説明

無線基地局、及び、無線基地局の障害を検出するシステム

【課題】本発明は、サイレント障害を検出可能な無線基地局、及び、無線基地局のサイレント障害を検出するシステムを提供する。
【解決手段】無線LAN基地局内部に2個実装されているAPチップセット(110,111)の片方をアクセスポイント、他方をステーションとし、試験信号を同一周波数に設定して、複数のAPチップセット間で試験信号の折り返し試験を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害検出機能を備えた無線基地局、及び、無線基地局の障害を検出するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、インターネット、インターネット電話、ネットワークゲーム等の多くの分野で、無線通信端末が利用されている。無線通信端末は、無線LANにより相互接続性が保証されているアクセスポイントへの接続を介して、インターネット網等の情報ネットワークにアクセスすることができる。無線LANを利用した通信サービスでは、2.4GHz帯、5GHz帯の同時サービスが求められており、そのようなアクセスポイントが登場しつつある。
【0003】
無線通信端末のユーザ数は、タブレット型コンピュータの出現やスマートフォンのニーズの急増もあって爆発的に増加してきている。ユーザ数の増加に伴い、システムに対する利便性の向上に係る要求も増加してきており、これに合わせて、高速無線アクセス網をインターネットアクセスのバックボーンとした小型のアクセスポイントによる、エリアカバレッジを補完するソリューションの拡がりや、データ伝送速度の高速化が進められてきている。
【0004】
ユーザの利便性にとって、無線通信システムの安定性は重要な要件の一つである。システムを安定的に動作させるためには、システムの運用を停止させることに至る障害を発生させないようにすることは勿論であるが、障害が発生した場合でも、迅速に障害を検知し、障害を取り除いて、システムを復旧させることが重要である。
【0005】
大部分の無線LANの基地局のシステムは、無線LANの変復調機能の実現のために、汎用のチップセットを採用している。チップセットには障害検出機能が実装されていないいか、実装されていたとしても障害検出機能は貧弱であり、障害が発生しても認識することができないため、所謂、基地局がサイレント障害に至ってしまう問題がある。
【0006】
無線LAN基地局の障害を検出するための第1の従来技術として、無線装置の正常性を確認するために装置内部で折り返す試験が開示されている(後記の特許文献1の図10を参照されたい。)。
【0007】
この従来例技術では、折り返し試験用の電波が送受信アンテナ5から輻射されることを防ぐため、切換スイッチ12で減衰器13への経路へ切り換え、空きスロット期間に送信器2で送信した信号を受信器3で受信し、受信信号処理部16が受信データを送信信号処理部11が生成したデータと比較して、一致していた場合は正常、異なっていた場合は異常と判断する。この従来例のシステムでは、折り返し試験用の専用送受信器を用意せずに、無線装置内部での折り返し試験を行うことができる。
【0008】
無線LAN基地局の障害を検出するための第2の従来技術として、1つのアンテナで送信した信号をもう一方のアンテナで受信して折り返し試験を行う方法が開示されている(後記の特許文献2の図11を参照されたい。)。
【0009】
この従来技術では、干渉波検出部52において、受信信号の干渉波レベルが閾値より高い場合は折り返し試験を実施せず、閾値より低ければ折り返し試験を行う。これにより、他局が通信していないタイミングで無線の折り返し試験が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−19037号公報
【特許文献2】特開2003−169030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
無線LAN基地局がサイレント障害の状態に陥ると、無線端末からの接続が不意に途絶えたり、そして、サイレント障害が検出できずに放置されると、無線端末が基地局に接続することが一切出来なくなる等の大きい障害に至ってしまうおそれがある。そこで、通信サービス事業者は、基地局がサイレント障害に陥った場合でも、これを迅速かつ確実に検出し、サイレント障害を素早く取り除く必要がある。
【0012】
既述の第1の従来技術では、無線装置が故障しているかの判断は可能であるが、送信器、受信器のどちらが故障しているかを判断できないため、サイレント障害の検出をそもそも確実に行えず、サイレント障害からの復旧も迅速に進まないという課題がある。
【0013】
第2の従来例では、無線通信装置は試験波を送信しながらこれを受信する必要があるが、無線LANはTDD方式であり、1つのアンテナで送受信を切り換える形態であるため、第2の従来例を単純に無線LAN基地局のシステムに援用することはできない。
【0014】
したがって、従前から、マルチバンド対応の無線LANアクセスポイントを構成する無線LAN基地局のサイレント障害を迅速かつ確実に検出できるシステムは存在しないという課題があった。