説明

炭素−炭化ケイ素複合材

【課題】加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材を提供する。
【解決手段】炭素粒子同士が炭化ケイ素層を介して接合した構造を有する炭素−炭化ケイ素複合材であって、曲げ強度が50MPa以上、ショア硬さがHSD50以下であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素と炭化ケイ素とが複合した炭素−炭化ケイ素複合材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炭素と炭化ケイ素とを複合した炭素−炭化ケイ素複合材については、種々検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、微粉化された炭化ケイ素粒子及び炭素粒子を混合し、高温高圧で所望の形状に焼結することにより、炭素−炭化ケイ素複合材を製造する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2においては、加圧成形した炭素繊維の成形体にシリコンを溶融含浸することにより、炭素−炭化ケイ素複合体を製造する方法が開示されている。
【0005】
炭素−炭化ケイ素複合材は、炭化ケイ素を含むものであるため硬度が高く、所望の形状に加工するのが困難であるという問題があった。加工性を改善するため、硬度を下げると、曲げ強度などの機械的強度が低下するという問題を生じる。
【0006】
従って、良好な加工性と高い強度は、相反する性質であり、加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材は従来より得ることが困難であった。
【0007】
特許文献3においては、基材の炭素をケイ素成分と反応させることにより、炭素粒子表面に、炭化ケイ素を形成した炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を焼結することにより、炭素−炭化ケイ素複合材を製造する方法が開示されている。しかしながら、加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材に関しては、何ら開示されておらず、その示唆もなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−339048号公報
【特許文献2】特開2006−290670号公報
【特許文献3】特開2011−51866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭素粒子同士が炭化ケイ素層を介して接合した構造を有する炭素−炭化ケイ素複合材であって、曲げ強度が50MPa以上、ショア硬さがHSD50以下であることを特徴としている。
【0011】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材において、炭化ケイ素層の割合は、20〜70重量%の範囲であることが好ましい。
【0012】
また、かさ密度は、1.90g/cm以上であることが好ましい。
【0013】
炭化ケイ素層の厚さは、100nm〜20μmの範囲であることが好ましい。
【0014】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を焼結することにより得られるものであることが好ましい。
【0015】
炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子の平均粒子径は、50nm〜500μmの範囲であることが好ましい。
【0016】
炭化ケイ素被覆層の厚さは、50nm〜10μmの範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う一実施形態における炭素−炭化ケイ素複合材を示す模式的断面図。
【図2】炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を示す模式的断面図。
【図3】本発明に従う実施例における炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を製造するための坩堝内の配置状態を示す模式的断面図。
【図4】本発明に従う実施例1に用いた原料1のX線回折パターンを示す図。
【図5】本発明に従う実施例2に用いた原料2のX線回折パターンを示す図。
【図6】本発明に従う実施例3に用いた原料3のX線回折パターンを示す図。
【図7】比較例1に用いた原料4のX線回折パターンを示す図。
【図8】比較例2に用いた原料5のX線回折パターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に従う一実施形態の炭素−炭化ケイ素複合材を示す模式的断面図である。図1に示すように、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材1は、炭素粒子2の周りに、炭化ケイ素層3を有しており、炭素粒子2同士が、炭化ケイ素層3を介して接合した構造を有している。炭化ケイ素層3は、3次元の網目状に連続して、炭素−炭化ケイ素複合材1内に設けられている。炭素粒子2の周りに設けられている炭化ケイ素層3は、連続して均一な厚みで形成されている。
【0020】
さらに、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭素粒子2同士が炭化ケイ素層3を介して接合した構造を有しているので、高い曲げ強度を有する一方で、低いショア硬さを有することができる。上述のように、一般には、曲げ強度が高くなると、ショア硬さも上昇するが、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材においては、高い曲げ強度と、低いショア硬さを併存させることができる。
