無端帯状体の製造方法
【課題】無端帯状体を製造する場合に、円筒状の芯体の加熱時の温度ムラを低減し、無端帯状体の電気抵抗のムラを低減すること。
【解決手段】
円筒形状の芯体(1)の表面に皮膜形成樹脂溶液(6)を塗布する工程と、前記芯体(1)の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体(1)に塗布された皮膜形成樹脂溶液(6)を乾燥させる工程と、前記芯体(1)の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材(16)を設ける工程と、前記遮蔽部材(16)が設けられた前記芯体(1)に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段(23)を有する加熱炉(21)に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂(6)が固化された無端帯状体(B)を製造する工程と、を有する無端帯状体(B)の製造方法。
【解決手段】
円筒形状の芯体(1)の表面に皮膜形成樹脂溶液(6)を塗布する工程と、前記芯体(1)の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体(1)に塗布された皮膜形成樹脂溶液(6)を乾燥させる工程と、前記芯体(1)の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材(16)を設ける工程と、前記遮蔽部材(16)が設けられた前記芯体(1)に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段(23)を有する加熱炉(21)に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂(6)が固化された無端帯状体(B)を製造する工程と、を有する無端帯状体(B)の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端帯状体の製造方法、無端帯状体および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、像保持体表面に形成された可視像を媒体に転写する前に一時的に転写される中間転写体や、媒体を表面に保持して搬送する媒体搬送部材として、樹脂製の無端帯状体、いわゆる無端ベルトが広く採用されている。前記無端ベルトを製造する製造方法として、以下の特許文献1〜5に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開平5−77252号公報には、円筒状のシリンダー(1)の内面(2)に、塗布装置(11)により有機高分子材料と導電性微粉末が混合された原材料が溶かされた溶媒を塗布して、加熱器(8)内で加熱して、強度や寸法安定性、耐熱性等が優れたポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂に導電性粒子が分散されたシームレスの無端ベルトを製造する技術が記載されている。
特許文献2としての特開2008−76518号公報には、非対称性のビフェニルテトラカルボン酸成分を含むカーボンブラック分散ポリイミド前駆体を、円筒金型に塗布して、乾燥、加熱して半導電性ポリイミドベルトを製造する技術が記載されている。
【0004】
特許文献3としての特開2002−148899号公報には、中間転写体の抵抗値のバラツキや厚みの精度、表面精度、平面度を高め、濃度むらの発生を低減するために、ポリイミド樹脂性の無端ベルトを作成する際に、イミド転化を行う加熱工程において、0.5時間以上の間、一定の温度で保持する加熱条件で行われる技術が記載されている。
【0005】
特許文献4としての特開平10−63115号公報には、導電性金属酸化物に耐熱皮膜用ポリイミドワニスに混合した成膜原液をステンレススチール製のシート上に流延して、乾燥、加熱してポリイミドフィルムを作成して、1液性弾性接着剤でポリイミドフィルムの両端部を重ね合わせて無端状の中間転写ベルトを製造する技術が記載されている。
【0006】
特許文献5としての特開2007−216510号公報には、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体を、円筒金型の外面に塗布して、乾燥、焼成して無端ベルトを製造する技術が記載されている。焼成工程では、円筒金型の軸方向の一端部から熱風を当てることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−77252号公報(「0007」、「0018」〜「0022」、図1〜図3)
【特許文献2】特開2008−76518号公報(「0083」〜「0095」)
【特許文献3】特開2002−148899号公報(「0011」、「0027」)
【特許文献4】特開平10−63115号公報(「0034」)
【特許文献5】特開2007−216510号公報(「0041」〜「0066」、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無端帯状体を製造する場合に、円筒状の芯体の加熱時の温度ムラを低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の無端帯状体の製造方法では、
円筒形状の芯体の表面に皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
前記芯体の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体に塗布された皮膜形成樹脂溶液を乾燥させる工程と、
前記芯体の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材を設ける工程と、
前記遮蔽部材が設けられた前記芯体に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段を有する加熱炉に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂が固化された無端帯状体を製造する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材が円錐形状である
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材の外径が前記芯体の外径よりも大きい
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材の一部に、前記芯体の円筒形状の内表面側に風を導く通風口が形成された
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材が円錐台又は円環形状である
ことを特徴とする。
【0014】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の無端帯状体は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法で製造されたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、を有する可視像形成装置と、
前記像保持体に対向して配置され、請求項6に記載の無端帯状体により構成された中間転写体と、
前記像保持体表面の可視像を前記中間転写体表面に転写する一次転写器と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に転写する最終転写器と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし3に記載の発明によれば、本構成の遮蔽部材を設けない場合に比べて、無端帯状体を製造する場合に、円筒状の芯体の加熱時の温度ムラを低減することができる。
請求項4、5に記載の発明によれば、通風口を有しない場合に比べて、円筒状の芯体の温度上昇を速くすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、無端帯状体の電気抵抗のムラを低減することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、画像の濃度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の要部説明図である。
【図3】図3は実施例1の円筒芯体の全体説明図である。
【図4】図4は実施例1の皮膜形成樹脂溶液を外表面に塗布する方法の説明図である。
【図5】図5は芯体端部の要部拡大説明図であり、図5Aは皮膜形成樹脂溶液が塗布された状態の説明図、図5Bはマスキング部材が剥離された状態の説明図である。
【図6】図6は実施例1の遮蔽部材の説明図である。
【図7】図7は遮蔽部材の変更例1の説明図である。
【図8】図8は遮蔽部材の変更例2の説明図である。
【図9】図9は遮蔽部材の変更例3の説明図である。
【図10】図10は遮蔽部材の変更例4の説明図である。
【図11】図11は遮蔽部材の変更例5の説明図である。
【図12】図12は実験例1および比較例1の実験結果の説明図であり、図12Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図12Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【図13】図13は実験例1〜3と比較例1の実験結果の説明図であり、図13Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図13Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【図14】図14は実験例1、4、5と比較例1の実験結果の説明図であり、図14Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図14Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像情報入力装置の一例としてのイメージ入力装置U1、給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙処理装置U4を有している。
【0020】
前記ユーザインタフェースUIは、動作開始釦の一例としてのコピースタートキー、枚数設定釦の一例としてのコピー枚数設定キー、数字入力釦の一例としてのテンキー等の入力釦および表示器UI1を有している。
前記イメージ入力装置U1は、画像読取装置の一例としてのイメージスキャナ等により構成されている。図1において、イメージ入力装置U1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
【0021】
また、実施例1の前記画像形成装置本体U3には、画像情報送信装置の一例としてのクライアントパソコンPCが接続されており、前記クライアントパソコンPCから画像情報とが入力される。
実施例1の前記クライアントパソコンPCは、計算機、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、画像情報送信装置本体の一例としてのコンピュータ本体H1と、表示部材の一例としてのディスプレイH2と、入力部材の一例としてのキーボードH3やマウスH4等と、図示しない情報記憶部材の一例としてのHDドライブ、いわゆる、ハードディスクドライブ等により構成されている。
【0022】
前記給紙装置U2は、複数の給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4を有する。前記各給紙トレイTR1〜TR4には、最終転写体、媒体の一例としての記録用紙Sが収容されており、各給紙トレイTR1〜TR4から取り出された記録用紙Sは、給紙路SH1を通じて、画像形成装置本体U3に搬送される。
【0023】
図1において、画像形成装置本体U3は、前記給紙装置U2から搬送された記録用紙Sに画像記録を行う画像記録部、現像剤補給装置の一例としてのトナーディスペンサー装置U3a、用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。
また、画像形成装置本体U3は、制御部C、および、前記制御部Cにより制御される潜像書込装置駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路D、前記制御部Cにより制御される電源回路E等を有している。前記レーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたG:グリーン、すなわち、緑色、O:オレンジ、すなわち、橙色、Y:イエロー、すなわち、黄色、M:マゼンタ、すなわち、紅紫色、C:シアン、すなわち、藍緑色、K:ブラック、すなわち、黒色の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期、いわゆる、タイミングで、各色の潜像形成装置ROSg,ROSo,ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0024】
前記各色の潜像形成装置ROSg〜ROSkの下方には、各色の像保持体ユニットUG,UO,UY,UM,UC,UKと、現像装置の一例としての各色の現像器GG,GO,GY,GM,GC,GKとが支持されている。各像保持体ユニットUG〜UKおよび各現像器GG〜GKは、画像形成装置本体U3に対して着脱可能に装着される。
【0025】
黒の像保持体ユニットUKは、像保持体の一例としての感光体ドラムPk、帯電器CCkおよび像保持体用清掃器の一例としてのクリーナCLkを有している。また、前記感光体ドラムPkの右方には、黒の現像器GKの現像部材の一例としての現像ロールR0が隣接している。そして、他の各色の像保持体ユニットUG〜UCも、同様に、像保持体の一例としての感光体ドラムPg,Po,Py,Pm,Pcと、帯電器CCg,CCo,CCy,CCm,CCc、クリーナCLg,CLo,CLy,CLm,CLcが隣接して配置されている。また、前記各感光体ドラムPg〜Pcの右方にも、各色の現像器GG〜GCの現像ロールR0が隣接している。
【0026】
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPg〜Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
また、前記各像保持体ユニットUY〜UOと前記各現像器GY〜GOとにより可視像形成部材(UG+GG),(UO+GO),(UY+GY),(UM+GM),(UC+GC),(UK+GK)が構成されている。
【0027】
