説明

無線デバイスと干渉するような起こりうる干渉物を検出する方法および対応するデバイス

【課題】無線デバイス、例えばUWBデバイスと干渉するような干渉物、例えば起こりうるレーダー信号を検出する方法および対応するデバイスを提供すること。
【解決手段】無線デバイスと干渉するような起こりうる干渉物を検出する方法であって、無線デバイスが、アナログ・デジタル変換(ADC)段を含む少なくとも1つの受信チェーンを設けられ、方法が、受信チェーンで入射信号を受信すること(30)と、入射信号からのアナログ信号をADC段に送達すること(31)と、ADC段によって送達された、アナログ信号のレベルを表すバイナリ信号(BS)からバイナリ情報を合成すること(33)と、バイナリ情報(BINF)の時間的展開を分析すること(34)と、分析から起こりうる干渉物を検出すること(35)とを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関し、より具体的には、異なる無線通信装置または無線通信デバイス内、例えばUWB(Ultra Wide Band)通信システムに属するデバイス内の干渉の検出に関する。
【背景技術】
【0002】
UWBベースの無線通信システムの主要な特性は、他の無線通信システムおよびロケーション(レーダー)システムによって既に使用されている周波数帯内の下位システムとして動作するということである。これらの現存(incumbent)システムは、UWBシステム内の干渉(帯域内干渉)を生成し、UWBシステムは、これらのシステムに対する干渉を生成する。UWBシステムの非常に限られた送信電力に起因して、生成される干渉が現存システムでの劣化を引き起こす範囲は、数メートルから数十メートルまでに限られる。レーダー・システムの場合に、この範囲は、見通し線条件(Line-of-sight)の主ビームの方向で5000メートルまでになる可能性がある。この範囲で動作する現存システムは、やはり、動作中のUWBシステムに対する干渉を生成し、したがって、通信性能の劣化につながる。
【非特許文献1】High Rate Ultra Wideband PHY and MAC Standard,Standard ECMA−368、1st edition、2005年12月
【非特許文献2】MAC−PHY Interface for ECMA−368、Standard ECMA−369、1st edition、2005年12月
【非特許文献3】「Scalable OFDMA Physical Layer in IEEE 802.16 WirelessMAN」、Intel Technology Journal、Volume 08、Issue 03、2004年8月20日発行、ISSN 1535−864X
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、レーダー検出は、レーダー・アンテナの回転周波数および受信されるパルス・トレーン(pulse train)に基づいて実行される。そのために、少なくとも3つのパルス・トレーンを検出する必要がある。したがって、レーダーを識別するのには、少なくとも15秒を要する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、干渉物(interferer)信号、具体的にはレーダー信号を超高速の形で、既存コンポーネントを使用することによって識別し、分類することのできる方法および無線デバイスが提案される。
【0005】
一態様によれば、無線デバイスと干渉するような、起こりうる(eventual)干渉物を検出する方法であって、無線デバイスが、アナログ・デジタル変換(ADC)段を含む少なくとも1つの受信チェーンを設けられ、この方法が、受信チェーンで入射信号を受信することと、入射信号からのアナログ信号をADC段に送達することと、ADC段によって送達された、アナログ信号のレベルを表すバイナリ信号からバイナリ情報を合成することと、バイナリ情報の時間的展開(temporal evolution)を分析することと、分析から起こりうる干渉物を検出することとを含む方法が提案される。
【0006】
一実施形態によれば、ADC段は、サンプリング周波数でオーバーフロー信号を送達し、このバイナリ信号は、オーバーフロー信号である。
【0007】
しかし、バイナリ信号について、他の可能性が存在する。
【0008】
例えば、ADC段は、アナログ信号に対応し、デジタル語を定義するデジタル信号をサンプリング周波数で送達し、このバイナリ信号は、デジタル語の最上位ビット(MSB)を保持する(carry)バイナリ信号である。
【0009】
ADC段がアナログ・デジタル変換をサンプリング周波数で実行するときに、バイナリ信号は、サンプリング周波数で送達され、バイナリ情報は、バイナリ信号とすることができる。
