説明

無溶媒乳化方法

【課題】トナーの製造に有用な樹脂乳濁液の製造方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、随意に界面活性剤を樹脂に添加し、樹脂に塩基性試薬及び水を添加し、樹脂、塩基性薬剤及び水を、約15ヘルツ乃至2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電複写装置に適したトナーの製造に有用な、樹脂乳濁液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーの調製について、多くのプロセスが当業者の知識の範囲内である。乳化凝集(EA)は、そのような方法の一つである。これらのトナーは、着色剤と、乳化重合により形成されたラテックス重合体との凝集により形成することができる。
【0003】
ポリエステルEAトナーは、溶媒を含むプロセス、例えば、溶媒フラッシュ乳化及び溶媒ベースの転相乳化によって調製された乳濁液を用いて調製されることもある。どちらの場合でも、樹脂を溶解させるためにケトン類又はアルコール類のような大量の有機溶媒を使用することがある。溶媒は、乳化終了時に蒸発させる必要があり、これは通常、完了に長時間を要す。これらのプロセスに関する他の欠点としては、1)溶媒を含むプロセスは環境にやさしくないこと、2)廃棄物処理及び溶媒回収によりEAトナープロセスに追加費用が加わること、及び3)残留溶媒の量が様々であり得るので、トナープロセス及び該プロセスにより製造されるトナーのいずれにも影響する場合があることを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,590,000号
【特許文献2】米国特許第3,800,588号
【特許文献3】米国特許第6,214,507号
【特許文献4】米国特許第3,847,604号
【特許文献5】米国特許第4,937,166号
【特許文献6】米国特許第4,935,326号
【特許文献7】米国特許第5,236,629号
【特許文献8】米国特許第5,330,874号
【特許文献9】米国特許第4,295,990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
段階の数及び材料を減らすような、トナー製造の改良方法が依然として望まれている。そのようなプロセスは、そのようなトナーの製造コストを削減することができ、環境に優しいものとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、トナーの製造方法を提供する。実施形態において、本開示の方法は、有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、随意に界面活性剤を樹脂に添加し、樹脂に塩基性薬剤及び水を添加し、樹脂、塩基性薬剤及び水を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成することを含むことができる。
【0007】
他の実施形態において、本開示の方法は、有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、随意に界面活性剤を樹脂に添加し、随意にトナー組成物の1つまたはそれ以上の追加成分を樹脂に添加し、樹脂に塩基性薬剤及び水を添加し、樹脂、塩基性薬剤及び水を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成し、転相を行って、溶融樹脂及びトナー組成物の随意成分を含む分散相を含有する転相乳濁液を作成し、トナーサイズの液滴を凝固させてトナー粒子を得ることを含むことができる。
【0008】
更なる他の実施形態において、本開示の方法は、有機溶媒の不存在下で、酸性基を有するポリエステル樹脂を溶融混合し、界面活性剤を樹脂に添加し、樹脂に塩基性中和剤及び水を添加し、樹脂、塩基性薬剤及び水を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成することを含みことができ、該音波混合は、インペラを持たない音波混合機中で行われる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、トナーの作成に用いることができる樹脂乳濁液の製造プロセスを提供する。実施形態において、本開示のプロセスは、有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、塩基性薬剤を樹脂に添加し、得られた中和された樹脂と界面活性剤水溶液とを音波混合機又は同様の装置中で合わせて、樹脂粒子の乳濁液を形成することを含む。
【0010】
本開示はまた、トナー粒子の製造プロセスも提供する。実施形態において、本開示のプロセスは、有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、塩基性薬剤を樹脂に添加し、得られた中和された樹脂と界面活性剤水溶液とを音波混合機又は同様の装置中で合わせて、樹脂粒子の乳濁液を形成し、随意に着色剤、ワックス、及び他の添加剤のようなトナー組成物の1つまたはそれ以上の追加成分を樹脂粒子に添加し、得られたトナー粒子を回収することを含む。
