点火組成物
本発明は、スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有する点火組成物、その製造方法及び前記点火組成物の使用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、点火組成物、その製造方法及び点火組成物の使用に関する。
【０００２】
たとえば車両安全システムにおいて使用される慣用の点火組成物は、その点火物質が低い分解温度のために自動車のエンジンルーム中で使用できないという欠点を有する。自動車のエンジンルーム中では、１４０℃以上の温度に達し、このことは点火物質の３００℃を超える分解温度を必要とする。カリウムジニトロベンゾフロキサナートは、たとえば約２２０℃の分解温度を有し、従ってこの目的のための点火物質として適していない。
【０００３】
本発明の課題は、先行技術の前記の欠点を克服する点火組成物を提供することであった。この点火組成物は、３００℃を超える分解温度を有する点火物質を含有するのが好ましい。本発明の他の課題は、点火物質が重金属不含であり、点火物質が機械的点火システムのためにも、電気的点火システムのためにも適していて、たとえば車両安全システム、弾薬及び釘打機用の発射カートリッジにおいて使用でき及び／又は簡単な工業的方法により製造が可能である点火組成物を提供することであった。
【０００４】
本発明の場合に、前記課題は意外にも請求項１及び１２の特徴により解決される。有利な実施態様は、引用形式請求項に記載されている。
【０００５】
意外にも前記課題は、スチフニン酸（２，４，６−トリニトロ−１，３−ジヒドロキシベンゼン）の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩を点火物質として含有する点火組成物、前記点火組成物の製造方法及びその本発明による使用により解決さることが見出された。これらの塩（以後省略してスチフニン酸塩とする）は、本発明の場合に点火組成物中の点火物質として、個別でも、互に混合した形でも及び／又は場合により点火組成物用の通常の添加物、たとえば酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤及び／又は加工助剤と混合した形でも使用することができる。
【０００６】
本発明の場合に、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸カルシウム、並びにそれらの混合塩のスチフニン酸カリウム−カルシウムが有利である。本発明の場合に、塩基性のスチフニン酸カルシウム並びに塩基性のスチフニン酸カリウム−カルシウムが特に有利である。
【０００７】
添加物として、本発明の場合に次のものが使用できる：
１． 酸化剤（個別で又は混合した形）：
アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属又は亜鉛の過酸化物、有利に過酸化亜鉛。
【０００８】
２． 還元剤（個別で又は混合した形）：
アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック、有利にチタン。
【０００９】
３． 鋭感剤（個別で又は混合した形）：
テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール。
【００１０】
４． 結合剤（個別で又は混合した形）：
アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル及びコポリマー、有利にアドヘシン。
【００１１】
６． 高エネルギー添加剤（個別で又は混合した形）：
ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロース。
【００１２】
７． 燃焼調節剤及び加工助剤（個別で又は混合した形）：
ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素、有利にニトロセルロース球形粉末。
【００１３】
本発明による点火組成物は、重金属不含、高い熱安定性、及び添加物質としてスチフニン酸カルシウム及びスチフニン酸カリウム−カルシウムを使用する際にカルシウム（このカルシウムは炭酸カルシウムの有利な摩擦学的特性に基づき燃焼残留物中での炭酸カルシウムの形成により兵器系にとって有利である）の含有量により優れている。本発明による点火組成物の分解温度は、３００℃を超える。この本発明による点火組成物は、機械的に並びに電気的に点火することができる。
【００１４】
本発明による点火組成物の製造及び加工は、自体公知でかつ通常の方法により行う。点火組成物の個々の成分は、このために適当な方法でかつ必要な量で互いに混合される。
【００１５】
本発明の主題は、詳細には下記のとおりである：
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩、有利にスチフニン酸ナトリウム、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸マグネシウム、スチフニン酸カルシウム及び／又はスチフニン酸カリウム−カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウム及び／又は塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムを含有する点火組成物。
【００１６】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、アルカリ金属塩は、スチフニン酸のナトリウム塩及び／又はカリウム塩であり、有利にスチフニン酸カリウムである点火組成物。
【００１７】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、アルカリ土類金属塩は、スチフニン酸のマグネシウム塩及び／又はカルシウム塩であり、有利にスチフニン酸カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウムである点火組成物。
【００１８】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、スチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の混合塩は、スチフニン酸カリウム−カルシウムであり、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムである点火組成物。
