説明

無線検針システム

【課題】無線検針システムにおける誤設定を減少させる。
【解決手段】固定端末は、固定端末側第2受信手段が受信した信号に含まれるIDと記憶手段に記憶されているIDとが一致しているか否かを判定するID確認手段を備え、ID確認手段による判定結果がYESの場合に、固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号および携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、固定端末に対して初期設定を実行するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線検針システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、検針装置を開示する。該検針装置は、GPS衛星からの電波を受信するGPSアンテナ手段と、前記GPSアンテナ手段で受信した信号から位置信号を解析するGPS受信解析手段と、住宅などに設置された複数のメータ装置と、前記メータ装置を設置した場所の位置データを記憶する顧客宅位置データ記憶手段と、前記メータ装置と無線データ通信を行う無線検針手段と、検針範囲を設定する検針距離設定手段と、前記GPS受信解析手段からのデータと、前記顧客宅位置データ記憶手段のデータ及び前記各データを表示する表示手段と前記検針距離設定手段に設定されたデータとから検針の対象となるメータ装置を選択する検針箇所選択手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−117169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、無線検針システムにおいて、誤設定を減少させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、無線検針システムにおいて、誤設定を減少させるべく鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
【0006】
ハンディターミナルなどの携帯端末を用いて、ガスメータに取り付けられる無線通信機(ガスメータの計測値等を無線通信技術を用いてガス会社等のサーバ等へ送信する装置)などの固定端末の初期設定(近傍の通信中継器や通信基地との通信用パラメータの設定、その時点でのガスメータの表示値の入力等、ガスメータに無線通信機を取り付ける際に行なわれる一連の設定作業を含む)が行われる無線検針システムを考える。該システムにおいて、密集した住宅地などに固定端末を設置する場合、ガスメータは各戸に設置されるため、携帯端末の近傍に多数の固定端末が存在することになる。設置者(技術者)が、目の前にある固定端末に対して初期設定を行ったと信じたとしても、誤って近隣にある別のガスメータに取り付けられた固定端末に対して初期設定が行われてしまう場合があることが判明した。具体的には例えば、目の前の固定端末では通信装置に不具合があって通信が成立せず、隣の家のガスメータに取り付けられた固定端末との間に誤って通信が成立するような場合が生じうる。
【0007】
本発明者らは、上記知見を踏まえ、固定端末のIDと、GPSを利用した位置情報とを利用して、初期設定を行おうとする固定端末をダブルチェックすることで、かかる誤設定を低減させることができることに想到した。
【0008】
すなわち本発明の無線検針システムは、計測機能を有するメータ装置に装着され前記メータ装置の計測結果を送信する固定端末と、前記固定端末と無線により通信する携帯端末とを備える無線検針システムであって、前記携帯端末は、初期設定の対象となる固定端末のIDを設定する設定手段と、GPS信号を受信する携帯端末側第1受信手段と、前記固定端末が送信する信号を受信する携帯端末側第2受信手段と、前記固定端末へと前記ID含む信号を送信する携帯端末側送信手段と、を備え、前記固定端末は、前記固定端末のIDを記憶する記憶手段と、GPS信号を受信する固定端末側第1受信手段と、前記携帯端末が送信する信号を受信する固定端末側第2受信手段と、前記携帯端末へと信号を送信する固定端末側送信手段と、前記固定端末側第2受信手段が受信した信号に含まれるIDと前記記憶手段に記憶されているIDとが一致しているか否かを判定するID確認手段と、を備え、前記ID確認手段による判定結果がYESの場合に、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号および前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末に対して初期設定を実行するか否かを判定するように構成されている。
【0009】
かかる構成では、誤設定を減少させることが可能である。
【0010】
