説明

無線基地局装置、ユーザ端末及び無線通信方法

【課題】効果的にピコ基地局の受信品質を向上すると共に、マクロ基地局のスループットが大幅に劣化するのを防止すること。
【解決手段】マクロ基地局M−BSにおいて、第1のカバレッジエリアを有するマクロセル内にいるマクロUEに割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いてマクロUEに対する指向性ビームを生成するビーム生成部35と、マクロセル内にピコセルを局所的に形成するピコ基地局P−BSに対して割り当てられた送信区間に、前記マクロセル内にいるマクロUEに対してビームパターンを割り当てる場合、マクロセル内にいるマクロUEに対するビームパターンが、ピコセル内にいるピコUEに対する干渉電力が抑制されたビームパターンとなるように、ビームパターンを決定するコーディネーション部36と、を具備したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロセル内にマイクロセルが重ねて配置された無線通信システムにおける無線基地局装置、ユーザ端末及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在3GPP(Third Generation Partnership Project)では、LTE(Long Term Evolution)Release 8仕様(以下、LTE又はRel.8という)の発展形無線インターフェースであるLTE-advanced(以下、LTE Release 10仕様以降の仕様を総称して「LTE−A」という)の標準化がすすめられている。LTE-Aは、LTEとのバックワードコンパチビリティを保ちつつ、LTEよりもさらに高いシステム性能の実現を目指している。
【0003】
LTE−Aでは、半径数キロメートル程度の広範囲のカバレッジエリアを有するマクロセル内に、半径数十メートル程度の局所的なカバレッジエリアを有するマイクロセル(例えば、ピコセル、フェムトセルなど)が形成されるHetNet(Heterogeneous Network)が検討されている(例えば、非特許文献1)。以下の説明では、マクロセルを形成する無線基地局のことをマクロ基地局と呼び、マイクロセルを形成する無線基地局のことをマイクロ基地局(ピコ基地局またはフェムト基地局)と呼ぶ。
【0004】
マイクロ基地局の1つであるピコ基地局は、マクロ基地局に比べて送信電力が小さくて(数十mW〜数W程度)セル半径も小さいが、無線リソースはマクロ基地局と同等の帯域幅を用いることが可能である。そこで、ホットスポット等の局所的に集中する高密度トラヒックを効率的に収容するため、マクロ基地局のトラヒックの一部をピコ基地局へ収容するオフロードが検討されている。
【0005】
また、セル選択における受信品質(受信電力)にバイアスを付与することにより、ピコ基地局のセル半径を大きくする技術であるセルレンジエクスパンジョン(CRE)が検討されている。CREによって拡張されたピコセル内にいるユーザ端末は、マクロ基地局の配下からピコ基地局の配下へハンドオーバ(オフロード)することができ、それによって、オフロード効果を増大できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP,TS36.300
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、ユーザ端末をマクロ基地局の配下からピコ基地局の配下へオフロードした場合、ピコ基地局の配下へオフロードしたユーザ端末は、マクロ基地局に接近しているので、マクロ基地局から大きな干渉を受ける問題がある。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、効果的にピコ基地局の受信品質を向上できると共に、マクロ基地局のスループットが大幅に劣化するのを防止できる無線基地局装置、ユーザ端末及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の無線基地局装置は、第1のカバレッジエリアを有する第1セル内にいるユーザ端末に割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いて前記ユーザ端末に対する指向性ビームを生成するビーム生成部と、前記第1セル内に前記第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを局所的に形成するマイクロ基地局に対して割り当てられた送信区間に、前記第1セル内にいるユーザ端末に対してビームパターンを割り当てる場合、前記第1セル内にいるユーザ端末に対するビームパターンが、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンとなるように、ビームパターンを決定するコーディネーション部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
上記無線基地局装置に備えられたコーディネーション部は、前記マイクロ基地局が収容する前記第2セル内にいるユーザ端末に適した第2セルビームパターンを前記マイクロ基地局から受け取り、前記第2セルを形成するマイクロ基地局に割り当てられた送信区間では、前記第2セルビームパターンを参照して前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンを決定することを特徴とする。
【0011】
また、上記無線基地局装置に備えられたコーディネーション部は、予め決められた複数種類のビームパターンのそれぞれに対応した複数インデックスと、全てのビームパターンを許容することを示すインデックスと、全てのビームパターンを禁止することを示すインデックスと、を有するテーブルを有し、送信時間間隔に相当するサブフレーム単位で決定したビームパターンのインデックスを前記テーブルに従って特定し、前記特定したインデックスを前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、効果的にピコ基地局の受信品質を向上できると共に、マクロ基地局のスループットが大幅に劣化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】時間ドメインでのリソース分割による干渉コーディネーションを示す図である。
