図である。
【図26】図26は上記攪拌アームが固定されたときの固定開放部材の下面図である。
【図27】図27は上記炊飯器の攪拌アームが上方位置にある状態を下方から見た平面図である。
【図28】図28は上記攪拌アームが固定開放部材により開放される状態を下方から見た平面図である。
【図29】図29は上記攪拌アームが固定開放部材により固定された状態を下方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の炊飯器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0023】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態の炊飯器の斜視図を示している。
【0024】
この第1実施形態の炊飯器は、図1に示すように、炊飯器本体1と、炊飯器本体1の上部に開閉自在に取り付けられた蓋体2とを備えている。炊飯器本体1は、前面側に設けられた表示操作部3と、前面側かつ上側に設けられたフックボタン4と、後面側に回動自在に取り付けられた本体ハンドル5と、後面側かつ下側に接続された電源コード6とを有する。また、蓋体2の後面側に蒸気口2aを設けている。表示操作部3は、液晶ディスプレイと複数の操作ボタンにより構成され、調理メニューや調理状況などの表示とボタン操作が可能である。蓋体2は、炊飯器本体1に設けられたラッチ機構(図示せず)により係脱可能に係止された状態で閉じられており、フックボタン4を押すことによりラッチ機構が外れて、スプリング(図示せず)の付勢力で蓋体2が開く。
【0025】
図2は図1のII−II線から見た炊飯器の縦断面図を示している。
【0026】
上記炊飯器は、図2に示すように、炊飯器本体1と、この炊飯器本体1内に収納される内鍋10と、炊飯器本体1の上部に開閉自在に取り付けられ、内鍋10を覆うように閉じることが可能な蓋体2と、炊飯器本体1内の下側に配置され、内鍋10を加熱するための加熱手段の一例としてのヒータ41,42と、内鍋10の底部の温度を検知する内鍋温度センサ40とを備えている。
【0027】
上記炊飯器本体1は、外ケース1aと、この外ケース1a内に配置された内ケース(図示せず)とを有する。また、炊飯器本体1内に内鍋10を収納すると、内ケースが内鍋10を保持するようになっている。この内ケースは、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成されている。外ケース1aと内ケースとの間の空間に制御装置200を配置している。
【0028】
上記内鍋10は、例えばアルミニウムなどの高熱伝導部材で形成され、その外面に加熱効率を向上させる例えばステンレス等の磁性体を貼り付ける一方、内面に被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂をコーティングしている。この内鍋10内に、被加熱物の一例として米と水の混合物を入れる。また、内鍋10の上端の開口の縁には環状のフランジ部10aを設けている。
【0029】
上記蓋体2は、炊飯器本体1に回動自在に支持された外蓋21と、その外蓋21の内鍋10側に着脱自在に取り付けられた内蓋22とを備えている。内蓋22は、板状の円盤部22aと、その円盤部22aの外周縁から下方に延びる円筒部22bと、円筒部22bの下端縁から外方に延びる環状のフランジ部22cとを有している。この内蓋22の外周に環状の耐熱ゴム製のパッキン(図示せず)を着脱自在に取り付けている。蓋体2が閉じられたときにパッキンは、内鍋10のフランジ部10aの上面に密着して、内鍋10と内蓋22との間をシールする。また、内蓋22には、蒸気穴(図示せず)が設けられている。
【0030】
また、内蓋22の内鍋10側に、回転軸14を中心に耐熱樹脂製の回転体12を回転自在に取り付けている。回転体12の一端が回転軸14に連結され、回転体12の他端に軸部13を介して攪拌手段の一例としての耐熱樹脂製の攪拌アーム11の一端を上下方向に回動自在に取り付けている。この攪拌アーム11の一端すなわち先端側かつ内蓋22側に攪拌アーム側磁石16を設けている。また、回転軸14は、内蓋22の上側に取り付けられた駆動手段の一例としての攪拌用モータ15に駆動される。
【0031】
一方、内蓋22の上部かつ外側近傍の領域に一部が重なるように、円盤状のロータ30を回転自在に取り付けている。このロータ30には、蓋体側磁石31が取り付けられており、ロータ30の回転に伴って蓋体側磁石31がロータ30の回転方向に移動する。そして、ロータ30の上側に、ロータ30を回転駆動するロータ駆動部32を取り付けている。
【0032】
また、蓋体2には、蒸気口2a(図1に示す)と内蓋22の蒸気穴(図示せず)とを接続する蒸気通路70を設けている。この蒸気通路70に圧力弁80を配設している。
【0033】
図3は上記炊飯器の制御ブロック図を示している。この炊飯器は、図3に示すように、マイクロコンピュータおよび入出力回路などからなる制御装置200を備えている。この制御装置200は、内鍋温度センサ40と消費電流検出部201および磁気センサ204から信号が入力され、攪拌用モータ15と、ロータ駆動部32と、表示操作部3と、ヒータ41,42(図2に示す)を駆動するための加熱回路202とが接続されている。なお、この第1実施形態では、磁気センサ204にリードスイッチを用いたが、ホール素子などの他のセンサを用いてもよい。
【0034】
上記制御装置200は、内鍋温度センサ40により検出された内鍋10の温度に基づいて、ヒータ41,42を制御する加熱制御手段の一例としての加熱制御部200aと、攪拌用モータ15を制御して攪拌アーム11を駆動させる攪拌制御手段の一例としての攪拌制御部200bと、消費電流検出部201および磁気センサ204から信号に基づいて、内鍋10内の攪拌アーム11の状態や被加熱物の状態を判定する攪拌アーム判定手段を含む状態判定部200cと、内鍋10内の米と水の混合物全体の容量を判定する混合物容量判定部200dとを有する。
【0035】
上記状態判定部200cは、磁気センサ204により検出された磁気に基づいて、攪拌アーム11が上方位置にあるか否かなどを判定すると共に、攪拌アーム11の駆動時に消費電流検出部201により検出された攪拌用モータ15の消費電流に基づいて、内鍋10内の米の容量を判定する。
【0036】
図4は上記炊飯器の炊飯運転時の内鍋10内の温度変化を示しており、図4の中段に攪拌アーム11の動作(「正」は下方から見て時計回りの正方向の回転、「オフ」は回転停止、「逆」は下方から見て反時計回りの逆方向の回転)を示し、下段に攪拌アーム11の上下の位置を示している。この図4に従って第1実施形態の炊飯器の炊飯方法の特徴を詳述する。
【0037】
