説明

無機微粒子分散ペースト

【課題】印刷時の表面の凹凸を抑制することができ、かつ、優れた焼結性を有する無機微粒子分散ペーストを提供する。
【解決手段】印刷プロセスに用いる無機微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂と、下記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上含有するロジンと、有機溶剤と、無機微粒子とを含有する無機微粒子分散ペースト。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷時の表面の凹凸を抑制することができ、かつ、優れた焼結性を有する無機微粒子分散ペーストに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、導電性粉末、セラミック粉末等の無機微粒子をバインダー樹脂に分散させた無機微粒子分散ペーストが、様々な形状の焼結体を得るために用いられている。特に、無機微粒子として蛍光体をバインダー樹脂に分散させた蛍光体ペーストや、低融点ガラスを分散させたガラスペーストは、プラズマディスプレイパネル等に用いられ、近年需要が高まりつつある。
また、無機微粒子としてチタン酸バリウムやアルミナをバインダー樹脂に分散させたセラミックペーストは、グリーンシートに成形され、積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサに用いられている。
更に、太陽電池パネルの裏面電極は、通常、アルミニウム粉を分散させたペーストをスクリーン印刷等によって塗布し、乾燥した後、焼成することにより形成されている。
【0003】
それら多くの無機微粒子分散ペーストは、主にスクリーン印刷を用いて印刷され、その後、焼成脱脂し、印刷形状の無機像を得る。これらスクリーン印刷用バインダー樹脂として、エチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂が用いられてきた。例えば、特許文献1には、比表面積が0.20〜0.60m/gである銀粒子、ガラスフリット、樹脂バインダー及びシンナーを含む太陽電池受光面電極用ペーストが開示されており、樹脂バインダーとしてエチルセルロースが用いられている。
しかしながら、エチルセルロース等のセルロース系樹脂を用いた無機微粒子分散ペーストは、焼成工程でのセルロース系樹脂の熱分解性が不充分であることから、得られる配線に炭素成分が残留し、導電性粉末の基板への接着強度が低下して、配線に剥離が生じやすいという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために、バインダー樹脂として、比較的熱分解性の良いアクリル系樹脂が用いられている。例えば、特許文献2には、所定のアクリル系樹脂を含有する外部電極用導電性ペーストを用いて、セラミック電子部品を製造する方法が開示されている。
しかしながら、アクリル系樹脂を用いた無機微粒子分散ペーストは、通常、印刷塗布量が少なく、例えば、太陽電池素子の配線の様な厚い印刷像を形成する場合、印刷像が凹凸になる傾向がある。電極に凹凸が存在すると、電極の最も薄い部分が電極抵抗値を支配するため、得られる太陽電池素子のエネルギー変換効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−235082号公報
【特許文献2】特開2004−79480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、印刷時の表面の凹凸を抑制することができ、かつ、優れた焼結性を有する無機微粒子分散ペーストを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷プロセスに用いる無機微粒子分散ペーストであって、(メタ)アクリル樹脂と、下記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上含有するロジンと、有機溶剤と、無機微粒子とを含有する無機微粒子分散ペーストである。以下に本発明を詳述する。
【0008】
【化1】

【0009】
アクリル系樹脂をバインダー樹脂として用いたペースト組成物において、印刷塗布量が少なく、レベリング性に乏しくなる(印刷像が凹凸になる)原因は、アクリル系樹脂が水酸基等の極性官能基を多く持ち、剛直な分子構造を持つセルロース樹脂と比べ水素結合による増粘構造を形成する能力に乏しいことにある。ペーストの粘度はアクリル系樹脂の直鎖状樹脂の絡み合いからなり、貯蔵安定性を持たせることを目的として粘度を高めると、樹脂の絡み合いが多くなり、流動性が極端に低くなる。
【0010】
本発明者らは、(メタ)アクリル樹脂と有機溶剤と無機微粒子とを含有する無機微粒子分散ペーストにおいて、デカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上有するロジンを添加することにより、(メタ)アクリル樹脂を少量にしても充分な粘度が得られ、印刷した際に塗布量が多く、表面の凹凸を抑制することができることを見出した。また、得られる無機微粒子分散ペーストは焼結後の残渣が少ないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
本発明の無機微粒子分散ペーストは、(メタ)アクリル樹脂を含有する。
上記(メタ)アクリル樹脂は、350〜400℃程度の低温で分解するものであれば特に限定されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び、ポリオキシアルキレン構造を有する(メタ)アクリルモノマーからなる群より選択される少なくとも1種からなる重合体が好ましい。なかでも、少ない樹脂の量で高い粘度が得られることから、ガラス転移温度(Tg)の高いポリメチルメタクリレート(Tg105℃)が好ましい。ポリメチルメタクリレートはまた、低温脱脂性にも優れる。更に、本発明の無機微粒子分散ペーストは後述する有機化合物を含有することから、ブチルメタクリレート又はイソブチルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレートに由来する成分を有する重合体が好ましい。
なお、本明細書において上記(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0012】
また、上記(メタ)アクリル樹脂は、極性基を有するモノマーからなるセグメントを有してもよい。
上記極性基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート等が挙げられる。