【0021】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、曲げ強度が50MPa以上であり、ショア硬さがHSD50以下である。このような曲げ強度及びショア硬さを有することにより、高い強度を有するとともに、加工性に優れた炭素−炭化ケイ素複合材とすることができる。
【0022】
本発明において、曲げ強度は、50MPa以上である。曲げ強度が50MPa未満になると、炭素−炭化ケイ素複合材の機械的強度が不十分となる。曲げ強度は、50〜300MPaの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、60〜250MPaの範囲である。
【0023】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、ショア硬さがHSD50以下である。ショア硬さが50を超えると、良好な加工性が得られない。ショア硬さは、HSD20〜50の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、HSD25〜45の範囲である。
【0024】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、上記の曲げ強度及びショア硬さを有しているので、加工性に優れており、加工後においても、割れ等を生じにくい。従って、加工性および強度に優れた構造材とすることができる。
【0025】
また、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭素粒子同士が、炭化ケイ素層を介して接合した構造を有しているので、切削加工等により、新たに表れる面は、ほぼ均一であるため、物性に大きなばらつきがない。このため、加工しても、表面において性能の差はほとんど生じない。
【0026】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭化ケイ素層の割合が、20〜70重量%の範囲であることが好ましい。炭化ケイ素層の割合が、20重量%未満であると、炭化ケイ素層の強度が弱くなる可能性があり、材料としての強度も低下する可能性がある。
【0027】
また、炭化ケイ素層の割合が70重量%を超えると、炭素自体の割合が小さすぎるために、炭素の特性が発現しにくくなる。
【0028】
炭化ケイ素層の割合は、25〜65重量%の範囲であることがさらに好ましく、特に好ましくは、30〜55重量%の範囲である。
【0029】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材のかさ密度は、1.90g/cm以上であることが好ましい。かさ密度が1.90g/cm未満であると、相対的に密に詰まった構造とならず、強度が低下する恐れがある。
【0030】
かさ密度は、1.95〜2.80g/cmの範囲であることがさらに好ましく、特に好ましくは2.05〜2.70g/cmの範囲である。
【0031】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材において、炭化ケイ素層の厚さは、100nm〜20μmの範囲であることが好ましい。
【0032】
炭化ケイ素層の厚さが薄すぎると、炭化ケイ素層の強度が低下する可能性がある。
【0033】
炭化ケイ素層の厚さが厚すぎると、炭素の良好な特性が発現しにくくなる場合がある。
【0034】
本発明の炭素−炭化ケイ素複合材は、炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を焼結することにより得られもるのであることが好ましい。炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を用いて焼結することにより、炭素粒子の周りに均一な炭化ケイ素層を有する炭素−炭化ケイ素複合材を得ることができる。このため、加工性に優れ、かつ強度の高い炭素−炭化ケイ素複合材を容易に製造することができる。
【0035】
図2は、炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を示す模式的断面図である。図2に示すように、炭化ケイ素被覆炭素粒子12は、炭素粒子10の表面に炭化ケイ素被覆層11を有している。
【0036】
図2に示すような炭化ケイ素被覆炭素粒子12は、例えば、炭素粒子10に、ケイ素成分を反応させることにより、表面の炭素を炭化して炭化ケイ素を形成することにより製造することができる。このように基材の炭素を反応源としてケイ素成分と反応させることにより、炭化ケイ素に転化する方法を、CVR法という。例えば、特許文献3においては、このようなCVR法を用いて、図2に示すような炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を製造している。特許文献3に開示された方法を用いて製造した炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を用いて、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材を形成してもよい。
【0037】
上記CVR法では、例えば、温度1400℃〜1600℃、圧力1〜150Paの雰囲気中で、炭素粒子の表面と、SiOガスを反応させて炭素粒子の表面に炭化ケイ素被覆層を形成することができる。
【0038】
炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子の平均粒子径は、50nm〜500μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、1μm〜250μmの範囲であり、特に好ましくは、5μm〜100μmの範囲である。
