説明

炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物、およびこれを用いてなるポリプロピレン系樹脂組成物

【課題】剛性、耐熱性、寸法安定性、等の性能を効率よく向上させ、軽量性と機械物性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物を効率よく得るための、炭素繊維を含有したポリオレフィン系樹脂組成物(マスターバッチ)、及びこれを用いたポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体の提供。
【解決手段】(a)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mm、引張強度が1000MPa以上、および引張弾性率が100GPa以上である炭素繊維:20重量%以上50重量%以下及び(b)炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、及び/又は、2種以上の共重合体からなり、230℃、2.16kg荷重で測定されたMFRが10〜800g/10分であるポリオレフィン系樹脂:50重量%以上80重量%以下とからなることを特徴とする炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物(マスターバッチ)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量性、剛性、寸法安定性に優れた炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物、該炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体、さらには、該炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物のマスターバッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バンパー、インストルメントパネル、ドアトリム、ピラートリム等の自動車部品や、家電部品材料等の工業部品については、その優れた物性バランス、成形性によりタルク、ガラス繊維、ウイスカー、炭素繊維等の補強用フィラー、及び/又はエラストマーを配合したポリプロピレン系複合材料が幅広く用いられている。特に近年では、ポリプロピレン系複合材料の性能の向上に相まって、従来はエンジニアリングプラスチックや高張力鋼板、アルミニウムといった高強度材料が使用されていた領域にまで、軽量なポリプロピレン系複合材料が使用されてきている。この様な高度な剛性を必要とする部材に対しては、タルクに代表されるような球状・鱗片状のフィラーではなく、炭素繊維、ガラス繊維、ウイスカーといった、繊維状でアスペクト比(繊維長さと直径の比)の大きなフィラーが、補強効率の観点で好ましく、特に、繊維剛性の高い炭素繊維がとりわけ好適なフィラーとして知られている。
この様な観点から、炭素繊維を複合した炭素繊維複合ポリプロピレン系樹脂組成物が開発されてきているが、通常、これらの樹脂は予め樹脂メーカーでコンパウンドして成形メーカーに供給しているので、部品のマイナーチェンジなどで成形用金型の形状が変更されたり、生産性向上のために、例えば、ゲート、ランナー、スプルーといったわずかな金型の設定変更を行った場合などにも、成形部品の寸法があわず、新たな配合設定のグレードが必要となり、グレードの統合化において大きな支障となるという問題があった。
【0003】
これらの欠点を克服するために、例えば、タルクマスターバッチにおいては、高濃度タルクマスターバッチ、顔料マスターバッチ、ポリプロピレン樹脂を計量予備混合したのち成形する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。また着色を兼ねた高濃度タルクマスターバッチを使用する方法(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
さらに、炭素繊維に対しては、炭素繊維長繊維ペレット(例えば、特許文献3参照。)が示されており、CF長繊維ペレットの製造方法(例えば、特許文献4参照。)が示されている。
しかしながら、これらの炭素繊維長繊維ペレットでは、繊維長が長すぎるため、これをマスターバッチとして用いた場合には、炭素繊維の分散が不十分で、成形体の外観が著しく劣り、また、薄肉精密射出成形等において、薄肉部へ十分に充填できないといった問題があった。
【特許文献1】特開昭63−165439号公報
【特許文献2】特開平9−25447号公報
【特許文献3】特開2002−003616号公報
【特許文献4】特開2001−145958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記欠点を解決しつつ、成形機内で溶融混練することのみで、剛性、耐熱性、寸法安定性、等の性能を効率よく向上させ、軽量性と機械物性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物を効率よく得るための、炭素繊維を含有したポリオレフィン系樹脂組成物、そのマスターバッチ、及びこれを用いたポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の流動性を有するポリオレフィン系樹脂成分と、特定の形状、及び、強度を有する炭素繊維を、特定量配合することにより、良好な機械物性と成形性を発現し、かつ効率良く、機械物性をコントロールすることができ、グレード統合に好適な炭素繊維を含有したポリオレフィン系樹脂組成物、マスターバッチが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記(a)炭素繊維および(b)ポリオレフィン系樹脂とからなることを特徴とする、炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
(a)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mm、引張強度が1000MPa以上、および引張弾性率が100GPa以上である炭素繊維:20重量%以上50重量%以下
(b)炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、及び/又は、2種以上の共重合体からなり、230℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレート(以下、MFRと記す)が10〜800g/10分であるポリオレフィン系樹脂:50重量%以上80重量%以下
【0007】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、溶融混練によって製造された樹脂組成物中に残存する炭素繊維の平均繊維長が300μm以上であり、且つ、残存全繊維のうち繊維長が500μm以上の繊維数の割合が20重量%以上、かつ、繊維長が700μm以上の繊維数の割合が5重量%以上であることを特徴とする炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
【0008】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリオレフィン系樹脂組成物が、更に(i)金属石鹸類および(ii)変性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の分散助剤(成分(c))を含有し、その配合量がポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して10重量部以下であることを特徴とする炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物が提供される。
