説明

点字ラベルの製造方法、装置、及び点字ラベル、

【課題】 着色されたUVインクを素材に印刷し、紫外線を照射してUVインクを硬化させて、点字凸部を形成するものにおいて、着色させたUVインクを薄く積層してUV硬化させる工程を繰り返すことにより、十分に着色された点字凸部を形成できる点字凸部の製造方法を提供する。
【解決手段】 着色されたUVインク7を素材3に印刷し、紫外線を照射してUVインク7を硬化させて、点字凸部4を形成する点字凸部4の製造方法において、UVインク7を点字凸部4の高さより薄く積層する工程と紫外線を照射して硬化させる工程とを繰り返して点字凸部4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は点字ラベル、現金自動支払機、及び点字ラベルの製造方法に関し、特に、ラベルの地色に対して点字凸部を着色した点字ラベル、現金自動支払機、及び点字ラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、点字は見るものではなく、触って操作するものであると考えられていたため、点字は単色のみであった。
【0003】
しかしながら点字を触って理解できるようになるには、小さいころから専門教育を受ける必要があり、ある年齢を過ぎてから視覚障害者になった人にとっては、点字を触って理解できるようになるには、より以上に専門教育を受ける必要があった。このため視覚障害者の70%を占める弱視者など、部分的に視力が使える人が専門教育を受けることなく、点字を見ながら操作が出来るような環境を提供するため、ラベルの地色に対して点字凸部を着色するものが近年、求められている。
これに関連する技術として、特許文献1に、点字加工によって形成されたプラスチックシート1裏面のシート材凹部6に、インク4を流入させ、シート材凹部6のインク4を乾燥させて体積が減少し表面が少し凹んだ凹み7に凝固材5を充填し、裏面を平坦にするもの、点字加工によって形成されたプラスチックシート1裏面のシート材凹部6が、凝固材被覆の凝固材5により埋められ、その後平滑になったプラスチックシート1の裏面に印刷を施すもの、及び、プラスチックシート1裏面に印刷後、点字加工を施し、これによって形成されたプラスチックシート1裏面のシート材凹部6を最後に凝固材5で埋めるものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−129605号公報 また、プラスチックシートの形状を予め加工することなく簡単に透明な点字凸部を形成する方法として、UVインクをシート材の上に点字凸部の形状に厚く印刷し、紫外線を照射して硬化させる方法が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらUVインクをシート材の上に点字凸部の形状に厚く印刷して硬化させようとした場合には、単にUVインクを着色すると、UVインク中を紫外線が通りにくくなるため、十分に着色されたUVインクを用いることができず、薄い色の点字凸部しか形成できなかった。もし着色をラベル素材に対して十分ハイコントラスト化して見やすくしようとして、UVインクの着色を濃くした場合、UVインクが十分硬化せず、点字凸部がすぐに剥がれてしまうという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、着色されたUVインクを素材に印刷し、紫外線を照射してUVインクを硬化させて、点字凸部を形成するものにおいて、着色させたUVインクを薄く積層してUV硬化させる工程を繰り返すことにより、十分に着色された点字凸部を形成でき、これによってラベル素材に対しハイコントラストな色に点字凸部を着色し、視覚障害者の70%を占める弱視者など、部分的に視力が使える人が専門教育を受けることなく、点字を見ながら装置の画面操作が出来るようガイドをする点字ラベル、装置、及び点字凸部の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の点字凸部の製造方法は、着色されたUVインクを素材に印刷し、紫外線を照射して前記UVインクを硬化させて、点字凸部を形成する点字凸部の製造方法において、前記UVインクを前記点字凸部の高さより薄く積層する工程と紫外線を照射して硬化させる工程とを繰り返して前記点字凸部を形成することを特徴としている。
また、本発明の装置は、操作画面と、前記操作画面周辺に設けられ第1の色に着色された第1の着色部と、前記第1の着色部に設けられ前記第1の色と異なるハイコントラストな第2の色に着色された点字凸部とを有することを特徴とする。
また、上記製造方法において、前記素材に対し点字レイアウト形状で予め凸部と同じ色を着色する工程を更に有することを特徴としている。
また、本発明の点字ラベルは、ラベルの素材の色に対しハイコントラストな色に点字凸部を着色したことを特徴としている。また上記点字ラベルにおいて、前記ラベル素材は、前記点字レイアウト形状で予め点字凸部と同じ色を着色することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、UVインクをシート材の上に印刷し、硬化させて、着色された点字凸部を形成するものにおいて、着色させたUVインクを薄く積層してUV硬化させる工程を繰り返すことにより、十分に着色された点字凸部を形成でき、これによってラベル素材に対しハイコントラストな色に点字凸部を着色し、視覚障害者の70%を占める弱視者など、部分的に視力が使える人が専門教育を受けることなく、点字を見ながら装置の画面操作が出来るようガイドをすることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の装置の一実施例の構成を示す図である。
本発明の装置はユーザによってタッチ操作される操作画面1を備えており、例えば図1に示すように、操作画面1の表示内容を説明する点字を表すために点字凸部が形成された点字ラベル2が、操作画面の表示内容に合わせて、画面の周辺に貼り付けられている。本発明の装置は、例えば金融機関の現金自動支払機などであるが、操作画面を備えた装置であればなんでもよい。
【0011】
図2は、図1の点字ラベルの第1の実施例の構成を示す図である。