一般的な炊飯調理の調理シーケンスとしては、吸水工程・立ち上げ工程・沸騰持続、炊き上げ工程・蒸らし工程・保温工程がある。そして、この第1実施形態の炊飯器の調理シーケンスには、吸水工程の前に米を洗う洗い工程を有する。
【0038】
<洗い工程>
まず、所定量の米と、洗米のための水とを内鍋10内に入れた後、攪拌制御部200bにより攪拌用モータ15を制御して攪拌アーム11を正方向に回転させることにより米と水の混合物を攪拌して、状態判定部200cにより米の容量を判定する。次に、判定された米の容量に応じて、攪拌制御部200bにより攪拌アーム11を正方向に回転させることにより内鍋10内の米と水の混合物を攪拌して、米粒の表面を初期研磨する。そして、初期研磨が終了すると、攪拌制御部200bにより攪拌アーム11を逆方向に回転させることにより攪拌アーム11を蓋体2側に引き上げて収容する。その後、内鍋10内の水のみを捨てて、新たに適量の水を内鍋10内に入れる水替え作業を行う。
【0039】
なお、この<洗い工程>における初期研磨は、水を入れ替えて複数回繰り返してもよい。
【0040】
<吸水工程>
上記<洗い工程>の水替え作業後の<吸水工程>の開始時に、攪拌制御部200bにより攪拌アーム11を正方向に回転させることにより米と水の混合物を攪拌して、状態判定部200cにより米の容量を判定する。
【0041】
次に、判定された米の容量に応じて、攪拌制御部200bにより攪拌アーム11を正方向に回転させることにより米と水の混合物を所定時間攪拌して、米粒表面の固形分(主にデンプン質)を水に溶出させる(図4に示す「残す研磨」)。
【0042】
米同士の擦り合わせや米と攪拌アーム11との接触により、米粒表面部分を平滑にすると共に、削り取られた米表面の主にデンプン質を溶出させる。擦り合わせの期間は、水側に米のデンプン質を移行させるでんぷん質移行工程といえる。削られた表面の成分は、アミロースやアミロペクチンを含むデンプン粒子であり、炊飯時のおねばに、デンプン粒子として含有させることができるので、炊き上がった米の表面の粘り物質量を多くすることができる。したがって、米飯の粘りを向上させることが可能となる。また、米粒の表面が平滑であるために、光が米の表面において反射され易くなって、米のツヤを向上できる。また、表面をコーティングするアミロペクチン量も多くなるので、炊飯後冷めてからのツヤも向上できる。なお、米から水中に溶出する溶出固形分としては、炊飯する米の性質によって、炊飯後に焦げ付きが起こらない量、または、炊飯後に黄変が起こらない量を選択する。
【0043】
なお、この米粒表面の固形分(主にデンプン質)を水に溶出させる「残す研磨」はなくてもよいが、内鍋10内の米と水の混合物の温度分布を均一化するための攪拌は行う。
【0044】
次に、加熱前に内鍋温度センサ40により内鍋10の初期温度を検出する(図4に示す「検温1」)。この初期温度の検出前に攪拌アーム11を回転させて米と水の混合物を所定時間攪拌することにより、内鍋10内の米と水の混合物の温度分布が均一化されるので、内鍋温度センサ40により内鍋10の正確な初期温度を速やかに検出することができる。また、洗い工程後に内鍋10内に水を入れてすぐに炊飯運転を開始する場合、内鍋10内に温度ムラがあっても、攪拌により速やかに正確な初期温度を検出できる。
【0045】
そして、加熱制御部200aによりヒータ41,42を制御して、設定された熱量で内鍋10を加熱する。このヒータ41,42による加熱中または加熱終了後、攪拌アーム11を正方向に回転させることにより米と水の混合物を攪拌して、加熱された米と水の混合物の温度分布を均一にする。このとき、攪拌アーム11を駆動する攪拌用モータ15(図2に示す)の消費電流を消費電流検出部201により検出して、その消費電流に基づいて、状態判定部200cにより米の容量を判定する。
【0046】
次に、内鍋温度センサ40(図3に示す)により内鍋10の温度(米と水の混合物の温度に相当)を検出する(図4に示す「検温2」)。そして、加熱前の内鍋10の初期温度と加熱後の内鍋10の温度との温度差および与えた熱量に基づいて、混合物容量判定部200dにより米と水の混合物全体の容量を判定する。なお、この内鍋10の温度検出(「検温2」)前の攪拌(米の容量判定)は、米粒表面の固形分(主にデンプン質)を水に溶出させる「残す研磨」のための攪拌時に行ってもよい。
【0047】
そして、攪拌用モータ15(図2に示す)の消費電流に基づく米の容量と、内鍋10の温度変化に基づく米と水の混合物全体の容量を用いて、内鍋10の温度すなわち内鍋10内の混合物の温度が、オーバーシュートなどすることなく速やかに60℃になるように最適な条件(予熱シーケンス)を選択して、加熱制御部200aによりヒータ41,42を制御して内鍋10を加熱する。
【0048】
この<吸水工程>では、内鍋10の温度を検出する内鍋温度センサ40によりヒータ41,42の出力を調整して、内鍋10および内鍋10内の米と水の混合物を約58℃〜60℃となるまで加熱し、その約58℃〜60℃の温度を20分程度保持している。
【0049】
なお、<吸水工程>内で攪拌アーム11を間欠的に回転させることにより(連続的に回転させてもよい)、内鍋10内の米と水の混合物を攪拌し、内鍋10内のすべての米と水の混合物の温度を約58℃〜60℃まで全領域で均一に上昇させて、その約58℃〜60℃の温度を20分程度保持してもよい。これにより、内鍋10内の米と水の混合物の温度は<吸水工程>内において、全領域同じ温度となるため、内鍋10内のすべての米はムラなく水を吸収する。
【0050】
また、<吸水工程>における58℃〜60℃の温度を20分程度保持するもう一つの目的として、グルコース量の増量がある。60℃付近の温度にてグルコースを生成する酵素が最も活性化するとされ、58℃〜60℃の温度を長い時間保持し、次の<沸騰持続、炊き上げ工程>と<蒸らし工程>を経て炊き上げられたご飯はとても甘みが感じられる仕上がりとなる。
【0051】
<立ち上げ工程>
次に、<立ち上げ工程>では、内鍋10内の米と水の混合物の上部領域に攪拌アーム11の先端側が位置するように、攪拌制御部200bにより攪拌アーム11を下方向に回動させて攪拌アーム11を逆方向に150rpmで回転させることにより、米と水の混合物の上部領域(内鍋10内の下側に米が沈んでその上側に主に水が存在する領域)を攪拌する。これにより、<立ち上げ工程>において、内鍋10内の米と水の混合物における温度分布が均一化され、温度ムラが少なくなって炊き上げられたご飯の仕上がりが良好になる。
【0052】
<沸騰持続、炊き上げ工程>
次に、<沸騰持続、炊き上げ工程>では、攪拌アーム11を逆方向に350rpmで回転させることにより蓋体2側に引き上げて上方位置に保持した後、攪拌アーム11を逆方向に400rpmで回転させることによって、炊き上げによって内鍋10内に生じるおねばが、内鍋10内の上空間に溢れても、攪拌アーム11により半径方向外向におねばを飛ばして内鍋10内の下側に戻す(図4の「おねば返し」)。