そこで、本発明は、サイレント障害を検出可能な無線基地局、及び、無線基地局のサイレント障害を検出するシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために本発明は、第1の無線端末に対する第1のアクセスポイントを形成する第1のアクセスポイント回路と、第2の無線端末に対する第2のアクセスポイントを形成する第2のアクセスポイント回路と、前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを制御する制御回路と、前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを試験する試験信号用の試験回路と、を備える、無線基地局であって、前記制御回路は、前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路から前記第2のアクセスポイント回路に第1の試験信号を送信させ、前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路から前記第1のアクセスポイント回路に第2の試験信号を送信させ、前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンとを比較して第1の比較結果を得、前記第2のアクセスポイント回路から送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとを比較して第2の比較結果を得、前記第1の比較結果と前記第2の比較結果に基づいて前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路との診断を実行する、ことを特徴とする。
【0016】
さらに、第2の本発明は、無線端末が接続する無線基地局と、当該無線基地局の監視装置と、備え、前記無線基地局と前記監視装置とが通信網を介して接続されている、無線基地局の障害監視システムであって、前記無線基地局は、第1の無線端末に対する第1のアクセスポイントを形成する第1のアクセスポイント回路と、第2の無線端末に対する第2のアクセスポイントを形成する第2のアクセスポイント回路と、前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを制御する制御回路と、前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを試験する試験信号用の試験回路と、 を備え、前記制御回路は、前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路から前記第2のアクセスポイント回路に第1の試験信号を送信させ、前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路から前記第1のアクセスポイント回路に第2の試験信号を送信させ、 前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンとを比較して第1の比較結果を得、前記第2のアクセスポイント回路から送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとを比較して第2の比較結果を得、前記第1の比較結果と前記第2の比較結果に基づいて前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路との診断を実行し、当該診断結果を前記監視装置に送信する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サイレント障害を検出可能な無線基地局、及び、無線基地局のサイレント障害を検出するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るものであり、デュアルバンド型無線LAN基地局を含む無線ネットワークのブロック図である。
【図2】図1に係る無線LAN基地局の動作の第1のシーケンス図である。
【図3】図1に係る無線LAN基地局の動作の第2のシーケンス図である。
【図4】図1に係る無線LAN基地局の正常性確認方法のフローチャートである。
【図5】図1に係る無線LAN基地局のアクセスポイント回路をアンテナに接続する方向にスイッチを切り替えた、図1に対応するブロック図である。
【図6】図1に係る無線LAN基地局に対する正常性試験の他の実施形態に係る第1のシーケンス図である。
【図7】図1に係る無線LAN基地局に対する正常性試験の他の実施形態に係る第2のシーケンス図である。
【図8】図6及び図7に対応する、無線LAN基地局の正常性確認方法のフローチャートである。
【図9】図1の変形例に係るブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本願発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態を説明するに当たり、2.4GHz帯、5GHz帯の周波数帯域に対応する無線LAN基地局を含む無線ネットワークを例にして、以下に説明する。
【0020】
無線LAN基地局をインフラ設備として用いる場合、無線LAN基地局は、2.4GHz帯、5GHz帯の双方についての通信サービスが同時に求められる。これを実現するために、デュアルバンド対応無線LAN基地局内には2.4GHz帯の通信に対応する第1のチップセットと、2.4GHz帯と5GHz帯との両方の通信に対応する第2のチップセットとが実装されている。これらチップセットは夫々AP(アクセスポイント)機能部を構成する。以後、前者のチップセットを「AP1」と略称し、後者のチップセットを「AP2」と略称する。
【0021】
既述のマルチAP機能を有する無線LAN基地局が自身の正常性を診断する際は、AP1とAP2とに同一の帯域(2.4GHz)の周波数を設定し、AP1をアクセスポイント(AP)とし、AP2をステーション(STA)とする第1の形態と、AP2をAPに、AP1をSTAに設定する第2の形態と、を実行して、AP1とAP2間で試験信号の送受信を切り替えて行う、折り返し試験を実行する。無線LAN基地局は、折り返し試験として、アンテナを経由しない形態とアンテナを経由する形態とを実行可能である。
【0022】
図1は既述のデュアルバンド型無線LAN基地局を含む無線ネットワークのブロック図である。無線ネットワークは、無線LAN基地局100、インターネット網101、監視装置102と、を備えて構成されている。
【0023】
