説明

無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための方法及びデバイス、並びに該方法のコンピュータープログラム

【課題】基地局の識別を一意に識別する。
【解決手段】他の無線通信デバイスの隣接したセルの中で無線通信デバイスのセルを識別すると共に、無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付ける第1の物理セル識別子及び移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図されない少なくとも1つの第2の物理セル識別子が無線通信デバイスに割り当てられ、第1の物理セル識別子を転送するための電力パターンを決定するステップと、少なくとも1つの第2の物理セル識別子を転送するための、第1の電力パターンよりも厳密に低い別の電力パターンを決定するステップと、物理セル識別子及び電力パターンを無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は該物理セル識別子を表す信号を電力パターンに従って移動端末へ並列に転送するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線セルラー通信ネットワークでは、各基地局は、自身のセルのそれぞれについて又は自身の1つ又は複数のセルの各セクターについて、物理セル識別子(physical cell identifier)(PCID)のような識別子を有する。PCIDは、物理層における基地局のセル又はセクターを特徴付ける。
【0003】
例えば、PCIDは、2つのシーケンスに関連付けられ、
PSCシーケンス又は1次同期信号(Primary Synchronisation Signal)(PSS)と呼ばれる第1のシーケンスは、1次同期チャネル(Primary Synchronisation Channel)(PSC)で転送され、
SSCシーケンス又は2次同期信号(Secondary Synchronisation Signal)(SSS)と呼ばれる第2のシーケンスは、2次同期チャネル(Secondary Synchronisation Channel)(SSC)で転送される。
【0004】
無線セルラー通信ネットワークでは、3つのPSCシーケンスが利用可能であり、各PSCシーケンスは良好な時間相互相関特性を有する。
【0005】
PSCシーケンスは、PCID識別に加えて、粗い同期に使用することもでき、SSCシーケンスのコヒーレント検出を可能にするチャネル推定に使用することもできる。SSCシーケンスは、PCID識別に加えて、同期の微調整にも使用することができる。
【0006】
3つのPSCシーケンスは、3つの異なる同期されたセルの効率的な時間同期を確保するために準直交である。
【0007】
168個のSSCシーケンスが無線セルラー通信ネットワークで利用可能であり、各SSCシーケンスは、他のSSCシーケンスと低い相互相関を有する。
【0008】
上述した例によれば、PCIDの総数は、この場合、504に等しい。
【0009】
PCIDは、通例、セルの識別に使用されるとともに、移動端末と交換されたデータをスクランブルするための符号の特徴付けに使用される。
【0010】
隣接した基地局から受信されたPCID信号強度を移動端末において監視することにより、システムは、最良の信号強度の基地局に移動端末の通信をハンドオーバーすることを判定することができる。
【0011】
概略的に言うと、移動端末は、測定値及び対応するPCIDを、自身をサーブする基地局に報告する。基地局は、選択されたPCIDによって識別されるターゲット基地局への移動端末のハンドオーバーに進むことが有益であると判定する。基地局は、ハンドオーバー要求をターゲット基地局へ転送する。ハンドオーバーが受理された場合、リソースがターゲット基地局において割り当てられ、基地局は、ターゲット基地局にハンドオーバーするように移動端末に依頼する。移動端末は、ターゲット基地局への接続を試み、成功した場合に、ソース基地局におけるリソースが解放される。パス切り替えは、移動端末を対象としたデータをターゲット基地局にリダイレクトするように行われる。
【0012】
今日、無線セルラー通信ネットワークは、大規模に配備されているが、いくつかのエリアは依然として無線セルラー通信ネットワークの基地局によってカバーされていない。
【0013】
基地局によって放射された信号が減衰されすぎた場合、無線セルラー通信ネットワークへのアクセスは、建物内に位置する移動端末には可能でないことがある。
【0014】
ホーム基地局又はフェムト基地局若しくはピコ基地局のような特定の無線通信デバイスは、少なくとも建物内でカバレッジエリアを提供する。中継器も考慮される。
【0015】
多数のホーム基地局を備える無線セルラー通信ネットワークでは、基地局は、自身のカバレッジエリアのもとで、いくつかのホーム基地局が同じPCIDを送信する状況に直面する場合がある。隣接関係表は、もはやPCIDとターゲット基地局又はホーム基地局のセルとの間の1対1マッピングではなくなる。この状況は、ソース基地局が、ハンドオーバー手順においてターゲット基地局又はターゲットホーム基地局のセルをPCIDから一意に識別することができないので、PCID混乱(PCID confusion)と呼ばれる。
【0016】
多数のホーム基地局を備えるネットワークでは、干渉管理が非常に重要な問題である。ホーム基地局の量が非常に重要(important)になると、従来のセル間干渉コーディネーション(ICIC)技法を使用することができない状況が起こるおそれがある。グループによる基地局干渉の管理を可能にすることが必要とされる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第6,415,163 B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、ホーム基地局又は中継器のようなデバイスが、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号の特徴付けとは異なる目的でPCIDを使用することを可能にするソリューションであって、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号の特徴付け以外の別の目的で使用されるPCIDを送信するセルに対してハンドオーバー手順が開始されることを回避するソリューションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このために、本発明は、無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための方法であって、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子が前記無線通信デバイスに割り当てられ、
第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中で無線通信デバイスのセルを識別すると共に、無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図され、
少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図されないことを特徴とし、
該方法は、
第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される電力パターンを決定するステップと、