また上記無線検針システムにおいて、前記固定端末は、さらに、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した位置情報を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末へと送信する固定端末位置情報送信手段を備え、前記携帯端末は、さらに、前記固定端末から受信した前記GPS信号または前記位置情報と、前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との距離指標を演算により求める携帯端末側距離演算手段を備え、前記携帯端末は、前記距離指標が所定条件を満たすときに初期初期設定要求信号を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末に送信する一方で、前記距離指標が所定条件を満たさないときには初期初期設定要求信号を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末に送信しないように構成されていてもよい。
【0011】
また上記無線検針システムにおいて、前記携帯端末は、さらに、前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した位置情報を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末へと送信する携帯端末位置情報送信手段と、前記携帯端末側送信手段を介して初期設定要求信号を前記固定端末へと送信する初期設定要求信号発生手段を備え、前記固定端末は、さらに、前記携帯端末から受信した前記GPS信号または前記位置情報と、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との距離指標を演算により求める固定端末側距離演算手段を備え、前記固定端末は、前記距離指標が所定条件を満たすときに前記初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末に返信する一方で、前記距離指標が所定条件を満たさないときには初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末に返信しないように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の無線検針システムによれば、誤設定を減少させることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第1実施形態の無線検針システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、第2実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第2実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図5は、第2実施形態の無線検針システムにおける初期設定方法の概略の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第3実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は、第3実施形態の無線検針システムにおける初期設定方法の概略の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の無線検針システムの概略構成の一例を示すブロック図である。図2は、第1実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
図に示すように、第1実施形態の無線検針システム500は、計測機能を有するメータ装置300、301、302に装着されメータ装置300、301、302の計測結果を送信する固定端末200、201、202と、固定端末200、201、202と無線により通信する携帯端末100とを備える無線検針システム500であって、携帯端末100は、設定の対象となる固定端末のIDを設定する設定手段14と、GPS信号を受信する携帯端末側第1受信手段11と、固定端末200、201、202が送信する信号を受信する携帯端末側第2受信手段13と、固定端末200、201、202へとIDを含む信号を送信する携帯端末側送信手段12と、を備え、固定端末200、201、202は、固定端末200、201、202のIDを記憶する記憶手段24と、GPS信号を受信する固定端末側第1受信手段21と、携帯端末100が送信する信号を受信する固定端末側第2受信手段22と、携帯端末100へと信号を送信する固定端末側送信手段23と、固定端末側第2受信手段22が受信した信号に含まれるIDと記憶手段24に記憶されているIDとが一致しているか否かを判定するID確認手段25と、を備え、ID確認手段25による判定結果がYESの場合に、固定端末側第1受信手段21が受信したGPS信号および携帯端末側第1受信手段11が受信したGPS信号に基づいて、固定端末200、201、202に対して設定を実行するか否かを判定するように構成されている。
【0016】
図1では、携帯端末が1個、固定端末が3個示されているが、携帯端末および固定端末の数は特に限定されない。