(i)一般式:(RCOOX)X(但し、Rは炭素数10〜40の炭化水素残基であり、XはLi、Na、K、Mg、Zn、Ca、Ba又はAlの金属成分であり、nは1、2、又は3である)で表される金属石鹸類
(ii)水酸基、アミノ基、カルボン酸基、無水カルボン酸基あるいはエポキシ基より選ばれる、1種又は2種以上の官能基を有する変性ポリオレフィン樹脂であって、変性率が主鎖を構成するオレフィンモノマー分子に対して、0.1〜5.0重量%である変性ポリオレフィン樹脂
【0009】
また、本発明の第4の発明によれば、下記成分(A)および成分(B)を、(A):(B)=1〜90:99〜10(重量%比)で混合したポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(A):第1〜3のいずれかの発明に記載の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物
成分(B):MFRが5g/10分以上のプロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体およびプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)を共重合した共重合体部分とからなるポリプロピレンブロック共重合体、またはこれらの混合物であって、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるポリプロピレン系樹脂(以下、ベースPPという)であり、ベースPPが当該ブロック共重合体を含む場合は、その共重合体部分のプロピレン含量が30〜75重量%、重量平均分子量が30万以上であるもの
【0010】
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、成分(B)ベースPPが、更に下記成分(d)無機フィラー及び/又は下記成分(e)エラストマーを含有し、その配合割合がベースPP:成分(d):成分(e)=20〜99:1〜40:1〜40(重量%比)であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(d)無機フィラー:レーザー回折法により測定された平均粒径が1〜15μmであるタルク
(e)エラストマー:炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体、及び/又は、炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体であって、その密度が0.850〜0.930g/cmであるエラストマー
【0011】
また、本発明の第6の発明によれば、第4又は5の発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物の密度及び曲げ弾性率と、ベースPPの密度及び曲げ弾性率によって定義される補強効率(ΔFM/Δρ)が、下記関係式(1)を満足することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
ΔFM/Δρ≧20 …(1)
(式(1)中、ΔFM=FMcp−FMbp、Δρ=ρcp−ρbpであり、FMcp:ポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率(単位:MPa)、FMbp:ベースPPの曲げ弾性率(単位:MPa)、ρcp:ポリプロピレン系樹脂組成物の密度(単位:kg/m)、ρbp:ベースPPの密度(単位:kg/m)である)
【0012】
また、本発明の第7の発明によれば、第4〜6のいずれかの発明において、MFRが5〜100g/10分、曲げ弾性率が1200〜10000MPa、23℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が400J/m以上、−30℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が40J/m以上、1.86MPaの条件下で測定された荷重たわみ温度が50℃以上、密度が1.10g/cm未満、23℃から80℃までの線膨張係数が6×10−5cm/cm・℃以下であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
【0013】
また、本発明の第8の発明によれば、射出成形、圧縮成形および射出圧縮成形からなる群より選ばれた成形加工法により成形されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が提供される。
【0014】
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、成形体が車両用部品あるいは家電用部品であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物の成形体が提供される。
【0015】
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたマスターバッチが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物、そのマスターバッチ、及びこれを用いてなるポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体は、高度な物性バランスを有していながら、マスターバッチ工法という、成形時のグレードチェンジや寸法調整を簡便に行なうことにより、これまでのように、用途毎に様々な材料グレードを使い分ける必要が無くなり、その結果、グレード数を大幅に削減することが出来、これに伴い、グレードチェンジに伴う大量のロスを大幅に削減することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、(a)炭素繊維と(b)ポリオレフィン系樹脂、必要に応じて(c)分散助剤を添加した(A)炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物、該(A)炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物と(B)ポリプロピレン系樹脂、必要に応じて(d)無機フィラー及び/又は(d)エラストマーを添加したベースPPからなるポリプロピレン系樹脂組成物、及び該ポリプロピレン系樹脂組成物の成形体である。なお、上記(A)炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物は、マスターバッチとしても用いるものである。以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
1.炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物(A)
(a)炭素繊維
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物で用いる炭素繊維は、繊維径が3〜15μm、好ましくは3〜12μmであり、繊維長が0.1〜20mm、好ましくは0.3〜15mm、更に好ましくは0.5〜10mmの範囲にある。また、引張強度が1000MPa以上、引張弾性率が100GPa以上であることが必要である。
繊維径が3μm未満では繊維の剛性が不足し、15μmを超えると、重量基準の繊維本数が低下すること、及び繊維のアスペクト比(繊維長さと繊維径の比:長さ/径)が低下し、夫々補強効率の低下要因となることから好ましくない。
また、繊維長が0.1mm未満では繊維のアスペクト比が不足し、20mmを超えると加工性や外観が著しく悪化してしまうため、好ましくない。繊維の引張強度及び引張弾性率が、夫々1000MPa未満、100GPa未満の場合、繊維の剛直性が不足し、ポリプロピレン系樹脂組成物の補強効率が低下してしまうため好ましくない。
