説明

無端ベルト駆動装置及び画像形成装置

【課題】 無端ベルトを複数のローラーに張架させて回転移動させるにあたり、無端ベルトの周縁部における段差部が無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材に当たって、無端ベルトに割れが生じるのを防止する。
【解決手段】 周縁部に幅方向の段差部23aが形成された無端ベルトからなる中間転写ベルト23を駆動ローラー21と従動ローラー22に張架させて回転駆動させる無端ベルト駆動装置20において、中間転写ベルトの周縁部と接触して中間転写ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材24に切り欠き部24aを設け、中間転写ベルトの段差部が蛇行規制部材に設けられた切り欠き部の位置に導かれるようにして、中間転写ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置及びこの無端ベルト駆動装置により中間転写ベルト等の無端ベルトを回転移動させるようにした画像形成装置に関するものである。特に、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させるようにすると共に、少なくとも1つのローラーの軸方向端部に蛇行規制部材を設け、この蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて無端ベルトが蛇行するのを規制するにあたり、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトであっても、この段差部が前記の蛇行規制部材に当たって、無端ベルトに割れが生じたりするのを防止する点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な分野において、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させるようにした無端ベルト駆動装置が使用されている。例えば、複写機,ファクシミリ,プリンター及びこれらの複合機などの画像形成装置、特に、複数の像担持体に異なった色彩のトナー像を形成してフルカラーの画像形成を行う画像形成装置においては、無端ベルト状の中間転写ベルトを複数のローラーに張架させ、この中間転写ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させて、各像担持体に形成されたトナー像を前記の中間転写ベルトに転写させることが行われている。
【0003】
ここで、前記のように複数のローラーに張架させた無端ベルトをローラーの回転により回転移動させる場合、無端ベルトが回転移動方向と交差する方向にずれて蛇行するおそれがあった。
【0004】
このため、従来から、無端ベルトを張架させた少なくとも1つのローラーの軸方向端部に蛇行規制部材を設け、この蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて無端ベルトが蛇行するのを規制することが行われている。
【0005】
また、所定幅になった無端ベルトを製造する場合、一般に、この無端ベルトより広い幅の無端ベルト基材を用い、この無端ベルト基材をローラーに張架させて回転移動させながら、所定幅にセットしたカッター等の切断手段により無端ベルト基材を切断させて、所定幅の無端ベルトを製造するようにしている。
【0006】
ここで、このようにローラーに張架された無端ベルト基材を回転移動させながら、前記のように切断手段によって所定幅に切断するようにした場合、回転移動時における無端ベルト基材の僅かなずれによって、無端ベルト基材の切断開始点と切断終了点とにずれが生じ、無端ベルトの周縁部に幅方向の段差部が形成されるようになる。
【0007】
そして、このように周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを、前記のように複数のローラーに張架させてローラーの回転により回転移動させると共に、少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設けた蛇行規制部材に無端ベルトの周縁部を接触させて、無端ベルトが蛇行するのを規制するようにした場合、この無端ベルトにおける段差部が前記の蛇行規制部材にあたり、この段差部に負荷が加わって無端ベルトに割れが生じたりするという問題があった。
【0008】
このため、特許文献1に示されるものにおいては、前記のように無端ベルト基材を切断手段によって所定幅に切断して無端ベルトを製造するにあたり、前記の段差部の向きが所定方向になるように切断すると共に、このようにして製造した無端ベルトを複数のローラーに張架させるにあたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向かうようにしてローラーに張架させるようにし、或いは、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向いている側における無端ベルトの周辺部を蛇行規制部材に接触させるようしてローラーに張架させることが提案されている。
【0009】
しかし、前記のように段差部の向きが所定方向になるように切断したり、このようにして製造した無端ベルトを複数のローラーに張架させるにあたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向かうようにしてローラーに張架させたり、段差部の向きが無端ベルトの回転移動方向下流側に向いている側における無端ベルトの周辺部を蛇行規制部材に接触させるようしてローラーに張架させたりする作業は面倒であり、さらに回転移動される無端ベルトがずれた場合には、依然として、無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたり、この段差部に負荷が加わって無端ベルトに割れが生じたりするという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−309925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