説明

焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの減少方法、アクリルアミドの減少した濃度を有する焙煎したコーヒー豆、及び商品

アクリルアミドの減少した濃度を有する焙煎したコーヒー豆、アスパラギンの減少した濃度を有するコーヒー豆、及び商品。1つの態様では、本発明はコーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させることを含む、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を減少させる方法を提供する。別の態様では、本発明はアスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加することを含む、コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させる方法を提供する。更に別の態様では、商品は消費者に、焙煎したコーヒー豆、コーヒー豆、焙煎したコーヒー豆もしくはコーヒー豆を含む製品、及び/又は商品が、アスパラギン及び/又はアクリルアミドの減少した濃度もしくは低濃度を有することを伝える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの減少、コーヒー豆中のアスパラギンの減少、アクリルアミドの減少した濃度を有する焙煎したコーヒー豆、及びアスパラギンの減少した濃度を有するコーヒー豆に関する。本発明は更に商品に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年4000億杯を超えるコーヒーが消費されており、コーヒーは世界で最も人気のある飲料である。コーヒーは何千年もの間楽しまれてきたが、研究者は、コーヒーがアクリルアミドを含有することをごく最近見出した。2002年4月、スウェーデン国立食品庁(Swedish National Food Administration)及びストックホルム大学(Stockholm University)の研究者は、発癌性化学物質のおそれのあるアクリルアミドが、加熱加工を受ける食品及び飲料の多くの種類に形成されるという発見を発表した。アクリルアミドは、ネズミにおいては食品中の他の発癌性物質の発癌能力と同様の発癌能力を有するが、ヒトについては食品及び飲料中での相対能力は未知である。アクリルアミドについては、限られたヒトの母集団のデータしか得られておらず、これらは職業暴露による癌の危険性について何の証拠も提供しない。(食品中のアクリルアミドの健康への影響についての国連食糧農業機関/世界保健機関合同専門家会合報告書(FAO/WHO Consultation on the Health Implications of Acrylamide in Food: Summary Report);スイスのジュネーブ、2002年6月25〜27日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
焙煎したコーヒー製品中に一般的に見出される濃度でのアクリルアミドをヒトが消費した結果、もしあるとすれば、どんな健康への影響をもたらすことがあるのかを評価するには更なる研究が必要であるが、多くの消費者が懸念を表明してきた。それ故に、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を減少させるための方法を提供することが、本発明の目的である。アクリルアミドの減少した濃度を有する焙煎したコーヒー豆を提供することもまた本発明の目的である。更に焙煎したコーヒー製品が、減少した濃度又は低濃度のアクリルアミドを有することを消費者に伝える商品を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本発明は、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を減少させる方法を提供する。1つの実施形態では、本方法はアスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加することを含む。
別の態様では、本発明は、コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させる方法を提供する。1つの実施形態では、本方法はアスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加することを含む。
別の態様では、本発明は、アクリルアミドの減少した濃度を有する焙煎したコーヒー豆を提供する。
別の態様では、本発明は、アスパラギンの減少した濃度を有するコーヒー豆を提供する。
更に別の態様では、本発明は、焙煎したコーヒー豆を含む製品が、減少した濃度又は低濃度のアクリルアミドを有することを消費者に伝える商品を提供する。
更に別の態様では、本発明は、コーヒー豆を含む製品が、減少した濃度又は低濃度のアスパラギンを有することを消費者に伝える商品を提供する。
【0005】
本明細書で引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれており、いかなる文献の引用も、それが本発明に関連する先行技術であるとの容認として解釈すべきでない。
本明細書で使用するとき、指示がない限り、パーセンテージ(%)はすべて重量によるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
出願人は、ほとんどすべての生物系において見出される天然起源のアミノ酸であるアスパラギンが、加熱された場合にアクリルアミドを形成し得ることを見出した。したがって、アスパラギンがより豊富である物質は、加熱された場合に、より高濃度のアクリルアミドを含有する傾向があり;これは特にアスパラギン含有物質が還元糖の存在下で加熱された場合にはそうである。
【0007】
理論に制限されるものではないが、アクリルアミドは、図1に示される反応機構を介して形成すると考えられている。遊離アスパラギンのα−アミン基が、カルボニル供給源と反応してシッフ塩基を形成すると考えられている。熱のもとでは、シッフ塩基付加体は脱炭酸して生成物を形成するが、これは:(1)加水分解してβ−アラニンアミドを形成し得る(これは加熱下では更に分解してアクリルアミドを形成し得る)か、又は(2)分解してアクリルアミド及び対応するイミンを形成し得るかのいずれかである。(出願人は、円で囲んだ前駆体の原子がアクリルアミド中の炭素及び窒素を構成していることを見出した。)
それ故に、出願人は、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの形成が、豆の最終的な焙煎の前に、アスパラギンを除去することにより、又はコーヒー豆中のアスパラギンを別の物質に変換することにより減少できることを更に見出した。減少した濃度のアスパラギンを含有するこうした豆が最終的な焙煎を受ける場合には、形成されるアクリルアミドの量は減少する。
【0008】
出願人は、コーヒー豆の最終的な焙煎の前に、アスパラギンの側鎖上のアミド基を加水分解する酵素を添加することにより、焙煎したコーヒー豆中に存在するアクリルアミドの濃度を減少させることを見出した。理論に制限されるものではないが、こうした酵素の添加はアスパラギンの側鎖を分解し、したがってアスパラギンがアクリルアミドを形成するのを防ぐと考えられている。そうすることにより、アミド結合は加水分解され、アスパラギンはアスパラギン酸に変換される。この反応機構は、図2に示される。
【0009】
本明細書の方法に用いるのに好ましい酵素には、アスパラギナーゼが挙げられるがこれに限定されない。しかしながら、アクリルアミドの形成を防ぐために、遊離アスパラギンのアミド基を加水分解できるいずれの酵素も、本発明の範囲内である。
【0010】
酵素を用いる利点は多い。これらの利点には:(a)それらが天然の毒性のない物質であること;(b)それらが一般に望まない副反応を生ずることなく所与の反応を触媒すること;(c)それらが温度及びpHの非常に穏やかな条件下で活性であること;(d)それらが低濃度で活性があること;(e)反応速度を、温度、pH、及び使用する酵素の量を調整することにより制御できること;並びに(f)反応が所望の程度に進行した後、それらを非活性化することができることが挙げられる。(食品化学(Food Chemistry)、第4版、オーウェンR.フェンネマ(Owen R.Fennema)編集、マーセル・デッカー社(Marcel Dekker,Inc.)、ニューヨーク、1985年、427、433ページ。)
【0011】
A.(焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの減少方法)
1つの態様では、本発明は、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの減少方法を提供する。1つの実施形態では、本方法は、コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させることを含む。別の態様では、本方法はアスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加することを含む。好ましい酵素はアスパラギナーゼである。
【0012】
好ましい実施形態では、本発明は、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を減少させる方法を提供し、それは、
(1)アスパラギンを含有するコーヒー豆を提供する工程;
(2)任意選択的に、コーヒー豆を前処理する工程;
(3)アスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加する工程;
(4)酵素がアスパラギンと反応するために十分な時間を与える工程;
(5)任意選択的に、酵素を非活性化又は除去する工程;及び
(6)コーヒー豆を焙煎して、焙煎したコーヒー豆を形成する工程を含む。
【0013】
別の態様では、本発明は、コーヒー豆中のアスパラギンの減少方法を提供する。1つの実施形態では、本方法はアスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加することを含む。好ましい酵素はアスパラギナーゼである。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明は、コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させる方法を提供し、それは、
(1)アスパラギンを含有するコーヒー豆を提供する工程;
(2)任意選択的に、コーヒー豆を前処理する工程;
(3)アスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加する工程;
(4)酵素がアスパラギンと反応するために十分な時間を与える工程;
(5)任意選択的に、酵素を非活性化又は除去する工程を含む。
【0015】
1.(アスパラギンを含有するコーヒー豆を提供する工程)
コーヒー豆は、世界中の狭い亜熱帯地域のコーヒーの木から育つコーヒーチェリーの種である。多くのコーヒー種があるが、2つの主要な商業用コーヒー種である、アラビカ種(Coffea arabica)とカネフォーラ種変種ロブスタ(Coffea canephora var.robusta)が存在することが、一般に認識されている。アラビカ種からのコーヒーは、ブラジルに由来する「ブラジル」として記述されるものか、又は他の高級コーヒー生産国で生育する「アザーマイルド(Other Milds)」である。高級アラビカの国は、コロンビア、グアテマラ、スマトラ、インドネシア、コスタリカ、メキシコ、米国(ハワイ)、エルサルバドル、ペルー、ケニア、エチオピア、及びジャマイカを包含するものとして一般に認識されている。カネフォーラ種変種ロブスタ(canephora var.robusta)からのコーヒーは、典型的には安価の増量剤として又はアラビカコーヒー用の追加のカフェイン供給源として用いられる。これらのロブスタコーヒーは、西部及び中央アフリカ、インド、東南アジア、インドネシア、及びブラジルの低地域において、典型的には生育する。コーヒーチェリーが収穫された後、典型的には果実は種から取り除かれる。
様々な種類の豆の混合物を包含するいずれの好適なコーヒー豆も、本発明にしたがって用いることができる。好ましいコーヒー豆は、アラビカ、ロブスタ、又はこれらの混合物である。
【0016】
本明細書で使用するとき、「コーヒー豆」又は「豆」という用語は、いずれかの好適な形態のコーヒー豆を包含する。非限定例には、豆の形態又はグリーンコーヒー豆抽出物の形態(例えば乾燥した又は湿ったグリーンコーヒー豆抽出物)のコーヒー豆が挙げられる。コーヒー豆は、そのままであることもできるし又は粒度を減少させることもできる。コーヒー豆の大きさは、砕く、刻む、さいの目に切る、ふやかす、挽く、薄片状にする、又はいずれかのその他の好適な方法により減少できる。コーヒー豆の大きさは、本方法のいずれの好適な段階において減少してもよく、それにはアスパラギン還元酵素の添加前、添加中、又は添加後のあらゆるときが挙げられるが、酵素をコーヒー豆と反応させる期間が終了する前である。
【0017】
更に、本明細書に用いるコーヒー豆は、任意ではあるが好ましくは、それらの果実が取り除かれている。1つの実施形態では、カフェインを抜いたコーヒー豆が用いられる。別の実施形態では、カフェインを抜いていないコーヒー豆が用いられる。更に別の実施形態では、カフェイン抜きの及びカフェイン抜きでない豆の混合物が用いられる。好ましくは、グリーンコーヒー豆が用いられるが、最終的な焙煎を受けていない、いずれの好適な豆も本明細書の方法にしたがって使用することができる。