ここで、炭素繊維の引張強度及び引張弾性率は、JIS R−7601の規定に従って測定したものである。
【0019】
本発明で用いる炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドカーボンファイバーとして用いることができ、必要に応じて、各種サイジング剤を用いて収束処理されたものであっても良い。この繊維収束に用いるサイジング剤は、ポリオレフィンとの溶融混練において融解する必要があるため、マスターバッチを構成するポリオレフィン系樹脂組成物の融点以下で溶融するものであることが好ましい。
【0020】
このようなチョップドカーボンファイバーの具体例としては、PAN系炭素繊維では、東レ(株)社製商品名「トレカチョップ」、三菱レーヨン(株)社製商品名「パイロフィル(チョップ)」、東邦テナックス(株)社製商品名「ベスファイト(チョップ)」等を挙げることが出来、ピッチ系炭素繊維では、三菱化学産資(株)社製商品名「ダイアリード」等を挙げることが出来る。
【0021】
本発明の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物であるマスターバッチにおけるこれら炭素繊維の配合比率は、20重量%以上50重量%以下、好ましくは25重量%以上45重量%以下である。配合比率が20重量%未満では炭素繊維濃度が低いためにマスターバッチとしての効率が悪く、配合比率が50重量%を超えると、マスターバッチの粘度が上がり過ぎて成形加工時のマスターバッチの分散性が劣るため夫々好ましくない。
【0022】
これらの炭素繊維は、後述する(b)ポリオレフィン樹脂とともに本発明の規定範囲内で配合し、あるいは任意の添加成分(c)分散助剤および必要に応じてさらに添加する後述の任意成分とともに溶融混練されてポリオレフィン系樹脂組成物のマスターバッチとなるが、この溶融混練の際には、得られたマスターバッチペレット中に残存する炭素繊維の平均繊維長が300μm以上であり、なお且つ、残存全繊維の内、繊維長500μm以上の繊維数の割合が20重量%以上、繊維長700μm以上の繊維数の割合が5重量%以上となるような複合化方法を選択するのが好ましい。
【0023】
これを実現するための方法としては、例えば、2軸押出機による溶融混練では、(b)成分および必要に応じて添加する(c)成分とを十分に溶融混練した後、炭素繊維成分、更に必要に応じて(c)成分とをサイドフィード法等によりフィードし、繊維の折損を最小限に押さえながら、収束繊維を分散させる方法等を例示することができる。
これは、ポリオレフィン系樹脂に炭素繊維を溶融混練してマスターバッチとする際の炭素繊維仕込み段階の平均繊維長さが0.1〜20mmであるから、溶融混練後の炭素繊維の平均繊維長さが300μm以上ということは、炭素繊維の過度な折損を起こさずに必要な仕込み段階の繊維長を維持しているということを表す。このために、本発明は、ポリプロピレン系樹脂特有の性質を、例えば、軟化点または溶融点になれば、急激に粘弾性が低下するという性質を利用して、そのような粘弾性が低下した状態において、炭素繊維を投入すれば、溶融混練時のせん断負荷の影響が軽減されるので、損傷が少ない。このため、成形の原材料(粉末状、ペレット状のもの)を造る段階の押出機の温度制御、スクリユーの回転速度、およびホッパー以外にも、例えばダイ近くというような、炭素繊維の投入箇所にも、技術的な調整を加えて本発明は達成できる。
なお、マスターバッチ中の数平均繊維長、500μm以上の繊維数割合および700μm以上の繊維数割合は、次のようにして測定する。すなわち、マスターバッチペレットを400℃で1時間灰化処理し、ペレット中の炭素繊維を取り出す。取り出した炭素繊維を純水に分散させた後、得られた水分散炭素繊維をスライドグラスに滴下し、偏光顕微鏡を用いて繊維画像を観察し、デジタル顕微鏡を接続してデジタル画像として撮影する。撮影した繊維画像をトレースした後、トレース画像をイメージスキャナーで電子化し、画像解析ソフトで解析、算出する。
【0024】
(b)ポリオレフィン系樹脂
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物で用いるポリオレフィン系樹脂は、炭素数2〜8のα−オレフィン(エチレンを含む)の単独重合体、及び/又は、2種以上の共重合体からなり、230℃、2.16kg荷重で測定されたMFRが10〜800g/10分、好ましくは30〜500g/10分、更に好ましくは50〜300g/10分、最も好ましくは80〜150g/10分である。
MFRが10g/10分未満ではマスターバッチの溶融混練時に炭素繊維の折損が激しく、マスターバッチ中の残存繊維長が低下してしまうため好ましくない。MFRが800g/10分を超えると、マスターバッチの延性が低下し、このようなマスターバッチでポリプロピレン系樹脂組成物を構成した場合、ポリプロピレン系樹脂組成物の衝撃性が劣るため好ましくない。
【0025】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物で用いるポリオレフィン系樹脂は、炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、及び/又は、2種以上の共重合体であるが、該ポリオレフィン組成物をマスターバッチペレットとして用い、最終的にポリプロピレン系樹脂のペレットと混合されて成形されるため、上記ポリオレフィン系樹脂の中でもポリプロピレン樹脂との相溶性が良いものが好ましい。この様なポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体部分とプロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなるポリプロピレンブロック共重合体、ポリエチレン、エチレンとプロピレンの共重合体、エチレンとブテンの共重合体、エチレンとヘキセンの共重合体、エチレンとオクテンの共重合体等を例示することができる。これらは単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。
【0026】
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂は、従来公知の任意の方法により重合することができるが、例えば、気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法などを挙げることができ、1つの反応器でバッチ式に重合してもよく、あるいは複数の反応器を組み合わせて連続式に重合してもよい。
【0027】
本発明の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物における、ポリオレフィン系樹脂の配合比率は、50〜80重量%、好ましく55〜75重量%である。ポリオレフィン系樹脂の配合比率が50重量%未満では、マスターバッチの分散性が劣り、80重量%を超えると、マスターバッチ効率が劣るため好ましくない。
【0028】
(c)分散助剤
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物においては、必要に応じて、(c)分散助剤を配合しても良い。本発明で用いることのできる(c)分散助剤としては、下記成分(i)金属石鹸類及び成分(ii)変性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の分散助剤を挙げることができる。
【0029】
(i)金属石鹸類
分散助剤として用いることのできる(i)金属石鹸類としては、一般式:
(RCOOX)
(但し、Rは炭素数10〜40の炭化水素残基であり、XはLi,Na,K,Mg,Zn,Ca,Ba又はAlの金属成分であり、nは1,2、又は3である)