【0017】
IDは、例えばそれぞれの固定端末に固有のID番号やアルファベット等の記号列等により構成される。
【0018】
携帯端末側第1受信手段11と携帯端末側送信手段12と携帯端末側第2受信手段13と設定手段14とは、例えば、携帯端末100が備えるCPUとメモリ等に記憶されたプログラム等により実現されうる。それぞれの手段はそれぞれ別個の部品として構成されていてもよいし、同一の部品あるいは同一かつ複数の部品として構成されていてもよい。あるいは、それぞれの手段の一部が同一の部品あるいは同一かつ複数の部品として構成され、その余がそれぞれ別個の部品として構成されていてもよい。
【0019】
固定端末側第1受信手段21と固定端末側第2受信手段22と固定端末側送信手段23と記憶手段24とID確認手段25とは、例えば、固定端末200、201、202が備えるCPUとメモリ等に記憶されたプログラム等により実現されうる。それぞれの手段はそれぞれ別個の部品として構成されていてもよいし、同一の部品あるいは同一かつ複数の部品として構成されていてもよい。あるいは、それぞれの手段の一部が同一の部品あるいは同一かつ複数の部品として構成され、その余がそれぞれ別個の部品として構成されていてもよい。
【0020】
固定端末側第1受信手段21が受信したGPS信号および携帯端末側第1受信手段11が受信したGPS信号に基づいて、固定端末200、201、202に対して設定を実行するか否かを判定する動作の主体は特に限定されない。該判定は、携帯端末100において実行されてもよいし、固定端末200、201、202において実行されてもよいし、携帯端末100および固定端末200、201、202が協力することで実行されてもよい。あるいは携帯端末100および固定端末200、201、202と異なる別個の装置を備え、該装置により該判定が行われてもよい。
【0021】
かかる構成によれば、固定端末のIDと、GPSを利用した位置情報とを利用して、初期設定を行おうとする固定端末をダブルチェックすることで、誤設定を減少させることが可能となる。
【0022】
「初期設定」には、技術者が現場に赴いて実行する必要のある固定端末のリセット作業等の設定作業を含む。
【0023】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態の無線検針システム600は、携帯端末100Aと固定端末200A、201A、202Aとを備える。
【0024】
固定端末200A、201A、202Aは、第1実施形態の固定端末200、201、202の構成に加え、さらに、固定端末側第1受信手段21が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した固定端末位置情報を固定端末側送信手段23を介して携帯端末へと送信する固定端末位置情報送信手段26を備える。
【0025】
携帯端末100Aは、第1実施形態の携帯端末100の構成に加え、さらに、固定端末200A、201A、202Aから受信したGPS信号または固定端末位置情報と、携帯端末側第1受信手段11が受信したGPS信号に基づいて、固定端末200A、201A、202Aと携帯端末100Aとの距離指標を演算により求める携帯端末側距離演算手段15を備える。
【0026】
携帯端末100Aは、距離指標が所定条件を満たすときに初期設定要求信号を携帯端末側送信手段12を介して固定端末200A、201A、202Aに送信する一方で、距離指標が所定条件を満たさないときには初期設定要求信号を携帯端末側送信手段12を介して固定端末200A、201A、202Aに送信しないように構成されている。
【0027】
[ハードウェア構成]
図4は、第2実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末のハードウェアの概略構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態の無線検針システムも、図1と同様に構成しうる。
【0028】
図1および図4に示すように、第2実施形態の無線検針システム600は、携帯端末100Aと、固定端末200A、201A、202Aとを備えている。携帯端末100Aは、GPS信号受信機31と、送信器32と、受信器33と、制御器34と、記憶器35と、入力器36とを備える。固定端末200A、201A、202Aは、GPS信号受信器41と、受信器42と、送信器43と、制御器44と、記憶器45とを備えている。なお、携帯端末および固定端末の数は特に限定されない。
【0029】
GPS信号受信機31およびGPS信号受信器41は、具体的には例えば、GPSアンテナを含んで構成されうる。
【0030】
送信器32および送信器43は、具体的には例えば、アンテナ、増幅器および発振器等を含んで構成されうる。受信器33および受信器42は、具体的には例えば、アンテナ、増幅器等を含んで構成されうる。送信器32および受信器33を構成する部品の一部は共通していてもよい。送信器43および受信器42を構成する部品の一部は共通していてもよい。