【0011】
本明細書において、「有機溶媒不存在」とは、有機溶媒が、乳化の目的でポリエステル樹脂を溶解するために用いられないことを意味する。しかしながら、樹脂を形成するプロセスにおける溶媒の使用の結果として、そのような樹脂中には少量の溶媒が存在し得ることが理解される。
【0012】
樹脂
本開示のプロセスにおいて、任意のトナー樹脂を用いることができる。そのような樹脂は、いずれかの適切な重合方法によって、いずれかの適切な1又は複数のモノマーから作成することができる。実施形態において、樹脂は、乳化重合以外の方法によって調製することができる。更なる実施形態において、樹脂は、縮重合によって調製することができる。
【0013】
結晶性樹脂は、例えば、トナー成分の約5乃至約50重量パーセントの量で、実施形態においては、トナー成分の約10乃至約35重量パーセントで存在し得るが、この量はそれらの範囲外であってもよい。
結晶性樹脂は、例えば、約30℃乃至約120℃、実施形態においては約50℃乃至約90℃の種々の融点を有することができるが、融点はそれらの範囲外であってもよい。
非晶質樹脂は、例えば、約40℃乃至約100℃、実施形態においては、約50℃乃至約70℃の種々のガラス転移温度(Tg)を有することができる。
【0014】
実施形態としては、適切な非晶質ポリエステル樹脂は、以下の式(I)
【化1】

(I)

を有するポリ(プロポキシル化ビスフェノールA−コ−フマレート)樹脂とすることができ、式中、mは、約5乃至約1000、実施形態において約10乃至約500、他の実施形態において約15乃至約200とすることができるが、mの値はこの範囲外であってもよい。
【0015】
1、2、又はそれ以上のトナー樹脂を用いることができる。2又はそれ以上のトナー樹脂が用いられる場合の実施形態において、トナー樹脂は、例えば約10%(第1の樹脂)/90%(第2の樹脂)乃至約90%(第1の樹脂)/10%(第2の樹脂)のような、どのような適切な割合(例、重量比)とすることもできる。
【0016】
実施形態において樹脂は酸性基を有していてもよく、実施形態において、この酸性基は樹脂の末端に存在することができる。存在することができる酸性基としては、カルボン酸基などが挙げられる。カルボン酸基の数は、樹脂を形成するために用いられる材料及び反応条件を調整することにより制御することができる。
【0017】
実施形態において、樹脂は、樹脂1g当たり約2mgKOH乃至樹脂1g当たり約200mgKOH、実施形態において樹脂1g当たり約5mgKOH乃至樹脂1g当たり約50mgKOHの酸価を有するポリエステル樹脂とすることができる。酸含有樹脂をテトラヒドロフラン溶液中に溶解させることができる。酸価は、指示薬としてフェノールフタレインを含有するKOH/メタノール溶液による滴定によって決定することができる。酸価は、滴定の終点として確認される、樹脂上のすべての酸性基を中和するために必要とされるKOH/メタノールの当量に基づいて計算することができる。
実施形態において、既成の樹脂を樹脂乳濁液の形成のために用いることができる。
【0018】
塩基性薬剤
樹脂は、入手したら、高温において溶融混合することができ、かつ少なくとも1つの塩基又は塩基性薬剤をそこに添加することができる。塩基は固体であってもよく、又は、実施形態においては、水溶液の形態で添加される。実施形態において、アルカリ水溶液は、水、実施形態においては脱イオン水(DIW)と、アルカリ水溶液をアルカリ性pHにさせる少なくとも1つの塩基性薬剤とを含有することができる。実施形態において、塩基性薬剤は樹脂中の酸性基を中和するために用いられるので、塩基性薬剤を本明細書中、「塩基性中和剤」とも呼ぶ。本開示に従って、いずれの適切な塩基性中和剤を用いることもできる。実施形態において、適切な塩基性中和剤としては、無機塩基性薬剤及び有機塩基性薬剤のどちらも挙げられる。
【0019】
塩基性薬剤は、アルカリ水溶液の約0.001重量%乃至約100重量%(純粋な塩基性薬剤)、実施形態においてアルカリ水溶液の約0.01重量%乃至95重量%、実施形態においてアルカリ水溶液の約0.001重量%乃至約10重量%、実施形態においてアルカリ水溶液の約0.01重量%乃至約1重量%、又は実施形態においてアルカリ水溶液の約50重量%乃至約100重量%の量とすることができる。
【0020】
上記の塩基性中和剤を酸性基を有する樹脂と組み合わせて用いる場合、約50%乃至約300%の中和率を達成することができ、実施形態においては約70%乃至約200%の中和率である。実施形態において、中和率は、以下の式

当量の10%NH3における中和率/樹脂(g)/樹脂酸価/0.303*100

を用いて計算することができる。
【0021】
上記の通り、塩基性中和剤を、酸性基を有する樹脂に添加することができる。従って、塩基性中和剤の添加により、酸性基を有する樹脂を含む乳濁液のpHを約5から約9まで、実施形態のいては約6から約8まで上昇させることができる。酸性基の中和により、実施形態において、乳濁液の形成を増進することができる。
