説明

無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリル

【課題】使用後の吸煙グリルの掃除が容易であるとともに、煙を効率よく吸煙し、更に吸煙グリルの装着又は取り外し作業を容易にした無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリルを提供すること。
【解決手段】テーブル天板に係止されるとともに任意の箇所に排煙手段が連結される外胴2と、周辺部任意の箇所において外胴2との間に吸煙空間4が形成されつつ外胴2内に係止される内胴3と、内胴3内に配設された加熱源5と、加熱源5の上方側に配置される網6と、吸煙空間4の上部を閉塞する吸煙グリル11と、を具備した無煙ロースターであって、吸煙グリル11は、前記吸煙空間4の上方を閉鎖する化粧リング12と、化粧リング12の下端に連設されたグリル本体13と、グリル本体13に形成した複数個の横長の吸煙窓1303と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリルに係り、より詳しくは、使用後の掃除を容易にするとともに調理過程において発生した煙をより有効に吸煙可能にした無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に無煙ロースターは図4で示す構造をしている。即ち、図4は従来から一般的に使用されている無煙ロースターの構造を示す概略縦断正面図であり、この従来の無煙ロースターでは、テーブル天板Tに形成された切欠T1内に挿装される外胴31を備えている。そして、この外胴31は、有底の略円筒状、または上部を開口とした有底の箱形状としており、その底部には、図示しない排気ダクトが連結される排気口3101が形成されている。
【0003】
また、前記外胴31の内部には内胴32が係止されており、その係止に際しては、内胴32の外周と前記外胴31の内壁との間に吸煙空間33が形成されるようにしている。
【0004】
そして、この内胴32の底部には水槽34が設置され、また、前記内胴32の上部には網35が載置され、更に、網35の下方にはガスバーナー等の加熱源36が設置されている。
【0005】
また、図において、網35の上方には、前記吸煙空間33の上部を閉鎖するような配置で、吸煙グリル37が載置されている。そして、この吸煙グリル37には複数個の吸煙窓3701が形成されており、これにより、調理の過程で発生した煙は、前記吸煙窓3701より前記吸煙空間33内に吸煙され、その後に、前記外胴31の底部に形成した排気口3101から排気ダクトに排煙されていく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述のように従来の無煙ロースターにおいては調理の過程で発生した煙を吸煙するために吸煙グリルを具備しているが、一般的に吸煙グリルに形成した吸煙窓は、図4にも示すように縦長の形状となっている。
【0007】
一方、使用後の吸煙グリルの掃除の際には、吸煙グリルの周方向に向けて雑巾等を移動して吸煙グリルに付着した油分等を取り除くことが一般的であるが、このとき、従来の吸煙グリルでは、吸煙窓を縦長に形成していたために、この吸煙窓に雑巾等が引っ掛かりやすく、そのために掃除の効率が悪いという問題点が指摘されていた。
【0008】
また、図4に示すように、従来の無煙ロースターでは、吸煙グリル37の上方において、外胴31の開口の周縁部分を覆うような配置で化粧リング38を装着し、外胴31の開口の周縁部分に化粧リング38によってひさし部分39を形成して、これによりテーブル天板T上の見栄えを良くしていたが、このとき、ひさし部分39の下方に空間が形成されてしまい、この空間に煙が滞留してしまうという問題点が考えられていた。
【0009】
更に、化粧リングが吸煙グリルと別部品であるために、装着又は取り外し作業が煩雑にならざるを得ないという問題点も考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、使用後の吸煙グリルの掃除が容易であるとともに、煙を効率よく吸煙し、更に吸煙グリルの装着又は取り外し作業を容易にした無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリルを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明における無煙ロースターは、テーブル天板に係止されるとともに任意の箇所に排煙手段が連結される外胴と、周辺部任意の箇所において前記外胴との間に吸煙空間が形成されつつ前記外胴内に係止される内胴と、該内胴内に配設された加熱源と、該加熱源の上方側に配置される網と、前記吸煙空間の上部を閉塞する吸煙グリルと、を具備した無煙ロースターであって、