図1において、感光体ドラムPg〜Pkは、それぞれ帯電器CCg〜CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSg〜ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLg,Lo,Ly,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記各感光体ドラムPg〜Pk表面の静電潜像は、現像器GG〜GKにより、G:グリーン、O:オレンジ、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0028】
感光体ドラムPg〜Pk表面上のトナー像は、下方に設定された中間転写領域の一例としての1次転写領域Q3g,Q3o,Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、無端帯状体の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1g,T1o,T1y,T1m,T1c,T1kにより、順次重ねて転写される。中間転写ベルトB上に転写されたトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合は、黒色用感光体ドラムPkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPg〜Pk表面の残留トナーは感光体ドラム用の各クリーナCLg〜CLkによりクリーニングされる。
【0029】
図2は本発明の実施例1の要部説明図である。
また、図1、図2において、各可視像形成装置(UG+GG)〜(UK+GK)の下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBを有している。前記中間転写ベルトBの裏面側右端部には、中間転写駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdが配置されている。前記ベルト駆動ロールRdは、前記中間転写ベルトBを回転方向としての矢印Ya方向に回転駆動させる。また、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記黒色用感光体ドラムPkの左方と前記感光体ドラムPg,Poどうしの間には、中間転写ベルトBを回転可能に支持する支持部材の一例としての支持ロールRt2、Rt3が配置されている。また、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記中間転写ベルトBに張力を付与する張力付与部材の一例としての複数のテンションロールRtが配置されている。さらに、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記中間転写ベルトBの蛇行を防止する蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwや、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfや、2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aが配置されている。
【0030】
したがって、実施例1の前記ベルトモジュールBMでは、前記各ロールRd,Rt2,Rt3,Rt,Rw,Rf,T2a等により、前記中間転写ベルトBが張架されている。
また、実施例1では、G色の1次転写ロールT1gの矢印Ya方向上流側には、矢印Ya方向に対して垂直な方向である接離方向に移動可能に支持された第1接離部材の一例としての第1リトラクトロールR1が配置されている。実施例1の前記第1リトラクトロールR1は、前記緑色用感光体ドラムPgに前記中間転写ベルトBを接触させる第1接触位置と、離隔させる第1離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0031】
また、前記1次転写ロールT1o,T1yどうしの間には、前記第1リトラクトロールR1と同様に構成された第2接離部材の一例としての第2リトラクトロールR2と、第3接離部材の一例としての第3リトラクトロールR3とが並んで配置されている。実施例1の前記第2リトラクトロールR2は、前記橙色用感光体ドラムPoに前記中間転写ベルトBを接触させる第2接触位置と、離隔させる第2離隔位置との間で移動可能に支持されている。また、実施例1の前記第3リトラクトロールR3は、Y,M,Cの感光体ドラムPy〜Pcに前記中間転写ベルトBを同時に接触させる第3接触位置と、3色同時に離隔させる第3離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0032】
また、K色の1次転写ロールT1kの矢印Ya方向下流側には、前記各リトラクトロールR1〜R3と同様に構成された第4接離部材の一例としての第4リトラクトロールR4が配置されている。実施例1の前記第4リトラクトロールR4は、黒色の感光体ドラムPkに中間転写ベルトBを接触させる第4接触位置と、離隔させる第4離隔位置との間で移動可能に支持されている。
さらに、1次転写ロールT1c,T1k同士の間には、前記各リトラクトロールR1〜R4と同様に構成された第5接離部材の一例としての第5リトラクトロールR5が配置されている。実施例1の前記第5リトラクトロールR5は、Y,M,Cの感光体ドラムPy〜Pcと黒色の感光体ドラムPkとのいずれか一方または両方を前記中間転写ベルトBに接触させる第5接触位置と、各感光体ドラムPy〜Pkを中間転写ベルトBから離隔させる第5離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0033】
また、前記各1次転写ロールT1g〜T1kの矢印Ya方向下流側には、前記中間転写ベルトB裏面の電荷を除電する除電部材の一例としての平板状の除電板金JBが配置されている。なお、実施例1の前記除電板金JBは、前記中間転写ベルトBとは非接触で配置されており、例えば、前記中間転写ベルトBの裏面から2mm離れた位置に配置できる。
前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5により、前記中間転写ベルトBを裏面から回転可能に支持する中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5が構成されている。
また、前記中間転写ベルトB、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rt2,Rt3,Rw,Rf,T2a,R1〜R5、前記各1次転写ロールT1g〜T1k、前記除電板金JB等により、実施例1の前記ベルトモジュールBMが構成されている。
【0034】
図1において、前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有し、2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されている。図1、図2において、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには接触給電部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接しており、前記各ロールT2a〜T2cにより最終転写器の一例としての2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から予め設定されたタイミングでトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0035】
図1において、前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、媒体搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、前記用紙搬送路SH2に搬送され、時期調節部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、媒体案内部材SGr、転写前案内部材SG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。
なお、前記媒体案内部材SGrはレジロールRrとともに、前記画像形成装置本体U3に固定支持されている。
【0036】
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録用紙Sに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2bおよびベルトクリーナCLBは、中間転写ベルトBと離隔および接触可能に支持されている。
【0037】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、転写後案内部材SG2、定着前搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。前記定着装置Fの下流側には搬送切替部材GT1が設けられている。前記搬送路切替部材GT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録用紙Sを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4側のいずれかに選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0038】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正装置の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には搬送切替部材の一例としての切替ゲートG4が配置されている。前記切替ゲートG4は、前記画像形成装置本体U3の用紙搬送路SH3から搬送された記録用紙Sを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1補正部材h1または第2補正部材h2のいずれかの側に搬送する。前記第1補正部材h1または第2補正部材h2に搬送された記録用紙Sは、通過時にカールが補正される。カールが補正された記録用紙Sは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0039】
前記搬送路切替部材GT1により画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、弾性薄膜部材により構成された搬送規制部材、いわゆる、マイラーゲートGT2を押しのける形で通過して、画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像形成装置本体U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にもマイラーゲートGT3が配置されている。前記切替ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3をそのまま一旦通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、前記マイラーゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックした記録用紙Sが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送された記録用紙Sは前記給紙路SH1を通って前記転写領域Q4に再送される。
【0040】
一方、用紙反転路SH4を搬送される記録用紙Sを、記録用紙Sの後端がマイラーゲートGT2を通過後、マイラーゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、マイラーゲートGT2により記録用紙Sの搬送方向が規制され、記録用紙Sは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転された記録用紙Sは、カール補正部材U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、記録用紙Sの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1〜GT3で示された要素により媒体搬送装置SUが構成されている。
【0041】
(無端帯状体の製造方法の説明)
以下、実施例1の画像形成装置Uで使用される無端帯状体、すなわち無端ベルトの一例としての中間転写ベルトBの製造方法について、説明する。
実施例1では、無端ベルトを構成する皮膜形成樹脂は、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂:PIやポリアミドイミド樹脂:PAIが使用されている。PIまたはPAIとしては、種々の公知のものを用いることができ、PIの場合はその前駆体を塗布することもある。
PI前駆体溶液は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分を、溶剤中で反応させることによって得ることができる。各成分の種類は特に制限されないが、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られるものが、皮膜強度の点から好ましい。
【0042】
上記芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、又は上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
一方、上記芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
一方、PAIは、酸無水物、例えばトリメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物等と、上記ジアミンを組み合わせて、当モル量で重縮合反応することで得られる。PAIはアミド基を有するため、イミド化反応が進んでも溶剤に溶解し易いので、100%イミド化したものが好ましい。
【0043】
これらの溶剤(溶剤A)としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド等の非プロトン系極性溶剤が用いられる。溶液の濃度・粘度等は適宜選択されるが、本発明に好ましい溶液の固形分濃度は内外層とも10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0044】
樹脂溶液に分散する導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等のウィスカー、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。中でも、液中の分散安定性、半導電性の発現性、価格等の観点で、カーボンブラックは特に好ましい。
【0045】
分散方法としては、ボールミル、サンドミル(ビーズミル)、ジェットミル(対抗衝突型分散機)等、公知の方法をとることができる。分散助剤として、界面活性剤やレベリング剤等を添加してもよい。導電性粒子の分散濃度は、樹脂成分100部(質量部、以下同様)に対して、10〜40部、特には15〜35部が好ましい。
