説明

炎症、疼痛および/または発熱の治療を目的としたCOX−2阻害薬バルデコキシブのプロドラッグとしてのパレコキシブ金属塩

MgXの構造を有する化合物であって、Xがパレコキシブ陰イオンでありかつXがパレコキシブ陰イオン、クロリド、ブロミド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アセテート、プロピオネート、スクシネート、グリコネート、ステアリネート、ラクテート、マラート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリチレート、メタンスルホネート、およびトルエンスルホネートからなる群より選択される化合物が開示され、またMX(Xの構造を有する化合物であって、MがCa2+、Zn2+、およびKからなる群から選択される金属陽イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンおよびもう1つの薬学的に許容できる陰イオンからなる群から選択され、かつMがKの時nが0、MがCa2+またはZn2+であるときnが1である化合物も開示され、本発明の組成物は炎症、疼痛および/または発熱を含むCOX−2を介する非常に広範囲の障害の有用な治療および予防である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2(「COX−2」)を介した状態を治療するのに有益な金属塩、このような塩を活性成分して含む医薬組成物、このような塩および組成物を調製する方法、このような組成物を患者に投与することを含むCOX−2を介する障害の治療法、および医薬品の製造におけるこのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的COX−2阻害化合物の発見は、COX−2発現がこのような病理を調節する状態の治療および/または予防を大いに進歩させている。このような阻害化合物は抗炎症、解熱、鎮痛および他の有用な治療効果を提供する一方で、COX−1阻害によりもたらされることが知られている有害な副作用を最小化または消失させる。
【0003】
選択的COX−2阻害薬の例は、本明細書に参照文献として組み入れられる米国特許第5,466,823号に記載されている。
【0004】
選択的COX−2阻害薬の他の例は、本明細書に参照文献として組み入れられる米国特許第5,892,053号に記載されている。このような例の1つは、4−[5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル]ベンゼンスルホンアミドとしても知られるセレコキシブである。セレコキシブは、治療的および予防的に有用な選択的COX−2阻害作用を有し、かつCOX−2を介した障害の治療および予防において有用性を有する。
【0005】
本明細書に参照文献として組み入れられる国際公開番号第WO00/32189は、セレコキシブが長く凝集性の針状物質を形成する傾向のある結晶性形態を有することを開示している。
【0006】
本明細書に参照文献として組み入れられている国際公開番号第WO00/42021は、セレコキシブの溶媒和結晶型およびその結晶型の脱溶媒和法を開示している。セレコキシブの形態は、一般に水性媒質において低い溶解性を有する(約2から約5μg/mL)。
【0007】
バルデコキシブ(すなわち4−(5−メチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル)ベンゼンスルホンアミド)は、もう1つのクラスの選択的COX−2阻害薬の中のひとつであり、米国特許第5,633,272号(本明細書に参照文献として組み入れられている)に開示されている。バルデコキシブは実質的に水にほとんど溶けない。
【0008】
パレコキシブ(すなわちN−[[4−(5−メチル−3−フェニルイソキサゾール−4−イル)フェニル]スルホニル]プロパンアミド)は本明細書に参照文献として組み入れられる米国特許第5,932,598に記載されている。パレコキシブはバルデコキシブのプロドラッグであり、パレコキシブはCOX−1およびCOX−2に対しては非常に低いin vitro阻害活性のみを示すが、パレコキシブは投与されるとバルデコキシブに変換される。同じく米国特許第5,932,598号に開示されているパレコキシブナトリウム(「Naパレコキシブ」)は水溶性が高いが(例:pH7.8で18mg/mL)、パレコキシブ遊離酸(「パレコキシブFA」)の溶解度の方はより低い。
【0009】
Naパレコキシブは水溶性であるため、すぐに使用できる注射製剤が開発され、ダイナスタット(登録商標)(TM G.D.サール社)として発売されている。このような製剤を静脈内注射すると、パレコキシブは容易に生物学的に利用可能となる。パレコキシブの(1)迅速な生物学的利用能および(2)in vivoクリアランスにより、治療過程の間パレコキシブの最大の有効性を維持するには、規則的な間隔での反復注射(例:1日1回)が必要とされる。
【0010】
非経口薬製剤は、特に解熱鎮痛効果を有する薬物について、利用可能な薬物送達の選択肢群における非常に重要な構成要素となっている。幅広い種類の薬物について、非経口的投与経路(例:皮下、筋肉内および静脈内注射など)は経口送達よりも多くの利益を提供する。例えば薬物の非経口投与により、経口投与で達成するよりも短時間で、治療的に有効な血清薬物濃度を達成することが多い。これは、その薬物を血流中に直接入れる静脈内注射について特に当てはまる。経口的に摂取された薬物は消化管内で様々な損失を生じる傾向があるが、(例:代謝、食物との結合および他の原因による)、非経口投与では血清薬物濃度がより予測しやすくなる。同様な理由により、非経口投与により用量の減量が可能となることが多い。非経口投与は一般的に緊急的な状況で好まれる薬物送達法であり、かつ非協力的、意識不明、または、経口薬物投与を受け入れられないまたは受け入れようとしない患者の治療においても有用である。
【0011】
安定した液状非経口パレコキシブ製剤は、米国特許出願番号第2004/0127537A1に開示されている。
【0012】
非経口薬物製剤が、他の製剤と比較して長時間作用を提供することにより、投与頻度が減少することが望まれることが多い。これは、非経口投与経路が健康的な組織を冒し痛みを伴い、感情的ストレスが多く、感染リスクを伴うか、または医療提供者を訪問する必要があるような場合に特に当てはまる。
【0013】
新規パレコキシブ種が存在すれば、治癒技術は進歩し、適切に製剤化されれば、長時間作用型薬物として有用となるため、注射の回数または一定の状況における経口投与に伴う困難が減少する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
今、本発明において、COX−2を介した障害を有する患者を治療するために有用なパレコキシブマグネシウム塩を含む選択的COX−2阻害化合物が提供される。
【0015】
用語「COX−2を介した障害を有する患者を治療する」は、COX−2を介する障害を発症する可能性のある患者に対する本化合物の予防的投与を含むことを意味すると理解すべきである。また、本明細書で使用されているように、用語「COX−2を介する障害」はCOX−2活性が病理または望ましくない身体的影響の背景にある状態を含むことを意味する。
【0016】
1つの実施形態において、パレコキシブのマグネシウム塩はジパレコキシブマグネシウム(「Mgジパレコキシブ」)である。
【0017】
1つの実施形態において、本発明のMgジパレコキシブは結晶性である。他の実施形態において、Mgジパレコキシブ結晶は針状でない。例として、本発明の非針状結晶は立方体様または多角形である。
【0018】
他の実施形態において、本発明のMgジパレコキシブは少なくとも1つの添加剤も含む医薬組成物中にある。このような剤形は錠剤、カプセル剤、懸濁剤などとしての経口摂取にとって有用である。
【0019】
他の実施形態においては、薬学的に許容できる本発明の剤形は、非経口投与に適した組成物である。