少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される別の電力パターンを決定するステップであって、該別の電力パターンは第1の電力パターンよりも厳密に低い(strictly lower)、別の電力パターンを決定するステップと、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子並びに電力パターンを無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を電力パターンに従って移動端末へ並列に転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0020】
本発明はまた、無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための装置であって、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子が無線通信デバイスに割り当てられ、
第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中で無線通信デバイスのセルを識別すると共に、無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図され、
少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図されないことを特徴とし、
該装置は、
第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される電力パターンを決定する手段と、
少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される別の電力パターンを決定するステップであって、該別の電力パターンは第1の電力パターンよりも厳密に低い、別の電力パターンを決定する手段と、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子並びに電力パターンを無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を電力パターンに従って移動端末へ並列に転送する手段と、
を含むことを特徴とする、装置に関する。
【0021】
したがって、ハンドオーバー手順は、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号の特徴付け以外の別の目的で使用されるPCIDを送信するセルで開始されない。
【0022】
少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を転送するのに使用される電力パターンは、第1の物理セル識別子を表す信号を転送するのに使用される電力パターンよりも小さいので、1つの第2の物理セル識別子を表す信号が、第1の物理セル識別子を表す信号よりも高いレベルで移動端末により受信される確率は低い。
【0023】
特定の特徴によれば、本発明は、無線セルラー通信ネットワークの基地局又はアクセスゲートウェイによって実行され、1つの第2の物理セル識別子は、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスを識別するように意図され、少なくとも2つの無線通信デバイスは隣接したものである。
【0024】
したがって、第2の物理セル識別子は、ホーム基地局及び/又は中継器のような無線通信デバイスが配備される無線セルラー通信ネットワークにおいて、セル間干渉コーディネーション技法の目的で使用することができる。
【0025】
例えば、1つの第2の物理セル識別子は、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスに割り当てられ、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスへ転送された電波信号又は各無線通信デバイスによって転送された電波信号により生成された干渉を制御するための同じパラメーターのセットが、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスに割り当てられる。
【0026】
特定の特徴によれば、第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される電力パターンは、第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信によって適用される電力パターンを、無線通信デバイスに隣接して配置された通信デジタルグループに含まれる通信デバイスの個数で割ったものよりも低い。
【0027】
したがって、たとえ複数の無線通信デバイスによって転送された第2の物理セル識別子を表す信号が移動端末側において重畳されても、第2の物理セル識別子を表す信号の全体的な受信電力は、無線通信デバイスによって転送された第1の物理セル識別子を表す信号よりも低くなる。
【0028】
特定の特徴によれば、本方法は、無線セルラー通信ネットワークの基地局若しくはアクセスゲートウェイ又は無線通信デバイスによって実行されることを特徴とし、少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、第1の物理セル識別子を転送する無線通信デバイスのセルの一意の識別確率を増加させるように意図される。
【0029】
したがって、ハンドオーバー手順の効率は増加する。
【0030】
特定の特徴によれば、無線通信デバイスはホーム基地局又は中継器である。
【0031】
したがって、無線通信デバイスの密集した配備で起こるPCID混乱を解決することができる。
【0032】
特定の特徴によれば、或るセルが無線通信デバイスの少なくとも1つのセルと隣接しているときに、それらの物理セル識別子から或るセルを区別することができないことが検出された場合に、セルにおいて無線通信デバイスにより送信される信号に第2の物理セル識別子が追加される。
【0033】
したがって、無線通信デバイスによって転送される第2の物理セル識別子の個数は、PCID混乱を防止する最小数に制限される。
【0034】
特定の特徴によれば、少なくとも2つの第2の物理セル識別子の電力パターンは、減少する値で設定され、第2の物理セル識別子の送信電力の合計は、第1の物理セル識別子の送信電力よりも低い。
【0035】
したがって、たとえ無線通信デバイスによって転送された第2の物理セル識別子を表す信号が移動端末側において重畳されても、第2の物理セル識別子を表す信号の全体的な受信電力は、無線通信デバイスによって転送された第1の物理セル識別子を表す信号よりも低くなる。
【0036】
PCID混乱は、第2の物理セル識別子の送信電力パターンに基づく第2の物理セル識別子の階層的な検出(hierarchical detection)により解決することができる。
【0037】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラム可能なデバイスに直接ロード可能にすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、該コンピュータープログラムがプログラム可能なデバイス上で実行されるときに、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータープログラムに関する。