【0012】
図2において、点字ラベル2の素材3に、点字凸部4が形成されている。点字凸部4の形状は、例えば、高さ0.3から0.5mmで、底面が直径1.4から1.5mmの円形であり、上面の直径が0.6から1.0mmの円錐台形状である。点字凸部4は、着色されたUVインクに紫外線を照射して硬化させたものである。点字凸部4の色は、ラベルの点字凸部以外の部分5の色に対してハイコントラストな関係となる色としている。
次に本発明の点字ラベルの製造方法について詳細に説明する。
【0013】
図3は図2の点字凸部の製造方法を示す図である。
【0014】
図3に示すように、例えば、まずラベル素材3の表面に地色の印刷を行う。次に凸部を形成する部分6に薄くラベル素材の表面の地色とハイコントラストに着色された色で着色されたUVインク7を印刷する。次に紫外線を照射してUVインク7を硬化させる。UVインクが硬化したら、さらに硬化したUVインクに重ねてUVインク7を印刷し、紫外線を照射して今回印刷したUVインク7を硬化させる。所望の高さになるまでUVインクの印刷と紫外線照射の工程を繰り返して、点字凸部4を形成する。
本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0015】
第1の効果は、視覚障害者における弱視者が点字を見ながら操作できることで、正確で、早い操作が可能になることである。
【0016】
第2の効果は、晴眼者が本装置を操作する時、点字が付いている装置であることをアピールすることが出来ることである。
【0017】
第3の効果は、全盲者にとっては、従来と変わることなく、点字を触りながら操作できることである。
【0018】
次に本発明の第2の実施例の構成について説明する。図4は、図1の装置の点字ラベルの第2の実施例の構成を示す図である。
【0019】
図4において、図2と同様に点字ラベルの素材10に、点字凸部11が形成され、点字凸部11の形状は、図2と同様に、例えば、高さ0.3から0.5mmで、底面が直径1.4から1.5mmの円形であり、上面の直径が0.6から1.0mmの円錐台形状である。点字凸部11は、着色されたUVインクに紫外線を照射して硬化させたものである。点字凸部11の色は、ラベルの点字凸部以外の部分12の色に対してハイコントラストな関係となる色としている。
【0020】
本実施例では、素材10には、点字凸部11の形成されている直径1.4から1.5mmの円形部分に、点字凸部11と同じ色で着色されている点で第1の実施例と異なる。これにより、ユーザには、UVインクの着色を薄くしても十分着色されているように見える。UVインクの着色を薄くすることにより、1回の紫外線照射で硬化できるインク層を厚くすることができる。
【0021】
図5は図2の点字凸部の製造方法を示す図である。
【0022】
本実施例では、まずラベル素材10の表面に地色の印刷を行うとき、点字凸部11を形成する部分13に、地色とハイコントラストに着色された色で着色する。この工程以降は、第1の実施例と同様に、凸部形成部分以外の地色とハイコントラストに着色された色、すなわち、ラベル素材の凸部形成部分12の色と同じ色で薄く着色されたUVインク14を薄く印刷し、紫外線を照射してUVインク14を硬化させ、UVインク14が硬化したら、さらに硬化したUVインクに重ねてUVインク14を印刷し、紫外線を照射して今回印刷したUVインク14を硬化させる。所望の高さになるまでUVインクの印刷と紫外線照射の工程を繰り返して、点字凸部を形成する。
【0023】
なお、以上説明した実施例は、点字凸部が形成された点字ラベルが、操作画面の周辺に貼り付けられているものとして説明したが、これに限られるものではなく、操作画面ベゼル部側に点字が成型品の一部として設けられた場合、その点字を2色成型による樹脂材料色の違いにより、ハイコントラスト化したものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の装置の一実施例の構成を示す図である。
【図2】図1の点字ラベルの第1の実施例の構成を示す図である。
【図3】図2の点字ラベルの製造方法を示す図である。
【図4】図1の点字ラベルの第2の実施例の構成を示す図である。
【図5】図4の点字ラベルの製造方法を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 操作画面
2 点字ラベル
3、10 ラベル素材
4、11 点字凸部
5、12 点字凸部以外の部分
6、13 凸部を形成する部分
7、14 UVインク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色されたUVインクを素材に印刷し、紫外線を照射して前記UVインクを硬化させて、点字凸部を形成する点字凸部の製造方法において、前記UVインクを前記点字凸部の高さより薄く積層する工程と紫外線を照射して硬化させる工程とを繰り返して前記点字凸部を形成することを特徴とする点字凸部の製造方法。
【請求項2】
前記素材に対し点字レイアウト形状で予め凸部と同じ色を着色する工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載の点字凸部の製造方法。
【請求項3】
操作画面と、前記操作画面周辺に設けられ第1の色に着色された第1の着色部と、前記第1の着色部に設けられ前記第1の色と異なるハイコントラストな第2の色に着色された点字凸部とを有することを特徴とする装置。
【請求項4】
ラベル素材と、ラベル素材の色に対しハイコントラストな色に着色した点字凸部とを有することを特徴とする点字ラベル。
【請求項5】
前記ラベル素材は、前記点字レイアウト形状で予め点字凸部と同じ色を着色することを特徴とする請求項4に記載の点字ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−149506(P2008−149506A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337948(P2006−337948)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】