【0031】
制御器34および制御器44は、具体的には例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Computer)、論理回路等で構成されうる。制御器34および制御器44は、それぞれ集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。例えば、後述する各手段毎に異なる制御器が設けられていてもよいし、各手段の任意の組合せ毎に単一の制御器が設けられていてもよい。
【0032】
記憶器35および記憶器45は、具体的には例えば、RAMや不揮発性メモリ等により構成されうる。
【0033】
入力器36は、具体的には例えば、キーボードやボタンなどの入力装置、スキャナやカメラなどの画像入力装置、マイクなどの音声入力装置など、任意の入力装置により構成されうる。
【0034】
GPS信号受信機31と制御器34と記憶器35とで、第1実施形態における携帯端末側第1受信手段11が実現されうる。送信器32と制御器34と記憶器35とで、第1実施形態における携帯端末側送信手段12が実現されうる。受信器33と制御器34と記憶器35とで、第1実施形態における携帯端末側第2受信手段13が実現されうる。入力器36と制御器34と記憶器35とで、第1実施形態における設定手段14が実現されうる。実現される各手段の具体的な機能は第1実施形態と同様である。上記固定端末位置情報送信手段は、制御器34と記憶器35とで実現されうる。
【0035】
GPS信号受信器41と制御器44と記憶器45とで、第1実施形態における固定端末側第1受信手段21が実現されうる。受信器42と制御器44と記憶器45とで、第1実施形態における固定端末側第2受信手段22が実現されうる。送信器43と制御器44と記憶器45とで、第1実施形態における固定端末側送信手段23が実現されうる。記憶器45により、第1実施形態における記憶手段24が実現されうる。制御器44と記憶器45とで、第1実施形態におけるID確認手段25が実現されうる。実現される各手段の具体的な機能は第1実施形態と同様である。上記携帯端末側距離演算手段は、制御器44と記憶器45とで実現されうる。
【0036】
[動作]
図5は、第2実施形態の無線検針システムにおける初期設定方法の概略の一例を示すフローチャートである。図面中、左側が携帯端末における動作、右側が固定端末における動作である。携帯端末における動作は、制御器34の制御に基づいて実行される。固定端末における動作は、制御器44の制御に基づいて実行される。ここでは、複数存在する固定端末200A、201A、202Aのうち、固定端末200Aに対して初期設定が行われる場合を考える。
【0037】
無線検針システム600において初期設定が開始されると(スタート)、携帯端末100Aにおいて、入力器36により初期設定の対象となる固定端末200AのID(以下、初期設定対象固定端末ID)が設定される(ステップS101)。該設定は、例えば、キーボードによるIDの入力、ボタンによるIDの選択、デジタルカメラによる固定端末200の表面に印刷されたバーコード等の読み込み、マイクによるIDの音声入力など任意の設定方法を採用しうる。
【0038】
次に、携帯端末100Aにおいて、初期設定対象固定端末IDが送信器32を介して固定端末へと送信される(ステップS102)。同時に固定端末に対し、自らの位置情報を取得して携帯端末100Aへ送信する要求が、送信器32を介して送信される(ステップS102)。
【0039】
次に、固定端末において、制御器44が、携帯端末100Aから受信器42を介して受信した初期設定対象固定端末IDと、記憶器45に記憶されている自身(固定端末)のIDとを比較して、両者が一致するか否かを判定する(ステップS103)。判定結果がNOである場合には、エラー報知が行われる(ステップS104)。エラー報知は、例えば、エラー発生信号が誤って通信対象となっている固定端末201A、202Aから携帯端末100Aへと送信され、携帯端末100Aの表示器(図示せず)において行われてもよい。
【0040】
ステップS103の判定結果がYESの場合、固定端末のGPS信号受信器41によるGPS信号の受信が開始され、固定端末の位置情報(固定端末位置情報)が取得される(ステップS105)。
【0041】
次に、固定端末位置情報が送信器43を介して携帯端末100Aへと送信される(ステップS107)。
【0042】
また、ステップS102の後、携帯端末100AではGPS信号受信機31によるGPS信号の受信が開始され、携帯端末100Aの位置情報(携帯端末位置情報)が取得される(ステップS106)。
【0043】
次に、携帯端末100Aにおいて、制御器34が、固定端末から受信器33を介して受信した固定端末位置情報と、ステップS106で取得された携帯端末位置情報とに基づいて、携帯端末100Aと固定端末との間の距離を演算する。その後、制御器34は、得られた距離が所定の距離(例えば、2メートル)より近いか否かの判定を行う(ステップS108)。判定結果がNOの場合には、エラー報知が行われる(ステップS109)。エラー報知は、例えば、携帯端末100Aの表示器(図示せず)において行われてもよい。