無線LAN基地局100は、無線インターフェースを介して、無線LAN端末103がインターネット網101にアクセスすることを可能にする無線装置である。無線LAN基地局100は、AP機能部100Aと、試験用回路部104とに大別される。AP機能部は、AP1(110)、AP2(111)と、APコントローラ112、メモリ113、そして、回線インタフェース114と備えて構成されている。
【0024】
APコントローラ112は、AP1(110)、AP2(111)夫々を制御する。メモリ113は、無線通信プログラムの他、各種の制御プログラムと、AP1(110)、AP2(111)にて通信可能な、単数または複数の無線チャネルが予め格納されている。回線インタフェース114は、APコントローラ112とインターネット網101とを接続するためのインタフェースである。
【0025】
無線LAN端末103は、無線LAN基地局100に無線インタフェースにより接続され、回線インタフェース114を介してインターネット網101などの通信ネットワークに接続される。無線LAN基地局100は、無線LAN端末103を相互に接続したり、他のネットワークに接続したりするための無線装置であり、ネットワーク間の中継・接続を行うルータ機能を備えている。
【0026】
監視装置102は、インターネット網101を経由して、回線インタフェース114に接続され、無線LAN基地局100の監視・制御をリモートにて行う機能を有する。
【0027】
AP1(110)は、上り/下り信号の切り替えを行うスイッチ(SW)130、下り信号送信機(Tx)132、上り信号受信機(Rx)134、BB信号処理を行うBB136、上り/下り信号の変復調を行うMDM138、APコントローラ112とのインタフェースであるI/O140とを備えている。AP2(111)も内部のブロックはAP1(110)と同様である。
【0028】
AP1(110)、AP2(111)は、それぞれANT1(150)、ANT2(151)を通して、予め設定された無線チャネルで、無線LAN端末103とデータの送受信を行う。APコントローラ112は、メモリ113にある各種プログラムを実行することにより、AP1(110)、AP2(111)の通信制御等、各種の制御を行う。
【0029】
既述のとおり、無線LAN基地局100はAP機能部100Aに加えて、試験用回路部104を有する。試験用回路部104は、方向性結合器CPL160、161およびDET(電力検出器)162、163を備える。DETはAPコントローラ112に接続され、AP1(110)およびAP2(111)から出力される下り無線信号電力を読み取ることができる。
【0030】
試験用回路部104は、さらに、RF−SW170、171、および、減衰器172、SW173を備える。RF−SW170はAP1(110)をANT1(150)に接続するか終端させるかを切り替える高周波SWである。RF−SW171も同様にAP2(111)をANT2(151)に接続するか終端させるかを切り替える。
【0031】
減衰器172は、CPL160と161の間に実装され、CPLで抽出された試験信号を減衰させる。SW173は、アンテナを含めた経路での折り返し試験による正常性確認時にAP1(110)またはAP2(111)から出力される試験信号がAP2(111)またはAP1(110)にANT1とANT2とを介することなく直接流れないようにルートを切り替えるものである。
【0032】
図1に基づいて、無線LAN基地局100内部での折り返し試験による正常性確認方法の第1の形態について説明する。図1に示すように、APコントローラ112は、RF−SW170,171を終端側に切り替える。正常性確認方法の第1の形態の説明に際して、さらに、図2−4を利用する。
【0033】
図2は、APコントローラ112が、AP1(110)をAPに、AP2(111)をSTAにそれぞれ設定した場合のシーケンス図であり、図3は、AP1(110)をSATPに、AP2(111)をAPにそれぞれ設定した場合のシーケンス図であり、図4は、図2及び図3を包含した、正常性確認方法のフローチャートである。図2,3のシーケンス図は、無線LAN基地局全体の動作を中心にしているのに対して、図4のフローチャートはAPコントローラ112の動作を中心にしている。図4のステップ300〜306までが図2のシーケンス図に対応し、ステップ307以降が図3のシーケンス図に対応する。
【0034】
先ず、通信サービスユーザの監視装置102がインターネット網101を介して、特定の無線LAN基地局100のAPコントローラ112に対して正常性確認開始指示200を送る(図2のステップ200)。APコントローラ112が当該指示を受信すると(図4のステップ300)、AP1(110)をAP、AP2(111)をSTAに設定し(試験時設定:図4のステップ301)、さらに、AP1(110)とAP2(111)の無線チャンネル(周波数)を同一に設定する。図1の形態では、2.4GHzである。
【0035】
APコントローラ112は、メモリ113に格納されている試験パターンを読み出し、AP1(110)へ、当該試験パターンを含む試験信号送信指示を送る(図2のステップ201、図4のステップ302)。AP1(110)は、試験信号送信指示を受けた後、試験パターンをI/O140を経由して、MDM138に伝える。
【0036】
AP1(110)は、試験パターンを基にMDM138、BB136においてデジタル試験信号を生成し、Tx132において試験信号をアナログ無線信号に変換する。AP1(110)はアナログ無線信号(試験信号)を送信する(図2のステップ202、図4のステップ303)。
【0037】
RW−SW170は、AP1(110)を、ANT1に接続させることなく接地しているため、AP1(110)から送信された試験信号は、CPL160、減衰器172、SW173、DET2、CPL161を経由して、AP2(111)に到達する(図4のステップ304)。APコントローラ112は、試験信号がこのルートを流れるように、スイッチ(SW)173を制御する。