で表される金属石鹸類である。
具体的には、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、及び同属のラウリン酸金属塩、ベヘン酸金属塩、モンタン酸金属塩、ヒドロキシステアリン酸金属塩等が挙げられる。上記の中で、性能と入手の簡便さより、とりわけ、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム等の金属石鹸が好ましい。
これらの金属石鹸は、カルボン酸化合物と金属水酸化物を反応させた後、水洗、脱水、乾燥する合成法(複分解法)や、水を使わずに直接反応させる方法(直接法)で製造することができる。
この様な金属石鹸類の配合比率は、ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。金属石鹸類の配合比率が10重量部を超えると、炭素繊維と樹脂の界面強度が低下することにより、補強効率が低下してしまうため好ましくない。
【0030】
(ii)変性ポリオレフィン系樹脂
分散助剤として用いることのできる(ii)変性ポリオレフィン系樹脂としては、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、無水カルボン酸基、エポキシ基より選ばれた、1種又は2種以上の官能基によりポリオレフィンを変性した樹脂であって、変性率が、主鎖を構成するオレフィンモノマー分子に対して、0.1〜5.0重量%である変性ポリオレフィン樹脂である。
変性率が0.1重量%未満の場合、炭素繊維表面との反応性が乏しく、5重量%を超えると、非極性であるポリオレフィン樹脂との相溶性が低下するため、夫々好ましくない。
この様な変性ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、水酸基変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレート−ポリエチレン共重合体(住友化学社製ボンドファーストなど)などを挙げることが出来る。
これらの変性ポリオレフィン樹脂は、従来公知の押出機や反応釜を用いて、無水マレイン酸などのグラフトモノマーと有機化酸化物などのグラフト触媒をポリオレフィン樹脂と反応させることにより製造することが出来るが、その変性率は、本発明で規定している範囲内であることが必要である。
【0031】
本発明で用いる変性ポリオレフィン系樹脂のMFRは、0.1〜500g/10分であることが好ましい。MFRが0.1g/10分未満では、分散性に劣り、500g/10分を超えるとポリプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性が低下してしまうため、好ましくない。
【0032】
この様な変性ポリオレフィン系樹脂の配合比率は、ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して10重量部以下、好ましくは8重量部以下である。変性ポリオレフィン樹脂の配合比率が10重量部を超えると、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性が低下したり、炭素繊維表面との接着力が上がりすぎてしまうために、溶融混練や射出成形の段階で、繊維の折損が増大してしまうため好ましくない。
【0033】
本発明の炭素繊維含有ポリオレフィン組成物には、さらに本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、以下に示すような任意成分が配合されていてもかまわない。
この様な任意成分とは、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・燐酸エステル等の各種造核剤、有機過酸化物、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、タルク、炭酸カルシウム、ワラストナイト、ウイスカー、モンモリロナイト、合成マイカ、天然マイカ、金属繊維、カーボンブラック、ビニルエステル、カーボンナノチューブ、フラーレン、塗装改質剤、各種カップリング剤、等を挙げることが出来る。
【0034】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記(a)および(b)成分、あるいは必要に応じて使用する(c)成分等を押出機などの溶融混練装置を用いて溶融混練することにより、ペレット状のマスターバッチとされるが、本発明のマスターバッチの補強性能をより高度なものとするためには、マスターバッチ中に残存する炭素繊維の平均繊維長が300μm以上であり、なお且つ、残存全繊維の内、繊維長500μm以上の繊維数の割合が20%以上、繊維長700μm以上の繊維数の割合が5%以上であることが好ましい。
【0035】
マスターバッチ中の炭素繊維長を上記レベルに維持するためには、本発明で規定している、炭素繊維やポリオレフィン樹脂の特性だけでなく、溶融混練法によりマスターバッチを製造する際の製造方法(2軸押出機でのサイドフィード法など)に留意することにより、残存繊維長、及びその分布を制御することが出来る。
【0036】
2.ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(A)炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物をマスターバッチとして用い、下記成分(B)ポリプロピレン系樹脂(ベースPP)とを、ペレット状態のまま、成分(A)と成分(B)との混合比率が、(A):(B)=1〜90:99〜10(重量%比)の比率で混合することにより得られる組成物である。
【0037】
(B)ベースPP(ポリプロピレン系樹脂)
本発明で用いる(B)成分は、MFRが5g/10分以上、アイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるプロピレン単独重合体あるいはプロピレン単独重合体部分とプロピレンと他のα−オレフィンを共重合した共重合体部分とからなるポリプロピレンブロック共重合体である。これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体にあっては共重合体部分のプロピレン含量が30〜75重量%、重量平均分子量が30万以上であるものが好ましい。
MFRが5g/10分未満の場合、炭素繊維の増粘化効果により成形加工時の流動性が劣るばかりでなく、マスターバッチ中の残存繊維長が、成形機内の剪断により折損され、成形体中の残存繊維長が低下してしまうため、好ましくない。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、230℃で測定する値である。
【0038】
プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98%未満であると、成形体の剛性が劣るため好ましくない。アイソタクチックペンタッド分率は、重合触媒の電子供与体(外部及び/又は内部ドナー)の添加量を制御し、さらにこれらの重合過程での欠落を防止することにより側鎖の立体配置を制御することにより、調整することができる。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率とは、Macromolecules,6,925(1973年)記載の方法、すなわち13C−NMRを使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。換言すれば、アイソタクチックペンタッド分率は、プロピレンモノマー単位が5個接続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、ピークの帰属に関しては、Macromolecules,8,687(1975年)に記載の方法に基づいて行った。具体的には13C−NMRスペクトルの、メチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピーク強度分率としてアイソタクチックペンタッド単位を測定する。