【0013】
上記(メタ)アクリル樹脂が上記極性基を有するモノマーに由来するセグメントを有する場合、上記(メタ)アクリル樹脂中における上記極性基を有するモノマーに由来するセグメントの含有量は30重量%以下であることが好ましい。
上記極性基を有するモノマーに由来するセグメントの含有量が30重量%を超えると、低温での熱分解性が損なわれたり、無機微粒子に付着する煤が多くなり、焼結体の残留炭素が多くなったりすることがある。上記極性基を有するモノマーに由来するセグメントの含有量のより好ましい上限は20重量%である。
【0014】
上記(メタ)アクリル樹脂は、分子末端に親水性官能基を有することが好ましい。
上記親水性官能基は特に限定されず、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
一般に、(メタ)アクリル系モノマーのエステル置換基にカルボニル基、アミノ基、アミド基等の相互作用性の高い官能基を導入した(メタ)アクリル樹脂を用いた場合には、無機微粒子分散ペーストの焼成工程において、該(メタ)アクリル樹脂の解重合が阻害されて熱分解終了温度が高くなり、熱分解性が極めて悪化する。これに対し、分子末端にカルボニル基、アミノ基、アミド基等を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合には、該(メタ)アクリル樹脂の解重合が阻害されず、熱分解終了温度にはほとんど影響しない。また、ガラス粉末等の無機微粒子はカルボニル基、アミノ基、アミド基等との相互作用性が高いことから、分子末端にカルボニル基、アミノ基、アミド基等を有する(メタ)アクリル樹脂を用いた場合には、該(メタ)アクリル樹脂の一方の分子末端が無機微粒子表面に吸着し、他方は有機溶剤側へ伸びた形態となり、無機微粒子の再凝集を防ぎ、分散安定性を向上させることができる。
【0015】
上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は5000、好ましい上限は50万である。上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が5000未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストのスクリーン印刷性が悪くなったり、印刷後の乾燥工程においてオーブン内で送風を受けることによって表面荒れが増し、焼結層の表面平滑性が低下したりすることがある。上記重量平均分子量が50万を超えると、得られる無機微粒子分散ペーストの粘着力が高くなりすぎて延糸が発生する等、スクリーン印刷性が悪くなることがある。上記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は1万、好ましい上限は10万であり、より好ましい上限は6万である。上記(メタ)アクリル樹脂のポリスチレン換算による重量平均分子量が1万〜6万であると、スクリーン印刷時に鮮明な像が得られる。
なお、ポリスチレン換算による重量平均分子量は、カラムとして、例えば、カラムLF−804(昭和電工社製)を用いてGPC測定を行うことで得ることができる。
【0016】
上記(メタ)アクリル樹脂を作製する方法は特に限定されず、例えば、カルボニル基、アミノ基、アミド基等を有する重合開始剤のもとで、上述した(メタ)アクリル系モノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法や、カルボニル基、アミノ基、アミド基等を有する連鎖移動剤のもとで、上述した(メタ)アクリル系モノマーをフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、イニファーター重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等の従来公知の方法で共重合する方法等が挙げられる。なかでも、ラジカル重合開始剤としてカルボニル基、アミノ基、アミド基等を有する重合開始剤を用いることにより、より多くの分子末端にカルボニル基、アミノ基、アミド基等を導入することができる。これらの方法は単独で用いてもよく、2種以上を併用して行ってもよい。
なお、上記(メタ)アクリル樹脂の分子末端のみにカルボニル基、アミノ基、アミド基等が導入されたことは、例えば、13C−NMRにより確認することができる。
【0017】
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記(メタ)アクリル樹脂の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は20重量%である。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が1重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストの粘度が不充分となり、貯蔵安定性が悪くなって無機微粒子の沈降や溶液の分離等が発生することがある。上記(メタ)アクリル樹脂の含有量が20重量%を超えると、得られる無機微粒子分散ペーストは、粘度や粘着力が高くなりすぎて塗布量が少なくなることがある。より好ましくは15重量%以下である。
【0018】
本発明では、上記(メタ)アクリル樹脂に加えて、セルロース樹脂を添加してもよい。これにより、ペーストの必要粘度を確保するために必要な全体の樹脂量を少なくすることができ、焼結性を向上させることが可能となる。上記セルロースとしては、特に限定されないが、STD45よりも粘度の高いグレードは焼結性が悪いため好ましくない。一方、STD45よりも粘度の低いグレードは好適に用いることができる。
【0019】
本発明の無機微粒子分散ペーストは、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物を含有することが好ましい。
上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物は、後述するデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上有するロジンと水素結合を形成し、得られる無機微粒子分散ペーストの粘度を高める役割を果たす。
なお、本明細書において上記常温とは、JIS Z 8703で規定されている5〜35℃の温度範囲を意味し、上記低分子化合物とは、常温で固体であり、水酸基を一分子中に2つ以上含有する化合物を意味する。
【0020】