【図2】マクロ基地局がピコUEにヌルを向けたビームパターンでマクロUEと通信している状態を示す図である。
【図3】HetNetの概略的な構成図である。
【図4】マクロ基地局、ピコ基地局及びピコ移動局の機能ブロック図である。
【図5】アンテナウェイト制御及びバックホールシグナリングの概念図である。
【図6】バックホールシグナリングに用いられるコードブック構成図である。
【図7】ビームパターンを通知するサブフレームパターンを示す図である。
【図8】複数ビームパターンを通知するサブフレームパターンを示す図である。
【図9】サブセットでビームパターンを通知するサブフレームパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1のカバレッジエリアを有する第1セル内に、第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを局所的に形成する無線通信システムにおいて、マクロ基地局からピコセルへの干渉を低減する観点から、マクロ基地局とピコ基地局で異なる無線リソースを用いる干渉コーディネーション技術(リソース分割)を適用することが有効である。
【0015】
図1は時間ドメインでのリソース分割による干渉コーディネーションを示す図である。
マクロ基地局とピコ基地局の送信時間間隔(サブフレーム)を同期させ、マクロ基地局は無線リソースが割り当てられていないサブフレームでは無線送信を停止し、ピコ基地局は主にマクロ基地局に無線リソースが割り当てられていないサブフレームで、ピコ基地局配下のユーザ端末(以下、ピコUEと呼ぶ)との間で無線通信する。これにより、大きな送信電力で広範囲のカバレッジエリアを有するマクロセル内に、小さな送信電力で局所的なカバレッジエリアを有するマイクロセルが重ねて配置された通信システムにおいて、一部のサブフレームにおいてマクロ基地局がデータ送信を停止することにより、ピコUEがマクロ基地局から受ける干渉を低減できる。ところが、上記干渉コーディネーションは、効果的にピコ基地局の受信品質を向上できるものの、無線リソースが減少するため、マクロ基地局のスループットが大幅に劣化する。
【0016】
本発明の骨子は、ピコ基地局への干渉低減のためマクロ基地局が無送信であった無線リソースにおいて、マクロ基地局が、ピコUEへの干渉電力が小さくなるビームパターンを用いて(ヌルがピコUEに向いたビームパターン)、マクロ基地局配下のユーザ端末(以下、マクロUEと呼ぶ)と通信するように、マクロ基地局のビームパターンを決定することである。
【0017】
本発明によれば、従来マクロ無送信であった無線リソース(時間領域/周波数領域)において、マクロ基地局がピコUEへの干渉電力が小さくなるビームパターンを用いてマクロUEと通信するので、効果的にピコ基地局の受信品質を向上できると共に、マクロ基地局のスループットを改善できる。
【0018】
図2に示すように、マクロ基地局M-BSは、各アンテナのアンテナウェイトを制御することによって、配下のマクロUEであるUE#1に対して指向性ビームが向けられ、かつピコ基地局P-BS配下のピコUEであるUE#2に対してヌル(漏れ電力が小さくなる領域)が向けられるビームパターンを生成できる。このビームパターンは、ピコUEに対してヌルが向けられるので、ピコUEに対する干渉低減効果がある。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図3はHetNetの概略的な構成図である。図3に示すように、HetNetは、マクロ基地局M-BSに加え、新たなノード(フェムト基地局FN,ピコ基地局P-BS,リレー基地局RN)が混在する可能性がある。本実施の形態では、主にマクロ基地局M-BSとピコ基地局P-BSとの間の干渉制御構成について記述する。
【0020】
マクロ基地局M-BSとピコ基地局P-BSとの間はバックホールリンクを介して接続される。バックホールリンクは、基地局間を接続する伝送路である。本発明では、バックホールリンクの形態は限定されない。例えば、マクロ基地局M-BS(1)とピコ基地局P-BS(1)との間のように、有線バックホールリンク“L”で構成されることも可能であり、マクロ基地局M-BS(0)とピコ基地局P-BS(0)との間のように、伝送路の一部にコアネットワークを含んで構成されてもよい。ここでは、主にマクロ基地局M-BS(1)とピコ基地局P-BS(1)との間の干渉コーディネーションについて説明するが、他のマクロ基地局−ピコ基地局間(例えば、マクロ基地局M-BS(0)とピコ基地局P-BS(0)との間)にも同様の干渉コーディネーションが適用可能である。
【0021】
図4は、マクロ基地局M-BS(1)、ピコ基地局P-BS(1)及びピコ移動局P-UEの機能ブロック図である。ピコ移動局P-UEは、ピコ基地局P-BS(1)に接続しているピコUEであり、マクロ基地局M-BS(1)のカバレッジエリア内に存在する。例えば、ピコ移動局P-UEは、図2においてピコ基地局P-BSに接続しているUE#2である。
【0022】
ピコ移動局P-UEは、ピコ基地局P-BS(1)から送信される下り参照信号と、マクロ基地局M-BS(1)から送信される下り参照信号をそれぞれ受信する。ピコ移動局P-UEが、ピコ基地局P-BS(1)との間の無線チャネルのチャネル推定と、マクロ基地局M-BS(1)との間の無線チャネルのチャネル推定とを行う。マクロ基地局M-BS(1)及びピコ基地局P-BS(1)との間のチャネル推定結果に基づいて、フィードバック信号を生成してピコ基地局P-BS(1)へフィードバックする。
【0023】
ピコ移動局P-UEは、無線信号を受信する受信アンプ部11を備える。ピコ移動局P-UEは、マクロ基地局M-BS(1)及びピコ基地局P-BS(1)の双方のカバレッジエリア内に存在する。このため、受信アンプ部11は、ピコ基地局P-BS(1)から送信された信号及びマクロ基地局M−BS(1)から送信された信号をそれぞれ受信する。受信アンプ部11は、受信した無線信号を周波数変換してベースバンドの受信信号を得る。ピコ基地局P-BS(1)及びマクロ基地局M−BS(1)から送信された信号は、下り参照信号、下りリンク制御チャネル信号、下りリンク共通チャネル信号を含む。ピコ移動局P-UEは、ピコ基地局P-BS(1)から送信される信号は全て取り込んで後述する処理を行う。一方、ピコ移動局P-UEはマクロ基地局M−BS(1)と接続されていないので、マクロ基地局M−BS(1)から送信された信号については、干渉コーディネーションのためにはチャネル推定用に下り参照信号だけを取り込むことができる。
