説明

無効電力補償装置

【課題】複数台のSVCが互いに近距離に配置された場合において、簡素な構成で複数台のSVCを協調して制御することができるとともに、定常時のSVCの出力を抑制して電力系統の擾乱時の電圧変動に対応することができる無効電力補償装置を提供すること。
【解決手段】母線7にはSVC1が接続され、SVC制御部4はSVC1を制御する。変動分電圧生成部41は、電圧基準値を出力する電圧基準回路141を備える。母線14にはSVC2が接続され、SVC制御部3はSVC2を制御する。変動分電圧生成部31は、所定の時間遅れ特性で追随し所定の範囲内に制限された比較電圧を生成するリミッタ付き1次遅れ制御ブロック131を備える。SVC1のスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1をSVC2のスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2よりも小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の電圧変動を抑えるために無効電力を補償する静止型無効電力補償装置を備えた無効電力補償装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の電圧を安定化するための制御方式の一つとして無効電力補償装置が使用されている。無効電力補償装置は、電力系統の電圧変動に対して無効電力を補償する静止型無効電力補償装置(Static Var Compensator:SVC)と、SVCの出力する無効電力を制御する無効電力制御装置とを備えている。
【0003】
また、無効電力補償装置は、SVCと並列に電力系統に接続された調相設備を備える場合がある。ここで、調相設備は、進相コンデンサ(Static Capacitor:SC)もしくは分路リアクトル(Shunt Reactor:ShR)またはその双方からなり、遮断器を介して電力系統に投入または解列することにより無効電力を補償することができる。
【0004】
SVCは、半導体素子によるスイッチを制御して進みまたは遅れの無効電力を発生するものであり、瞬時に連続的に無効電力を制御できる。他方、調相設備は、遮断器を介して電力系統に接続されるため、遮断器の入切の操作により不連続に無効電力を制限するが、SVCのみで運用した場合よりも無効電力の調整範囲を広くすることができる。
【0005】
従来、無効電力補償装置では、急激な電圧変動を想定した制御が行われておらず、定常時にSVCがその容量の大半に相当する無効電力を発生した状態で運転されていることが多い。そのため、SVCがその容量の大半に相当する無効電力を発生した状態で電力系統の擾乱時に急激な電圧変動が発生すると、SVCは電圧変動を抑えるために必要な無効電力を十分に発生できず、電圧変動を抑制できない場合がある。そこで、例えば特許文献1の無効電力補償装置では、調相設備に無効電力を分担するなど、定常運転時におけるSVCの出力する無効電力をゼロ付近に制御し、電力系統の擾乱の発生に対応した制御を行っている。
【0006】
また、特許文献2では、2台のSVCが互いに近接して配置されている場合に、一方のSVCの電流偏差を演算し、この演算結果を他方のSVC制御装置に入力して他方のSVCの出力を補正することで、それぞれのSVCの動作を協調させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−40733号公報
【特許文献2】特開平04−333112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の無効電力補償装置では、例えば2台のSVCを近接配置した場合、電力系統の電圧変動に対してそれぞれのSVCが速応的に電圧変動を抑制するため、それぞれのSVCが適正な無効電力を出力することができないことがあり、さらに調相設備が設けられている場合には、進相コンデンサまたは分路リアクトルの不要な投入または解列が発生することがあるなどの問題点があった。
【0009】
また、その対策の一例として、特許文献2では、一方のSVCの電流偏差を演算して、この演算結果を他方のSVC制御装置に入力してその出力を補正する制御を行うことで、2台のSVCのそれぞれの動作をバランスさせているが、このような制御方法ではSVCおよびSVC制御装置とは別に電流偏差を演算する機能を有する制御部を設ける必要があり、構成が複雑になっていた。
【0010】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、複数台のSVCが互いに近距離に配置された場合において、遠隔制御などを必要とせず、簡素な構成で複数台のSVCを協調して制御することができるとともに、定常時のSVCの出力を抑制して電力系統の擾乱時の電圧変動に対応することができる無効電力補償装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無効電力補償装置は、第1の母線に接続され当該第1の母線の電圧変動に応じて無効電力を発生する第1の静止型無効電力補償装置と、この第1の静止型無効電力補償装置の出力を制御する第1の無効電力制御装置と、前記第1の母線と送電線を介して接続された第2の母線に接続され当該第2の母線の電圧変動に応じて無効電力を発