、この無端ベルトを前記のローラーの回転により回転移動させると共に、このように回転移動される無端ベルトの周縁部を、少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設けられた蛇行規制部材に接触させて、無端ベルトが蛇行するのを規制するようにした無端ベルト駆動装置において、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトであっても、この段差部が前記の蛇行規制部材に当たって無端ベルトに割れが生じたりするのを適切に防止することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る第1の無端ベルト駆動装置においては、前記の課題を解決するため、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置において、前記の蛇行規制部材に切り欠き部を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に設けられた前記の切り欠き部の位置に導かれるようにして、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにした。
【0013】
ここで、前記のように無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に設けられた切り欠き部の位置に導かれて、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにするにあたっては、無端ベルトの段差部の位置を検知する検知センサーを設けると共に、前記の蛇行規制部材を回転させる回転装置と、この回転装置を制御する制御装置とを設け、前記の検知センサーにより検知された段差部の位置に基づいて、前記の制御装置により前記の回転装置による蛇行規制部材の回転を制御し、無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材に設けられた切り欠き部の位置に導かれるようにすることができる。
【0014】
また、本発明に係る第2の無端ベルト駆動装置においては、前記の課題を解決するため、周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置において、前記の蛇行規制部材を前記のローラーの軸方向に移動させる移動装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この移動装置により蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させて、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにした。
【0015】
ここで、前記のように蛇行規制部材を前記のローラーの軸方向に移動させる移動装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この移動装置により蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させて、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにするにあたっては、無端ベルトの段差部の位置を検知する検知センサーを設けると共に、この検知センサーにより検知された段差部の位置に基づいて前記の移動装置を制御する制御装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この制御装置により移動装置を制御して、蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させるようにすることができる。
【0016】
そして、本発明に係る画像形成装置においては、無端ベルトを複数のローラーに張架させ、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させるにあたり、前記のような無端ベルト駆動装置を用いるようにした。
【0017】
ここで、前記の画像形成装置において、前記の無端ベルト駆動装置を用いて無端ベルトを回転移動させるにあたっては、例えば、像担持体に形成されたトナー像が転写される無端ベルト状の中間転写ベルトを、前記の無端ベルト駆動装置によって回転移動させるようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の無端ベルト駆動装置においては、前記のように無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材に切り欠き部を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に設けられた前記の切り欠き部の位置に導かれるようにして、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにしたため、無端ベルトを回転移動させた場合に、この無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたって負荷が加わるのが防止され、無端ベルトに割れが生じたりするのが簡単かつ確実に防止されるようになる。
【0019】