【0044】
ステップS108の判定が、固定端末に対して初期設定を実行するか否かの判定となる。ステップS108の判定結果がYESの場合、携帯端末100Aで設定されたIDと、通信対象となっている固定端末のIDとが一致しており、さらに、携帯端末100Aと通信対象となっている固定端末の距離が近いので、設定対象となっている固定端末200Aと携帯端末100Aとの通信が意図した通りに成立している蓋然性が高くなる。そこで、携帯端末100Aから送信器32を介して固定端末へと初期設定を要求する信号(初期設定要求信号)と、初期設定に関する情報(初期設定情報)が送信される(ステップS110)。初期設定情報には、例えば、通信設定と、メータ装置と固定端末との関連付けに必要な情報(メータ装置のIDと、固定端末をメータ装置に装着した時のメータの指針値(流量値))が含まれる。
【0045】
次に、固定端末では、携帯端末100Aから受信器42を介して受け取った初期設定要求信号をうけ、受け取った初期設定情報を利用して、固定端末の初期設定が行われる(ステップS111)。
【0046】
以上により、携帯端末および固定端末の両方について、無線検針システム600における初期設定が完了する(エンド)。
【0047】
携帯端末位置情報の取得および固定端末位置情報の取得のいずれか一方あるいは両方は、初期設定が開始される前に行われてもよい。ステップS107で送信される固定端末位置情報は、位置情報に変換される前の、固定端末が受信したGPS信号そのものであってもよい。その場合、固定端末の位置は携帯端末側で演算されることとしうる。ステップS108の距離の演算は、距離そのものが演算される態様に限定されず、距離が近いか否かを判定するのに用いられうる何らかの指標(距離指標)が演算されてもよい。
【0048】
初期設定情報を送信するタイミングは特に限定されない。例えば、初期設定情報がステップS102において送信されてもよい。この場合、ステップS108の判定結果がYESとなった後で、初期設定の実行を指示する信号が携帯端末から固定端末へと送信されてもよい。初期設定要求信号と初期設定情報とは、一体であってもよい。
【0049】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態の無線検針システムに含まれる携帯端末および固定端末の概略構成の一例を示すブロック図である。第3実施形態の無線検針システム700は、携帯端末100Bと固定端末200B、201B、202Bとを備える。
【0050】
携帯端末100Bは、さらに、携帯端末側第1受信手段11が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した携帯端末位置情報を携帯端末側送信手段12を介して固定端末200B、201B、202Bへと送信する携帯端末位置情報送信手段16と、携帯端末側送信手段12を介して初期設定要求信号を固定端末200B、201B、202Bへと送信する初期設定要求信号発生手段17を備える。
【0051】
固定端末200B、201B、202Bは、第1実施形態の固定端末200、201、202の構成に加え、さらに、携帯端末100Bから受信したGPS信号または携帯端末位置情報と、固定端末側第1受信手段21が受信したGPS信号に基づいて、固定端末200B、201B、202Bと携帯端末100Bとの距離指標を演算により求める固定端末側距離演算手段27を備える。
【0052】
固定端末200B、201B、202Bは、距離指標が所定条件を満たすときに初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を固定端末側送信手段23を介して携帯端末100Bに返信する一方で、距離指標が所定条件を満たさないときには初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を固定端末側送信手段23を介して携帯端末100Bに返信しないように構成されている。
【0053】
[ハードウェア構成]
第3実施形態の無線検針システム700のハードウェア構成は、第2実施形態(図4)と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。第3実施形態の無線検針システムも、図1と同様に構成しうる。
【0054】
第3実施形態においても、図4と同様の構成により、第2実施形態で説明したように、第1実施形態で説明した各手段が実現されうる。
【0055】
上記携帯端末位置情報送信手段16は、制御器34と記憶器35とで実現されうる。初期設定要求信号発生手段17は、制御器34と記憶器35とで実現されうる。固定端末側距離演算手段27は、制御器44と記憶器45とで、実現されうる。
【0056】
[動作]