【0038】
減衰器172は、AP1(110)、AP2(111)の送信機および受信機のダイナミックレンジと、CPL160,161の結合量の条件に整合するように、試験信号の減衰量を選定する。簡易な試験用回路を使用して試験信号の送受信が行なわれる場合、送信側で試験信号を適切なレベルに設定せずに折り返し試験を実施すると、受信側で信号が飽和して正しく信号を受信できずに正常性が確認できないことがある。そのために、減衰器172が試験信号を減衰して、試験信号の送受信を行うことで、正常性の確認を可能とする。
【0039】
例えば、AP1(110)の送信機(Tx)の出力が20dBmで、AP2(111)の受信機(Rx)の最大受信レベルが−30dBmである場合、AP1(110)送信機とAP2(111)の受信機間の減衰量は、20dBm−(−30dBm)=50dB以上であることが必要である。CPL160,CPL161の結合量が、例えば、それぞれ20dBである場合、CPL160とCPL161により、40dB減衰するため、50dB−40dB=10dBとなり、したがって、減衰器172の減衰量は10dB以上となればよい。
【0040】
AP2(111)は、受信した試験信号を、SW131、Rx135を経由して、BB137に至らせてデジタル信号に変換された後、MDM139はデジタル信号から試験パターンを復調する。
【0041】
AP2(111)は、APコントローラ112からの試験信号受信報告要求を受領すると(図2のステップ206)、試験信号受信報告207として、復調された試験パターンをI/O141を介し、APコントローラ112に送る(図2のステップ207)。
【0042】
APコントローラは復調された試験パターンをメモリ113に記録すると(図2のステップ213)、試験信号の送信の停止をAP1(110)に指示する(図2のステップ209)。AP1(110)が停止コマンドを受信すると、試験信号の送信を停止する(図2のステップ210)。
【0043】
次いで、APコントローラ112は、正常性の診断を行う(図2のステップ211)。APコントローラ112は、メモリ113から、AP1(110)から送信した試験パターンと、AP2(111)で受信した試験パターンとを読み出して、両者を照合することにより、正常性診断(図2のステップ211)を行う。
【0044】
ここでの正常性診断(211)は、APコントローラ112が、AP1(110)から送信した試験パターンと、AP2(111)で受信した試験パターンとが合致しているか否かによって実行される(図4のステップ305)。
【0045】
APコントローラ112が、両パターンが一致していないことを検出すると、AP1(110)の送信機(Tx)132とAP2(111)の受信機(Rx)135の少なくとも一方に異常があると判定して、この判定結果をメモリ113に記憶した後、図3のステップ314に移行する。
【0046】
一方、APコントローラ112が、両パターンが一致すると判定すると、ステップ307(図4)以降の正常性診断の継続処理に進む。APコントローラ112は、先ず、AP2(111)をAPに、AP1(110)をSTAに設定する。次いで、APコントローラ112は、メモリ113に格納されている試験パターンを読み出し、AP2(111)へ、当該試験パターンを含む試験信号送信指示を送る(図3のステップ201、図4のステップ307)。
【0047】
AP2(111)は、試験信号送信指示を受けた後、試験パターンをI/O141を経由して、MDM139に伝える。AP2(111)は、試験パターンを基にMDM139、BB137においてデジタル試験信号を生成し、Tx133において試験信号をアナログ無線信号に変換する。AP2(111)はアナログ無線信号(試験信号)を送信する(図3のステップ202、図4のステップ308)。AP2(111)から送信された試験信号は、CPL161、DET2(163),SW173、減衰器172、CPL160を経由して、AP1(110)に送信される。そして、AP1(110)は試験信号を受信する(図4のステップ309)。
【0048】
AP1(110)が受信した試験信号は、SW130、Rx134を経由して、BB136に至り、デジタル信号に変換された後、MDM138はデジタル信号から試験パターンを復調する。
【0049】
AP1(110)は、APコントローラ112からの試験信号受信報告要求を受領すると(図3のステップ206)、試験信号受信報告として、復調された試験パターンをI/O140を介し、APコントローラ112に送る(図3のステップ207)。
【0050】
APコントローラ112は復調された試験パターンをメモリ113に記録すると(図2のステップ213)、試験信号の送信の停止をAP2(111)に指示する(図3のステップ209)。AP2(111)が停止コマンドを受信すると、試験信号の送信を停止する(図3のステップ210)。
【0051】
次いで、APコントローラ112は、正常性の診断を行う(図3のステップ211)。APコントローラ112は、AP2(111)から送信した試験パターンと、AP1(110)で受信した試験パターンとをメモリ113から読み出して、これらを照合して、正常性診断を行う(図3のステップ211)。
【0052】
ここでの正常性診断は、APコントローラ112が、AP2(111)から送信した試験パターンと、AP1(110)で受信した試験パターンとが一致するか否かによって実行される(図3のステップ310)。APコントローラ112が両パターンが一致していないことを検出すると、AP2(111)の送信機(Tx)133とAP1(110)の受信機(Rx)134の少なくとも一方に異常があると判定して、この判定結果をメモリ113に記憶する。
【0053】
APコントローラ112は、図4のステップ310を肯定すると、AP1(110)及びAP2(111)は正常であると判断し(図4のステップ313)、これをメモリ113に記憶する。
