説明

無端ベルト製造方法、この方法によって製造された無端ベルト、この無端ベルトを使用した画像形成装置及び無端ベルトの製造装置

【課題】簡単な構造の塗布装置で、均一な膜厚の無端ベルトを容易かつ確実に製造することのできる無端ベルトの製造方法、この方法によって製造された無端ベルト、この無端ベルトを使用した画像形成装置及び無端ベルトの製造装置を提供する。
【解決手段】高粘度の第1塗布液層51は、所定の厚みで適切に形成されると共に、高粘度塗布液層の欠点である第1塗布液層51の上面51aのスパイラル状の痕跡5aが、この第1塗布液層51上面51aを被覆する低粘度の塗布液層である第2塗布液層52で被覆されて平坦な表面5bを有する塗布液層5が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトの製造方法、この方法によって製造された無端ベルト、この無端ベルトを使用した画像形成装置及び無端ベルトの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置においては、トナー像を形成する感光体、感光体からトナー像が転写されて記録紙にトナー像を転写する中間転写体、記録紙に転写されたトナー像を定着する定着装置等に、無端状のベルトが使用され、トナー像や記録紙等を搬送する手段として使用されている。この種の無端状ベルトは、良好な画像を形成するために、数10μm〜100μm程の厚膜層であることが一般的であり、かつ数μmオーダーの膜厚均一性が要求されている。
このような膜圧均一な無端ベルトの製造方法として、円柱または円筒の金型をその中心軸上で回転させると共に、塗布ノズルを当該金型の中心軸と平行に走査させながら当該金型表面に当該塗布ノズルから塗布液を吐出して螺旋状に塗布液層を形成し、しかる後、当該塗布液層を加熱固化して当該固化した塗布液層を金型から離型させて無端ベルトを作製する無端ベルト製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−85756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の方法では、塗布液の粘度が低いとその流動性から厚膜の形成が困難であり、逆に粘度が高いとスパイラル痕と言われる周期的な膜厚変動を生じてしまう。そのため、粘度や金型の回転速度など均一な膜厚を形成するための最適な条件を見出すことが困難であるという問題がある。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、簡単な構造の塗布装置で、均一な膜厚の無端ベルトを容易かつ確実に製造することのできる無端ベルトの製造方法、この方法によって製造された無端ベルト、この無端ベルトを使用した画像形成装置及び無端ベルトの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、円柱または円筒の金型を中心軸で回転させると共に塗布ノズルを当該金型の中心軸と平行に走査させながら当該金型表面に当該塗布ノズルから塗布液を吐出して螺旋状に塗布液層を形成し、しかる後、当該塗布液層を加熱固化して当該固化した塗布液層を金型から離型させて無端ベルトを製造する無端ベルト製造方法において、前記塗布液として、粘度の異なる2種の塗布液を用い、所定の粘度の第1塗布液によって前記金型表面に第1の塗布液層を形成した後に第1塗布液の粘度より低粘度の第2塗布液による第2の塗布液層を前記第1の塗布液層上に形成することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1記載の無端ベルト製造方法において、前記第1の塗布液層は、金型表面に連続して形成される層であり、前記第2の塗布液層は、当該第1の塗布液層の上面上に重層して形成されることを特徴とする。
【0005】
また、請求項3の発明は、請求項1記載の無端ベルト製造方法において、前記第1の塗布液層は、金型表面に所定の間隔を置いて形成される層であり、前記第2の塗布液層は、当該間隔内を充填し、少なくとも当該第1の塗布液層の側面上に重層して形成されることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の無端ベルト製造方法によって製造されることを特徴とする無端ベルトとしたものである。
また、請求項5の発明は、請求項4記載の無端ベルトを中間転写ベルトとすることを特徴とする画像形成装置としたものである。
【0006】