図7は、第3実施形態の無線検針システムにおける初期設定方法の概略の一例を示すフローチャートである。図面中、左側が携帯端末における動作、右側が固定端末における動作である。携帯端末における動作は、制御器34の制御に基づいて実行される。固定端末における動作は、制御器44の制御に基づいて実行される。ここでは、複数存在する固定端末200B、201B、202Bのうち、固定端末200Bに対して初期設定が行われる場合を考える。
【0057】
無線検針システム700において初期設定が開始されると(スタート)、携帯端末100Bにおいて、入力器36により初期設定の対象となる固定端末200BのID(以下、初期設定対象固定端末ID)が設定される(ステップS201)。該設定は、例えば、キーボードによるIDの入力、ボタンによるIDの選択、デジタルカメラによる固定端末200の表面に印刷されたバーコード等の読み込み、マイクによるIDの音声入力など任意の設定方法を採用しうる。
【0058】
次に、携帯端末100Bにおいて、GPS信号受信機31によるGPS信号の受信が開始され、携帯端末100Bの位置情報(携帯端末位置情報)が取得される(ステップS202)。
【0059】
次に、携帯端末100Bにおいて、初期設定対象固定端末IDと、携帯端末位置情報と、初期設定を要求する信号(初期設定要求信号)と、初期設定に関する情報(初期設定情報)とが送信器32を介して固定端末へと送信される(ステップS203)。初期設定情報には、例えば、通信設定と、メータ装置と固定端末との関連付けに必要な情報(メータ装置のIDと、固定端末をメータ装置に装着した時のメータの指針値(流量値))が含まれる。
【0060】
次に、固定端末において、制御器44が、携帯端末100Bから受信器42を介して受信した初期設定対象固定端末IDと、記憶器45に記憶されている自身(固定端末)のIDとを比較して、両者が一致するか否かを判定する(ステップS204)。判定結果がNOである場合には、エラー報知が行われる(ステップS205)。エラー報知は、例えば、エラー発生信号が誤って通信対象となっている固定端末201B、202Bから携帯端末100Bへと送信され、携帯端末100Bの表示器(図示せず)において行われてもよい。
【0061】
ステップS204の判定結果がYESの場合、固定端末のGPS信号受信器41によるGPS信号の受信が開始され、固定端末の位置情報(固定端末位置情報)が取得される(ステップS206)。
【0062】
次に、固定端末において、制御器44が、携帯端末100Bから受信器42を介して受信した携帯端末位置情報と、ステップS206で取得された固定端末位置情報とに基づいて、携帯端末100Bと固定端末との間の距離を演算する。その後、制御器44は、得られた距離が所定の距離(例えば、2メートル)より近いか否かの判定を行う(ステップS207)。判定結果がNOの場合には、エラー報知が行われる(ステップS208)。エラー報知は、例えば、携帯端末100Bの表示器(図示せず)において行われてもよい。
【0063】
ステップS207の判定が、固定端末に対して初期設定を実行するか否かの判定となる。ステップS207の判定結果がYESの場合、携帯端末100Bで設定されたIDと、通信対象となっている固定端末のIDとが一致しており、さらに、携帯端末100Bと通信対象となっている固定端末の距離が近いので、設定対象となっている固定端末200Bと携帯端末100Bとの通信が意図した通りに成立している蓋然性が高くなる。そこで、固定端末において携帯端末100Bから受信器42を介して受け取った初期設定情報を利用して、固定端末の初期設定が行われる(ステップS209)。
【0064】
その後、固定端末から送信器43を介して携帯端末100Bへと、初期設定実行を通知する応答信号(初期設定実行通知)が送信される(ステップS210)。
【0065】
以上により、携帯端末および固定端末の両方について、無線検針システム700における初期設定が完了する(エンド)。
【0066】
携帯端末位置情報の取得および固定端末位置情報の取得のいずれか一方あるいは両方は、初期設定が開始される前に行われてもよい。ステップS208で送信される携帯端末位置情報は、位置情報に変換される前の、携帯端末が受信したGPS信号そのものであってもよい。その場合、携帯端末の位置は携帯端末側で演算されることとしうる。ステップS207の距離の演算では、距離そのものが演算される態様に限定されず、距離が近いか否かを判定するのに用いられうる何らかの指標(距離指標)が演算されてもよい。
【0067】
初期設定要求信号と初期設定情報とは、一体であってもよい。
【0068】
初期設定情報を送信するタイミングは特に限定されない。例えば、初期設定情報がステップS207の後に送信されてもよい。この場合、ステップS207の判定結果がYESとなった後で、初期設定情報を要求する信号が固定端末から携帯端末へと送信され、これを受けて携帯端末が初期設定情報を固定端末に送信することとしうる。この場合には、初期設定情報を要求する信号が、初期設定の実行を通知する応答信号となる。
【0069】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の無線検針システムは、誤設定を減少させることが可能な無線検針システムとして有用である。