【0010】
しかし、もう1つの変形形態によれば、バイナリ情報を合成することは、バイナリ信号をダウンサンプリングすることを含み、バイナリ情報は、ダウンサンプリングされたバイナリ信号である。
【0011】
一実施形態によれば、バイナリ情報は、第1値および第2値を有し、バイナリ情報の時間的展開を分析することは、第1値の出現を検出することと、出現の時間的展開を表す分析情報を合成することとを含み、この検出するステップは、分析情報を、干渉物を表す参照情報と比較することを含む。
【0012】
例えば、分析情報を合成することは、連続する第1値の量をカウントすることと、連続する第1値を含む連続するパケットの出現周波数を判定することとを含む。
【0013】
例えば、第1値は、ADC段のオーバーフローを表す論理値または最上位ビットの1と等しい論理値である。
【0014】
干渉物は、レーダー信号とすることができる。
【0015】
その場合に、参照情報は、パルス持続時間およびパルス繰返し周波数を含むレーダー・シグネチャとすることができる。
【0016】
しかし、干渉物は、高出力犠牲デバイス、例えばWIMAXデバイスとすることもできる。
【0017】
より弱い干渉物信号を検出するために、フロント・エンド・ステージの利得を増やし、受信された電力レベルの計算でフロント・エンド・ステージの利得を考慮に入れることが可能である。
【0018】
高いサンプリング周波数でアナログ信号をサンプリングすることが可能であるが、サンプリング周波数を下げるために、ベース周波数帯で入射信号の周波数転位(frequency transposition)を実行することが有利である。
【0019】
もう1つの態様によれば、入射信号を受信し、アナログ信号を送達する少なくとも1つの受信チェーンと、アナログ信号を受け取り、アナログ信号のレベルを表すバイナリ信号を送達するアナログ・デジタル変換(ADC)段と、バイナリ信号からバイナリ情報を合成する第1手段と、バイナリ情報の時間的展開を分析する第2手段と、分析から起こりうる干渉物を検出する第3手段とを含む無線デバイスが提案される。
【0020】
一実施形態によれば、ADC段は、サンプリング周波数でアナログ・デジタル変換を実行し、バイナリ信号をサンプリング周波数で送達し、バイナリ情報は、バイナリ信号である。
【0021】
一実施形態によれば、ADC段は、サンプリング周波数でアナログ・デジタル変換を実行し、バイナリ信号をサンプリング周波数で送達し、第1手段は、バイナリ信号をダウンサンプリングするダウンサンプリング手段を含み、バイナリ情報は、ダウンサンプリングされたバイナリ信号である。
【0022】
一実施形態によれば、バイナリ情報は、第1値および第2値を有し、第2手段は、第1値の出現を検出する検出手段と、出現の時間的展開を表す分析情報を合成する合成手段とを含み、第3手段は、干渉物を表す参照情報を格納するメモリ手段と、分析情報を参照情報と比較する比較手段とを含む。
【0023】
一実施形態によれば、合成手段は、連続する第1値の量をカウントするカウンタと、連続する第1値を含む連続するパケットの出現周波数を判定する計算手段とを含む。
【0024】
本発明の他の利益および特徴は、決して限定的ではない諸実施形態の詳細な説明および添付の図面を調べるときに明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に、WLAN(「無線ローカル・エリア・ネットワーク」)またはWPAN(「無線パーソナル・エリア・ネットワーク」)などの調整されない通信システムに属する無線通信デバイスWAPの例を開示する。
【0026】
そのような無線デバイスWAPは、例えば、OFDMベースのUWB通信システムに属する。しかし、本発明は、そのような例に限定されず、例えば、モバイル無線システムなどの調整される無線システム、より一般的には例えばCDMAシステム、GSMシステム、または搬送波が必ずしも直交ではない一般化されたマルチキャリア(GMC)システムなどのすべての種類の無線システムにも適用することができる。
【0027】
WPAN MACプロトコルは、媒体アクセスを割り当てる中央のコーディネータ端末または基地局がない、分散特性を有する。ここで、モバイル無線端末と対照的に、WPANトランシーバは、送信スロットおよびフォーマットを割り振るはるかに高い柔軟性を有する。通信リソースのこの割振りは、分散処理である。スーパー・フレーム内の特定のタイム・スロットへの割振りは、スーパー・フレームごとに変更することができる。制御するエンティティは、通信端末のWPAN−MAC層である。この割振りは、要求されたデータ・レートおよび送信されるサービスのタイプに基づく。さらに、使用可能なリソースが、割振りプロセスで考慮に入れられる。MAC層は、これらの制約に基づいて、特定のタイム・スロットまたは複数のタイム・スロットに関する予約を要求する。これらの制約は、送信または受信されるべきデータ・レートなどのローカル制約と、既に存在するスロット予約などのネットワーク全体の制約とに分割することができる。