【0020】
他の実施形態において、非経口投与可能な本発明の組成物はデポー投与に適している。
【0021】
他の実施形態において、Mgジパレコキシブはさらに第2の活性成分を含む医薬組成物の形態である。
【0022】
他の実施形態において、MX(Xの構造を有する化合物であって、MがCa2+、Zn2+、およびKからなる群から選択される金属陽イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンおよびもう1つの薬学的に許容できる陰イオンからなる群から選択され、およびMがKの時nが0、MがCa2+またはZn2+であるときnが1である化合物が提供される。
【0023】
他の実施形態において本発明は、デポー製剤として投与されるときバルデコキシブの治療レベルをもたらすパレコキシブ塩のデポー製剤を提供する。このようなパレコキシブ塩は、Mgジパレコキシブ、ジパレコキシブ亜鉛、(「Znジパレコキシブ」)、ジパレコキシブカルシウム(「Caジパレコキシブ」)、パレコキシブカリウム(「Kパレコキシブ」)およびNaパレコキシブから選択される。
【0024】
他の実施形態において本発明は、これを必要とする患者に対してデポーとして投与されるとき、バルデコキシブの治療レベルをもたらすバルデコキシブのデポー組成物を提供する。
【0025】
他の実施形態において、本発明のデポー組成物は、患者の少なくとも1つの非経口部位に注射されるとき、以下の1つのうち少なくとも1つを提供する。
【0026】
(a)デポーの投与後約10時間、代替的に約5時間、または代替的に約3時間以内のバルデコキシブの治療レベル;
【0027】
(b)少なくとも約2,代替的に少なくとも約3,または代替的に少なくとも約4日間にわたるバルデコキシブの治療レベル;
【0028】
(c)投与後約20時間以下、代替的に約10時間以下、または代替的に約3時間以下のバルデコキシブ最高血清濃度到達時間(T1/2max)。
【0029】
本発明は、Mgジパレコキシブを調製する方法であって、in situ結晶化法を含む方法も提供する。
【0030】
本発明は、Mgジパレコキシブを調製する方法であって、例えばMg(OH)を可溶化したパレコキシブFAと反応させることにより、パレコキシブFAよりMgジパレコキシブを沈殿させる段階を含む方法も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の1つの実施形態において、MgXの構造を有するパレコキシブのマグネシウム塩であって、Xがパレコキシブ陰イオンであり、かつXがパレコキシブ陰イオンおよびもう1つの薬学的に許容できる陰イオンからなる群より選択される塩が提供される。適切な薬学的に許容できる陰イオンはクロリド、ブロミド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アセテート、プロピオネート、スクシネート、グリコネート、ステアリネート、ラクテート、マラート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリチレート、メタンスルホネート、およびトルエンスルホネートを含むが、これに限定されない。
【0032】
1つの実施形態において、パレコキシブのマグネシウム塩は実質的に式Iの形態であり、
【化1】




【0033】
かつ本明細書ではMgジパレコキシブと呼ばれる。用語「実質的に式Iの形態である」は、パレコキシブ陰イオンとマグネシウム陽イオンのモル比が約1.5から約2.5、好ましくは約2である分子形態を包含することを意味する。
【0034】
1つの実施形態において、Mgジパレコキシブは結晶性である。好ましい実施形態において、本発明のマグネシウム塩は例えば立方体様または多角形の、非針状結晶である。
【0035】
実施形態の1つにおいて、Mgジパレコキシブは体積に対して比較的小さな表面積の比率を有する(特に針状結晶と比較したとき)形態である。本文脈における用語「比較的低い」は、約48μm−1未満、好ましくは約24μm−1未満、より好ましくは約12μm−1未満の体積に対する表面積の比率を意味する。
【0036】
他の実施形態において、粉砕または超音波破砕などを行わないで、Mgジパレコキシブ結晶は堀場粒度計による約40μmの平均粒度を有する。粉砕または超音波破砕などを行わないで、本発明の結晶は約100μm未満、好ましくは約60μm未満、より好ましくは約40μm未満のD90(質量による)を有する(結晶の最長辺に基づく)。
【0037】
代替的な実施態様の1分間の超音波破砕の後、結晶は堀場粒度計による平均粒度約20μmを有する。代替的に、このような結晶は約60μm未満、代替的には40μm未満、代替的には約20μm未満のD90(質量による)を有する(結晶の最長辺に基づく)。
【0038】
他の実施形態において、MX(Xの構造を有する化合物であって、MがCa2+、Zn2+、およびKからなる群から選択される金属陽イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンであり、Xがパレコキシブ陰イオンおよびもう1つの薬学的に許容できる陰イオンからなる群から選択され、かつMがKの時nが0、およびMがCa2+またはZn2+であるときnが1である化合物が提供される。
【0039】
本明細書ではMgジパレコキシブを調製するために2つの例示的な方法を考慮した。1つの方法では、Mgジパレコキシブは米国特許第5,932,598号に記載されたように調製できるパレコキシブFAから沈殿化される。次に、パレコキシブFAは液体中に懸濁または溶解してもよい。例えば、エタノール中でパレコキシブFAの75mM懸濁液を作成してもよい。さらに、マグネシウム塩(例:Mg(OH)、MgClまたはMg)を第2の液体に懸濁または溶解してもよい。例えば、エタノール中でMg(OH)の55mM懸濁液を作成してもよい。次に、パレコキシブFA懸濁液または溶液とマグネシウム塩を混合することができる。例えば、前述の75mMパレコキシブFA懸濁液3部を、前述の55mM Mg(OH)懸濁液2部と混合することができる。1つの代替法において、混合した懸濁液または溶液中でマグネシウム陽イオンに対するパレコキシブ陰イオンのモル比は2対1であり、代替的にモル比は約1対1以上を上回りかつ約4対1未満である。次に、混合物を一定時間(例:10分またはそれ以上)振盪(例:撹拌)することができる。この振盪時間中、パレコキシブマグネシウム塩が沈殿する。沈殿を、例えば遠心分離またはエタノールの蒸発(例:真空下)で捕集することができる。任意に、結晶を乾燥させてもよい(例:高度真空下)。
【0040】
マグネシウムジパレコキシブは代替的にin situ結晶化により調製することができる。米国特許第5,932,598号に記載されたように調製されるパレコキシブナトリウムは、液体中に溶解してもよい。例えば、液体は水であってもよく、および液体は緩衝化されていてもよい。例として、溶液の形成に有用な濃度(例:10〜40mgパレコキシブFA当量/mL)におけるバルデコキシブの形成を回避するために、Naパレコキシブをわずかに塩基性のpH(例:pH8)に調節された15mMトリスに溶解してもよい。この溶液は、濃マグネシウム塩溶液(例:MgClまたはMgSO)と混合することができる。任意に、パレコキシブ溶液とマグネシウム塩溶液を、陽イオンに対するパレコキシブ陰イオンのモル比が約1を上回り、任意に、約1.5を上回ってもまたは約2を上回ってもよいように混合してもよい。次に、混合物を一定時間(例:約1分から30分または一晩)振盪(例:撹拌)してもよい。この振盪時間中、パレコキシブマグネシウム塩が沈殿する。振盪時間後、上述のようにMgジパレコキシブの沈殿を、例えば遠心分離または濾過により、溶液より分離してもよい。
【0041】
Mgジパレコキシブを調製する他の変法を、以下に実施した例により記載する。当業者は、本明細書の開示に基づき、Caジパレコキシブ、ZnジパレコキシブおよびKパレコキシブを同様に生成できることを理解することができる。例えばKパレコキシブは、上記に教示された手順によってKOHをパレコキシブFAに添加することにより生成することができる。