【００１９】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤及び／又は加工助剤又はこれらの添加物の少なくとも２種からなる混合物から選択される１種又は数種の添加物を含有する点火組成物。
【００２０】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、酸化剤は、１種又は数種の次の物質：アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属又は亜鉛の過酸化物、有利に過酸化亜鉛である点火組成物。
【００２１】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、還元剤は、１種又は数種の次の物質：アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック、有利にチタンである点火組成物。
【００２２】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、鋭感剤は、１種又は数種の次の物質：テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール、有利にテトラゼンである点火組成物。
【００２３】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、結合剤は、１種又は数種の次の物質：アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル及びコポリマー、有利にアドヘシンである点火組成物。
【００２４】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、高エネルギー添加剤は、１種又は数種の次の物質：ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロースである点火組成物。
【００２５】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、燃焼調節剤及び加工助剤は、１種又は数種の次の物質：ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素、有利にニトロセルロース球形粉末である点火組成物。
【００２６】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩１０〜９０、有利に２０〜８０、特に有利に３０〜７０質量％を含有する点火組成物。
【００２７】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩７０〜９９．９９、有利に９０〜９９．９、特に有利に９０〜９９質量％を含有する点火組成物。
【００２８】
− スチフニン酸カリウム−カルシウム、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム９０〜９９．９９、有利に９５〜９９質量％、及び結合剤、有利にアドヘシン０．０１〜１０、有利に１〜５質量％を含有する点火組成物。
【００２９】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有する点火組成物の、車両安全システム、弾薬及び／又は釘打機用の発射カートリッジのための点火システムのための使用。
【００３０】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有する点火組成物の、車両安全システムのための、有利に自動車のエンジンルーム中で使用する車両安全システムのための点火システムのための使用。
【００３１】
− 電気的に点火される点火システムのための点火組成物の使用。
【００３２】
次の実施例は本発明を詳細に説明するが、本発明を制限するものではない。
【００３３】
実施例１：スチフニン酸カリウム−カルシウム
スチフニン酸カリウム溶液から、硝酸カルシウムの化学量論的添加下での沈殿により製造された塩基性スチフニン酸カルシウム−カリウムを、原子吸光分析で試験した。次の割合のカリウム及びカルシウムが検出された：
カリウム： 約１３質量％
カルシウム： 約７質量％。
【００３４】
実施例２：塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム：
スチフニン酸カリウム−カルシウム懸濁液にアルカリ金属水酸化物を添加することにより製造されたスチフニン酸カリウム−カルシウムを、原子吸光分析で試験した。次の割合のカリウム及びカルシウムが検出された：
カリウム： 約１１．５質量％、
カルシウム： 約１２質量％。
【００３５】
表１には、前記物質の分解温度、摩擦感度及び衝撃感度が記載されている。摩擦感度及び衝撃感度の測定は、材料研究のための連邦施設（ＢＡＭ）の方法により行い、分解温度の測定は、毎分１０℃の加熱速度での熱重量測定分析（Mettler社）を用いて行った。
【００３６】
表１：
【表１】
【００３７】
このスチフニン酸塩は、点火組成物にとって通常の添加剤と共に公知の方法により必要な量比で混合される。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、点火組成物、その製造方法及び点火組成物の使用に関する。
【０００２】
たとえば車両安全システムにおいて使用される慣用の点火組成物は、その点火物質が低い分解温度のために自動車のエンジンルーム中で使用できないという欠点を有する。自動車のエンジンルーム中では、１４０℃以上の温度に達し、このことは点火物質の３００℃を超える分解温度を必要とする。カリウムジニトロベンゾフロキサナートは、たとえば約２２０℃の分解温度を有し、従ってこの目的のための点火物質として適していない。
【０００３】
本発明の課題は、先行技術の前記の欠点を克服する点火組成物を提供することであった。この点火組成物は、３００℃を超える分解温度を有する点火物質を含有するのが好ましい。本発明の他の課題は、点火物質が重金属不含であり、点火物質が機械的点火システムのためにも、電気的点火システムのためにも適していて、たとえば車両安全システム、弾薬及び釘打機用の発射カートリッジにおいて使用でき及び／又は簡単な工業的方法により製造が可能である点火組成物を提供することであった。
【０００４】
本発明の場合に、前記課題は意外にも請求項１及び１２の特徴により解決される。有利な実施態様は、引用形式請求項に記載されている。
【０００５】