【0028】
分散WPAN−MACの例が、MBOA MACである。
【0029】
提案されたMBOA MAC標準規格草案は、UWBテクノロジに基づき、3.1GHzと10.7GHzとの間の周波数帯で使用される計画である。この標準規格を使用する第1の実施態様は、3.1GHzと5.0GHzとの間の周波数範囲で働く。
【0030】
無線デバイスWAP1は、通常、UWBアプリケーション・ブロックMBLCとエア・チャネルとの間に接続されたOFDMベースのUWB通信インターフェースMCINTを含む。
【0031】
この通信インターフェースは、クロック信号MCLKによって刻時され、PHY層およびUWBアプリケーション・ブロックに接続されたUWB MAC層を含む。
【0032】
通信インターフェースのMAC層およびPHY層に関するさらなる詳細については、当業者は、High Rate Ultra Wideband PHY and MAC Standard,Standard ECMA−368、1st edition、2005年12月およびMAC−PHY Interface for ECMA−368、Standard ECMA−369、1st edition、2005年12月を参照することができる。
【0033】
MAC層は、具体的には、UWBデータ・ストリームの放出/受信を管理し、制御プロセッサBB内のソフトウェアによって組み込まれる。
【0034】
デバイスWAPの動作(送信および/または受信)に使用される周波数の帯域は、3.1GHzと4.9GHzとの間にある。さらに、この周波数帯は、相互に間隔を置かれるホッピング・サブバンド(hopping sub−band)と呼ばれるサブバンドに副分割される。より正確には、主周波数帯の下限(3.1GHz)と第1サブバンドの始めとの間ならびに第3サブバンドの終りと主周波数帯の上限(4.9GHz)との間に、100MHzのガード・インターバルがある。
【0035】
さらに、2つの隣接するサブバンドは、50MHzのガード・インターバルによって間隔を置かれる。
【0036】
送信中のサブバンドの割振りは、所定のホッピング・シーケンスに従って行われる。
【0037】
ここで図2を参照すると、無線デバイスWAPは、入射UWB信号ISGを受信するアンテナANTを含む。受信チェーンRXは、アンテナに接続され、この例では、特に、例えば位相ロック・ループによって供給される転位信号LOを使用することを用いて周波数ベース・バンド内で周波数転位を実行するために、低雑音増幅器LNAならびにミキサMXを含む。信号LOの周波数値は、デバイスWAPの動作サブバンドに依存する。
【0038】
受信チェーンによって送達されるアナログ信号ANSは、アナログ・デジタル段ADCの入力に送達され、このアナログ・デジタル段ADCは、アナログ信号ANSをデジタル信号DGSに変換する。
【0039】
周波数転位は、必須ではないが、ADCのより低いサンプリング周波数につながる。
【0040】
デジタル信号DGSは、ベース・バンド・プロセッサBBに送達される。図3からわかるように、入射信号ISGを受信するステップ、アナログ信号ANSをADC段に送達するステップ、およびアナログ・デジタル変換を実行するステップは、それぞれ30、31、32によって参照される。
【0041】
ADC段は、バイナリ信号BSを送達し、このバイナリ信号BSから、バイナリ情報BINFが合成される(ステップ33)。
【0042】
次に、バイナリ情報BINFの時間的展開BINF(t)を分析し(ステップ34)、この分析の結果は、例えばレーダー信号など、起こりうる干渉物の検出を可能にする(ステップ35)。
【0043】
ここで、干渉物がレーダー信号であると仮定して、本発明の実施形態を説明するが、本発明は、この特定のタイプの干渉物に限定されない。レーダー信号の信号特性は、非常に特殊である。実際に、レーダーは、通常、持続時間τpulse>1μsの超高出力パルスを使用し、パルス繰返し周波数は20Hzから1500Hzまでである。EIRP(等価等方放射電力)TX(送信)電力は、100dBm以上の範囲にある。約12回転/分の回転速度を伴い、約1.7°のビーム開き角を伴うレーダー・アンテナの動きに起因して、複数のパルスを伴うパルス・トレーンが、所与の方向に5秒おきに送信される。このパルス・トレーンの持続時間は、25msの範囲にある。また、UWBシステムは、レーダー・システムも動作する同一の周波数帯(3.1GHzから3.4GHzまで、8.5GHzから9.0GHzまで)で動作するので、UWBデバイスは、レーダーが近く(5000メートルまでの範囲)にあるかどうかを判定する必要があり、これは、レーダーのRX時間(25ms)中のUWB動作を避けるためである。残りの時間に、UWBデバイスは、制限なしで動作することができる。100dBmというレーダーのTX電力および5000メートルの距離を考慮に入れると、UWBデバイスで受信される電力は、少なくとも−20dBmの範囲にある。この電力は、UWB受信器にとってあまりに高すぎ、したがって、UWB受信器を飽和させる。