【0042】
他の実施形態において、Mgジパレコキシブおよび1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる添加剤を含む医薬組成物が提供される。本明細書の開示に基づき、当業者は所望の投与経路、所望の血漿バルデコキシブレベルおよび所望の血流中バルデコキシブ治療レベル持続時間に応じて選択された、1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる添加剤を選択することができる。
【0043】
1つの実施形態において、本組成物はMgジパレコキシブを組成物全重量に対して重量で少なくとも約1%、代替的に少なくとも重量で約10%または少なくとも重量で約20%の量で含む。
【0044】
これらの医薬組成物は、錠剤、丸剤、硬または軟カプセル、トローチ剤、分包またはトローチなどの個別の固形物の形態で経口投与ユニットに調製してもよく、代替的に組成物をこれより単一の投与ユニットを秤取することができる粒子、粉末、または顆粒状固形または液状懸濁液などの実質的に均一な流動性の集合体の形態にすることができる。代替的に、これらの医薬組成物は非経口投与に適した形態を取る。用語「非経口投与」は、本明細書では患者の皮膚内へのまたはこれを通した組成物の注射および/または注入を包含し、かつ皮膚内、皮下、筋肉内、静脈内、骨髄内、関節内、腹腔内、リンパ内、滑液包内、脊髄内、硬膜下および心臓内投与を制限なく含む。このような投与を実施するために、薬物の非経口注射または注入に有用なあらゆる既知の機器を使用することができる。
【0045】
本発明の非経口的送達が可能な実施形態は、以下の基準のうち1つまたはそれ以上を満足し、3つまたはそれ以上であってもよく、5つまたはそれ以上であってもよく、7つまたはそれ以上であってもよく、または9つまたはそれ以上を満足してもよい:無菌性、低エンドトキシンレベル、規定の粒度範囲、有効期限中に「ケーキング」しない、穏やかな振盪により容易に再分散、再分散後の沈殿速度が遅い、再分散後の懸濁液の均一性、細ゲージの針でシリンジに取り注射できる、製剤が等張でありかつpHが生理的範囲に近い、粒子の物理的安定性(例:多型または結晶の成長がない)、および化学的安定性。
【0046】
非経口送達可能な本発明の組成物はMgジパレコキシブを治療的に有効な量で含む。組成物は以下のもののうち1つまたはそれ以上を含んでもよい:組成物のpHを調節および/または維持するための非経口的に許容できる緩衝化剤、等張化剤、液状組成物中のMgジパレコキシブの望ましくない沈殿を低下させる懸濁化剤、および可溶化剤。
【0047】
Mgジパレコキシブを可溶性組成物(例:静脈内投与用)とすることが望まれる場合、可溶化剤は例えば少なくとも1つのシクロデキストリンを含むことができる。適切なシクロデキストリンはα−シクロデキストリンおよびβ−シクロデキストリン(本明細書ではβ−CDとも呼ばれる)を含む。好ましくは、シクロデキストリンはβ−シクロデキストリンである。これらの任意のシクロデキストリン誘導体のうち、C2−6アルキレンがCまたはCアルキレンであるものがある。また、これらの任意のシクロデキストリンの中には、例えば平均の置換が約4から約8、および好ましくは約5から約7、例えば6.4(すなわちスルホブチルエーテル6.4−β−シクロデキストリン)のスルホニルエーテル結合の置換を有するスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンのようなスルホアルキルエーテル−β−シクロデキストリンがある。
【0048】
本発明の組成物は、ポリエチレングリコール、エタノール、ジメチルアセトアミド(DMAC)、プロピレングリコールおよびその混合物などの非水性可溶化剤を少なくとも1つ含むことができる。
【0049】
本発明の組成物は、例えばNaCl、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、ポリエチレングリコール(「PEG」)、リン酸緩衝化剤、メチルおよびプロピルパラベン、ポリエチレングリコール、カルボシキメチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルピロリドンまたはポリソルベートなどの等張化剤を含んでもよい。
【0050】
本明細書で用いるように、「等張」は溶液の浸透圧モル濃度が生理的浸透圧モル濃度と実質的に等しい(すなわち溶液の張度または浸透圧が血液のそれと同様である)ことを意味する。
【0051】
本発明の非経口的送達が可能な組成物の1つにおいて、組成物は粉末の形態である。粉末形態は、注射に適した溶液を形成するために、水溶液であってもよい非経口的に許容できる溶媒液に溶解することが可能であってもよい。
【0052】
粉末形態の非経口的送達が可能な組成物は、容易に溶解可能な粉末を形成するために、Mgジパレコキシブおよび1つまたはそれ以上の緩衝化剤、等張化剤および懸濁化剤を含んでもよい水溶液より水を除去する段階(例えば凍結乾燥による)を含む方法によって調製することができる。
【0053】
実施形態の1つでは、本発明はその中に本発明の無菌の非経口送達可能な組成物を粉末の形態で含む密封バイアルを含む製造物である。当業者は、このような製造物は、粉末形態と分離された有用な体積の溶媒(例:水)を、使用前に密封バイアルを開くことなく水と粉末形態の混合を可能とする区画に含んでいてもよいことを認識することができる。
【0054】
他の実施形態において、本発明は組成物を再溶解して調製した注射可能な溶液である。
【0055】
他の実施形態では、本発明はその中に組成物の投与ユニット量を無菌状態で含む密封バイアルを含む製造物である。
【0056】
実施形態の1つにおいて、本発明の非経口送達が可能な組成物はデポー投与に適している。このようなデポー投与は、好ましくは例えば少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、または少なくとも5日であってもよい持続的な期間に治療的に有効な用量を送達する。
【0057】
本明細書で用いるように、「デポー」は、治療的活性薬剤の血流中への段階的な放出(例えば数時間または数日にわたる放出)をもたらす局所部位への移植または注射による投与に適した、治療活性薬剤を含む医薬組成物である。活性薬剤の放出は注射または移植された部位の性質、活性薬剤の溶解度およびデポーの組成そのものによって変化する。
【0058】
本明細書で用いるように、「デポー投与」は例えば皮下、筋肉内、皮膚内および関節内投与などの移植または注射による投与を意味する。従って、デポー投与は例えば活性薬剤の迅速な全身送達(例えば注射により数分以内)をもたらす静脈内注射と対照される。
【0059】
本発明のデポー組成物はMgジパレコキシブおよびMgジパレコキシブの可溶化速度を安定化および/または調節する手段を含むことができる。このような安定化および/または調節手段は適切なポリマーまたは疎水材料またはイオン交換樹脂より選択することができる。例として、Mgジパレコキシブの放出を安定化または調節するために、許容できる油を用いてMgジパレコキシブより乳化剤を生成することができる。
【0060】
本発明の医薬組成物は、安定した持続放出、有用な放出速度、注射時の最小限の疼痛、デポーによる局所毒性がない、用量と相関した作用時間、およびin vitroおよびin vivo放出の相関からなる群から選択される少なくとも1つの性質を特徴とする。
【0061】
本発明のデポーは、バルデコキシブの治療レベルをもたらす非経口投与に有用な濃度のMgジパレコキシブを含む。このような有用な濃度は約40から約500mg/mL、例えば約80mg/mLから約280mg/mLである。
【0062】
本発明の他の実施形態は、デポー製剤でのMgジパレコキシブの投与法である。このような方法により、ある量のMgジパレコキシブを約40mgから約500mgの量で、60mgから約400mgまたは約80mgから約280mgであってもよい量で送達する。