【0053】
そして、炊き上げにより内鍋10内の水が沸騰して無くなって、内鍋10の温度が100℃を越えて上昇したとき、炊き上げ運転を終了する。
【0054】
<蒸らし工程>
そして、上記<沸騰持続、炊き上げ工程>後に、炊き上げたご飯を蒸らして美味しくする<蒸らし工程>では、前半の5分間は、攪拌アーム11を逆方向に150rpmで回転させて、<沸騰持続、炊き上げ工程>の「おねば返し」を継続し、その後は攪拌アーム11を回転させない。
【0055】
<保温工程>
次に、上記<蒸らし工程>が終了すると、蓋体2側に引き上げられて上方位置にある状態で攪拌アーム11を逆方向に400rpmで回転させることにより、内鍋10内の米と水の混合物よりも上方の気体を攪拌する。これにより、内鍋10内の急速に温度が低下し、高温下でご飯が劣化するのを防ぐことができる。
【0056】
この第1実施形態の炊飯器では、<保温工程>で攪拌アーム11を回転させない場合、内鍋温度センサ40により検出された内鍋10の温度が90℃から70℃まで下がるのに約4時間かかったのに対して、<保温工程>で攪拌アーム11を回転させた場合、内鍋10の温度が90℃から70℃まで下がるのに約2.5時間に短縮することができた。この内鍋10内の温度が急速に低下する理由は、攪拌アーム11により内鍋10内の米と水の混合物よりも上方の気体を攪拌することで、内鍋10内の温度ムラがなくなって温度分布が均一になり、内鍋10内の熱が外部に効率よく放熱されるためであると考えられる。
【0057】
図5は上記炊飯器の攪拌アーム11が上方位置にある状態を示す縦断面図を示している。この攪拌アーム11が上方位置にある状態では、図5に示すように、後述する保持機構により攪拌アーム11が回転体12に保持されている。このとき、ロータ30に取り付けられた蓋体側磁石31は、攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16が周方向に回転する軌跡で囲まれた領域よりも半径方向外側に位置している。
【0058】
この攪拌アーム11が上方位置にある状態で、ロータ30を回転させて蓋体側磁石31を、図6に示すように、攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16が周方向に回転する軌跡に対向する位置にすると、攪拌アーム11が正方向(下から見て時計回り)に回転したとき、蓋体側磁石31と攪拌アーム側磁石16との間に働く磁気反発力によって、保持機構による攪拌アーム11の保持が外れる。そうして、攪拌アーム11が自重により下方向に回動して、攪拌アーム11が下方位置にある状態になる(図6参照)。
【0059】
上記ロータ30と蓋体側磁石31とロータ駆動部32および攪拌アーム側磁石16で落下機構を構成している。
【0060】
この攪拌アーム11は、軸部13近傍に設けられたストッパー機構((図示せず))によって、蓋体2の内蓋22の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置で攪拌アーム11の回動が止まる。この下方位置では、攪拌アーム11の先端側と内鍋10内の底部との間に所定の間隔をあけて、攪拌アーム11と内鍋10内の底部とが接触しないようにしている。また、攪拌アーム11の上方位置から下方位置までの回動時に攪拌アーム11が内鍋10と干渉しない。
【0061】
図5,図6では、内鍋10内に米と水の混合物が収納されていないときの攪拌アーム11の動作を説明したが、内鍋10内に米と水との混合物が収納された状態では、次のような動作を行う。
【0062】
まず、図7に示すように、内鍋10内の米と水の混合物50の下部領域51と上部領域52のうち、上部領域52に攪拌アーム11の先端側が位置するように、攪拌アーム11を下方向に回動させて、攪拌アーム11が逆方向(下方から見て反時計方向)に回転すると、攪拌アーム11により米と水の混合物50の上部領域52を攪拌する。ここで、内鍋10内の下側に米が沈んで積み重なっている領域が下部領域51であり、その下部領域51の上側に主に水が存在する領域が上部領域52である。
【0063】
次に、図7に示すように、内鍋10内に収納された被加熱物である米と水の混合物50の上部領域52に攪拌アーム11の先端側が位置する状態で、攪拌アーム11が正方向(下方から見て時計方向)に回転すると、羽根部11bの翼面のうちの攪拌アーム11の回転方向に面する翼面が混合物50から下向きの力を受ける。これによって、攪拌アーム11は、回転しながら混合物50内に潜り込みながら下方向に回動する。そして、図8に示すように、内鍋10内に収納された被加熱物である米と水の混合物50に攪拌アーム11を潜り込ませた下方位置の状態で、米と水の混合物50を攪拌することが可能になる。
【0064】
図9は上記炊飯器の攪拌アーム11が上方位置にある状態を下方から見た平面図を示している。図9に示すように、蓋体2(図1,図2に示す)の内蓋22の円筒部22b内で、折り畳まれた攪拌アーム11が回転体12に保持された状態で回転軸14(図2に示す)を中心に回転する。このとき、図9に示す攪拌アーム11が下方から見て時計回りに回転するとき、正方向の回転とし、攪拌アーム11が下方から見て反時計回りに回転するとき、逆方向の回転とする。
【0065】
図9では、ロータ30に2つの蓋体側磁石31,31が取り付けられている。回転する攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16の周方向の軌跡に蓋体側磁石31,31が重なるように、制御装置200によりロータ駆動部32を制御して、ロータ30を所定の回転位置にしている(開放位置)。
【0066】
また、図10は図9のX−X線から見た断面図を示しており、図10に示すように、攪拌アーム11は、図10に示すように、棒状の基部11aと、その基部11aに斜め下方に傾斜する羽根部11bを有している。この攪拌アーム11の羽根部11bの先端側は、攪拌アーム11が正方向(下方から見て時計回り)に回転するときの回転方向に向かって斜め下方に傾斜し、この傾斜は、先端側から軸部13近傍まで及んでいる。そして、攪拌アーム11の基部11aに、羽根部11bが斜め下方に傾斜する側かつ水平方向に向かって突出する係合凸部11cを設けている。
【0067】
また、図10に示すように、回転体12は、棒状の基部12aと、棒状の基部12aの下側から下方に延びる壁部12bを有している。また、回転体12の壁部12bかつ攪拌アーム11の係合凸部11cに対向する位置に係合凹部12cを設けている。この回転体12の係合凹部12cと攪拌アーム11の係合凸部11cが互いに係合して、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム11を回転体12に保持する。