【0022】
界面活性剤
実施形態において、本開示のプロセスは、随意に、高温での溶融混合の前、混合の間、又は後に界面活性剤を添加することを含む。実施形態において、界面活性剤を高温での溶融混合の後に添加することができる。使用する場合、樹脂乳濁液は、1、2、又はそれ以上の界面活性剤を含むことができる。陰イオン性界面活性剤及び陽イオン性界面活性剤が「イオン性界面活性剤」という用語に含まれる。実施形態において、界面活性剤は、約5重量%乃至約100重量%(純粋な界面活性剤)、又は約30重量%乃至約95重量%の濃度の水溶液として添加することができる。
【0023】
処理
上記の通り、本発明のプロセスは、高温で樹脂を融解混合することを含み、このプロセスにおいて有機溶媒は使用されない。1つより多くの樹脂を使用してもよい。樹脂は、非晶質樹脂、結晶性樹脂、又はそれらの組み合わせとすることができる。実施形態において、樹脂を非晶質樹脂とすることができ、高温をその樹脂のガラス転移温度より高い温度とすることができる。他の実施形態において、樹脂を結晶性樹脂とすることができ、高温をその樹脂の融点より高い温度とすることができる。更なる実施形態においては、樹脂を非晶質樹脂と結晶性樹脂との混合物とすることができ、温度をその混合物のガラス転移温度より高い温度とすることができる。
【0024】
従って、実施形態において、樹脂乳濁液を作製するプロセスは、少なくとも1つの樹脂を高温まで、実施形態において樹脂のガラス転移温度より高い温度まで加熱し、混合物を撹拌し、温度を高温に維持しながら、アルカリ水溶液を計量しながら混合物に添加することを含むものとすることができる。ポリエステル樹脂中に含まれる酸性カルボキシル基を、アルカリ水溶液との反応により一部中和することができる。中和後、樹脂の親水性及びそれゆえの乳化性は向上することになる。中和度は、樹脂に添加されるアルカリ水溶液の量を調整することによって制御することができる。
【0025】
その後、予備加熱された界面活性剤溶液を用いて、適切な反応器中で、実施形態においてはインペラなしで撹拌のための高強度の音響エネルギーを発生することができる音波混合機を用いて、乳化を生じさせることができる。
適当な音波混合機は、当業者の知識の範囲内のものである。実施形態において、音波混合機は、低周波数で高強度の音響エネルギーを用いて所望の混合をもたらす、インペラを持たない密閉容器を含むものとすることができる。
【0026】
インペラを有する従来の混合機の使用で生じることがある問題としては、中程度の混合サイクル、限られた高粘度混合能、粘性加熱、限られた充填材装填能、高せん断の局部的な混合、接触混合を必要とするので、インペラ洗浄がプロセスにおける必須の追加ステップとなること、及び、プロセスが輸送前に混合及び容器への移動を含むこと挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
それとは反対に、音波混合機を用いることにより見出される利点としては、迅速な混合サイクル、優れた高粘度混合能、低発熱、高率の充填材装填、混合される材料の容積全体にわたる高強度の混合、非接触で衛生的な密閉混合、及び、材料を入れた容器内で混合を行うことができ、その後この容器が輸送されるので、プロセスがより短縮されることを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0028】
本開示に従って選択される音波混合機は、容器全体にわたって一貫したせん断場を与えることによる密接な混合をもたらし、それゆえ、粘性の溶融重合体の混合に特に適したものであり得る。
音波混合機は、共振周波数で作動される。綿密に制御された電気機械式発振器を用いて、混合材料が励振される。音波混合機は、約15ヘルツ乃至約2000ヘルツ、実施形態において約30ヘルツ乃至約1000ヘルツの周波数で作動することができる。系全体が共鳴振動することができるので、高効率のエネルギーの伝達及び溶融重合体の成分の迅速な撹拌が可能になる。
実施形態において、音波混合機は、約1億センチポアズ(cP)までの、実施形態においては約100万cP乃至約8000万cPまでの粘性を有する溶融重合体を扱うことができる。インペラに基づく撹拌機と比較して、音波混合機は、極めて短時間の内に、実施形態において約1分乃至約300分、他の実施形態において約2分乃至約60分で、容易に良好な溶融混合に至ることができる。
【0029】
実施形態において、部分的に中和された溶融樹脂を予備加熱された界面活性剤水溶液と混合することができ、この予備加熱された界面活性剤水溶液は制御された速度で容器にポンプ注入することができる。予備加熱された界面活性剤溶液によって、プロセスのサイクル時間を減らすことができ、かつポリエステルの結晶化を最小化することができる。乳化の操作温度は、適当な流動と十分な乳化を可能にするために、ポリエステルの融点よりも少なくとも20℃高い温度とすべきである。
【0030】
最終的なポリエステルの粒径及び粒度分布は、カルボキシル基の中和度、界面活性剤の量、及び音波混合に付された容器内での合計滞留時間を調節することにより制御することができる。実際には、約30nm乃至約500nm、実施形態において約80nm乃至約300nmの最終粒径を達成することができる。