次いで、APコントローラ112は、メモリ113から図4のステップ305及びステップ310での判別結果、さらに、ステップ113の判別結果を読み出して監視装置102にインターネット網101を介して通知する。この通知によれば、監視装置は、マルチバンド通信を可能とする無線LAN基地局について、複数あるAPチップセットの全てが正常、又は、一つのチップセットの送信機と他方のチップセットの受信機の少なくとも一つが異常を知ることができる。すなわち、図1に示す無線LAN基地局は、AP1とAP2との間での試験信号の送受信を双方向に実施するために、従来片方向での試験信号の送信では検知できなかった、APチップのサイレント障害を確実に検出することができるようになる。
【0054】
次に、正常性確認試験の第2の形態について説明する。この第2の形態が第1の形態と異なる点は次のとおりである。第1の形態は、アンテナ(ANT1,ANT2)を介することが無い、無線LAN基地局の内部折り返し試験を実施したものであるのに対して、第2の形態は、アンテナを介した折り返し試験が実施したものである。ANT1 150から出力された試験信号は、無線インタフェースを介して、ANT2151に伝えられる。
【0055】
そこで、APコントローラ112は、図5に示すように、スイッチ(RF−SW)170をANT1に接続する方向に切り替え、スイッチ(RF−SW)171をANT2に接続する方向に切り替える。さらに,APコントローラ112は、アンテナを含めた経路での折り返し試験による正常性確認時にAP1(110)またはAP2(111)から出力される試験信号がAP2(111)またはAP1(110)に流れないように、スイッチSW173をオフする。
【0056】
第2の形態における正常性確認試験のシーケンス及びフローチャートは、第1の形態と同じである。第2の形態に基づく正常性試験を第1の形態に基づく正常性試験に続けて行うことによって、第1の形態に基づく正常性試験に基づいて、AP1(110)及びAP2(111)の正常性が確認された後、第2の形態に基づく正常性試験に基づいて、AP(AP1,AP2)に異常が判定されると、監視装置102は、無線LAN基地局100のANT1及びANT2の少なくとも一方に異常があることを認識できるようになる。
【0057】
アンテナを含めた経路でのAP1(110)とAP2(111)間通信による正常性確認は、AP1、AP2の送信機(Tx)および受信機(Rx)のダイナミックレンジと、ANT1(150)とANT2(151)の結合量の条件が整合していることが必要である。例えば、AP1(110)の送信機の出力が20dBmで、AP2(111)の受信機の最大受信レベルが−30dBmの場合、ANT1(150)とANT2(151)の結合量が−50dB以下である必要がある。そうでないと、AP28111)が試験信号を受信した際に、受信機が飽和し、正常に受信することができないおそれがある。
【0058】
アンテナを含めた経路でのAP機能部間通信の折り返し試験は、片方のAPから送信された無線信号をもう片方のAP経由で受信して正常性確認を行うため、少なくとも2本のアンテナ間での試験を行う。このため、1本のアンテナをスイッチで切り替えるTDD方式であっても正常性を確認することができる。また、装置内部での折り返し試験を行うことで、アンテナから電波を吹くことがなく、周囲への影響なく正常性確認を行うことが可能である。
【0059】
次に、正常性確認試験の第3の形態について説明する。この実施形態では、正常性試験に際して、電力検出器であるDET1(162)とDET2(163)とを利用する。この実施形態を、図1を利用して説明する。この説明に当たり、図6〜図8を利用する。図6は、APコントローラ112が、AP1(110)をAPに、AP2(111)をSTAにそれぞれ設定した場合のシーケンス図であり、図7は、AP1(110)をSTAに、AP2(111)をAPにそれぞれ設定した場合のシーケンス図であり、図8は図6及び図7を包含した、正常性確認方法に係るフローチャートである。
【0060】
図6及び図7に係るシーケンスは無線LAN基地局全体の動作を中心にしているのに対して、図8に係るフローチャートはAPコントローラ112の動作を中心にしている。図8のステップ300〜702までが図6のシーケンス図に対応し、これ以降のステップが図7のシーケンス図に対応する。以後、図6〜図8を説明するが、図2〜図4と同一の部分については同一の符号を付して説明を省略し、それとの相違点を中心にして説明を続けることとする。
【0061】
図6において、AP1(110)がAP2(111)に試験信号を送信し(図6の202)、APコントローラ112が試験信号送信報告要求をAP1(110)へ送ると(図6のステップ500)、CPL160は試験信号の一部を抽出し、これをDET1(162)に送る。DET1(162)は、試験信号の電力を検出し、検出結果をAPコントローラ112へ送る(図6のステップ501)。APコントローラ112は、DET1(162)が受信した試験信号電力をメモリ113に記録する(図6のステップ502)。
【0062】
APコントローラ112が実行する正常性診断(図6のステップ504)は、図8のステップ700とステップ305とに基づく。APコントローラ112は、図8のステップ700において、AP1(110)から試験信号が来ているか否かを、DET1(162)からの検出値をメモリ113から読み出し、これに基づいて判定する。DET1(162)からの検出値が閾値以下のレベルである場合には試験信号を確認できないとしてAP1(110)のTx132が故障していると判別し、この判別結果をメモリ113に記憶する。
【0063】
APコントローラ112は、ステップ700を肯定するとステップ305に移行し、AP1(110)から送信した試験パターンと、AP2(111)で受信した試験パターンとを照合して、両者が合致しているか否かを判定する。この判定を否定すると、AP2(111)のRx135が異常であると判別し、判別結果をメモリ113に記憶する。