また、本発明の第2の無端ベルト駆動装置においては、前記のように無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を、この蛇行規制部材が設けられたローラーの軸方向に移動させる移動装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この移動装置により蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させて、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにしたため、無端ベルトを回転移動させた場合に、無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたって負荷が加わるのが防止され、無端ベルトに割れが生じたりするのが簡単かつ確実に防止されるようになる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成装置においては、無端ベルト状の中間転写ベルト等の無端ベルトを複数のローラーに張架させ、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させるにあたり、前記のような無端ベルト駆動装置を用いたため、中間転写ベルト等の無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材にあたって負荷が加わるのが防止され、中間転写ベルト等の無端ベルトに割れが生じたりするのが簡単かつ確実に防止され、長期にわたって安定した画像形成が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る無端ベルト駆動装置により無端ベルト状になった中間転写ベルトを回転駆動させるようにした画像形成装置の概略説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無端ベルト駆動装置に使用する前記の中間転写ベルトを製造する状態を示した概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無端ベルト駆動装置に使用する前記の中間転写ベルトにおいて、周縁部に幅方向の段差部が形成された状態を示した概略斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る無端ベルト駆動装置において、前記の中間転写ベルトを回転駆動させる状態を示した概略平面図である。
【図5】第1の実施形態に係る無端ベルト駆動装置において、前記の中間転写ベルトにおける段差部が検知センサーによって検知される位置に導かれた状態を示した部分説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る無端ベルト駆動装置において、前記の中間転写ベルトにおける段差部が蛇行規制部材に設けられた切り欠き部内に導かれた状態で、中間転写ベルトと蛇行規制部材とが一緒に回転移動される状態を示した部分説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る無端ベルト駆動装置において、前記の中間転写ベルトにおける段差部が検知センサーによって検知される位置に導かれた状態を示した部分説明図である。
【図8】第2の実施形態に係る無端ベルト駆動装置において、蛇行規制部材を移動装置により従動ローラーの軸方向に移動させ、中間転写ベルトにおける段差部が蛇行規制部材に接触しないようにして、中間転写ベルトを回転移動させる状態を示した部分説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る無端ベルト駆動装置及びこのような無端ベルト駆動装置を使用した画像形成装置を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る無端ベルト駆動装置及び画像形成装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0023】
ここで、本発明の実施形態に係る無端ベルト駆動装置20を使用した画像形成装置10においては、図1に示すように、4つのドラム状になった像担持体11に対応させて、現像剤中におけるトナーに、黒色,黄色,マゼンダ色,シアン色の色彩の異なるトナーを用いた4つの現像装置14を設けている。
【0024】
そして、前記の各像担持体11を回転させて、各像担持体11の表面をそれぞれ帯電装置12によって帯電させ、このように帯電された各像担持体11に対して、それぞれ潜像形成装置13により画像形成情報に従った露光を行い、各像担持体11の表面にそれぞれ静電潜像を形成するようにしている。
【0025】
次いで、このように静電潜像が形成された各像担持体11に対して、それぞれ対応する現像装置14により、所定の色彩のトナーを各像担持体11の静電潜像に供給して現像を行い、各像担持体11の表面にそれぞれの色彩のトナー像を形成するようにしている。
【0026】
ここで、この実施形態における無端ベルト駆動装置20においては、駆動ローラー21と従動ローラー22とに無端ベルト状になった中間転写ベルト(無端ベルト)23を張架させ、前記の駆動ローラー21を回転させて、中間転写ベルト23を駆動ローラー21と従動ローラー22との間で回転移動させるようにしている。
【0027】
そして、このように回転移動される中間転写ベルト23に対して、前記の各像担持体11に形成された各色彩のトナー像をそれぞれ一次転写ローラー15により順々に一次転写させて、この中間転写ベルト23の上にフルカラーのトナー像を形成するようにしている。
【0028】
また、このようにトナー像が転写された各像担持体11をそれぞれ第1クリーニング装置16に導き、各像担持体11の表面に残留しているトナー等の残留物を、各第1クリーニング装置16により各像担持体11の表面から除去して回収させるようにしている。
【0029】
一方、前記のようにフルカラーのトナー像が形成された中間転写ベルト23を回転移動させて、フルカラーのトナー像を中間転写ベルト23により二次転写ローラー17と対向する位置に導くと共に、この画像形成装置10の下部に収容された記録シートSを中間転写ベルト23と二次転写ローラー17との間に導き、前記の二次転写ローラー17により中間転写ベルト23の上に形成されたフルカラーのトナー像をこの記録シートSに二次転写させるようにしている。
【0030】
そして、このようにフルカラーのトナー像が転写された記録シートSを定着装置18に導いて、転写されたフルカラーのトナー像を記録シートSに定着させた後、フルカラーのトナー像が定着された記録シートSを排紙させるようにしている。一方、記録シートSに転写されずに前記の中間転写ベルト23に残ったトナー等の残留物を、第2クリーニング装置19によって中間転写ベルト23から除去させて回収するようにしている。
【0031】