生する第2の静止型無効電力補償装置と、この第2の静止型無効電力補償装置の出力を制御する第2の無効電力制御装置と、を備えた無効電力補償装置であって、前記第1の無効電力制御装置は、前記第1の母線の母線電圧と所定の基準電圧との差分を出力する第1の変動分電圧生成部と、前記第1の母線の母線電圧の変化に対する前記第1の静止型無効電力補償装置の出力変化を決定する第1のスロープリアクタンスのインピーダンス値と前記第1の静止型無効電力補償装置に流れる電流値との積を前記第1の変動分電圧生成部の出力から差し引いた差分に基づき、前記第1の静止型無効電力補償装置に出力させる無効電力を演算する第1の無効電力制御部と、を備え、前記第2の無効電力制御装置は、前記第1の母線の母線電圧に対して所定の時間遅れ特性で追随して所定の範囲内に制限された比較電圧を生成するとともに当該比較電圧と当該母線電圧との差分を出力する第2の変動分電圧生成部と、前記第2の母線の母線電圧の変化に対する前記第2の静止型無効電力補償装置の出力変化を決定しかつ前記第1のスロープリアクタンスのインピーダンス値よりも大きな値である第2のスロープリアクタンスのインピーダンス値と前記第2の静止型無効電力補償装置に流れる電流値との積を前記第2の変動分電圧生成部の出力から差し引いた差分に基づき、前記第2の静止型無効電力補償装置に出力させる無効電力を演算する第2の無効電力制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、第1および第2の静止型無効電力補償装置が互いに近距離に配置された場合において、簡素な構成で第1および第2の静止型無効電力補償装置を協調して制御することができるとともに、定常時の第1および第2の静止型無効電力補償装置の各出力を抑制して電力系統の擾乱時の電圧変動に対応することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施の形態1に係る無効電力補償装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施の形態の無効電力補償装置における母線電圧とSVCが発生する無効電力との関係を示す特性図である。
【図3】図3は、従来の無効電力補償装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、従来の無効電力補償装置における母線電圧とSVCが発生する無効電力との関係を示す特性図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係る無効電力補償装置の別の構成例を示すブロック図である。
【図6】図6は、実施の形態2に係る無効電力補償装置の別の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る無効電力補償装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る無効電力補償装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の無効電力補償装置は、上位系統の母線である母線7(第1の母線)に遮断器9を介して接続される静止型無効電力補償装置(SVC)1(第1の静止型無効電力補償装置)と、母線7に接続されて母線7の電圧を計測する計器用変圧器(PT:Potential Transformer)8と、遮断器9とSVC1との間に挿入されてSVC1に流れる電流を計測する計器用変流器(CT:Current Transformer)10と、PT8の検出する電圧V1およびCT10の検出する電流I1を取り込み、SVC1を通じて母線7の電圧を制御するSVC制御部4(第1の無効電力制御装置)と、母線7に接続された調相設備6と、電圧V1および電流I1に基づいて調相設備6の投入または解列を制御する協調制御部5とを備えている。
【0016】
さらに、本実施の形態の無効電力補償装置は、下位系統の母線である母線14(第2の母線)に遮断器15を介して接続された静止型無効電力補償装置(SVC)2(第2の静止型無効電力補償装置)と、母線14に接続されて母線14の電圧を計測する計器用変圧器(PT:Potential Transformer)17と、遮断器15とSVC2との間に挿入されてSVC2に流れる電流を計測する計器用変流器(CT:Current Transformer)16と、PT17の検出する電圧V2およびCT16の検出する電流I2を取り込み、SVC2を通じて母線14の電圧を制御するSVC制御部3(第2の無効電力制御装置)とを備えている。
【0017】
SVC1,2は、電圧階級の異なる静止型無効電力補償装置であり、上述のように、SVC1は上位系統に、SVC2は下位系統に接続されている。また、SVC1と調相設備6は母線7に並列に接続されており、その他、図示しない負荷が母線7に接続されている。同様に、SVC2と負荷が母線14に並列に接続されている。SVC2は、例えばSVC1と近傍位置に配置されているとする。すなわち、SVC1とSVC2は互いに近距離に設置されているとする。これは、例えばSVC1,2が同一の変電所内に設置された場合である。本実施の形態は、このようにSVC1,2が互いに近接配置されて、互いに影響を及ぼし得る状況にある場合に効果的に適用できる。なお、正確には、近距離とは電気的に距離が近いことをいい、SVC1とSVC2との間のインピーダンスが小さい場合である。一般に物理的に近距離に配置されていれば電気的にも近距離に配置されることになるが、物理的に距離が離れていても電気的に近距離に配置されることもあり得る。