抵抗値の調整には、例えば、特開2005−66838号公報に記載の方法をとることができる。
【0046】
図3は実施例1の円筒芯体の全体説明図である。
次に円筒形状の芯体について説明する。
図3において、円筒形状の芯体1は、アルミニウムやステンレス、ニッケル、等の金属が使用可能であるが、表面に傷が付きやすいアルミニウムよりも、ステンレスが特に好ましい。ただし、ステンレス(SUS304)は熱伝導率が0.16W/m・℃であり、アルミニウムの約1/12と小さい。
芯体1の長さは、無端ベルト以上の長さが必要であるが、端部に生じる無効領域に対する余裕領域を確保するため、円筒芯体の長さは、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。
【0047】
芯体1の両端には、芯体1の補強のための保持板を取り付けてもよい、取り付けには、溶接やネジ止め等の方法があるが、溶接の方が遊びなく固定でき、力が均一に加わるようになるので好ましい。溶接方法には、ガス溶接、アーク溶接、プラズマ溶接、電気抵抗溶接、TIG溶接:Tungsten Inert Gas溶接、MIG溶接:Metal Inert Gas溶接、MAG溶接:Metal Active Gas溶接等、種々あるが、金属の種類により、最適な方法が選択される。
【0048】
PI樹脂の場合、前駆体の加熱反応時に気体発生が多い性質があり、発生する気体のために、PI樹脂皮膜には部分的に提灯状の膨れを生じやすく、特に皮膜の膜厚が50μmを越えるような厚い場合に顕著である。加熱反応時に発生する気体には、残留溶剤の揮発気体と、反応時に発生する水の蒸気がある。
膨れを防止するために、例えば、特開2002−160239号公報記載の技術のように、芯体1の表面は算術平均粗さRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。算術平均粗さRaが0.2μmより小さいと、揮発気体や水蒸気等の気体が抜けにくく、Raが2μmより大きくなると、作製された無端ベルトの表面に凹凸が形成されるためである。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、PI樹脂から生じる気体は、円筒部2とPI樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0049】
図3において、芯体1表面に皮膜形成樹脂溶液が塗布される前に、芯体1の両端部に、剥離補助部材の一例としてのマスキング部材2を巻いて貼り付けてもよい。マスキング部材2としては、ポリエステルやポリプロピレン等の樹脂フィルム、もしくはクレープ紙や平坦紙等の紙材を基材とした粘着テープが使用可能である。粘着テープの幅は、10〜25mm程度が好ましい。粘着テープの粘着材はアクリル系粘着材が好ましく、特に、剥がした時に粘着材が芯体1表面に残らないものが好適である。
【0050】
図4は実施例1の皮膜形成樹脂溶液を外表面に塗布する方法の説明図である。
芯体1表面には、適宜の塗布方法で、樹脂溶液が塗布される。
図4において、塗布方法としては、円筒状の芯体1の軸方向を水平にして回転させながら、樹脂溶液を垂らしながら円筒部2表面に付着させる塗布方法、いわゆる、らせん塗布方法や、ダイ方式塗布方法が好ましいが、特に、らせん塗布方法が好ましい。すなわち、図4に示すように、皮膜形成樹脂溶液6が入った容器7に、供給用の駆動装置の一例としてのポンプ8が連結されており、ポンプ8には塗布部の一例としてのノズル9が接続されている。前記ポンプ8は、ノズル9から予め設定された量の溶液6を吐出する。前記ノズル9は、芯体1の外表面に近接した状態で、円筒芯体1の軸方向に移動可能に支持されており、円筒芯体1を予め設定された回転速度で回転した状態で、ノズル9を円筒芯体1の軸方向に移動しつつ皮膜形成樹脂溶液6を吐出することで、円筒部2の表面に螺旋状に皮膜形成樹脂溶液6aが塗布されて皮膜11が形成される。そして、回転芯体1を回転させながら、塗布された皮膜11に対して平滑化手段の一例としてのブレード12を押し当てて、ブレード12を円筒芯体1の軸方向に移動させることで、表面の螺旋状の筋を消滅させ、継ぎ目のない皮膜11が形成される。
【0051】
図5は芯体端部の要部拡大説明図であり、図5Aは皮膜形成樹脂溶液が塗布された状態の説明図、図5Bはマスキング部材が剥離された状態の説明図である。
この塗布方法では、塗布開始位置と終了位置は任意に調整できる利点があり、マスキング部材2を設けた場合は、図5に示すように、芯体1の軸方向における中央側端部を覆うように、被膜形成樹脂溶液6を塗布することが望ましい。
【0052】
次に、被膜形成樹脂溶液6を乾燥させる工程を行うが、具体的には、芯体1を加熱して乾燥させることが好ましい。加熱条件は、80℃〜200℃の温度で、10分〜60分間が好ましく、温度が高いほど加熱時間、乾燥時間は短くてよい。加熱の際、熱風を当てることも有効である。加熱は段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させてもよい。加熱中は塗膜が垂れやすいので、芯体1の軸方向を水平にして5〜60rpm程度でゆっくり回転させるのがよく、回転させることで芯体に温度ムラが生じにくい利点も生じる。
【0053】
膜厚は、できあがり後の状態で、50〜150μmの範囲で、必要に応じて設定される。
【0054】
乾燥後、マスキング部材2を設けた場合は、マスキング部材2を剥がす。これにより、図5Bに示すように、乾燥した皮膜11の端部11aが除去され、皮膜11の端部に芯体1との間に隙間11bが形成される。隙間11bの芯体1の軸方向の長さは、1〜10mm程度である。この隙間11bにより、芯体1から皮膜11の抜き取りが容易になる。
【0055】
図6は実施例1の遮蔽部材の説明図である。
次に、実施例1では、図6に示すように、芯体1に遮蔽部材16を設ける。前記遮蔽部材16は、円錐状に形成されており、円錐の頂点が芯体1の軸方向の外側になるように、芯体1の軸方向の一端部に支持されている。遮蔽部材16は、円錐の底面の直径は、円筒状の芯体1の外径と同程度に形成されている。したがって、遮蔽部材16は、芯体1の一端側からの熱風が直接芯体1に吹き付けられることを防止しつつ、一端側からの風の流れを大きく変化させないことが好ましく、円錐状や、円錐の頂部が切除された円錐台の形状等が好ましい。
なお、前記遮蔽部材16は、芯体1の軸方向の一端に密着して支持することも可能であるが、隙間部材、いわゆるスペーサを介して支持することも可能である。スペーサを設けることで、スペーサで形成される隙間に作業者が手を挿入しやすく、遮蔽部材16の芯体1からの取外しが容易になる。前記スペーサで形成される隙間は、例えば、1cm程度に設定することが可能である。なお、前記遮蔽部材16は、芯体1に支持せずに、後述する加熱炉21に吊ったり、支持する等して、遮蔽部材16の一端側に設ける構成とすることも可能である。
【0056】
図7は遮蔽部材の変更例1の説明図である。
また、芯体1の内部にも熱風を流す方が、芯体1の温度上昇が早くなるので、図7に示すように、遮蔽部材16′において、芯体1の中央に対応する位置に通風口16aを形成することも好ましい。通風口16aの直径は任意であるが、小さいと熱風の通過量が少なく、大きいと遮蔽効果が小さくなるので、芯体1の外径の1/4〜1/2程度が好ましい。
【0057】
図8は遮蔽部材の変更例2の説明図である。
図9は遮蔽部材の変更例3の説明図である。
また、芯体1の一端側からの風が、芯体1の端部には当たらず、主に芯体1の内部を流れるようにするために、図8に示すように、遮蔽部材16′を図7とは逆向きに支持することも好ましい。
さらに、図9において、遮蔽部材16″は、断面が芯体1の一端側を覆う傘状に形成され、円筒状の芯体1の一端を縁取る円環状、すなわちリング状の形状とすることも可能である。
【0058】
図10は遮蔽部材の変更例4の説明図である。
図11は遮蔽部材の変更例5の説明図である。
また、遮蔽部材17の外径は、芯体1の外径と同程度であればよいが、図10に示すように、芯体の外径よりも大きいものでもよい。
さらに、芯体1の上部の温度が上がるのを確実に防止するために、図11に示すように、芯体1の外径よりも大きい遮蔽部材17′の円錐の底面側の外周に、芯体1との間に隙間をあけて配置された円環状の囲い17a′を設けてもよい。
【0059】
次に、乾燥後の皮膜11を加熱して、無端ベルトBを作成する加熱工程では、加熱炉21に、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられた芯体1を入れて加熱する。加熱する温度は、好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜350℃程度であり、20〜60分間、PI前駆体の皮膜11を加熱させることでイミド化反応が起こり、PI樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することが好ましい。
皮膜形成樹脂6がPAIの場合には、溶剤を乾燥させるだけで皮膜が形成される。
【0060】
上記加熱工程では、芯体1を加熱炉21に入れるが、加熱される温度が高いので、乾燥工程のように芯体1を回転させることが困難であり、通常は、芯体1の軸方向を重力方向に沿った状態、すなわち、垂直に立てて加熱炉21に入れる。加熱炉21としては、内部の温度ムラをなるべくなくすために、上方、すなわち、垂直に立てられた芯体1の一端側から熱風を吹き出す構成を有するものが好ましい。
【0061】
図6において、実施例1の加熱炉21では、加熱炉21の内部には、芯体1を支持する支持台Tが支持されている。なお、支持台Tの中央部には、気体が通過可能な口部Taが形成されている。加熱炉21の上端面21aは、全面から気体を下方に吹き付ける吹きつけ面となっており、加熱炉21の底面21bには、加熱炉21内の気体を吸引する吸気口21cが形成されている。前記吸気口21cには、通風路の一例としてのダクト22が接続されており、ダクト22は、上端面21aに接続されている。前記ダクト22の途中には、送風手段の一例としてのファン23が配置されており、気体を吸気口21cから上端面21aに向けて移送する。前記ファン23の送風方向の下流側には、加熱手段の一例としてのヒータ24が配置されており、ダクト22内の気体を昇温する。前記上端面21aには、多数の孔が形成された板材、いわゆるパンチングメタルが配置されており、ダクト22からの気体が、上端面21aから均一な状態で下方に吹き付けられる。
【0062】
なお、加熱炉21内の風速は、上方から下方に向かって1.0〜5.0m/s程度が好ましく、炉内全般でなるべくばらつきが少ないことが好ましい。なお風速は、風速計(例えばトーニック株式会社製、NLタイプ)により測定される。
【0063】
加熱終了後、芯体1を加熱炉21から取り出し、形成された皮膜11を芯体1から抜き取ると、無端ベルトBを得ることができる。その際、皮膜11の端部の隙間11b(図5B参照)に加圧空気を吹き込んで、皮膜11と芯体との密着を解除すると抜き取りやすくなる。
得られた皮膜の端部には、しわや、膜厚の不均一等の欠陥があるため、不要部分が切断され、無端ベルトBとなる。無端ベルトBには、必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。
【0064】
したがって、実施例1の無端ベルトBの製造方法では、芯体1の一端側に、熱風を遮蔽して、直接芯体1の一端側に熱風が吹き付けられることを防止する遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられており、芯体1の一端側が、先に高温になることが低減されている。すなわち、芯体1の軸方向における温度ムラが低減されており、製造される無端ベルトBの電気抵抗のムラが少なく、均一になっている。
すなわち、加熱工程では、加熱によってイミド化の反応や溶剤が揮発する等で樹脂の収縮が発生し、高温ほど、収縮が大きくなる。このとき、温度によって収縮度合いが異なることに伴って、収縮する皮膜中の導電性粒子同士の間隔が狭くなったり接触したりする際の接触度合いが異なってしまうことがある。接触度合いが異なると、得られた中間転写ベルトBの電気抵抗、特に、表面抵抗率にムラが発生し、表面抵抗率が低い部分では像が周囲の抵抗率が高い部分に飛散したり、表面抵抗率が高い部分ではトナーが転写されにくくなって濃度が低下すること等がある。したがって、加熱工程では、芯体1の温度が全面に渡って均一であることが求められる。
【0065】
特に、従来の無端状ベルトでは、ベルトの周長が短く、使用する円筒状の芯体1の周長に対して、肉厚が高々2〜3mm程度で十分な芯体1の強度が得られていた。この場合、芯体1の熱容量がそれほど高くなく、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けなくても、電気抵抗のムラはそれほど目立たなかった。なお、この構成においても、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けた方が、好ましいことはいうまでもない。
これに対して、実施例1では、6色に対応する中間転写ベルトBは、従来に比べて周長が長く、円筒状の芯体1の肉厚を従来と同様にすると、芯体1の強度、剛性が不足し円筒形状を自己保持できず、肉厚を厚くする必要がある。これに伴って、芯体1の熱容量が大きくなり、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けない場合には、温度ムラが顕著となり、中間転写ベルトBの温度ムラが問題となる。
したがって、実施例1では、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられた芯体1では、温度ムラが低減され、製造される中間転写ベルトBの電気抵抗のムラも低減され、中間転写ベルトBを画像形成装置で使用した際には、ハーフトーン画像における濃度ムラ等の画質の低下が抑制される。
【0066】
次に、実施例1の効果を確認するための実験を行った。
(実験例1)
実験例1では、円筒状の芯体1の円筒部分として、外径600mm、肉厚8mm、長さ1mmのSUS304製円筒を用意した。実験例1では、保持板として、厚さ10mm、外径が円筒に嵌る径で、150mm径の通風口を4つ設けた円板をSUS304で作成し、円筒に嵌めて溶接し、芯体1とした。
表面は球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、Ra0.4μmに粗面化した。
円筒部2の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート(登録商標)、信越化学工業株式会社製)をスプレーで塗布して、300℃の加熱炉に1時間入れて、焼き付け処理を施した。
【0067】
前記芯体1の両端に、前記図3に示すように、マスキング部材2(商品名:スコッチテープ#232、住友スリーエム株式会社製で、クレープ紙基材とアクリル系粘着剤からなる幅24mmのもの)を全周に渡って1周分貼り付けた。