また、請求項6の発明は、円柱または円筒の金型と、当該金型の中心軸を回転させる回転駆動手段と、塗布液を当該金型の表面に吐出する塗布ノズルと、当該塗布ノズルに塗布液を供給する塗布液供給手段と、当該塗布ノズルを金型の中心軸と平行に金型表面に沿って移動させる移動手段と、金型表面に形成された塗布液層を加熱、固化させる加熱手段とを備えた無端ベルトの製造装置において、前記塗布ノズルは、所定粘度の第1の塗布液を吐出する第1の塗布ノズルと当該第1の塗布液の粘度よりも低粘度の第2の塗布液を吐出する第2の塗布ノズルを備えていることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6記載の無端ベルトの製造装置において、前記移動手段による第1及び第2の塗布ノズルの移動量を制御する制御手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記構成を採用することによって、簡単な構造の塗布装置で、均一な膜厚の無端ベルトを容易かつ確実に製造することのできる無端ベルトの製造方法、この方法によって製造された無端ベルト、この無端ベルトを使用した画像形成装置及び無端ベルトの製造装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明においては、従来のスパイラル塗布工法によって無端ベルトを製造した場合に、使用する塗布液の粘度の違いによって、一長一短があり、その長所を適切に組み合わせることによって、均一な膜厚の無端ベルトを容易に製造可能であることを究明したものである。
先ず、従来のスパイラル塗布工法によって無端ベルトを製造する際に、使用する塗布液の粘度によって得られる無端ベルトの長所及び短所について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、従来のスパイラル塗布を行う塗布装置の概略構成を示す図である。図中、1は、ステンレス、アルミニウム等の金属で形成された円柱状の金型で、その両端の回転中心軸2が図示しないホルダーによって回転自在に保持されている。3は、金型1の中心軸2の一端に接続されて金型1を矢印A方向に回転するモータ等の回転駆動手段である。4は、金型1の表面に塗布液層5を形成するポリイミド前駆体溶液等からなる塗布液6を吐出する塗布ノズルである。7は、塗布ノズル4を保持して塗布ノズル4を金型1の中心軸に平行に金型表面に沿って移動させる移動手段、8は、塗布ノズル4に塗布液6を供給する塗布液供給手段、9は、金型1の表面1a上に塗布された塗布液を加熱、固化させるヒーター等の加熱手段である。
【0009】
このスパイラル塗布装置を使用して、無端ベルトを製造について、図2に基づいて説明する。先ず、回転駆動手段3によって、金型1を矢印A方向に回転させると共に、塗布ノズル4から金型1の表面1aに塗布液を吐出しながら移動手段7によって金型1の中心軸2と平行方向(矢印B方向)に金型1の表面1aに沿って塗布ノズル4を移動させると、図2(a)に示すように、金型1の表面1a上に塗布液6がスパイラル状(螺旋状)に塗布される。このようにスパイラル状に塗布液6が所定幅Wで塗布されて所定厚みの塗布液層5を形成する。その後、図2(b)に示すように、加熱手段によって塗布液層5を加熱し、塗布液層5中の溶媒を揮散させて乾燥し、さらに加熱して塗布液層5を固化する。しかる後固化した塗布液層5を金型1の表面1aから離型して無端ベルトを製造する。
【0010】
この場合に、使用される塗布液の粘度が異なると得られる塗布液層5の形状等に一長一短の長所と短所が出現する。図3は高粘度の塗布液を使用して得られる塗布液層6の断面形状を示し、高粘度の塗布液を使用した場合(図3参照)には、比較的厚い塗布液層5を容易に形成することができる反面、塗布液層6の表面にスパイラル状の周期的な塗布痕跡5aが形成され易く均一な厚みとすることが難しいという難点がある。一方、低粘度の塗布液を使用した場合(図4参照)には、流動性が良好なために、前記塗布痕跡5aの発生を抑制して平坦な表面5bを形成することができる反面、塗布液層6の厚みを確保することが困難な難点がある。
本発明においては、上記高粘度の塗布液を使用した場合の長所と低粘度の塗布液の長所を取り入れて、高粘度の塗布液と低粘度の塗布液を併用することによって、比較的厚い数10μm〜数100μm塗膜厚みを有し、しかもその表面が平坦で均一な厚みを形成することのできる塗布液層を形成可能としたものである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
第1の塗布液として、ポリアミド酸をN−Nジメチルアセトアミド(以下DMACという)溶剤で溶解、希釈して2000P(ポイズ)の粘度を有するポリイミド前駆体溶液を調製した。また、第2の塗布液としてポリアミド酸をDMACで溶解、希釈して50Pの粘度を有するポリイミド前駆体溶液を調製した。
これらの塗布液を使用し、前述の図1で示すスパイラル塗布装置を用いて図5に示す塗布工程フローに従い、金型1の表面1a上に塗布液層6を形成した。即ち、図5に示すように、先ず、塗布液供給手段8に高粘度の塗布液である前記第1の塗布液を投入してセットする(ステップS1)。次に、金型1の回転を始動させ(ステップS2)、移動手段7を作動させて塗布ノズル4を塗布開始位置に移動させてセットする(ステップS3)。続いて塗布ノズル4から第1の塗布液を吐出させながら(ステップS4)、移動手段7を作動させて、塗布ノズル4を矢印B方向に走査移動させてスパイラル状に塗布液を金型表面1aに塗布して金型表面1aの長さ方向(B方向)で連接する塗布液層を形成する(ステップS5)。所定幅Wの塗布液層5が形成されたとき、塗布完了位置で移動手段7の作動を停止すると共に塗布ノズル4から塗布液の吐出を停止して(ステップS6)、高粘度塗布液層である第1塗布液層51を形成する。