【0018】
2.(任意選択的に、コーヒー豆を前処理する工程)
コーヒー豆は、酵素の添加前又は添加中に任意選択的に前処理されてもよい。好適な前処理には、乾燥、水和、機械的作用(例えば湿式−ブラッシング)なし又はありによるすすぎ、加圧、蒸気処理、湯通し、加熱、減圧加工(例えば真空)、粒度減少、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好適な前処理方法はまた、コーヒー豆の1以上のセルロース分解酵素への暴露を包含することができ;この方法は単独で又は1以上のその他の前処理方法と組み合わせて用いることができる。いずれの好適なセルロース分解酵素も用いることができるが、好ましいセルロース分解酵素には、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
前処理は、豆の内部からアスパラギンの除去及び/又は抽出を促進することができ、アスパラギンを豆の外部のアスパラギン還元酵素に、より緊密に接触させることができる。前処理はまたアスパラギン還元酵素の豆の中への移動を促進することができ、豆の内部のアスパラギン還元酵素とのより緊密な接触、並びに豆内でのアスパラギン還元酵素のより均一な分布を可能にする。
【0020】
豆を乾燥させてそれらの孔を開くことができる。1つの実施形態では、豆を、アスパラギン還元酵素溶液中への浸漬に備えて乾燥させる。乾燥により、酵素溶液が豆に浸透するための、したがって酵素が豆の内部に到達するための、駆動力が創出される。使用する乾燥方法が、アスパラギンがアクリルアミドの顕著な濃度を形成するように反応し始め得る温度に到達しない限り、豆を乾燥させるいずれの好適な手段を用いてもよい。好ましくは、焙煎のために典型的に用いる温度未満の温度を使用する乾燥方法が用いられ;例えば1つの実施形態では、コーヒー豆を約49℃(120°F)未満の温度で乾燥させる。乾燥の好適な方法には、凍結乾燥、ベルト乾燥、真空乾燥、オーブン乾燥、流動床乾燥、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。好ましくは、乾燥した豆は、水分吸収のための駆動力を創出するために、約10%未満の含水量を有する。
【0021】
水和の好適な手段には、低い圧力もしくは大気圧の蒸気により処理すること、コーヒーに所望量の水を噴霧し及び吸収させること、過剰の水の残留なしに湿潤した豆を創出するために所望量の水の水溶液中に豆を浸漬すること、又は水和された豆と過剰の水(すなわち、豆に完全に吸収されていない水)の混合物を創出するために所望量の水の水溶液中に豆を浸漬することを挙げることができる。過剰の溶液中に豆を浸漬することはあまり好ましくないが、これはコーヒー固形物が残留溶液中に抽出され、香味が減少し及びより低品質の豆をもたらす場合があるからである。
【0022】
1つの実施形態では、豆は、アスパラギン還元酵素溶液中への浸漬に備えてそれらの孔を開けるために蒸気に当てられる。別の実施形態では、アスパラギン還元酵素の溶液への添加前に、コーヒー豆は水中に浸漬され、約15%〜約75%、好ましくは約20%〜約55%、より好ましくは約25%〜約40%の水分を水和できる。約15%を超える含水量まで水溶液又は蒸気により豆を水和することにより、豆を膨張させることができ、アスパラギンの豆からの抽出経路、及び/又はアスパラギン還元酵素溶液の豆の中への移動経路の形成を促進することができる。
【0023】
豆及び過剰の水又はアスパラギン還元酵素溶液の混合物が、真空及び/又は圧力を受けることにより、結果としてより多くの水又はアスパラギン還元酵素溶液が豆に浸透し、豆の内部に入り得る。圧力により水又はアスパラギン還元酵素溶液を豆の構造中に強制的に侵入させることができる一方、真空は残留空気を豆内から引き出し、水又はアスパラギン還元酵素溶液をより容易に浸透させることができる。
【0024】
粒度の減少はより大きい表面積を創出することができ、溶液の吸収及び/又は抽出をより完全に、より均一に、及びより迅速に生じさせることができる。コーヒー豆の大きさは、砕く、刻む、さいの目に切る、ふやかす、挽く、薄片状にする、又はいずれかのその他の好適な方法により減少できる。例えば、砕くこと(豆が4分の1の部分又はそれより小さく分けられる場合のように)、又は挽くこと(焙煎して挽いたコーヒーを加工する場合に実行されるように)を、溶液の吸収及び/又はアスパラギンの抽出を促進するために用いることができる。
【0025】
3.(アスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加する工程)
本明細書で使用するとき、「アスパラギン還元酵素」は、コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少できるいかなる酵素も包含する。1つの実施形態では、アスパラギン還元酵素は、遊離アスパラギンのアミド基を加水分解することができる酵素である。本明細書に用いるのに好ましい酵素は、アスパラギナーゼである。アスパラギナーゼの好ましい供給源は、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)のカタログ番号A2925である。
【0026】
本明細書で使用するとき、「アスパラギン還元酵素」、及び「酵素」という用語は、1以上の酵素を包含し;例えば、2以上の酵素の混合物がこの用語に包含される。例えば、アスパラギン還元機能を有する脱アミド化酵素(deamidase)がこの用語に包含される。
【0027】
酵素は、コーヒー豆にいずれの好適な形態で添加されてもよい。例えば、酵素は、粉末として又は溶液の形態で添加されてもよい。更に、酵素はコーヒー豆にいずれの好適な方式で添加されてもよく、例えば直接に(例えばコーヒー豆上に振りかける、注ぐ、もしくは噴霧するか、又はコーヒー豆を酵素溶液中に浸漬することもできる)、又は間接に添加されてもよい。本明細書で使用するとき、コーヒー豆に酵素を「添加する」ことには、アスパラギン及び酵素を一緒にするいかなる手段も挙げられるが、これに限定されない。
【0028】
酵素は、最終的な焙煎が完了する前に、本方法のいずれかの好適な段階で添加されて焙煎したコーヒー豆を形成してもよい(本明細書の方法の工程6に示されるように)。例えば、酵素はコーヒー豆に、任意の前処理工程中、又は前処理工程後に添加されてもよい。更に、酵素は本方法の1つを超える段階で添加することができる。1つの実施形態では、酵素は、収穫後に果実が取り除かれる前の豆に添加され、次に果実が取り除かれ、豆を乾燥させた後に再び添加される。
酵素は、重量又は体積よりむしろ、活性単位によって市販されている。したがって、所望の程度のアクリルアミドの減少を達成するために必要な酵素の有効量は、用いられる特定の酵素製品の活性によって決まる。
【0029】
添加する酵素の量は、アスパラギンの減少の程度、したがって所望されるアクリルアミドの減少の程度に左右され得る。添加する酵素の量はまた、コーヒー豆中に存在するアスパラギンの量によって決められ;アスパラギンがより多いコーヒー豆は一般に、アクリルアミドの減少の同じパーセンテージを達成するために、酵素の増加した濃度又は増加した反応時間を必要とする。添加する酵素の量はまた用いられる特定の酵素(例えば、特定の酵素の酵素活性)、及び処理されるコーヒー豆の特定の種類に左右され得る。当業者は、コーヒーの具体的な種類、具体的な酵素、酵素の具体的な活性、及び所望の結果に基づいて、酵素の有効量を決定することができる。
【0030】
酵素をコーヒー豆に添加する好ましい方法には、噴霧、浸漬、振りかけ、及び主浴(dominant bath)が挙げられる。1つの実施形態では、酵素溶液は、すべての豆の表面に均一な適用を創出するために、豆を静かに攪拌しながら、豆上に溶液を噴霧することにより適用される。
【0031】
別の実施形態では、コーヒー豆は、豆を水和するために酵素溶液中に浸漬される。用いられる溶液の量は、豆の所望の最終含水量によって決まる。酵素溶液は、すべての液体が豆に吸収されるような量、又はコーヒー豆による溶液の吸収後に過剰の溶液が残留するような量で用いることができる。更に別の実施形態では、コーヒー豆は溶液中で水和され、次に酵素粉末が水和されたコーヒー豆上に振りかけられる。豆は溶液から、粒子状物質を溶液から分離するいずれかの好適な手段、例えばふるい分けにより取り出すことができる。
【0032】
更に別の実施形態では、酵素は主浴(dominant bath)を用いて豆に添加される。豆から抽出する可溶性物質が溶液と平衡になるか又は平衡に近くなるまで、連続して豆の幾つかのバッチが酵素含有溶液中に浸漬される。1つの実施形態では、主浴(dominant bath)中の酵素はアスパラギンをアスパラギン酸に変換し、したがって豆のバッチのその後の添加に対して追加のアスパラギン抽出のための駆動力を創出する。抽出可能物質は、その他の可溶性コーヒー構成成分が抽出されてしまわないように豆と平衡になることができるが、アスパラギンは例外であり、これは、酵素と反応し続け、酵素により変換され続ける。アスパラギンから形成されるアスパラギン酸は、豆の中にしみ込んで戻り、平衡になる。前の豆のバッチの中に侵入した溶液を補填するために豆の各バッチの後に、追加の水及び/又は酵素含有溶液が添加され;これにより主浴(dominant bath)の一定体積が保持される。
【0033】
1つの実施形態では、アスパラギンの少なくとも一部分がコーヒー豆から抽出され、結果として得られる抽出物が酵素により処理され、次に抽出物の少なくとも一部分が、コーヒー豆の少なくとも一部分の中に再び添加されて戻るが;例えば、酵素が抽出物に添加されてもよいし、又は抽出物が固定化された酵素の床又はカラムを通して注入されてもよい(酵素は基材、好ましくは不活性基材、例えばプラスチック片又はカラム中のビーズに吸着されるか又は化学的に結合される)。
【0034】
4.(酵素がアスパラギンと反応するために十分な時間を与える工程)
酵素がアスパラギンと反応するために必要な時間の量は、アスパラギン(したがってアクリルアミド)減少の所望の程度、特定のコーヒー豆の特徴(例えば、化学的組成、存在するアスパラギンの量、粒度)、及び添加される特定の酵素が挙げられるが、これらに限定されない要因によって決まる。好ましくは、アスパラギンの濃度が少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、なおより好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約90%減少させるコーヒー豆をもたらすのに十分な量の時間にわたって、酵素を反応させる。一般に、酵素を長く反応させるほど、アスパラギンの減少の程度は大きくなり、したがって焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの減少の程度も大きくなる。酵素が反応するために十分な時間を与える工程は、いずれの好適な方式で実行することができ;例えばそれは酵素をコーヒー豆に添加するのと同時に、酵素をコーヒー豆と混合、酵素溶液のコーヒー豆による吸収、又はこれらの組み合わせにより実行することができる。
【0035】
当該技術分野において既知であるように、pH及び温度は酵素活性に影響する要因である。当業者は、これらの及びその他のパラメータ(例えば、水含量)の最適条件を容易に決定することができるはずである。加えて、具体的な酵素についての最適なpH及び温度条件は、典型的には文献及び/又は酵素の供給元から入手可能である。
【0036】
本明細書の方法により調製されるコーヒー豆は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、なおより好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約90%のアスパラギンの濃度が減少することができる。
1つの実施形態では、コーヒー豆は、約500ppm未満、好ましくは約300ppm未満、より好ましくは約200ppm未満、なおより好ましくは約100ppm未満のアスパラギンを含む。
【0037】
5.(任意選択的に、酵素を非活性化又は除去する工程)
酵素が所望の程度に反応した後、酵素を任意選択的に、非活性化又はコーヒー豆から除去することができる。消費に安全な(例えば、天然起源の及び一般食品中に見出される)酵素が用いられる場合、酵素を非活性化又は除去しないことを選択してもよい。あるいは、酵素は、酵素を非活性化するいずれの好適な手段により非活性化することができる。例えば、酵素は熱の使用、pH調整、プロテアーゼによる処理、又はこれらの組み合わせを通じて非活性化することができる。更に、抽出が挙げられるがこれに限定されない、いずれかの好適な手段により、コーヒー豆から酵素を除去することができる。酵素は、非活性化する、除去する、又は非活性化と除去の組み合わせを受けることができる。
【0038】
6.(コーヒー豆を焙煎して、焙煎したコーヒー豆を形成する工程)
次にコーヒー豆を焙煎して、焙煎したコーヒー豆を形成する。焙煎を含むいずれの好適なプロセスも用いることができる。本明細書で使用するとき、「焙煎」という用語は、コーヒー独特の香味を創出するコーヒー豆のいずれかの好適な熱処理を包含する。好適な焙煎技術には、オーブン焙煎、押出焙煎、蒸気焙煎(例えばポスト焙煎なし)、赤外線焙煎、マイクロ波焙煎、誘電分極(di-electric)/誘導加熱焙煎、及びこれらの組み合わせを挙げることができるがこれらに限定されない。コーヒー豆を焙煎するための典型的な焙煎機器及び方法は、例えば、シベッツ・アンド・フート(Sivetz & Foote)のコーヒー加工技術(Coffee Processing Technology)、コネチカット州ウェストポートのアヴィ出版社(Avi Publishing Co.)、第1巻(1963年)、203〜226ページに記載されている。焙煎したコーヒー豆は、カフェイン抜きの種類、カフェイン入りの種類、又はこれらの混合物のようないずれの好適な形態であることもできる。