【0068】
なお、この第1実施形態では、攪拌アーム11に係合凸部11cを設け、回転体12に係合凹部12cを設けたが、攪拌アームに係合凹部を設け、回転体に係合凸部を設けてもよい。
【0069】
また、図11は図9のXI−XI線から見た断面図を示している。図11に示すように、攪拌アーム11の基部11aに、磁性体からなる金属片17を設けている。さらに、回転体12の壁部12bかつ攪拌アーム11の金属片17に対向する位置に保持用磁石18を設けている。この回転体12の保持用磁石18と攪拌アーム11の金属片17が互いに引き合って、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム11を回転体12に保持する。
【0070】
なお、攪拌アーム11側に保持用磁石を設けて、回転体12側に金属片を設けてもよいし、攪拌アーム11と回転体12の両側に、磁気吸引力により互いに引き合うように磁極を対向させた磁石を設けてもよい。
【0071】
上記攪拌アーム11の係合凸部11cと金属片17および回転体12の係合凹部12cと保持用磁石18で保持機構を構成している。なお、攪拌アームを回転体に保持する保持機構は、攪拌アームの係合凸部(または係合凹部)と回転体の係合凹部(または係合凸部)だけであってもよいし、攪拌アームの金属片(または保持用磁石)と回転体の保持用磁石だけであってもよい。
【0072】
図12は上記攪拌アーム11が上方位置にある状態で正方向に回転したときの平面図を示しており、図13は図12のXIII−XIII線から見た断面図を示している。
【0073】
図12に示すように、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム11が回転体12に保持された状態で、攪拌アーム11と回転体12が正方向(下方から見て時計回り)に回転して、ロータ30の蓋体側磁石31と攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16との間に働く磁気反発力によって、図13に示すように、攪拌アーム11が回転体12と反対の方向に撓み、回転体12の係合凹部12cと攪拌アーム11の係合凸部11cとの係合が外れる。これにより、攪拌アーム11の金属片17と回転体12の保持用磁石18との間隔が広がって磁気吸引力が弱まり、攪拌アーム11の保持が開放されて、自重により下方向に回動して落下する。
【0074】
これに対して、図14に示すように、攪拌アーム11が上方位置にある状態で、攪拌アーム11と回転体12が逆方向(下方から見て反時計回り)に回転して、ロータ30の蓋体側磁石31と攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16との間に磁気反発力が働いても、攪拌アーム11が回転体12に押し付けられるだけで撓まない。したがって、回転体12の係合凹部12cと攪拌アーム11の係合凸部11cとの係合は外れず、また、この回転体12の保持用磁石18と攪拌アーム11の金属片17が互いに引き合ったままとなり、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム11を回転体12に保持した状態が維持される。
【0075】
図15は上記炊飯器の蓋体側磁石31用のロータ30が180度回転したときの平面図を示している。図15に示すように、図9に示したロータ30の2つの蓋体側磁石31,31が攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16の周方向の軌跡に重なる回転位置から180度回転させることによって、2つの蓋体側磁石31,31が内蓋22の円筒部22bよりも外側に位置している。
【0076】
これによって、攪拌アーム11が上方位置にある状態で、攪拌アーム11と回転体12が正方向または逆方向のどちらに回転しても、ロータ30の蓋体側磁石31と攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16との間に磁気反発力が働かない。したがって、攪拌アーム11を落下させることなく、攪拌アーム11と回転体12をどちらの方向にもスムーズに回転させることができる。また、図14で攪拌アーム11を逆方向に回転させるときに、ロータ30の蓋体側磁石31と攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16との間に磁気反発力により発生する異音をなくすことができる。
【0077】
また、回転する攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16の周方向の軌跡に重なるように、内蓋22の上側に磁気センサ204を配置している。この磁気センサ204により攪拌アーム側磁石16の磁気を検出する。
【0078】
上記制御装置200(図3に示す)の状態判定部200cは、磁気センサ204により検出された攪拌アーム側磁石16の磁気に基づいて、攪拌アーム11が上方位置にあるか否かを判定する。
【0079】
次に、攪拌アーム11が回転によって下方位置から上方向に回動する動作原理を図16を用いて説明する。
【0080】
図16に示すように、回転軸14に一端が接続された回転体12は、回転軸14に直交する平面に沿って回転軸14を中心に回転する。この回転体12の回転に伴って回転体12の他端側(軸部13)を支点O1にして上下方向に回動自在に取り付けられた攪拌アーム11も回転する。このとき、図6と同様に、攪拌アーム11が内蓋22の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置にあるとき、攪拌アーム11の重心O2は、回転軸14の中心に対して支点O1と反対の側に位置する。
【0081】
これによって、回転する攪拌アーム11の重心O2に働く遠心力Moは、図16に示すように、攪拌アーム11の長手方向に働く成分M1と、攪拌アーム11に直交する上向きの成分M2になる。この上向き成分M2が攪拌アーム11を上方向に回動させて、上方位置に引き上げる。なお、遠心力が同じ大きさで変わらない場合は、攪拌アーム11が上方に引き上げられるほど、上向き成分M2は小さくなるが、攪拌アーム11が上方に引き上げられるほど、攪拌アーム11の重心O2が回転軸14中心から離れていくので、遠心力Moは大きくなると共に、上向きの慣性力により攪拌アーム11を上方位置まで引き上げる。
【0082】
図17は上記炊飯器の回転体12に回転体側磁石60を設けた変形例の縦断面図を示している。この変形例の炊飯器は、回転体側磁石60を除いて図1,図2に示す炊飯器と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0083】