【0063】
他の実施形態において、本発明のデポー組成物は第2の治療的活性薬剤を含む。本明細書で用いるように、用語「活性薬剤」は薬物を指すこともあればプロドラッグを指すこともある。実施形態の1つにおいて、第2の活性薬剤は消炎鎮痛、解熱、および/または抗炎症化合物である。特別な実施態様において、第2の活性薬剤は選択的COX−2阻害薬であり、選択的COX−2阻害薬はバルデコキシブプロドラッグまたはバルデコキシブであってもよい。特別な実施形態において、第2の活性薬剤は同実施形態におけるMgジパレコキシブよりも迅速に治療レベルのバルデコキシブを送達する。このような組成物は、デポーとして投与した場合に、血流中のバルデコキシブの治療レベルが2日またはそれ以上の日数にわたって予測された治療的ニーズを達成する量で、Mgジパレコキシブおよび第2の活性薬剤を含んでもよい。第2の活性薬剤として有用な選択的COX−2阻害物質の例は、バルデコキシブ、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、およびパレコキシブまたはその塩である。
【0064】
このような実施形態の例は、MgジパレコキシブおよびNaパレコキシブ、MgジパレコキシブおよびCaジパレコキシブ、MgジパレコキシブおよびZnジパレコキシブ、MgジパレコキシブおよびKパレコキシブ、およびMgジパレコキシブおよびバルデコキシブを含む剤形である。
【0065】
本明細書で開示されているように、本発明の塩(例:Mgジパレコキシブ、Caジパレコキシブ、ZnジパレコキシブおよびKパレコキシブ)およびバルデコキシブの物理化学的性質は、異なる薬物動態的性質を有する剤形に部分的に寄与している。このような薬物動態的性質は、例として、溶解速度、生体吸収率、最高血中濃度到達時間(Tmax)、治療(およびそれ以外の)レベルが維持される持続時間、終末半減期(T1/2)および最高血中濃度(Cmax)である。
【0066】
本明細書に開示するような性質に基づき、当業者はデポーとして製剤化および投与するとき、あらゆる所望の血流中バルデコキシブレベルが、投与後の経過時間により変化すると予測されていたとしても、このような所望のレベルが達成可能であるよう、本発明の化合物を絶対量および相対量で混合することができる。
【0067】
例として、一定の状況においては、一定の条件下で第1の治療レベル、例えば75ngバルデコキシブ/mL血漿が迅速に達成されることが望まれる。一定の最初の期間、例えば2日間このような第1の治療レベルを維持できることが望ましい。さらに、このような同じ状況においては、第1の経過時間後に、第2の治療レベルを第2の期間に亘り、例えば25ngバルデコキシブ/mL血漿を4日間達成することが望ましいこともある。さらに、この同じ状況においては、第2の期間後に、第3のバルデコキシブレベルを第3の期間にわたって達成することが望ましいこともある。このような第3のレベルは、第3の期間にわたって(例えば2日間)0ngバルデコキシブ/mL血漿まで低下する変動するレベル(例えば25ngバルデコキシブ/mL血漿)であることができる。
【0068】
治療上のニーズが時間と共に変動する可能性のある状況の例は、生理学的治癒過程が時間と共に治療的ニーズを低下させると予測される疼痛の急速な発症がある状況、および急性疼痛の状況である。具体的な例は、例として、口腔手術、組織の外科的切除(例:生検、虫垂切除術など)、予防接種、美容整形術などを含む。
【0069】
本発明の組成物は、炎症、疼痛および/または発熱を特徴とする障害を含むがこれに限定されないCOX−2を介した、非常に広範囲の障害の治療および予防について患者に有用である。このような組成物は、COX−1に対するCOX−2への選択性を欠く従来のNSAIDの組成物より著明に有害性の低い副作用を有する追加的利益を有する。特に、本発明の組成物は、従来のNSAIDの組成物と比較して、上部消化管潰瘍形成および出血を含む消化管毒性および消化管刺激の可能性が低下している。従って本発明の組成物は、例えば消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎を有する、または消化管病変の再発性の既往、消化管出血、低プロトロンビン血症、血友病または他の出血性障害などの貧血を含む凝血障害、腎疾患を有する患者、または術前の患者または抗凝固剤を摂取している患者など、従来のNSAIDが禁忌である場合のこのようなNSAIDの代替物として特に有用である。
【0070】
本発明の組成物は、COX−2阻害薬の投与が適応となる状態または障害の治療に有用である。より好ましい使用は、急性状態(例:数日から数週間の期間にわたる治療が必要である状態など)の治療を含む。
【0071】
本発明の組成物は、周術期の疼痛、術後の疼痛、口腔手術後の疼痛、一般的な術後疼痛、整形外科手術後の疼痛、歯痛、筋肉痛および癌によりもたらされる疼痛を含むがこれらに限定されない疼痛の治療に有用である。
【0072】
術前1週間以内に本発明のデポー組成物を単回投与すると、周術期疼痛(すなわち手術の手技そのものによる疼痛および術後のより強力および/または急性の疼痛)を軽減し、かつ術後疼痛(すなわちより激しいおよび/または急性の疼痛期後の疼痛)を軽減することが現在開示されている。後期術前疼痛相と前期術後疼痛相の識別は時に不明瞭または存在しないことを理解すべきである。このような有用な術前注射療法の例は、手術の数分前の注射であり、術前24時間以内であっても、術前48時間以内であっても、または術前1週間以内であってもよい。
【0073】
さらに、前述の有用な術前注射療法内での本発明のデポー組成物の単回投与が、鎮痛のためのオピエートの投与の必要性を軽減することは、驚くべき発見である。
【0074】
本発明の組成物は、リウマチ熱、インフルエンザおよび感冒を含む他のウイルス感染、腰痛および頚部痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫および挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、慢性関節リウマチ、変形性関節疾患(変形性関節症)、痛風および強直性脊椎炎を含む関節炎、滑液包炎、火傷、放射線損傷、および手術および歯科処置後の外傷を含む多様な状態における疼痛、発熱および炎症の軽減に有用である。
【0075】
対象となる組成物は、慢性関節リウマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、変形性関節症、全身性エリテマトーデス、および若年性関節炎を含むがこれに限定されない多様な関節炎障害の治療に有用である。
【0076】
このような組成物は、血管疾患、冠動脈疾患、動脈瘤、血管拒絶反応、動脈硬化症、心移植片アテローム硬化症、心筋梗塞、塞栓、卒中を含むアテローム性動脈硬化症、静脈血栓症を含む血栓症、不安定狭心症を含む狭心症、冠動脈プラーク炎症、クラミジア誘発性炎症を含む細菌誘発性炎症、ウイルス誘発性炎症、および冠動脈バイパス術を含む血管移植、血管形成術、ステント留置、エンドアテレクトミー、または動脈、静脈および毛細血管に関わる他の侵襲的手技を含む血行再建術などの外科手技と関連する炎症を含む炎症関連心血管系疾患の治療および予防に有用である。
【0077】
本発明のこのような組成物は、直腸結腸癌、脳腫瘍、骨癌、基底細胞癌などの上皮細胞に由来する新形成(上皮癌)、腺癌、口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌、胃癌、結腸癌などの消化器癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頚部癌、肺癌、乳癌、扁平上皮癌および基底細胞癌などの皮膚癌、前立腺癌、腎細胞癌、および全身の上皮細胞に影響する他の既知の癌などの癌を含む良性および悪性腫瘍および新形成の予防および治療に有用である。本発明の組成物が特に有用であると考えられている新形成は、消化器癌、バレット食道、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頚癌、肺癌、乳癌および皮膚癌である。このような組成物は放射線療法によって発生する線維症の治療にも使用することができる。このような組成物は、家族性腺腫様ポリープ(FAP)を含む、腺腫様ポリープを有する患者の治療に用いることができる。さらにこのような組成物は、FAPのリスクを有する患者においてポリープが形成されるのを防止するのに用いることができる。