【0039】
コーヒー豆は、いずれかの所望の焙煎色に焙煎することができる。好ましくは、豆は約10L(非常に暗い)〜約25L(非常に明るい)のハンター(Hunter)の色度に焙煎される。本明細書で使用するとき、ハンター(Hunter)色は、ハンターCIE尺度によりハンター比色計に基づいて測定される。R.S.ハンター(R.S.Hunter)の「光電式色差計(Photoelectric Color Difference Meter)」米国光学学会誌(J.of the Optical Soc.of Amer.)、48巻(1958年)の985〜95ページ、を参照のこと。
【0040】
本明細書の方法により調製される焙煎したコーヒー豆は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、なおより好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約90%のアクリルアミド濃度が減少することができる。
【0041】
1つの実施形態では、焙煎したコーヒー豆は、約160ppb未満のアクリルアミド、好ましくは約150ppb未満のアクリルアミドを含む。別の実施形態では、焙煎したコーヒー豆は、約135ppb未満、好ましくは約120ppb未満、より好ましくは約100ppb未満、なおより好ましくは約50ppb未満、更により好ましくは約20ppb未満、最も好ましくは約10ppb未満のアクリルアミドを含む。
【0042】
焙煎したコーヒー豆はそのままで用いることもできるし、又は多様な焙煎したコーヒー製品、例えば焙煎して挽いたコーヒー、液体濃縮物、インスタント又は粉末コーヒー、コーヒー飲料(例えば、すぐ飲めるホット及びアイスコーヒー、自動販売機用コーヒー(vended coffees)、業務用及び家庭用の入れたコーヒー、カルーア(Kahlua)(商標)、ラテ、カプチーノ)、ミックス(例えばカフェ・ラテ・ミックス)、菓子(例えばキャンディ)、デザート(例えばケーキ、アイスクリーム、ムース、カスタード)、ペストリー(例えばデニッシュ、ドーナツ)、ソース、及びスープ(例えばチリ)を製造するために用いることもできる。1つの実施形態では、コーヒー豆を乾燥させ、焙煎し、次に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。典型的な粉砕機器が、例えばシベッツ・アンド・フート(Sivetz & Foote)、スープラ(supra)、239〜250ページに記載されている。
【0043】
本発明の焙煎したコーヒー豆を含む焙煎したコーヒー製品は、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約50%、なおより好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約90%のアクリルアミド濃度が減少することができる。1つの実施形態では、焙煎して挽いたコーヒーは、約160ppb未満、好ましくは約150ppb未満のアクリルアミドを含む。別の実施形態では、焙煎して挽いたコーヒーは、約135ppb未満、好ましくは約120ppb未満、より好ましくは約100ppb未満、なおより好ましくは約50ppb未満、更により好ましくは約20ppb未満、最も好ましくは約10ppb未満のアクリルアミドを含む。別の実施形態では、焙煎して挽いて入れたコーヒーは、約7ppb未満のアクリルアミド、好ましくは約5ppb未満のアクリルアミドを含む。
【0044】
酵素を非活性化することは、加熱を通じて生じてもよく、したがって任意の非活性化工程及びコーヒー豆の焙煎を同時に実行してもよい。加熱加工は、焙煎したコーヒー豆が連続して酵素活性を受けないように、酵素を変性及び非活性化することができる。更に、酵素反応に与えられる時間の少なくとも一部分は、焙煎工程の間に実行されてもよい。
【0045】
B.(方法を実行する手段)
本発明はいずれの好適な手段によっても実行することができる。例えば、本明細書の方法は、バッチ、半バッチ、又は連続モードにより実行できる。
【0046】
C.(好ましい実施形態)
本明細書の方法は以下に示される好ましい実施形態により一般に記載されるが、当業者は、本明細書の方法はいずれの好適な方式によっても実行できることを理解すべきである。
【0047】
1つの実施形態では、コーヒー豆を、約15%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、最も好ましくは約1.5%〜約4%の含水量に乾燥させる。例えば、豆を49℃(120°F)で一晩乾燥させることができる。乾燥により、豆はより多くの酵素溶液を吸収する可能性を増加させる。任意選択的に、豆を砕く又は挽くことができる。豆を次に酵素を含む溶液中に入れ、浸漬させる。酵素は、約38℃(100°F)の温度で約45分〜約1時間反応させ;次に任意選択的に酵素はマイクロ波により非活性化される。豆を次に、74℃(165°F)で約7%〜約11%の含水量に乾燥させる。豆を次に、プロバット・デュエット(Probat Duett)(商標)ロースター上で、約16L〜約24Lの焙煎色に焙煎し、次に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0048】
更に別の実施形態では、主浴(dominant bath)が使用される。コーヒー豆を、任意選択的に蒸気を用いて約15%〜約30%の水含量に予備湿潤する。それらを次に、主浴(dominant bath)を創出するために過剰の水の中に浸漬する(すなわち、すべての水が豆の中に吸収されるわけではない)。豆を次に、例えば溶液からそれらをふるい分けることにより水から分離する。この手順を主浴(dominant bath)を形成するために数回繰り返す。主浴(dominant bath)においては、豆中及び溶液中に存在する水溶性構成成分の間に平衡を確立することができる。酵素を次に浴中に添加する。酵素は選択的にアスパラギンをアスパラギン酸に変換する。新しい豆を次に酵素を含有する主浴(dominant bath)中に添加する。アスパラギンは豆から主浴(dominant bath)中に抽出され、酵素はアスパラギンをアスパラギン酸に変換する。浴中の過剰のアスパラギン酸は、豆と平衡を確立する。したがって、最終的結果はアスパラギンのアスパラギン酸への変換である。豆を主浴(dominant bath)から取り除く。豆の追加のバッチを、連続的又は半連続的な方法で加工することができる。豆を次に、乾燥させ、焙煎し、次に挽いて焙煎して挽いたコーヒーを形成することなどによって、当該技術分野において既知の典型的な方式で加工することができる。
【0049】
D.(商品)
別の態様では、本発明は商品を提供する。1つの実施形態では、商品は、
(a)焙煎したコーヒー豆を含む製品であって、前記焙煎したコーヒー豆がアクリルアミドの減少した濃度を有する製品と;
(b)製品を収容するための容器と;
(c)容器に付随するメッセージとを含む。
【0050】
容器に付随するメッセージは消費者に、焙煎したコーヒー豆、焙煎したコーヒー豆を含む製品、及び/又は商品がアクリルアミドの減少した濃度を有することを知らせる。1つの実施形態では、メッセージにより、焙煎したコーヒー豆、焙煎したコーヒー豆を含む製品、及び/又は商品が、アスパラギンの減少した濃度又は低濃度を有するコーヒー豆により製造されていることを、消費者に知らせる。メッセージは、容器に直接もしくは間接に取り付けられた印刷物、容器付近に直接もしくは間接に取り付けられた印刷物であることができ、又は別の方法としては容器に付随する印刷、電子、もしくは放送のメッセージであることができる。好適なメッセージには、アクリルアミドの「減少した」又は「低い」濃度を伝えるメッセージ、アクリルアミドの特定量未満が存在することを伝えるメッセージ、並びに焙煎したコーヒー豆、焙煎したコーヒー豆を含む製品、及び/又は商品が推奨された又は指令された規準(例えば、規制閾値又は信号濃度)を満たす又は上回ることを伝えるメッセージが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
別の実施形態では、商品は、
(a)コーヒー豆を含む製品であって、前記コーヒー豆がアスパラギンの減少した濃度を有する製品と;
(b)コーヒー豆を収容するための容器と;
(c)容器に付随するメッセージとを含む。
【0052】
容器に付随するメッセージにより、コーヒー豆、コーヒー豆を含む製品、及び/又は商品がアスパラギンの減少した濃度を有することを、消費者に知らせる。メッセージは、容器に直接もしくは間接に取り付けられた印刷物、容器付近に直接もしくは間接に取り付けられた印刷物であることができ、又は別の方法としては容器に付随する印刷、電子、もしくは放送のメッセージであることができる。好適なメッセージには、アスパラギンの「減少された」又は「低い」濃度を伝えるメッセージ、アスパラギンの特定量未満が存在することを伝えるメッセージ、並びにコーヒー豆、コーヒー豆を含む製品、及び/又は商品が推奨された又は指令された規準(例えば、規制閾値又は信号濃度)を満たす又は上回ることを伝えるメッセージが挙げられるが、これらに限定されない。
焙煎したコーヒー豆又はコーヒー豆を含む製品を分配、提示、陳列、又は貯蔵することができるいずれの容器も好適である。好適な容器には、袋、金属容器、箱、ボール、皿、小型容器、及び缶が挙げられるがこれらに限定されない。
【0053】
(分析方法)
本発明の要素を特徴付けるために用いるパラメータを、特定の分析方法により定量化する。これらの方法は次のように詳細に記載される。
【0054】
1.(アクリルアミド)
(食品中のアクリルアミド(AA)を測定する方法)
(概略)
焙煎して挽いたコーヒーに、13C−AAを加え、熱水で抽出する。水性の上清をエチルアセテートで2回抽出し、エチルアセテート抽出物を濃縮し、AA及び13C−AAを具体的に検出する選択されたイオン監視(monitoring)LC/MSにより分析する。
【0055】
(挽いたコーヒー豆の抽出(グリーン及び焙煎の両方について))
1.6.00±0.01gの試料を125mLの三角フラスコ中に秤量する。
2.脱イオン化蒸留水中の100ng/μL13C−AA(ISTD2)120μLを、可変式1000μLピペット(較正済み)を用いて試料上に直接に添加する。
3.ディスペンサーを用いて、40mLの脱イオン化蒸留水をフラスコに添加し、ホイルで覆う。
4.65℃の水浴中に30分間設置する。
5.ディスペンサーを用いて、10mLのエチレンジクロライドをフラスコに添加し、テクマー(Tekmar)製ティスマイザー(Tissumizer)(商標)(SDT−1810)又はウルトラ・テュラックス(Ultra Turrax)(登録商標)(T18ベーシック(T18 Basic))により30秒間均質化する。脱イオン化蒸留水を用いて分散した要素をフラスコ中にすすぐ。
6.25gの均質化物を8ドラムバイアル瓶中に設置する。
7.バイアル瓶にしっかりと蓋をし、262〜544rad/s(2500〜5200rpm)で30分間遠心分離する。
8.セップパック(Sep-Pak)(登録商標)プラスC18(Plus C18)(ウォーターズ(Waters)#WAT020515)を3mLのアセトニトリル、続いて6mLの脱イオン化蒸留水により調整する。
9.6mLの上清を、カートリッジを通過させ、8ドラムバイアル瓶中に溶出させる。
10.10mLのエチルアセテートをディスペンサーによりバイアル瓶に添加し、蓋をし、10秒間攪拌する。
11.いずれのエマルションも破壊させる;1度又は2度回転又は振動することにより促進し、次いで層を分離させる。
12.界面からいずれの液体も移さずに、できるだけ多くの上層をシンチレーションバイアル瓶に移す。10mL分のエチルアセテートによりもう一度抽出し、同じシンチレーションバイアル瓶に添加する。次に、およそ2gの無水硫酸ナトリウムを添加する。
13.60〜65℃の水浴中で窒素の穏やかな流れにより抽出物を約1mLに濃縮する。抽出物をピアス(Pierce)のリアクチ・バイアル(REACTI-VIAL)(商標)(又は同等の円錐形状のガラス製バイアル瓶)に移し、更に抽出物をおよそ100〜200μLの最終体積に濃縮する。この抽出物を、円錐スリーブ及び蓋付きオートサンプラーバイアル瓶中に設置する。
【0056】
(標準の調製)
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
(ホモジナイザー洗浄手順)
各試料の間にこの洗浄手順を用いる。
1.1Lの三角フラスコに熱い水道水を充填し(80%充填)、及びドーン(Dawn)(商標)食器洗浄液(プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.)より入手可能)又は同等品の液滴を添加する。
2.ホモジナイザー分散要素をできるだけ深く水中に挿入する。
3.溶液を約10〜15秒間均質化する
4.三角フラスコから洗浄溶液を出し;すすいで、フラスコに熱い水道水を再充填する。
5.約10〜15秒間再均質化する。
6.フラスコを空にし、熱い水道水を再充填し;約10〜15秒間再均質化する。
7.水が透明でなく及び粒子を含まない場合には、この条件を達成するために必要なだけ何回も透明な熱い水道水を均質化することを続ける。
8.熱い水道水が透明で粒子を含まない場合には、分散要素を脱イオン化蒸留水ですすぐ。
【0061】
(LC/MSによる分析)
試料は、マイクロマス(Micromass)LCZ質量分析計に接続するウォーターズ(Waters)2690LCを用いて分析する。
【0062】
【表4】