【0018】
また、SVC1とSVC2の容量および特性は例えば互いに異なる。すなわち、SVC1の容量はSVC2の容量よりも大きく、SVC1はSVC2よりも多くの無効電力を出力することができる。SVC1とSVC2の特性の相違、例えば、スロープ特性の相違等については後述する。
【0019】
また、上位系統の母線7には交流電源20が接続されている。他方、下位系統の母線14は、変圧器11と送電線13を介して上位系統の母線7と接続されている。ここで、変圧器11は、変圧器一次側の電圧である母線7の電圧を変圧器二次側の電圧である母線14の電圧に降下させる。なお、変圧器11と送電線13との間にも母線12が配設されているが、この母線12については実施の形態2で説明する。
【0020】
SVC1は、変圧器1A、スイッチング回路1B、リアクトル1C、およびフィルタ1Dを備えている。このSVC1は、サイリスタ制御リアクトル方式(Thyristor Contro11ed Reactor:TCR)による静止型無効電力補償装置であり、スイッチング回路1Bを構成する各サイリスタをオン/オフ制御することにより、リアクトル1Cで発生する無効電力の大きさを制御する。また、フィルタ1Dは、本来的には、スイッチング回路1Bのスイッチングによって発生するノイズを除去するための手段として挿入されているが、フィルタ1Dはコンデンサを備えており、フィルタ1D自身が進相の無効電力を発生する能力を有しているため、リアクトル1Cとともに無効電力の制御手段として機能する。なお、これらの制御手段に加えて、サイリスタ開閉制御コンデンサ方式(Thyristor Switched Capacitor:TSC)の制御手段を付加する構成としてもよい。
【0021】
SVC制御部4は、電圧センサ40、変動分電圧生成部41、電流センサ47、スロープリアクタンス42、乗算器46、減算器45、無効電力制御部43、およびゲートパルス出力部44を備えている。SVC制御部4は、系統電圧が低下した場合には進相無効電力を、逆に系統電圧が上昇した場合には遅相無効電力を供給するようSVC1を制御する。
【0022】
電圧センサ40は、PT8で計測された母線7における母線電圧の電圧信号(瞬時値)が入力され、この電圧信号を制御対象電圧である電圧信号(実効値)に変換して出力する。
【0023】
電流センサ47は、CT10により計測された瞬時値の電流信号が入力され、この電流信号を実効値に変換して出力する。
【0024】
変動分電圧生成部41(第1の変動分電圧生成部)は、電圧基準回路141と減算器142とを備えて構成される。電圧基準回路141は、電圧基準値を出力する。減算器142は、電圧センサ40の出力である電圧信号と電圧基準回路の出力である電圧基準値の差分値(変動分電圧)を出力する。SVC1の出力する無効電力は、図2に示す特性図に一致するように制御される。
【0025】
スロープリアクタンス42は、SVC1で発生する無効電力の変化に対して電圧信号が所定の割合で変化するというスロープ特性を決定する。乗算器46は、電流センサ47が出力する電流信号とスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1との積を出力する。
【0026】
減算器45は、電流センサ47の出力する電流値とスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1との積を変動分電圧生成部41の出力である変動分電圧から差し引いた差分を出力する。
【0027】
無効電力制御部43(第1の無効電力制御部)は、減算器45の出力が0となるようにSVC1の無効電力出力値を演算し出力する。無効電力制御部43は、無効電力出力値を演算することを通じて母線電圧を制御する。そして、ゲートパルス出力部44は、演算された無効電力値を発生するようにゲートパルス信号を生成してSVC1のスイッチング回路1Bに出力する。SVC1は、このゲートパルス信号に応じて無効電力を発生する。
【0028】
調相設備6は、遮断器62を介して母線7に接続された進相コンデンサ61と、遮断器64を介して母線7に接続された分路リアクトル63とを備えている。進相コンデンサ61と分路リアクトル63は、それぞれSVC1と並列に母線7に接続されている。
【0029】
協調制御部5は、SVC1の出力する無効電力を検出する無効電力検出部51と、検出された無効電力に応じて調相設備6の投入または解列を制御する調相制御部52とを備えている。無効電力検出部51は、PT8の検出する電圧V1およびCT10の検出する電流I1に基づいてSVC1の発生する無効電力(Qsvc)を算出し出力する。調相制御部52は、検出された無効電力が所定の範囲内にあるか否かを判定し、この判定結果に基づいて調相設備6の投入または解列を制御する。すなわち、調相制御部52は、SVC1が発生する無効電力(Qsvc)が所定の範囲から逸脱している場合に、調相設備6の投入または解列の操作を行い、SVC1が発生する無効電力(Qsvc)が所定の範囲に入るように制御する。ここで、所定の範囲とは、QC1<Qsvc<QL1で規定される範囲であり、QC1(<0)は進みの無効電力の所定値を、QL1(>0)は遅れの無効電力の所定値を表している。換言すれば、調相制御部52は、Qsvc>QL1の場合は、調相設備6の分担する遅れ無効電力が大きくなるように制御し、Qsvc<QC1の場合は、調相設備6の分担する進み無効電力が大きくなるように制御する。なお、調相設備6の投入または解列操作は、SVC1による電圧制御が定常状態になった後に行い、SVC1が発生する無効電力を調相設備6に分担させることができる。