【0078】
本発明の組成物による治療を受ける患者は、治療の有効性を判定するために、当業者に周知であるいずれかの方法によって定期的モニタリングを受けることができる。このようなモニタリングからのデータを継続的に分析することで、治療中の治療プログラムの変更が可能となるため、あらゆる時点で最適な有効用量が投与され、かつ治療期間を決定することができる。このようにして、治療期間にわたって投与プログラムおよび投与スケジュールを合理的に変更することができるので、満足できる有効性を示す最低量の組成物が投与され、かつ必要である間のみ投与が継続されるために状態または障害が首尾良く治療される。
【0079】
本発明のパレコキシブ塩(例:Mgジパレコキシブ、Znジパレコキシブ、CaジパレコキシブおよびKパレコキシブ)は、ヒト患者に対して非経口的に投与されると、迅速かつ完全にバルデコキシブに変換される。従って、本発明のパレコキシブの治療的に有効な用量は、治療的に有効な血流バルデコキシブ用量をもたらすものである。例として、通常の治療レベルは少なくとも約20ng/mL血漿であり、例えば約25から約75ng/mLである。
【0080】
本発明の治療方法は、さらにパレコキシブまたは本発明の組成物と、オピオイドおよび麻薬性鎮痛剤、Mu受容体拮抗薬、κ受容体拮抗薬、非麻薬性(すなわち非依存性)鎮痛薬、モノアミン取込み阻害薬、アデノシン調節薬、カンナビノイド誘導体、サブスタンスP拮抗薬、ニューロキニンI受容体拮抗薬およびとりわけナトリウムチャネル遮断薬を含む他の鎮痛薬から選択される1つまたはそれ以上の薬物との併用療法を含む。好ましい併用療法は、本発明の組成物とアセクロフェナク、アセメタシン、e−アセタミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸(アスピリン)、S−アデノシルメチオニン、アルクロフェナク、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、アルミニウムビス(アセチルサリシレート)、アムフェナク、アミノクロルテノキサジン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−4−ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン、サリチル酸アンモニウム、アムピロキシカム、アムトルメチングアシル、アニレリジン、アンチピリン、サリチル酸アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、ベンダザック、ベノリレート、ベノキサプロフェン、ベンゾピペリロン、ベンジダミン、ベンジルモルヒネ、ベルモプロフェン、ベジトラミド、α−ビサボロール、ブロムフェナク、p−ブロモアセトアニリド、酢酸5−ブロモサリチル酸、ブロモサリゲニン、ブセチン、ブクロクス酸、ブコローム、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブタセチン、ブチブフェン、ブトファノール、アセチルサリチル酸カルシウム、カルバマゼピン、カルビフェン、カルプロフェン、カルサラム、クロロブタノール、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シンメタシン、シラマドール、クリダナク、クロメタシン、クロニタゼン、クロニキシン、クロピラク、クローブ、コデイン、コデインメチルブロミド、リン酸コデイン、硫酸コデイン、クロプロパミド、クロテタミド、デソモルヒネ、デキソキサドロール、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジクロフェナクナトリウム、ジフェナミゾール、ジフェンピラミド、ジフルニサール、ジヒドロコデイン、酢酸ジヒドロコデインエノール、ジヒドロモルヒネ、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、酪酸ジオキサフェチル、ジピパノン、ジプロセチル、ジピロン、ジタゾール、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサラート、エテンザミド、エトヘプタジン、エトキサゼン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトドラク、エトフェナメート、エトニタゼン、オイゲノール、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロズ酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザク、フェプラジノール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルフェナム酸、フルノキサプロフェン、フルオレソン、フルピルチン、フルプロクァゾン、フルルビプロフェン、ホスホサール、ゲンチジン酸、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ヒドロコドン、ヒドロモルヒネ、ヒドロキシペチジン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソラドール、イソメタドン、イソニキシン、イソキセパク、イソキシカム、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラク、p−ラクトフェネチド、レフェタミン、レボルファノール、ロフェンタニル、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、アセチルサリチル酸マグネシウム、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メペリジン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、塩酸メタドン、メトトリメプラジン、メチアジン酸、メトホリン、メトポン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モラゾン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、サリチル酸モルヒネ、ミロフィン、ナブメトン、ナルブフィン、サリチル酸1−ナフチル、ナプロキセン、ナルセイン、ネフォパム、ニコモルヒネ、ニフェナゾン、ニフルム酸、ニメスリド、5’−ニトロ−2’−プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、オルサラジン、アヘン、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシコドン、オキシモルヒネ、オキシフェンブタゾン、パパベレトゥム、パラニリン、パルサルミド、ペンタゾシン、ペリソキサール、フェナセチン、フェナドキソン、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール、フェノペリジン、フェノピラゾン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン、ピミノジン、ピペブゾン、ピペリロン、ピプロフェン、ピラゾラク、ピリトラミド、ピロキシカム、プラノプロフェン、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロピラム、プロポシキフェン、プロピフェナゾン、プロクァゾン、プロチジン酸、ラミフェナゾン、レミフェンタニル、メチル硫酸リマゾリウム、サラセタミド、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミド−O−酢酸、サリチル硫酸、サルサルト、サルベリン、シメトリド、サリチル酸ナトリウム、スルフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、スーパーオキシドディスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルマート、テニダップ、テノキシカム、テロフェナマート、テトランドリン、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トロペシン、ビミノール、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェンおよびゾメピラクから選択される1つまたはそれ以上の化合物の使用を含む(The