【0031】
上記の通り、実施形態において、樹脂成分を収容した容器を音波混合装置中に置き、混合し、その後、混合が行われた容器から樹脂材料を取り出すことなく輸送することができる。
【0032】
実施形態において、界面活性剤を溶融混合の前、間、又は後に樹脂組成物の1つ又はそれ以上の成分に対して添加し、それにより、本開示の乳濁液の形成を増進することができる。実施形態において、界面活性剤を塩基性薬剤の添加の前、間、又は後に添加することができる。実施形態において、界面活性剤は、塩基性薬剤の添加の前に添加することができる。他の実施形態において、引き続き、水を、乳濁液の形成の際に加えることができる。アルカリ水溶液、随意の界面活性剤及び/又は水の添加により、界面活性剤及び/又は水組成物の液滴を有する分散相と樹脂の溶融成分を含む連続相とを含む乳濁液が形成される。
【0033】
実施形態において、転相乳濁液を形成することができる。転相は、アルカリ水溶液、随意の界面活性剤及び/又は水組成物を連続的に添加して、樹脂組成物の溶融成分を有する液滴を含む分散相と界面活性剤及び/又は水組成物を含む連続相とを含む転相乳濁液を生成することによって、達成することができる。
【0034】
実施形態において、本開示のプロセスは、樹脂組成物の1つまたはそれ以上の成分を高温まで加熱し、樹脂組成物を撹拌し、温度を高温に維持しながら、随意にアルカリ水溶液の中に入れた塩基、及び随意の界面活性剤を混合物に添加して、分散相と樹脂組成物を含む連続相とを含む乳濁液の形成を増進し、転相が起きて転相乳濁液が形成されるまで、アルカリ水溶液及び随意の界面活性剤を添加し続けることを含むことができる。
【0035】
前述の加熱において、高温への加熱は、約30℃乃至約300℃、実施形態において約50℃乃至約200℃、他の実施形態において約70℃乃至約150℃の温度までの加熱とすることができる。加熱は、一定の温度に保つ必要はなく、変化させることができる。
温度を所望の高さに維持しながら、少なくとも転相が達成されるまで、水性アルカリ組成物及び随意の界面活性剤を計量しながら加熱混合物に添加することができる。他の実施形態において、水性アルカリ組成物及び随意の界面活性剤を計量しながら加熱混合物に添加し、その後、転相が達成されるまで、水溶液、実施形態においては脱イオン水を添加することができる。
【0036】
実施形態において、本開示のプロセスは、音波撹拌機の中で溶融状態へと加熱している間、樹脂を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツ、実施形態においては約30ヘルツ乃至約1000ヘルツの周波数に供すること、及び、転相を行うためのいずれかの界面活性剤及び水性アルカリ組成物の添加の間、樹脂を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツ、実施形態においては約30ヘルツ乃至約800ヘルツの周波数に供することを含むことができる。
【0037】
上記の通り、本開示によれば、アルカリ水溶液は、樹脂を溶融混合した後に該樹脂に添加することができる。アルカリ水溶液の添加は、使用される樹脂が酸性基を有しているような実施形態において有用であり得る。アルカリ水溶液は樹脂の酸性基を中和することができ、それにより、転相乳濁液の形成、及びトナー組成物の形成に適した粒子の形成を増進することができる。
添加の前に、塩基性中和剤を任意の適切な温度とすることができ、この適切な温度には、約20℃乃至約25℃の室温、又は高温、例えば、上述の高温が含まれる。
実施形態において、塩基性中和剤及び随意の界面活性剤は、10分毎に樹脂の重量の約0.01%乃至約10%、実施形態においては10分毎に樹脂の重量の約0.5%乃至約5%、他の実施形態においては10分毎に樹脂の重量の約1%乃至約4%の速度で添加することができる。塩基性中和剤及び随意の界面活性剤の添加速度は一定である必要はなく、変化させることができる。
【0038】
実施形態において、プロセスは、塩基性中和剤及び随意の界面活性剤の添加の後に、水を添加することをさらに含み、水は、約10分毎に樹脂の重量の0.01%乃至約10%、実施形態においては10分毎に樹脂の重量の約0.5%乃至約5%、他の実施形態においては10分毎に樹脂の重量の約1%乃至約4%の速度で計量しながら混合物に添加することができる。水の添加速度は一定である必要はなく、変化させることができる。
【0039】
転相の時点は、乳濁液の成分、加熱温度、撹拌周波数などにより様々であり得るが、塩基性中和剤、随意の界面活性剤、及び随意の水を添加し、その結果得られた樹脂が、乳濁液の重さの約30%乃至約70%、実施形態において乳濁液の重さの約35%乃至約65%、他の実施形態において乳濁液の重さの40%乃至約60%の量で存在するようになったときに、転相が起こり得る。
転相する時点で、樹脂粒子は乳化された状態になり、水相内に分散する。すなわち、水相内に樹脂粒子の水中油型乳濁液が形成される。
転相法は、乳濁液の樹脂の早期の架橋を防止しながら乳濁液を形成することのできる温度での乳濁液の形成を可能にする。