【0024】
下り参照信号は、例えば、LTE/LTE-Aで規定されているセル固有参照信号、ユーザ固有参照信号、チャネル情報(CSI: Channel State Information)測定用参照信号(CSI−RS)を含む。セル固有参照信号は、ピコ基地局P-BS(1)に設けられた各アンテナから送信され、ピコ移動局P−MSにおいて、チャネル推定,シンボル同期,CQI測定,Mobility measurement等,様々な目的に使用される。LTEで規定されているユーザ固有参照信号は、適用ビームフォーミングをサポートするために定義されたチャネル推定用の参照信号である。ビームフォーミングとは、複数アンテナの振幅及び位相の制御によってアンテナに指向性パターン(以下、ビームパターンという)を形成し、特定方向に対するアンテナ利得を増加/減少させる技術である。また、LTE-Aで規定されているユーザ固有参照信号は、適用ビームフォーミングに加えて、送信レイヤ間の多重に、時間及び周波数の2次元の直交CDM(Code Division Multiplexing)が適用されている。LTE-Aで規定されているCSI-RSは、セル/アンテナ固有(セル当り最大8レイヤ送信をサポート)の参照信号である。CSI-RSは、セル固有参照信号に比較して長い周期(複数サブフレームに一回程度の周期)で送信される。データ復調に用いるチャネル推定に必要な参照信号密度に比較して、CQI推定に必要な参照信号密度は低く設定できるからである。マクロ基地局M−BS(1)から送信される信号にも、ピコ基地局P-BS(1)が送信する下り参照信号と同じタイプの下り参照信号が含まれる。
【0025】
下りリンク制御チャネルは、共有チャネル(PDSCH受信,PUSCH送信)に必要な情報を通知する制御信号であり、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel)を含む。下りリンク制御チャネルは遅延低減のため、サブフレームの先頭の1−3OFDMシンボルに多重される。PDCCHは、PDSCH,PUSCHの割り当て情報を通知する制御信号である。PCFICHは、高効率伝送を実現するため下りリンクの制御チャネルシンボル数CFI(Control channel Format Indicator)値を通知する制御信号である。PHICHは上りリンク(PUSCH)に対するACK/NACK情報を通知する制御信号である。共有チャネルを用いた通信システムにおいては、サブフレーム毎に、どの移動局に対して上記共有チャネルを割り当てるかをシグナリングする必要があり、上記シグナリングのために用いられる制御チャネルは、LTE/LTE−Aでは、PDCCHと呼ばれる。サブフレームは、送信時間間隔(TTI)と呼ばれてもよい。上記PDCCHの情報には、PCFICH、Downlink Scheduling Information、ACK/NACK、UL Scheduling Grant、Overload Indicator、Transmission Power Control Command Bitが含まれる。また、上記Downlink Scheduling Informationには、例えば、下りリンクのリソースブロック(Resource Block)の割り当て情報、ユーザ端末のID、ストリームの数、プリコーディングベクトル(Precoding Vector)に関する情報、データサイズ、変調方式、HARQに関する情報が含まれる。また、上記Uplink Scheduling Grantには、例えば、上りリンクのResource Blockの割り当て情報、ユーザ端末のID、データサイズ、変調方式、上りリンクの送信電力情報、上りリンク参照信号の情報が含まれる。
【0026】
受信アンプ部11から出力される受信信号が、受信信号復調部12、ピコ基地局チャネル推定部13及びマクロ基地局チャネル推定部14へ供給される。
【0027】
ピコ基地局チャネル推定部13は、受信アンプ部11から与えられた受信信号に含まれる下り参照信号(ピコ基地局P-BS(1)が送信した下り参照信号)からピコ基地局P-BS(1)との間のチャネル状態を推定する。ピコ基地局チャネル推定部13は、セル固有参照信号が無線チャネル(ピコ基地局P-BS(1)の各アンテナからピコ移動局P-UEのアンテナに至る経路)で受けた減衰量、位相回転量及び遅延量を推定することによってチャネル推定結果を得る。セル固有参照信号を用いたチャネル推定結果は、ピコ移動局P−MS(1)における復調処理に用いられる。また、ピコ基地局チャネル推定部13は、ユーザ固有参照信号を用いて、適用ビームフォーミングのためのチャネル推定を行う。
【0028】
マクロ基地局チャネル推定部14は、マクロ基地局M−BS(1)から送信された下り参照信号を用いて、マクロ基地局M-BS(1)との間のチャネル状態を推定する。マクロ基地局チャネル推定部14は、セル固有参照信号が無線チャネル(マクロ基地局M-BS(1)の各アンテナからピコ移動局P-UEのアンテナに至る経路)で受けた減衰量、位相回転量及び遅延量を推定することによって、チャネル推定結果を得る。また、マクロ基地局チャネル推定部14は、マクロ基地局M−BS(1)がユーザ固有参照信号を送信する場合には、ユーザ固有参照信号を用いて、適用ビームフォーミングのためのチャネル推定を行ってもよい。得られた推定値(チャネル情報)は、受信信号復調部12及びフィードバック信号生成部15へ与えられる。
【0029】
受信信号復調部12は、ピコ基地局チャネル推定部13で得られたチャネル推定結果を用いて、下りリンク制御チャネル信号及びPDSCHを復調する。受信信号復調部12は、下りリンク制御チャネル信号に基づいて、PDSCHを復調する。なお、PDSCHの送信に用いたプリコーディングウェイト情報が、PDCCHを介してピコ基地局P−BS(1)からピコ移動局P−MS(1)へ通知されるので、ピコ移動局P−MS(1)は通知されたプリコーディングウェイト情報を用いて、PDSCHを復調する。復調されたユーザデータは上位レイヤへ渡される。