【0038】
コンピュータープログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上記で説明したのと同じであるため、ここでは繰り返さない。
【0039】
本発明の特徴は、実施形態の一例に関する以下の説明を読むことからさらに明らかになるはずであり、その説明は、添付の図面を参照しながら行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表す図である。
【図2】本発明が実施されるアクセスゲートウェイのアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明が実施される無線通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【図5】本発明の第1の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図6】本発明の第2の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局又は無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図7】本発明の第3の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局又は無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図8】本発明による無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表す。
【0042】
図1には、無線セルラー通信ネットワークの1つの移動端末MTと、2つの基地局BS1及びBS2と、10個の無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4とが示されている。
【0043】
2つの基地局BS1及びBS2と10個の通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4とが示されているが、本発明は、異なる個数、例えば相当数の基地局及び/又は無線通信デバイスが無線セルラー通信ネットワークに存在することを理解することができる。
【0044】
簡単にするために、本発明は、各基地局BS又は各無線通信デバイスHBSが単一のセルを管理する一例で説明される。本発明は、少なくとも1つの基地局及び/又は少なくとも1つの無線通信デバイスが2つ以上のセルを管理するときにも適用可能である。
【0045】
1つの移動端末MTのみが示されているが、本発明は、異なる個数、例えば相当数の移動端末と共に機能することを理解することができる。
【0046】
無線通信デバイスHBSは、例えば家庭に配置される。
【0047】
無線通信デバイスHBSは、例えば、ホーム基地局若しくは中継器、又は中継器及びホーム基地局を組み合わせたものとすることができる。
【0048】
各ホーム基地局HBSは、そのホーム基地局HBSに関連付けられた移動端末が、無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。
【0049】
各中継器は、その中継器に関連付けられた移動端末が、無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。
例えば、中継器は、あたかも従来の基地局又はホーム基地局であるかのように、ダウンリンクチャネルを通じて移動端末へ信号を送信し、移動端末からアップリンクチャネルを通じて信号を受信する。
しかしながら、通信ネットワークへの有線接続を有する基地局又はホーム基地局とは異なり、中継器は、基地局又はホーム基地局と無線接続しか有しておらず、通信ネットワークへの中継器の接続は基地局又はホーム基地局を介して行われる。
【0050】
無線通信デバイスHBSは、自身がそれぞれ管理する図1には図示しないセルに位置する移動端末によって転送された信号を受信することができる。無線通信デバイスHBSは、自身がそれぞれ管理するセルに位置する移動端末が受信して処理することができる信号を転送する。
【0051】
アクセスゲートウェイAGWを無線セルラー通信ネットワークに含めることができる。アクセスゲートウェイAGWは、どの無線通信デバイスHBSとのハンドオーバーを実行しなければならないのかを判断することができる。
【0052】
アクセスゲートウェイAGWは、無線通信デバイスHBSと無線セルラー通信ネットワークの残りのデバイスとをインターフェースすることができる。
【0053】
本発明では、無線通信デバイスグループを形成する複数の無線通信デバイスHBSは、同じ共通の識別子を共有することができる。
【0054】
無線通信デバイスグループは、地理的に局所化されている場合もあるしそうでない場合もある。無線通信デバイスグループは、空間的に分散させることができる。
【0055】
本発明によれば、無線通信デバイスHBSは、複数のPCIDを転送することができる。
【0056】
例えば、PCIDの1つは、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるのに使用されるとともに、隣接した無線通信デバイス又は基地局の中でその無線通信デバイスを識別することを目的としている。
他のPCID(複数可)は、多様性をもたらしかつ無線通信デバイスの識別を精緻化するために転送されるか、又は無線通信デバイスグループを識別するために転送される。
そのPCID又はこれらの他のPCIDは、データの交換に使用することができず、その結果、たとえこのようなPCIDが測定報告において優れた候補となっても、移動端末がセルの選択又は再選択に使用することも、基地局がハンドオーバーに使用することもできない。
【0057】
他の1つのPCIDが優れた候補になった場合、結果として、移動端末は、自身が選択したセルを通じて無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることはしない。
【0058】
別の結果として、移動端末が関与するハンドオーバーは失敗することになり、その移動端末についての無線セルラー通信ネットワークへのアクセスを中断することができる。
【0059】
例えば、各無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、及びHBS1eは、2つのPCIDを移動端末MTへ転送する。
第1のPCIDは、移動端末MTと交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるのに使用されると共に、基地局BS1及びBS2のセル、並びに無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4のセルの中で無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、及びHBS1eのセルを識別するのに使用される。
少なくとも1つの第2のPCIDは、無線通信デバイスグループを形成するすべての無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、及びHBS1eに共通である。
【0060】
例えば、各無線通信デバイスHBS2a、HBS2b、及びHBS2cは、2つのPCIDを移動端末MTへ転送する。