【0068】
実験例1では、PI前駆体溶液(商品名:Uワニス、宇部興産株式会社製、固形分濃度18%、溶剤はN−メチルピロリドン)100重量部に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で27%混合し、次いで対向衝突型分散機(株式会社ジーナス製、GeanusPY)により分散し、25℃での粘度が約42Pa・sの塗液を得た。
上記塗液を用い、図4に示すらせん塗布機により、PI前駆体塗膜を形成する。
【0069】
塗布は、PI前駆体の塗液6が10[L]入った容器7にモーノポンプ8を連結し、ノズル9から毎分60mlの吐出を行い、円筒芯体1を回転方向Aに20rpmで回転させ、吐出された液6が芯体1に付着後、その表面にブレード12を押し当て、芯体軸方向Bに50mm/分の速度で移動させた。
実験例1で使用した平滑化手段であるブレード12は、厚さ0.2mmのステンレス板を幅20mm、長さ50mmに加工したものである。
塗布幅は、円筒芯体1の一端から10mmの位置から、他端部から10mmの位置までとした。
【0070】
塗布後、そのまま、5分間回転を続けることで、塗膜表面のらせん筋は消失した。
これにより、膜厚が約500μmの層が形成された。この厚さは、できあがりの膜厚で80μmに相当する。
【0071】
その後、芯体を10rpmで回転させながら190℃の乾燥炉に入れ、20分間、乾燥させた。芯体を取り出した後、マスキング部材2を手で引きはがした。その際には、一方の手で乾燥皮膜11の端部を押さえて、皮膜11が裂けないようにした。この工程の後、皮膜11の端部に、幅5〜8mmの隙間11bが形成された。
その後、円筒芯体1を乾燥炉の図示しない回転台から下ろして、軸方向を垂直にし、身体1の上に、変更例1の遮蔽部材16′を載せた。遮蔽部材16′は、底面の外径600mm、高さ120mmで、中央に、直径150mmの通風口16aが形成されており、1mm厚のSUS304の板を加工して作製した。
【0072】
そして、遮蔽部材16′を備えた芯体1を加熱炉21に入れて、200℃で30分、300℃で30分加熱して、残留溶剤の乾燥と、PI樹脂のイミド化反応を同時に行った。
なお、実験例1では、加熱炉21の内寸は幅1.8m、高さ2.4m、奥行き1.5mであり、上方から加熱空気が吹き降り、下方で吸い込まれる構成である。芯体1を入れない状態での加熱炉21内の風速は、風速計(トーニック株式会社製、NLタイプ)で測定したところ、加熱炉21内の各部で1.4〜1.8m/sであり、平均1.6m/sであった。
【0073】
室温に冷えた後、芯体1と皮膜11との隙間11bに加圧空気を吹き込んで樹脂製の被膜11を抜き取り、無端ベルトを得た。さらに、無端ベルトの中央を切断し、さらに不要部分を両端から切断して、幅360mmの2本の中間転写ベルトBを得た。軸方向5箇所、周方向10箇所の計50箇所について、膜厚をダイヤルゲージで測定すると、平均の膜厚は80μmであった。
【0074】
(比較例1)
比較例1では、実験例1において、芯体1を加熱炉21に入れる際に、芯体1に遮蔽部材16′を載せなかった以外は、実験例1と同様にして無端ベルトを作製した。
【0075】
前記実験例1および比較例1において、無端ベルトBの表面抵抗率と、加熱炉における芯体の到達温度とを測定した。
【0076】
図12は実験例1および比較例1の実験結果の説明図であり、図12Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図12Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(到達温度の測定)
無端ベルトBの表面抵抗は、加熱時の芯体1の到達温度と相関があり、温度が高くなるほど抵抗は下がる。無端ベルトの面内の抵抗ムラを軽減するには、到達温度を均一にする必要がある。そこで、実験例1において、加熱時に芯体の温度を調べた。
測定は、芯体1の軸方向で、芯体1の上端から100mm、200mm、400mm、600mm、800mm、900mmの高さ毎に、周方向で90°ずつ4点の温度測定を行い。その平均値をまとめた。実験結果を図12Aに示す。
【0077】
図12Aにおいて、△で示す比較例1では、芯体1の上部の温度が非常に高く、その下側では、徐々に温度が低くなっていた。これは、熱風が芯体上部に直接当たるために温度が高くなったものである。これに対して、図12Aにおいて、●で示す実験例1では、芯体1の上部に遮蔽部材16′が設けられて、熱風が芯体1の上部に直接当たらないようになっており、芯体1の上部の温度が下がっており、全体の温度ムラも小さくなっている。
【0078】
(電気抵抗率の測定)
次に、芯体1の温度測定位置に対応する位置において、無端ベルトの表面抵抗率を測定した。
表面抵抗率は、試験片の表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当たりの電流で除した数値であり、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。表面抵抗率の単位は、正式にはΩだが、単なる抵抗と区別するためΩ/□と記載される。
測定には、デジタル超高抵抗/微小電流計(アドバンテスト社製、R8340A)と、接続部を専用に改造した二重リング電極構造のURプローブ:MCP−HTP12、及びレジテーブル:UFLMCP−ST03(何れも、ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して、リング電極に電圧を印加して行った。
【0079】
測定時は、上記レジテーブル上に試験片を置き、測定面に接するように上記URプローブの二重電極を当て、URプローブの上部には質量2.0±0.1kg(19.6±1.0N)の錘を取り付け、試験片に一定の荷重がかかるようにした。
【0080】
測定条件は、電圧印加時間を10秒とし、印加電圧は100Vとした。この時、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とすると、ダイアインスツルメンツ社「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)=10.0なので、表面抵抗率ρsは下記式(1)のようになる。
式(1):ρs(Ω/□)=R×RCF(S)=R×10.0
【0081】
表面抵抗率の測定結果を図12Bに示す。
実験例1の結果は、図12Bの●で示すように、平均が10.84[logΩ/□]で、最小値と最大値との差であるバラツキが0.6であった。一方で、比較例1は、図12Bの△で示すように、平均が10.38[logΩ/□]で、バラツキが1.6であった。このように、実験例1では、表面抵抗率のバラツキが大幅に改善されていることがわかる。
なお、中間転写ベルトBの要求される表面抵抗率は、一例として、平均10.8[logΩ/□]、バラツキ1.0以内であることが望ましい。
【0082】
図13は実験例1〜3と比較例1の実験結果の説明図であり、図13Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図13Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(実験例2)
実験例2では、芯体1を加熱炉21に入れる際、芯体1の上に載せる遮蔽部材16として、図6に示すように、外径600mm、高さ160mmで、中央に通風口が形成されていない点が異なる以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例2でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図13に示す。
図13の○で示す実験例2では、表面抵抗率は平均が10.90[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。また、到達温度は実験例1に比べて、ほぼどの位置でも約0.5℃低いものであった。
【0083】
(実験例3)
実験例3では、芯体1を加熱炉21に入れる際、図8に示すように、芯体1の上に載せる遮蔽部材16′を上下反転させた以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例3でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図13に示す。
図13の□で示す実験例3では、表面抵抗率は平均が10.75[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。
【0084】
図14は実験例1、4、5と比較例1の実験結果の説明図であり、図14Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図14Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(実験例4)
実験例4では、芯体1を加熱炉21に入れる際、芯体1の上に載せる遮蔽部材17として、図10に示すように、外径700mm、高さ140mmで、中央に直径175mmの通風口が形成された遮蔽部材17を使用した点が異なる以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例4でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図14に示す。
図14の■で示す実験例4では、表面抵抗率は平均が10.96[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。
【0085】
(実験例5)
実験例5では、芯体1を加熱炉21に入れる際、図11に示すように、芯体1の軸方向の長さが150mmの囲い17a′を有する遮蔽部材17′を使用し、外径700mm、高さ240mmで、中央に直径175mmの通風口が形成された遮蔽部材17を使用した点以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例5でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図14に示す。
図14の▲で示す実験例5では、表面抵抗率は平均が11.08[logΩ/□]、バラツキ1.0であった。
【0086】
以上から、実施例1のように遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けて、熱風を遮蔽し、芯体1の一端に直接熱風が吹き付けられることを防止した場合に、表面抵抗率のばらつきが抑えられる。
(転写画像の評価)
このようにして得られた無端ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置(DocuCentreColor400CPを4800DPIに改造したもの)に中間転写ベルトとして組み込み、画質の評価を行った。画質の評価項目として、0.2Gのハーフトーン画像における濃度ムラを、X-Rite濃度計(X-Rite社製)で計測した。
その結果、実験例1〜5の無端ベルトは、すべて変動量が5%以下であった。一方、比較例1の無端ベルトは、変動量が15%以下であった。
【0087】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置Uは、いわゆる、プリンタにより構成したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、6色のトナーが使用される構成に限定されず、例えば、7色以上や、5色以下や単色の画像形成装置にも適用可能である。
【0088】
(H03)前記実施例において、無端帯状体として中間転写ベルトBを例示したが、これに限定されず、例えば、感光体ベルト、帯電ベルトや記録媒体の搬送ベルト等の無端帯状体に適用可能である。
(H04)前記実施例において、例示した具体的な材料や数値、形状は、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0089】
(H05)前記実施例において、円錐または円錐台状の遮蔽部材を例示したが、この構成に限定されず、例えば、三角錐や四角錐等の多角錐や、これらの多角錐台とすることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…芯体、
6…皮膜形成樹脂溶液、
16,16′,16″,17,17′…遮蔽部材、
16a…通風口、
21…加熱炉、
23…送風手段、
B…無端帯状体,中間転写体、
F…定着装置、
GG,GO,GY,GM,GC,GK…現像装置、
ROSg,ROSo,ROSy,ROSm,ROSc,ROSk…潜像形成装置、
Py,Pm,Pc,Pk,Po,Pg…像保持体、
S…媒体、
T2…最終転写器、
T1g,T1o,T1y,T1m,T1c,T1k…一次転写器、
U…画像形成装置、
UG+GG,UO+GO,UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GK…可視像形成装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端帯状体の製造方法、無端帯状体および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置において、像保持体表面に形成された可視像を媒体に転写する前に一時的に転写される中間転写体や、媒体を表面に保持して搬送する媒体搬送部材として、樹脂製の無端帯状体、いわゆる無端ベルトが広く採用されている。前記無端ベルトを製造する製造方法として、以下の特許文献1〜5に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開平5−77252号公報には、円筒状のシリンダー(1)の内面(2)に、塗布装置(11)により有機高分子材料と導電性微粉末が混合された原材料が溶かされた溶媒を塗布して、加熱器(8)内で加熱して、強度や寸法安定性、耐熱性等が優れたポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂に導電性粒子が分散されたシームレスの無端ベルトを製造する技術が記載されている。
特許文献2としての特開2008−76518号公報には、非対称性のビフェニルテトラカルボン酸成分を含むカーボンブラック分散ポリイミド前駆体を、円筒金型に塗布して、乾燥、加熱して半導電性ポリイミドベルトを製造する技術が記載されている。
【0004】
特許文献3としての特開2002−148899号公報には、中間転写体の抵抗値のバラツキや厚みの精度、表面精度、平面度を高め、濃度むらの発生を低減するために、ポリイミド樹脂性の無端ベルトを作成する際に、イミド転化を行う加熱工程において、0.5時間以上の間、一定の温度で保持する加熱条件で行われる技術が記載されている。
【0005】