【0044】
これは、オーバーフロー/飽和信号BSによって評価することができ、このオーバーフロー/飽和信号BSは、UWB受信器WAPのADCコンバータによって送達される。
【0045】
このオーバーフロー信号の時間的展開に基づいて、超高速の形でレーダー信号を識別し、分類することが可能になる。
【0046】
図6に、レーダー信号の通常のパルス繰返しシーケンスが示されている。τpulseの値は、300nsから1600μsまでの範囲にあり、τrep(繰返し周期)の値は、100μsと1msとの間の範囲にある。TX電力は、100dBm以上の範囲にある。
【0047】
UWBトランシーバは、UWB受信器内のADCによる
1.パルス持続時間
2.パルス繰返し周波数
の分析においてこれらのパルスを識別する。
【0048】
異なるレーダー・タイプは、異なる保護レベルを有し、また、パルスに関する異なる時間パターンを有する。したがって、パターンを識別することによって、異なるレーダー・タイプを認識することができる。したがって、UWBデバイスは、レーダーの反応する時間RX中に使用される周波数帯を避けることによって、それ相応に反応することができる。
【0049】
レーダーを効率的に保護するために(Safety of life application)、UWBデバイスは、好ましくは、UWBデバイスが送信を開始する前にレーダーを検出する必要がある。したがって、デバイスのスタート・アップ中に、UWBは、計画された動作帯域でレーダーをスキャンしなければならない。本事例では、このスキャンは、次のように行われる。
【0050】
− 受信器WAPの電源を入れ、
− 可変利得増幅器が設けられている場合には、好ましくは、この可変利得増幅器を最低レベルにセットして、受信器の最低の感度を達成し、
− 少なくとも最長の可能なレーダー回転時間、例えば5秒の間、ADCの出力で飽和イベント/オーバーフロー・イベントを評価し、
− その結果を、パルス持続時間およびパルス繰返し周波数を含む格納されたレーダー・シグネチャ・データ・ベースと比較し(このデータベースは、メモリ手段MMに格納される)、
− レーダー・シグネチャが検出される場合には、そのレーダーを避けるためにMAC層に知らせ、
− レーダーが検出されない場合には、レーダー回避なしでスタート・アップに進み、
− 動作時間中にX秒(Xは、例えば3000秒の範囲にある)おきにレーダー検出手順を繰り返し、
− レーダーが検出される場合には、ADCオーバーフロー情報を使用して回転周波数を識別し、
− 時分割動作のために回転のタイミングをMAC層に転送する。
【0051】
この手順を、図5に要約する。
【0052】
より正確には、ADCオーバーフローが検出される場合(ステップ50)、例えばオーバーフロー信号が1と等しい場合に、ステップ52を実行する。
【0053】
逆に、ADCオーバーフロー信号が0と等しい場合には、アクションは実行されない(ステップ51)。
【0054】
次に、バイナリ信号BS(ここではオーバーフロー信号)の時間的展開を、連続するオーバーフローの量およびその周波数をカウントすることによってステップ52で実行する。この例では、バイナリ情報BINFは、バイナリ信号BSである。
【0055】
レーダー・シグネチャとの比較を実行して(ステップ53)、起こりうるレーダー信号を検出する(ステップ54)。
【0056】
ハードウェアの観点では、バイナリ信号BS(オーバーフロー信号)の時間的展開を分析する第2手段は、カウント手段CNT(図7)ならびにパルス持続時間およびパルス繰返し周波数を計算する計算手段を含む。
【0057】
現在の例では、ADCコンバータに転送されるダウンコンバートされた信号ANSは、例えば1GHzと等しい周波数を有するクロックを使用することによって、あるサンプリング・レートでデジタル信号DGSに変換される。したがって、ADCコンバータは、1Gサンプル/秒のレートでデジタル出力信号DGSを送達する。オーバーフロー信号BSも、1Gサンプル/秒という同一のレートで送達される。したがって、基本的な分解能は、この事例では1ナノ秒と等しい。
【0058】