【0063】
(データ分析)
応答比(AAピーク面積/13C−AAピーク面積)が、エチルアセテート中の一連の6標準についての対応する濃度比に対してプロットされる。すべての標準は4.50μg/mLの13C−AAを含有し、AA濃度は0〜5.0ppmの範囲である。線形回帰により検量線がもたらされ、それにより測定された応答比から抽出物中の濃度比が決定される。この濃度比が、抽出手順の工程3において試料に添加される、正確に既知である13C−AAの濃度(公称2ppm)により掛け算され、AAのppmでの濃度がもたらされる。
【0064】
LC/MSについての試料の計算:
検量線は、x軸上に濃度比([アクリルアミド]/[13C−アクリルアミド])、y軸上に応答比(mz/72面積/m/z73面積)をプロットすることにより作成される。この例について、その直線の方程式は、y=0.899x+0.0123である。
【0065】
4.0分でのAAピーク(m/z72)の測定面積:100,000
4.0分での13C−AAピーク(m/z73)の測定面積:500,000
応答比Rr=0.200検量線の傾き及び切片から、濃度比Rcが計算される:Rc=(0.200−0.0123)/0.899=0.209
試料中の13C−AAの添加濃度(2ppm)を与えると、AAの測定濃度は、0.209×2ppm=0.418ppmである
【0066】
(品質保証/品質管理(QA/QC))
1.標準及び/又は試料の調製に用いられるすべてのはかりは、それらの較正を1組の正規のおもりにより毎週点検されなければならない。はかりは、測定される試料/標準の重量の範囲を網羅する少なくとも3つのおもりにより点検されるべきである。
2.6点の検量線が毎日実行されるべきである。
3.作業標準物質(WRM)は、試料の各組により分析されるべきである。この物質の濃度は、移動平均の2o以内であるべきである。そうでない場合は、器具を再較正し、WRMを再計算するべきである。
【0067】
2.(アスパラギン)
食品及び飲料製品中のアスパラギン及びアスパラギン酸の測定
(原理)
秤量した量の試料を5%HClと混合し、30分間加熱し、次に均質化する。均質化物の一部分を遠心分離し、次いで上清の一部を希釈し、FMOC試薬(9−フルオレニルメチルクロロホルメート)により処理するが、これはアスパラギン及びアスパラギン酸と反応して極めて蛍光性の誘導体を形成する。次に逆相HPLCを用いて、その他の試料マトリックス構成成分からFMOC−アスパラギンを分離する。検出は、260nmでの励起時の313ナノメーター(nm)での蛍光発光による。既知濃度の標準の分析は、定量化を可能にする。
【0068】
(線形性)
4つの標準(50〜600ppm)の作業検量線は、0.998以上の相関関係を与える。2000ppmまでから得られた曲線もまた、0.998の相関関係を与える。
【0069】
(精度)
コーヒー試料:
焙煎して挽いたコーヒー試料に、アスパラギン及びアスパラギン酸の両方を4つの濃度(40、200、400、及び600ppm)で添加する。アスパラギンは86%(4%未満の相対標準偏差)で回収され、アスパラギン酸は92%(4%未満の相対標準偏差)で回収される。
【0070】
(参考文献)
1.ハーバート,P.(Herbert,P.);サントス,L(Santos,L);アルベス,A.(Alves,A.)食品科学誌(Journal of Food Science)(2001年)、66(9)、1319〜1325。
2.ヘームス,ダニー(Heems,Dany);ラック,ジュネービュー(Luck,Geneviewe);フラウデュー,クリソフ;(Fraudeau,Chrisophe);ヴェレッテ,エリック(Verette,Eric.)クロマトグラフィー誌(Journal of Chromatography)、A(1998年)、798(1+2)、9〜17。
以下のものは推奨される化学物質及び機器であるが;同等材料置換は受容できる。
【0071】
(化学物質)
【0072】
【表5】