第1のPCIDは、移動端末MTと交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付ける目的で使用されると共に、基地局BS1及びBS2、並びに無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4の中で無線通信デバイスHBS2a、HBS2b、及びHBS2cのセルの粗い識別(rough identification)の目的で使用される。
少なくとも1つの第2のPCIDは、無線通信デバイスのセルの識別を高める目的で使用される。
【0061】
各無線通信デバイスHBS3及びHBS4、各基地局BS1及びBS2は、単一のPCIDをそれぞれ転送する。単一のPCIDは、基地局BS1及びBS2、並びに無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4の中で無線通信デバイス又は基地局のセルを識別するとともに、移動端末MTと交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるのに使用される。
【0062】
例えば、無線通信デバイスHBS4及びHBS2aは、電波の観点から直接隣接したものではないが、共に基地局BS2に隣接したものである。無線通信デバイスHBS4及びHBS2aは同じPCIDを共有する。
【0063】
基地局BS1及びBS2並びにアクセスゲートウェイAGWは、図1に図示しない通信ネットワークによって互いにリンクされる。
【0064】
無線通信デバイスHBS1a、HBS1b、HBS1c、HBS1d、HBS1e、HBS2a、HBS2b、HBS2c、HBS3、及びHBS4は、これらの無線通信デバイスがホーム基地局である場合に、通信ネットワークによってリンクされ得る。
【0065】
通信ネットワークは、例えば、PSTNネットワーク(公衆交換通信ネットワーク)、又はISDN(サービス統合デジタル網)ネットワーク等のようなパケット交換ネットワークである。
【0066】
基地局BS及び無線通信デバイスHBSの近くに移動端末MTがいるとき、移動端末MTは、基地局BS及び無線通信HBSによって転送された各PCIDを受信する。
【0067】
本発明によれば、各基地局BS若しくはアクセスゲートウェイAGW又は各無線通信デバイスは、
−第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される電力パターンを決定し、
−少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに無線通信デバイスによって適用される別の電力パターンを決定し、該別の電力パターンは第1の電力パターンよりも厳密に低く、
−第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子並びに電力パターンを無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は第1の物理セル識別子を表す信号及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を電力パターンに従って移動端末へ並列に転送する。
【0068】
図2は、本発明が実施されるアクセスゲートウェイのアーキテクチャを表す図である。
【0069】
アクセスゲートウェイAGWは、例えば、バス201によって互いに接続されたコンポーネントと、図5又は図6又は図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサー200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0070】
ここで、アクセスゲートウェイAGWのアーキテクチャは、プロセッサーに基づくのではなく、専用集積回路に基づくことができることに留意しなければならない。
【0071】
バス201は、プロセッサー200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203及びネットワークインターフェース206にリンクする。
【0072】
メモリ203は、図5又は図6又は図7に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように意図されるレジスタを含む。
【0073】
プロセッサー200は、ネットワークインターフェース206の動作を制御する。
【0074】
読み出し専用メモリ202は、図5又は図6又は図7において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は、アクセスゲートウェイAGWが起動されるときに、ランダムアクセスメモリRAM203に転送される。
【0075】
アクセスゲートウェイAGWは、ネットワークインターフェース206を通して、通信ネットワークに接続される。たとえば、ネットワークインターフェース206はDSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(統合デジタルサービス網)インターフェース等である。
【0076】
ネットワークインターフェース206を通して、アクセスゲートウェイAGWは、無線通信デバイスHBS、無線セルラー通信ネットワークの基地局BS、又は図1には示されていない無線セルラー通信ネットワークのコアデバイスに、メッセージを転送する場合がある。
【0077】
図3は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0078】
基地局BSは、例えば、バス301によって互いに接続されたコンポーネントと、図5又は図6又は図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサー300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0079】
ここで、基地局BSのアーキテクチャは、プロセッサーに基づくのではなく、専用集積回路に基づくことができることに留意しなければならない。
【0080】
バス301は、プロセッサー300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303及びネットワークインターフェース306にリンクする。
【0081】
メモリ303は、図5又は図6又は図7に開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように意図されるレジスタを含む。
【0082】
プロセッサー300は、ネットワークインターフェース306の動作を制御する。
【0083】
読み出し専用メモリ302は、図5又は図6又は図7において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は、基地局BSが起動されるときに、ランダムアクセスメモリRAM303に転送される。
【0084】
基地局BSは、ネットワークインターフェース306を通して、通信ネットワークに接続される場合がある。たとえば、ネットワークインターフェース306はDSLモデム、又はISDNインターフェース等である。
【0085】
ネットワークインターフェース306を通して、基地局BSは、無線通信デバイスHBS、無線セルラー通信ネットワークのアクセスゲートウェイ、又は図1には示されていない無線セルラー通信ネットワークのコアデバイスに、メッセージを転送する場合がある。
【0086】
無線インターフェース305は、ダウンリンク送信モジュール及びアップリンク受信モジュールを備える。
【0087】