前記吸煙グリルは、
前記吸煙空間の上方を閉鎖する化粧リングと、
該化粧リングの下端に連設されたグリル本体と、
前記グリル本体に形成した複数個の横長の吸煙窓と、を具備したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無煙ロースターにおいては、吸煙グリルに形成した吸煙窓を横長にしているために、雑巾等を吸煙グリルの周方向に移動させて掃除する際に、吸煙窓に雑巾等が引っ掛かることを有効に防止することが可能である。
【0013】
また、従来の化粧リングを一体化して吸煙グリルを構成したために、煙が滞留する空間を無くすることができるとともに、吸煙グリルの装着又は取り外しが容易となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の無煙ロースターでは、テーブル天板に係止されるとともに任意の箇所に排煙手段が連結される外胴を備えており、この外胴の内部には、外胴との間に吸煙空間を形成しつつ内胴が係止され、この内胴の内部には加熱源が配設されるとともに、加熱源の上方における内胴の上部には網が載置されている。
【0015】
また、本発明の無煙ロースターでは、前記吸煙空間の上部を閉鎖する吸煙グリルを備えており、この吸煙グリルは、前記吸煙空間の上方を閉鎖する化粧リングと、この化粧リングの下端に連設された吸煙グリル本体とで構成されるとともに、前記吸煙グリル本体には、複数個の横長とした吸煙窓が形成されている。
【0016】
ここで、前記化粧リングと吸煙グリル本体との連設部に複数個の上部吸煙部を形成するとよく、これにより、吸煙窓で吸煙できずに上昇した煙を吸煙可能となり、より効果的に煙を吸煙することが可能となる。
【実施例1】
【0017】
本発明の無煙ロースターの実施例について図面を参照して説明すると、図1は、本実施例の無煙ロースターの構造を示す一部断面図である。そして、図においてTは、本実施例の無煙ロースターが装着されるテーブル天板である。
【0018】
即ち、本実施例の無煙ロースターでは、前記テーブル天板Tに形成された切欠T1内に挿装される外胴2を備えており、この外胴2は、有底の略円筒状、または上部を開口とした有底の箱形状としている。
【0019】
そして、外胴2の底部には、図示しない排気ダクトが連結される排気口203が形成され、この排気口203を塞ぐようにして外胴2の底部にはグリスフィルター204が配置され、更にグリスフィルター204の下方には防火用ダンパー205が配設されている。
【0020】
次に、前記外胴2の内部には、外胴2の内壁との間に吸煙空間4が形成される配置で内胴3が係止されている。即ち、本実施例において前記内胴3は、前記外胴2内に挿装可能な寸法とした、有底の略円筒形状としており、上端部には、その全域において、外周側に向けて段差部301が形成されている。
【0021】
また、側壁任意の箇所には外周側に向けて係止突起302が突設され、この係止突起302を、前記外胴2の内周側に形成した係止棚部202に係止し、これにより、前記外胴2の内壁との間に吸煙空間4が形成される配置で、外胴2の内部に内胴3が係止されている。
【0022】
次に、本実施例において前記内胴3の内部には加熱源としてのガスバーナー5が配設されるとともに、このガスバーナー5の上方における前記内胴3の段差部301上には、調理部としての網6が載置されており、ガスバーナー5からの炎によって、網6上に載置した肉、野菜等の食材を調理可能としている。なお、本実施例において前記ガスバーナー5は、前記外胴2及び内胴3のそれぞれに形成した挿入孔206、303を介して内胴3の内部に挿装している。
【0023】
但し、前記加熱源としては、必ずしもガスバーナーを用いる必要はなく、その他、炭コンロを内胴3の内部に設置して、炭を加熱源として用いてもよく、あるいは加熱源として電気式の加熱手段を用いてもよい。
【0024】
次に、図において7は水槽である。即ち、本実施例においては、前記内胴2内の底部に水槽5を配設しており、この水槽7によって、調理の過程で上方から落下してくる油分やカス等を捕獲可能としている。
【0025】