ここで、前記の無端ベルトとなる中間転写ベルト23を製造するにあたっては、一般に、図2に示すように、中間転写ベルト23よりも幅広になった無端ベルト基材31をローラー32に張架させて回転移動させながら、所定幅にセットしたカッター等の切断手段33により無端ベルト基材31を所定幅に切断させて、所定幅の中間転写ベルト23を製造するようにしている。
【0032】
そして、このように回転移動させる無端ベルト基材31を切断手段33によって所定幅に切断するようにした場合、回転移動時における無端ベルト基材31の僅かなずれによって、無端ベルト基材31の切断開始点と切断終了点とにずれが生じ、図3に示すように、中間転写ベルト23の周縁部に幅方向の段差部23aが形成されるようになる。
【0033】
また、前記のように中間転写ベルト23を駆動ローラー21と従動ローラー22との間に張架させ、前記の駆動ローラー21の回転によりこの中間転写ベルト23を駆動ローラー21と従動ローラー22との間で回転移動させるにあたっては、中間転写ベルト23が蛇行してその位置がずれたりするのを防止するため、一般に、従動ローラー22の軸方向端部に蛇行規制部材24を設け、この蛇行規制部材23に中間転写ベルト23の周縁部を接触させて、中間転写ベルト23が蛇行するのを規制するようにしている。
【0034】
そして、このように中間転写ベルト23の周縁部を蛇行規制部材24に接触させて、中間転写ベルト23が蛇行するのを規制するにあたり、前記のように中間転写ベルト23の周縁部から幅方向に突出された段差部23aがあると、この段差部23aが蛇行規制部材24に当たって負荷が加わり、この中間転写ベルト23に割れが生じたりする。
【0035】
このため、第1の実施形態における無端ベルト駆動装置20Aにおいては、図4〜図6(A),(B)に示すように、前記の蛇行規制部材24に切り欠き部24aを設け、前記のように回転移動される中間転写ベルト23における前記の段差部23aが蛇行規制部材24に導かれた場合には、この段差部23aが蛇行規制部材24に設けられた前記の切り欠き部24a内に導かれ、この状態で、蛇行規制部材24が中間転写ベルト23と同じ速度で回転駆動されて、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24と接触しないようにしている。
【0036】
ここで、第1の実施形態における無端ベルト駆動装置20Aにおいては、前記の従動ローラー22の回転軸22aを挿通させるようにして蛇行規制部材24の回転軸24bを設け、この蛇行規制部材24が前記の従動ローラー22とは別に回転されるようにしている。
【0037】
また、この蛇行規制部材24の回転軸24bにギア24cを取り付け、このギア24cを回転装置25の回転軸25aに設けられたギア25bと噛み合わせ、この回転装置25によって蛇行規制部材24を回転させるようにすると共に、この回転装置25による蛇行規制部材24の回転を制御装置26によって制御するようにし、また前記のように回転移動される中間転写ベルト23における段差部23aが前記の蛇行規制部材24に導かれるのを検知する検知センサー27を設けている。
【0038】
ここで、第1の実施形態における無端ベルト駆動装置20Aにおいて、前記のように中間転写ベルト23が回転移動され、図5に示すように、この中間転写ベルト23における段差部23aが前記の検知センサー27によって検知されると、この検知結果を前記の制御装置26に出力し、これに基づいて、前記の回転装置25による蛇行規制部材24の回転を制御するようにしている。
【0039】
そして、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24の位置に達すると、図6(A),(B)に示すように、この中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24に設けられた前記の切り欠き部24a内に導かれ、この状態で、この蛇行規制部材24と中間転写ベルト23とが同じ速度で回転され、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24と接触しないようにして、中間転写ベルト23が回転移動されるようにしている。
【0040】
このようにすると、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24にあたって負荷が加わるのが防止され、中間転写ベルト23に割れが生じるのが抑制されて、長期にわたって安定した画像形成が行えるようになる。
【0041】
また、第2の実施形態における無端ベルト駆動装置20Bにおいては、図7〜図8(A),(B)に示すように、前記の蛇行規制部材24を前記の従動ローラー22の軸方向に移動可能に設けると共に、この蛇行規制部材24を従動ローラー22の軸方向に移動させる移動装置28を設けている。
【0042】
そして、前記のように回転移動される中間転写ベルト23における前記の段差部23aが蛇行規制部材24に導かれた場合に、この移動装置28により蛇行規制部材24を中間転写ベルト23における段差部23aから離間させる方向に移動させ、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24に接触しないようにしている。
【0043】
ここで、第2の実施形態における無端ベルト駆動装置20Bにおいて、前記の従動ローラー22の回転軸22aを挿通させるようにして蛇行規制部材24の回転軸24bを設け、この蛇行規制部材24を従動ローラー22の軸方向に移動できるようにしている。
【0044】
また、前記の移動装置28によって蛇行規制部材24を従動ローラー22の軸方向に移動させるにあたっては、蛇行規制部材24から従動ローラー22の軸方向外方に延出された部分の外周に沿って半径方向外方に突出した係止鍔24dを設ける一方、移動装置28として、ソレノイドを用いたシリンダー等の伸縮装置28aにおける伸縮ロッド28bに、前記の係止鍔24dを挟み込むように所要間隔を介した一対の保持用鍔28cを設け、この一対の保持用鍔28c間に蛇行規制部材24に設けられた前記の係止鍔24dを挟み込むようにして保持させ、この状態で、前記の伸縮装置28aにおける伸縮ロッド28bを伸縮させて、蛇行規制部材24を従動ローラー22の軸方向に移動させるようにしている。