【符号の説明】
【0071】
11 携帯端末側第1受信手段
12 携帯端末側送信手段
13 携帯端末側第2受信手段
14 設定手段
15 携帯端末側距離演算手段
16 携帯端末位置情報送信手段
17 初期設定要求信号発生手段
21 固定端末側第1受信手段
22 固定端末側第2受信手段
23 固定端末側送信手段
24 記憶手段
25 ID確認手段
26 固定端末位置情報送信手段
27 固定端末側距離演算手段
31 GPS信号受信機
32 送信器
33 受信器
34 制御器
35 記憶器
36 入力器
41 GPS信号受信器
42 受信器
43 送信器
44 制御器
45 記憶器
100 携帯端末
200 固定端末
300 メータ装置
500 無線検針システム
600 無線検針システム
700 無線検針システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測機能を有するメータ装置に装着され前記メータ装置の計測結果を送信する固定端末と、
前記固定端末と無線により通信する携帯端末とを備える無線検針システムであって、
前記携帯端末は、
初期設定の対象となる固定端末のIDを設定する設定手段と、
GPS信号を受信する携帯端末側第1受信手段と、
前記固定端末が送信する信号を受信する携帯端末側第2受信手段と、
前記固定端末へと前記IDを含む信号を送信する携帯端末側送信手段と、を備え、
前記固定端末は、
前記固定端末のIDを記憶する記憶手段と、
GPS信号を受信する固定端末側第1受信手段と、
前記携帯端末が送信する信号を受信する固定端末側第2受信手段と、
前記携帯端末へと信号を送信する固定端末側送信手段と、
前記固定端末側第2受信手段が受信した信号に含まれるIDと前記記憶手段に記憶されているIDとが一致しているか否かを判定するID確認手段と、を備え、
前記ID確認手段による判定結果がYESの場合に、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号および前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末に対して初期設定を実行するか否かを判定するように構成されている、無線検針システム。
【請求項2】
前記固定端末は、さらに、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した固定端末位置情報を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末へと送信する固定端末位置情報送信手段を備え、
前記携帯端末は、さらに、前記固定端末から受信した前記GPS信号または前記固定端末位置情報と、前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との距離指標を演算により求める携帯端末側距離演算手段を備え、
前記携帯端末は、前記距離指標が所定条件を満たすときに初期設定要求信号を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末に送信する一方で、前記距離指標が所定条件を満たさないときには初期設定要求信号を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末に送信しないように構成されている、請求項1に記載の無線検針システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、さらに、前記携帯端末側第1受信手段が受信したGPS信号またはこれに基づいて特定した携帯端末位置情報を前記携帯端末側送信手段を介して前記固定端末へと送信する携帯端末位置情報送信手段と、前記携帯端末側送信手段を介して初期設定要求信号を前記固定端末へと送信する初期設定要求信号発生手段を備え、
前記固定端末は、さらに、前記携帯端末から受信した前記GPS信号または前記携帯端末位置情報と、前記固定端末側第1受信手段が受信したGPS信号に基づいて、前記固定端末と前記携帯端末との距離指標を演算により求める固定端末側距離演算手段を備え、
前記固定端末は、前記距離指標が所定条件を満たすときに前記初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末に返信する一方で、前記距離指標が所定条件を満たさないときには初期設定要求信号に対し初期設定実行を通知する応答信号を前記固定端末側送信手段を介して前記携帯端末に返信しないように構成されている、請求項1に記載の無線検針システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−129583(P2012−129583A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276504(P2010−276504)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】