【0040】
転相に続き、転相乳濁液を希釈するために追加の界面活性剤、水、及び/又はアルカリ水溶液を随意に添加することができるが、これは必須ではない。追加の界面活性剤、水、又はアルカリ水溶液はいずれも上記の計量された速度よりもすばやく添加することができる。転相に続き、転相乳濁液を室温、例えば約20℃乃至約25℃まで冷却することができる。
【0041】
水性媒体中における乳化樹脂粒子は、サブミクロンサイズ、例えば、約1μm又はそれ以下、実施形態においては約500nm又はそれ以下、例えば約10nm乃至約500nm、実施形態においては約50nm乃至約400nm、他の実施形態においては約100nm乃至約300nm、ある実施態様においては約200nmのサイズを有することができる。
【0042】
更なる実施形態において、本発明は、有機溶媒を必要としないトナー粒子の製造プロセスを提供する。実施形態において、本開示のプロセスは、樹脂を上述の通り有機溶媒の不存在下で高温にて溶融混合し、樹脂の溶融混合の前、間、又は後のいずれかに界面活性剤を随意に添加し、着色剤、ワックス、及び他の添加剤のようなトナー組成物の1つまたはそれ以上の追加成分を随意に添加し、塩基性薬剤及び水を添加し、音波混合機中にて転相を行って、溶融樹脂及びトナー組成物の随意成分を含むトナーサイズの液滴を含む分散相を含む転相乳濁液を作成し、トナーサイズの液滴を凝固してトナー粒子を得ることを含むことができる。
実施形態において、着色剤、ワックス、及び他の添加剤を含むトナー組成物の随意の追加成分は、樹脂の溶融混合の前、間又は後に添加することができる。追加成分は、随意の界面活性剤の添加の前、間又は後に添加することができる。更なる実施形態において、着色剤は、随意の界面活性剤の添加の前に添加することができる。
【0043】
触媒
実施形態において、転相乳濁液は、その中に樹脂を架橋するための硬化剤又は触媒を含むこともできる。触媒は、熱架橋触媒、例えば、約160℃又はそれより低温、例えば約50℃乃至約160℃又は約100℃乃至約150℃の温度で架橋を開始する触媒とすることができる。触媒は、例えば、転相乳濁液の重量の約0.01%乃至約20%、例えば転相乳濁液の重量の約0.05%乃至約10%又は約0.1%乃至約10%の量で含まれるものとすることができる。
触媒が用いられる場合、触媒は、例えば、転相に先立って溶融混合によりトナー組成物に配合することができる。他の実施形態において、触媒は、転相の後でトナー組成物に添加することができる。
【0044】
実施形態において、転相乳濁液は良好な保存安定性を有しており、例えば、室温条件にて長期にわたり十分な安定性を保つことが可能である。
【0045】
トナー
前述のように形成された乳濁液を、トナー組成物を形成するために用いることができる。そのようなトナー組成物は、随意の着色剤、ワックス、及び他の添加剤を含むことができる。トナーは、当業者の知識の範囲内のいずれかの方法を利用して形成することができる。
【0046】
着色剤
添加される着色剤として、染料、顔料、染料の混合物、顔料の混合物、染料と顔料との混合物などのような種々の公知の適切な着色剤をトナー中に入れることができる。着色剤は、例えば、トナーの重量の約0.1乃至約35パーセント、トナーの重量の約1乃至約20パーセント、トナーの重量の約3乃至約15パーセントの量でトナー中に含まれるものとすることができる。
【0047】
ワックス
随意に、ワックスを樹脂乳濁液と共に入れることもでき、又はトナー粒子の形成の際に樹脂及び着色剤とを組み合わせることもできる。含まれる場合、ワックスは、例えば、トナー粒子の約1重量パーセント乃至約30重量パーセント、実施形態においてはトナー粒子の約5重量パーセント乃至約25重量パーセントの量で存在するものとすることができる。
選択することができるワックスとしては、例えば、約500乃至約20,000、実施形態において約1,000乃至約10,000の重量平均分子量を有するワックスを挙げることができる。
【0048】
トナーの調製
実施形態において、本開示の樹脂乳濁液を用いて調製されるトナーは、樹脂、随意に着色剤(着色剤を用ない場合、トナー組成物は「無色」又は「透明」と称される)、随意にワックス、及び随意に電荷制御剤を含むことができる。実施形態において、前記の転相を行う前に、全てのトナー成分、例えば、樹脂、アルカリ水溶液、ワックス、着色剤、及び電荷制御剤を組み合わせて、転相したときにトナー粒子が形成されるようにすることができる。他の実施形態において、転相を前述のように行って樹脂乳濁液を生成し、それに続いて、残りのトナー成分を乳濁液に添加して、当業者の知識の範囲内のいずれかの適切な方法によってトナー粒子を形成することもできる。
従って、実施形態において、転相を行う前に、樹脂、着色剤、ワックス、及び内部電荷制御剤を含む「内部」トナー成分は混合物中に存在することができ、転相が行われる前に「外部」トナー成分を含むことは随意である。「内部」及び「外部」という用語は、そのトナー成分が、得られたトナー粒子の全体にわたって見出されるか又はその表面だけに見出されるかということを指す。実施形態において、転相を行う前に、トナー組成物の成分を、約60℃乃至約200℃いずれかの適当な温度にて、約10分乃至約10時間の時間で溶融混合により混和することができる。