【0045】
また、第2の実施形態における無端ベルト駆動装置20Bにおいても、前記のように中間転写ベルト23が回転移動されて、この中間転写ベルト23における段差部23aが検知センサー27の位置に導かれると、この段差部23aを検知センサー27によって検知し、この検知結果を制御装置26に出力し、これに基づいて、前記の移動装置28を制御するようにしている。
【0046】
そして、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24の位置に達すると、図8(A),(B)に示すように、前記の制御装置26により前記の伸縮装置28aを作動させて前記の伸縮ロッド28bを伸縮させ、この伸縮ロッド28bに設けられた前記の保持用鍔28cに保持された蛇行規制部材24の係止鍔24dを介して、この蛇行規制部材24を従動ローラー22の軸方向に移動させ、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24と接触しないようにしている。
【0047】
このようにすると、第1の実施形態における無端ベルト駆動装置20Aと同様に、中間転写ベルト23における段差部23aが蛇行規制部材24にあたって負荷が加わるのが防止され、中間転写ベルト23に割れが生じるのが抑制されて、長期にわたって安定した画像形成が行えるようになる。
【0048】
なお、前記の実施形態における無端ベルト駆動装置20においては、画像形成装置10に用いる無端ベルト状になった中間転写ベルト23を回転駆動させるようにしたが、無端ベルト駆動装置20を使用する場所等は、特にこのようなものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
11 像担持体
20,20A,20B 無端ベルト駆動装置
21 駆動ローラー
22 従動ローラー、22a 回転軸
23 中間転写ベルト(無端ベルト)、23a 段差部
24 蛇行規制部材、24a 切り欠き部、24b 回転軸、24c ギア、24d 係止鍔
25 回転装置、25a 回転軸、25b ギア
26 制御装置
27 検知センサー
28 移動装置、28a 伸縮装置、28b 伸縮ロッド、28c保持用鍔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置において、前記の蛇行規制部材に切り欠き部を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に設けられた前記の切り欠き部の位置に導かれるようにして、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにしたことを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無端ベルト駆動装置において、無端ベルトの段差部の位置を検知する検知センサーを設けると共に、前記の蛇行規制部材を回転させる回転装置と、この回転装置を制御する制御装置とを設け、前記の検知センサーにより検知された段差部の位置に基づいて、前記の制御装置により前記の回転装置による蛇行規制部材の回転を制御し、無端ベルトにおける段差部が蛇行規制部材に設けられた切り欠き部の位置に導かれるようにしたことを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項3】
周縁部に幅方向の段差部が形成された無端ベルトを複数のローラーに張架させると共に、無端ベルトの周縁部と接触して無端ベルトの蛇行を規制する蛇行規制部材を少なくとも1つのローラーの軸方向端部に設け、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置において、前記の蛇行規制部材を前記のローラーの軸方向に移動させる移動装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この移動装置により蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させて、無端ベルトの段差部が蛇行規制部材に接触しないようにしたことを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の無端ベルト駆動装置において、無端ベルトの段差部の位置を検知する検知センサーを設けると共に、この検知センサーにより検知された段差部の位置に基づいて前記の移動装置を制御する制御装置を設け、無端ベルトの周縁部における段差部が蛇行規制部材に導かれた場合に、この制御装置により移動装置を制御して、蛇行規制部材を無端ベルトの段差部から離間させる方向に移動させるようにしたことを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の無端ベルト駆動装置において、前記の複数のローラーとして駆動ローラーと従動ローラーとを有し、前記の蛇行規制部材が従動ローラーに設けられていることを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項6】
無端ベルトを複数のローラーに張架させ、前記のローラーの回転により前記の無端ベルトを回転移動させる無端ベルト駆動装置を備えた画像形成装置において、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の無端ベルト駆動装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、前記の無端ベルトが、像担持体に形成されたトナー像が転写される無端ベルト状の中間転写ベルトであることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−37322(P2013−37322A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175700(P2011−175700)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】