特許文献4としての特開平10−63115号公報には、導電性金属酸化物に耐熱皮膜用ポリイミドワニスに混合した成膜原液をステンレススチール製のシート上に流延して、乾燥、加熱してポリイミドフィルムを作成して、1液性弾性接着剤でポリイミドフィルムの両端部を重ね合わせて無端状の中間転写ベルトを製造する技術が記載されている。
【0006】
特許文献5としての特開2007−216510号公報には、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体を、円筒金型の外面に塗布して、乾燥、焼成して無端ベルトを製造する技術が記載されている。焼成工程では、円筒金型の軸方向の一端部から熱風を当てることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−77252号公報(「0007」、「0018」〜「0022」、図1〜図3)
【特許文献2】特開2008−76518号公報(「0083」〜「0095」)
【特許文献3】特開2002−148899号公報(「0011」、「0027」)
【特許文献4】特開平10−63115号公報(「0034」)
【特許文献5】特開2007−216510号公報(「0041」〜「0066」、図10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、無端帯状体を製造する場合に、円筒状の芯体の加熱時の温度ムラを低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の無端帯状体の製造方法では、
円筒形状の芯体の表面に皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
前記芯体の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体に塗布された皮膜形成樹脂溶液を乾燥させる工程と、
前記芯体の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材を設ける工程と、
前記遮蔽部材が設けられた前記芯体に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段を有する加熱炉に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂が固化された無端帯状体を製造する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材が円錐形状である
ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材の外径が前記芯体の外径よりも大きい
ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材の一部に、前記芯体の円筒形状の内表面側に風を導く通風口が形成された
ことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の無端帯状体の製造方法において、
前記遮蔽部材が円錐台又は円環形状である
ことを特徴とする。
【0014】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の無端帯状体は、
請求項1ないし5のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法で製造されたことを特徴とする。
【0015】
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の画像形成装置は、
像保持体と、前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、を有する可視像形成装置と、
前記像保持体に対向して配置され、請求項6に記載の無端帯状体により構成された中間転写体と、
前記像保持体表面の可視像を前記中間転写体表面に転写する一次転写器と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に転写する最終転写器と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし3に記載の発明によれば、本構成の遮蔽部材を設けない場合に比べて、無端帯状体を製造する場合に、円筒状の芯体の加熱時の温度ムラを低減することができる。
請求項4、5に記載の発明によれば、通風口を有しない場合に比べて、円筒状の芯体の温度上昇を速くすることができる。
請求項6に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、無端帯状体の電気抵抗のムラを低減することができる。
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、画像の濃度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の要部説明図である。
【図3】図3は実施例1の円筒芯体の全体説明図である。
【図4】図4は実施例1の皮膜形成樹脂溶液を外表面に塗布する方法の説明図である。
【図5】図5は芯体端部の要部拡大説明図であり、図5Aは皮膜形成樹脂溶液が塗布された状態の説明図、図5Bはマスキング部材が剥離された状態の説明図である。
【図6】図6は実施例1の遮蔽部材の説明図である。
【図7】図7は遮蔽部材の変更例1の説明図である。
【図8】図8は遮蔽部材の変更例2の説明図である。
【図9】図9は遮蔽部材の変更例3の説明図である。
【図10】図10は遮蔽部材の変更例4の説明図である。
【図11】図11は遮蔽部材の変更例5の説明図である。
【図12】図12は実験例1および比較例1の実験結果の説明図であり、図12Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図12Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【図13】図13は実験例1〜3と比較例1の実験結果の説明図であり、図13Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図13Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【図14】図14は実験例1、4、5と比較例1の実験結果の説明図であり、図14Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図14Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、実施例1の画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像情報入力装置の一例としてのイメージ入力装置U1、給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙処理装置U4を有している。
【0020】
前記ユーザインタフェースUIは、動作開始釦の一例としてのコピースタートキー、枚数設定釦の一例としてのコピー枚数設定キー、数字入力釦の一例としてのテンキー等の入力釦および表示器UI1を有している。
前記イメージ入力装置U1は、画像読取装置の一例としてのイメージスキャナ等により構成されている。図1において、イメージ入力装置U1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
【0021】
また、実施例1の前記画像形成装置本体U3には、画像情報送信装置の一例としてのクライアントパソコンPCが接続されており、前記クライアントパソコンPCから画像情報とが入力される。
実施例1の前記クライアントパソコンPCは、計算機、いわゆる、コンピュータ装置により構成されており、画像情報送信装置本体の一例としてのコンピュータ本体H1と、表示部材の一例としてのディスプレイH2と、入力部材の一例としてのキーボードH3やマウスH4等と、図示しない情報記憶部材の一例としてのHDドライブ、いわゆる、ハードディスクドライブ等により構成されている。
【0022】
前記給紙装置U2は、複数の給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR4を有する。前記各給紙トレイTR1〜TR4には、最終転写体、媒体の一例としての記録用紙Sが収容されており、各給紙トレイTR1〜TR4から取り出された記録用紙Sは、給紙路SH1を通じて、画像形成装置本体U3に搬送される。
【0023】
図1において、画像形成装置本体U3は、前記給紙装置U2から搬送された記録用紙Sに画像記録を行う画像記録部、現像剤補給装置の一例としてのトナーディスペンサー装置U3a、用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。
また、画像形成装置本体U3は、制御部C、および、前記制御部Cにより制御される潜像書込装置駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路D、前記制御部Cにより制御される電源回路E等を有している。前記レーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたG:グリーン、すなわち、緑色、O:オレンジ、すなわち、橙色、Y:イエロー、すなわち、黄色、M:マゼンタ、すなわち、紅紫色、C:シアン、すなわち、藍緑色、K:ブラック、すなわち、黒色の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期、いわゆる、タイミングで、各色の潜像形成装置ROSg,ROSo,ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0024】
前記各色の潜像形成装置ROSg〜ROSkの下方には、各色の像保持体ユニットUG,UO,UY,UM,UC,UKと、現像装置の一例としての各色の現像器GG,GO,GY,GM,GC,GKとが支持されている。各像保持体ユニットUG〜UKおよび各現像器GG〜GKは、画像形成装置本体U3に対して着脱可能に装着される。
【0025】
黒の像保持体ユニットUKは、像保持体の一例としての感光体ドラムPk、帯電器CCkおよび像保持体用清掃器の一例としてのクリーナCLkを有している。また、前記感光体ドラムPkの右方には、黒の現像器GKの現像部材の一例としての現像ロールR0が隣接している。そして、他の各色の像保持体ユニットUG〜UCも、同様に、像保持体の一例としての感光体ドラムPg,Po,Py,Pm,Pcと、帯電器CCg,CCo,CCy,CCm,CCc、クリーナCLg,CLo,CLy,CLm,CLcが隣接して配置されている。また、前記各感光体ドラムPg〜Pcの右方にも、各色の現像器GG〜GCの現像ロールR0が隣接している。
【0026】
なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体ドラムPkは、他の色の感光体ドラムPg〜Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
また、前記各像保持体ユニットUY〜UOと前記各現像器GY〜GOとにより可視像形成部材(UG+GG),(UO+GO),(UY+GY),(UM+GM),(UC+GC),(UK+GK)が構成されている。
【0027】
図1において、感光体ドラムPg〜Pkは、それぞれ帯電器CCg〜CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSg〜ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLg,Lo,Ly,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記各感光体ドラムPg〜Pk表面の静電潜像は、現像器GG〜GKにより、G:グリーン、O:オレンジ、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0028】
感光体ドラムPg〜Pk表面上のトナー像は、下方に設定された中間転写領域の一例としての1次転写領域Q3g,Q3o,Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて、無端帯状体の一例であって中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1g,T1o,T1y,T1m,T1c,T1kにより、順次重ねて転写される。中間転写ベルトB上に転写されたトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合は、黒色用感光体ドラムPkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体ドラムPg〜Pk表面の残留トナーは感光体ドラム用の各クリーナCLg〜CLkによりクリーニングされる。
【0029】
図2は本発明の実施例1の要部説明図である。
また、図1、図2において、各可視像形成装置(UG+GG)〜(UK+GK)の下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが支持されている。
前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBを有している。前記中間転写ベルトBの裏面側右端部には、中間転写駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdが配置されている。前記ベルト駆動ロールRdは、前記中間転写ベルトBを回転方向としての矢印Ya方向に回転駆動させる。また、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記黒色用感光体ドラムPkの左方と前記感光体ドラムPg,Poどうしの間には、中間転写ベルトBを回転可能に支持する支持部材の一例としての支持ロールRt2、Rt3が配置されている。また、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記中間転写ベルトBに張力を付与する張力付与部材の一例としての複数のテンションロールRtが配置されている。さらに、前記中間転写ベルトBの裏面側には、前記中間転写ベルトBの蛇行を防止する蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwや、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfや、2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aが配置されている。
【0030】
したがって、実施例1の前記ベルトモジュールBMでは、前記各ロールRd,Rt2,Rt3,Rt,Rw,Rf,T2a等により、前記中間転写ベルトBが張架されている。