なお、本実施例では内胴3の底部に水槽7を配置した形態を示しているが、その他、内胴3の底部を水槽に兼用してもよい。
【0026】
次に、図において11は吸煙グリルである。即ち、本実施例における無煙ロースターでは、前記吸煙空間4の上方を閉鎖するための吸煙グリル11を備えており、この吸煙グリル11によって調理の過程で発生した煙を前記吸煙空間4内に吸引することとしている。
【0027】
ここで、前記吸煙グリル11について詳細に説明すると、図2は本実施例における前記吸煙グリル11の拡大縦断正面図であり、また、図3は本実施例における吸煙グリル11を分解した状態の拡大縦断正面図であり、図において、本実施例の吸煙グリル11は、化粧リング12と、この化粧リング12の下端に連設したグリル本体13を有している。
【0028】
そして、前記グリル本体13は、下方に向かって徐々に径を小さくして側壁をテーパー状としたリング状の本体部1301を有しており、この本体部1301の上端部分は、その全域をわずかに内周側に向けて連結部1302を形成している。
【0029】
また前記本体部1301の下端には、略円筒形状の載置部1305が連設されており、この載置部1305を前記内胴3における段差部301上に載置することとしている。
【0030】
また、前記テーパー状とした本体部1301には、複数個の吸煙窓1303を形成しており、本実施例においてこの吸煙窓1303は、所定長の横長状とし、多段に亘り、本体部1301の周方向に向かい、等間隔で複数個形成しており、これにより使用後の掃除を容易にしている。
【0031】
即ち、従来のように縦長の吸煙窓の場合には、掃除に際して雑巾等を周方向に移動させた場合には、縦長とした吸煙窓の縁部分に雑巾等が引っ掛かってしまうことが頻繁に起こっていたが、本実施例においては吸煙窓を横長に形成しているために、雑巾等を周方向に移動させた場合でも雑巾等が吸煙窓の縁部分に引っ掛かってしまう頻度を少なくすることができ、これにより掃除を容易にして作業効率を高めることが可能である。
【0032】
次に、前記化粧リング12について説明すると、本実施例において前記化粧リング12は、リング状の平坦な上面部1201を有しており、この上面部1201の内周側の端部には、下方に向けて徐々に径を広げた側面部1202を連設して、この側面部1202の下端部分に前記グリル本体13における連結部1302を連結し、これにより、化粧リング12の下端にグリル本体13を連設している。
【0033】
ここで、図2において14は上部吸煙窓である。即ち、本実施例における吸煙グリル11では、前記連結部1302の任意の箇所に複数個の切り欠き1304を形成しており、及び、化粧リング12における側面部1202の下端部分にもまた、化粧リング12における側面部1202の下端とグリル本体13における連結部1302とを重ね合わせた際に前記切り欠き1304に対応可能な配置で複数個の切り欠き1203を形成している。そして、それぞれの切り欠き1304,1203が対向する配置で化粧リング12における側面部1202の下端とグリル本体13における連結部1302とを重ね合わせて、前記切り欠き1203、1304以外の複数箇所で側面部1202の下端と連結部1302とを溶接等により固着し、これにより、前記化粧リング12の下端にグリル本体13を連設するとともに、側面部1202の下端と連結部1302との連結箇所に複数個の上部吸煙窓14を形成している。そのために、本実施例の吸煙グリル11によれば、上部吸煙窓14によっても煙を吸引することができ、煙が滞留する空間を無くすことが可能である。
【0034】
なお、図において1204は、化粧リング12における前記上面部の周縁に下方に向けて連設した縁部であり、本実施例においては、この縁部1204の下端を前記外胴2における内周側の上部近傍箇所に形成した載置棚部201上に載置することとしている。
【0035】
次に、このように構成される本実施例の無煙ロースターの作用について説明すると、本実施例の無煙ロースターにおいて、網6上における肉、野菜等の調理の過程で発生した煙は、網6の上方に上昇した後に吸煙窓1303より吸引されて吸煙空間4内に導かれ、その後、排気口203から排気ダクトへ排出される。
【0036】
また、吸煙窓1303により吸引されずに更に上昇した煙は、化粧リング12とグリル本体13との連結部分に形成した上部吸煙窓14より吸引することが可能である。
【0037】
従って、本実施例の無煙ロースターでは、調理の過程で発生した煙を漏れなく有効に吸引して排気することが可能である。
【0038】
