説明

無線撮像システム

【課題】複数の同一機種の撮像装置が近隣に存在する場合においても、確実そして簡単で清潔に所望の眼前の受像機と手元の撮像装置の通信を開始させられるようにすること。
【解決手段】受像機20のモニタ部204に無線通信設定情報を格納した二次元コードを表示し、撮像装置としての内視鏡装置10の挿入部11先端の撮像素子1112で上記二次元コードを撮像して制御部123で復号することで無線通信設定情報を取得し、その無線通信設定情報を用いて通信設定を行う。二次元コードを取得する際、挿入部11とモニタ部204とが近づき過ぎることを警告する警告部129を設けることで、挿入部11先端が不潔領域であるモニタ部204に近づきすぎて接触する危険を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像した画像情報を受像機に対して無線で伝送を行う無線撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細長の挿入部を体腔内や管路内に挿入して、体腔内や管路内の被写体像をモニタ観察できる内視鏡システムが広く利用されている。
【0003】
このような内視鏡システムは、一般に、体腔内や管路内に挿入される挿入部を有する内視鏡装置と、この内視鏡装置と別体に設けられ、この内視鏡装置へ照明光を供給する光源装置と、この光源装置からの照明光を上記内視鏡装置へ導くライトガイドケーブルと、上記内視鏡装置に内蔵されて設けられ或いは着脱自在に取り付けられて設けられ、被検体を撮像して画像情報を得る撮像装置と、上記内視鏡装置と別体に設けられ上記内視鏡装置で得られる画像情報をモニタ表示可能な映像信号に変換するビデオプロセッサと、上記内視鏡装置からの画像情報を上記ビデオプロセッサへ伝送する信号ケーブルと、上記ビデオプロセッサで得られる映像信号を映し出すモニタ装置を備えて構成されている。
【0004】
従って、内視鏡装置はライトガイドケーブルや信号ケーブルにより外部装置であるビデオプロセッサと接続されており、これにより、内視鏡装置の移動範囲が制限され、また、内視鏡装置の操作性が妨げられていた。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1では、発光ダイオード(以下、LEDと記す)等で構成された照明装置が内視鏡装置に内蔵されることで、内視鏡装置から延出するライトガイドケーブルが取り除かれ、また、画像情報に映像信号処理を施してモニタ表示可能な映像信号を得る映像信号処理回路と、この映像信号を電波で送信する送信回路及びアンテナが内視鏡装置に設けられ、この電波を受信して映像信号を復調する受像機が内視鏡装置と別体に設けられることで、内視鏡装置から延出する信号ケーブルが取り除かれた内視鏡システムが提案されている。
【0006】
このような内視鏡システムは、一般に、ワイヤレス内視鏡システムとも呼ばれ、内視鏡装置の移動範囲の制限が緩和され、操作性が向上するという長所を有する。
【0007】
その他のワイヤレス内視鏡システムの例として、特許文献2では、外部からの送信信号が使用する無線周波数を受信機で検知し、その周波数帯の使用可否判断をする無線内視鏡システムを提案している。また、特許文献3及び特許文献4では、使用可能な空きチャンネルを検知した結果に応じて、チャンネルを自動設定する無線内視鏡システムを提案している。
【特許文献1】特開昭60−48011号公報
【特許文献2】特開2004−266628号公報
【特許文献3】特開2006−271432号公報
【特許文献4】特開2006−271433公報
【特許文献5】特開2006−261938公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、例えば上記特許文献1に開示される従来のワイヤレス内視鏡装置システムを、近距離で複数使用する場合、次の様な問題が発生する。
【0009】
規模の大きな病院では、図10(A)に示すように、内視鏡診察室1が複数ある。そして、各診察室1では、モニタ部を備える又はモニタ装置が接続された受像機2が設置され、内視鏡装置3の挿入部を患者の体腔内或いは管路内に挿入し、受像機2のモニタ部で目視確認を行う。
【0010】
例えば図10(A)に示すように3つ診察室1があり、それぞれに、内視鏡受像機2が設置されていたとする。これらの診察室1は近接している場合が多く、時にはカーテンのようなパーテーションで区切られているだけの場合もある。そのため、第1診察室1と第3診察室1の間でも電波による交信が可能な場合がある。しかし、使用者としては、あくまでも手元にある内視鏡装置3の映像を、室内にある受像機2のモニタ部又は受像機2に接続されたモニタ装置で見る事を要求する。