図4は、本発明が実施される無線通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【0088】
無線通信デバイスHBSは、例えば、バス401によって互いに接続されたコンポーネントと、図8に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサー400とに基づくアーキテクチャを有する。
【0089】
ここで、無線通信デバイスHBSのアーキテクチャは、プロセッサーに基づくのではなく、専用集積回路に基づくことができることに留意しなければならない。
【0090】
バス401は、プロセッサー400を、読み出し専用メモリROM402、ランダムアクセスメモリRAM403、無線インターフェース405及びネットワークインターフェース406にリンクする。
【0091】
メモリ403は、図8において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの変数及び命令を受信するように意図されるレジスタを含む。
【0092】
プロセッサー400は、ネットワークインターフェース406及び無線インターフェース405の動作を制御する。
【0093】
読み出し専用メモリ402は、図8において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は、無線通信デバイスHBSが起動されるときに、ランダムアクセスメモリ403に転送される。
【0094】
無線通信デバイスHBSがホーム基地局である場合、無線通信デバイスHBSは、ネットワークインターフェース406を通じて通信ネットワークに接続され得る。例えば、ネットワークインターフェース406は、DSL(デジタル加入者線)モデム又はISDN(サービス統合デジタル網)インターフェース等である。
【0095】
ホーム基地局HBSは、ネットワークインターフェース406を通じて、メッセージを他の基地局BS若しくはホーム基地局HBS又はコーディネータ10へ転送することができる。
【0096】
無線通信デバイスHBSがホーム基地局である場合、無線インターフェース405は、ダウンリンク送信モジュール及びアップリンク受信モジュールを備える。
【0097】
無線通信デバイスHBSが中継器である場合、無線インターフェース405は、該中継器と基地局BSとの間での信号の転送用のダウンリンク受信モジュール及びアップリンク送信モジュールを備える。無線インターフェース405は、該中継器と移動端末との間での信号の転送用のダウンリンク送信モジュール及びアップリンク受信モジュールをさらに備える。
【0098】
無線インターフェース405は、移動端末へ転送される少なくとも2つのPCIDについて異なる送信電力を有するために、少なくとも2つのPCIDを表す信号に乗算を行うための少なくとも2つの乗算モジュールMul1及びMul2をさらに備える。
【0099】
無線インターフェース405及びネットワークインターフェース406は、移動端末がリモート通信デバイスとの通信を確立又は受信したときに、無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末が使用することができるホーム基地局HBSのリソースである。
【0100】
図5は、本発明の第1の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0101】
本アルゴリズムは、アクセスゲートウェイAGWのプロセッサー200によって実行されるときに開示される。
【0102】
ステップS500において、プロセッサー200は、無線通信デバイスHBSのグループを形成する。この無線通信デバイスのグループは、無線通信デバイスHBSのロケーション情報を使用して形成することができる。
【0103】
例えば、無線通信デバイスのグループは、無線通信デバイスHBS1a〜HBS1eを含む。
【0104】
次のステップS501において、プロセッサー200は、無線通信デバイスグループの無線通信デバイスによって共通に転送されるグループ識別子と呼ばれる1つの共通の物理セル識別情報を決定する。
【0105】
本発明の特定の特徴によれば、物理セル識別情報は、ICICパラメーターの1セットに対応する。
【0106】
504個の物理セル識別情報の中で、それらの物理セル識別情報のいくつか、例えばそれらの20個は、ホーム基地局グループ用に確保される。それらの物理セル識別情報のそれぞれは、アップリンクチャネル用のセル間干渉コーディネーション(inter-cell interference coordination)(ICIC)パラメーターのセット又はダウンリンクチャネル用のICICパラメーターのセットに対応する。
【0107】
例えば、プロセッサー200は、移動端末及び/又は基地局BS1若しくはBS2及び/又は無線通信デバイスHBSによって測定された干渉に関係した情報をネットワークインターフェース206を通じて受信することにより、グループ識別子を決定する。
【0108】
干渉に関係した情報は、例えば、隣接基地局により転送された信号若しくは隣接基地局へ転送された信号の電力強度、又は少なくとも1つの無線通信デバイスグループにより転送された信号若しくは少なくとも1つの無線通信デバイスグループへ転送された信号の電力強度である。
各信号は、物理セル識別情報によって識別され、移動端末及び/又は基地局BS及び/又は無線通信デバイスHBSによって受信される。
【0109】
各移動端末は、その移動端末を現在サーブしている基地局へ、干渉に関係した情報を含むメッセージを転送する。
【0110】
メッセージは、サーブしている基地局BSが本アルゴリズムを実行するときは該基地局BSによってそのようなメッセージとして使用されるか、又はサーブしている基地局BSによってアクセスゲートウェイAGWへ転送されるか、又はサーブしている基地局BSによって処理されるとともに、この処理の結果がアクセスゲートウェイAGWへ転送される。
【0111】
プロセッサー200は、無線通信デバイスグループのICICパラメーターのセットを求める。例えば、ICIC手順は、セル端の移動端末にリソースの一部を確保する。
【0112】
この目的のために、基地局BSごとに又は無線通信デバイスHBSグループごとに電力パターンが定義される。
ここで、所与の周波数リソースにおいて、基地局BS若しくは無線通信デバイスHBSグループの無線通信デバイスHBSとのアップリンク送信に各移動端末が使用する最大送信電力、及び/又は
所与の周波数リソースにおいて、基地局若しくは無線通信デバイスグループの無線通信デバイスHBSがダウンリンク送信に使用する最大送信電力は、変化する。
【0113】
このパターンは、基地局ごとに又は無線通信デバイスHBSグループごとに変化する。例えば、2つの隣接した基地局BS及び/又は無線通信デバイスHBSグループは異なるパターンを有する。
【0114】
ICICパラメーターは、その後、移動端末が被る干渉のレベル又は移動端末が生み出す干渉のレベルに応じて最適化される。
【0115】
一変形では、プロセッサー200は、
該プロセッサー200がその存在に気付いている各無線通信デバイスHBSについてICICパラメーターのセット、又は無線通信デバイスグループに含まれる各無線通信デバイスHBSについてのICICパラメーターのセットを求め、
求められたICICパラメーターのセットに従って無線通信デバイスグループを変更することができる。
【0116】
求められたICICパラメーターのセットから、プロセッサー200はグループ識別子を決定する。
【0117】