【0012】
次に、塗布液供給手段8に前記第1の塗布液と前記第2の塗布液を入れ替えて、低粘度の第2の塗布液をセットする(ステップS7)。続いて、塗布ノズル4を第1塗布液層51の開始位置に移動させ(ステップS8)、塗布ノズル4から第2の塗布液を前記第1塗布液層51の上面51a上に吐出し(ステップS9)、塗布ノズル4を移動手段7でB方向に移動させスパイラル状に第2の塗布液を第1塗布液層51上にB方向で連接、重層する状態で塗布する(ステップS10)。第1塗布液層51の終了位置まで第2塗布液層52が形成されたとき、移動手段7の作動を停止させると共に塗布ノズル4からの塗布液の吐出を停止して(ステップS11)、低粘度塗布液層である第2塗布液層52が第1塗布液層51の上面に形成される。
【0013】
図6は、金型1の表面1a上に第1塗布液層51が形成され、この第1塗布液層51の上面51a上に、第2塗布液層52が形成された模式図である。この図から明らかなように、高粘度の第1塗布液層51は、所定の厚みで適切に形成されると共に、高粘度塗布液層の欠点である第1塗布液層51の上面51aのスパイラル状の痕跡5aが、この第1塗布液層51上面51aを被覆する低粘度の塗布液層である第2塗布液層52で被覆されて平坦な表面5bを有する塗布液層5が形成される。その結果、このようにして形成された塗布液層5は、均一な厚みを有するものとなり、金型から離型されて製造される無端ベルトは均一厚みを有するものとなる。
この第1及塗布液層51上に第2塗布液層52を形成するに当たり、予め加熱手段9によって第1塗布液層51を加熱してDMAC溶剤を揮散させ、ある程度固化させておくことが望ましい。
【0014】
このようにして第1及び第2塗布液層51、52を形成した後、加熱手段9によって350℃で加熱してポリイミド前駆体のイミド化反応を起こさせて最終的にこれらの塗布液層51、52を一体化して固化させる(ステップS12)。しかる後、金型1から塗布液層5を離型し、無端ベルトを得る。このようにして得られた無端ベルトは、均一な厚みを有し、後述するように、画像形成装置に使用される中間転写ベルトとして良好なものであった。
【0015】
なお、本実施例においては、塗布液として、ポリイミド前駆体を使用したが、ポリイミド前駆体に限らず、ポリアミドイミド樹脂やシリコン、ウレタン等の耐熱性ゴム材料に、カーボンブラック、シリカ等の無機系フィラー等の添加剤を配合したものであっても良い。
また、塗布液の粘度調整は、分散剤や溶剤の添加量を適当に調節して所望の粘度とすることができるが、第1の塗布液としては、1000P以上15000P以内の粘度のものとして使用するのがよく、第2の塗布液としては、100P〜10Pの範囲内の粘度とするのが望ましい。
また、金型1は、本実施例においては、円柱状の金型1を使用したが、円柱状体に限らず、円筒状体であっても良い。
【実施例2】
【0016】
次に、本発明による他の実施形態に係る無端ベルトの製造方法について説明する。本実施例においては、前述の実施例1の図5で示す塗布工程のステップS5において塗布ノズル4のB方向への移動間隔を大きくし、第1塗布液層51を所定間隔10を設けて形成し、ステップS10でこの間隔10内に第2の塗布液を塗布している点を除いて、基本的には同一工程を採用している。その結果、得られる塗布液層5は、図7に示すように、第1塗布液層51の側面51b上に第2塗布液層52が重層するようにしている。このようにして得られた塗布液層5は、第1塗布液層51によって、所定の厚みの塗布液層5を容易かつ確実に形成することができると共に、流動性のよい低粘度の第2の塗布液が左右方向に流動拡散して薄膜化することが抑えられ、第1塗布液層51の厚みを維持した状態で、平坦な表面を有する塗布液層5とすることができる。その結果、均一厚みを有する無端ベルトを容易かつ確実に製造することができる。
また、前記間隔10の作製方法としては、前述のように、スパイラル状の第1及び第2の塗布液層として1本のスパイラル状の塗布液層とせずに、複数本のスパイラル状の第1及び第2の塗布液層51、52を形成しても同様に作用、効果を得ることができる。
【0017】
即ち、図8の塗布工程のフローで示すように、第1の塗布液層を形成する際に、ステップS6からステップS3への戻り工程を繰り返すことによって、所定間隔101、102を有する複数本のスパイラル状の塗布液層511、512を形成する。そして、間隔101、102内に第2の塗布液層を形成する際に、ステップS11からステップS8への戻り工程を繰り返して間隔101、102内に第2の塗布液が充填された第2の塗布液層521、522を形成する。このようにして得られた塗布液層5は、図9に示すような構造となり、前述の図7で示すものと同一の作用、効果が得られる。このようにして塗布液層5を形成する場合には、第1塗布液層を比較的広い間隔を設けて形成しても、第2塗布液層を適切に作製することが可能となる利点を有する。