【0030】
フィードバック信号生成部15は、ピコ基地局P-BS(1)へフィードバックすべきフィードバク信号を生成する。LTEでは、ユーザ端末からのチャネル情報のフィードバックを用いる下りリンクの閉ループSU−MIMO伝送においては、受信SINR(Signal to Interference plus Noise power Ratio)を向上するために、下り共有チャネル(PDSCH)に送信レイヤ毎に異なる送信アンテナウェイトを乗算して送信するプリコーディングが用いられる。LTEでは、ユーザ端末において、プリコーディング後の各レイヤの合計スループットが最大となる規範により、予め決められたプリコーディングウェイト行列の候補がコードブックに定められていて、コードブックの中から最適なウェイト行列を選択して、基地局へインデックス(PMI:Precoding Matrix Indicator)をフィードバックする。また、LTEでは、ユーザ端末における受信SINR及びアンテナ間のフェージング相関等のチャネル状態に応じて、送信レイヤ数(ランク)を適応的に制御するランクアダプテーションが適用される。ユーザ端末は、基地局に対してチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)に加えて、最適なランク情報(RI:Rank Indicator)を基地局へフィードバックする。この受信品質情報として、ピコ基地局に対しては、最適な品質情報を,マクロ基地局に対しては最も品質が悪い(すなわち,マクロ基地局で用いられる場合には最も干渉が小さくなる)品質情報を生成する。また,LTEとは異なる品質情報を定義してもよい。例えば、ピコ基地局およびマクロ基地局からのチャネルマトリックスを返すことも考えられる。
【0031】
フィードバック信号生成部15は、ピコ基地局チャネル推定部13で得られたチャネル推定結果に応じたCQIをフィードバック信号の1つとして生成する。また、フィードバック信号生成部15は、ピコ基地局P−BS(1)から受信したセル固有参照信号にしたがってコードブックの中から最適なウェイト行列を選択し、選択したウェイト行列のインデックス(PMI)をフィードバック信号の1つとして得る。また、フィードバック信号生成部15は、受信SINR及びアンテナ間のフェージング相関に等のチャネル状態に応じて、最適なランク情報を決定し、決定したランク情報(RI)をフィードバック信号の1つとして得る。このように、フィードバック信号生成部15は、ピコ基地局P-BS(1)との間の無線チャネルの状態に応じて決定したPMI,RI、CQIを第1のフィードバック信号として生成する。
【0032】
ここで、マクロ基地局チャネル推定部14で得られたチャネル推定結果は、マクロ基地局M-BS(1)の送信電力がピコ移動局P-UEに対してどのような干渉を与えているか示している。フィードバック信号生成部15は、マクロ基地局チャネル推定部14で得られたチャネル推定結果に応じたCQIを第2のフィードバック信号として生成する。
【0033】
送信信号生成部16は、第1及び第2のフィードバック信号、上り参照信号、上りリンク制御信号、上りユーザデータを多重して上りリンクで送信する送信信号を生成する。送信アンプ部17は生成した送信信号を無線送信する。上りリンクについては、ピコセル内の各ユーザ端末で共有して使用される上り共有物理チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)と、上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)とが用いられる。上りリンクでは、上り制御チャネルにより、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング、適応変復調・符号化(AMC:Adaptive Modulation and Coding)に用いるための下りリンクのチャネル情報(第1及び第2のフィードバック信号)及び下りリンクの共有物理チャネルの送達確認情報(HARQ ACK information)が伝送される。また、上り共有物理チャネルによりユーザデータが伝送される。
【0034】
ピコ基地局P−BS(1)は、マクロ基地局M-BS(1)との間でバックホールリンクLを介して通信する。ピコ基地局P−BS(1)が第1及び第2のフィードバック信号に基づいて、ピコセルにおいて最適なビームパターン(ピコ最適ビームパターン)を決定し、決定したピコ最適ビームパターンをマクロ基地局M-BS(1)へバックホールリンクLで通知する。ピコ基地局P−BS(1)は、マクロ基地局M-BS(1)からバックホールリンクLを介して通知されるマクロ基地局M−BS(1)のビームパターン(コーディネーションパターン)にしたがって、各ピコ移動局に対して最適なビームパターンを決定する。
【0035】
ピコ基地局P−BSは、配下のピコ移動局P-UEから送信される上りリンクの信号を受信する受信アンプ部21を備える。受信アンプ部21は受信した上りリンクの信号をベースバンドの受信信号に変換する。受信アンプ部21で受信される受信信号には、ピコ移動局P-UEから送信された、上り参照信号、上り制御信号及びユーザデータが含まれる。特に、受信アンプ部21で受信される受信信号には、ピコ基地局P-BSとの間の無線チャネルの受信品質が最適になるように、ピコ移動局P-UEで決定した第1のフィードバック信号と、マクロ基地局M-BS(1)との間のチャネル状態を示す第2のフィードバック信号とが含まれる。
【0036】
受信信号復調部22は、受信信号に含まれる上り制御信号及びユーザデータを復調すると共に、第1のフィードバック信号及び第2のフィードバック信号を復調する。第1及び第2のフィードバック信号はビームパターン計算部23へ与えられる。
【0037】