【0011】
更に、挿入部を含む内視鏡装置3は、患者に挿入し検査が終われば洗浄を行う必要があり、それら洗浄は診察室1とは別の部屋で行われる事が多く、内視鏡装置3は診察室1から持ち出される。そして、戻すときには、内視鏡装置3は必ずしも元の診察室1に戻すと限定することなく、診察の準備が整った診察室1に優先して戻すことが望まれる。さらには、内視鏡装置3はその用途等から、例えば、挿入部の長さが違う複数の種類が用意される事があり、これらの中から用途の適した物を選び、診察室1で使用したいという要望があり、この点でも受像機2と内視鏡装置3の組み合わせは自由に変えたいという希望がある。
【0012】
以上のように、受像機2と内視鏡装置3の組み合わせは、図10(A)に対して図10(B)のように変わる可能があり、手元にある内視鏡装置3を眼前の受像機2と簡単に通信開始できるようにしたいという課題がある。
【0013】
従来の有線接続であれば、ケーブルを接続するコネクタ部の形状・信号内容などを統一もしくは互換性を保持する事ができれば、所望の組み合わせでケーブルを接続するという動作のみで、この組み合わせが決定し何の問題も発生しない。
【0014】
これに対し、先に述べたように、電波を経由して通信すると、内視鏡装置3は近隣の診察室1にある受像機2との間で電波による通信が成立してしまうこともある。これは、どの受像機2と通信を行えば良いかを、内視鏡装置3内部の演算処理で判断する事が困難なためである。電波の強度による識別もアイデアとしてはあるが、内視鏡装置3と受像機2との間の障害物の発生やアンテナの方向などにより、対向している内視鏡装置3・受像機2間の距離とその信号強度とには必ずしも正確な相関関係は得られず、正確な判断は難しく実用化は困難である。
【0015】
また、上記特許文献2乃至4では、無線チャンネル設定だけを対象としており、SSID等の他パラメータまで含めた安全確実な接続設定方法については全く考慮されていない。
【0016】
なお、そのような課題を解決するために、特許文献5が提案されている。これは、通信設定に必要なSSIDや暗号化パラメータを二次元コードに格納して表示部に表示し、その表示された二次元コードをコードリーダで撮像することで通信設定パラメータを取得するというものである。しかしながら、医療機器に必要な安全性に対して全く考慮されていないため、適用できない。即ち、内視鏡装置3は一般的に表示部を持たないため、二次元コードが読み取れたかどうかは、通信設定が完了して映像が受像機2のモニタ部又は受像機2に接続されたモニタ装置に表示されるまで判別できない。したがって、設定時から通信開始までの間、内視鏡装置3を二次元コードの表示部、例えば受像機2のモニタ部又は受像機2に接続されたモニタ装置に近づけたまま保持しなければならない。これは、不潔領域であるモニタ部又はモニタ装置に、内視鏡装置3の体内に入る挿入部先端に設けられる撮像部が接触してしまう恐れを有する。
【0017】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、複数の同一機種の撮像装置が近隣に存在する場合においても、確実そして簡単で清潔に所望の眼前の受像機と手元の撮像装置の通信を開始させることを可能とする無線撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の無線撮像システムの一態様は、
撮像した画像情報を無線伝送する撮像装置と、上記撮像装置から送信される画像情報を受信し表示する受像機とを含む無線撮像システムにおいて、
上記受像機に配置され、上記撮像装置と上記受像機との間で通信を行うときに上記撮像装置側で必要な無線通信設定情報を表示する表示部と、
上記撮像装置に配置され、上記表示部に表示される無線通信設定情報を撮像する撮像部と、
上記撮像装置に配置され、上記撮像部で撮像された無線通信設定情報に基づいて上記撮像装置の無線通信設定を行う通信設定手段と、
上記無線通信情報を撮像するときに上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内となったことを検出する検出手段と、