【0039】
ポリプロピレンブロック共重合体中の共重合体部分のプロピレン含量が30重量%未満であると、共重合体成分の分散性が劣り、75重量%を超えると共重合体成分の耐衝撃性が劣るため夫々好ましくない。また共重合体部分の重量平均分子量が30万未満の場合も、耐衝撃性が劣るため好ましくない。
共重合体部分の分子量は、共重合体部分の重合時に、水素濃度を制御することにより調整することができる。
ここで、重量平均分子量は、下記のようにして求めるゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαにおいて、K及びαとして、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.78
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:ο−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
【0040】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ベースPPが上述のポリプロピレン樹脂に加え、以下に示す(d)無機フィラーや(e)エラストマーが配合された、複合ポリプロピレン系樹脂組成物とすることにより、更に高度な物性バランスを安定的に得ることが可能となり、エネルギー効率の観点で、更に好ましい態様である。
【0041】
(d)無機フィラー
本発明のベースPPに配合される無機フィラーは、レーザー回折法により測定された平均粒径が1〜15μmであるものが好ましい。平均粒径が1μm未満では無機フィラーの分散性が極めて劣り、15μmを超えると補強効率が低下するため夫々好ましくない。この様な無機フィラーとしては、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ワラストナイト、ウイスカーなどを例示することが出来、このうちタルク、炭酸カルシウム、マイカが好適に用いられる。これら無機フィラーは、1種類を単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。
上記無機フィラーの配合比率は、1〜40重量%、好ましくは3〜35重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。無機フィラーの配合比率が1重量%未満の場合、無機フィラーを配合する意味が事実上なく、40重量%を超えると、比重の増加が激しく、軽量性の観点で好ましくない。
上記無機フィラーをベースPP側に配合することにより、ポリプロピレン系樹脂組成物の剛性を改良するだけでなく、マスターバッチ側から供給される炭素繊維と相まって線膨張係数を劇的に改良することが可能となるため、高度な寸法安定性を要求されるような部品に対しては特に有効である。この様に、無機フィラーと炭素繊維を併用することにより高度な寸法安定性を得ることが可能となるが、本発明のマスターバッチ方式においては、無機フィラーはベースPP側に配合しておくことが好ましい。無機フィラーをマスターバッチ側に配合した場合、炭素繊維の濃度が高いために、マスターバッチの溶融混練時の粘度が高く、ここに更に無機フィラーが入ることにより、炭素繊維の折損を助長する結果となり、最終的なマスターバッチ中の残存繊維長が低下してしまうため好ましくない。
【0042】
(e)エラストマー
本発明のベースPPに配合されるエラストマーは、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体又は炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体であって、その密度が0.850〜0.930g/cmである。これらの混合物であってもよい。密度が0.850g/cm未満では、エラストマーのハンドリング性が著しく低下するばかりでなく、炭素繊維の補強効率も低下するため好ましくない。また密度が0.930g/cmを超えると、衝撃性の向上効果が低下するため好ましくない。
【0043】
エラストマー成分として、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体を用いる場合、炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体であれば任意の組合せを選択可能であるが、エラストマーとしての衝撃改良効果や分散性を考慮し、とりわけ、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体が特に好適に用いられる。この様なエチレン系エラストマーでは、エチレンと共重合するコモノマー成分の含量は、10〜50重量%であることが好ましい。コモノマー成分の含量が10%未満の場合、十分なゴム弾性を示さず、50%を超えると、ガラス転移温度が上昇するため、低温の衝撃性が低下し、夫々好ましくない。
この様なエチレン系エラストマーとしては、例えば、三井化学社製「タフマー」、デュポンダウエラストマー社製「エンゲージ」「アフィニティ」、JSR社製「ダイナロン」、住友化学「エスプレン」、日本ポリエチレン社製「カーネル」、エクソンモービルケミカル社製「ビスタロン」「イグザクト」などを例示することが出来る。
【0044】
エラストマー成分として、炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体を用いる場合、基本的には任意の組合せ、及び、構造式のものを使用することが出来るが、エラストマーとしての衝撃性やポリプロピレンとの相溶性を考慮し、下記構造を有するスチレン系水添ブロック共重合ゴムであって、そのポリスチレン構造を有するAセグメントの含量が1〜25重量%であることが好ましい。
A−B 又は、A−B−A
(但し、Aはポリスチレン構造セグメントを示し、Bはエチレン・ブテン又はエチレン・プロピレンの構造セグメントを示す)
上記Aセグメントの含量が1%未満では、事実上スチレン系エラストマーとはいえず、25%を超えると、ポリプロピレン樹脂との相溶性が著しく低下し、十分な分散が得られないため、好ましくない。
【0045】
また、これらエラストマー成分のMFRは0.1〜80g/10分であることが好ましい。MFRが0.1g/10分未満では、エラストマーの分散性が劣り、80g/10分を超えると衝撃性が劣るため、夫々好ましくない。
この様なスチレン系エラストマーとしては、例えば、クレイトンポリマー社製「クレイトン」、旭化成社製「タフテック」、クラレ社製「セプトン」「ハイブラー」、JSR社製「ダイナロン」などを例示することが出来る。
【0046】
エラストマーの配合比率は、1〜40重量%、好ましくは5〜35%、更に好ましくは10〜30重量%である。エラストマーの配合比率が重量1%未満では衝撃改良効果が乏しいためにエラストマーを配合する意味が事実上無く、40重量%を超えると剛性低下が著しいため好ましくない。
【0047】
更に、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、以下に示すようなその他の成分(任意成分)が配合されていてもかまわない。この様な任意成分とは、着色するための顔料、フェノール系、イオウ系、リン系などの酸化防止剤、帯電防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤、紫外線吸収剤、有機アルミ・燐酸エステル等の各種造核剤、有機過酸化物、分散剤、中和剤、発泡剤、銅害防止剤、滑剤、難燃剤、ウイスカー、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、合成マイカ、天然マイカ、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、金属繊維、カーボンブラック、ビニルエステル、カーボンナノチューブ、フラーレン、塗装改質剤、各種カップリング剤、等を挙げることが出来る。