この炊飯器では、攪拌アーム11が上方位置にある状態において、回転体12の上側かつ回転軸14の中心に対して攪拌アーム側磁石16と対称な位置に回転体側磁石60を設けている。
【0084】
この場合、磁気センサ204(図15に示す)は、攪拌アーム側磁石16の磁気および回転体側磁石60の磁気の両方を検出することが可能となる。
【0085】
これによって、攪拌アーム11が上方位置にない場合でも、磁気センサ204により検出された回転体側磁石60の磁気に基づいて、制御装置200の状態判定部200cによって、攪拌アーム11が上方位置にあるか下方位置にあるかに係わらず、攪拌アーム11と回転体12が内蓋22に取り付けられているか否かを判定できる。
【0086】
さらに、例えば、攪拌アーム側磁石16と回転体側磁石60の大きさ,個数または磁力の少なくとも1つが異なるようにすることで、状態判定部200cは、攪拌アーム側磁石16と回転体側磁石60とを区別して判別でき、回転体12を回転させて回転体12の有無を判定できる。さらに、状態判定部200cは、回転体12が有るとき、攪拌アーム11が上方位置にあるか否かを判定できる。また、上方位置で折り畳まれた攪拌アーム11と回転体12が回転するときに、攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16が磁気センサ204側にあるか、あるいは、反対側にあるかを判定することが可能になる。それによって、攪拌アーム11の攪拌アーム側磁石16が磁気センサ204側にあるときの位置で回転を止めたり、回転体12の回転体側磁石60が磁気センサ204側にあるときの位置で回転を止めたりすることにより、攪拌アーム11を所望の停止位置に止めることができる。
【0087】
図18は上記炊飯器の蓋体2に電磁石61を設けた変形例の縦断面図を示している。この変形例の炊飯器は、電磁石61を除いて図1,図2に示す炊飯器と同一の構成をしており、同一構成部には同一参照番号を付している。
【0088】
この炊飯器では、図1,図2に示す蓋体側磁石31,31が取り付けられたロータ30とロータ駆動部32の代わりに、回転する攪拌アーム11の先端側の攪拌アーム側磁石16の周方向の軌跡に重なるように、電磁石61を蓋体2内に配置している。
【0089】
この場合、上方位置にある状態で攪拌アーム11が正方向に回転したとき、電磁石61に通電して、電磁石61と攪拌アーム側磁石16との間に働く磁気反発力によって、保持機構(攪拌アーム11の係合凸部11c,金属片17および回転体12の係合凹部12c,保持用磁石18)による攪拌アーム11の保持が外れる。そうして、攪拌アーム11が自重により下方向に回動して、攪拌アーム11が下方位置にある状態になる(図6参照)。
【0090】
一方、電磁石61に通電しない場合は、電磁石61と攪拌アーム側磁石16との間に磁気反発力が働かず、保持機構による攪拌アーム11の保持が維持される。
【0091】
上記構成の炊飯器によれば、制御装置200の攪拌制御部200bにより攪拌用モータ15を制御して内鍋10内の被加熱物を攪拌アーム11に攪拌させるとき、磁気センサ204により検出された攪拌アーム側磁石16の磁気に基づいて、制御装置200の状態判定部200cにより攪拌アーム11が上方位置にあるか否かを判定することによって、簡単な構成で攪拌アーム11が、蓋体2側に折り畳まれているか否かすなわち蓋体2側に近接した近接状態にあるか否かを容易に判定することができる。
【0092】
なお、例えば、攪拌アーム11が蓋体2の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置にあって、磁気センサ204により検出された攪拌アーム側磁石16の磁気に基づいて、状態判定部200cは攪拌アーム11が上方位置にないと判定するが、次に、攪拌用モータ15により攪拌アーム11を逆方向に回転させて、蓋体2側を支点に攪拌アーム11を上方向に回動して引き上げることにより、攪拌アーム11を蓋体2側に折り畳んだ後に、状態判定部200cにより攪拌アーム11が蓋体2側に近接した近接状態であるか否かを判定してもよい。それでも、状態判定部200cが攪拌アーム11が上方位置にないと判定した場合は、攪拌アーム11そのものが蓋体2の内鍋10側に取り付けられていないこと、すなわち攪拌アーム11,回転体12の付け忘れであることが分かる。
【0093】
また、制御装置200の攪拌制御部200bにより攪拌用モータ15を制御して、蒸らし工程の後に、蓋体2を閉じた状態で攪拌アーム11により内鍋10内の米と水の混合物よりも上方の気体を攪拌することによって、冷却用ファンや冷却用の風通路を別に設けることなく、炊飯直後のご飯の温度を約100℃から速やかに約70℃(例えばご飯の劣化を抑えることができる保温温度)まで下げることができる。
【0094】
また、上記制御装置200の攪拌制御部200bにより攪拌用モータ15を制御して、蒸らし工程の後に攪拌アーム11による攪拌を開始してから、内鍋温度センサ40により検出された内鍋10内の温度が予め設定された温度以下になるまで、攪拌アーム11により内鍋10内の米と水の混合物よりも上方の気体を攪拌することによって、ご飯の温度を速やかに予め設定された温度(例えば保温温度)にすることができる。
【0095】
また、上記制御装置200の攪拌制御部200bにより攪拌用モータ15を制御して、蒸らし工程後の保温工程において、蓋体2の内鍋10側に結露水が付着しないように、蓋体2を閉じた状態で攪拌アーム11を回転させることによって、保温時に蓋体2の内鍋10側に付着した結露水が滴下して、ご飯がべたつくのを防止できる。
【0096】
また、炊飯運転時の吸水工程の後の立ち上げ工程において、攪拌用モータ15を制御することにより、内鍋10内の米と水の混合物の上部領域に攪拌位置(攪拌アーム11の先端側)が位置するように攪拌アーム11を移動させて、内鍋10内の米と水の混合物の上部領域を攪拌アーム11により攪拌することにより、米と水の混合物の上部領域を攪拌するので、立ち上げ工程において、内鍋10内の米と水の混合物における温度分布が均一化され、無駄な放熱を低減でき、温度ムラが少なくなってご飯の仕上がりが良好になる。
【0097】
また、立ち上げ工程において内鍋10内の被加熱物全体を効率よく加熱することで、被加熱物である米と水の混合物全体の温度の立ち上がりが早くなるので、炊飯時間を短縮化できる。これにより、吸水工程から炊き上げ工程までの時間が短くなって、ご飯本体の硬さ(=弾力)が増して、米本来の噛みごたえのある食感が得られる。これに対して、炊飯中70℃以上になると米の吸水が進むので、立ち上げ工程でゆっくり立ち上げてしまうと、米が水分を保持しすぎてしまい、やわらかく弾力のないご飯になる。