意外にも前記課題は、スチフニン酸（２，４，６−トリニトロ−１，３−ジヒドロキシベンゼン）の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩を点火物質として含有する点火組成物、前記点火組成物の製造方法及びその本発明による使用により解決さることが見出された。これらの塩（以後省略してスチフニン酸塩とする）は、本発明の場合に点火組成物中の点火物質として、個別でも、互に混合した形でも及び／又は場合により点火組成物用の通常の添加物、たとえば酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤及び／又は加工助剤と混合した形でも使用することができる。
【０００６】
本発明の場合に、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸カルシウム、並びにそれらの混合塩のスチフニン酸カリウム−カルシウムが有利である。本発明の場合に、塩基性のスチフニン酸カルシウム並びに塩基性のスチフニン酸カリウム−カルシウムが特に有利である。
【０００７】
添加物として、本発明の場合に次のものが使用できる：
１． 酸化剤（個別で又は混合した形）：
アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属又は亜鉛の過酸化物、有利に過酸化亜鉛。
【０００８】
２． 還元剤（個別で又は混合した形）：
アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック、有利にチタン。
【０００９】
３． 鋭感剤（個別で又は混合した形）：
テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール。
【００１０】
４． 結合剤（個別で又は混合した形）：
アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル及びコポリマー、有利にアドヘシン。
【００１１】
６． 高エネルギー添加剤（個別で又は混合した形）：
ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロース。
【００１２】
７． 燃焼調節剤及び加工助剤（個別で又は混合した形）：
ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素、有利にニトロセルロース球形粉末。
【００１３】
本発明による点火組成物は、重金属不含、高い熱安定性、及び添加物質としてスチフニン酸カルシウム及びスチフニン酸カリウム−カルシウムを使用する際にカルシウム（このカルシウムは炭酸カルシウムの有利な摩擦学的特性に基づき燃焼残留物中での炭酸カルシウムの形成により兵器系にとって有利である）の含有量により優れている。本発明による点火組成物の分解温度は、３００℃を超える。この本発明による点火組成物は、機械的に並びに電気的に点火することができる。
【００１４】
本発明による点火組成物の製造及び加工は、自体公知でかつ通常の方法により行う。点火組成物の個々の成分は、このために適当な方法でかつ必要な量で互いに混合される。
【００１５】
本発明の主題は、詳細には下記のとおりである：
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩、有利にスチフニン酸ナトリウム、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸マグネシウム、スチフニン酸カルシウム及び／又はスチフニン酸カリウム−カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウム及び／又は塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムを含有する点火組成物。
【００１６】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、アルカリ金属塩は、スチフニン酸のナトリウム塩及び／又はカリウム塩であり、有利にスチフニン酸カリウムである点火組成物。
【００１７】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、アルカリ土類金属塩は、スチフニン酸のマグネシウム塩及び／又はカルシウム塩であり、有利にスチフニン酸カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウムである点火組成物。
【００１８】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有し、その際、スチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の混合塩は、スチフニン酸カリウム−カルシウムであり、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムである点火組成物。
【００１９】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤及び／又は加工助剤又はこれらの添加物の少なくとも２種からなる混合物から選択される１種又は数種の添加物を含有する点火組成物。
【００２０】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、酸化剤は、１種又は数種の次の物質：アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属又は亜鉛の過酸化物、有利に過酸化亜鉛である点火組成物。
【００２１】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、還元剤は、１種又は数種の次の物質：アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック、有利にチタンである点火組成物。
【００２２】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、鋭感剤は、１種又は数種の次の物質：テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール、有利にテトラゼンである点火組成物。
【００２３】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、結合剤は、１種又は数種の次の物質：アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル及びコポリマー、有利にアドヘシンである点火組成物。
【００２４】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、高エネルギー添加剤は、１種又は数種の次の物質：ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロースである点火組成物。