【0048】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記(A)炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物(マスターバッチ)成分と(B)ベースPP成分を混合することにより提供される。この様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率は、ベースPPの曲げ弾性率に対して、曲げ弾性率と密度から計算される補強効率(ΔFM/Δρ)が、下記関係式(1)を満たすことが好ましい。
ΔFM/Δρ≧20 …(1)
(式(1)中、ΔFM=FMcp−FMbp、Δρ=ρcp−ρbp、FMcp:ベースPPとマスターバッチの混合物の曲げ弾性率(単位:MPa)、FMbp:ベースPPの曲げ弾性率(単位:MPa)、ρcp:ベースPPとマスターバッチの混合物の密度(単位:kg/m)、ρbp:ベースPPの密度(単位:kg/m)である。)
【0049】
上記関係式(1)は、密度見合いの曲げ弾性率を規定したものであるが、タルクやウイスカーといった汎用無機フィラーを補強材として用いた場合、その補強効率は20未満であり、高度な剛性を実現するためには多量のフィラーを充填しなければならず、軽量性の観点で好ましくない。
本発明で意図していることは、高度な補強効率を得ることにより、軽量性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物とすることばかりでなく、複雑多岐にわたるグレード数を、マスターバッチという方法を用いることによって削減し、高度な物性バランスを有する材料を効率性に優れた方法で提供することを目的としている。この様に、本発明では、マスターバッチ方式によるグレード数削減を最終的な目的としているため、例えば、柔軟な領域から超高剛性領域まで、一つのマスターバッチで幅広くカバーすることを考慮した場合、マスターバッチの補強効率は高い方がより好ましい。
【0050】
このようにマスターバッチにおいてその補強効率は重要な意味をもつものであるが、本発明で規定した上記関係式(1)を満たすためには、本発明で規定している配合成分を規定量配合することだけでなく、マスターバッチペレット中の炭素繊維の残存繊維長分布が、本発明で規定している範囲内となるような、マスターバッチの製造方法にも留意することが重要である。
この様なマスターバッチの製造方法としては、例えば、2軸押出機による溶融混練では、ポリオレフィン樹脂と、更に必要に応じて、分散助剤成分とを十分に溶融混練した後、炭素繊維成分、更に必要に応じて、分散助剤成分とをサイドフィード法により、溶融したポリオレフィン樹脂に添加し、繊維の折損を最小限に抑えながら、収束繊維を分散させる方法等を例示することが出来る。
【0051】
本発明のマスターバッチ、及びそれを混合したポリプロピレン系樹脂組成物は、従来公知の各種成形法で成形することが可能であるが、とりわけ、射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形、からなる群より選ばれた成形加工法により成形されることが、本発明の効果が良好に得られるため好ましく、中でも射出成形が、汎用性や生産性の観点から特に好ましい。
【0052】
この様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物の成形体は、各種工業部品や生活資材として有用なものであるが、得られた組成物は軽量性に優れ、尚且つ、機械物性が高度なバランスを有していることより、とりわけ、車両用部品、家電用部品、等の工業部品材料として、特に好適なものである。
【0053】
また、この様にして得られたポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体の内、メルトフローレートが5〜100g/10分、曲げ弾性率が1200〜10000MPa、23℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が400J/m以上、−30℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が40J/m以上、1.86MPaの条件下で測定された荷重たわみ温度が50℃以上、密度が1.10g/cm未満、23℃から80℃までの線膨張係数が6×10−5cm/cm・℃以下であるポリプロピレン系樹脂組成物、及びその成形体は、特に好適に、工業部材として使用することが出来る。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその趣旨を逸脱しない限り、これによって限定されるものではない。なお、実施例における各種物性値の測定方法、用いた材料は以下の通りである。
【0055】
1.測定方法
(1)MFR(単位:g/10min):JIS K7210 条件14に準拠し、230℃、2.16kg荷重(21.18N荷重)で測定した。
(2)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7171に準拠して23℃下で測定した
(3)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:kJ/m):JIS−K7110に準拠し、23℃、及び−30℃で測定した。
(4)引張り伸び(単位:%):JIS K7113に準拠し、23℃で測定した。
(5)荷重たわみ温度(単位:℃):JIS−K7191−2に準拠して、1.86MPaの条件で測定した。
(6)密度(単位:g/cm):JIS−K7112に準拠して、水中置換法にて測定した。
(7)線膨張係数(単位:cm/cm・℃):ASTM D696に準拠して、23℃〜80℃の温度範囲で測定した。
(8)マスターバッチ中の炭素繊維の残存繊維長分布(単位:mm):マスターバッチペレットを400℃で1時間灰化処理し、ペレット中の炭素繊維を取り出す。取り出した炭素繊維を純水に分散させた後、得られた水分散炭素繊維をスライドグラスに滴下し、偏光顕微鏡(ニコン社製:OPTIGHOT−POL×2対物レンズ〜PLAN 2P〜)を用いて繊維画像を観察し、デジタル顕微鏡(キーエンス社製:VH−7000)を接続して、デジタル画像として撮影する。撮影した繊維画像をトレースした後、トレース画像をイメージスキャナー(セイコーエプソン社製:ES−2000)で電子化し、画像解析ソフト(プラネトロン社製:Image Pro Plus ver.4.5)で、観察全繊維の繊維長を測定し、数平均繊維長、500μm以上の繊維数割合、700μm以上の繊維数割合を算出した。
【0056】
2.材料
(1)炭素繊維
表1に示す、チョップドカーボンファイバーを用いた。
【0057】
【表1】

【0058】
(2)ポリオレフィン系樹脂
製造例1〜2で製造したポリプロピレン系樹脂、及び表2に示す、市販のポリオレフィン系樹脂を用いた。
【0059】
(製造例1)
(i)重合触媒成分(1)の製造