【0073】
(機器)
トランスファーピペット、ポリエチレン(サムコ(Samco)#222)
メスフラスコ(25、100、250、1000mL)
メスピペット(10mL)
メスシリンダー(100〜1000mL)
HPLC容器(500mL、1又は2L)
ビーカー
磁性攪拌器/攪拌棒
化学(4桁)天秤
シンチレーションバイアル瓶
遠心管、スクリューキャップ(100×16mm)蓋付き
オートサンプラーバイアル瓶(8×30mm、1mL)クリンプキャップ付き
安全性:この方法はドラフトの使用を必要とし、化学物質への暴露を伴う。ドラフトの使用及び化学物質流出についての安全な実行(Safe Practices for Fume Hood Use and Chemical Spills)に目を通してください。
【0074】
【表6】

【0075】
(カラム)
フェノメネックス(Phenomenex)ルナ(Luna)100×4.6mmC−18(2)3μ#00D−4251−EO
【0076】
(試薬の調製)
希釈剤(pH8.3〜8.5;1000mL)。
1.3.0gのホウ酸ナトリウム、3.0gのホウ酸、及び8.0gの重炭酸ナトリウムを乾燥した秤量済みのビーカー中に秤量する。
2.空の800mLのビーカーを磁性攪拌器上に設置する。約500mLのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水及び攪拌棒を添加する。はねをあげずに水を激しく攪拌する。
3.工程1からの試薬を水中に定量的に移し;それらが完全に溶解するまで攪拌する。
4.工程3からの溶液を1Lのメスフラスコに定量的に移し、ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により体積まで希釈し、よく混合する。6ヶ月まで安定である。
【0077】
塩化カルシウム溶液(100g)
1.40gの塩化カルシウム二水和物を秤量済みの250mLビーカー中に秤量する。
2.60gのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水を添加する。よく混合する。周囲条件で蓋付きガラス瓶中に保存する。1年まで安定である。
【0078】
抽出溶媒(ペンタン:エチルアセテート 80:20;500mL)
安全性:ペンタン及びエチルアセテートは揮発性及び可燃性である。次の操作をドラフト中で実行する。
1.400mLのペンタンを500mLのHPLC容器瓶に移す。
2.100mLのエチルアセテートを添加する。よく混合する。蓋をしてドラフト中/下に保存する。
【0079】
移動相(緩衝剤:メタノール:アセトニトリル 60:5:35、pH3.2、2L)
1.1.35gのテトラメチルアンモニウムクロライド、3.65gのクエン酸、及び1.60gのクエン酸ナトリウムを乾燥した秤量済みのビーカー中に秤量する。
2.空の800mLのビーカーを磁性攪拌器上に設置する。約500mLのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水及び攪拌棒を添加する。はねをあげずに水を激しく攪拌する。
3.工程1からの試薬を水中に定量的に移し;それらが完全に溶解するまで攪拌する。
4.工程3からの溶液を1Lのメスシリンダーに定量的に移し、ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により1000mlまで希釈し;よく混合する。
5.2LのHPLCの移動相容器に移す。
6.200mLミリ−Q(Milli-Q)(商標)水、100mLメタノール、及び700mLアセトニトリルを添加する。後の2溶媒を激しく攪拌しながらゆっくりと添加する。この操作をドラフト中で実行し、個人用保護機器を装着する。具体的詳細については付随する製品安全データシート(Material Safety Data Sheets)(MSDS)を参照のこと。
7.移動相を真空吸引により攪拌しながら脱気する。
【0080】
FMOC試薬溶液(アセトン中)
1.0.10gのFMOC試薬を秤量済みの100mLメスフラスコ中に秤量する。
2.アセトンを添加して溶解し、同じものにより体積まで希釈する。よく混合する。この操作をドラフト中で実行する。化学物質についてのMSDS中で指定されたPPE(個人用保護機器)を装着する。
3.6ヶ月以下の間冷蔵保存する。
【0081】
試料抽出のための酸溶液(5%HCl)
1.100mLのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水を200mLのメスフラスコ中に添加する。
2.4mLの1NのHClをメスフラスコに添加する。
ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により体積にする。
【0082】
(内部標準(アミノイソ酪酸)の調製)
ISTD A−内部標準原液A
1.0.5gのアミノイソ酪酸を秤量済みの250mLのメスフラスコ中に秤量する。
2.25mLの1.0NのHCl及び約100mLのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水を添加する。回転することにより、溶解するまで混合する。
ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により体積まで希釈し、よく混合する。6ヶ月以下の間冷蔵保存する。
【0083】
ISTD B−作業内部標準溶液B(この溶液は較正標準に添加される)
1.1mLの内部標準原液Aを100mLのメスフラスコ中にピペットで取る。
2.ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により体積まで希釈する。1ヶ月の間安定である。
【0084】
(較正標準の調製)
較正原液
秤量済みの50mlのメスフラスコ中に、0.100g(+/−0.001g)アスパラギン及び0.100g(+/−0.001g)アスパラギン酸を秤量する。25mLのミリ−Q(Milli-Q)(商標)水、及び1mLの1NのHClを添加する。音波浴中に溶解するまで設置し、次にミリ−Q(Milli-Q)(商標)H2Oにより体積までにする。溶液は6ヶ月間冷蔵において良好である。
【0085】
作業標準
次の作業較正標準を調製する:
【0086】
【表7】