ビームパターン計算部23は、ピコ基地局P−BS(1)と接続している全ピコ移動局から通知された第1及び第2のフィードバック信号に基づいて、ピコ最適ビームパターンを決定する。例えば、ピコ移動局P−MS(1)から通知された第1のフィードバク情報から、ピコ基地局P−BS(1)がピコ移動局P−MS(1)に対して送信する最適なビームパターンを決定できる。また、ピコ移動局P−MS(1)から通知された第2のフィードバク情報から、ピコ移動局P−MS(1)に対する干渉が最小化するマクロ基地局M−BS(1)のビームパターン候補を決定できる。同様に、他のそれぞれのピコ移動局に関しても、第1のフィードバク情報から最適なピコ基地局P−BS(1)のビームパターン候補をそれぞれ決定し、第2のフィードバク情報からピコ移動局P−MS(1)に対する干渉が最小化するマクロ基地局M−BS(1)の最適なビームパターン候補をそれぞれ決定する。ビームパターン計算部23は、ビームパターン候補の中から全ピコ移動局にとって最もベターなピコ基地局P−BS(1)のビームパターンを1つまたは複数パターン決定する。ビームパターン計算部23は、全ピコ移動局にとって最もベターなマクロ基地局M−BS(1)のビームパターンを1つまたは複数パターン決定してもよい。このように決定したピコ最適ビームパターンは、バックホールリンクを介して、マクロ基地局M−BS(1)へ通知される。ここで、ピコUEからのフィードバックに基づく方法を記載したが、ピコUEからの上り受信信号をマクロ基地局で受信することによりコーディネーションパターンを決定する方法も適用できる。
【0038】
また、ピコ基地局P−BS(1)は、スケジューリング-ビームパターン-計算部24によって、各ピコ移動局に対するビームパターン及び送信サブフレームが決定される。スケジューリング-ビームパターン-計算部24は、マクロ基地局M−BS(1)から、バックホールリンクLを介して、コーディネーションパターンが通知される。コーディネーションパターンのバックホールシグナリングの詳細については、マクロ基地局と合わせて説明する。スケジューリング-ビームパターン-計算部24は、マクロ基地局M−BS(1)から通知されたコーディネーションパターンに対応して、各ピコ移動局に対して干渉コーディネーションされたビームパターンを決定する。スケジューリング-ビームパターン-計算部24によってピコ移動局P−MS(1)に対して決定されたビームパターン及び送信区間(サブフレーム単位)が送信信号生成部25に指示される。
【0039】
送信信号生成部25は、ピコ移動局P−MS(1)に対する下りリンク信号を生成し、ビーム生成部26はスケジューリング-ビームパターン-計算部24から指示されたビームパターンを形成するアンテナウェイトにしたがってビーム形成する。送信アンプ部27はビーム生成部26によって形成されたビームパターンを送信サブフレームに同期して無線送信する。他のピコ移動局に対しても同様にスケジューリング-ビームパターン-計算部24が決定したビームパターン及び送信区間(サブフレーム)にしたがって各ピコ移動局に対して送信電力が向けられたビームパターンで無線送信する。
【0040】
マクロ基地局M−BS(1)は、マクロ基地局M−BS(1)と接続しているユーザ端末(マクロUE)から上りリンクで送信される信号(上り参照信号、PUCCH,PUSCH)を受信アンプ31で受信し、受信信号復調部32で復調する。マクロUEは、ピコ移動局P−MS(1)と同様に、マクロUEでのチャネル推定で得られたチャネル情報等をフィードバック信号(CQI、PMI,RI)でマクロ基地局M−BS(1)へ通知している。受信信号復調部32で復調された上り信号のうちフィードバック信号(CQI、PMI,RI)はスケジューリング-ビームパターン-計算部33へ与えられる。ここで別のパターンを通知することも可能である.
【0041】
スケジューリング-ビームパターン-計算部33は、マクロUEからフィードバックされたフィードバック信号(CQI、PMI,RI)に基づいて、マクロUEに割り当てるビームパターンを決定する。ただし、スケジューリング-ビームパターン-計算部33が決定したビームパターンは、マクロ基地局M-BSだけに割り当てられた送信区間には、適用されるが、ピコ基地局P-BSに割り当てられた送信区間では適用されない。ピコ基地局P-BSに割り当てられた送信区間ではコーディネーション部36が決定したビームパターンが適用される。送信信号生成部34は、マクロUEに割り当てられた送信サブフレームに同期して、マクロUEに対する下りリンク送信信号を生成する。
【0042】
ビーム生成部35は、マクロUEに割り当てられたビームパターンにしたがってビーム形成するが、一部の送信サブフレームではピコ移動局P−MS(1)に対してヌルが向くようにコーディネーション部36からアンテナウェイトが制御される。ビーム生成部35によってビーム生成された指向性ビームが送信アンプ37から無線送信される。
【0043】
ここで、コーディネーション部36によるアンテナウェイト制御及びバックホールシグナリングについて具体的に説明する。
マクロ基地局M-BSの送信(マクロ送信)とマクロ基地局M-BSの無送信(マクロ無送信)とをサブフレーム単位で切り替える場合、図5(a)に示すようにマクロ基地局M-BSはマクロ送信/マクロ無送信をピコ基地局P-BSへ2ビット(例えば、マクロ無送信は0,マクロ送信は1)でシグナリングできる。一方、図5(b)に示すように、マクロ送信とは“マクロ基地局M-BSに全てのビームパターンが許容されている”と解釈することができ、マクロ無送信とは“マクロ基地局M-BSに全てのビームパターンが禁止されている”と解釈することができる。
【0044】
LTEは、4アンテナの場合で、16種類のビームパターンが定義されている。16種類のビームパターンと、全てのビームパターンを許容するパターンと、全てのビームパターンを禁止するパターンとの合計18パターンを、バックホールリンクを介して、ピコ基地局P−BSへ通知することができれば、マクロ基地局M−BSのスループットを大幅に改善できる。
【0045】