【0030】
次に、SVC2は、変圧器2A、スイッチング回路2B、リアクトル2C、およびフィルタ2Dを備えている。このSVC2は、サイリスタ制御リアクトル方式(Thyristor Contro11ed Reactor:TCR)による静止型無効電力補償装置であり、スイッチング回路2Bを構成する各サイリスタをオン/オフ制御することにより、リアクトル2Cで発生する無効電力の大きさを制御する。また、フィルタ2Dは、本来的には、スイッチング回路2Bのスイッチングによって発生するノイズを除去するための手段として挿入されているが、フィルタ2Dはコンデンサを備えており、フィルタ2D自身が進相の無効電力を発生する能力を有しているため、リアクトル2Cとともに無効電力の制御手段として機能する。なお、これらの制御手段に加えて、サイリスタ開閉制御コンデンサ方式(Thyristor Switched Capacitor:TSC)の制御手段を付加する構成としてもよい。
【0031】
SVC制御部3は、電圧センサ30、変動分電圧生成部31、電流センサ37、スロープリアクタンス32、乗算器36、減算器35、無効電力制御部33、およびゲートパルス出力部34を備えている。SVC制御部3は、系統電圧が低下した場合は進相無効電力を、逆に系統電圧が上昇した場合には遅相無効電力を供給するようSVC2を制御する。
【0032】
電圧センサ30は、PT17で計測された母線7における母線電圧の電圧信号(瞬時値)が入力され、この電圧信号を制御対象電圧である電圧信号(実効値)に変換して出力する。
【0033】
電流センサ37は、CT16により計測された瞬時値の電流信号が入力され、この電流信号を実効値に変換して出力する。
【0034】
変動分電圧生成部31(第2の変動分電圧生成部)は、リミッタ付き1次遅れ制御ブロック131と減算器132とを備えて構成される。リミッタ付き1次遅れ制御ブロック131は、電圧センサ30の出力する電圧信号を入力として、所定の時間遅れ特性で追随し所定の範囲内(VL2〜VH2の範囲内)に制限された比較電圧Vcompを生成する。すなわち、リミッタ付き1次遅れ制御ブロック131は、時定数をTrとしたローパスフィルタであり、出力電圧Vcompが予め設定された上限値VH2と下限値VL2との間の値に維持されるようにリミット機能が付加されている。なお、上限値VH2および下限値VL2は、定常時の電圧変動範囲(VL2≦V2≦VH2)の上限値および下限値にそれぞれ対応するよう予め設定されている。減算器132は、リミッタ付き1次遅れ制御ブロック131の出力と電圧センサ40の出力との差分値(変動分電圧)を出力する。
【0035】
スロープリアクタンス32は、SVC2で発生する無効電力の変化に対して電圧信号が所定の割合で変化するというスロープ特性を決定する。乗算器36は、電流センサ37が出力する電流値とスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2との積を出力する。本実施の形態では、XS2>XS1と設定する。すなわち、上位系統のSVC制御部4のスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1は、下位系統のSVC制御部3のスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2よりも小さいとする。これにより、
母線7の電圧変動に対するSVC1の出力無効電力量の変化の割合は、母線14の電圧変動に対するSVC2の出力無効電力量の変化よりも大きくなる。
【0036】
減算器35は、電流センサ37の出力する電流値とスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2との積を変動分電圧生成部31の出力である変動分電圧から差し引いた差分を出力する。
【0037】
無効電力制御部33(第2の無効電力制御部)は、減算器35の出力が0となるようにSVC2の無効電力出力値を演算し出力する。無効電力制御部33は、無効電力出力値を演算することを通じて母線電圧を制御する。そして、ゲートパルス出力部34は、演算された無効電力値を発生するようにゲートパルス信号を生成してSVC2のスイッチング回路2Bに出力する。SVC2は、このゲートパルス信号に応じて無効電力を発生する。
【0038】