オーバーフロー信号は、オーバーフローの回数およびオーバーフローの周期をカウントするカウンタに供給される。レーダー・パルスを識別するためには、複数のオーバーフローが連続的に発生する必要がある。τpulse 1000nsのパルス持続時間について、1000回の連続するオーバーフローが発生する。識別されたパルス持続時間およびPRF(パルス繰返し周波数)が、第3手段TMの評価ユニットに供給され、この第3手段TMは、レーダー・シグネチャ・データ・ベースを使用することによって、受け取られた情報を分類する。この情報は、次に、必要なレーダー保護アクションを講じるために、UWB MAC層に転送される。評価エンティティは、さらに、検出されたレーダー・システムの回転周波数を測定するために、カウンタ・エンティティを制御する。その後、この情報を、時分割に基づく保護戦略のためにMAC層またはより上位の層によって使用することができる。
【0059】
レーダー・シグネチャが検出されない場合には、UWBデバイスがレーダーの緩和範囲(mitigation range)内に移動していないことを確認するために、検出処理を時々実行する必要がある。
【0060】
前の例では、現在の事例でバイナリ情報BINFであるオーバーフロー/飽和信号BSは、1Gサンプル/秒のサンプリング・レートでADCコンバータから直接に使用される。
【0061】
このレートは、レーダー・パルス持続時間の正確な識別に必要ではない。電力を節約するために、オーバーフロー信号をn倍ダウンサンプリングすることができ、nは、検出されるレーダーに依存して、10から1000までの範囲内の整数である。
【0062】
言い換えると、図8に示されているように、バイナリ信号BSがダウンサンプリングされた後に(ステップ330)、バイナリ情報BINFは、ダウンサンプリングされたバイナリ信号BSである。
【0063】
上で説明した実施形態を用いると、レーダーの識別は約5秒を要するが、従来の方法を用いると、レーダーの識別は少なくとも15秒を要する。
【0064】
本発明は、上で説明した例に限定されず、例えばWIMAXデバイスなど、すべてのタイプの干渉物を超高速の形で簡単に検出することを可能にする。
【0065】
WIMAXデバイスは、例えば20MHzの帯域幅で3.5GHzの中心周波数で動作する。シンボル持続時間は、約100μsである。WIMAX信号のフレーム構造は、例えば、文書「Scalable OFDMA Physical Layer in IEEE 802.16 WirelessMAN」、Intel Technology Journal、Volume 08、Issue 03、2004年8月20日発行、ISSN 1535−864Xに示されている。
【0066】
WIMAX標準規格が、1つのシステムの単一の定義であるのではなく、基本構成要素の集合であることにも留意されたい。したがって、正確なパラメータは、変化する可能性がある。
【0067】
本発明は、他の事例で、例えば3メートル未満の分離距離を有する他の高出力犠牲者システム(victim system)を検出することも可能にする。
【0068】
例えば、受信チェーンRX内に配置される可変利得増幅器AMP(図10)の利得を増やすことによって、より弱い干渉物信号を検出することも可能である。その場合に、ベース・バンド・プロセッサBB内に配置される自動利得制御手段AGCを使用して、増幅器AMPの利得を制御することができる。
【0069】
バイナリ信号BSは、ADCコンバータによって送達されるオーバーフロー/飽和信号に限定されない。このバイナリ信号を、ADCコンバータによって送達されるデジタル信号DGSの最上位ビットMSBとすることもできる。
【0070】
飽和/オーバーフロー信号ではなくMSBを使用することによって、より弱い干渉物信号を検出することも可能である。例えば、1と等しいMSBを、干渉物信号の存在の表示とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】UWBデバイスの実施形態を概略的に示す図である。
【図2】干渉物検出を可能にする無線デバイスの実施形態を、より詳細だがそれでも概略的に示す図である。
【図3】干渉物信号を検出する方法の実施形態を示す図である。
【図4】特にレーダー干渉物の検出を可能にする方法および無線デバイスの実施形態のいくつかの非限定的な詳細を概略的に示す図である。
【図5】特にレーダー干渉物の検出を可能にする方法および無線デバイスの実施形態のいくつかの非限定的な詳細を概略的に示す図である。
【図6】特にレーダー干渉物の検出を可能にする方法および無線デバイスの実施形態のいくつかの非限定的な詳細を概略的に示す図である。
【図7】特にレーダー干渉物の検出を可能にする方法および無線デバイスの実施形態のいくつかの非限定的な詳細を概略的に示す図である。