また、グリル本体13に形成した吸煙窓1303を横長にしているために、使用後の掃除の際に、雑巾等を周方向に移動させた場合でもこの雑巾等が吸煙窓1303の縁部分に引っ掛かってしまう頻度を少なくすることができ、これにより掃除を容易にして作業効率を高めることが可能である。
【0039】
更にまた、化粧リング12を一体化して吸煙グリル11を構成しているために、吸煙グリル11の装着又は取り外しの際に化粧リング12を別途で取り外す必要が無いために、装着又は取り外しの作業が極めて容易である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の無煙ロースター及びそれに用いる吸煙グリルでは、使用後の掃除を容易にするとともに、調理の過程で発生した煙を効果的に吸煙可能としているために、無煙機能を有する加熱調理器の全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の無煙ロースターの実施例の縦断正面構造を示す断面図である。
【図2】本発明の無煙ロースターの実施例における吸煙グリルの拡大縦断正面を示す図である。
【図3】本発明の無煙ロースターの実施例における吸煙グリルを分解した状態の拡大縦断正面を示す図である。
【図4】従来の無煙ロースターを説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0042】
2 外胴
201 載置棚部
202 係止棚部
203 排気口
204 グリスフィルター
205 防火用ダンパー
206 挿入孔
3 内胴
301 段差部
302 係止突起
303 挿入孔
4 吸煙空間
5 ガスバーナー
6 網
7 水槽
11 吸煙グリル
12 化粧リング
1201 上面部
1202 側面部
1203 切り欠き
1204 縁部
13 グリル本体
1301 本体部
1302 連結部
1303 吸煙窓
1304 切り欠き
1305 載置部
14 上部吸煙窓
T テーブル天板
T1 切り欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブル天板に係止されるとともに任意の箇所に排煙手段が連結される外胴(2)と、
周辺部任意の箇所において前記外胴(2)との間に吸煙空間(4)が形成されつつ前記外胴(2)内に係止される内胴(3)と、
該内胴(3)内に配設された加熱源(5)と、
該加熱源(5)の上方側に配置される網(6)と、
前記吸煙空間(4)の上部を閉塞する吸煙グリル(11)と、を具備した無煙ロースターであって、
前記吸煙グリル(11)は、
前記吸煙空間(4)の上方を閉鎖する化粧リング(12)と、
該化粧リング(12)の下端に連設されたグリル本体(13)と、
前記グリル本体(13)に形成した複数個の横長の吸煙窓(1303)と、を具備したことを特徴とする無煙ロースター。
【請求項2】
前記化粧リング(12)とグリル本体(13)との連設部に複数個の上部吸煙部(14)を形成したことを特徴とする請求項1に記載の無煙ロースター。
【請求項3】
テーブル天板に係止されるとともに任意の箇所に排煙手段が連結される外胴(2)と、周辺部任意の箇所において前記外胴(2)との間に吸煙空間(4)が形成されつつ前記外胴(2)内に係止される内胴(3)と、該内胴(3)内に配設された加熱源(5)と、該加熱源(5)の上方側に配置される網(6)と、前記吸煙空間(4)の上部を閉塞する吸煙グリル(11)と、を具備した無煙ロースターに用いる前記吸煙グリル(11)であって、
前記吸煙空間(4)の上方を閉鎖する化粧リング(12)と、
該化粧リング(12)の下端に連設されたグリル本体(13)と、
前記グリル本体(13)に形成した複数個の横長の吸煙窓(1303)と、を具備したことを特徴とする無煙ロースターに用いる吸煙グリル。
【請求項4】
前記化粧リング(12)とグリル本体(13)との連設部に複数個の上部吸煙部(14)を形成したことを特徴とする請求項3に記載の無煙ロースターに用いる吸煙グリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−93112(P2008−93112A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276849(P2006−276849)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(597161584)
【Fターム(参考)】