【0064】
APコントローラ112がステップ700及びステップ305を共に肯定すると、ステップAP1(110)をSTAに、AP2(111)をAPに設定して折り返し試験を行う(図7のステップ201,同202,図8のステップ307〜309)。
【0065】
図7において、AP2(111)がAP1(110)に試験信号を送信し(図7の202)、APコントローラ112が試験信号送信報告要求をAP2(111)へ送ると(図 7のステップ500)、CPL161は試験信号の一部を抽出し、これをDET2(163)に送る。DET2(163)は、試験信号の電力を検出し、検出結果をAPコントローラ112へ送る(図7のステップ501)。APコントローラ112は、DET2(163)が受信した試験信号電力をメモリ113に記録する(図7のステップ502)。
【0066】
次いで、APコントローラ112は正常性診断を行う。APコントローラ112は、図8のステップ703において、AP2(111)から試験信号が来ているか否かを、DET2(163)からの検出値をメモリ113から読み出し、これに基づいて判定する。DET2(163)からの検出値が閾値以下のレベルである場合には試験信号を確認できないとしてAP2(111)のTx133が故障していると判別し、この判別結果をメモリ113に記憶する(図8のステップ704)。
【0067】
APコントローラ112は、ステップ703を肯定するとステップ310に移行し、AP2(111)から送信した試験パターンと、AP1(110)で受信した試験パターンとを照合して、両者が合致しているか否かを判定する。この判定を否定すると、AP1(110)のRx134が異常であると判別し、判別結果をメモリ113に記憶する(図8のステップ705)。
【0068】
一方、APコントローラ112がステップ310を肯定判定すると、AP1(110)及びAP(111)は共に正常であるとして(ステップ313)、APコントローラ12は、メモリから判別結果を読み出して、これを監視装置102に通知する(図7のステップ212、図8のステップ314)。
【0069】
正常性試験の第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態では、無線LAN基地局の複数のAP機能部の何れかに障害があるということが分かるのに留まっていたのに対して、障害があるAP機能部がどれかを特定でき、しかも、送信機(Tx)と受信機(Rx)のどちらが障害を受けているかを見分けることが可能となる。なお、無線LAN基地局100は、第3の実施形態による正常性試験を実施後、アンテナ(ATN1(150),ATN2(151))を介した折り返し試験を、既述の第2の実施形態と同様に実施することができる。
【0070】
APコントローラは、DET1で電力を検出できれば、ANT1(150)の障害を検知することができる。また、APコントローラは、DET2で電力が検出できれば、ANT2(151)の障害を検知することができる。
【0071】
図9は、図1の変形例である。図1は電力検出器としてDET1(162)とDET2(163)とを備えたものであるのに対して、図2はこれを一つのDET800に統一したものである、符号804,806は試験信号をAP1(110)とAP2(111)との間を流れるルートと、AP1(110)又はAP2(111)とDET800とを流れるルートに分流する手段である。
【0072】
APコントローラ112は、AP1(110)をAPに設定し,AP2(111)をSTAに設定した後、先ず、SW134をAP1(110)の側に接続して、既述の図8のステップ700を実行する。次いで、APコントローラ112は、AP2(111)をAPに設定し,AP1(110)をSTAに設定した後、先ず、SW134をAP2(111)の側に接続して、既述の図8の703を実行する。図9に示した変形例によれば、複数のDETを一つのDETに統一できるため、その分回路構成を簡略化できる。
【0073】
なお、既述の実施形態において、無線LAN基地局100の正常性確認を、例えば、保守作業員が監視装置102に正常性確認実行の命令を入力することにより開始されるようにしてもよい。正常性診断実行の命令には、試験対象の無線LAN基地局100の指定および診断対象の無線LAN基地局の指定を含む。また、監視装置102に試験開始時間設定を可能とし、設定された時間に正常性確認を開始する方式とすることも可能である。
【0074】
正常性確認実施後、APコントローラ112は、AP1(110)及びAP2(111)の少なくとも何れかの異常を検出した場合は、正常性確認を中断或いは終了し、監視装置102にアラームを通知するようにしてもよい。また、AP1(110)及びAP2(111)の少なくとも何れかの異常が検出された後、APコントローラ112又は監視装置102は、正常性診断をリセットし、正常性確認を再実施するようにしてもよい。再実施後なおも異常が検出された場合、APコントローラ112は正常性確認を終了し、アラームを監視装置102に通知する。アラーム通知までの再実施の回数は、通信サービス事業者によって、無線LAN基地局100に対して任意に設定され得る。
【0075】
既述の実施形態では、アンテナを経由しない内部折り返し試験を、アンテナを経由する試験に優先させたが、後者を前者に先駆けて行ってもよい。この場合、正常性試験で異常がなければ、アンテナを含めたAP機能が全て正常でサイレント障害にないことが分かる。
【0076】