例えば、ピコ基地局P−BSに無線リソース(ピコUEとの送信を許容する送信区間に相当する)が割り当てられたサブフレーム#nと同一サブフレーム#nにおいてマクロ基地局M−BSに一部の無線リソース(マクロ基地局M−BSに一部の無線リソースでの送信を許容する送信区間)を割り当てる。このとき、マクロ基地局M−BSにはピコ基地局P−BS配下のピコUEへの干渉が小さくなるようなビームパターン(無線リソース)を割り当てる。当該サブフレーム#nでマクロ基地局M−BSに割り当てたビームパターンを多値ビット(例えば、全部で18パターンある場合は、5ビット)で表してピコ基地局P−BSへシグナリングする。ピコ基地局P−BSは、ピコUEとの送信が許容されているサブフレーム#nにおいて、マクロ基地局M−BSからシグナリングされたマクロ基地局M−BSのビームパターンとの干渉が小さいビームパターンを選択して、ピコUEとの送信に用いることができる。
【0046】
ピコ基地局P−BSに送信区間(無線リソース)が割り当てられたサブフレーム#nであっても、マクロ基地局M−BSから干渉を受ける端末数が少なければ、当該サブフレーム#nにおいてマクロ基地局M−BSに割り当て可能なビームパターン数を増加したとしもてピコセルへの干渉を小さくできる可能性がある。マクロ基地局M−BSに割り当てるビームパターン数を増加すれば、マクロ基地局M−BSのスループットを増大できる。マクロ基地局M−BSから干渉を受けるピコUE数(又はピコUEの位置)に応じて、マクロ基地局M−BSに割り当て可能なビームパターン数をダイナミックに制御すれば、マクロ基地局M−BSのスループットを最大化できる。
【0047】
図6は18種類のビームパターン(4アンテナの場合)に対応したコードブックテーブルを示している。4アンテナの場合のビームパターンは18種類で、LTEで定義されている16種類のビームパターンに加えて、2パターンが追加されている。1つはマクロ基地局M-BSに全てのビームパターンを禁止(無送信)するパターンであり、もう1つはマクロ基地局M-BSに全てのビームパターンを許容するパターンである。図6のコードブックテーブルは、最大ストリーム数が4である場合のテーブル構成である。各ストリームに対して18個のビームパターンが定義されている。LTEで定義されている16種類のビームパターンに関しては、既にLTEで定義されたインデックス0〜16を再利用することができる。また新たにビームパターンを定義してもよい。
【0048】
図7(a)(b)は図6に示すコードブックテーブルを用いてビームパターン及びストリーム数をシグナリングするサブフレームパターンの一例を示す。図7(a)に示すサブフレームパターンは、図5(a)に示すサブフレームパターンに対応している。図5(a)においてマクロ送信が割り当てられていたサブフレーム#0,2,4,6には(17,4)のビットセットが設定されている。これは、サブフレーム#0,2,4,6において、マクロ基地局M−BSに全てのビームパターンを許容し(インデックス=17)、最大ストリーム数を許容している(ストリーム数=4)ことを意味している。また、図5(a)においてピコ基地局P−BSに送信区間(マクロ無送信)が割り当てられるサブフレーム#1,3,5にはビットセット(16,1)が設定されている。これは、サブフレーム#1,3,5において、マクロ基地局M−BSに全てのビームパターンを禁止している(インデックス=16)ことを意味する。
【0049】
図7(b)に示すサブフレームパターンは、図5(a)におけるマクロ送信に相当するサブフレーム#0,2,4,6には(17,4)のビットセットが設定されている。また、ピコ基地局P−BSに送信区間が割り当てられるサブフレーム#1,3,5にはビットセット(0,1)が設定されている。これは、サブフレーム#1,3,5において、特定のビームパターン(インデックス=0)で、ストリーム数1のみがマクロ基地局M−BSに許容されていることを意味する。例えば、特定のビームパターン(インデックス=0)は、マクロ基地局M−BSと同一サブフレーム#1,3,5において通信しているピコ移動局P−MS(1)に対して干渉電力が小さくなるようなビーム(ピコ移動局P−MS(1)にヌルが向けられる)ビームパターンが選択される。これにより、従来マクロ無送信であったサブフレームにおいて、ピコセルへの干渉を抑えた状態で、マクロ基地局M−BSにもマクロUEとの通信のための一部のビームパターン(無線リソース)を割り当てることができ、マクロスループットを向上できる。
【0050】
図8は、図6に示すコードブックを用いてビームパターンをシグナリングするサブフレームパターンの他の一例を示す。ピコ基地局P−BSに送信区間が割り当てられるサブフレーム#1にビットセット(0,1)とビットセット(1,1)の2つのビットセットが設定されている。このように、1つのサブフレームにおいてマクロ基地局M−BSに許容した複数のビームパターンを通知することができる。例えば、ピコ基地局P−BSに送信区間が割り当てられるサブフレーム#1,3,5において通信対象となるピコUE数が少ない場合には、そのサブフレーム#1,3,5においてマクロ基地局M−BSに複数のビームパターンを許容したとしても、ピコUEへの干渉を抑制できる確率が高く、マクロスループットの増大を図ることができる。
【0051】
図9は、マクロ基地局M−BSに許容するビームパターンをサブセットとして通知する一例である。ピコ基地局P−BSに送信区間が割り当てられるサブフレーム#1,5ではサブセット#1、サブフレーム#3ではサブセット#2をそれぞれ通知している。図9に示す例では、ストリーム数=1の場合、インデクス1とインデクス2をサブセット#1、インデクス3とインデクス4をサブセット#2、・・・としてグループ化している。図6に示すコードブック構成において、0番から15番までのインデックスを、複数のサブセットに分割し、個々のサブセットに付与したサブセット番号がバックホールシグナリングに用いられる。これにより、ビームパターンを表すビット数を削減でき、バックホールシグナリングのオーバーヘッドを抑えることができる。
【0052】
また、上記のようにサブフレーム単位でビームパターンを通知する仕組みを維持しつつ、複数の周波数領域で異なるビームパターン及びストリーム数のビットセットを割り当ててもよい。例えば、サブフレーム#1において、ある周波数リソースf1では第1のビットセット(ビームパターン+ストリーム数)をマクロ基地局M−BSに許容し、他の周波数リソースf2では第2のビットセット(ビームパターン+ストリーム数)をマクロ基地局M−BSに許容する。周波数リソースf1、f2はサブフレーム#1内の異なるリソースブロックでもよい。