上記検出手段により上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内になったことが検出された場合に警告を行う警告手段と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の同一機種の撮像装置が近隣に存在する場合においても、確実そして簡単で清潔に所望の眼前の受像機と手元の撮像装置の通信を開始させることを可能とする無線撮像システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線撮像システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
同図に示すように、無線撮像システムは、撮像した画像情報を無線伝送する撮像装置としての内視鏡装置10と、該内視鏡装置10から送信される画像情報を受信し表示する受像機20とを含む。ここで、図1では、内視鏡装置10と受像機20をそれぞれ1個しか示していないが、それぞれ複数個を含むことができることは言うまでもない。
【0023】
内視鏡装置10は、生体体腔内又は空洞内に挿入される挿入部11と、この挿入部11に接続した操作部12とから構成されている。
【0024】
挿入部11は、金属部材又は可撓性部材で構成されていて、その内部は2つの部分A、Bに仕切られ、一方が撮像側A、他方が光源側Bとされている。挿入部11の撮像側Aは、先端に、撮影レンズ1111と、この撮影レンズ1111を通して入射される光画像を受光し、画像情報としての電気信号に変換するCCDなどの撮像素子1112とでなる撮像部111が設けられている。撮像素子1112からの電気信号は、信号リード線112を通して操作部12の電気回路へ送るように構成される。また、挿入部11の光源側Bは、先端に照射レンズ113を備え、この照射レンズ113の後方に配設された光源部114から、被観察部へ光を照射するように構成されている。光源部114は、LEDやランプで構成され、リード線115を通して操作部12の光源駆動部121に接続されている。
【0025】
一方、操作部12にはその内部に、上記光源駆動部121の他に、信号変換部122、制御部123、無線部124及び記憶部125が配設されている。上述した撮像素子1112からの電気信号は、信号変換部122で映像信号に変換された後、制御部123を経由して無線部124へ送られ、アンテナ126より電波30として送信するように構成されている。また、信号変換部122には、液晶モニタ等の小型のモニタ部127が接続されている。制御部123には、電源のON/OFFや観察画像を保存する為のフリーズ保存用スイッチを備える入力部128と、LEDでなる警告部129とが接続されている。記憶部125は、通信設定情報や撮像制御情報、付加情報等を記憶するレジスタである。
【0026】
上記光源駆動部121,信号変換部122,制御部123,無線部124,モニタ部127及び警告部129は、電池等の内部電源130に接続され、この電源によって駆動される。
【0027】
なお、上記モニタ部127は無くても良く、また内部電源130の代りに外部電源によって駆動するように構成することも可能である。さらに、図1(A)の光源部114,リード線115及び光源駆動部121の代りに、従来の内視鏡装置と同様にライトガイドを設けて外部の光源装置より照明光を挿入部11先端に導くようにしても良い。なお、光源装置は操作部12にあって、ライトガイドを設けて照明光を挿入部11先端に導くようにしても良い。
【0028】
このように構成された内視鏡装置10では、挿入部11が生体体腔内又は空洞内に挿入され、光源部114より照射された光が被観察部に当てられると、撮像素子1112は被観察部からの光を受光する。信号変換部122では撮像素子1112で受光された光の像を電気的な映像信号(画像情報)に変換し、制御部123に渡し、制御部123はスイッチ情報など受信側へ伝送する必要のある情報も付加して、無線部124へ送る。送られた情報は、無線部124で高周波信号に変換されて、アンテナ126より電波30として送信される。
【0029】
このようにして送信されてきた電波30は、受像機20にて受信される。受像機20は、アンテナ201にて受信した電波30を無線部202へ送り、無線部202にて元の情報に復調して、制御部203に送る。制御部203は、フリーズスイッチのON/OFF等を判断し、フリーズ画像の保存等の処理を行いつつ、観察画像をモニタ部204へ送り表示する。入力部205は電源スイッチを含むスイッチ群であり、記憶部206は通信設定情報や撮像制御情報、付加情報等を記憶している。
【0030】
なお、モニタ部204を受像機20に内蔵させる代わりに、モニタ装置を受像機20に接続して表示を行うものであっても構わない。
【0031】