【0039】
平均粒子径が小さすぎると、充分な炭化ケイ素層を持つ炭素粒子とならない可能性が有る。従って炭化ケイ素層の強度低下を招き、炭素−炭化ケイ素複合材の強度が得られない。
【0040】
平均粒子径が大きすぎると、焼結時に充分な密度が得られず、焼成した炭素−炭化ケイ素複合材の強度が低下する場合がある。
【0041】
炭化ケイ素被覆層の厚さは、50nm〜10μmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、200nm〜10μmの範囲であり、特に好ましくは、500nm〜5μmの範囲である。炭化ケイ素被覆層の厚さが薄すぎると、炭素粒子−炭素粒子間の接合強度が小さくなってしまい、材料全体の強度が低下する可能性があり、炭化ケイ素被覆層の厚さが厚すぎると、相対密度が高い緻密な炭素−炭化ケイ素複合材が得られない可能性がある。
【0042】
図3は、炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子をCVR法で製造するための坩堝内の配置状態を示す模式的断面図である。図3に示すように、黒鉛製坩堝21内に、カーボンシート22を配置し、その上にSiO源として、SiO粉末23を配置する。SiO粉末23の上に、カーボンフェルト24を配置し、カーボンフェルト24の上に、炭素粒子25を配置する。炭素粒子25の上に、カーボンフェルト26を配置し、その上にカーボンシート27を配置する。
【0043】
黒鉛製坩堝21に代えて、アルミナ製坩堝を用いてもよい。
【0044】
図3に示すように配置した黒鉛製坩堝21を、焼成炉内に配置し、焼成炉内を排気し、加熱することにより、黒鉛製坩堝21内を所定の温度及び所定の圧力に加熱及び排気する。
【0045】
黒鉛製坩堝21を所定の圧力に排気し、所定の温度に加熱することにより、SiO粉末からSiOガスが発生し、このSiOガスが炭素粒子の表面と反応することにより、炭素粒子の表面が炭化ケイ素に転化し、CVR法により炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を製造することができる。
【0046】
本発明における炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子は、上記のCVR法により製造されるものに限定されず、他の方法で製造してもよい。例えば、炭化ケイ素層を、気相法、液相法、機械的混合法、またはこれらを組み合わせた方法により、炭素粒子の表面に形成することにより製造してもよい。例えば、炭素粒子を、炭化ケイ素粒子のスラリー中に添加することにより、炭素粒子の表面に炭化ケイ素粒子を付着させ、炭化ケイ素層を形成してもよい。
【実施例】
【0047】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0048】
〔炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子の製造〕
図3に示す黒鉛製坩堝21を用いて、上述のようにして、黒鉛製坩堝21内に、SiO粉末23及び炭素粒子25を配置し、表1に示す原料仕込み量及び反応条件で、CVR法により、炭化ケイ素層を有する炭素粒子(以下、「炭化ケイ素被覆炭素粒子」という)を製造した。SiO粉末としては、平均粒子径2〜6μmのSiO顆粒を用いた。炭素粒子としては、平均粒子径20μmの球状黒鉛粒子を用いた。
【0049】
表1に示す反応条件の雰囲気における「Vac.」は、減圧雰囲気を意味しており、具体的には、真空ポンプを用いて30Pa以下まで減圧したことを示す。また、「Ar」は、アルゴン雰囲気を意味している。また、原料仕込み量における「C量」及び「SiO量」は、黒鉛粒子のCのmol量及びSiO粉末におけるSiのmol量を示している。
【0050】
【表1】

【0051】
表1に示す条件で、原料1〜原料5の炭化ケイ素被覆炭素粒子が得られた。
【0052】
炭化ケイ素被覆炭素粒子の平均粒子径は、原料1〜5が全て20μmであった。
【0053】
また、炭化ケイ素被覆炭素粒子における炭化ケイ素被覆層の厚さは、原料1が600nm、原料2が1.5μm、原料3が2.5μm、原料4が150nm、原料5が7μmであった。
【0054】
図4〜図8は、上記のようにして得られた原料1〜原料5のX線回折パターンを示す図である。図4は原料1、図5は原料2、図6は原料3、図7は原料4、図8は原料5を示している。なお、各図における縦軸はピーク強度を示すものであり、任意単位である。
【0055】
表1に示す「SiC被覆量」は、炭化ケイ素被覆炭素粒子における、炭化ケイ素被覆層の被覆割合を示している。SiC被覆量は、X線回折の検量線から求めた値である。
【0056】
〔炭素−炭化ケイ素複合材の製造〕
上記の原料1〜原料5の炭化ケイ素被覆炭素粒子を用いて、以下のようにして炭素−炭化ケイ素複合材を製造した。
【0057】
炭化ケイ素被覆炭素粒子を、大電流放電接合装置(住友石炭工業社製、「SPS−1050」)を用い、加圧焼結することにより、炭素−炭化ケイ素複合材を製造した。この装置を用いることにより、放電プラズマ焼結(パルス通電焼結)で焼結させることができる。放電プラズマ焼結は、電流による直接加熱に加え、パルス通電による電流衝撃を発生させ、通常より低温で粉体を焼結させることができる。
【0058】
ここでは、30MPaに加圧した状態で、2000℃の温度で、5分間加熱を保持することにより、焼結させた。
【0059】
実施例1は原料1を、実施例2は原料2を、実施例3は原料3を、比較例1は原料4を、比較例2は原料5を用いて焼結体を製造した。
【0060】