【図8】干渉物検出を可能にする方法および無線デバイスの他の可能な実施形態を示す図である。
【図9】干渉物検出を可能にする方法および無線デバイスの他の可能な実施形態を示す図である。
【図10】干渉物検出を可能にする方法および無線デバイスの他の可能な実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0072】
ADC アナログ・デジタル段
AGC 自動利得制御手段
AMP 可変利得増幅器
ANS アナログ信号
ANT アンテナ
BB ベース・バンド・プロセッサ
BINF バイナリ情報
BINF(t) バイナリ情報BINFの時間的展開
BS バイナリ信号
CNT カウント手段
DGS デジタル信号
ISG 入射UWB信号
LNA 低雑音増幅器
LO 転位信号
MBLC UWBアプリケーション・ブロック
MCINT UWB通信インターフェース
MCLK 信号
MM メモリ手段
MX ミキサ
RX 受信チェーン
TM 第3手段
WAP 無線通信デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線デバイスと干渉するような起こりうる干渉物を検出する方法であって、前記無線デバイスが、アナログ・デジタル変換(ADC)段を含む少なくとも1つの受信チェーンを設けられ、前記方法が、
前記受信チェーンで入射信号を受信することと、
前記入射信号からのアナログ信号を前記ADC段に送達することと、
前記ADC段によって送達された、前記アナログ信号のレベルを表すバイナリ信号(BS)からバイナリ情報を合成することと、
前記バイナリ情報(BINF)の時間的展開を分析することと、
前記分析から前記起こりうる干渉物を検出することと、を含む方法。
【請求項2】
前記ADC段が、サンプリング周波数で前記アナログ信号をデジタル信号への変換(アナログ・デジタル変換)を実行し、
前記バイナリ信号(BS)が、前記サンプリング周波数で送達され、
前記バイナリ情報が、前記バイナリ信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ADC段が、サンプリング周波数で前記アナログ・デジタル変換を実行し、
前記バイナリ信号が、前記サンプリング周波数で送達され、
前記バイナリ情報を合成することが、前記バイナリ信号をダウンサンプリングすることを含み、
前記バイナリ情報が、前記ダウンサンプリングされたバイナリ信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ADC段が、前記アナログ信号に対応しデジタル語を定義するデジタル信号を前記サンプリング周波数で送達し、
前記バイナリ信号が、前記デジタル語の最上位ビット(MSB)を保持するバイナリ信号である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記ADC段が、前記サンプリング周波数でオーバーフロー信号を送達し、
前記バイナリ信号(BS)が、前記オーバーフロー信号である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項6】
前記バイナリ情報(BINF)が、第1値および第2値を有し、
前記バイナリ情報の時間的展開を分析することが、前記第1値の出現を検出することと、前記出現の時間的展開を表す分析情報を合成することと、を含み、
前記検出することが、前記分析情報を、前記干渉物を表す参照情報と比較することを含む、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記分析情報を合成することが、連続する第1値の量をカウントすることと、連続する第1値を含む連続するパケットの出現周波数を判定することとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1値が、前記ADC段のオーバーフローを表す論理値または前記最上位ビットの1と等しい論理値である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記干渉物が、レーダー信号である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記参照情報が、パルス持続時間およびパルス繰返し周波数を含むレーダー・シグネチャである、請求項7、8、または9に記載の方法。
【請求項11】
前記干渉物が、高出力犠牲デバイス、例えばWIMAXデバイスである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの受信チェーンが、前記ADC段の上流に配置された可変利得増幅器を設けられ、