次に、本実施の形態の動作について、従来の無効電力補償装置の動作と比較しつつ説明する。ここで、従来の無効電力補償装置の構成を図3に示す。図3に示すように、従来の無効電力補償装置では、本実施の形態と比較して、下位系統に接続されたSVC制御部3の構成要素の一部のみが異なり、具体的には、変動分電圧生成部38の構成が図1の変動分電圧生成部31の構成と異なっている。すなわち、変動分電圧生成部38は、電圧基準回路138と減算器139とを備えている。ここで、変動分電圧生成部38の構成および動作は上位系統に接続されたSVC制御部4の変動分電圧生成部41と同様である。なお、図3において、図1と同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図2は、本実施の形態における母線電圧とSVCが発生する無効電力との関係を示す特性図である。また、図4は、従来の無効電力補償装置における母線電圧とSVCが発生する無効電力との関係を示す特性図である。
【0040】
まず、従来の無効電力補償装置の動作について図4、図3を参照して説明する。図4では、横軸はSVC1またはSVC2が出力する無効電力を表し、進み側を負で、遅れ側を正で表している。縦軸は、母線7または母線14の電圧を表している。なお、この定義は図2でも同様である。
【0041】
特性線L11は、定常時における母線7の電圧とSVC1が発生する無効電力との関係を示すものである。特性線L11において、SVC1の制御範囲はA11−B11間であり、A11またはB11における無効電力量がSVC1の容量を表している。また、C11は、SVC1の動作点の一例を表している。C11では、母線7の電圧はV11であり、SVC1は例えば進みの無効電力を発生する。A11−B11間における特性線L11はスロープ特性と呼ばれ、その傾きはスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS11で決まる。特性線L11が示すように、SVC1の制御範囲内では、母線7の電圧変動に対してSVC1は連続的に無効電力を出力する。
【0042】
特性線L12は、定常時における母線14の電圧とSVC2が発生する無効電力との関係を示すものである。特性線L12において、SVC2の制御範囲はA12−B12間であり、A12またはB12における無効電力量がSVC2の容量を表している。すなわち、SVC2の容量はSVC1の容量よりも小さいことがわかる。また、C12は、SVC2の動作点の一例を表している。C12では、母線14の電圧はV12であり、SVC2は例えば進みの無効電力を発生する。A12−B12間における特性線L12はスロープ特性と呼ばれ、その傾きはスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS12で決まる。この場合、インピーダンス値はXS12=XS11と設定され、SVC2の制御範囲における特性線L12の傾きはSVC1の制御範囲における特性線L11の傾きに等しい。特性線L12が示すように、SVC2の制御範囲内では、母線14の電圧変動に対してSVC2は連続的に無効電力を出力する。
【0043】
また、C11における無効電力はSVC1の容量と比してゼロに近く、定常動作時におけるSVC1の出力する無効電力はゼロ付近にある。すなわち、SVC1は、定常時において、その容量と比較してわずかな無効電力を発生した状態にある。そのため、電力系統に擾乱などが発生し、母線7の電圧が急激に変動する事態が発生したとしても、SVC1は常に動作可能であり、急峻な電圧変動を抑制することができる。なお、図3に示すように、母線7には、調相設備6が接続され、SVC1と調相設備6が協調動作していることから、SVC1が出力する無効電力がその制御範囲から逸脱した場合には、調相設備6の投入又は解列を操作することで、SVC1の出力する無効電力をゼロ付近に設定することができる。よって、SVC1は、再び例えばC11で動作することとなる。
【0044】
他方、C12はA12の付近にあり、C12における無効電力はゼロ付近ではなく、SVC2はその容量に近い無効電力を発生している。そのため、SVC2は、電力系統に擾乱が発生した場合に、その急峻な電圧変動を抑制するよう無効電力を出力することが困難となる。二台のSVC1,2が近接配置された場合における図4のような制御特性は、従来の無効電力補償装置では一般的である。
【0045】
次に、本実施の形態の動作について図2、図1を参照して説明する。特性線L1は、定常時における母線7の電圧とSVC1が発生する無効電力との関係を示すものである。特性線L1において、SVC1の制御範囲はA1−B1間であり、A1またはB1における無効電力量がSVC1の容量を表している。また、C1は、SVC1の動作点の一例を表している。C1では、母線7の電圧はV1であり、SVC1は例えば進みの無効電力を発生する。A1−B1間における特性線L1の傾きは、スロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1で決まる。特性線L1が示すように、SVC1の制御範囲内では、母線7の電圧変動に対してSVC1は連続的に無効電力を出力する。
【0046】
特性線L2は、定常時における母線14の電圧とSVC2が発生する無効電力との関係を示すものである。この特性線L2では、無効電力を発生しない電圧不感帯が設けられている。この電圧不感帯は、変動分電圧生成部31にてリミッタ(上限がVH2,下限がVL2)を設けたことに対応して、母線電圧がVL2からVH2の範囲に設けられたものである。特性線L2において、SVC2の制御範囲はA2−B2間であり、A2またはB2における無効電力量がSVC2の容量を表している。SVC2の容量はSVC1の容量よりも小さいことがわかる。また、C2は、SVC2の動作点の一例を表している。C2では、母線14の電圧はV2であり、電圧不感帯内に属するため、SVC2は無効電力を発生していない。電圧不感帯を設けることは、SVC1をSVC2に優先して動作させることとなる。例えば母線電圧の変動に対しては、その変動が電圧不感帯内に属する限りは、SVC2は動作せず、無効電力の発生はSVC1によって担われるからである。電圧不感帯を設けることにより、定常時におけるSVC2の発生する無効電力はゼロとなり、常にその容量分の無効電力を出力できる状態で待機しているので、図4の場合と異なり、電力系統に擾乱が発生した場合でも、SVC2は急峻な電圧変動を抑制することができる。