上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物は特に限定されず、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。なかでも、炭素数に対する水酸基の割合の高い、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールは、沸点が200℃程度で、乾燥性が良いため、スクリーン印刷に使用される無機微粒子分散ペーストに好適に使用することができる。
【0021】
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物の含有量が1重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストは、印刷後の乾燥工程において乾燥性が低下したり、焼結層の表面平滑性が低下したりすることがある。上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物の含有量が30重量%を超えると、得られる無機微粒子分散ペーストの貯蔵安定性が悪くなることがある。上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物の含有量のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は25重量%である。
【0022】
本発明の無機微粒子分散ペーストは、上記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上含有するロジン(以下、単にロジンともいう)を含有する。上記ロジンは、合成品又は天然物由来品として得られ、主に松から得られる樹脂から製造されている。
【0023】
上記ロジンは、上記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上含有する。このようなロジンは、アビエチン酸由来の隣接不飽和結合を多量に含有しないことにより、製品物性の変動を防ぐことが出来る。
上記ロジンにおいて、上記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸の含有量が40重量%未満であると、不安定な不飽和結合が副反応を起こし、結果として焼結性が悪くなる。好ましくは50〜90重量%である。
【0024】
上記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸としては、特に限定されないが、下記(2)に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸が好ましく、なかでも、デヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸が好ましい。
上記デヒドロアビエチン酸又はテトラヒドロアビエチン酸は、分子量が1000以下であるため、スクリーン印刷時におけるメッシュ通過性に悪影響を及ぼすことがない。また、剛直で水素結合構造を形成しやすいため、増粘特性に優れている。更に、不均化又は水素添加によって、焼結性が非常に良くなるため、無機微粒子分散ペーストに添加した場合、脱脂時に煤になりにくいという特徴を有する。
【0025】
【化2】

【0026】
上記デヒドロアビエチン酸を40重量%以上含有するデヒドロアビエチン酸高含有ロジンとしては、例えば、KR614、ロンジスR(いずれも、荒川化学工業社製)、G−100F(ハリマ化成社製)等が好適に用いられる。
また、上記テトラヒドロアビエチン酸を40重量%以上含有するテトラヒドロアビエチン酸高含有ロジンとしては、未精製ロジンを水素化処理することによって得ることが出来る。
【0027】
また、上記デヒドロアビエチン酸高含有ロジンは、精製して用いることが好ましい。これにより、不純物組成比が下がり、焼結性が向上する。
精製方法については特に限定されないが、デヒドロアビエチン酸が、結晶性が高いことを利用して溶媒中で再沈処理し、分離精製する方法が簡便で好ましく用いることができる。
【0028】
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記ロジンの含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は30重量%である。上記ロジンの含有量が0.1重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストの増粘性が低くなりスクリーン印刷性が悪くなることがある。上記ロジンの含有量が30重量%を超えると、ペーストの焼結性が悪くなることがある。より好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は10重量%である。
【0029】
上記有機溶剤は特に限定されず、例えば、テルピネオール、テキサノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールドデシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールドデシルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオレエート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノオレエートアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノステアレート、トリエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコール、テトラエチレングリコールドデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノオクチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールドデシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
【0030】
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記有機溶剤の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は60重量%である。上記有機溶剤の含有量が10重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストの粘度や粘着力が高くなりすぎてスクリーン印刷性が悪くなることがある。上記有機溶剤の含有量が60重量%を超えると、得られる無機微粒子分散ペーストの粘度が不充分となり、スクリーン印刷性が悪くなったり、印刷後の乾燥工程において乾燥性が低下したり、焼結層の表面平滑性が低下したりすることがある。