転相乳濁液に対して、トナー組成物の成分は、重量で転相乳濁液の約5%乃至約35%、実施形態において転相乳濁液の約5%乃至約20%、他の実施形態において転相乳濁液の約10%乃至約20%の量で存在することができる。
【0049】
凝集及び合体
実施形態において、トナーは、着色剤と、随意にワックスと、いずれかの他の所望の又は必要とされる添加剤との混合物と、樹脂を含む転相乳濁液とを凝集させ、続いて随意に凝集粒子を合体させることを含むプロセスにより調製することができる。
【0050】
実施形態において、樹脂を含むトナー粒子の作製方法は、上記の樹脂の転相乳濁液と、着色剤分散体、随意のワックス分散体及び他の添加剤とを混和及び加熱し、凝集剤を含有する水溶液をそこに添加し、随意に冷却し、随意にワックス及び他の添加剤を添加することを含む。例えば、トナーは、樹脂の転相乳濁液と着色剤分散体とを約30℃乃至約100℃、実施形態において約40℃乃至約90℃、他の実施形態において約45℃乃至約80℃の温度にて混和し、そこに、所望の体積平均径の凝集粒子が得られるまで凝集剤溶液を添加し、得られたトナーを冷却し、単離し、随意に水で洗浄し、トナーを乾燥させることを含むプロセスにおいて形成することができる。凝集のための前記の温度は、樹脂のガラス転移温度より約3℃乃至約15℃下回る温度、例えば、ガラス転移温度より約4℃乃至約10℃下回る温度、又はガラス転移温度より約5℃乃至約8℃下回る温度とすることができる。
【0051】
トナー粒子を形成するため、初期転相樹脂乳濁液の固形分は、転相乳濁液の約5%乃至約50%、実施形態において転相乳濁液の約5%乃至約20%、他の実施形態において転相乳濁液の約10%乃至約30%とすることができる。この固形分を達成するために、転相乳濁液は、前述のように形成中に希釈することができ、又は追加の水を前述のように添加して、トナー粒子形成プロセスの間に希釈が行われるようにすることができる。
【0052】
トナーの形成のために、任意の適切な凝集剤を用いることができる。
凝集剤は、トナーを形成するために用いられる混合物に対して、例えば、混合物中の樹脂の約0.1重量%乃至約8重量%、実施形態において約0.2重量%乃至約5重量%、他の実施形態において約0.5重量%乃至約5重量%の量で添加することができる。これにより、凝集のために十分な量の凝集剤が提供される。
粒子の凝集及び合体を制御するために、実施形態において、凝集剤は、計量しながら時間をかけて添加することができる。例えば、凝集剤を、約5乃至約240分、実施形態において約30乃至約200分の時間をかけて、計量しながら混合物に添加することができるが、所望又は必要に応じて、それより長い時間又は短い時間を用いることもできる。凝集剤の添加は、混合物を実施形態において約50rpm乃至約1,000rpm、他の実施形態において約100rpm乃至約500rpmの撹拌条件下で、前述のような高温に維持しながら行うこともできる。
【0053】
粒子を、所定の所望の粒径が得られるまで凝集及び/又は合体させることができる。所定の所望のサイズとは、形成の前に決定された得るべき所望の粒径のことを指し、粒径は、そのような粒径に達するまでの成長プロセスの間、監視される。成長プロセスの間に試料を採取し、例えばクールター計数器で、平均粒径について分析することができる。それゆえ、高温を維持することにより、又は、温度を例えば約30℃から約100℃までゆっくりと昇温させ、この温度で混合物を約0.5時間乃至約10時間、実施形態において約1時間乃至約5時間にわたって保持し、その間、撹拌を続けることによって、凝集/合体を進行させて、凝集粒子を得ることができる。所定の所望の粒径に達したら、成長プロセスを停止させる。実施形態において、所定の所望の粒径は上述のトナー粒径範囲内である。
【0054】
凝集剤の添加に続く粒子の成長及び成形は、いずれかの適当な条件下で達成することができる。例えば、成長及び成形は、凝集が合体とは別に起こる条件下で行うことができる。分離した凝集段階及び合体段階のために、凝集プロセスを、せん断条件下で、高温、例えば約40℃乃至約90℃、実施形態において約45℃乃至約80℃において行うことができ、この温度は、上述のように樹脂のガラス転移温度よりも低い温度とすることができる。
【0055】
所望の粒径への凝集に続き、粒子を所望の最終形状へと合体することができ、合体は、例えば、混合物を約50℃乃至約105℃、実施形態において約65℃乃至約100℃の温度に加熱し、及び/又は、例えば、約400rpm乃至約1,000rpm、実施形態において約500rpm乃至約800rpmまで撹拌を速くすることにより達成され、上記温度は、樹脂のガラス転移温度またはそれを上回る温度とすることができる。より高い温度又はより低い温度を用いることができ、この温度はバインダとして用いられる樹脂に相関するものであることが理解される。合体は、約0.01乃至約10時間、実施形態において約0.1乃至約6時間かけて行うことができる。
【0056】