また、実施例1では、G色の1次転写ロールT1gの矢印Ya方向上流側には、矢印Ya方向に対して垂直な方向である接離方向に移動可能に支持された第1接離部材の一例としての第1リトラクトロールR1が配置されている。実施例1の前記第1リトラクトロールR1は、前記緑色用感光体ドラムPgに前記中間転写ベルトBを接触させる第1接触位置と、離隔させる第1離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0031】
また、前記1次転写ロールT1o,T1yどうしの間には、前記第1リトラクトロールR1と同様に構成された第2接離部材の一例としての第2リトラクトロールR2と、第3接離部材の一例としての第3リトラクトロールR3とが並んで配置されている。実施例1の前記第2リトラクトロールR2は、前記橙色用感光体ドラムPoに前記中間転写ベルトBを接触させる第2接触位置と、離隔させる第2離隔位置との間で移動可能に支持されている。また、実施例1の前記第3リトラクトロールR3は、Y,M,Cの感光体ドラムPy〜Pcに前記中間転写ベルトBを同時に接触させる第3接触位置と、3色同時に離隔させる第3離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0032】
また、K色の1次転写ロールT1kの矢印Ya方向下流側には、前記各リトラクトロールR1〜R3と同様に構成された第4接離部材の一例としての第4リトラクトロールR4が配置されている。実施例1の前記第4リトラクトロールR4は、黒色の感光体ドラムPkに中間転写ベルトBを接触させる第4接触位置と、離隔させる第4離隔位置との間で移動可能に支持されている。
さらに、1次転写ロールT1c,T1k同士の間には、前記各リトラクトロールR1〜R4と同様に構成された第5接離部材の一例としての第5リトラクトロールR5が配置されている。実施例1の前記第5リトラクトロールR5は、Y,M,Cの感光体ドラムPy〜Pcと黒色の感光体ドラムPkとのいずれか一方または両方を前記中間転写ベルトBに接触させる第5接触位置と、各感光体ドラムPy〜Pkを中間転写ベルトBから離隔させる第5離隔位置との間で移動可能に支持されている。
【0033】
また、前記各1次転写ロールT1g〜T1kの矢印Ya方向下流側には、前記中間転写ベルトB裏面の電荷を除電する除電部材の一例としての平板状の除電板金JBが配置されている。なお、実施例1の前記除電板金JBは、前記中間転写ベルトBとは非接触で配置されており、例えば、前記中間転写ベルトBの裏面から2mm離れた位置に配置できる。
前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5により、前記中間転写ベルトBを裏面から回転可能に支持する中間転写体支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2a,R1〜R5が構成されている。
また、前記中間転写ベルトB、前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rt2,Rt3,Rw,Rf,T2a,R1〜R5、前記各1次転写ロールT1g〜T1k、前記除電板金JB等により、実施例1の前記ベルトモジュールBMが構成されている。
【0034】
図1において、前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtは、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有し、2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されている。図1、図2において、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには接触給電部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接しており、前記各ロールT2a〜T2cにより最終転写器の一例としての2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から予め設定されたタイミングでトナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0035】
図1において、前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙された記録用紙Sは、媒体搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、前記用紙搬送路SH2に搬送され、時期調節部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、媒体案内部材SGr、転写前案内部材SG1を通って2次転写領域Q4に搬送される。
なお、前記媒体案内部材SGrはレジロールRrとともに、前記画像形成装置本体U3に固定支持されている。
【0036】
前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記記録用紙Sに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2bおよびベルトクリーナCLBは、中間転写ベルトBと離隔および接触可能に支持されている。
【0037】
トナー像が2次転写された前記記録用紙Sは、転写後案内部材SG2、定着前搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記記録用紙S上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。前記定着装置Fの下流側には搬送切替部材GT1が設けられている。前記搬送路切替部材GT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着された記録用紙Sを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4側のいずれかに選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0038】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正装置の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には搬送切替部材の一例としての切替ゲートG4が配置されている。前記切替ゲートG4は、前記画像形成装置本体U3の用紙搬送路SH3から搬送された記録用紙Sを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1補正部材h1または第2補正部材h2のいずれかの側に搬送する。前記第1補正部材h1または第2補正部材h2に搬送された記録用紙Sは、通過時にカールが補正される。カールが補正された記録用紙Sは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0039】
前記搬送路切替部材GT1により画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、弾性薄膜部材により構成された搬送規制部材、いわゆる、マイラーゲートGT2を押しのける形で通過して、画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像形成装置本体U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にもマイラーゲートGT3が配置されている。前記切替ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sは、前記マイラーゲートGT3をそのまま一旦通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、前記マイラーゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックした記録用紙Sが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送された記録用紙Sは前記給紙路SH1を通って前記転写領域Q4に再送される。
【0040】
一方、用紙反転路SH4を搬送される記録用紙Sを、記録用紙Sの後端がマイラーゲートGT2を通過後、マイラーゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、マイラーゲートGT2により記録用紙Sの搬送方向が規制され、記録用紙Sは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転された記録用紙Sは、カール補正部材U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、記録用紙Sの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1〜GT3で示された要素により媒体搬送装置SUが構成されている。
【0041】
(無端帯状体の製造方法の説明)
以下、実施例1の画像形成装置Uで使用される無端帯状体、すなわち無端ベルトの一例としての中間転写ベルトBの製造方法について、説明する。
実施例1では、無端ベルトを構成する皮膜形成樹脂は、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂:PIやポリアミドイミド樹脂:PAIが使用されている。PIまたはPAIとしては、種々の公知のものを用いることができ、PIの場合はその前駆体を塗布することもある。
PI前駆体溶液は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分を、溶剤中で反応させることによって得ることができる。各成分の種類は特に制限されないが、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン成分とを反応させて得られるものが、皮膜強度の点から好ましい。
【0042】
上記芳香族テトラカルボン酸の代表例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、あるいはこれらのテトラカルボン酸エステル、又は上記各テトラカルボン酸類の混合物等が挙げられる。
一方、上記芳香族ジアミン成分としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
一方、PAIは、酸無水物、例えばトリメリット酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物等と、上記ジアミンを組み合わせて、当モル量で重縮合反応することで得られる。PAIはアミド基を有するため、イミド化反応が進んでも溶剤に溶解し易いので、100%イミド化したものが好ましい。
【0043】
これらの溶剤(溶剤A)としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド等の非プロトン系極性溶剤が用いられる。溶液の濃度・粘度等は適宜選択されるが、本発明に好ましい溶液の固形分濃度は内外層とも10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0044】
樹脂溶液に分散する導電性粒子としては、例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等のウィスカー、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。中でも、液中の分散安定性、半導電性の発現性、価格等の観点で、カーボンブラックは特に好ましい。
【0045】
分散方法としては、ボールミル、サンドミル(ビーズミル)、ジェットミル(対抗衝突型分散機)等、公知の方法をとることができる。分散助剤として、界面活性剤やレベリング剤等を添加してもよい。導電性粒子の分散濃度は、樹脂成分100部(質量部、以下同様)に対して、10〜40部、特には15〜35部が好ましい。
抵抗値の調整には、例えば、特開2005−66838号公報に記載の方法をとることができる。
【0046】
図3は実施例1の円筒芯体の全体説明図である。
次に円筒形状の芯体について説明する。
図3において、円筒形状の芯体1は、アルミニウムやステンレス、ニッケル、等の金属が使用可能であるが、表面に傷が付きやすいアルミニウムよりも、ステンレスが特に好ましい。ただし、ステンレス(SUS304)は熱伝導率が0.16W/m・℃であり、アルミニウムの約1/12と小さい。
芯体1の長さは、無端ベルト以上の長さが必要であるが、端部に生じる無効領域に対する余裕領域を確保するため、円筒芯体の長さは、目的とする無端ベルトの長さより、10〜40%程度長いことが望ましい。
【0047】
芯体1の両端には、芯体1の補強のための保持板を取り付けてもよい、取り付けには、溶接やネジ止め等の方法があるが、溶接の方が遊びなく固定でき、力が均一に加わるようになるので好ましい。溶接方法には、ガス溶接、アーク溶接、プラズマ溶接、電気抵抗溶接、TIG溶接:Tungsten Inert Gas溶接、MIG溶接:Metal Inert Gas溶接、MAG溶接:Metal Active Gas溶接等、種々あるが、金属の種類により、最適な方法が選択される。
【0048】
PI樹脂の場合、前駆体の加熱反応時に気体発生が多い性質があり、発生する気体のために、PI樹脂皮膜には部分的に提灯状の膨れを生じやすく、特に皮膜の膜厚が50μmを越えるような厚い場合に顕著である。加熱反応時に発生する気体には、残留溶剤の揮発気体と、反応時に発生する水の蒸気がある。
膨れを防止するために、例えば、特開2002−160239号公報記載の技術のように、芯体1の表面は算術平均粗さRa0.2〜2μm程度に粗面化することが好ましい。算術平均粗さRaが0.2μmより小さいと、揮発気体や水蒸気等の気体が抜けにくく、Raが2μmより大きくなると、作製された無端ベルトの表面に凹凸が形成されるためである。粗面化の方法には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。これにより、PI樹脂から生じる気体は、円筒部2とPI樹脂皮膜の間に形成されるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを生じない。
【0049】
図3において、芯体1表面に皮膜形成樹脂溶液が塗布される前に、芯体1の両端部に、剥離補助部材の一例としてのマスキング部材2を巻いて貼り付けてもよい。マスキング部材2としては、ポリエステルやポリプロピレン等の樹脂フィルム、もしくはクレープ紙や平坦紙等の紙材を基材とした粘着テープが使用可能である。粘着テープの幅は、10〜25mm程度が好ましい。粘着テープの粘着材はアクリル系粘着材が好ましく、特に、剥がした時に粘着材が芯体1表面に残らないものが好適である。
【0050】
図4は実施例1の皮膜形成樹脂溶液を外表面に塗布する方法の説明図である。
芯体1表面には、適宜の塗布方法で、樹脂溶液が塗布される。