【0031】
本発明の無機微粒子分散ペーストを焼成する場合は、上記有機溶剤や上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物や上記ロジンを乾燥した状態で焼成することが好ましい。上記有機溶剤や上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物や上記ロジンの乾燥が不充分で、上記有機溶剤や上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物や上記ロジンが内部に残留した状態で焼成を行うと、バインダー樹脂の熱分解にて生じた煤が微粒子表面へ吸着しやすくなるため、完全に乾燥を行った場合と比較して、炭素残渣が多くなることがある。
【0032】
本発明の無機微粒子分散ペーストは、無機微粒子を含有する。
上記無機微粒子は特に限定されず、金属粉末、金属酸化物微粒子等が挙げられる。
【0033】
上記金属粉末は特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、アルミニウム、タングステンやこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。
また、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等との吸着特性が良好で酸化されやすい銅や鉄等の金属も好適に用いることができる。これらの金属粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
上記金属酸化物微粒子は特に限定されず、例えば、ガラス粉末、セラミック粉末、蛍光体微粒子、ケイ素酸化物微粒子等が挙げられる。
【0035】
上記ガラス粉末は特に限定されず、例えば、CaO−Al−SiO系、MgO−Al−SiO系、LiO−Al−SiO系等の各種ケイ素酸化物や、酸化ビスマスガラス、ケイ酸塩ガラス、鉛ガラス、亜鉛ガラス、ボロンガラス等のガラス粉末が挙げられる。
また、上記ガラス粉末として、PbO−B−SiO混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物、ZnO−Bi−B−SiO混合物、Bi−B−BaO−CuO混合物、Bi−ZnO−B−Al−SrO混合物、ZnO−Bi−B混合物、Bi−SiO混合物、P−NaO−CaO−BaO−Al−B混合物、P−SnO混合物、P−SnO−B混合物、P−SnO−SiO混合物、CuO−P−RO混合物、SiO−B−ZnO−NaO−LiO−NaF−V混合物、P−ZnO−SnO−RO−RO混合物、B−SiO−ZnO混合物、B−SiO−Al−ZrO混合物、SiO−B−ZnO−RO−RO混合物、SiO−B−Al−RO−RO混合物、SrO−ZnO−P混合物、SrO−ZnO−P混合物、BaO−ZnO−B−SiO混合物等のガラス粉末も用いることができる。なお、上記Rは、Zn、Ba、Ca、Mg、Sr、Sn、Ni、Fe及びMnからなる群より選択される元素である。なかでも、PbO−B−SiO混合物のガラス粉末や、鉛を含有しないBaO−ZnO−B−SiO混合物又はZnO−Bi−B−SiO混合物等の無鉛ガラス粉末が好ましい。
【0036】
上記セラミック粉末は特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、チタン酸バリウム、窒化アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素等からなるものが挙げられる。
また、透明電極材料に用いられるナノITO(錫ドープ酸化インジウム)や色素増感太陽電池に用いられるナノ酸化チタン等も好適に用いることができる。
【0037】
上記蛍光体微粒子は特に限定されず、例えば、BaMgAl1017:Eu、ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Eu等が挙げられる。
【0038】
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記無機微粒子の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は20重量%、好ましい上限は85重量%である。上記無機微粒子の含有量が20重量%未満であると、得られる無機微粒子分散ペーストは、充分な粘度が得られず、スクリーン印刷性が悪くなることがある。上記無機微粒子の含有量が85重量%を超えると、得られる無機微粒子分散ペーストは、粘度が高くなりすぎてスクリーン印刷性が悪くなることがある。
【0039】
本発明の無機微粒子分散ペーストは、上記有機化合物と他の材料との相溶性を安定化させるために、更に界面活性剤を含有することが好ましい。
上記界面活性剤は特に限定されないが、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
本発明の無機微粒子分散ペーストにおける上記ノニオン系界面活性剤の含有量は特に限定されないが、好ましい上限は5重量%である。上記ノニオン系界面活性剤の熱分解性は良好であるものの、含有量が5重量%を超えると、無機微粒子分散ペーストの熱分解性が低下することがある。
【0040】
本発明の無機微粒子分散ペーストを作製する方法は特に限定されず、従来公知の攪拌方法が挙げられ、具体的には、例えば、上記(メタ)アクリル樹脂、上記常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物、上記ロジン、上記有機溶剤、上記無機微粒子、及び、必要に応じて添加される他の成分を3本ロール等で攪拌する方法等が挙げられる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、印刷時の表面の凹凸を抑制することができ、かつ、優れた焼結性を有する無機微粒子分散ペーストを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0043】
(重合例1)