次のステップS502において、プロセッサー200は、ステップS500において形成された無線通信デバイスグループに含まれる無線通信デバイスHBSの個数を求める。
【0118】
上述した例によれば、5つの無線通信デバイスHBSが無線通信デバイスグループに属する。
【0119】
次のステップS503において、プロセッサー200は、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスHBSについて1つの別の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、この別の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0120】
無線セルラー通信デバイスHBSに割り当てられた別の各物理セル識別情報は、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスHBSと共有されない。
【0121】
この別の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中でその無線通信デバイスのセルを識別し、かつその無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図される。
【0122】
次のステップS504において、プロセッサー200は、ステップS503において決定された別の各物理セル識別情報の電力パターンを決定する。各電力パターンは、対応する無線通信デバイスHBSがこの別の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用するように意図される。
【0123】
例えば、この電力パターンは、ステップS501において求められたICICパラメーターとして決定されるか、又は所定の値に等しい。
【0124】
次のステップS505において、プロセッサー200は、グループ識別子を移動端末へ転送することに無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスHBSによって適用される電力パターンを決定する。
【0125】
この電力パターンは、無線通信デバイスHBSに隣接して配置された無線通信デバイスグループの無線通信デバイスの個数又は密度に従って決定される。
【0126】
例えば、グループ識別子を移動端末へ転送するための電力パターンは、無線通信デバイスHBSによって転送されるこの別の電力パターンを、ステップS500において形成された無線通信デバイスグループに含まれかつ無線通信デバイスHBSに隣接して配置された無線通信デバイスの個数によって割ったもの以下である。
【0127】
次のステップS506において、プロセッサー200は、電力パターンと共にグループ識別子及び別の物理セル識別情報を含むメッセージを無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスHBSへ転送することを指令する。
【0128】
その後、プロセッサー200は、必要な場合に、別の無線通信デバイスグループを処理するためにステップS500に戻る。
【0129】
図6は、本発明の第2の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局又は無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0130】
本アルゴリズムは、アクセスゲートウェイAGWのプロセッサー200によって実行されるときに開示される。
【0131】
次のステップS600において、プロセッサー200は、アクセスゲートウェイAGWが担当するエリアに配置された少なくとも1つの無線通信デバイスHBSの第1の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、第1の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0132】
無線通信デバイスHBSに割り当てられた第1の物理セル識別情報は、その無線通信デバイスに直接隣接して配置された各無線通信デバイスHBSと共有されないが、隣接した無線通信デバイス又は基地局に隣接した無線通信デバイスが共有することはできる。
【0133】
例えば、無線通信デバイスHBS2aに割り当てられた第1の物理セル識別情報は、無線通信デバイスHBS4と共有される。HBS2a及びHBS4は、共に基地局BS2に隣接したものである。
【0134】
第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中でその無線通信デバイスのセルを識別するように意図され、かつその無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図される。
【0135】
次のステップS601において、プロセッサー200は、アクセスゲートウェイAGWが担当するエリアに配置された少なくとも1つの無線通信デバイスHBSの少なくとも1つの第2の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、この第2の物理セル識別情報又は各第2の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0136】
この第2の物理セル識別情報又は各第2の物理セル識別情報は、無線通信デバイスを識別するための追加の情報を提供する目的で、無線通信デバイスに割り当てられる。
例えば、HBS2a及びHBS4は、同じ第1の物理セル識別子を共有するが、HBS2aは第2の物理セル識別子を有し、HBS4は第2の物理セル識別子を有しない。
第2の物理セル識別子により、基地局BS2は、移動端末MTによって提供された測定報告からHBS2aのセルとHBS4のセルとをさらに区別することができる。
【0137】
次のステップS602において、プロセッサー200は、ステップS600において決定された第1の物理セル識別情報の電力パターンを決定する。この電力パターンは、対応する無線通信デバイスHBSが第1の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用するように意図される。
【0138】
例えば、この電力パターンは、図5のステップS501において求められたICICパラメーターとして決定されるか、又は所定の値に等しい。
【0139】
次のステップS603において、プロセッサー200は、ステップS601において決定された各第2の物理セル識別情報の電力パターンを決定する。各電力パターンは、対応する無線通信デバイスHBSが第2の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用するように意図される。
【0140】
本発明によれば、その第2の物理セル識別情報又は各第2の物理セル識別情報を移動端末へ転送するための電力パターンは、無線通信デバイスによって第1の物理セル識別情報を移動端末へ転送するための電力パターンよりも厳密に低い。
【0141】
次のステップS604において、プロセッサー200は、電力パターンと共に第1の物理セル識別情報及び少なくとも1つの第2の物理セル識別情報を含むメッセージを少なくとも1つの無線通信デバイスのそれぞれへ転送することを指令する。
【0142】
その後、プロセッサー200は本アルゴリズムを中断する。
【0143】