Merck Index, 12th Edition, Therapeutic Category and Biological
Activity Index, ed. S. Budavari(1996), pp. Ther-2 to Ther-3 and Ther-1 2(Analgesic(Dental),
Analgesic(Narcotic), Analgesic(Non-narcotic), Anti-inflammatory(Non-steroidal)を参照されたい)。
【0081】
本発明の治療法は、さらに本発明のパレコキシブ塩と1つまたはそれ以上の抗腫瘍薬(例:抗腫瘍トポイゾメラーゼII阻害薬、抗腫瘍抗微小管剤、抗腫瘍アルキル化剤、抗腫瘍抗代謝薬および抗腫瘍性トポイゾメラーゼI阻害薬など)との併用療法を含む。抗腫瘍トポイソメラーゼII阻害薬は、例として、アントラサイクリン化合物(例:ドキソルビシン、ダウノマイシン、メトキシ−モルホリノ−ドキソルビシン、エピルビシンイダルビシンおよびネモルビシンなど)、アントラキノン化合物(例:ミトキサントロンおよびロソキサントロンなど)、およびポドフィロトキシン化合物(例:エトポシドおよびテニポシドなど)とすることができる。抗微小管剤は、例として、タキサン化合物(例:パクリタキセルおよびドセタキセルなど)およびビンカアルカロイド(例:ビンブラスチンおよびビノレルビンなど)とすることができる。アルキル化剤は、例としてシクロホスファミド、イホスファミド、クロランブシルおよびメルファランとすることができる。抗腫瘍抗代謝剤は、例として、5−フルオロウラシル、カペシタビン、ゲムシタビン、メトトレキセートおよびエダトレキセートとすることができる。抗腫瘍トポイソメラーゼI阻害薬は、例としてトポテカン、イリノテカンおよび9−ニトロカンプトテシンとすることができる。
【0082】
本明細書で使用するように、用語「患者」は本発明の組成物による治療の対象としての動物を意味する。好ましくは、このような動物はヒトまたはコンパニオンアニマル、稀少動物、畜産動物など、特に哺乳類である。その他の好ましい動物はCOX−2を介した障害を有するウマ、イヌおよびネコである。
【0083】
本明細書で用いるように、用語「in vivo投与」は経口または非経口経路による患者への投与を意味する。
【0084】
本発明は、さらにCOX−2阻害薬による治療が適応となる状態または障害を治療する治療法であって、本発明の組成物を必要とする患者に対するその非経口的投与を含む方法に向けられている。状態または障害を予防、緩和または改善するための投与プログラムは、多様な因子に従って決定される。これらは患者のタイプ、年齢、体重、性別、食事および医学的状態、および障害の性質および重症度を含む。従って、実際に採用される投与プログラムは大きな幅がある。
【0085】
本発明の化合物は、選択的COX−2阻害薬であるバルデコキシブのプロドラッグであるパレコキシブの塩である。用語「シクロオキゲナーゼ1」および「COX−1」は、本明細書において酵素シクロオキシゲナーゼの構造的アイソフォームを指すために互換的に用いられる。本明細書で互換的に使用される用語「シクロオキゲナーゼ2」および「COX−2」は、酵素シクロオキシゲナーゼの誘導可能なアイソフォームを指す。本明細書で用いられるように、用語「シクロオキシゲナーゼ2選択的阻害薬」および「COX−2選択的阻害薬」は、in vitro組換え酵素分析においてCOX−1を阻害するよりもCOX−2を阻害する化合物を指す。用語「シクロオキシゲナーゼ2阻害薬」または「COX−2阻害薬」は、COX−1を阻害する程度にかかわらず、COX−2酵素を阻害するあらゆる化合物を指す。本発明において有用なCOX−2選択的阻害薬として特に適切なものは、COX−2のIC50が約0.2μM未満であり、かつCOX−1阻害に対するCOX−2阻害の選択性比が少なくとも50であるか、または代替的に少なくとも100である化合物である。他の実施形態において、COX−2選択的阻害化合物は、COX−1のIC50が約1μMを上回るか、または代替的に約10μMを上回る。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
(Mgジパレコキシブ、Znジパレコキシブ、Caジパレコキシブ、およびKパレコキシブの調製)
マグネシウムジパレコキシブ、Znジパレコキシブ、Caジパレコキシブ、およびKパレコキシブを、in situ結晶化を用いて調製した。簡単に述べると、注射用蒸留水(「WFI」)で10mg/mLのNaパレコキシブ溶液を調製した。WFIでKCl、CaCl、MgClまたはZnClを用いて塩溶液を調製した。化学量論的に過量の塩化物塩溶液をNaパレコキシブ溶液に個別に加え、またNaパレコキシブ対照溶液にWFIを加えた。24時間後、CaCl、MgClおよびZnClを加えたバイアル中に肉眼で沈殿が認められた。KClまたはHOのいずれかを加えたバイアルには沈殿が生じなかった。
【0087】
各バイアルの上清をサンプリングし、溶液中のパレコキシブ濃度を検出するために適切に希釈した後UV吸光度により測定した。カルシウム、マグネシウムまたは亜鉛イオンを含んだバイアルからの溶液はパレコキシブ濃度の減少を示し、観察された沈殿がそれぞれの対イオンにより形成されたパレコキシブ塩のものであることを示した。従って、上清中のパレコキシブの量は間接的にパレコキシブ塩の水への溶解度と比例していた。沈殿が認められなかったバイアル(すなわちKClまたはHOを添加した)では、パレコキシブ濃度の低下はなかった。
【0088】
紫外線吸光度スペクトル(図1)は、CaClまたはMgClを添加したバイアルでは上清中に最低レベルのパレコキシブがあったことを示した。しかし、ZnClを添加した後の溶液にはパレコキシブの大半が残り、Znジパレコキシブの水への溶解度はパレコキシブカルシウムまたはマグネシウム塩と比較して大きいことを示した。
【0089】
図1に示したUV吸光度データより、試験した塩の相対的溶解度は以下の順に低くなると見積もられた。Naパレコキシブ≒Kパレコキシブ>Znジパレコキシブ>Caジパレコキシブ>Mgジパレコキシブ
【0090】
(実施例2)
(MgジパレコキシブおよびCaジパレコキシブの調製)
CaジパレコキシブおよびMgジパレコキシブは実施例1で検討したパレコキシブ塩の中で最低の溶解度を示したので、これら2つのパレコキシブ塩形態をさらなる検討のために選択した。
【0091】
Naパレコキシブ溶液からin situ結晶化により、一連のCaジパレコキシブおよびMgジパレコキシブ組成物を調製した。パレコキシブFAの形成を避け、かつほぼ生理的pHの組成物を得るために、in situ結晶化のためにやや塩基性のpHを選択した。
【0092】