凝集及び/又は合体の後、混合物を室温、例えば20℃乃至約25℃まで冷却することができる。冷却は、所望におうじて急速であってもよく又は緩慢であってもよい。適切な冷却方法は、反応器を取り巻くジャケットに冷水を導入することを含む。冷却後、トナー粒子を随意に水で洗浄し、その後、乾燥させることができる。乾燥は、例えば凍結乾燥を含む、いずれかの適切な乾燥方法により行うことができる。
【0057】
添加剤
実施形態において、トナー粒子は、所望又は必要に応じて他の随意の添加剤を含むことができる。例えば、トナーは、正電荷又は負電荷制御剤を、例えばトナーの重量の約0.1乃至約10パーセント、実施形態においてはトナーの重量の約1乃至約3パーセントの量で含むことができる。
【0058】
トナー粒子に、流動補助添加剤を含む外部添加粒子を混和することもでき、この添加剤はトナー粒子の表面上に存在することができる。これら外部添加剤の各々は、トナーの約0.1重量パーセント乃至約5重量パーセント、実施形態においてトナーの約0.25重量パーセント乃至約1重量パーセントの量で存在することができる。適切な添加剤としては、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に開示されたものが挙げられる。
【0059】
実施形態において、乾燥トナー粒子は、外部表面添加物を除き、次の特性を有することができる。
(1)体積平均径(「体積平均粒径」とも称する)が、約3乃至約25μm、実施形態において約5乃至約15μm、他の実施形態において約7乃至約12μm。
(2)数平均幾何粒度分布(GSDn)及び/又は体積平均幾何粒度分布(GSDv)が、約1.05乃至約1.45、実施形態において約1.1乃至約1.4。
(3)真円度が、約0.9乃至約1(例えば、Sysmex FPIA 2100分析器にて測定)。
【0060】
実施形態において、上記のトナー粒子の特性は、トナーサイズの液滴を凝固してトナー粒子とし、その後、ろ過のようないずれかの随意の処理を行った後で決定することができる。
トナー粒子の特性は、いずれかの適切な手法及び装置により決定することができる。体積平均粒径D50v、GSDv、及びGSDnは、Beckman Coulter Multisizer 3のような測定装置を製造者の指示に従って操作することによって、測定することができる。代表試料の採取は、以下のように行うことができる。すなわち、少量のトナー試料、約1グラムを取り、25マイクロメートルのスクリーンでろ過し、その後、等張溶液中に入れて約10%の濃度とし、この試料をBeckman Coulter Multisizer 3に供する。
【0061】
現像剤
トナー粒子は、現像剤組成物に配合することができる。トナー粒子をキャリア粒子と混合して、二成分系現像剤組成物を得ることができる。現像剤中のトナー濃度は、現像液の総重量の約1重量%乃至約25重量%、実施形態において現像液の総重量の2重量%乃至約15重量%とすることができる。
【0062】
キャリア
トナーと共に混合するために用いることができるキャリア粒子の例としては、トナー粒子とは反対の極性の電荷を摩擦電気的に得ることが可能な粒子が挙げられる。他のキャリアとしては、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6に開示されたものが挙げられる。
【0063】
選択されたキャリア粒子は、コーティング有り又はなしで用いることができる。実施形態において、キャリア粒子は、コーティングで覆われたコアを含むことができ、このコーティングは、帯電系列内で近接しない重合体の混合物から形成することができる。実施形態において、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチル(PMMA)とを、約30乃至約70重量%対約70乃至約30重量%の割合、実施形態において約40乃至約60重量%対約60乃至約40重量%の割合で混合することができる。コーティングは、例えば、キャリアの重量の約0.1乃至約5%、実施形態においてキャリアの重量の約0.5乃至約2%の被覆量を有するものとすることができる。
【0064】
実施形態において、得られる共重合体が適切な粒径を保持する限り、PMMAを任意の所望の共重合用単量体と随意に共重合させることができる。キャリア粒子は、キャリア・コアを、コーティングされたキャリア粒子の重量にもとづいて約0.05乃至約10重量パーセント、実施形態において約0.01パーセント乃至約3重量パーセントの量の重合体と、該重合体が機械的インパクション(mechanical impaction)及び/又は静電引力によりキャリア・コアに付着するまで混合することにより調製することができる。
【0065】
キャリア・コア粒子の表面に重合体を塗布するために、種々の有効で適切な手段、例えば、カスケード・ロール混合、タンブリング、ミリング、振盪、静電パウダークラウド吹付け、流動床、ディスク型静電処理(electrostatic disc processing)、静電カーテン(electrostatic curtain)、それらの組み合わせなどを用いることができる。次いで、キャリア・コア粒子と重合体との混合物を加熱して、重合体を溶融させてキャリア・コア粒子に融合できるようにすることができる。次いで、コーティングされたキャリア粒子を冷却し、その後、所望の粒径に分級することができる。