前記アナログ信号を送達することが、前記可変利得増幅器の利得を増やすことを、さらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アナログ信号を送達することが、ベース周波数帯で前記入射信号の周波数転位を実行することを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記入射信号が、UWB信号である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
入射信号を受信し、アナログ信号を送達する少なくとも1つの受信チェーンと、
前記アナログ信号を受け取り、前記アナログ信号のレベルを表すバイナリ信号を送達するアナログ・デジタル変換(ADC)段と、
前記バイナリ信号からバイナリ情報を合成する第1手段(FM)と、
前記バイナリ情報の時間的展開を分析する第2手段(SM)と、
前記分析から起こりうる干渉物を検出する第3手段(TM)と、を含む無線デバイス。
【請求項16】
前記ADC段が、サンプリング周波数でアナログ・デジタル変換を実行し、
前記第1手段(FM)が、前記バイナリ信号を前記サンプリング周波数で送達し、
前記バイナリ情報が、前記バイナリ信号である、請求項15に記載の無線デバイス。
【請求項17】
前記ADC段が、サンプリング周波数でアナログ・デジタル変換を実行し、
前記バイナリ信号が、前記サンプリング周波数で送達され、
前記第1手段(FM)が、前記バイナリ信号をダウンサンプリングするダウンサンプリング手段を含み、
前記バイナリ情報が、前記ダウンサンプリングされたバイナリ信号である、請求項15に記載の無線デバイス。
【請求項18】
前記ADC段が、前記アナログ信号に対応し、デジタル語を定義するデジタル信号を前記サンプリング周波数で送達し、
前記バイナリ信号が、前記デジタル語の最上位ビットを保持するバイナリ信号である、請求項16または17に記載の無線デバイス。
【請求項19】
前記ADC段が、前記サンプリング周波数でオーバーフロー信号を送達し、
前記バイナリ信号が、前記オーバーフロー信号である、請求項16または17に記載の無線デバイス。
【請求項20】
前記バイナリ情報が、第1値および第2値を有し、
前記第2手段が、前記第1値の出現を検出する検出手段と、前記出現の時間的展開を表す分析情報を合成する合成手段と、を含み、
前記第3手段が、前記干渉物を表す参照情報を格納するメモリ手段(MM)と、前記分析情報を前記参照情報と比較する比較手段と、を含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項21】
前記合成手段が、連続する第1値の量をカウントするカウンタ(CTN)と、連続する第1値を含む連続するパケットの出現周波数を判定する計算手段(CLM)と、を含む、請求項20に記載の無線デバイス。
【請求項22】
前記第1値が、前記ADC段のオーバーフローを表す論理値または前記最上位ビットの1と等しい論理値である、請求項20または21に記載の無線デバイス。
【請求項23】
前記第3手段が、起こりうるレーダー信号を検出する、請求項15から22のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項24】
前記参照情報が、パルス持続時間およびパルス繰返し周波数を含むレーダー・シグネチャである、請求項21、22、または23に記載の無線デバイス。
【請求項25】
前記第3手段が、高出力犠牲デバイス、例えば起こりうるWIMAXデバイスを検出する、請求項15から22のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項26】
前記受信チェーンが、自動利得制御手段(AGC)を含む、請求項15から25のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項27】
前記受信チェーンが、ベース周波数帯で前記入射信号の周波数転位を実行する転位手段(MX)を含む、請求項15から26のいずれか一項に記載の無線デバイス。
【請求項28】
UWB通信システムに属するUWBデバイスである、請求項15から27のいずれか一項に記載の無線デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−22008(P2009−22008A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−180784(P2008−180784)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(301040578)エスティマイクロエレクトロニクス エヌヴィ (5)
【Fターム(参考)】