また、電波の送受の関係は必ずしも内視鏡装置10の操作部12から送信し受像機20で受信するものに限定されるものではなく、データ受信の確認信号等を行う目的で受像機20から操作部12へ送信する機能を設けた方が、信頼性向上や機能拡張などで有利である。
【0032】
図2(A)は、上記内視鏡装置10の制御部123の構成を示す図であり、同図に示すように、該制御部123は、撮像制御部1231、復号部1232、記憶制御部1233、及び通信制御部1234を有する。撮像制御部1231は、結線の図示をしていない撮像部111に対して制御を行う。具体的には明るさやホワイトバランス調整などである。復号部1232は、撮像された二次元コードから通信設定情報を抽出する。記憶制御部1233は、抽出した通信設定情報や撮像制御情報、付加情報等を記憶部125に記憶させる。通信制御部1234は、無線部124から通信データを取得或いは無線部124へ通信データを送る或いは受け取る。
【0033】
図2(B)は、上記受像機20の制御部203の構成を示す図であり、同図に示すように、該制御部203は、コード生成部2031、表示制御部2032、記憶制御部2033、通信制御部2034を有する。コード生成部2031は、通信設定情報を格納した二次元コードを生成する。表示制御部2032は、上記二次元コードをモニタ部204に表示する。記憶制御部2033は、通信設定情報や撮像制御情報、付加情報等を記憶部206に記憶させる。通信制御部2034は、無線部202から通信データを取得或いは無線部202へ通信データを送る或いは受け取る。
【0034】
ここで、上記コード生成部2031で生成される二次元コードに格納される通信設定情報は、チャンネル設定、ネットワークID、等が含まれる。チャンネル設定は、通信制御部2034が、無線部202によってアンテナ201で受信される電波から既に使用されているチャンネルを取得し、使用されていないチャンネルを設定情報として記憶制御部2033に渡し、記憶制御部2033はそれを記憶部206に記憶する。そして、コード生成部2031は、記憶部206に記憶されている通信設定情報を記憶制御部2033を介して読み出し、二次元コードに格納する。
【0035】
また、本実施形態においては、受像機20の認識コードであるネットワークIDとしては、例えば無線LANで使用されるSSIDを用いる。ここで、内視鏡装置10は受像機20のような特定機器とだけ通信可能であれば良いため、そのSSIDの一部分は固定としている(例えば、「ABCD_UNIT_****」。ここで、*部分は受像機20毎に付与されたシリアル番号)。また、乱数を生成してSSIDを生成しても良い。通信設定情報の一例を図3に示す。同図の例は、更に暗号化や通信モードも含む場合を示している。暗号化としてはWEPを使用し、同図の例ではOFFになっているが、ONでも良い。もちろん、WEP以外の暗号化でも良い(例えば、TKIPやAES等)。また、通信モード(MODE)については、2.4GHz帯を使う設定としているが、その他の例えば5GHz帯でも構わない。これらWEP、MODEは、ユーザが任意に設定可能となっている。
【0036】
次に、上記のような構成の無線撮像システムの動作を説明する。図4は、受像機20側の設定動作を説明するためのフローチャートを示す図であり、図5は、内視鏡装置10側の設定動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0037】
受像機20の電源をONすると、制御部203は、図4に示すように、記憶制御部2033により記憶部206からSSIDを取得ないしは乱数により生成し(ステップS101)、また、通信制御部2034によって、無線部202を用いて既に使用されているチャンネルを取得することで、使用可能なチャンネルつまり空きチャンネルを取得する(ステップS102)。ここで、空きチャンネルの有無を判別し(ステップS103)、空きチャンネルがない場合には、上記ステップS102に戻る。即ち、チャンネルが空くのを待つ。
【0038】
そして、上記ステップS103において空きチャンネルがあると判別されたならば、コード生成部2031によって二次元コードを生成し(ステップS104)、表示制御部2032によってモニタ部204にその生成した二次元コードを表示させる(ステップS205)。ここで、二次元コードの表示位置は任意であるが、内視鏡装置10で撮像し易い位置に表示することが望ましい。本実施形態では、図6に示すように、モニタ部204の表示画面の右下に二次元コード40を表示している。
【0039】
その後、通信制御部2034によって無線部202で内視鏡装置10からの通信開始要求の受信を監視し、通信開始要求の受信の有無を判別する(ステップS106)。ここで、通信開始要求の受信がない場合には、上記ステップS105に戻る。即ち、通信開始要求が送られてくるのを待つ。