図7は、本発明の第3の実現モードによるアクセスゲートウェイ又は基地局又は無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0144】
本アルゴリズムは、アクセスゲートウェイAGWのプロセッサー200によって実行されるときに開示される。
【0145】
次のステップS700において、プロセッサー200は、アクセスゲートウェイAGWが担当するエリアに配置された少なくとも1つの無線通信デバイスHBSの第1の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、第1の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0146】
無線通信デバイスHBSに割り当てられた第1の物理セル識別情報は、その無線通信デバイスに直接隣接して配置された各無線通信デバイスHBSと共有されないが、隣接した無線通信デバイス又は基地局に隣接した無線通信デバイスが共有することはできる。
【0147】
第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中でその無線通信デバイスのセルを識別するように意図され、かつその無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図される。
【0148】
次のステップS701において、プロセッサー200は、アクセスゲートウェイAGWが担当するエリアに配置された少なくとも1つの無線通信デバイスHBSの第2の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、この第2の物理セル識別情報又は各第2の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0149】
この第2の物理セル識別情報は、無線通信デバイスを識別するための追加の情報を提供する目的で、無線通信デバイスに割り当てられる。
【0150】
次のステップS702において、プロセッサー200は、ステップS700において決定された第1の物理セル識別情報の電力パターンを決定する。この電力パターンは、対応する無線通信デバイスHBSが第1の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用するように意図される。
【0151】
例えば、この電力パターンは、図5のステップS501において求められたICICパラメーターとして決定されるか、又は所定の値に等しい。
【0152】
次のステップS703において、プロセッサー200は、ステップS701又は本明細書の後に開示するようなステップS706において決定された各第2の物理セル識別情報の電力パターンを決定する。各電力パターンは、対応する無線通信デバイスHBSが第2の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用するように意図される。
【0153】
本発明によれば、その第2の物理セル識別情報又は各第2の物理セル識別情報を移動端末へ転送するための電力パターンは、無線通信デバイスによって第1の物理セル識別情報を移動端末へ転送するための電力パターンよりも厳密に低い。
【0154】
次のステップS704において、プロセッサー200は、電力パターンと共に第1の物理セル識別情報及び少なくとも1つの第2の物理セル識別情報を含むメッセージを少なくとも1つの無線通信デバイスのそれぞれへ転送することを指令する。
【0155】
本アルゴリズムが基地局BSによって実行されるとき、プロセッサー300が、第1の識別子及び少なくとも1つの第2の識別子を対応する電力パターンで並列に転送するように無線インターフェース405に指令する。
【0156】
ステップS705において、プロセッサー200は、移動端末若しくは基地局によって受信された測定報告から、又は無線セルラー通信ネットワークの他のデバイスから受信されたメッセージによって、隣接した無線通信デバイスの中でその無線通信デバイスを一意に識別することができるか否かをチェックする。
すなわち、1つの無線通信デバイスが、同じ第1の物理セル識別子及び第2の物理セル識別子を共有する2つの隣接無線通信デバイスを有しないか否かをチェックする。
【0157】
隣接した無線通信デバイスの中でその無線通信デバイスを一意に識別することができる場合、プロセッサー200は本アルゴリズムを中断する。そうでない場合、プロセッサー200はステップS706に移動する。
【0158】
ステップS706において、プロセッサー200は、アクセスゲートウェイAGWが担当するエリアに配置された少なくとも1つの無線通信デバイスHBSの補助的な第2の物理セル識別情報を決定する。
一変形では、この補助的な第2の物理セル識別情報は、無線セルラー通信ネットワークのコアネットワークデバイスによって又は各無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0159】
この補助的な第2の物理識別情報は、無線通信デバイスを識別するための追加の情報を提供する目的で無線通信デバイスに割り当てられる。
【0160】
その後、プロセッサー200は、すでに開示されたステップS703に戻る。
【0161】
図8は、本発明による無線通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0162】
より正確には、本アルゴリズムは、無線通信デバイスHBSのプロセッサー400によって実行される。
【0163】
ステップS800において、プロセッサー400は第1の物理セル識別情報を取得する。
この第1の物理セル識別情報は、アクセスゲートウェイAGW又は基地局BSから受信され、図5のステップS503において開示されたもの若しくは図6のステップS600において開示されたもの若しくは図7のステップS700において開示されたものと同様であるか、又は図6のステップS600において開示されたように無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0164】
次のステップS801において、プロセッサー400は、第1の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用される電力パターンを取得する。
この電力パターンは、アクセスゲートウェイAGW又は基地局BSから受信され、図5のステップS504において開示されたもの若しくは図6のステップS602において開示されたもの若しくは図7のステップS702において開示されたものと同様であるか、又は図6のステップS602において開示されたように無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0165】
次のステップS802において、プロセッサー400は、第2の物理セル識別情報を取得する。
この第2の物理セル識別情報は、アクセスゲートウェイAGW又は基地局BSから受信され、図5のステップS501において開示されたもの若しくは図6のステップS601において開示されたもの若しくは図7のステップS701若しくはS706において開示されたものと同様であるか、又は図6のステップS601において開示されたように無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0166】
次のステップS803において、プロセッサー400は、第2の物理セル識別情報を移動端末へ転送することに適用される電力パターンを取得する。