CaClおよびMgCl試薬との適合性についてリン酸ナトリウムを試験した。しかし、パレコキシブの存在しない試験条件下では、溶解度の低いリン酸カルシウムおよびリン酸マグネシウム塩がそれぞれ形成された。しかし、陽イオン緩衝化剤であるトリスを試験したところ、パレコキシブのない状態で沈殿を形成しなかった。これは、一部、陽イオン緩衝化剤がカルシウムまたはマグネシウム陽イオンとイオン塩を形成できないことによると考えられた。従って、次の実験のための緩衝化試薬としてトリスを選択した。
【0093】
カルシウムジパレコキシブおよびMgジパレコキシブ組成物は、約40mg/mLのNaパレコキシブ15mMトリスバッファー溶液(約pH8)より、in situ結晶化により調製した。Ca2+およびMg2+の4つの化学量論比を試験した。1MのCaClおよびMgCl塩の溶液の計算容量をNaパレコキシブ緩衝溶液に添加し、表Iのようにパレコキシブに対して0.5、1、2および4モル当量のCa2+およびMg2+を得た。対照組成物も、パレコキシブを含まないトリス緩衝液に塩溶液を添加するか、またはNaパレコキシブ溶液に塩の代わりに水を添加して調製した。Naパレコキシブ溶液に塩溶液を添加した直後、いずれの場合も肉眼で沈殿が認められ、対照組成物については沈殿が認められなかった。組成物は一晩撹拌した後、さらに分析した。
【0094】
一晩撹拌した後、肉眼的観察を行った。CaジパレコキシブおよびMgジパレコキシブ組成物はいずれも白色水性懸濁液であった。一晩撹拌後、Naパレコキシブ対照組成物にも若干の白濁が発生した。本発明の範囲を制限することなく、この白濁はNaパレコキシブが超飽和溶液を形成することが知られており、その溶解度がイオンおよびpH条件に高度に依存することによってもたらされたと考えられた。全ての組成物よりその一部を採取し、全ての粒子を懸濁するために遠心分離した。透明な懸濁液を分析してpHおよびUV吸光度測定した(表I)。懸濁液の一部を追加的に採取し、偏光下で光学顕微鏡により観察した。代表的な顕微鏡写真を図2および図3に示す。
【表1】

【0095】
表IのUV吸光度の結果より、試験した各化学量論比についてマグネシウム陽イオンの添加によるパレコキシブ塩の沈殿量は、カルシウム陽イオンの添加と比較して大きいことが示された。例えば、Caジパレコキシブ1:1組成物の場合は開始時のパレコキシブの約8.5%が水溶液に残った。これに対し、Mgジパレコキシブ1:1組成物の対応する割合は2.7%(約1mg/mL)となり、この組成物中の約97%のパレコキシブは今や懸濁粒子として存在していたことを示唆した。これらの所見より、Mgジパレコキシブの溶解度はカルシウム塩よりも低いことを示唆した最初の結果が確認された。
【0096】
懸濁組成物の光学顕微鏡写真より、Caジパレコキシブでは針状結晶が形成されるのに対し(図2)、Mgジパレコキシブ結晶は立方体様/多角形形態を示す(図3)ことがわかった。後者の結晶形態は、溶出するための面積が小さい(遅延放出につながる)、よりシリンジに取り込みやすい、および注射部位での疼痛の可能性が低いなどいくつかの理由により比較的より望ましい。
【0097】
(実施例3)
(Mgジパレコキシブのin vitro溶解度)
様々な溶出媒体における乾燥粉末Mgジパレコキシブの溶解度を測定し、パレコキシブFAおよびバルデコキシブの溶解度と比較した。表IIに示すように、酸性溶媒における乾燥粉末Mgジパレコキシブの溶解度はパレコキシブFAと同様であり、生理学的pH付近のリン酸緩衝液におけるMgジパレコキシブの溶解度は、パレコキシブFAよりも相当高かった。
【表2】

【0098】
pH6.8のリン酸緩衝液におけるMgジパレコキシブ懸濁液の時間依存的可溶化を、溶出装置中で98.5mLの緩衝液に40mg/mL懸濁液1.5mLを添加して検討した。表IIIに示した時間において、懸濁液サンプルの可溶性薬物成分を分析した。表IIIおよび図4に示すように、驚くべきことにMgジパレコキシブは非常に急速な可溶化、約20時間にわたるプラトー、その後時間と共に可溶化の増大を示した。この段階的可溶化相はほぼパレコキシブFAと平行であったが、量は遊離酸よりも相当多かった。
【表3】

【0099】
(実施例4)
(Mgジパレコキシブ、パレコキシブFAおよびバルデコキシブの組成物)
ジパレコキシブマグネシウム、パレコキシブFAおよびバルデコキシブを、表IVに示した薬学的に許容できる懸濁液に調製した。バルデコキシブの出発物質は、バルデコキシブ/PEG400溶液の無菌ろ過した緩衝水溶液(以下に記載)への調節された添加を用いたin situ結晶化により調製した。パレコキシブFAの出発物質は、無菌ろ過したNaパレコキシブ水溶液への塩酸の調節された添加によるin situ結晶化により調製した。Mgジパレコキシブ組成物の出発物質は、MgCl(わずかに過量)の無菌ろ過したNaパレコキシブ溶液への調節された添加によるin situ結晶化により調製した。
【表4】

【0100】
上記の組成物において形成されたパレコキシブFA、Mgジパレコキシブおよびバルデコキシブ結晶を顕微鏡で分析し、図5、6および7(それぞれ)に示した。パレコキシブFA結晶は立方体様または多角形である。平均粒度(堀場粒度計使用)は約28μmであった。1分間の超音波処理後の平均粒度は約16μmであった。マグネシウムジパレコキシブ結晶は立方体様または多角形であった。平均粒度(堀場粒度計使用)は約40μmであった。1分間の超音波処理後の平均粒度は約20μmであった。従って、Mgジパレコキシブ結晶の結果は、溶出するための表面積が小さい(遅延放出につながる)、よりシリンジに取り込みやすい、および注射部位での疼痛が少ないという、デポー製剤にとって特に好ましい性質を有するという驚くべきものである。バルデコキシブ結晶は立方体様または多角形である。平均粒度(堀場粒度計使用)は約75μmであった。1分間の超音波処理後の平均粒度は約18μmであった。
【0101】
(実施例5)
(Mgジパレコキシブ組成物のスクリーニング)
10種類のMgジパレコキシブ懸濁組成物を容積20mLおよび濃度40mg/mLで調製し、表Vに記載するように、異なる添加剤の効果を評価した。組成物はNaパレコキシブトリス緩衝液溶液から出発するin situ結晶化により調製した。in situ塩形成のためのマグネシウムイオン源として、2種類の試薬(MgClおよびMgSO)を評価した。これら2種類の試薬のそれぞれ、および多様な添加剤を用いてそれぞれ5種類の組成物を調製した。
【表5】

【0102】
いずれの組成物からも白色の懸濁物が得られたを得た。調製中、より小さな5mLスケールで別個に調製したMgジパレコキシブ組成物数μLによる組成物の核形成が必要であった(小スケールでは核形成が不要)。
【0103】
懸濁組成物は、上清のpH、UV吸光度、再分散性、シリンジへの取り込みやすさ、沈殿体積、用量移動精度および光学顕微鏡検査により分析した。この結果のまとめを表VIに提供する。表VIの全ての組成物について、当量化学量論比(パレコキシブ:Mg)は1:1.1であり、モル化学量論比(パレコキシブ:Mg)は1:0.55であり、約40時間でのシリンジへの取り込みやすさは良好であり、顕微鏡検査(μL)は約2〜10であった。組成物A、C、E、GおよびIのpHは7.6であり、組成物B、D、F、HおよびJのpHは7.7であった。MgSOで調製した組成物では、溶液中に残ったMgジパレコキシブの量がわずかに多かった。全体として、今後追跡する組成物として組成物Gを選択した。
【表6】

【0104】
(実施例6)
(イヌにおけるMgジパレコキシブ、パレコキシブFAおよびバルデコキシブ組成物の薬物動態的研究)
実施例4に記載された懸濁液をイヌに注射し、表VIIおよび図8に示された時間における血清バルデコキシブレベルを測定した。
【表7】

【0105】
この同じ試験からのデータを逆重畳積分して累積投入率として表したところ、Mgジパレコキシブは少なくとも100時間に亘り線形放出率を有することがわかった(図9)。これは、バルデコキシブおよびパレコキシブFAではそれぞれ約25および75時間後には追加的なバルデコキシブがほとんどまたは全く血流中に放出されないことと、非常に対照的である。図1のin vitro可溶化データ、および20時間までにMgジパレコキシブのほぼ最大の溶解度、および1時間から89時間の間の期間からバルデコキシブのほぼ線形の可溶化を示した表IIIの観点からすると、これは驚異的かつ予想外である。さらに、Naパレコキシブのin vitro可溶化は線形プロフィールを示したが、Mgジパレコキシブの約1/10の速度であった。