溶液は1ヶ月間冷蔵において良好である。
【0087】
(試料の調製)
1.6gの挽いたコーヒー*を125mLの三角フラスコ中に秤量する。
2.48.0mLの5%HCl溶液を各試料に添加する。
3.2mLのISTD Aを各試料に添加する。
4.アルミニウムホイルで各フラスコを覆い、60Cの水浴中に30分間設置する。
5.10mLのジクロロエタンを各試料に添加する。
6.試料を60秒間均質化する。
7.試料の一部分を30mLの遠心管中に注ぐ。
8.1047rad/s(10000rpm)で32分間5Cで遠心分離する。上清を「試料−希釈」工程1で用いる。
*コーヒー試料を細かく挽いていない場合には、秤量前に小型フードプロセッサーで挽くこと。試料の水分が多い場合には、挽いている間にドライアイスの数片を添加すること。
【0088】
(標準及び試料の調製)
試料/標準を希釈し、内部標準を添加し、FMOC誘導体を形成するために3つのマイクロラボ(Microlab)方法を実行する。これらを以下に要約する。
【0089】
【表8】

【0090】
(マイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)ロボット(ROBOT)を用いる試料及び標準の調製)
工程1:(標準−ISTDの添加と希釈工程)
1.各標準について2組の管を準備する。およそ2mLの標準を1組の管の中に設置し、これらの充填された管をマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最左端の位置に設置する。
2.空の管を有するラックをマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最右端のラック位置に設置する。
3.20mLのガラス製(シンチレーション)バイアル瓶を作業内部標準溶液Bにより充填し、マイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の作業空間に設置する。
4.ADDISTD方法を選択する。(200μLのISTD B、50μLの標準溶液を、ミリ−Q(Milli-Q)(商標)水により、総体積4000μLに混合する)。
5.方法を実行する。
6.管の組を左の位置から取り出し、廃棄のため脇に置く。
7.作業内部標準溶液をマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)作業空間から取り出し、冷蔵する。
工程3のために右側の管を脇に置く。
【0091】
工程2:(試料−希釈工程(ISTDを、試料調製中に既に添加した))
1.各試料について2組の管を準備する。およそ2mLの試料を1組の管の中に設置し、これらの充填された管をマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最左端の位置に設置する。
2.空の管を有するラックをマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最右端のラック位置に設置する。
3.TRANSDIL方法を選択する。(試料番号、試料の量には50μL、及びミリ−Q(Milli-Q)(商標)水による最終希釈量には4000μLを設定する)。
4.本方法を実行する。
5.管の組を左の位置から取り出し、廃棄のため脇に置く。
工程3のために右側の管を脇に置く。
【0092】
工程3:(FMOC試薬の添加−蛍光性誘導体の製造)
1.100×16mmスクリューキャップ管のラックを準備する。
2.ラックをマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最右端のラック位置に設置する。
3.上記の希釈工程からの標準及び試料の管を、マイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の最左端のラック位置に設置する。
4.FMOC試薬溶液のアリコート(22mL)をガラス製シンチレーションバイアル瓶に移す。およそ100μLの40%塩化カルシウム溶液を添加し;よく混合する。(塩化カルシウムは、FMOC試薬に、マイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)による検出のために必要な「帯電」させるために添加される)。
5.バイアル瓶をマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)の作業空間上に設置する。
6.ADDFMOC方法を選択する。
7.注射器1及び2を水から希釈剤(pH8.3〜8.5)に切り替える。
8.希釈剤(pH8.3〜8.5)を用いる注射器1及び2について少なくとも5サイクルの洗浄を実行する。
9.ADDFMOC方法を実行する。(450μLのFMOC溶液、上記のADDISTDからの250μL試料を、希釈溶液により、最終体積1300μLに混合する)。
10.管の組を試料(SAMPLE)ラック位置から取り出し、脇に置く。
11.FMOC試薬溶液をマイクロラボ(MICROLAB)(登録商標)作業空間から取り出し、冷蔵する。
13.管の組を最右端位置から取り出し、ドラフト中に設置する。少なくとも10分間、又は溶液が澄むまで(しかし20分以下)放置する。
14.2mLの抽出溶媒を各管に添加する。蓋をし、高速で2分間攪拌して、未反応のFMOC試薬を抽出する。
15.55×16mm管の別の管の組を準備する。1mLの移動相溶液を各管に添加する。
16.1.0mLの水性(下部)層を遠心管から55×16mm管に移す。
17.上部(有機)層を廃棄する。
18.試料をオートサンプラーバイアル瓶に移し、密封する。
【0093】
(クロマトグラフィー)
操作条件
ケミ・ステーション(Chem Station)ソフトウェアを有するHP1100
検出器 :ウォーターズ474走査蛍光検出器(Waters 474 Scanning Fluorescence detector)
モデル :Norm
信号 :0.0000
波長 :Ex260
Em313
Gain :10
Atten :1
Response:FST
カラム:フェノメックス(Phenomex)ルナ(Luna)C18(2)100×4.6mm3μ
【0094】
(LC方法)
流速 :1.000ml/分
定組成の運転(Isocratic run)(試薬−移動相の調製を参照のこと)
注入体積:10.0μL
温度設定:非制御
【0095】
(計算)
試料溶液は、既知量の標準曲線に対して面積計算を用いて計算される:
y=mx+b
y(アスパラギン/ISTDの比)=m(傾き)×(アスパラギン濃度)+b(y切片)
(y−b)/m=x
アスパラギンのppm=アスパラギンの面積(area aspargine)/ISTDの面積−切片)/傾き
[ppm=μg/mL]
例:
アスパラギンのppm=(215.45436/551.828−0.0165)/0.0023=176.93ppm
試料調製工程における希釈/均質化の補正。
【0096】
【数1】

[ppm=μg/mL]
例:
【0097】
【数2】

【0098】
(運転許容基準):
・作業標準物質(Working Reference Material)の点検用試料の精度は、アスパラギンの既知の結果の10%以内でなくてはならない。
・検量線の線形性(r2)は、0.995以上でなければならない。
【0099】
(LC分析の見本のクロマトグラム)
図3は、LC分析の見本のクロマトグラムを示す。
【0100】
【表9】

【0101】
3.(アクリルアミドの%減少)
アクリルアミドの%減少=[(対照試料中のアクリルアミド濃度−酵素処理試料中のアクリルアミド濃度)/対照試料中のアクリルアミド濃度]×100
対照試料は、当該技術分野において既知のような従来の方式で調製される。対照試料及び酵素処理試料の両方は、同じ方式で、ほぼ同じハンター(Hunter)L色に焙煎される。
【0102】
4.(アスパラギンの%減少)
アスパラギンの%減少=[(対照試料中のアスパラギン濃度−酵素処理試料中のアスパラギン濃度)/対照試料中のアスパラギン濃度]×100
対照試料は、当該技術分野において既知のような従来の方式で調製される。焙煎される場合、対照試料及び酵素処理試料の両方は、同じ方式で、ほぼ同じハンター(Hunter)L色に焙煎される。
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、本発明を説明するものであって、本発明を制限しようとするものではない。
【0104】
(実施例1−酵素溶液吸収)
600gの蒸留水中に溶解した、1,000単位のアスパラギナーゼ、及び0.1%(コーヒー重量の)セルラーゼよりなる酵素溶液を配合する。1200gの洗浄した、グアテマラからのアラビカのグリーンコーヒー豆を3Lの丸底フラスコ中に設置し、これを次に35℃に設定された水浴と共にロータリーエバポレーター上に設置する。回転するフラスコ上で5分間63.5cm(25インチ)の真空を引き、次にコーヒー豆の表面を濡らすのに十分な酵素溶液をフラスコに添加する。真空を次に解除する。更に2回、真空を系に約10秒間適用して次いで解除する。次にコーヒー豆のフラスコを、大気圧で豆の表面上の全酵素溶液が吸収されるまで回転させたままにする。このプロセスを、600gの酵素溶液がコーヒーに添加されるまで繰り返す。
【0105】
コーヒーを次に圧力容器に移し、551kPa(80psi)の圧力を窒素ガスを用いて適用する。濡れたコーヒーを圧力下で2時間保持し、1時間及び2時間で試料を取り出す。酵素をマイクロ波加熱により非活性化する。次に試料を50〜60℃で乾燥させ、約17Lの焙煎色に焙煎する。任意選択的に、次に試料を挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0106】
【表10】