【0040】
一方、内視鏡装置10の電源をONすると、制御部123は、図5に示すように、バッテリーチェックのあと、設定モードになる(ステップS201)。
【0041】
この設定モードでは、撮像制御部1231によって光源駆動部121を制御して光源部114による照明を点灯させるとともに(ステップS202)、通信設定中を示すように警告部129のLEDを一定間隔で点滅させる(ステップS203)。この設定モード状態で受像機20のモニタ部204に撮像部111を近づけることで、モニタ部204に表示されている二次元コード40を撮像する。このとき、光源部114で駆動された光は、照射レンズ113を通して間欠的に照射される。照射された光は、モニタ部204の表示画面表面で反射され、その一部は撮像部111に反射光として入射する。撮像部111で反射光の値をA/D変換によって取得し(ステップ204)、その値が所定の値よりも大きいかどうかを判断する(ステップS205)。この反射光の光量は、図7に示すように、撮像部111とモニタ部204の表示画面表面との距離に応じて変化する。
【0042】
従って、反射光の値が所定値よりも大きい場合は、距離が所定値以内になった、つまり近づき過ぎと判断し、近づき過ぎを示すパターンで警告部129のLEDを点滅させることで、ユーザに撮像部111先端とモニタ部204の表示画面表面とが近すぎることを警告する(ステップS206)。なお、撮像部111とモニタ部204の表示画面表面との距離が十分離れた反射光のない場合を基準として、相対的な反射光の光量で判断しても良い。そして、再度、撮像部111で反射光の値をA/D変換によって取得して(ステップS207)、その値が上記所定値よりも小さくなったかどうかを判断する(ステップS208)。ここで、まだ上記所定値よりも小さくなっていなければ、上記ステップS206に戻って、警告を続ける。
【0043】
上記ステップS205又はステップS208において反射光の値が上記所定値よりも小さいと判断された場合には、合焦しているかどうかを判断する(ステップS209)。合焦の有無は、一般的なコントラスト方式を用いて判断する。モニタ部204に表示された二次元コード40に合焦していないと判断した場合には、上記ステップS204に戻る。
【0044】
これに対して、モニタ部204に表示された二次元コード40に合焦していると判断した場合は、撮像制御部1231によって撮像部111でその二次元コード40を撮像し(ステップS210)、復号部1232でコードを復号化することで通信設定情報を抽出して(ステップS211)、記憶制御部1233によって記憶部125に記憶する(ステップS212)。そして、通信設定情報の記憶が完了した時点で、警告部129のLEDを連続点灯させることで、設定完了をユーザに報知する(ステップS213)。なお、通信設定情報の記憶が完了した時点ではなく、通信設定情報を抽出した時点、または二次元コードを認識した時点、または合焦した時点で、警告部129のLEDによってユーザに報知するようにしても良い。
【0045】
その後、上記記憶部125に記憶した通信設定情報を元に、通信制御部1234により通信開始要求を無線部124から送信する(ステップS214)。
【0046】
図4に示すように、受像機20側では、制御部203は、上記ステップS106において、通信制御部2034によって無線部202で上記通信開始要求の受信があったことを判別すると、受信した通信設定情報と記憶部206に記憶している通信設定情報との設定値を比較する(ステップS107)。受像機20が生成した通信設定情報と、内視鏡装置10が復号して通信開始要求によって送信する通信設定情報とは、内容が同じである。従って、比較の結果がOKでなければ設定エラーを表示制御部2032によってモニタ部204に表示させて(ステップS108)、上記ステップS102に戻る。これに対して、比較結果がOKであれば、通信設定完了として、通信制御部2034によって無線部202より応答を返す(ステップS109)。
【0047】
図5に示すように、内視鏡装置10側では、制御部123は、通信制御部1234によって無線部124で上記応答の有無を判別し(ステップS215)、応答が無いと判別した場合には、通信開始を失敗したことを示すパターンで警告部129のLEDを点滅させ(ステップS216)、設定モードを終了する。これに対して、応答があったと判別した場合には通信を開始する。即ち、上述したように、受像機20が生成した通信設定情報と、内視鏡装置10が復号した通信設定情報の内容は同じであるので、受像機20と内視鏡装置10との通信が可能になる。通信設定が完了すると、内視鏡装置10は観察モードに移行するため、内視鏡装置10の撮像部111で撮像された画像が無線部124によって電波30で送信され、受像機20のアンテナ201で受信後に所定の画像処理を施された後、モニタ部204で表示されるようになる。