【0047】
A1−B2間における特性線L2の傾きはスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2で決まるが、上述したように、XS2>XS1と設定されているので、SVC2の制御範囲における特性線L2の傾きはSVC1の制御範囲における特性線L1の傾きよりも大きい。図2では、特性線L1の傾きを特性線L2の傾きよりも少し小さく描いている。このように、SVC1のスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1をSVC2のスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2よりも小さくする特性とした場合、SVC1は、SVC2と比較して、小さな電圧変動に対しても大きな無効電力を発生することができる。すなわち、SVC1は、SVC2よりも優先的に無効電力を発生する。
【0048】
このように、図2では、例えば電圧階級および容量の異なる二台のSVC1,2が近距離に配置された場合でも、(a)定常時におけるSVC2の無効電力−母線電圧特性に電圧不感帯を設け、かつ、(b)SVC1のスロープリアクタンス42のインピーダンス値XS1をSVC2のスロープリアクタンス32のインピーダンス値XS2よりも小さくすることにより、SVC1をSVC2に優先して動作させることができ、従来のように、SVC2が電力系統の擾乱時における急峻な電圧変動を抑えることができないといった問題を解消できる。
【0049】
なお、SVC1をSVC2に優先して動作させる条件としては、上記の(a)および(b)の他に、さらに、(c)SVC1の電圧制御の応答をSVC2の電圧制御の応答よりも速くすることが挙げられる。つまり、電圧変動に対する無効電力制御部43の応答特性を無効電力制御部33の応答特性よりも速く設定することで、SVC1がSVC2よりも速応的に無効電力を発生することができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、例えば電圧階級および容量の異なる二台のSVC1,2が互いに近距離に配置された場合においても、例えば上位系統に接続された容量の大きいSVC1を優先的に動作させる協調制御を行うことにより、母線7,14の電圧を設定範囲内に制御しながら定常時のSVC1,2の出力する無効電力を抑制し、電力系統の擾乱時の急峻な電圧変動に対してSVC1,2が対応できるようにすることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、SVC1,2に対して、SVC1を優先的に動作させる協調制御を行う際に、SVC制御部3,4間でSVC1,2の運転状態等の情報のやりとりをする必要がなく、よって、SVC制御部3,4とは別の(遠隔)制御部などを設ける必要がなく、構成が簡素化される。これに対して、特許文献2では、2台のSVCが互いに近接して配置されている場合に、一方のSVCの電流偏差を演算し、この演算結果を他方のSVC制御装置に入力して他方のSVCの出力を補正しているので、SVC制御装置の他に電流演算機能などを有する別の制御装置を設ける必要があり、構成及び処理が複雑になっていた。
【0052】
また、本実施の形態によれば、電力系統全体の電圧分布と無効電力の調相量を適切に制御することができる。
【0053】
なお、図1に示すように、本実施の形態では、上位系統の母線7にのみ調相設備6を接続しているが、図5に示すように、下位系統の母線14にも調相設備80を接続することができる。すなわち、図5では、図1の構成に加えて、母線14にはSVC2と並列に調相設備80が設けられており、調相設備80は、遮断器82を介して母線14に接続された進相コンデンサ81と、遮断器84を介して母線14に接続された分路リアクトル83とを備えている。さらに、調相設備80の解列または投入を制御する協調制御部70が設けられている。協調制御部70は、SVC2の出力する無効電力を検出する無効電力検出部71と、検出された無効電力に応じて調相設備80の投入または解列を制御する調相制御部72とを備えている。協調制御部70の構成および動作は協調制御部5と同様であるためその説明を省略する。
【0054】
また、図1において、調相設備6および協調制御部5を設けない構成も可能であり、この場合も、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。調相設備6を設けなくても、定常状態においてSVC1の発生する無効電力量がゼロ付近の場合は、調相設備6に無効電力を分担させる必要がないことから、調相設備6および協調制御部5を設けなくともよい。
【0055】
実施の形態2.