充分に窒素置換した10L反応器に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン4000mlを導入し、次いでMgClを8モル、Ti(O−n−Cを16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークス)を960ml導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換した10L反応器に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で4.8モル導入した。次いでn−ヘプタン500mlにSiClを8モル混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン500mlにフタル酸クロライド0.48モルを混合して、70℃、30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl200mlを導入して80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し固体成分を得た。このもののチタン含量は1.3重量%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを1000ml導入し、上記で合成した固体成分を100グラム導入し、24mlの(t−C)Si(CH)(OCH、34グラムのAl(Cを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする重合触媒成分(1)を得た。このもののチタン含量は1.1重量%であった。
(ii)ポリプロピレン系樹脂の製造
重合触媒成分(1)及びトリエチルアルミニウムを使用し、第1重合工程として反応部容積280Lを有する流動床式気相反応器を用い、重合温度85℃、プロピレン分圧22kg/cmの条件下プロピレン単独重合を連続的に行った。この時、固体触媒成分は1.8g/hrの速度で、またトリエチルアルミニウムを5.5g/hrの速度で連続的に供給した。第1重合工程より抜き出されるパウダーを25kg/hrで連続的に第2重合工程として用いる反応部容積280Lを有する流動床式気相反応器に送り、プロピレンとエチレンの共重合を連続的に行った。第2重合工程から連続的に27kg/hrのポリマーを抜き出した。各重合工程での水素濃度は、1槽目でH/プロピレン=0.045モル比、2槽目でH/(エチレン+プロピレン)=0.01モル比にコントロールすることにより分子量を制御した。ゴム状プロピレン・エチレン共重合体部のエチレン組成は、第2重合工程でのプロピレンとエチレンのガス組成をプロピレン/エチレン=1/1モル比にコントロールすることによりプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−1)を得た。1段重合槽から抜き出したプロピレン単独重合体の[mmmm]は、0.986、MFRは142g/10分、2段目重合槽から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは65g/10分であった。
【0060】
(製造例2)
第1重合工程の水素量を、H/プロピレンモル比で0.048、第2重合工程の水素量を、H/プロピレンモル比で0.015に変更した以外は、製造例1と同様にしてプロピレン・エチレンブロック共重合体(PP−2)を得た。
1段重合槽から抜き出したプロピレン単独重合体の[mmmm]は、0.986、MFRは213g/10分、2段目重合槽から抜き出したプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRは100g/10分であった。
【0061】
【表2】

【0062】
(3)分散助剤
表3に示す、金属石鹸、マレイン化PPを用いた。なお、マレイン化PPは、以下に示す製造例3〜4に従って製造した。
【0063】
(製造例3)
ホモポリプロピレン(日本ポリプロ社製:MA8)5kgに、無水マレイン酸20g、ベンゾイルパーオキサイド20gをドライブレンドし、設定温度200℃、スクリュー回転数300rpm、吐出量10kg/hの条件で、2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)中で溶融混練し、ダイスより押し出したストランドを水槽で冷却して、カッターによりカットしてペレット状の無水マレイン酸変性ポリプロピレン(マレイン化PP−1)とした。得られたマレイン化PP−1の酸変性度(マレイン化率)は0.3重量%、MFRは16g/10分であった。
【0064】
(製造例4)
無水マレイン酸の仕込み量とベンゾイルパーオキサイドの仕込み量をそれぞれ40gとした以外は製造例3と同様の方法により無水マレイン酸変性ポリプロピレン(マレイン化PP−2)を得た。得られたマレイン化PP−2の酸変性度(マレイン化率)は、0.7重量%、MFRは40g/10分であった。
【0065】
【表3】

【0066】
(4)ポリプロピレン系樹脂(ベースPP)
ポリプロピレン樹脂として製造例1、2で得られたPP−1、PP−2、及び、日本ポリプロ(株)社製ポリプロピレン(PP−3;ノバテックポリプロBC6C)を用い、更に成分(d)無機フィラー(タルク)、成分(e)エラストマー(ゴム−1〜ゴム−3)とを配合し、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30α)を用いて溶融混練し、ベースPPとした。使用した各成分の構造的特長を表4に、ポリプロピレン系樹脂組成物の配合を表5に示す。
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
(実施例1)
表6に示した配合組成・製造条件により、マスターバッチを製造した。マスターバッチは、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30α)を用い、根元ホッパーよりポリオレフィン樹脂、及び、エラストマーを供給し、シリンダ温度200℃、スクリュー回転数400rpmの条件で、ポリオレフィン樹脂とエラストマーを、第1混練部で溶融混練し、第1混練部よりも川下側(ダイス側)に設けたサイドフィード口よりサイドコンパクターにより炭素繊維を供給し、繊維の折損を最小限に抑えるように構成した第2混練部で、収束繊維を分散させた後、ダイスより押し出したストランドを水槽で冷却して、カッターによりカットして、ペレット状のマスターバッチとした。得られたマスターバッチとベースPPを、表6に示した混合比率でペレットブレンドし、東芝機械社製IS100射出成形機(型締力:100t)を用いて、成形温度220℃の条件で、各種試験片を成形した。採取した試験片は、23℃の恒温室で7日間状態調節した後、各種物性を測定した。評価結果を表7に示す。
【0070】
(実施例2〜14)
マスターバッチの配合組成・製造条件、及び、マスターバッチと混合するベースPPを、表6に示す通りとした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表7に示す。
【0071】
(比較例1〜8)
マスターバッチの配合組成・製造条件、及び、マスターバッチと混合するベースPPを、表8に示す通りとした以外は、実施例1と同様に行った。評価結果を表9に示す。
【0072】
(参考例1〜8)
実施例及び比較例で使用したベースPPの各種物性を表10に示す。
【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
【表10】

【0078】