【0053】
また、ピコセルでの送信を許容するサブフレーム#1,3,5においてマクロ基地局M−BSに許容しないビームパターン及びストリーム数を通知するようにしてもよい。例えば、サブフレーム#1においてマクロ基地局M−BSに許容するビームパターン数が多いために、許容しないビームパターンのインデックスを通知する方が、許容する全てのビームパターンのインデックスを通知するよりも、情報量が小さくなる場合がある。このような場合は、マクロ基地局M−BSに許容しないビームパターンのインデックスを通知しても良い。ただし、シグナリング方式をダイナミックに切り替える場合は、ピコ基地局P−BSに対してシグナリング方式の切り替えを通知する必要がある。
【0054】
コーディネーション部36は、上述したマクロ−ピコセル間の干渉コーディネーション及びバックホールシグナリングを行う。コーディネーション部36は、ピコ基地局P-BS(1)・・・から通知されるピコ最適ビームパターンを参照して、ピコセルでの送信を許容するサブフレーム#1,3,5毎にマクロ基地局M−BSに許容する(又は許容しない)ビームパターン及びストリーム数を決定する。コーディネーション部36は、ピコセルへの干渉が小さく、かつマクロスループットを可能な限り増加できるビームパターン及びストリーム数を決定する。コーディネーション部36は、図6に示すコードブックテーブルを備える。決定したビームパターンに対応したインデックス(又はサブセット番号)は、コードブックテーブルを参照して取得する。決定したビームパターンに対応したインデックス(又はサブセット番号)が該当するサブフレームに設定されたサブフレームパターンを、コーディネーションパターンとして、バックホールリンクLを介して、ピコ基地局P−BSへ通知する。
【0055】
ピコ基地局P−BS(1)のスケジューリング-ビームパターン-計算部24は、コーディネーションパターンからサブフレーム#1,3,5においてマクロ基地局M−BS(1)で使用されるビームパターンを検出する。スケジューリング-ビームパターン-計算部24は、マクロ基地局M−BS(1)で使用されるビームパターンとの干渉が小さいビームパターンを選択し、送信信号生成部25へビームパターン及び送信サブフレームを指示する。
【0056】
この結果、ピコ基地局P−BS(1)に割り当てられた送信区間においても、マクロ基地局M−BSが、ピコセルへの干渉を抑えた状態で、マクロUEと通信でき、マクロスループットを増大できる。
【0057】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。例えば、上述の実施形態において、ユーザ数や装置における処理部数については、これに限定されず、装置構成に応じて適宜変更することが可能である。また、本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0058】
M−BS マクロ基地局
P-BS ピコ基地局
P−UE ピコ移動局
11,21、31 受信アンプ部
12、22、32 受信信号復調部
13 ピコ基地局チャネル推定部
14 マクロ基地局チャネル推定部
15 フィードバック信号生成部
16、25、34 送信信号生成部
17、27、37 送信アンプ部
23 ビームパターン計算部
24、33 スケジューリング-ビームパターン-計算部
26、35 ビーム生成部
36 コーディネーション部




【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカバレッジエリアを有する第1セル内にいるユーザ端末に割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いて前記ユーザ端末に対する指向性ビームを生成するビーム生成部と、
前記第1セル内に前記第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを局所的に形成するマイクロ基地局に対して割り当てられた送信区間に、前記第1セル内にいるユーザ端末に対してビームパターンを割り当てる場合、前記第1セル内にいるユーザ端末に対するビームパターンが、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンとなるように、ビームパターンを決定するコーディネーション部と、
を具備したことを特徴とする無線基地局装置。
【請求項2】
前記コーディネーション部は、前記マイクロ基地局が収容する前記第2セル内にいるユーザ端末に適した第2セルビームパターンを前記マイクロ基地局から受け取り、前記第2セルを形成するマイクロ基地局に割り当てられた送信区間では、前記第2セルビームパターンを参照して前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンを決定することを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項3】
前記コーディネーション部は、予め決められた複数種類のビームパターンのそれぞれに対応した複数インデックスと、全てのビームパターンを許容することを示すインデックスと、全てのビームパターンを禁止することを示すインデックスと、を有するテーブルを有し、送信時間間隔に相当するサブフレーム単位で決定したビームパターンのインデックスを前記テーブルに従って特定し、前記特定したインデックスを前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする請求項2記載の無線基地局装置。
【請求項4】
前記コーディネーション部は、前記ビームパターンに関するインデックスとストリーム数とをセットにして、前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする請求項3記載の無線基地局装置。
【請求項5】
前記コーディネーション部は、1サブフレームで許容するビームパターンとして複数パターンを決定した場合、前記決定した複数パターンのインデックスを前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする請求項3記載の無線基地局装置。
【請求項6】