比較例3は、炭化ケイ素被覆炭素粒子を用いずに、元の炭素粒子と、炭化ケイ素粉末(平均粒子径600nm)とを、炭化ケイ素含有量が55重量%となるように混合した混合粉末を用いて焼結体を作製した。
【0061】
得られた焼結体について、以下のようにして、かさ密度、曲げ強度、及びショア硬さを測定した。
【0062】
なお、得られた焼結体は、図1に示すように、炭素粒子同士が炭化ケイ素層を介して接合した構造を有しており、炭化ケイ素層の厚さは、実施例1が1200nm、実施例2が3.0μm、実施例3が5.0μm、比較例1が300nm、比較例2が14μmであった。
【0063】
なお比較例3においては、図1に示すような構造は、認められず、3次元の網目状の連続した炭化ケイ素層は観察されなかった。
【0064】
〔かさ密度の測定〕
アルキメデス法により、かさ密度を測定した。具体的には、JIS A1509−3に基づき測定した。
【0065】
〔曲げ強度の測定〕
焼結体の3点曲げ強度を測定した。得られた焼結体を、厚み約2mm×幅約3mm×長さ約20mmに加工し、試料片とした。この試料片を、卓上小型汎用試験機(島津製作所製、「EZ−Test Type L」)を用い、荷重速度0.1mm/秒で、破断時の曲げ強度を測定した。
【0066】
〔ショア硬さの測定〕
得られた焼結体について、硬さ試験機ショア式D型(仲井精機製作所製、型番20309)を用いて、ショア硬さを測定した。1つの試験片に対し5点測定し、測定値の最大値及び最小値を除いた3点の平均値を、ショア硬さとした。
【0067】
測定結果を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
原料1〜原料3を用いた実施例1〜3においては、曲げ強度が50MPa以上であり、ショア硬さがHSD50以下である炭素−炭化ケイ素複合材を得ることができた。
【0070】
比較例1においては、ショア硬さがHSD50以下であるが、曲げ強度が50MPa未満であった。また、比較例2においては、ショア硬さがHSD50より高い値であった。
【0071】
比較例3は、炭素粒子の焼結がうまくできず、非常に脆性の炭素−炭化ケイ素複合材であったため、試験片を作成することができず測定不能であった。
【0072】
また、参考例として、特許文献3の実施例に開示された条件で焼結体を作製した。具体的には、40MPaに加圧した状態で、2000℃の温度で、20分間加圧して焼結体を作製したところ、ショア硬さはHSD59であり、50より高い値であった。
【0073】
従って、本発明の炭素−炭化ケイ素複合材におけるショア硬さは、例えば、焼結時間を短くすることにより、ショア硬さをHSD50以下に制御できることがわかる。
【0074】
〔加工性の評価〕
実施例1〜3及び比較例1〜2の炭素−炭化ケイ素複合材について、以下のようにして加工性を評価した。
【0075】
得られた炭素−炭化ケイ素複合材に0.5mm幅のねじ山を有する穴を形成した。実施例1〜3では、切削工具を用いてねじ山が割れることなく形成でき、ねじ穴にねじを螺合させたところ、ねじ山が割れることなく繰り返しねじの螺合することができた。これに対して、比較例1では、ねじ山が割れてしまい、加工性が悪く実用性に欠けるものであり、さらに、形成したねじ穴にねじを螺合させたところ、ねじ山がさらに崩れ、強度が弱く、実用性に欠けるものであった。また、比較例2では、硬すぎるため、上記一般的な切削工具で加工することができなかった。
【符号の説明】
【0076】
1…炭素−炭化ケイ素複合材
2…炭素粒子
3…炭化ケイ素層
10…炭素粒子
11…炭化ケイ素被覆層
12…炭化ケイ素被覆炭素粒子
21…黒鉛製坩堝
22…カーボンシート
23…SiO粉末
24…カーボンフェルト
25…炭素粒子
26…カーボンフェルト
27…カーボンシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素粒子同士が炭化ケイ素層を介して接合した構造を有する炭素−炭化ケイ素複合材であって、
曲げ強度が50MPa以上、ショア硬さがHSD50以下であることを特徴とする、炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項2】
前記炭化ケイ素層の割合が、20〜70重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項3】
かさ密度が、1.90g/cm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項4】
前記炭化ケイ素層の厚さが、100nm〜20μmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項5】
炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子を焼結することにより得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項6】
前記炭化ケイ素被覆層を有する炭素粒子の平均粒子径が、50nm〜500μmの範囲であることを特徴とする請求項5に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。
【請求項7】
前記炭化ケイ素被覆層の厚さが、50nm〜10μmの範囲であることを特徴とする請求項5または6に記載の炭素−炭化ケイ素複合材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−14493(P2013−14493A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159728(P2011−159728)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000222842)東洋炭素株式会社 (198)
【Fターム(参考)】