また、減衰器172としては、可変減衰器でもよい。Tx出力電力のレンジを0dBm〜+20dBm、Rx受信電力のレンジを−80dBm〜−20dBmとする。固定減衰器と可変減衰器を用いた場合の違いについては以下の通りである。固定減衰器を用いた場合、例えば、Tx出力電力の可変レンジが0dBm〜20dBm、CPL160とCPL161それぞれの結合量が+20dB、固定減衰器の減衰量が20dBであれば、Rx受信電力が−60dBm〜−40dBm間での正常性確認を行うことが可能である。可変減衰器を用いた場合は、例えば、可変減衰器の減衰量の設定範囲が0dB〜40dBである場合、Rx受信電力は受信感度点付近の−80dBmから、受信機飽和入力点近くの−20dBmという広範囲で正常性確認を行うことが可能となる。
【0077】
既述の図4のフローチャートにおいて、ステップ305の判定が否定されてもとステップ310の判定が実行されるようにフローチャートが変更されてもよい。また、図8のフローチャートにおいて、ステップ700,305,703の判定がそれぞれ否定されても、フローチャートの下流にある判定が実行されるように、フローチャートが変更されてもよい。これによって、監視装置102は、無線LAN装置全体の異常を総合的に知ることができる。
【0078】
既述の実施形態によれば、複数のアクセスポイント回路、アンテナの診断をAPコントローラ112が実行することとして説明したが、この診断を監視装置が行ってもよい。係る場合、無線LAN基地局100は、試験信号の送信パターン及び受信パターン,DET1,2での試験信号の検出データは、無線LAN基地局から監視装置に送信される。
【符号の説明】
【0079】
100:無線LAN基地局、101:インターネット網、102:監視装置、103:無線端末、104:試験用回路部、110:AP1、111:AP2、112:APコントローラ、113:メモリ、114:回線インタフェース部、130:SW、131:SW、132:TX、133:TX、134:RX、135:RX、136:BB、137:BB、138:MDM、139:MDM、140:I/O、141:I/O、150:ANT1、151:ANT2、160:CPL、161:CPL、162:DET1、163:DET2、170:RF−SW、171:RF−SW、172:(可変)減衰器、173:SW

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線端末に対する第1のアクセスポイントを形成する第1のアクセスポイント回路と、
第2の無線端末に対する第2のアクセスポイントを形成する第2のアクセスポイント回路と、
前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを制御する制御回路と、
前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを試験する試験信号用の試験回路と、
を備える、無線基地局であって、
前記制御回路は、
前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路から前記第2のアクセスポイント回路に第1の試験信号を送信させ、
前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路から前記第1のアクセスポイント回路に第2の試験信号を送信させ、
前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンとを比較して第1の比較結果を得、
前記第2のアクセスポイント回路から送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとを比較して第2の比較結果を得、
前記第1の比較結果と前記第2の比較結果に基づいて前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路との診断を実行する、
無線基地局。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第1の比較結果と前記第2の比較結果に基づいて、前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路の状態を判定し、当該判定結果を監視装置に送る、請求項1記載の無線基地局。
【請求項3】
前記第1のアクセスポイント回路に前記試験回路を介して接続する第1のアンテナと、前記第2のアクセスポイント回路に前記試験回路を介して接続する第2のアンテナと、をさらに備える、請求項1記載の無線基地局。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記第1の試験信号を前記第1のアンテナ、次いで、前記第2のアンテナを介し、さらに、前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路に送信し、
前記第2の試験信号を前記第2のアンテナ、次いで、第1のアンテナを介し、さらに、前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路に送信する、
請求項1記載の無線基地局。
【請求項5】
前記試験回路は、
前記第1の試験信号が前記第1のアンテナと前記第2のアンテナを介することなく、前記第1のアクセスポイント回路から前記第2のアクセスポイント回路に送信されないようにし、
前記第2の試験信号が前記第2のアンテナと前記第1のアンテナを介することなく、前記第2のアクセスポイント回路から前記第1のアクセスポイント回路に送信されないようにする、
スイッチを有する、
請求項4記載の無線基地局。
【請求項6】
前記試験回路は、
前記第1の試験信号を検出する第1の検出器と、
前記第2の試験信号を検出する第2の検出器と、
を備える、
請求項1記載の無線基地局。
【請求項7】
前記第1の比較結果が、前記第1のアクセスポイント回路が送信した前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンと一致しないものであると、
前記制御回路は、第1のアクセスポイント回路の送信機と前記第2のアクセスポイント回路の受信機の少なくとも一つが異常であると判定し、