【００２５】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩の他に、１種又は数種の添加物を含有し、その際、燃焼調節剤及び加工助剤は、１種又は数種の次の物質：ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素、有利にニトロセルロース球形粉末である点火組成物。
【００２６】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩１０〜９０、有利に２０〜８０、特に有利に３０〜７０質量％を含有する点火組成物。
【００２７】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩７０〜９９．９９、有利に９０〜９９．９、特に有利に９０〜９９質量％を含有する点火組成物。
【００２８】
− スチフニン酸カリウム−カルシウム、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム９０〜９９．９９、有利に９５〜９９質量％、及び結合剤、有利にアドヘシン０．０１〜１０、有利に１〜５質量％を含有する点火組成物。
【００２９】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有する点火組成物の、車両安全システム、弾薬及び／又は釘打機用の発射カートリッジのための点火システムのための使用。
【００３０】
− スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩を含有する点火組成物の、車両安全システムのための、有利に自動車のエンジンルーム中で使用する車両安全システムのための点火システムのための使用。
【００３１】
− 電気的に点火される点火システムのための点火組成物の使用。
【００３２】
次の実施例は本発明を詳細に説明するが、本発明を制限するものではない。
【００３３】
実施例１：スチフニン酸カリウム−カルシウム
スチフニン酸カリウム溶液から、硝酸カルシウムの化学量論的添加下での沈殿により製造された塩基性スチフニン酸カルシウム−カリウムを、原子吸光分析で試験した。次の割合のカリウム及びカルシウムが検出された：
カリウム： 約１３質量％
カルシウム： 約７質量％。
【００３４】
実施例２：塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム：
スチフニン酸カリウム−カルシウム懸濁液にアルカリ金属水酸化物を添加することにより製造されたスチフニン酸カリウム−カルシウムを、原子吸光分析で試験した。次の割合のカリウム及びカルシウムが検出された：
カリウム： 約１１．５質量％、
カルシウム： 約１２質量％。
【００３５】
表１には、前記物質の分解温度、摩擦感度及び衝撃感度が記載されている。摩擦感度及び衝撃感度の測定は、材料研究のための連邦施設（ＢＡＭ）の方法により行い、分解温度の測定は、毎分１０℃の加熱速度での熱重量測定分析（Mettler社）を用いて行った。
【００３６】
表１：
【表１】
【００３７】
このスチフニン酸塩は、点火組成物にとって通常の添加剤と共に公知の方法により必要な量比で混合される。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩、有利にスチフニン酸ナトリウム、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸マグネシウム、スチフニン酸カルシウム及び／又はスチフニン酸カリウム−カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウム及び／又は塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムを含有することを特徴とする、点火組成物。
【請求項２】
さらに、酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤、加工助剤及び／又は前記成分の混合物から選択される１種又は複数の添加物を含有することを特徴とする、請求項１記載の点火組成物。
【請求項３】
酸化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属、亜鉛の過酸化物及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１又は２記載の点火組成物。
【請求項４】
還元剤は、アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項５】
鋭感剤は、テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項６】
結合剤は、アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル、コポリマー及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項７】
高エネルギー添加剤は、ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロース及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項８】
燃焼調節剤及び加工助剤は、ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から７までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項９】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩１０〜９０、有利に２０〜８０、特に有利に３０〜７０質量％を含有することを特徴とする、請求項１から８までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１０】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩７０〜９９．９９、有利に９０〜９９．９、特に有利に９０〜９９質量％を含有することを特徴とする、請求項１から９までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１１】
スチフニン酸カリウム−カルシウム、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム９０〜９９．９９、有利に９５〜９９質量％、及び結合剤、有利にアドヘシン０．０１〜１０、有利に１〜５質量％を含有することを特徴とする、請求項１から１０までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１２】