【0048】
なお、通信設定が完了もしくは失敗した時点で、受像機20のモニタ部204に設定完了又は失敗メッセージを表示するようにしても良い。
【0049】
以上のように、本第1実施形態によれば、必要以上にモニタ部204と内視鏡装置10の撮像部111を近づけないで済むため、両者が接触するのを防ぐことができる。
【0050】
従って、複数の同一機種の内視鏡装置10が近隣に存在する場合においても、清潔に、確実そして簡単に所望の眼前の受像機20と手元の内視鏡装置10の通信を開始させることができる。
【0051】
なお、警告部129による警告は、ビープ音等の音で行うものであって良いし、LED等と併用しても構わない。
【0052】
[第1実施例の変形例]
二次元コードは受像機20ごとに固定として、図8に示すように、二次元コードラベル41として受像機20の筺体207に貼付しておいても良い。
【0053】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、二次元コード40をモニタ部204に表示したが、本実施形態では、図9(A)に示すように、受像機20の筺体207に二次元コード専用表示部208を設けている。
【0054】
この二次元コード専用表示部208は、図9(B)に示すように、筺体207に形成された窪み208と、該窪み208の底面に配された二次元コード40を表示する表示部209と、窪み208に対して挿脱自在に嵌め込まれるスコープガイド210と、からなる。スコープガイド210は、内視鏡装置10の撮像部111が挿入されるものであり、その挿入された撮像部111の先端位置を、表示部209との距離が合焦位置となるように規定するように構成されている。
【0055】
而して、設定モードにある内視鏡装置10と受像機20は、内視鏡装置10の撮像部111を受像機20の二次元コード専用表示部208に挿入するだけで設定が完了する。
【0056】
なお、上記二次元コード専用表示部208のスコープガイド210は、清潔に保つために取り外して洗浄機で洗浄可能であることは言うまでもない。
【0057】
以上のように、本第2実施形態によれば、二次元コード撮像時に合焦位置が設定毎にばらつかないため、設定がさらに簡単になる。
【0058】
[第2実施例の変形例]
二次元コード専用表示部208は、二次元コードの表示部209を窪み208の底に設けるのではなく、逆に、表示部209を受像機20の筺体207面に配し、スコープガイド210を挿入するための突出部を設けて構成しても良い。
【0059】
あるいは、表示部209を受像機20の筺体207面に配し、スコープガイド210の代わりに、内視鏡装置10の撮像部111に装着するガイドキャップを用い、該ガイドキャップを、その先端面を表示部209に当接させた状態で撮像部111を合焦位置に設定するような構造に構成しても良い。
【0060】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0061】
例えば、上記実施形態は、内視鏡装置10と受像機20とを含む無線撮像システムを例に説明したが、撮像した画像情報を無線伝送する撮像装置と、上記撮像装置から送信される画像情報を受信し表示する受像機と、を含む無線撮像システムであれば、どのようなものにも適用可能である。
【0062】
また、撮像装置と受像機の距離を撮像装置側で検出して警告するものとしたが、受像機側から光や電波を発して距離を検出し警告するものとしても良い。この場合、警告部も受像機20側に設けることができ、内視鏡装置10の撮像部111を受像機20のモニタ部204に近づける手元を見ているユーザの視野に警告表示が入り易くなる。
【0063】
さらに、無線通信設定情報を受像機側で二次元コードとして提示して撮像装置でそれを撮像して復号化することで無線通信設定情報を取得するものとしたが、必ずしも二次元コードを用いる必要はなく、一次元コードであっても良いし、撮像装置に文字認識機能を持たせることでテキスト情報を提示するようにしても良い。
【0064】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0065】