攪拌機、冷却器、温度計、油浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とメチルメタクリレート(MMA)とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との混合液(CHMA/MMA/HEMA=40/50/10(重量比))100重量部と、有機溶剤としてテルピネオール100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら油槽が130℃に達するまで昇温した。次いで、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをテルピネオールで分散させた溶液を加えた。重合開始剤は、(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で0.6重量部となるように重合中に数回添加した。
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させ、イソブチロニトリル基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/MMA/HEMA))のテルピネオール溶液を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は10万であった。
【0044】
(重合例2)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレート(IBMA)100重量部と、ジチオリン酸ビス(2−エチルヘキシル)(SC有機化学社製、「Poslex DT−8」)3重量部と、有機溶剤としてテキサノール100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯浴が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤としてジアシルパーオキサイド(日油社製、「パーロイル355」)を加えた。重合開始剤は、(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で1.2重量部となるように重合中に数回添加した。
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させ、リン酸基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA))のテキサノール溶液を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は5万であった。
【0045】
(重合例3)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとの混合液(IBMA/MMA=50/50(重量比))100重量部と、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール0.2重量部と、有機溶剤としてテルピネオール100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯槽が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤として有機化酸化物重合触媒(日油社製、「パーロイル355」)を加えた。重合開始剤は、(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で1.5重量部となるように重合中に数回添加した。
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させ、分子末端に水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA)のテルピネオール溶液を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は5万であった。
【0046】
(重合例4)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、イソブチルメタクリレートとメチルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレートとの混合液(IBMA/MMA/HEMA=50/20/30)100重量部と、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール0.2重量部と、有機溶剤として3−メチル−1,3−ブタンジオール100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯槽が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤として有機化酸化物重合触媒(日油社製、「パーロイル355」)を加えた。重合開始剤は、(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で1.5重量部となるように重合中に数回添加した。
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させ、分子末端に水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA/HEMA))の3−メチル−1,3−ブタンジオール溶液を得た。得られた重合体について、カラムとしてLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は4万であった。
【0047】
(重合例5)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、シクロヘキシルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレートとの混合液(CHMA/HEMA=70/30(重量比))100重量部と、連鎖移動剤としてメルカプトプロパンジオール0.1重量部と、有機溶剤としてエチレングリコールモノフェニルエーテル100重量部とを混合し、モノマー混合液を得た。
得られたモノマー混合液を、窒素ガスを用いて20分間バブリングすることにより溶存酸素を除去した後、セパラブルフラスコ系内を窒素ガスで置換し攪拌しながら湯槽が沸騰するまで昇温した。次いで、重合開始剤として有機化酸化物重合触媒(日油社製、「パーロイル355」)を加えた。重合開始剤は、(メタ)アクリレートモノマー100重量部に対して全部で1.5重量部となるように重合中に数回添加した。
重合開始から7時間後、反応液を室温まで冷却し重合を終了させ、分子末端に水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HEMA))のエチレングリコールモノフェニルエーテル溶液を得た。得られた(メタ)アクリル樹脂について、カラムとしてLF−804(昭和電工社製)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる分析を行ったところ、ポリスチレン換算による重量平均分子量は10万であった。