【0098】
また、攪拌アーム11が蓋体2の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置において、回転軸14の中心に対して攪拌アーム11の重心O2の位置が半径方向にずれているので、攪拌用モータ15により回転させられた攪拌アーム11には半径方向外向に遠心力が働き、その遠心力の作用により軸部13を支点にして攪拌アーム11を上方向に回動して引き上げることが可能になる(図6参照)。したがって、簡単な構成で攪拌アーム11を蓋体2側に近接した近接状態に容易に折り畳むことができる。
【0099】
また、上記攪拌アーム11の支点(軸部13)を、回転軸14の中心から半径方向に間隔をあけた位置に設けて、下方位置にあるときの攪拌アーム11の重心が、回転軸14の中心に対して支点と反対の側に位置することによって、回転する攪拌アーム11に働く遠心力の上向き成分により、支点を中心に攪拌アーム11を確実に上方向に回動させることができる。
【0100】
また、回転する攪拌アーム11に働く遠心力によって、軸部13を支点にして攪拌アーム11を上方向に回動して引き上げて、上方位置で攪拌アーム11を保持機構(攪拌アーム11の係合凸部11c,金属片17、回転体12の係合凹部12c,保持用磁石18)により蓋体2側に保持することによって、攪拌アーム11を蓋体2側に近接した近接状態に確実に折り畳むことができる。また、上記保持機構により蓋体2側に保持された攪拌アーム11を折り畳まれた状態で回転させることによって、内鍋10内よりも上方の気体を攪拌することも可能となる。
【0101】
また、上記攪拌アーム11が蓋体2側の上方位置にある状態から落下機構(ロータ30,蓋体側磁石31,ロータ駆動部32および攪拌アーム側磁石16)により、攪拌アーム11を自重により落下させることによって、攪拌アーム11を下方向に回動させる駆動機構が不要となり、構成を簡略化できる。
【0102】
また、上記攪拌アーム11が蓋体2側の上方位置にある状態で、攪拌アーム11を正方向に回転させたとき、落下機構(ロータ30,蓋体側磁石31,ロータ駆動部32および攪拌アーム側磁石16)により攪拌アーム11が落下する一方で、攪拌アーム11を逆方向に回転させたとき、上記落下機構による攪拌アーム11の落下が起きないので、攪拌アーム11の回転方向を制御することで、攪拌アーム11を落下させたり、そのまま上方位置で攪拌アーム11を回転させたりできる。
【0103】
また、上記内鍋10内に収納された米と水の混合物50の上部領域52(図7に示す)に攪拌アーム11の先端側が位置する状態で、攪拌アーム11が正方向(下方から見て時計方向)に回転すると、羽根部11bの翼面のうちの攪拌アーム11の回転方向に面する翼面(図10,図11に示す羽根部11bの上面)が混合物50から下向きの力を受けるので、攪拌アーム11は、回転しながら混合物50内に潜り込みながら下方向に回動する。したがって、内鍋10内に収納されている米と水の混合物50に攪拌アーム11を潜り込ませながら、米と水の混合物50を攪拌することが可能になる。
【0104】
また、上記内鍋10内に収納された被加熱物である米と水の混合物50(図8に示す)内に攪拌アーム11の先端側が潜り込んだ状態で、攪拌アーム11が逆方向(下方から見て反時計方向)に回転すると、羽根部11bの翼面のうちの攪拌アーム11の回転方向に面する翼面(図10,図11に示す羽根部11bの下面)が混合物50から上向きの力を受けるので、攪拌アーム11は、回転しながら上方向に回動して混合物50内から引き上げられる。したがって、内鍋10内の米と水の混合物50に攪拌アーム11が潜り込んでいても、攪拌アーム11を回転させるだけで混合物50内から引き上げることが可能となる。
【0105】
また、立ち上げ工程において、制御装置200により攪拌用モータ15を制御して、内鍋内の米と水の混合物の上部領域を攪拌アーム11により攪拌するとき、攪拌アーム11を逆方向に回転させることによって、羽根部11bの翼面のうちの攪拌アーム11の回転方向に面する翼面が混合物から上向きの力を受けるので、攪拌アーム11の先端側が、糊化した米と水の混合物の下部領域に潜り込むことがなく、米と水の混合物の上部領域を安定して攪拌できる。
【0106】
なお、上記第1実施形態では、攪拌アーム11の羽根部11bの縦断面の形状を、図10に示すように、攪拌アーム11の先端側において攪拌アーム11が正方向に回転するときの回転方向に向かって斜め下方に傾斜する平板状としたが、攪拌アームの羽根部の縦断面形状は、回転方向に向かって上方または下方に湾曲する形状でもよいし、回転方向に向かって上下に湾曲を繰り返してねじれた形状でもよい。
【0107】
また、上記第1実施形態では、蓋体側磁石31が取り付けられたロータ30の回転に伴って蓋体側磁石31がロータ30の回転方向に移動させたが、蓋体側磁石が固定され、ロータを用いずに蓋体側磁石が蓋体に固定されていてもよい。
【0108】
また、上記第1実施形態では、温度センサとして内蓋10内の温度に相当する温度を検出する内鍋温度センサ40を用いたが、内蓋側に設けられた蓋温度センサを用いてもよいし、内鍋温度センサと蓋温度センサの両方を用いてもよく、他のセンサを用いて内鍋内の温度を検出してもよい。
【0109】
また、上記第1実施形態では、磁気センサ204を蓋体2側に設けたが、攪拌アームが蓋体に近接した近接状態であるか否かを検知するセンサは、攪拌アームの構造などに応じて炊飯器本体に設けてもよい。
【0110】
〔第2実施形態〕
図19はこの発明の第2実施形態の炊飯器の攪拌アーム111が上方位置にある状態を示す縦断面図を示している。この第2実施形態の炊飯器は、攪拌アーム111に関わる構成を除いて第1実施形態の炊飯器と同一の構成をしている。
【0111】
この第2実施形態の炊飯器は、図19に示すように、炊飯器本体101と、この炊飯器本体101内に収納される内鍋110と、炊飯器本体101の上部に開閉自在に取り付けられ、内鍋110を覆うように閉じることが可能な蓋体102と、炊飯器本体101内の下側に配置され、内鍋110を加熱するためのヒータ141,142と、内鍋110の底部の温度を検知する内鍋温度センサ140とを備えている。
【0112】
上記炊飯器本体101は、外ケース101aと、この外ケース101a内に配置された内ケース(図示せず)とを有する。また、炊飯器本体101内に内鍋110を収納すると、内ケースが内鍋110を保持するようになっている。この内ケースは、耐熱性および電気絶縁性を有する材料で形成されている。外ケース101aと内ケースとの間の空間に制御装置200(図2に示す)を配置している。
【0113】