図6は、本実施の形態に係る無効電力補償装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施の形態1で説明した図5の構成と異なる部分についてのみ説明し、図6では図5と同一の構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0056】
図6に示すように、交流電源20と変圧器11との間には計器用変流器(CT)18が設けられている。また、変圧器11と送電線13との間に接続された母線12(第3の母線)には、計器用変圧器(PT)26と調相設備21とが互いに並列に接続されている。調相設備21は、遮断器23を介して母線12に接続された進相コンデンサ22と、遮断器25を介して母線12に接続された分路リアクトル24とを備えている。さらに、CT18、PT8、PT26、変圧器11、および調相設備21にそれぞれ接続された電圧無効電力制御部(Voltage Q(reactive power) Control 部)19が設けられている。電圧無効電力制御部19は、無効電力検出部91とタップ・調相制御部92とを備えて構成される。
【0057】
無効電力検出部91は、CT18の検出する電流信号とPT8の検出する電圧信号が入力され、これらの入力に基づいて無効電力を算出する。
【0058】
タップ・調相制御部92は、無効電力検出部91の出力する無効電力とPT26の検出する電圧信号が入力され、これらの入力信号に基づき、変圧器11の一次側(上位系統側)の無効電力と変圧器11の二次側(下位系統側)の母線電圧(母線14の電圧)とがそれぞれ所定の値に制御されるように、変圧器11にはその二次側のタップを調節するタップ調節信号を出力し、調相設備21には進相コンデンサ22および分路リアクトル24の投入または解列を操作する投入・解列信号を出力する。
【0059】
電圧無効電力制御部19の動作は次の通りである。電圧無効電力制御部19は、無効電力検出部91により、変圧器11の一次側(上位系統側)の無効電力を監視しており、母線7の電圧変動に対して、調相設備21の投入または解列を操作することにより、無効電力を補償することができる。なお、調相設備21の補償する無効電力により、上位系統の母線7でも無効電力が補償される。ただし、例えば、上位系統の調相設備6では、分路リアクトル63が遮断器64で投入され、下位系統の調相設備21では、進相コンデンサ22が遮断器23で投入されたなどは、効率的ではないため、協調制御部5と電圧無効電力制御部19間では協調を取る必要がある。また、電圧無効電力制御部19は、PT26からの電圧信号により、変圧器11の二次側(下位系統側)の電圧を監視しており、母線14の電圧変動に対して、その電圧変動を抑制するように、変圧器11の二次側のタップを調整する。例えば、電圧が降下した場合は、タップ・調相制御部92は変圧器11の二次側のタップを上げるように指示するタップ調節信号を出力する。
【0060】
ところで、図2に示した母線電圧とSVCが発生する無効電力との関係は、本実施の形態でも成立する。一方、上記のように、本実施の形態では、電圧無効電力制御部19を設けるようにしたので、変圧器11の一次側の無効電力が補償されて上位系統から供給される電力は安定に制御され、かつ、母線14の負荷の変動等に起因する母線電圧変動に対しても変圧器11の二次側の電圧を一定に維持するように電圧調整しているので、母線14の定常時の電圧変動幅が制限されることとなる。そのため、本実施の形態では、図2の電圧不感帯幅(VH2とVL2の差)を実施の形態1の場合よりも小さく設定することができ、この場合でも、SVC1,2に対してSVC1を優先的に動作させる協調制御を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、調相設備21を設けたので、調相設備21の補償する無効電力により、上位系統の母線7でも無効電力が補償されることになり、これにより定常時のSVC1の無効電力出力を抑制し、あるいは、母線7に接続された調相設備6の動作回数を減らすことができるという効果もある。
【0062】
なお、本実施の形態では、図5の構成に電圧無効電力制御部19、CT18、PT26、調相設備21を付加する構成としたが、図1の構成に電圧無効電力制御部19等を付加する構成、または図1の構成から調相設備6および協調制御部5を除いた構成に電圧無効電力制御部19等を付加する構成も可能である。
【0063】
実施の形態1,2では、例えば電圧階級および容量の異なる二台のSVC1,2を例に説明したが、実施の形態1,2は、これ以外の場合にも適用可能である。例えば、SVC1,2の電圧階級が同じ場合やSVC1,2の容量が同程度である場合も適用可能である。電圧階級が同じ場合の具体例としては、図1の構成において、母線7に送電線を介して電圧階級の同じ別の母線とこの別の母線にSVC1とは異なる別のSVCが接続されているような場合である。また、実施の形態1,2は、三台以上のSVCが互いに近距離に配置されている場合にも適用可能である。この場合、優先させて動作させる一台のSVCに対しては、SVC1と同様の構成とし、その他のSVCに対しては、SVC2と同様の構成とし、さらに、スロープリアクタンスのインピーダンス値に関しては、優先させて動作させる一台のSVCのものを他のものよりも小さく設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、電力系統の電圧変動を抑えるために無効電力を補償する静止型無効電力補償装置を備えた無効電力補償装置として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1,2 SVC