【0048】
(製造例1)
3リットルのオートクレーブに、未精製ガムロジン1000gと水素化触媒として5%パラジウムカーボン10gを仕込み、溶存酸素を除去した後、系内を水素にて10MPaに加圧し、攪拌しながら260℃まで昇温した。3時間水素化を行い、水素化ロジンAを得た。得られた水素化ロジンAについて、ガスクロマトグラフィー分析を行った結果、水素化ロジンAは、テトラヒドロアビエチン酸を含有し、テトラヒドロアビエチン酸含有量は85重量%であった。
【0049】
(製造例2)
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴、及び、窒素ガス導入口を備えた2Lセパラブルフラスコに、デヒドロアビエチン酸を75〜85重量%含有するロジン(荒川化学工業社製、「KR614」)100重量部に溶媒として酢酸エチルを50重量部添加し、温水浴を80℃に設定し、KR614を溶解させた。
次に、水浴の湯を捨て、替わりに氷水を水槽に張ることで、KR614の酢酸エチル溶液を撹拌しながら冷却した。
撹拌機を止め、20分放置することにより結晶性のロジンが析出し、ろ過することによって酢酸エチル溶液と分離し、乾燥させ、精製ロジンBを得た。
ガスクロマトグラフィーの分析を行った結果、デヒドロアビエチン酸含有量は89重量%であった。
【0050】
(実施例1)
重合例1で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/MMA/HEMA))のテルピネオール溶液に、有機溶剤として更にテルピネオールと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物としてトリメチロールプロパンと、デヒドロアビエチン酸を55〜80重量%含有するロジン(ハリマ化成社製、「G100F」)と、無機微粒子としてPDP用緑蛍光体(ZnSiO:Mn、日亜化学工業社製)とを、表1に記載した組成比になるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、無機蛍光体粒子分散ペーストを調製した。
【0051】
(実施例2)
重合例2で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA))のテキサノール溶液に、有機溶剤として更にテキサノールと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物として2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールと、デヒドロアビエチン酸を55〜80重量%含有するロジン(荒川化学工業社製、「ロンジスR」)と、無機微粒子として銀粉(平均粒子径1.0μm)とファイヤースルーを可能にする低融点ガラス微粒子(平均粒子径1μm)とを、表1に記載した組成比になるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、導電性ペーストを得た。
【0052】
(実施例3)
重合例3で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA))のテルピネオール溶液に、表1に記載した組成比になるように、有機溶剤として更にテルピネオールと、デヒドロアビエチン酸を75〜85重量%含有するロジン(荒川化学工業社製、「KR614」)と、無機微粒子として平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを32.5重量%、Bを20.5重量%、ZnOを18重量%、Alを10重量%、BaOを3.5重量%、LiOを9重量%、NaOを6重量%、SnOを0.5重量%含有)とを添加し、高速撹拌装置を用いて充分混練した後、3本ロールミルにてなめらかになるまで処理を行い、低融点ガラスペーストを作製した。
【0053】
(実施例4)
重合例4で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA/HEMA))の3−メチル−1,3−ブタンジオール溶液に、表1に記載した組成比になるように、有機溶剤として更に3−メチル−1,3−ブタンジオールと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物として2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールと、デヒドロアビエチン酸を75〜85重量%含有するロジン(荒川化学工業社製、「KR614」)と、無機微粒子としてアルミニウム微粒子(平均粒子径5μm)とファイヤースルーを可能にする低融点ガラス微粒子(平均粒子径1μm)とを添加し、高速撹拌機を用いて充分混練した後、アルミニウム微粒子が扁平につぶれないように留意しながら3本ロールミルにて処理を行い、導電性微粒子分散ペーストを調製した。
【0054】
(実施例5)
重合例5で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HEMA))のエチレングリコールモノフェニルエーテル溶液に、有機溶剤として更にエチレングリコールモノフェニルエーテルと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物としてトリメチロールプロパンと、テトラヒドロアビエチン酸を含有するロジンとして製造例1で得られた水素化ロジンAと、無機微粒子としてPDP用緑蛍光体(ZnSiO:Mn、日亜化学工業社製)とを、表1に記載した組成比になるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、無機蛍光体粒子分散ペーストを調製した。
【0055】
(実施例6)
重合例5で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HEMA))のエチレングリコールモノフェニルエーテル溶液に、エチルセルロース(STD45、和光純薬工業社製)と、有機溶剤として更にエチレングリコールモノフェニルエーテルと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物としてトリメチロールプロパンと、デヒドロアビエチン酸を含有するロジンとして製造例2で得られた精製ロジンBと、無機微粒子としてPDP用青蛍光体(BaMgAl1017:Eu、日亜化学工業社製)とを、表1に記載した組成比になるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、無機蛍光体粒子分散ペーストを調製した。