上記内鍋110は、第1実施形態の炊飯器の内鍋10と同様に、例えばアルミニウムなどの高熱伝導部材で形成され、その外面に加熱効率を向上させる例えばステンレス等の磁性体を貼り付ける一方、内面に被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂をコーティングしている。この内鍋110内に、被加熱物の一例として米と水の混合物を入れる。また、内鍋110の上端の開口の縁には環状のフランジ部110aを設けている。
【0114】
上記蓋体102は、炊飯器本体101に回動自在に支持された外蓋121と、その外蓋121の内鍋110側に着脱自在に取り付けられた内蓋122とを備えている。内蓋122は、板状の円盤部122aと、その円盤部122aの外周縁から下方に延びる円筒部122bと、円筒部122bの下端縁から外方に延びる環状のフランジ部122cとを有している。
【0115】
また、内蓋122の内鍋110側に、回転軸114を中心に耐熱樹脂製の回転体112を回転自在に取り付けている。回転体112の一端が回転軸114に連結され、回転体112の他端に軸部13を介して耐熱樹脂製の攪拌アーム111の一端を上下方向に回動自在に取り付けている。この攪拌アーム111の一端すなわち先端側かつ内蓋122側に攪拌アーム側磁石116を設けている。また、回転体112の攪拌アーム側磁石116側に保持用磁石118を設けている。この回転体112の保持用磁石118と攪拌アーム111の攪拌アーム側磁石116が互いに引き合って、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム111を回転体112に保持する。なお、攪拌アーム111側に磁性体からなる金属片を設けてもよいし、回転体12側に磁性体からなる金属片を設けてもよい。
【0116】
上記回転体112の保持用磁石118と攪拌アーム111の攪拌アーム側磁石116で保持機構を構成している。
【0117】
また、回転軸114は、内蓋122の上側に取り付けられた駆動手段の一例としての攪拌用モータ115に駆動される。
【0118】
一方、内蓋122の上部かつ外側近傍の領域に、固定開放部材130を回転自在に取り付けている。この固定開放部材130の上部が内蓋122の上側に配置され、固定開放部材駆動部132と連結されている。一方、固定開放部材130の下部が内蓋122の内鍋110側に配置されている。
【0119】
この攪拌アーム111が上方位置にある状態では、固定開放部材駆動部132により固定開放部材130を固定位置に回転させて、図19に示すように、固定開放部材130により攪拌アーム111が回転体112に保持されている。
【0120】
この攪拌アーム111が上方位置にある状態で、固定開放部材駆動部132により固定開放部材130を開放位置に回転させた後、攪拌アーム111が一方の回転方向に回転したとき、固定開放部材130により攪拌アーム111が下方に押し下げられることによって、図20に示すように、保持機構(回転体112の保持用磁石118と攪拌アーム111の攪拌アーム側磁石116)による攪拌アーム111の保持が外れる。そうして、攪拌アーム111が自重により下方向に回動して、攪拌アーム111が下方位置にある状態になる(図20参照)。
【0121】
上記固定開放部材130と固定開放部材駆動部132で落下機構を構成している。
【0122】
この攪拌アーム111は、軸部13近傍に設けられたストッパー機構((図示せず))によって、蓋体102の内蓋122の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置で攪拌アーム111の回動が止まる。この下方位置では、攪拌アーム111の先端側と内鍋110内の底部との間に所定の間隔をあけて、攪拌アーム111と内鍋110内の底部とが接触しないようにしている。また、攪拌アーム111の上方位置から下方位置までの回動時に攪拌アーム111が内鍋110と干渉しない。
【0123】
図21は上記攪拌アーム111の側面図を示しており、攪拌アーム111は、図21に示すように、棒状の基部111aと、基部111aの一端に設けられた羽根部111bと、基部111aの他端に設けられた軸穴部111cとを有している。
【0124】
また、図22は上記攪拌アーム111の下面図を示しており、図22に示すように、攪拌アーム111の羽根部111bの先端側に嵌合部160を設けている。
【0125】
図23は上記攪拌アーム111用の固定開放部材130の側面図を示しており、図24は固定開放部材130の下面図を示している。
【0126】
固定開放部材130は、図23,図24に示すように、固定開放部材駆動部132と連結される円柱状の大径部130aと、その大径部130aの下側に連なる小径部130bと、小径部130bの下側に設けられた固定開放部130cとを有する。この固定開放部130cに、内蓋122の面に対して傾斜するテーパー面135と、内蓋122の面かつテーパー面135に略直交する平坦面150を形成している。
【0127】
図25は上記攪拌アーム111用の固定開放部材130の側面図を示し、図26は上記攪拌アーム111が固定されたときの固定開放部材130の下面図を示している。
【0128】
図25に示すように、固定開放部130cの一部に嵌合凹部170を形成している。そして、図26に示すように、固定開放部130cの嵌合凹部170に、攪拌アーム111の先端側の嵌合部160が嵌合して、落下しないように攪拌アーム111を固定している。
【0129】
図27は上記炊飯器の攪拌アーム111が上方位置にある状態を下方から見た平面図を示している。図27では、固定開放部材130は、固定開放部材駆動部132により回転駆動されて、固定開放部130cの平坦面150が中央に向いた状態の非干渉位置にある。そして、攪拌アーム111が上方位置にある状態で、攪拌アーム111と回転体112が正方向(下方から見て時計回り)または逆方向(反時計方向)に回転しても、回転体112の保持用磁石118(図19に示す)と攪拌アーム111の攪拌アーム側磁石116(図19に示す)が互いに引き合ったままとなり、上方位置に折り畳まれた攪拌アーム111を回転体112に保持した状態が維持される。
【0130】
一方、図28では、固定開放部材130は、固定開放部材駆動部132により回転駆動されて、固定開放部130cのテーパー面135が中央に向いた状態の開放位置にある。この開放位置における固定開放部材130のテーパー面135は、回転する攪拌アーム111の先端の周方向の軌跡に重なる。
【0131】
これによって、上方位置にある状態の攪拌アーム111が逆方向(下方から見て反時計方向)に回転すると、攪拌アーム111の先端側が固定開放部材130のテーパー面135に乗り上げて、回転体112の保持用磁石118(図19に示す)と攪拌アーム111の攪拌アーム側磁石116(図19に示す)との間が広がって磁気吸引力が弱まり、攪拌アーム111が自重によって落下して、下方向に回動する。