表6〜10より明らかなように、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物のマスターバッチ、及びそれを用いてなるポリプロピレン系樹脂組成物は、マスターバッチ工法という、成形時のグレードチェンジや成形体の寸法調整を極めて効率的に行うことが可能な工法でありながら、極めて高度な機械物性と軽量性を有している(実施例1〜14)。一方、本発明で例示しているマスターバッチ工法を用いても、本発明で規定している、特定の炭素繊維やポリオレフィン樹脂からなるマスターバッチと、特定のポリプロピレン系樹脂組成物を使用しないケースでは、炭素繊維のマスターバッチでありながら、十分な補強効率が得られず、寸法安定性、剛性、耐熱剛性が劣り、高度な機械物性と軽量性の両立という観点で不十分なものであった(比較例1〜8)。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物のマスターバッチ、及びこれを用いてなるポリプロピレン系樹脂組成物とその成形体は、高度な物性バランスを有していながら、マスターバッチ工法という、成形時のグレードチェンジや寸法調整を極めて簡便に行うことが可能な工法に適用可能な材料である。このマスターバッチ工法を採用することにより、これまでのように、用途毎に様々な材料グレードを使い分ける必要が無くなり、その結果、グレード数を大幅に削減することが出来、これに伴い、グレードチェンジに伴う大量のロスを大幅に削減することが出来る。このことは、成形体の寸法調整のための金型改造が不要になるばかりでなく、グレード統合化による、生産、包装、物流、といった個別に行うことにより発生していたトータルロスを大幅に削減することが可能となり、LCA(ライフサイクルアセスメント)の大幅改善につながる技術である。また、この様な効率的なマスターバッチ工法で製造された各種工業部品は、高度な機械物性バランスと共に優れた軽量性も有していることから、自動車等の車両部品として使用された場合には、車両の燃費効率を向上させることにも繋がるため、前述の樹脂部品のLCA改善と併せて、有限なエネルギー資源の節約、及び地球環境の保護に多大なる貢献をすることとなり、その工業的価値は極めて大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)炭素繊維および(b)ポリオレフィン系樹脂とからなることを特徴とする、炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
(a)繊維径が3〜15μm、繊維長が0.1〜20mm、引張強度が1000MPa以上、および引張弾性率が100GPa以上である炭素繊維:20重量%以上50重量%以下
(b)炭素数2〜8のα−オレフィンの単独重合体、及び/又は、2種以上の共重合体からなり、230℃、2.16kg荷重で測定されたメルトフローレート(以下、MFRと記す)が10〜800g/10分であるポリオレフィン系樹脂:50重量%以上80重量%以下
【請求項2】
溶融混練によって製造された樹脂組成物中に残存する炭素繊維の平均繊維長が300μm以上であり、且つ、残存全繊維のうち繊維長が500μm以上の繊維数の割合が20重量%以上、かつ、繊維長が700μm以上の繊維数の割合が5重量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂組成物が、更に(i)金属石鹸類および(ii)変性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種の分散助剤(成分(c))を含有し、その配合量がポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して10重量部以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物。
(i)一般式:(RCOOX)X(但し、Rは炭素数10〜40の炭化水素残基であり、XはLi、Na、K、Mg、Zn、Ca、Ba又はAlの金属成分であり、nは1、2、又は3である)で表される金属石鹸類
(ii)水酸基、アミノ基、カルボン酸基、無水カルボン酸基あるいはエポキシ基より選ばれる、1種又は2種以上の官能基を有する変性ポリオレフィン樹脂であって、変性率が主鎖を構成するオレフィンモノマー分子に対して、0.1〜5.0重量%である変性ポリオレフィン樹脂
【請求項4】
下記成分(A)および成分(B)を、(A):(B)=1〜90:99〜10(重量%比)で混合したポリプロピレン系樹脂組成物。
成分(A):請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物
成分(B):MFRが5g/10分以上のプロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体およびプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)を共重合した共重合体部分とからなるポリプロピレンブロック共重合体、またはこれらの混合物であって、プロピレン単独重合体部分のアイソタクチックペンタッド分率が98.0%以上であるポリプロピレン系樹脂(以下、ベースPPという)であり、ベースPPが当該ブロック共重合体を含む場合は、その共重合体部分のプロピレン含量が30〜75重量%、重量平均分子量が30万以上であるもの
【請求項5】
成分(B)ベースPPが、更に下記成分(d)無機フィラー及び/又は下記成分(e)エラストマーを含有し、その配合割合がベースPP:成分(d):成分(e)=20〜99:1〜40:1〜40(重量%比)であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(d)無機フィラー:レーザー回折法により測定された平均粒径が1〜15μmであるタルク
(e)エラストマー:炭素数2〜8のα−オレフィンの共重合体、及び/又は、炭素数2〜8のα−オレフィンとスチレンとの共重合体であって、その密度が0.850〜0.930g/cmであるエラストマー
【請求項6】
ポリプロピレン系樹脂組成物の密度及び曲げ弾性率と、ベースPPの密度及び曲げ弾性率によって定義される補強効率(ΔFM/Δρ)が、下記関係式(1)を満足することを特徴とする、請求項4又は5に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
ΔFM/Δρ≧20 …(1)
(式(1)中、ΔFM=FMcp−FMbp、Δρ=ρcp−ρbpであり、FMcp:ポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率(単位:MPa)、FMbp:ベースPPの曲げ弾性率(単位:MPa)、ρcp:ポリプロピレン系樹脂組成物の密度(単位:kg/m)、ρbp:ベースPPの密度(単位:kg/m)である)
【請求項7】
MFRが5〜100g/10分、曲げ弾性率が1200〜10000MPa、23℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が400J/m以上、−30℃で測定されたアイゾッド衝撃強度が40J/m以上、1.86MPaの条件下で測定された荷重たわみ温度が50℃以上、密度が1.10g/cm未満、23℃から80℃までの線膨張係数が6×10−5cm/cm・℃以下であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項8】
射出成形、圧縮成形および射出圧縮成形からなる群より選ばれた成形加工法により成形されることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の成形体。
【請求項9】
成形体が車両用部品あるいは家電用部品であることを特徴とする、請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の成形体。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維含有ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたマスターバッチ。

【公開番号】特開2006−124454(P2006−124454A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312138(P2004−312138)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【出願人】(594196358)株式会社ロンビック (5)
【Fターム(参考)】