*アスパラギン値は、0%水分基準において報告される。
【0107】
アスパラギン及びアクリルアミドの%減少の計算のために、アスパラギナーゼ溶液により処理されていないコーヒー豆についてのアスパラギン及びアクリルアミド値が測定される。アスパラギン値は661ppm(0%水分基準)であり、アクリルアミド値は397ppbである。アスパラギン及びアクリルアミドの両方の%減少は、以下の表に示される。
【0108】
【表11】

【0109】
(実施例2−主浴(Dominant Bath))
洗浄したアラビカのグリーンコーヒー豆(試料#1、グリーン)を、大気圧蒸気を用いて水分約25%に湿潤する。次にコーヒー豆を、蒸気に当てられたコーヒー豆と水との比で約1:4の水中に、約30分間穏やかに攪拌しながら浸漬する。抽出されたコーヒー豆を取り出し、抽出物を次に、予備湿潤したコーヒー豆の別のバッチを浸漬するために用いる。このプロセスを、約1:4〜約1:1のコーヒー豆と抽出物との比で、抽出物中に含有される固形物が一定濃度を達成するまで繰り返す。
【0110】
この抽出物は、予備湿潤したグリーンコーヒー豆の新しいバッチを、270gの予備湿潤したコーヒーと504gの抽出物との比で20分間、穏やかに攪拌しながら浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離し(この抽出物は試料#2である)、乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#3グリーンである)、及び焙煎する(これらの乾燥及び焙煎した豆は試料#3焙煎である)。次に焙煎したコーヒー豆を任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0111】
300単位のアスパラギナーゼを350gの抽出物に添加し、1時間放置して、アスパラギナーゼがアスパラギンをアスパラギン酸に変換するのを可能にする(酵素処理抽出物は試料#4である)。抽出物は次に、予備湿潤したアラビカのグリーンコーヒー豆の別の新しいバッチを、約0.8:1のコーヒー豆と抽出物との比で1時間、浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離し、酵素を非活性化し、豆を乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#5グリーンである)、及び焙煎する(これらの乾燥及び焙煎した豆は試料#5焙煎である)。豆を約17Lの焙煎色に焙煎する。次に焙煎したコーヒー豆を任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。試料#1、グリーンのアリコートを焙煎して、試料#1、焙煎を形成する。
【0112】
酵素処理した抽出物中に浸漬したコーヒー豆の分析的測定は、アスパラギン及びアクリルアミドの次の濃度を示す:
【0113】
【表12】

*アスパラギン値は、0%水分基準において報告される。
**該当なし
【0114】
コーヒー豆及び抽出物についてのアスパラギン及びアクリルアミドの両方の%減少が以下の表に示される。
【0115】
【表13】

*該当なし
【0116】
(実施例3−非活性化酵素を有する主浴(Dominant Bath))
洗浄したアラビカのグリーンコーヒー豆(試料#1、グリーン)を、大気圧蒸気を用いて水分約25%に湿潤する。次にコーヒー豆を、蒸気に当てられたコーヒー豆と水との比で約1:4の水中に、約30分間穏やかに攪拌しながら浸漬する。抽出されたコーヒー豆を取り出し、抽出物を次に、予備湿潤したコーヒー豆の別のバッチを浸漬するために用いる。このプロセスを、約1:4〜約1:1のコーヒー豆と抽出物との比で、抽出物中に含有される固形物が一定濃度を達成するまで繰り返す。
【0117】
この抽出物は、予備湿潤したグリーンコーヒー豆の新しいバッチを、270gの予備湿潤したコーヒーと504gの抽出物との比で20分間、穏やかに攪拌しながら浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離し(この抽出物は試料#2である)、乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#3グリーンである)、及び焙煎する。次に焙煎したコーヒー豆を任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0118】
300単位のアスパラギナーゼを350gの抽出物に添加し、1時間放置して、アスパラギナーゼがアスパラギンをアスパラギン酸に変換するのを可能にする。酵素処理した抽出物を次に非活性化する(酵素処理し、非活性化した抽出物は試料#4である)。抽出物は次に、約0.8:1のコーヒー豆と抽出物との比で、更なる予備湿潤したアラビカのグリーンコーヒー豆を1時間浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離する。豆を乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#5グリーンである)、及び焙煎する。焙煎したコーヒー豆を次に任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0119】
酵素処理した抽出物中に浸漬したコーヒー豆の分析的測定は、アスパラギンの次の濃度を示す:
【0120】
【表14】