(1) 撮像した画像情報を無線伝送する撮像装置と、上記撮像装置から送信される画像情報を受信し表示する受像機とを含む無線撮像システムにおいて、
上記受像機に配置され、上記撮像装置と上記受像機との間で通信を行うときに上記撮像装置側で必要な無線通信設定情報を表示する表示部と、
上記撮像装置に配置され、上記表示部に表示される無線通信設定情報を撮像する撮像部と、
上記撮像装置に配置され、上記撮像部で撮像された無線通信設定情報に基づいて上記撮像装置の無線通信設定を行う通信設定手段と、
上記無線通信情報を撮像するときに上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内となったことを検出する検出手段と、
上記検出手段により上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内になったことが検出された場合に警告を行う警告手段と、
を具備することを特徴とする無線撮像システム。
【0066】
(対応する実施形態)
この(1)に記載の無線撮像システムに関する実施形態は、第1実施形態が対応する。その実施形態において、内視鏡装置10が上記撮像装置に、受像機20が上記受像機に、モニタ部204が上記表示部に、撮像部111が上記撮像部に、制御部123が上記通信設定手段に、制御部123が上記検出手段に、警告部129が上記警告手段に、それぞれ対応する。
【0067】
(作用効果)
この(1)に記載の無線撮像システムによれば、必要以上に表示部と撮像部を近づけないで済むため、両者が接触するのを防ぐことができ、複数の同一機種の撮像装置が近隣に存在する場合においても、清潔に、確実そして簡単に所望の眼前の受像機と手元の撮像装置の通信を開始させることができる。
【0068】
(2) 上記撮像装置は内視鏡装置であり、
上記撮像部は被検体の内部に挿入される挿入部分に配置されていることを特徴とする(1)に記載の無線撮像システム。
【0069】
(対応する実施形態)
この(2)に記載の無線撮像システムに関する実施形態は、第1実施形態が対応する。その実施形態において、内視鏡装置10が上記内視鏡装置に、挿入部11が上記挿入部分に、それぞれ対応する。
【0070】
(作用効果)
この(2)に記載の無線撮像システムによれば、不潔領域である表示部に被検体の内部に入る挿入部分が接触する恐れがなく、挿入部分を清潔に保つことができるので、内視鏡装置に特に有効である。
【0071】
(3) 上記検出手段および/または上記警告手段は上記撮像装置に配置されていることを特徴とする(2)に記載の無線撮像システム。
【0072】
この(3)に記載の無線撮像システムに関する実施形態は、第1実施形態が対応する。
【0073】
(作用効果)
この(3)に記載の無線撮像システムによれば、検出手段を撮像装置側に設けることで撮像装置が備えているハードウェアを有効に利用できる。また、警告手段を撮像装置側に設けることで、受像機側に特別なハードウェアやソフトウェアの追加が不要となる。
【0074】
(4) 上記撮像装置は、
上記表示部に照射光を照射する照射部と、
上記照射光が上記表示部で反射された反射光を受光する受光部と、
をさらに具備し、
上記検出手段は、上記受光部で受光した反射光を基に上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内となったことを検出することを特徴とする(2)に記載の無線撮像システム。
【0075】
この(4)に記載の無線撮像システムに関する実施形態は、第1実施形態が対応する。その実施形態において、光源部114及び照射レンズ113が上記照射部に、撮影レンズ1111及び撮像素子1112が上記受光部に、それぞれ対応する。
【0076】
(作用効果)
この(4)に記載の無線撮像システムによれば、撮像装置が備えているハードウェアを有効に利用して、容易に距離を検出することができる。
【0077】
(5) 上記無線通信設定情報は、上記受像機の認識コードと、使用可能なチャンネル情報とを含むことを特徴とする(2)に記載の無線撮像システム。
【0078】
この(5)に記載の無線撮像システムに関する実施形態は、第1実施形態が対応する。
【0079】
(作用効果)
この(5)に記載の無線撮像システムによれば、撮像装置側で、受像機を特定し、使用するチャンネルを設定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る無線撮像システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)は、内視鏡装置の制御部の構成を示す図であり、図2(B)は、受像機の制御部の構成を示す図である。