図4において、塗布方法としては、円筒状の芯体1の軸方向を水平にして回転させながら、樹脂溶液を垂らしながら円筒部2表面に付着させる塗布方法、いわゆる、らせん塗布方法や、ダイ方式塗布方法が好ましいが、特に、らせん塗布方法が好ましい。すなわち、図4に示すように、皮膜形成樹脂溶液6が入った容器7に、供給用の駆動装置の一例としてのポンプ8が連結されており、ポンプ8には塗布部の一例としてのノズル9が接続されている。前記ポンプ8は、ノズル9から予め設定された量の溶液6を吐出する。前記ノズル9は、芯体1の外表面に近接した状態で、円筒芯体1の軸方向に移動可能に支持されており、円筒芯体1を予め設定された回転速度で回転した状態で、ノズル9を円筒芯体1の軸方向に移動しつつ皮膜形成樹脂溶液6を吐出することで、円筒部2の表面に螺旋状に皮膜形成樹脂溶液6aが塗布されて皮膜11が形成される。そして、回転芯体1を回転させながら、塗布された皮膜11に対して平滑化手段の一例としてのブレード12を押し当てて、ブレード12を円筒芯体1の軸方向に移動させることで、表面の螺旋状の筋を消滅させ、継ぎ目のない皮膜11が形成される。
【0051】
図5は芯体端部の要部拡大説明図であり、図5Aは皮膜形成樹脂溶液が塗布された状態の説明図、図5Bはマスキング部材が剥離された状態の説明図である。
この塗布方法では、塗布開始位置と終了位置は任意に調整できる利点があり、マスキング部材2を設けた場合は、図5に示すように、芯体1の軸方向における中央側端部を覆うように、被膜形成樹脂溶液6を塗布することが望ましい。
【0052】
次に、被膜形成樹脂溶液6を乾燥させる工程を行うが、具体的には、芯体1を加熱して乾燥させることが好ましい。加熱条件は、80℃〜200℃の温度で、10分〜60分間が好ましく、温度が高いほど加熱時間、乾燥時間は短くてよい。加熱の際、熱風を当てることも有効である。加熱は段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させてもよい。加熱中は塗膜が垂れやすいので、芯体1の軸方向を水平にして5〜60rpm程度でゆっくり回転させるのがよく、回転させることで芯体に温度ムラが生じにくい利点も生じる。
【0053】
膜厚は、できあがり後の状態で、50〜150μmの範囲で、必要に応じて設定される。
【0054】
乾燥後、マスキング部材2を設けた場合は、マスキング部材2を剥がす。これにより、図5Bに示すように、乾燥した皮膜11の端部11aが除去され、皮膜11の端部に芯体1との間に隙間11bが形成される。隙間11bの芯体1の軸方向の長さは、1〜10mm程度である。この隙間11bにより、芯体1から皮膜11の抜き取りが容易になる。
【0055】
図6は実施例1の遮蔽部材の説明図である。
次に、実施例1では、図6に示すように、芯体1に遮蔽部材16を設ける。前記遮蔽部材16は、円錐状に形成されており、円錐の頂点が芯体1の軸方向の外側になるように、芯体1の軸方向の一端部に支持されている。遮蔽部材16は、円錐の底面の直径は、円筒状の芯体1の外径と同程度に形成されている。したがって、遮蔽部材16は、芯体1の一端側からの熱風が直接芯体1に吹き付けられることを防止しつつ、一端側からの風の流れを大きく変化させないことが好ましく、円錐状や、円錐の頂部が切除された円錐台の形状等が好ましい。
なお、前記遮蔽部材16は、芯体1の軸方向の一端に密着して支持することも可能であるが、隙間部材、いわゆるスペーサを介して支持することも可能である。スペーサを設けることで、スペーサで形成される隙間に作業者が手を挿入しやすく、遮蔽部材16の芯体1からの取外しが容易になる。前記スペーサで形成される隙間は、例えば、1cm程度に設定することが可能である。なお、前記遮蔽部材16は、芯体1に支持せずに、後述する加熱炉21に吊ったり、支持する等して、遮蔽部材16の一端側に設ける構成とすることも可能である。
【0056】
図7は遮蔽部材の変更例1の説明図である。
また、芯体1の内部にも熱風を流す方が、芯体1の温度上昇が早くなるので、図7に示すように、遮蔽部材16′において、芯体1の中央に対応する位置に通風口16aを形成することも好ましい。通風口16aの直径は任意であるが、小さいと熱風の通過量が少なく、大きいと遮蔽効果が小さくなるので、芯体1の外径の1/4〜1/2程度が好ましい。
【0057】
図8は遮蔽部材の変更例2の説明図である。
図9は遮蔽部材の変更例3の説明図である。
また、芯体1の一端側からの風が、芯体1の端部には当たらず、主に芯体1の内部を流れるようにするために、図8に示すように、遮蔽部材16′を図7とは逆向きに支持することも好ましい。
さらに、図9において、遮蔽部材16″は、断面が芯体1の一端側を覆う傘状に形成され、円筒状の芯体1の一端を縁取る円環状、すなわちリング状の形状とすることも可能である。
【0058】
図10は遮蔽部材の変更例4の説明図である。
図11は遮蔽部材の変更例5の説明図である。
また、遮蔽部材17の外径は、芯体1の外径と同程度であればよいが、図10に示すように、芯体の外径よりも大きいものでもよい。
さらに、芯体1の上部の温度が上がるのを確実に防止するために、図11に示すように、芯体1の外径よりも大きい遮蔽部材17′の円錐の底面側の外周に、芯体1との間に隙間をあけて配置された円環状の囲い17a′を設けてもよい。
【0059】
次に、乾燥後の皮膜11を加熱して、無端ベルトBを作成する加熱工程では、加熱炉21に、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられた芯体1を入れて加熱する。加熱する温度は、好ましくは250〜450℃、より好ましくは300〜350℃程度であり、20〜60分間、PI前駆体の皮膜11を加熱させることでイミド化反応が起こり、PI樹脂皮膜が形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することが好ましい。
皮膜形成樹脂6がPAIの場合には、溶剤を乾燥させるだけで皮膜が形成される。
【0060】
上記加熱工程では、芯体1を加熱炉21に入れるが、加熱される温度が高いので、乾燥工程のように芯体1を回転させることが困難であり、通常は、芯体1の軸方向を重力方向に沿った状態、すなわち、垂直に立てて加熱炉21に入れる。加熱炉21としては、内部の温度ムラをなるべくなくすために、上方、すなわち、垂直に立てられた芯体1の一端側から熱風を吹き出す構成を有するものが好ましい。
【0061】
図6において、実施例1の加熱炉21では、加熱炉21の内部には、芯体1を支持する支持台Tが支持されている。なお、支持台Tの中央部には、気体が通過可能な口部Taが形成されている。加熱炉21の上端面21aは、全面から気体を下方に吹き付ける吹きつけ面となっており、加熱炉21の底面21bには、加熱炉21内の気体を吸引する吸気口21cが形成されている。前記吸気口21cには、通風路の一例としてのダクト22が接続されており、ダクト22は、上端面21aに接続されている。前記ダクト22の途中には、送風手段の一例としてのファン23が配置されており、気体を吸気口21cから上端面21aに向けて移送する。前記ファン23の送風方向の下流側には、加熱手段の一例としてのヒータ24が配置されており、ダクト22内の気体を昇温する。前記上端面21aには、多数の孔が形成された板材、いわゆるパンチングメタルが配置されており、ダクト22からの気体が、上端面21aから均一な状態で下方に吹き付けられる。
【0062】
なお、加熱炉21内の風速は、上方から下方に向かって1.0〜5.0m/s程度が好ましく、炉内全般でなるべくばらつきが少ないことが好ましい。なお風速は、風速計(例えばトーニック株式会社製、NLタイプ)により測定される。
【0063】
加熱終了後、芯体1を加熱炉21から取り出し、形成された皮膜11を芯体1から抜き取ると、無端ベルトBを得ることができる。その際、皮膜11の端部の隙間11b(図5B参照)に加圧空気を吹き込んで、皮膜11と芯体との密着を解除すると抜き取りやすくなる。
得られた皮膜の端部には、しわや、膜厚の不均一等の欠陥があるため、不要部分が切断され、無端ベルトBとなる。無端ベルトBには、必要に応じて、穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。
【0064】
したがって、実施例1の無端ベルトBの製造方法では、芯体1の一端側に、熱風を遮蔽して、直接芯体1の一端側に熱風が吹き付けられることを防止する遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられており、芯体1の一端側が、先に高温になることが低減されている。すなわち、芯体1の軸方向における温度ムラが低減されており、製造される無端ベルトBの電気抵抗のムラが少なく、均一になっている。
すなわち、加熱工程では、加熱によってイミド化の反応や溶剤が揮発する等で樹脂の収縮が発生し、高温ほど、収縮が大きくなる。このとき、温度によって収縮度合いが異なることに伴って、収縮する皮膜中の導電性粒子同士の間隔が狭くなったり接触したりする際の接触度合いが異なってしまうことがある。接触度合いが異なると、得られた中間転写ベルトBの電気抵抗、特に、表面抵抗率にムラが発生し、表面抵抗率が低い部分では像が周囲の抵抗率が高い部分に飛散したり、表面抵抗率が高い部分ではトナーが転写されにくくなって濃度が低下すること等がある。したがって、加熱工程では、芯体1の温度が全面に渡って均一であることが求められる。
【0065】
特に、従来の無端状ベルトでは、ベルトの周長が短く、使用する円筒状の芯体1の周長に対して、肉厚が高々2〜3mm程度で十分な芯体1の強度が得られていた。この場合、芯体1の熱容量がそれほど高くなく、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けなくても、電気抵抗のムラはそれほど目立たなかった。なお、この構成においても、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けた方が、好ましいことはいうまでもない。
これに対して、実施例1では、6色に対応する中間転写ベルトBは、従来に比べて周長が長く、円筒状の芯体1の肉厚を従来と同様にすると、芯体1の強度、剛性が不足し円筒形状を自己保持できず、肉厚を厚くする必要がある。これに伴って、芯体1の熱容量が大きくなり、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けない場合には、温度ムラが顕著となり、中間転写ベルトBの温度ムラが問題となる。
したがって、実施例1では、遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等が設けられた芯体1では、温度ムラが低減され、製造される中間転写ベルトBの電気抵抗のムラも低減され、中間転写ベルトBを画像形成装置で使用した際には、ハーフトーン画像における濃度ムラ等の画質の低下が抑制される。
【0066】
次に、実施例1の効果を確認するための実験を行った。
(実験例1)
実験例1では、円筒状の芯体1の円筒部分として、外径600mm、肉厚8mm、長さ1mmのSUS304製円筒を用意した。実験例1では、保持板として、厚さ10mm、外径が円筒に嵌る径で、150mm径の通風口を4つ設けた円板をSUS304で作成し、円筒に嵌めて溶接し、芯体1とした。
表面は球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、Ra0.4μmに粗面化した。
円筒部2の表面には、シリコーン系離型剤(商品名:セパコート(登録商標)、信越化学工業株式会社製)をスプレーで塗布して、300℃の加熱炉に1時間入れて、焼き付け処理を施した。
【0067】
前記芯体1の両端に、前記図3に示すように、マスキング部材2(商品名:スコッチテープ#232、住友スリーエム株式会社製で、クレープ紙基材とアクリル系粘着剤からなる幅24mmのもの)を全周に渡って1周分貼り付けた。
【0068】
実験例1では、PI前駆体溶液(商品名:Uワニス、宇部興産株式会社製、固形分濃度18%、溶剤はN−メチルピロリドン)100重量部に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で27%混合し、次いで対向衝突型分散機(株式会社ジーナス製、GeanusPY)により分散し、25℃での粘度が約42Pa・sの塗液を得た。
上記塗液を用い、図4に示すらせん塗布機により、PI前駆体塗膜を形成する。
【0069】
塗布は、PI前駆体の塗液6が10[L]入った容器7にモーノポンプ8を連結し、ノズル9から毎分60mlの吐出を行い、円筒芯体1を回転方向Aに20rpmで回転させ、吐出された液6が芯体1に付着後、その表面にブレード12を押し当て、芯体軸方向Bに50mm/分の速度で移動させた。
実験例1で使用した平滑化手段であるブレード12は、厚さ0.2mmのステンレス板を幅20mm、長さ50mmに加工したものである。
塗布幅は、円筒芯体1の一端から10mmの位置から、他端部から10mmの位置までとした。
【0070】
塗布後、そのまま、5分間回転を続けることで、塗膜表面のらせん筋は消失した。
これにより、膜厚が約500μmの層が形成された。この厚さは、できあがりの膜厚で80μmに相当する。
【0071】
その後、芯体を10rpmで回転させながら190℃の乾燥炉に入れ、20分間、乾燥させた。芯体を取り出した後、マスキング部材2を手で引きはがした。その際には、一方の手で乾燥皮膜11の端部を押さえて、皮膜11が裂けないようにした。この工程の後、皮膜11の端部に、幅5〜8mmの隙間11bが形成された。
その後、円筒芯体1を乾燥炉の図示しない回転台から下ろして、軸方向を垂直にし、身体1の上に、変更例1の遮蔽部材16′を載せた。遮蔽部材16′は、底面の外径600mm、高さ120mmで、中央に、直径150mmの通風口16aが形成されており、1mm厚のSUS304の板を加工して作製した。
【0072】
そして、遮蔽部材16′を備えた芯体1を加熱炉21に入れて、200℃で30分、300℃で30分加熱して、残留溶剤の乾燥と、PI樹脂のイミド化反応を同時に行った。
なお、実験例1では、加熱炉21の内寸は幅1.8m、高さ2.4m、奥行き1.5mであり、上方から加熱空気が吹き降り、下方で吸い込まれる構成である。芯体1を入れない状態での加熱炉21内の風速は、風速計(トーニック株式会社製、NLタイプ)で測定したところ、加熱炉21内の各部で1.4〜1.8m/sであり、平均1.6m/sであった。
【0073】
室温に冷えた後、芯体1と皮膜11との隙間11bに加圧空気を吹き込んで樹脂製の被膜11を抜き取り、無端ベルトを得た。さらに、無端ベルトの中央を切断し、さらに不要部分を両端から切断して、幅360mmの2本の中間転写ベルトBを得た。軸方向5箇所、周方向10箇所の計50箇所について、膜厚をダイヤルゲージで測定すると、平均の膜厚は80μmであった。
【0074】
(比較例1)
比較例1では、実験例1において、芯体1を加熱炉21に入れる際に、芯体1に遮蔽部材16′を載せなかった以外は、実験例1と同様にして無端ベルトを作製した。
【0075】
前記実験例1および比較例1において、無端ベルトBの表面抵抗率と、加熱炉における芯体の到達温度とを測定した。