【実施例3】
【0018】
図10は、本発明による一実施形態に係る無端ベルトの製造装置の概略構成を示す図である。本実施例に係る無端ベルトの製造装置は前述の図1で示すスパイラル塗布装置と基本構成は同一であり、同一構成については同一符号を付し、説明を省略する。
本実施例に係る無端ベルトの製造装置は、前述の図1で示すスパイラル塗布装置において、塗布ノズル4として実施例1で使用された第1の塗布液を吐出する第1の塗布ノズル41と第2の塗布液を吐出する第2の塗布ノズル42と、これらの塗布ノズル41、42にそれぞれ第1の塗布液及び第2の塗布液を供給する第1塗布液供給手段81及び第2塗布液供給手段82と、これらの塗布液供給手段81、82からのそれぞれの塗布液の吐出時期等を制御し、また、移動手段7の塗布ノズル41、42の移動量を制御する制御装置を備えている点で相違している。このように、塗布ノズル及び塗布液供給装置として、第1及び第2の塗布液の専用塗布ノズル41、42及び供給装置81、82を使用することによって、供給装置への第1の塗布液と第2の塗布液の入れ替え作業を不要とするので、より迅速な塗布が行えるだけでなく、前述の実施例2の塗布液層構造のものを容易かつ迅速に製造できる利点を有する。
【0019】
即ち、この製造装置を使用して、実施例1の図6で示す塗布液層構造のものも作製することが可能であるが、前述の実施例2で示す図7及び図9に示すように、第1塗布液層51の間の間隔10や一本目のスパイラル状の第1塗布液層511と二本目のスパイラル状の第1塗布液層512との間の間隔101、102に第2の塗布液層52、521、522を塗布、形成する場合には、特に有効である。即ち、第1の塗布液層51を形成後、時間的にわずかに遅れて(タイムラグ)前記間隔10、101、102内に第2の塗布液を塗布するようにすれば、より迅速に、無端ベルトを製造することが可能であり望ましい結果が得られる。特に、1本のスパイラル状の第1塗布液層を形成し、この間隔内に第2の塗布液層を形成する場合には、塗布ノズル41、42を1回走査させるだけで済み、より迅速に塗布液層5を形成可能となるので効果的である。
なお、本実施例における無端ベルトの製造装置においては、塗布液層5の固化のための加熱手段9が取り付けられているが、この加熱手段9は、塗布液中の溶媒を除去するための加熱手段としてのみ使用し、前述のようなポリイミド前駆体溶液を使用し、このポリイミド前駆体のイミド化反応を起こすための加熱手段としては、本実施例の塗布手段の加熱手段9とは別の加熱手段を使用することができる。
【実施例4】
【0020】
本実施例においては、前述の実施例1〜3で得られた無端ベルトを画像形成装置の中間転写ベルトとして使用した画像形成装置を示す。図11は、本実施例に係る画像形成装置の主要部の概略構成を示す。図中、20Y、20C、20M、20Kは、矢印C方向に回転して、イエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像をそれぞれ形成する感光体ドラム、21は、前述の実施例1〜3で得られた無端ベルトからなる中間転写ベルトである。
この画像形成装置は、図示されない露光装置からの露光によって、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Kによって画像潜像が形成され、図示しない現像装置によって画像潜像を各色のトナーで各色のトナー画像を形成する。続いて、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Kに担持されているトナー画像は、駆動ローラ22、従動ローラ23に懸架され、矢印D方向に回転駆動される中間転写ベルト21に第1の転写ローラ24Y、24C、24M、24Kによって転写される。中間転写ベルト21上に転写されたトナー画像は、第2転写ローラ25によって、第2転写ローラ25と中間転写ベルト21との間を搬送される用紙26上に転写される。その後、トナー画像を保持する用紙26は、図示しない加圧ローラ及び加熱ローラ等の定着装置によって、加熱、加圧されて、トナー画像が用紙26上に定着され、排出される。
【0021】
このような画像形成装置では、前述の実施例1〜3に記載の方法で製造された均一厚みの中間転写ベルト21が使用されるので、トナーの転写性能やベルト駆動速度ムラに起因するドット位置ずれ等を抑制して高品質の画像形成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のスパイラル塗布装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】従来のスパイラル塗布装置によって金型上に形成された塗布液層の形成を示す斜視図で、(a)は塗布途中の状態を示す斜視図、(b)は塗布完了時の状態を示す斜視図である。