【0121】
コーヒー豆及び抽出物についてのアスパラギンの%減少が以下の表に示される。
【0122】
【表15】

酵素処理して焙煎したコーヒー豆、焙煎して挽いたコーヒー、及びそれから調製して入れたコーヒー中のアクリルアミドの濃度は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%減少する。
【0123】
(実施例4−固定化された酵素を有する主浴(Dominant Bath))
洗浄したアラビカのグリーンコーヒー豆(試料#1、グリーン)を、大気圧蒸気を用いて水分約25%に湿潤する。次にコーヒー豆を、蒸気に当てられたコーヒー豆と水との比で約1:4の水中に、約30分間穏やかに攪拌しながら浸漬する。抽出されたコーヒー豆を取り出し、抽出物を次に、予備湿潤したコーヒー豆の別のバッチを浸漬するために用いる。このプロセスを、約1:4〜約1:1のコーヒー豆と抽出物の比で、抽出物中に含有される固形物が一定濃度を達成するまで繰り返す。
【0124】
この抽出物は、予備湿潤したグリーンコーヒー豆の新しいバッチを、270gの予備湿潤したコーヒーと504gの抽出物との比で20分間、穏やかに攪拌しながら浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離し(この抽出物は試料#2である)、乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#3グリーンである)、及び焙煎する(これらの乾燥及び焙煎した豆は試料#3焙煎である)。次に焙煎したコーヒー豆を任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。
【0125】
抽出物は固定化されたアスパラギナーゼと接触する(この酵素処理した抽出物は試料#4である)。抽出物は次に、約0.8:1のコーヒー豆と抽出物との比で、更なる予備湿潤したアラビカのグリーンコーヒー豆を1時間浸漬するために用いられる。コーヒー豆を抽出物から分離し、次に豆を乾燥させ(これらの乾燥した豆は試料#5グリーンである)、及び焙煎する(これらの乾燥及び焙煎した豆は試料#5焙煎である)。次に焙煎したコーヒー豆を任意選択的に挽いて、焙煎して挽いたコーヒーを形成する。試料#1、グリーンのアリコートを焙煎して、試料#1、焙煎を形成する。酵素処理して焙煎したコーヒー豆、焙煎して挽いたコーヒー、及びそれから調製して入れたコーヒー中のアクリルアミドの濃度は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%減少する。
【0126】
(実施例5−カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒー)
乾燥して酵素処理した(圧力2時間)実施例1からのグリーンアラビカコーヒー豆が、焙煎前に採取され、カフェインを抜くプロセスに付された。米国特許第4,474,821号(モリソン・ジュニア(Morrison,Jr.)ら)に概説されるようなカフェインを抜くプロセスにしたがって、豆の中のもとのカフェイン濃度の97%が抽出される点まで、豆のカフェインを抜く。豆を次に焙煎し及び挽いて、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%のアクリルアミドが減少する、カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒーを製造する。
【0127】
(実施例6−カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒー)
実施例2のグリーンアラビカコーヒー豆、試料#5が、焙煎前に採取され、カフェインを抜くプロセスに付された。米国特許第4,474,821号(モリソン・ジュニア(Morrison,Jr.)ら)に概説されるようなカフェインを抜くプロセスにしたがって、豆の中のもとのカフェイン濃度の97%が抽出される点まで、豆のカフェインを抜く。豆を次に焙煎し及び挽いて、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%のアクリルアミドが減少する、カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒーを製造する。
【0128】
(実施例7−カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒー)
米国特許第4,474,821号(モリソン・ジュニア(Morrison,Jr.)ら)のカフェインを抜くプロセスにしたがって、豆の中のもとのカフェイン濃度の97%が抽出される点まで、グリーンアラビカコーヒー豆のカフェインを抜く。カフェイン抜きの豆は次に、上記の実施例1に概説したプロセスに付された。結果として得られる製品は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%のアクリルアミドが減少する、カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒーである。
【0129】
(実施例8−カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒー)
米国特許第4,474,821号(モリソン・ジュニア(Morrison,Jr.)ら)のカフェインを抜くプロセスにしたがって、豆の中のもとのカフェイン濃度の97%が抽出される点まで、グリーンアラビカコーヒー豆のカフェインを抜く。カフェイン抜きの豆は次に、上記の実施例2に概説したプロセスに付された。結果として得られる製品は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%のアクリルアミドが減少する、カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒーである。
【0130】
(実施例9−カフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒー)
カフェイン含有グリーンコーヒー豆が、当該技術分野において既知のように(例えば米国特許第3,989,850号(エルブ(Erb)ら)に示されるもの)、コーヒー可溶物の水溶液と共に同時に抽出されるプロセスにより、コーヒー豆のカフェインを抜くが、ただしこの水溶液は上記の実施例2のように溶液中にアスパラギナーゼも含むことが既知のプロセスと異なる。抽出領域から取り出されたカフェイン抜きのコーヒーを処理して、表面上に含有される表面固形物を取り除き、次いで乾燥させ、次いで焙煎してカフェイン抜きの焙煎して挽いたコーヒーを形成する。酵素処理して焙煎したコーヒー豆、焙煎して挽いたコーヒー、及びそれから調製して入れたコーヒー中のアクリルアミドの濃度は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%減少する。
【0131】
(実施例10−インスタントコーヒー製品)
上記の実施例1〜9のいずれかから製造した、アクリルアミドの減少した焙煎して挽いたコーヒーは、直列の抽出カラムにより温度177℃(350°F)及び圧力8バール(827kPa(120psi))で、加熱した水による向流抽出を受け、20%固形物の濃縮コーヒー抽出物を生成する。抽出物はその芳香性構成成分を取り去られ、次いで60%の濃度に濃縮される。芳香物を濃縮し、次いで濃縮抽出物と再結合し、及び全体の流れを噴霧乾燥機に供給し、そこで液体を121℃(250°F)で加熱空気の向流中に噴霧する。最終の乾燥製品は、従来の加工製品より少なくとも約10%少ないアクリルアミドを有する、可溶性又はインスタントコーヒーの形態である。
【0132】
(実施例11−すぐ飲める甘くしたカプチーノ製品)
上記の実施例1〜9のいずれかから製造した、アクリルアミドの減少した焙煎して挽いたコーヒーは、水性抽出に付され、7.5%固形物を含有するコーヒー濃縮物を生成する。次にこの濃縮物を次の処方(重量基準)に用いて、すぐ飲めるコーヒー製品を製造する。
水 50%
2%低脂肪乳 35%
フルクトース 7%
バニラ粉末 2%
本発明のコーヒー濃縮物 6%
これらの成分を均一に混合し、超高温(UHT)のプロセス条件に付して製品を殺菌し、次いで無菌で個々の包装容器中に充填する。このすぐ飲めるコーヒー飲料は、従来の加工製品と比べて少なくとも約10%アクリルアミドが少ない。
【0133】
(実施例12−インスタントコーヒー飲料)
実施例10で製造されたインスタントコーヒーを次の処方(重量基準)に用いて、カフェ・ラテ型飲料を製造するために用いるインスタントクリーミーコーヒー粉末を製造する。
実施例10のインスタントコーヒー 16%
起泡性クリーム* 50%
スクロース 33.5%
香味 0.5%
(*起泡性クリームは68%脱脂乳、30%ココヤシ油、1%二酸化ケイ素流動剤、及び溶解中のタンパク質構造の安定化のための1%オルトリン酸二水素ナトリウムである。)
【0134】
組成物を、粒子状乾燥成分のそれぞれをミキサー中に秤量し、パドルミキサー中で均一になるまで乾式混合することにより調製する。結果として得られる生成物は、熱水の添加によりカフェ・ラテを調製するために用い得る乾燥したインスタントミックスである。これにより調製される乾燥したインスタントミックス及び飲料は、従来の加工製品より少なくとも約10%アクリルアミドが少ない。
【0135】
(実施例13−液体コーヒー濃縮物)
上記の実施例1〜9のいずれかから製造した、アクリルアミドの減少した焙煎して挽いたコーヒーは、温度82℃(180°F)及び圧力6バール(620kPa(90psi))で、バッチ抽出容器中の加熱した水による水性抽出を受け、4.5%固形物の濃縮コーヒー抽出物を生成する。この抽出物を次に冷凍し、熱水を加えて戻して0.7%の固形物を有する最終のコーヒー飲料を製造する。これにより調製された抽出物及び最終コーヒー飲料は、従来の加工製品より少なくとも約10%アクリルアミドが少ない。
【0136】
(実施例14−商品)
上記の実施例1〜9のいずれかから製造した、アクリルアミドの減少した焙煎して挽いたコーヒーを消費者に販売するために缶の中に包装する。缶の上に「アクリルアミドを含まない製品!」と記載するメッセージを印刷する。
【0137】
(実施例15−商品)
上記の実施例1〜9のいずれかによる、酵素により処理されたグリーンコーヒー豆を円筒形容器に包装する。円筒形容器に「低アスパラギン」というラベルを貼る。
【0138】
(実施例16−商品)
実施例11のすぐ飲める甘くしたカプチーノ製品を消費者に販売するために瓶の中に包装する。瓶のラベル上に「90%を超えるアクリルアミドの減少!」と記載する。製品のテレビコマーシャルでは、「アクリルアミド減少製品」というメッセージを伝える。
【0139】
(実施例17−商品)
実施例1〜9のいずれかの焙煎して挽いたコーヒーから製造され入れたコーヒーを、カップに入れて消費者に販売する。入れたコーヒーが販売される小売店内部に掲示された標示には、「アクリルアミドを含まないコーヒーだけを販売します」というメッセージを伝える。
【0140】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の種々の変更及び修正が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】アクリルアミドがアスパラギン及びカルボニル供給源(例えばグルコース)から形成する提案された反応機構。R1及びR2は=H、CH3、CH2OH、CH2(CH2nCH3、又は還元糖を構成するいずれかのその他の構成成分であることができ;nは10未満のいずれかの整数。
【図2】アクリルアミドの形成を防ぐために、アスパラギナーゼがアスパラギンと反応する提案された反応機構。
【図3】アスパラギン及びアスパラギン酸のLC分析についての見本のクロマトグラム。x軸は保持時間を表し、y軸は応答を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を減少させる工程を含む、焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を減少させる方法。
【請求項2】
アスパラギン還元酵素をコーヒー豆に添加する工程を含み、好ましくは、前記アスパラギン還元酵素がアスパラギナーゼを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アスパラギン還元酵素が、遊離アスパラギンのアミド基を加水分解することができる酵素である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(1)アスパラギンを含有するコーヒー豆を提供する工程;
(2)任意選択的に、該コーヒー豆を前処理する工程;
(3)アスパラギン還元酵素を該コーヒー豆に添加する工程;
(4)該酵素が該アスパラギンと反応するために十分な時間を与える工程;
(5)任意選択的に、該酵素を非活性化又は除去する工程;及び
(6)該コーヒー豆を焙煎して、焙煎したコーヒー豆を形成する工程
を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コーヒー豆中のアスパラギンの濃度を、10%〜100%、好ましくは30%〜100%、より好ましくは50%〜100%、更により好ましくは70%〜100%、最も好ましくは90%〜100%減少させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
500ppm未満のアスパラギン、好ましくは300ppm未満のアスパラギン、より好ましくは200ppm未満のアスパラギン、最も好ましくは100ppm未満のアスパラギンを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーヒー豆。
【請求項7】
前記焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度を、10%〜100%、好ましくは30%〜100%、より好ましくは50%〜100%、更により好ましくは70%〜100%、最も好ましくは90%〜100%減少させる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の焙煎したコーヒー豆。
【請求項8】
前記焙煎したコーヒー豆中のアクリルアミドの濃度が、0〜160ppb、好ましくは0〜150ppb、より好ましくは0〜100ppb、更により好ましくは0〜50ppb、なおより好ましくは0〜20ppb、最も好ましくは0〜10ppbである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の焙煎したコーヒー豆。
【請求項9】
前記製品中のアクリルアミドの濃度を、10%〜100%、好ましくは30%〜100%、より好ましくは50%〜100%、更により好ましくは70%〜100%、最も好ましくは90%〜100%減少させる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の焙煎したコーヒー豆を含む製品。
【請求項10】
(a)請求項1〜9のいずれか一項に記載の焙煎したコーヒー豆を含む製品であって、前記焙煎したコーヒー豆が、アクリルアミドの減少した濃度を有する製品と;
(b)該製品を収容するための容器と;
(c)該容器に付随するメッセージとを含み、
該容器に付随する前記メッセージが、消費者に、該製品がアクリルアミドの減少した濃度を有することを知らせる商品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−503592(P2006−503592A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501703(P2005−501703)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/034154
【国際公開番号】WO2004/037007
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】