前記コーディネーション部は、前記テーブルに登録された各ビームパターンのインデックスを、複数インデックスを1つにまとめたサブセット単位で、前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする請求項3記載の無線基地局装置。
【請求項7】
前記コーディネーション部は、異なる周波数領域で、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンをそれぞれ決定することを特徴とする請求項2記載の無線基地局装置。
【請求項8】
前記コーディネーション部は、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンを決定し、前記無線基地局装置に割り当てられなかったビームパターンを、前記マイクロ基地局へシグナリングすることを特徴とする請求項1記載の無線基地局装置。
【請求項9】
第1のカバレッジエリアを有する第1セル内に、第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジセリを有する第2セルを局所的に形成する無線基地局装置であり、
前記第1セルを形成するマクロ基地局から、送信時間間隔に相当するサブフレーム単位で決定したビームパターンが通知され、前記マクロ基地局と送信区間が重なるサブフレームには、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンが通知され、前記マクロ基地局から通知されたビームパターンを参照して、前記第2セル内にいるユーザ端末との通信に適用するビームパターンを決定するビームパターン決定部と、
前記第2セル内にいるユーザ端末に割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いて、前記ユーザ端末に対する指向性ビームを生成するビーム生成部と、を具備したことを特徴とする無線基地局装置。
【請求項10】
前記第2セル内にいるユーザ端末から通知された受信品質に関するフィードバック信号に基づいて、前記第2セル内にいるユーザ端末に適したビームパターンを決定し、決定したビームパターンを前記マクロ基地局へ通知するビームパターン計算部を備えたことを特徴とする請求項9記載の無線基地局装置。
【請求項11】
前記ビームパターン計算部は、前記フィードバク情報に含まれた、前記無線基地局装置と前記第2セル内にいるユーザ端末との間のチャネル品質情報と、前記マクロ基地局と前記第2セル内にいるユーザ端末との間のチャネル品質情報と、を用いてビームパターンを決定することを特徴とする請求項10記載の無線基地局装置。
【請求項12】
第1のカバレッジエリアを有する第1セルを形成しているマクロ基地局から送信された信号を受信してチャネル推定する第1のチャネル推定部と、
前記第1セル内に局所的に配置され第1のカバレッジセリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを形成しているマイクロ基地局から送信された信号を受信してチャネル推定する第2のチャネル推定部と、
前記第1及び第2のチャネル推定部によって得られたチャネル推定値に対応したチャネル品質情報を含んだフィードバック信号を生成するフィードバック信号生成部と、
前記生成されたフィードバック信号を上りリンクを介して前記マイクロ基地局へ無線送信する送信部と、
を具備したことを特徴とするユーザ端末。
【請求項13】
第1のカバレッジエリアを有する第1セル内にいるユーザ端末に割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いて前記ユーザ端末に対する指向性ビームを生成する工程と、
前記第1セル内に前記第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを局所的に形成するマイクロ基地局に対して割り当てられた送信区間に、前記第1セル内にいるユーザ端末に対してビームパターンを割り当てる場合、前記第1セル内にいるユーザ端末に対するビームパターンが、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンとなるように、ビームパターンを決定する工程と、
を具備したことを特徴とする無線通信方法。
【請求項14】
第1のカバレッジエリアを有する第1セル内に、第1のカバレッジエリアよりも小さい第2のカバレッジセリを有する第2セルを局所的に形成する無線基地局装置が、前記第1セルを形成するマクロ基地局から、送信時間間隔に相当するサブフレーム単位で決定したビームパターンし、前記マクロ基地局と前記無線基地局装置の送信区間が重なるサブフレームには、前記第2セル内にいるユーザ端末に対する干渉電力が抑制されたビームパターンが通知される工程と、
前記マクロ基地局から前記無線基地局装置に通知されたビームパターンを参照して、前記第2セル内にいるユーザ端末との通信に適用するビームパターンを決定する工程と、
前記第2セル内にいるユーザ端末に割り当てられたビームパターンに基づいたアンテナウェイトを用いて、前記ユーザ端末に対する指向性ビームを生成する工程と、を具備したことを特徴とする無線通信方法。
【請求項15】
第1のカバレッジエリアを有する第1セルを形成しているマクロ基地局から送信された信号を受信してチャネル推定する工程と、
前記第1セル内に局所的に配置され第1のカバレッジセリアよりも小さい第2のカバレッジエリアを有する第2セルを形成しているマイクロ基地局から送信された信号を受信してチャネル推定する工程と、
得られたチャネル推定値に対応したチャネル品質情報を含んだフィードバック信号を生成する工程と、
前記生成されたフィードバック信号を上りリンクを介して前記マイクロ基地局へ無線送信する工程と、
を具備したことを特徴とする無線通信方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147125(P2012−147125A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2443(P2011−2443)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】