車両安全システムのための点火システムのため、有利に自動車のエンジンルーム中で使用される点火システムのための、弾薬用の及び／又は釘打機用の発射カートリッジの点火システムのための、請求項１から１１までのいずれか１項記載の点火組成物の使用。
【請求項１】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩、有利にスチフニン酸ナトリウム、スチフニン酸カリウム、スチフニン酸マグネシウム、スチフニン酸カルシウム及び／又はスチフニン酸カリウム−カルシウム、特に有利に塩基性スチフニン酸カルシウム及び／又は塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウムを含有することを特徴とする、点火組成物。
【請求項２】
さらに、酸化剤、還元剤、鋭感剤、結合剤、高エネルギー添加剤、燃焼調節剤、加工助剤及び／又は前記成分の混合物から選択される１種又は複数の添加物を含有することを特徴とする、請求項１記載の点火組成物。
【請求項３】
酸化剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの硝酸塩、たとえば硝酸ナトリウム又は硝酸カリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属又はアンモニウムの過塩素酸塩、アルカリ土類金属、亜鉛の過酸化物及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１又は２記載の点火組成物。
【請求項４】
還元剤は、アルミニウム、チタン、水素化チタン、ホウ素、水素化ホウ素、ジルコニウム、水素化ジルコニウム、ケイ素、黒鉛、活性炭、カーボンブラック及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項５】
鋭感剤は、テトラゼン、カリウムジニトロベンゾフロキサナート、ジアゾジニトロフェノール及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項６】
結合剤は、アドヘシン、セルロース並びにその誘導体、ポリビニルブチラール、ポリニトロポリフェニレン、ポリニトロフェニルエーテル、プレキシガム、ポリ酢酸ビニル、コポリマー及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項７】
高エネルギー添加剤は、ヘキソーゲン、オクトーゲン、ニトロペンタ及びニトロセルロース及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項８】
燃焼調節剤及び加工助剤は、ニトロセルロース球形粉末、アセトニルアセタート、サリチラート、ケイ酸塩、シリカゲル、窒化ホウ素及び／又はこれらの成分の混合物から選択されることを特徴とする、請求項１から７までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項９】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩１０〜９０、有利に２０〜８０、特に有利に３０〜７０質量％を含有することを特徴とする、請求項１から８までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１０】
スチフニン酸の１種又は数種のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩及び／又はスチフニン酸のアルカリ金属塩及び／又はアルカリ土類金属塩の１種又は数種の混合塩７０〜９９．９９、有利に９０〜９９．９、特に有利に９０〜９９質量％を含有することを特徴とする、請求項１から９までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１１】
スチフニン酸カリウム−カルシウム、有利に塩基性スチフニン酸カリウム−カルシウム９０〜９９．９９、有利に９５〜９９質量％、及び結合剤、有利にアドヘシン０．０１〜１０、有利に１〜５質量％を含有することを特徴とする、請求項１から１０までのいずれか１項記載の点火組成物。
【請求項１２】
車両安全システムのための点火システムのため、有利に自動車のエンジンルーム中で使用される点火システムのための、弾薬用の及び／又は釘打機用の発射カートリッジの点火システムのための、請求項１から１１までのいずれか１項記載の点火組成物の使用。
【公表番号】特表２００９−５１９８８７（Ｐ２００９−５１９８８７Ａ）
【公表日】平成２１年５月２１日（２００９．５．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−５４６４１６（Ｐ２００８−５４６４１６）
【出願日】平成１８年１２月１８日（２００６．１２．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００６／０６９８４９
【国際公開番号】ＷＯ２００７／０７１６５０
【国際公開日】平成１９年６月２８日（２００７．６．２８）
【出願人】（５０６２０７８８６）ルアグ アモテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】ＲＵＡＧ Ａｍｍｏｔｅｃ ＧｍｂＨ
【住所又は居所原語表記】Ｋｒｏｎａｃｈｅｒ Ｓｔｒａｓｓｅ ６３， Ｄ−９０７６５ Ｆｕｅｒｔｈ， Ｇｅｒｍａｎｙ
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成２１年５月２１日（２００９．５．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年１２月１８日（２００６．１２．１８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＥＰ２００６／０６９８４９
【国際公開番号】ＷＯ２００７／０７１６５０
【国際公開日】平成１９年６月２８日（２００７．６．２８）
【出願人】（５０６２０７８８６）ルアグ アモテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】ＲＵＡＧ Ａｍｍｏｔｅｃ ＧｍｂＨ
【住所又は居所原語表記】Ｋｒｏｎａｃｈｅｒ Ｓｔｒａｓｓｅ ６３， Ｄ−９０７６５ Ｆｕｅｒｔｈ， Ｇｅｒｍａｎｙ
【Ｆターム（参考）】
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