1A,2A 変圧器
1B,2B スイッチング回路
1C,2C リアクトル
1D,2D フィルタ
3,4 SVC制御部
5 協調制御部
6,21,80 調相設備
7,12,14 母線
9,15,23,25,62,64,82,84 遮断器
11 変圧器
13 送電線
19 電圧無効電力制御部
20 交流電源
22,61,81 進相コンデンサ
24,63,83 分路リアクトル
30,40 電圧センサ
31,38,41 変動分電圧生成部
32,42 スロープリアクタンス
33,43 無効電力制御部
34,44 ゲートパルス出力部
35,45,132,139,142 減算器
36,46 乗算器
37,47 電流センサ
51,91,71 無効電力検出部
52,72 調相制御部
70 協調制御部
92 タップ・調相制御部
131 リミッタ付き1次遅れ制御ブロック
138,141 電圧基準回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の母線に接続され当該第1の母線の電圧変動に応じて無効電力を発生する第1の静止型無効電力補償装置と、この第1の静止型無効電力補償装置の出力を制御する第1の無効電力制御装置と、前記第1の母線と送電線を介して接続された第2の母線に接続され当該第2の母線の電圧変動に応じて無効電力を発生する第2の静止型無効電力補償装置と、この第2の静止型無効電力補償装置の出力を制御する第2の無効電力制御装置と、を備えた無効電力補償装置であって、
前記第1の無効電力制御装置は、前記第1の母線の母線電圧と所定の基準電圧との差分を出力する第1の変動分電圧生成部と、前記第1の母線の母線電圧の変化に対する前記第1の静止型無効電力補償装置の出力変化を決定する第1のスロープリアクタンスのインピーダンス値と前記第1の静止型無効電力補償装置に流れる電流値との積を前記第1の変動分電圧生成部の出力から差し引いた差分に基づき、前記第1の静止型無効電力補償装置に出力させる無効電力を演算する第1の無効電力制御部と、を備え、
前記第2の無効電力制御装置は、前記第1の母線の母線電圧に対して所定の時間遅れ特性で追随して所定の範囲内に制限された比較電圧を生成するとともに当該比較電圧と当該母線電圧との差分を出力する第2の変動分電圧生成部と、前記第2の母線の母線電圧の変化に対する前記第2の静止型無効電力補償装置の出力変化を決定しかつ前記第1のスロープリアクタンスのインピーダンス値よりも大きな値である第2のスロープリアクタンスのインピーダンス値と前記第2の静止型無効電力補償装置に流れる電流値との積を前記第2の変動分電圧生成部の出力から差し引いた差分に基づき、前記第2の静止型無効電力補償装置に出力させる無効電力を演算する第2の無効電力制御部と、を備えることを特徴とする無効電力補償装置。
【請求項2】
前記第1の無効電力制御部の制御応答特性は、前記第2の無効電力制御部の制御応答特性よりも速いことを特徴とする請求項1に記載の無効電力補償装置。
【請求項3】
前記第1の静止型無効電力補償装置は、前記第2の静止型無効電力補償装置の近傍位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の無効電力補償装置。
【請求項4】
前記第1の母線は上位系統の母線であり、前記第2の母線は下位系統の母線であり、前記第1の静止型無効電力補償装置の容量は前記第2の静止型無効電力補償装置の容量よりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無効電力補償装置。
【請求項5】
前記第1の母線に投入または解列可能に接続され、前記第1の静止型無効電力補償装置とそれぞれ並列に接続された進相コンデンサおよび分路リアクトルを有する前記第1の母線用の調相設備を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の無効電力補償装置。
【請求項6】
前記第2の母線に投入または解列可能に接続され、前記第2の静止型無効電力補償装置とそれぞれ並列に接続された進相コンデンサおよび分路リアクトルを有する前記第2の母線用の調相設備を備えることを特徴とする請求項5に記載の無効電力補償装置。
【請求項7】
前記第1の母線は上位系統の母線であり、前記第2の母線は下位系統の母線であり、前記第1の母線と前記第2の母線との間には降圧用の変圧器が設けられており、前記変圧器の二次側に接続された第3の母線には当該第3の母線にそれぞれ並列に接続された進相コンデンサおよび分路リアクトルを有する当該第3の母線用の調相設備が設けられており、前記変圧器の一次側の無効電力の検出値に応じて前記第3の母線用の調相設備の投入または解列を操作するとともに前記変圧器の二次側の母線電圧に応じて前記変圧器の二次側のタップを調整することにより前記変圧器の一次側の無効電力と前記変圧器の二次側の母線電圧をそれぞれ所定の値に制御する電圧無効電力制御部が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の無効電力補償装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−123450(P2012−123450A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271270(P2010−271270)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】