【0066】
実施形態において、適切なキャリアは、約0.5重量%乃至約10重量%、実施形態において約0.7重量%乃至約5重量%の例えばアクリル酸メチル及びカーボンブラックを含む導電性重合体混合物によって、特許文献7及び特許文献8に記載のプロセスを用いてコーティングされた、約25乃至約100μm、実施形態において約50乃至約75μmの大きさの鋼のコアを含むことができる。
【0067】
キャリア粒子を種々の適切な組み合わせでトナー粒子と混合することができる。濃度は、トナー組成物の重量の約1%乃至約20%とすることができる。しかしながら、所望の特性を有した現像剤組成物を得るために、異なるトナーとキャリアとの割合を用いることができる。
【0068】
画像形成
トナーは、特許文献9に開示されたものを含む静電複写又はゼログラフィ・プロセスに利用することができる。実施形態において、例えば、磁気ブラシ現像、ジャンピング一成分系現像、ハイブリッド・スカベンジレス現像(HSD)などを含むいずれかの公知のタイプの現像システムを現像装置内で用いることができる。これら及び同様の現像システムは、当業者の知識の範囲内である。
【0069】
画像形成プロセスは、例えば、帯電構成要素、画像形成構成要素、光導電構成要素、現像構成要素、転写構成要素、及び定着構成要素を含むゼログラフィ装置で画像を調製することを含む。実施形態において、現像構成要素は、キャリアを本明細書に記載のトナー組成物と混合することによって調製される現像剤を含むことができる。ゼログラフィ装置としては、高速プリンタ、白黒高速プリンタ、カラープリンタなどを挙げることができる。
【0070】
旦、画像が前述の方法のうちの1つのような適切な画像現像法によりトナー/現像剤で形成されると、画像は次に紙などのような画像受容媒体に転写される。実施形態において、トナーは定着器ロール部材を使用する画像現像装置内で画像を現像する際に用いることができる。定着器ロール部材は、当業者の知識の範囲内の接触定着装置であり、そこでは、ロールからの熱及び圧力を用いてトナーが画像受容媒体に定着される。実施形態において、定着部材を、画像受容基材上での溶融の後で又はその最中にトナーの定着温度を上回る温度、例えば、約70℃乃至約210℃、実施形態において約80℃乃至約205℃、他の実施形態において約90℃乃至約200℃まで加熱することができる。
【0071】
トナー樹脂が架橋性であるような実施形態において、そのような架橋はいずれかの適切な方法で行われる。実施形態において、架橋は、約160℃又はそれより低い温度、実施形態において約70℃乃至約160℃、他の実施形態において約80℃乃至約140℃の温度で行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、
随意に界面活性剤を前記樹脂に添加し、
前記樹脂に塩基性試薬及び水を添加し、
前記樹脂、前記塩基性薬剤及び前記水を、約15ヘルツ乃至2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成する
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記樹脂の溶融混合が約30℃乃至約300℃の温度で起こることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機溶媒の不存在下で樹脂を溶融混合し、
随意に界面活性剤を前記樹脂に添加し、
随意にトナー組成物の1つまたはそれ以上の追加成分を樹脂に添加し、
前記樹脂に塩基性試薬及び水を添加し、
前記樹脂、前記塩基性薬剤及び前記水を約15ヘルツ乃至2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成し、
転相を行って、前記溶融樹脂及び前記トナー組成物の随意成分を含む分散相を含有する転相乳濁液を作成し、
トナーサイズの液滴を凝固させてトナー粒子を得る
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
有機溶媒の不存在下で、酸性基を有するポリエステル樹脂を溶融混合し、
界面活性剤を前記樹脂に添加し、
前記樹脂に塩基性中和剤及び水を添加し、
前記樹脂、前記塩基性薬剤及び前記水を約15ヘルツ乃至約2000ヘルツの周波数における音波混合に付して樹脂粒子の乳濁液を形成する
工程を含み、
前記音波混合がインペラを持たない音波混合機中で行われることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2010−248511(P2010−248511A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91993(P2010−91993)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】