前記第2の比較結果が、前記第2のアクセスポイント回路が送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとが一致しないものであると、
前記制御回路は、前記第2のアクセスポイント回路の受信機と前記第1のアクセスポイント回路の送信機の少なくとも一つが異常であると判定する、
請求項1記載の無線基地局。
【請求項8】
前記第1の比較結果が、前記第1のアクセスポイント回路が送信した前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターン一致するものであり、
前記第2の比較結果が、前記第2のアクセスポイント回路が送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターン一致するものであると、
前記制御回路は、前記第1のアクセスポイント回路及び前記第2のアクセスポイント回路は正常であると判定する、
請求項1記載の無線基地局。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第1の検出器が前記第1の試験信号を検出できない場合、前記第1のアクセスポイント回路の送信機が異常であると判定し、
前記第2の検出器が前第2の試験信号を検出できない場合、前記第2のアクセスポイント回路の送信機が異常であると判定する、
請求項6記載の無線基地局。
【請求項10】
前記制御回路は、
前記第1の検出器が前記第1の試験信号を検出後、
前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンとを照合し、当該パターンが一致しない場合、前記第2のアクセスポイント回路の受信機が異常であると判定する、
請求項9記載の無線基地局。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記第2の検出器が前記第2の試験信号を検出後、
前記第2のアクセスポイント回路から送信された前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとを照合し、当該バターンが一致しない場合、前記第1のアクセスポイント回路の受信機が異常であると判定する、
請求項9記載の無線基地局。
【請求項12】
前記第1のアクセスポイント回路に前記試験回路を介して接続する第1のアンテナと、前記第2のアクセスポイント回路に前記試験回路を介して接続する第2のアンテナと、をさらに備え
前記制御回路は、
前記第1のアクセスポイント回路及び前記第2のアクセスポイント回路とが正常であることを判定後、
前記第1の試験信号を前記第1のアンテナ、次いで、前記第2のアンテナを介し、さらに、前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路に送信し、
前記第2の試験信号を前記第2のアンテナ、次いで、第1のアンテナを介し、さらに、前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路に送信し、
前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを介して前記試験回路から前記第2のアクセスポイント回路に受信された前記第1の試験信号のパターンとを比較し、
前記第2のアクセスポイント回路から送信された前記第2の試験信号のパターンと前記第2のアンテナ及び前記第1のアンテナを介して前記試験回路から前記第1のアクセスポイント回路に受信された前記第2の試験信号のパターンとを比較し、
前記第1の試験信号のパターンと前記第2の試験信号のパターンとの少なくとも一方の前記比較の結果が、パターンが一致しないというものである場合、
前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナの少なくとも一方に異常があると判定する、
請求項8記載の無線基地局。
【請求項13】
無線端末が接続する無線基地局と、
当該無線基地局の監視装置と、
備え、
前記無線基地局と前記監視装置とが通信網を介して接続されている、
無線基地局の障害監視システムであって、
前記無線基地局は、
第1の無線端末に対する第1のアクセスポイントを形成する第1のアクセスポイント回路と、
第2の無線端末に対する第2のアクセスポイントを形成する第2のアクセスポイント回路と、
前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを制御する制御回路と、
前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路とを試験する試験信号用の試験回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記試験回路を介して前記第1のアクセスポイント回路から前記第2のアクセスポイント回路に第1の試験信号を送信させ、
前記試験回路を介して前記第2のアクセスポイント回路から前記第1のアクセスポイント回路に第2の試験信号を送信させ、
前記第1のアクセスポイント回路から送信された前記第1の試験信号のパターンと前記第2のアクセスポイント回路が受信した前記第1の試験信号のパターンとを比較して第1の比較結果を得、
前記第2のアクセスポイント回路から送信した前記第2の試験信号のパターンと前記第1のアクセスポイント回路が受信した前記第2の試験信号のパターンとを比較して第2の比較結果を得、
前記第1の比較結果と前記第2の比較結果に基づいて前記第1のアクセスポイント回路と前記第2のアクセスポイント回路との診断を実行し、
当該診断結果を前記監視装置に送信する、
無線基地局の障害監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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