この電力パターンは、アクセスゲートウェイAGWから又は基地局BSから受信され、図5のステップS505において開示されたもの若しくは図6のステップS603において開示されたもの若しくは図7のステップS703において開示されたものと同様であるか、又は図6のステップS603において開示されたように無線通信デバイスHBSによって決定される。
【0167】
次のステップS804において、プロセッサー400は、第1の識別子及び第2の識別子を対応する電力パターンで並列に転送するように無線インターフェース405に指令する。
【0168】
その後、プロセッサー400は、本アルゴリズムを中断する。
【0169】
本質的に、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して数多くの変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための方法であって、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子が前記無線通信デバイスに割り当てられ、
前記第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中で前記無線通信デバイスのセルを識別すると共に、前記無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図され、
前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図されないことを特徴とし、
該方法は、
前記第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信デバイスによって適用される電力パターンを決定するステップと、
前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信デバイスによって適用される別の電力パターンを決定するステップであって、該別の電力パターンは前記第1の電力パターンよりも厳密に低い、別の電力パターンを決定するステップと、
前記第1の物理セル識別子及び前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子並びに前記電力パターンを前記無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は前記第1の物理セル識別子及び前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を前記電力パターンに従って移動端末へ並列に転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記無線セルラー通信ネットワークの基地局又はアクセスゲートウェイによって実行されることを特徴とし、1つの第2の物理セル識別子は、無線通信デバイスグループの各無線通信デバイスを識別するように意図され、少なくとも2つの無線通信デバイスは隣接したものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信デバイスによって適用される前記電力パターンは、前記第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信によって適用される前記電力パターンを、前記無線通信デバイスに隣接して配置された前記通信デジタルグループに含まれる通信デバイスの個数で割ったものよりも低いことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記無線セルラー通信ネットワークの基地局若しくはアクセスゲートウェイ又は前記無線通信デバイスによって実行されることを特徴とし、前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、前記第1の物理セル識別子を転送する前記無線通信デバイスの前記セルの一意の識別確率を増加させるように意図されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
或るセルが無線通信デバイスの少なくとも1つのセルと隣接しているときに、それらの物理セル識別子から或るセルを区別することができないことが検出された場合に、前記セルにおいて無線通信デバイスにより送信される信号に第2の物理セル識別子が追加されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも2つの第2の物理セル識別子の前記電力パターンは、減少する値で設定され、前記第2の物理セル識別子の送信電力の合計は、前記第1の物理セル識別子の前記送信電力よりも低いことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記無線通信デバイスはホーム基地局又は中継器であることを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
無線セルラー通信ネットワークの無線通信デバイスによって移動端末へ転送される信号を制御するための装置であって、
第1の物理セル識別子及び少なくとも1つの第2の物理セル識別子が前記無線通信デバイスに割り当てられ、
前記第1の物理セル識別子は、他の無線通信デバイスの隣接したセルの中で前記無線通信デバイスのセルを識別すると共に、前記無線通信デバイスと移動端末との間で交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図され、
前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子は、移動端末と交換されるデータをスクランブルするための符号を特徴付けるように意図されないことを特徴とし、
該装置は、
前記第1の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信デバイスによって適用される電力パターンを決定する手段と、
前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を移動端末へ転送することに前記無線通信デバイスによって適用される別の電力パターンを決定する手段であって、該別の電力パターンは前記第1の電力パターンよりも厳密に低い、別の電力パターンを決定する手段と、
前記第1の物理セル識別子及び前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子並びに前記電力パターンを前記無線通信デバイスへ転送し、かつ/又は前記第1の物理セル識別子及び前記少なくとも1つの第2の物理セル識別子を表す信号を前記電力パターンに従って移動端末へ並列に転送する手段と、
を含むことを特徴とする、装置。
【請求項9】
プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムがプログラマブルデバイスで実行されると、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の方法の前記ステップを実施するための命令又はコード部を含む、コンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−109668(P2011−109668A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−257079(P2010−257079)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】