【0076】
図12は実験例1および比較例1の実験結果の説明図であり、図12Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図12Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(到達温度の測定)
無端ベルトBの表面抵抗は、加熱時の芯体1の到達温度と相関があり、温度が高くなるほど抵抗は下がる。無端ベルトの面内の抵抗ムラを軽減するには、到達温度を均一にする必要がある。そこで、実験例1において、加熱時に芯体の温度を調べた。
測定は、芯体1の軸方向で、芯体1の上端から100mm、200mm、400mm、600mm、800mm、900mmの高さ毎に、周方向で90°ずつ4点の温度測定を行い。その平均値をまとめた。実験結果を図12Aに示す。
【0077】
図12Aにおいて、△で示す比較例1では、芯体1の上部の温度が非常に高く、その下側では、徐々に温度が低くなっていた。これは、熱風が芯体上部に直接当たるために温度が高くなったものである。これに対して、図12Aにおいて、●で示す実験例1では、芯体1の上部に遮蔽部材16′が設けられて、熱風が芯体1の上部に直接当たらないようになっており、芯体1の上部の温度が下がっており、全体の温度ムラも小さくなっている。
【0078】
(電気抵抗率の測定)
次に、芯体1の温度測定位置に対応する位置において、無端ベルトの表面抵抗率を測定した。
表面抵抗率は、試験片の表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当たりの電流で除した数値であり、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする二つの電極間の表面抵抗に等しい。表面抵抗率の単位は、正式にはΩだが、単なる抵抗と区別するためΩ/□と記載される。
測定には、デジタル超高抵抗/微小電流計(アドバンテスト社製、R8340A)と、接続部を専用に改造した二重リング電極構造のURプローブ:MCP−HTP12、及びレジテーブル:UFLMCP−ST03(何れも、ダイアインスツルメンツ社製)を用い、JIS K6911(1995)に準拠して、リング電極に電圧を印加して行った。
【0079】
測定時は、上記レジテーブル上に試験片を置き、測定面に接するように上記URプローブの二重電極を当て、URプローブの上部には質量2.0±0.1kg(19.6±1.0N)の錘を取り付け、試験片に一定の荷重がかかるようにした。
【0080】
測定条件は、電圧印加時間を10秒とし、印加電圧は100Vとした。この時、R8340Aデジタル超高抵抗/微小電流計の読み値をR、URプローブMCP−HTP12の表面抵抗率補正係数をRCF(S)とすると、ダイアインスツルメンツ社「抵抗率計シリーズ」カタログによればRCF(S)=10.0なので、表面抵抗率ρsは下記式(1)のようになる。
式(1):ρs(Ω/□)=R×RCF(S)=R×10.0
【0081】
表面抵抗率の測定結果を図12Bに示す。
実験例1の結果は、図12Bの●で示すように、平均が10.84[logΩ/□]で、最小値と最大値との差であるバラツキが0.6であった。一方で、比較例1は、図12Bの△で示すように、平均が10.38[logΩ/□]で、バラツキが1.6であった。このように、実験例1では、表面抵抗率のバラツキが大幅に改善されていることがわかる。
なお、中間転写ベルトBの要求される表面抵抗率は、一例として、平均10.8[logΩ/□]、バラツキ1.0以内であることが望ましい。
【0082】
図13は実験例1〜3と比較例1の実験結果の説明図であり、図13Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図13Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(実験例2)
実験例2では、芯体1を加熱炉21に入れる際、芯体1の上に載せる遮蔽部材16として、図6に示すように、外径600mm、高さ160mmで、中央に通風口が形成されていない点が異なる以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例2でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図13に示す。
図13の○で示す実験例2では、表面抵抗率は平均が10.90[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。また、到達温度は実験例1に比べて、ほぼどの位置でも約0.5℃低いものであった。
【0083】
(実験例3)
実験例3では、芯体1を加熱炉21に入れる際、図8に示すように、芯体1の上に載せる遮蔽部材16′を上下反転させた以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例3でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図13に示す。
図13の□で示す実験例3では、表面抵抗率は平均が10.75[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。
【0084】
図14は実験例1、4、5と比較例1の実験結果の説明図であり、図14Aは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に到達温度を取ったグラフ、図14Bは横軸に芯体の軸方向の高さを取り縦軸に表面抵抗率を取ったグラフである。
(実験例4)
実験例4では、芯体1を加熱炉21に入れる際、芯体1の上に載せる遮蔽部材17として、図10に示すように、外径700mm、高さ140mmで、中央に直径175mmの通風口が形成された遮蔽部材17を使用した点が異なる以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例4でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図14に示す。
図14の■で示す実験例4では、表面抵抗率は平均が10.96[logΩ/□]、バラツキ0.8であった。
【0085】
(実験例5)
実験例5では、芯体1を加熱炉21に入れる際、図11に示すように、芯体1の軸方向の長さが150mmの囲い17a′を有する遮蔽部材17′を使用し、外径700mm、高さ240mmで、中央に直径175mmの通風口が形成された遮蔽部材17を使用した点以外は、実験例1と同様にして、無端ベルトを作製した。実験例5でも、実験例1と同様にして、芯体1の到達温度と、無端ベルトの表面抵抗率とを測定した。実験結果を図14に示す。
図14の▲で示す実験例5では、表面抵抗率は平均が11.08[logΩ/□]、バラツキ1.0であった。
【0086】
以上から、実施例1のように遮蔽部材16,16′,16″,17,17′等を設けて、熱風を遮蔽し、芯体1の一端に直接熱風が吹き付けられることを防止した場合に、表面抵抗率のばらつきが抑えられる。
(転写画像の評価)
このようにして得られた無端ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置(DocuCentreColor400CPを4800DPIに改造したもの)に中間転写ベルトとして組み込み、画質の評価を行った。画質の評価項目として、0.2Gのハーフトーン画像における濃度ムラを、X-Rite濃度計(X-Rite社製)で計測した。
その結果、実験例1〜5の無端ベルトは、すべて変動量が5%以下であった。一方、比較例1の無端ベルトは、変動量が15%以下であった。
【0087】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H05)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置Uは、いわゆる、プリンタにより構成したが、これに限定されず、例えば、複写機、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、前記プリンタUは、6色のトナーが使用される構成に限定されず、例えば、7色以上や、5色以下や単色の画像形成装置にも適用可能である。
【0088】
(H03)前記実施例において、無端帯状体として中間転写ベルトBを例示したが、これに限定されず、例えば、感光体ベルト、帯電ベルトや記録媒体の搬送ベルト等の無端帯状体に適用可能である。
(H04)前記実施例において、例示した具体的な材料や数値、形状は、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0089】
(H05)前記実施例において、円錐または円錐台状の遮蔽部材を例示したが、この構成に限定されず、例えば、三角錐や四角錐等の多角錐や、これらの多角錐台とすることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1…芯体、
6…皮膜形成樹脂溶液、
16,16′,16″,17,17′…遮蔽部材、
16a…通風口、
21…加熱炉、
23…送風手段、
B…無端帯状体,中間転写体、
F…定着装置、
GG,GO,GY,GM,GC,GK…現像装置、
ROSg,ROSo,ROSy,ROSm,ROSc,ROSk…潜像形成装置、
Py,Pm,Pc,Pk,Po,Pg…像保持体、
S…媒体、
T2…最終転写器、
T1g,T1o,T1y,T1m,T1c,T1k…一次転写器、
U…画像形成装置、
UG+GG,UO+GO,UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GK…可視像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の芯体の表面に皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
前記芯体の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体に塗布された皮膜形成樹脂溶液を乾燥させる工程と、
前記芯体の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材を設ける工程と、
前記遮蔽部材が設けられた前記芯体に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段を有する加熱炉に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂が固化された無端帯状体を製造する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする無端帯状体の製造方法。
【請求項2】
前記遮蔽部材が円錐形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項3】
前記遮蔽部材の外径が前記芯体の外径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項4】
前記遮蔽部材の一部に、前記芯体の円筒形状の内表面側に風を導く通風口が形成された
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項5】
前記遮蔽部材が円錐台又は円環形状である
ことを特徴とする請求項4に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法で製造されたことを特徴とする無端帯状体。
【請求項7】
像保持体と、前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、を有する可視像形成装置と、
前記像保持体に対向して配置され、請求項6に記載の無端帯状体により構成された中間転写体と、
前記像保持体表面の可視像を前記中間転写体表面に転写する一次転写器と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に転写する最終転写器と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
円筒形状の芯体の表面に皮膜形成樹脂溶液を塗布する工程と、
前記芯体の軸方向を中心にして回転させて、前記芯体に塗布された皮膜形成樹脂溶液を乾燥させる工程と、
前記芯体の軸方向の一端側に、一端側からの風を遮蔽する遮蔽部材を設ける工程と、
前記遮蔽部材が設けられた前記芯体に対して、前記一端側から熱風を吹き出す送風手段を有する加熱炉に入れて加熱して、前記皮膜形成樹脂が固化された無端帯状体を製造する工程と、
を少なくとも有することを特徴とする無端帯状体の製造方法。
【請求項2】
前記遮蔽部材が円錐形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項3】
前記遮蔽部材の外径が前記芯体の外径よりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項4】
前記遮蔽部材の一部に、前記芯体の円筒形状の内表面側に風を導く通風口が形成された
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項5】
前記遮蔽部材が円錐台又は円環形状である
ことを特徴とする請求項4に記載の無端帯状体の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の無端帯状体の製造方法で製造されたことを特徴とする無端帯状体。
【請求項7】
像保持体と、前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する現像装置と、を有する可視像形成装置と、
前記像保持体に対向して配置され、請求項6に記載の無端帯状体により構成された中間転写体と、
前記像保持体表面の可視像を前記中間転写体表面に転写する一次転写器と、
前記中間転写体表面の可視像を媒体に転写する最終転写器と、
前記媒体に転写された可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3】
【公開番号】特開2011−17871(P2011−17871A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162153(P2009−162153)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【特許番号】特許第4412422号(P4412422)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【特許番号】特許第4412422号(P4412422)
【特許公報発行日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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