【0056】
(実施例7)
重合例5で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/HEMA))のエチレングリコールモノフェニルエーテル溶液に、有機溶剤として更にエチレングリコールモノフェニルエーテルと、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物として2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールと、デヒドロアビエチン酸を含有するロジンとして製造例2で得られた精製ロジンBと、無機微粒子としてPDP用赤蛍光体((Y,Gd)BO:Eu、日亜化学工業社製)とを、表1に記載した組成比になるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、無機蛍光体粒子分散ペーストを調製した。
【0057】
(比較例1)
重合例1で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(CHMA/MMA/HEMA))のテルピネオール溶液に、ロジン及びトリメチロールプロパンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして無機蛍光体粒子分散ペーストを調製した。
【0058】
(比較例2)
重合例2で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA))のテキサノール溶液に、ロジン及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを添加しなかったこと以外は、実施例2と同様にして導電性ペーストを調整した。
【0059】
(比較例3)
重合例3で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA))のテルピネオール溶液に、有機溶剤として更にテルピネオールと、無機微粒子として平均粒子径2.0μmのガラス微粒子(SiOを32.5重量%、Bを20.5重量%、ZnOを18重量%、Alを10重量%、BaOを3.5重量%、LiOを9重量%、NaOを6重量%、SnOを0.5重量%含有)とを、表1に示した組成比となるように添加し、高速攪拌機と3本ロールミルにて処理を行い、低融点ガラスペーストを作製した。
【0060】
(比較例4)
重合例4で得られた(メタ)アクリル樹脂(Poly(IBMA/MMA/HEMA))の3−メチル−1,3−ブタンジオール溶液に、ロジン及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを添加しなかったこと以外は、実施例4と同様にして導電性微粒子分散ペーストを調製した。
【0061】
<評価>
実施例及び比較例で得られた無機微粒子分散ペーストについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
【0062】
(1)粘度
実施例及び比較例で得られたペーストをB型粘度計(BROOK FILED社製、「DVII+Pro」)を用いて、温度25℃、回転数10rpmの条件下で、無機微粒子分散ペースト組成物の粘度η10rpm(cps)を測定した。
【0063】
(2)スクリーン印刷性
実施例及び比較例で得られたペーストを、スクリーン印刷機(マイクロテック社製、「MT−320TV」)、スクリーン製版(東京プロセスサービス社製、「SX320」)、乳剤20μm、ライン/スペース=100μm/500μm、スクリーン枠320mm×320mm、印刷ガラス基板(ソーダーガラス150mm×150mm、厚み1.5mm)を用いて、温度23℃、湿度50%の環境下にて印刷を行った。
印刷後、ガラス板を120℃の条件下で10分送風オーブンにて溶媒を乾燥した。得られた印刷像をサーフコム1500−D(東京精密社製)を用い、塗布量を像の高さ(厚み)で評価し、レベリング性を表面粗さの最大高さRy値(JIS B0601:1994)で評価した。塗布量については、像の高さが20μm以上であった場合を「○」、像の高さが20μm未満であった場合を「×」とした。レベリング性については、Ry値が5μm以下であった場合を「○」、Ry値が5μmを超えていた場合を「×」とした。
【0064】
(3)焼結性
実施例及び比較例で得られたペーストを、120℃で10分乾燥させて樹脂混合組成物を得た。得られた樹脂混合組成物をTG−DTAで測定し、以下の基準で評価した。
○:600℃まで加熱したとき、残留炭素成分は1重量%以下であった
×:600℃まで加熱したとき、1重量%を超える炭素成分が残留した
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
実施例1〜7におけるペーストはロジンや水酸基を有する化合物の水素結合効果によって焼結性を悪化させずにペースト粘度が高められ、スクリーン印刷性が改善できた。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、印刷時の表面の凹凸を抑制することができ、かつ、優れた焼結性を有する無機微粒子分散ペーストを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷プロセスに用いる無機微粒子分散ペーストであって、
(メタ)アクリル樹脂と、下記(1)式に示すデカヒドロナフタレン骨格を有するアビエチン酸を40重量%以上含有するロジンと、有機溶剤と、無機微粒子とを含有する
ことを特徴とする無機微粒子分散ペースト。
【化1】

【請求項2】
更に、常温で固体であり、かつ、水酸基を一分子中に2つ以上有する低分子化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の無機微粒子分散ペースト。
【請求項3】
無機微粒子は、金属粉末、セラミック粉末、ガラス粉末、及び、無機蛍光体微粒子からなる群より選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の無機微粒子分散ペースト。

【公開番号】特開2012−197324(P2012−197324A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59383(P2011−59383)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】