【図3】図3は、二次元コードに格納されるパラメータの一例を示す図である。
【図4】図4は、受像機側の設定動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、内視鏡装置側の設定動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、二次元コード表示時の内視鏡装置と受像機との関係を示す図である。
【図7】図7は、反射光量と距離との関係を示す図である。
【図8】図8は、二次元コードを受像機の筐体にラベリングした場合を示す図である。
【図9】図9(A)は、本発明の第2実施形態に係る無線撮像システムにおける受像機の構成を示す図であり、図9(B)は、二次元コード専用表示部の構成を示す断面図である。
【図10】図10(A)は、診察室と内視鏡装置と受像機の関係を示す図であり、図10(B)は図10(A)とは別の時点での診察室装置と内視鏡と受像機の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1…診察室、 2…受像機、 3,10…内視鏡装置、 11…挿入部、 12…操作部、 20…受像機、 30…電波、 40…二次元コード、 41…二次元コードラベル、 111…撮像部、 112…信号リード線、 113…照射レンズ、 114…光源部、 115…リード線、 121…光源駆動部、 122…信号変換部、 123,203…制御部、 124,202…無線部、 125,206…記憶部、 126,201…アンテナ、 127,204…モニタ部、 128,205…入力部、 129…警告部、 130…内部電源、 207…筺体、 208…二次元コード専用表示部、 209…表示部、 210…スコープガイド、 1111…撮影レンズ、 1112…撮像素子、 1231…撮像制御部、 1232…復号部、 1233,2033…記憶制御部、 1234,2034…通信制御部、 2031…コード生成部、 2032…表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像した画像情報を無線伝送する撮像装置と、上記撮像装置から送信される画像情報を受信し表示する受像機と、を含む無線撮像システムにおいて、
上記受像機に配置され、上記撮像装置と上記受像機との間で通信を行うときに上記撮像装置側で必要な無線通信設定情報を表示する表示部と、
上記撮像装置に配置され、上記表示部に表示される無線通信設定情報を撮像する撮像部と、
上記撮像装置に配置され、上記撮像部で撮像された無線通信設定情報に基づいて上記撮像装置の無線通信設定を行う通信設定手段と、
上記無線通信情報を撮像するときに上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内となったことを検出する検出手段と、
上記検出手段により上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内になったことが検出された場合に警告を行う警告手段と、
を具備することを特徴とする無線撮像システム。
【請求項2】
上記撮像装置は内視鏡装置であり、
上記撮像部は被検体の内部に挿入される挿入部分に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無線撮像システム。
【請求項3】
上記検出手段および/または上記警告手段は上記撮像装置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の無線撮像システム。
【請求項4】
上記撮像装置は、
上記表示部に照射光を照射する照射部と、
上記照射光が上記表示部で反射された反射光を受光する受光部と、
をさらに具備し、
上記検出手段は、上記受光部で受光した反射光を基に上記撮像部と上記表示部との距離が所定値以内となったことを検出することを特徴とする請求項2に記載の無線撮像システム。
【請求項5】
上記無線通信設定情報は、上記受像機の認識コードと、使用可能なチャンネル情報とを含むことを特徴とする請求項2に記載の無線撮像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−233172(P2009−233172A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84533(P2008−84533)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】