【0132】
なお、図29は上記攪拌アーム111が固定開放部材130により固定された状態の下面図を示している。
【0133】
上記第2実施形態の炊飯器は、第1実施形態の炊飯器と同様の効果を有する。
【0134】
また、上記第2実施形態の炊飯器によれば、固定開放部材130を用いて攪拌アーム111を固定することにより、蓋体開閉時の衝撃などにより保持機構による攪拌アームの保持が解除されて落下するのを防止できる。
【0135】
上記第2実施形態では、攪拌アーム111の固定と開放を兼ねた固定開放部材130を用いたが、攪拌アームを開放する開放部材だけを用いて、固定せずに保持機構により攪拌アームを保持してもよいし、攪拌アームを開放する開放部材と攪拌アームを固定する固定部材を別々に設けてもよい。
【0136】
また、上記第2実施形態では、攪拌アーム111の固定と開放を兼ねた固定開放部材130を固定開放部材駆動部132により回転させたが、固定開放部材を上下方向または水平方向に移動させて、攪拌アームの固定と開放を行ってもよい。
【0137】
上記第1,第2実施形態では、ヒータ41,42,141,142を用いた抵抗加熱により内鍋2,102を加熱していたが、加熱手段はこれに限らず、例えば誘導コイルを用いた誘導加熱でもよく、抵抗加熱と誘導加熱の両方により内鍋を加熱してもよい。
【0138】
また、上記第1,第2実施形態では、攪拌アーム11,111の支点(軸部13)を、回転軸14,114の中心から半径方向に間隔をあけた位置に設けて、下方位置にあるときの攪拌アーム11,111の重心が、回転軸14,114の中心に対して支点と反対の側に位置する構成の炊飯器について説明したが、これに限らず、攪拌アームの支点が回転軸の中心と同じ位置の炊飯器にこの発明を適用してもよい。
【0139】
また、攪拌アームの羽根部の形状は、上記第1,第2実施形態の羽根部11b,111bに限らず、内鍋内の被加熱物の攪拌に適した他の羽根形状のものでもよい。
【0140】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0141】
1…炊飯器本体
1a…外ケース
2…蓋体
3…表示操作部
4…フックボタン
5…本体ハンドル
6…電源コード
10…内鍋
11…攪拌アーム
11a…基部
11c…係合凸部
11b…羽根部
12,112…回転体
12a…基部
12b…壁部
12c…係合凹部
13,113…軸部
14,114…回転軸
15,115…攪拌用モータ
16,116…攪拌アーム側磁石
17…金属片
18,118…保持用磁石
21,121…外蓋
22,122…内蓋
22a,122a…円盤部
22b,122b…円筒部
22c,122c…環状のフランジ部
30…ロータ
31…蓋体側磁石
32…ロータ駆動部
40,140…内鍋温度センサ
41,42,141,142…ヒータ
50…米と水の混合物
51…下部領域
52…上部領域
60…回転体側磁石
70…蒸気通路
80…圧力弁
101…炊飯器本体
101a…外ケース
102…蓋体
110…内鍋
111…攪拌アーム
111a…基部
111b…羽根部
111c…軸穴部
130…固定開放部材
130a…大径部
130b…小径部
130c…固定開放部
132…固定開放部材駆動部
135…テーパー面
150…平坦面
160…嵌合部
170…嵌合凹部
200…制御装置
200a…加熱制御部
200b…攪拌制御部
200c…状態判定部
200d…混合物容量判定部
201…消費電流検出部
202…加熱回路
204…磁気センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、
上記炊飯器本体内に収容される内鍋と、
上記内鍋の開口を覆う蓋体と、
上記蓋体に近接した近接状態および上記蓋体から先端が離間した離間状態となることが可能な攪拌アームと、
上記炊飯器本体または上記蓋体に設けられ、上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態であるか否かを検知するセンサと
を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
上記攪拌アームは、上記蓋体の上記内鍋側に着脱自在かつ回転軸を中心に回転自在かつ上記蓋体側を支点に上下方向に回動可能に取り付けられると共に、先端側に攪拌アーム側磁石が設けられており、
上記センサは、上記蓋体に設けられ、上記攪拌アームが上記蓋体側を支点に上方向に回動して上記蓋体に近接した近接状態にあるときに上記攪拌アーム側磁石の磁気を検知する磁気センサであり、
上記攪拌アームを駆動する駆動手段と、
上記駆動手段を制御することにより、上記攪拌アームを上記蓋体から先端が離間した離間状態にして、上記内鍋内に収納された被加熱物を上記攪拌アームに攪拌させる攪拌制御手段と、
上記磁気センサにより検出された上記攪拌アーム側磁石の磁気に基づいて、上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態にあるか否かを判定する攪拌アーム判定手段と
を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の炊飯器において、
上記蓋体の上記内鍋側に着脱自在かつ上記回転軸を中心に回転自在に取り付けられ、上記攪拌アームの上記支点が設けられた回転体と、
上記攪拌アームが上記蓋体に近接した近接状態で、上記回転体において上記回転軸の中心に対して上記攪拌アーム側磁石と対称な位置に設けられた回転体側磁石と
を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
請求項3に記載の炊飯器において、
上記攪拌アーム側磁石と上記回転体側磁石は、大きさ,個数または磁力の少なくとも1つが異なることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の炊飯器において、
上記攪拌アームが上記蓋体側を支点に下方向に回動して上記蓋体の下面に対して斜め下方に向かって起立した下方位置において、上記回転軸の中心に対して上記攪拌アームの重心の位置が半径方向にずれていることを特徴とする炊飯器。
【請求項6】
請求項5に記載の炊飯器において、
上記攪拌アームの上記支点が、上記攪拌アームの回転中心から半径方向に間隔をあけた位置に設けられ、
上記攪拌アームが上記下方位置にあるとき、上記攪拌アームの重心が上記回転軸の中心に対して上記支点と反対の側に位置することを特徴とする炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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