【図3】従来のスパイラル塗布装置によって形成された高粘度塗布液を使用した場合の塗布液層部分の断面図である。
【図4】従来のスパイラル塗布装置によって形成された低粘度塗布液を使用した場合の塗布液層部分の断面図である。
【図5】本発明による実施例1で示す塗布工程を示すフローチャートである。
【図6】本発明による実施例1で示す塗布工程によって得られた塗布液層の断面図である。
【図7】本発明による実施例2で得られた塗布液層の断面図である。
【図8】本発明による実施例2に係る他の実施形態の塗布工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明による実施例2に係る他の実施形態の塗布液層の断面図である。
【図10】本発明による実施例3で示す無端ベルトの製造装置の概略構成を示す斜視図である。
【図11】本発明による実施例4で示す画像形成装置の主要部の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 金型、2 中心軸、3 回転駆動手段、4 塗布ノズル、41 第1塗布ノズル、42 第2塗布ノズル、5 塗布液層、5a 塗布痕跡、5b 平坦な表面、51、511、512 第1塗布液層、51a 上面、51b 側面、52、521、522 第2塗布液層、6 塗布液、7 移動手段、8、81、82 塗布液供給手段、9 加熱手段、10 制御装置、11 間隔、20Y、20C、20M、20K 感光体ドラム、21 中間転写ベルト、22 駆動ローラ、23 従動ローラ、24Y、24C、24M、24K 1次転写ローラ、25 2次転写ローラ、26 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱または円筒の金型を中心軸で回転させると共に塗布ノズルを当該金型の中心軸と平行に走査させながら当該金型表面に当該塗布ノズルから塗布液を吐出して螺旋状に塗布液層を形成し、しかる後、当該塗布液層を加熱固化して当該固化した塗布液層を金型から離型させて無端ベルトを製造する無端ベルト製造方法において、
前記塗布液として、粘度の異なる2種の塗布液を用い、所定の粘度の第1塗布液によって前記金型表面に第1の塗布液層を形成した後に第1塗布液の粘度より低粘度の第2塗布液による第2の塗布液層を前記第1の塗布液層上に形成することを特徴とする無端ベルト製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の無端ベルト製造方法において、
前記第1の塗布液層は、金型表面に連続して形成される層であり、前記第2の塗布液層は、当該第1の塗布液層の上面上に重層して形成されることを特徴とする無端ベルト製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の無端ベルト製造方法において、
前記第1の塗布液層は、金型表面に所定の間隔を置いて形成される層であり、前記第2の塗布液層は、当該間隔内を充填し、少なくとも当該第1の塗布液層の側面上に重層して形成されることを特徴とする無端ベルト製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載の無端ベルト製造方法によって製造されることを特徴とする無端ベルト。
【請求項5】
請求項4記載の無端ベルトを中間転写ベルトとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
円柱または円筒の金型と、当該金型の中心軸を回転させる回転駆動手段と、塗布液を当該金型の表面に吐出する塗布ノズルと、当該塗布ノズルに塗布液を供給する塗布液供給手段と、当該塗布ノズルを金型の中心軸と平行に金型表面に沿って移動させる移動手段と、金型表面に形成された塗布液層を加熱、固化させる加熱手段とを備えた無端ベルトの製造装置において、
前記塗布ノズルは、所定粘度の第1の塗布液を吐出する第1の塗布ノズルと当該第1の塗布液の粘度よりも低粘度の第2の塗布液を吐出する第2の塗布ノズルを備えていることを特徴とする無端ベルトの製造装置。
【請求項7】
請求項6記載の無端ベルトの製造装置において、
前記移動手段による第1及び第2の塗布ノズルの移動量を制御する制御手段を備えていることを特徴とする無端ベルトの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−49567(P2008−49567A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227231(P2006−227231)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】