【0106】
(実施例7)
(イヌにおけるMgジパレコキシブ組成物の薬物動態試験)
目的は、選択したMgジパレコキシブ組成物を1Lスケールにスケールアップし、これをイヌにおける薬物動態試験用に無菌法により製造することであった。約1LバッチのMgジパレコキシブを製造し、脱パイロジェン米国薬局方I型ガラスバイアルに充填した。パレコキシブ塩濃度はパレコキシブFA約40mg/mLと同等であった。製造後に物理化学的試験を実施した(測定時T=0)。組成物およびキャラクタライゼーション結果のまとめを表VIIIに提供する。組成物はパレコキシブのほぼ99%を懸濁物の形態で有し、平均粒径は約40μmであった。懸濁液は再分散可能でかつシリンジに取込みが可能であり、かつ無菌性およびエンドトキシン試験にも合格した。
【表8】

【0107】
組成物のバイアルも、非公式的安定性評価のために様々な温度条件で貯蔵した。分析結果より、組成物は室温で少なくとも4週間安定であることが示された。
【0108】
組成物はイヌに対し、筋肉内注射によりうまく投与された。パレコキシブおよびその活性代謝物バルデコキシブの血漿レベルを最長4日間モニタリングした。図10に示すように、Mgジパレコキシブ懸濁組成物よりバルデコキシブの顕著な血漿濃度が少なくとも3日間認められた。比較のために、静脈内投与した同等の用量のNaパレコキシブによる薬物動態プロファイルのシミュレーションを示す。
【0109】
(実施例8)
(ヒト血漿濃度のシミュレーション―Mgジパレコキシブの時間プロファイル)
イヌ薬物動態分析に基づき、バルデコキシブのヒト血漿濃度をシミュレーションした。ヒトについては、イヌと同様の吸収率が認められた。吸収が血液/血漿流量に厳密に依存するのであれば、血漿レベルは10〜50%低くなる。イヌにおけるバルデコキシブの半減期は約1.4時間であるのに対し、ヒトにおいては約7.4時間である。ヒトにおけるバルデコキシブの最小治療濃度は約50ng/mLである(経口バルデコキシブのPK試験より)。このようなシミュレーションを図11に示す。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施例1に記載されている、パレコキシブ塩のin situ結晶化による上清のUV吸収スペクトルを示す図である。
【図2】倍率600倍のCaジパレコキシブ結晶を示す図である。
【図3】倍率600倍のMgジパレコキシブ結晶を示す図である。
【図4】溶解装置内でのMgジパレコキシブ、パレコキシブFAおよびバルデコキシブ懸濁液の時間依存的可溶化を示す図である。
【図5】実施例4の記載の通りに形成されたパレコキシブFA組成物の顕微鏡像を示す図である。
【図6】実施例4に記載された通りに形成されたMgジパレコキシブ組成物の顕微鏡像を示す図である。
【図7】実施例4に記載された通りに形成されたバルデコキシブ組成物の顕微鏡像を示す図である。
【図8】実施例4の懸濁液をイヌ注射した後の血漿バルデコキシブレベルを示す図である。
【図9】実施例5のバルデコキシブの累積投入率を示す図である。
【図10】イヌに対するMgジパレコキシブデポー投与後の血漿バルデコキシブ濃度を時間と共に示す図である。
【図11】ヒトに対するMgジパレコキシブデポー投与を追跡ために予測された理論的血漿バルデコキシブレベルを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MgXの構造を有する化合物であって、Xがパレコキシブ陰イオンでありかつXがパレコキシブ陰イオン、クロリド、ブロミド、スルフェート、ホスフェート、ニトレート、アセテート、プロピオネート、スクシネート、グリコネート、ステアリネート、ラクテート、マラート、タートレート、シトレート、アスコルベート、グルタメート、ベンゾエート、サリチレート、メタンスルホネート、およびトルエンスルホネートからなる群より選択される化合物。
【請求項2】
実質的にマグネシウムジパレコキシブの形態にある請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記パレコキシブ陰イオンのMg2+に対するモル比が少なくとも約1.5および約2.5またはそれ以下である請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
結晶の形態にある請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記結晶が堀場粒度計により測定される平均粒度約20μm未満を有する請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記結晶が約12μm−1未満の表面積/体積比を有する請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
MX(Xの構造を有する化合物であって、MがCa2+、Zn2+およびKからなる群から選択される金属陽イオンであり、
がパレコキシブ陰イオンであり、
がパレコキシブ陰イオンおよび薬学的に許容できるもう1つの陰イオンからなる群から選択され、かつ
MがKの場合nが0であり、およびMがCa2+またはZn2+の場合nが1である化合物。
【請求項8】
請求項3または請求項7に記載の化合物と、少なくとも1つの添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記添加剤が抗酸化剤、防腐剤および成形剤からなる群から選択される少なくとも1つの薬剤を含む請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
マグネシウムジパレコキシブを全剤形の少なくとも重量で約20%の量で含む請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
丸剤、錠剤、カプセル剤、溶液および懸濁液からなる群から選択される形態である請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
皮膚内、筋肉内、関節内、腹腔内、リンパ内、皮下および硬膜下からなる部位群から選択される少なくとも1つの非経口部位への注射に適した請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1つの非経口部位に注射する際に、剤形が
(a)注射後約5時間以内のバルデコキシブの治療レベル、
(b)注射後少なくとも約3日間にわたるバルデコキシブの治療レベル、および/または
(c)バルデコキシブの最大血清濃度の半分に到達する、注射後約10時間以下の時間
のうち少なくとも1つを提供する請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
長時間作用型選択的COX−2阻害効果を提供するための方法であって、前記長時間作用型選択的COX−2阻害効果をもたらすのに充分な量の請求項8の組成物を患者に注射することを含む方法。

【図1】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−517013(P2007−517013A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546376(P2006−546376)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004203
【国際公開番号】WO2005/065684
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(304048436)ファルマシア コーポレーション (21)
【Fターム(参考)】