説明

無線端末、その設定変更方法およびプログラム

【課題】使用者自身と端末との距離に応じて無線端末の電波送受信の設定を変更すること。
【解決手段】制御部9は、人体との相対距離をカメラ1のオートフォーカス機能の変動量により識別し、変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ機能を具備した無線端末の設定を人体からの距離に応じて自動的に最適化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線端末である携帯電話機や携帯情報端末の使用中に使用者が、使用者自身と端末機器の距離の変化に応じて端末の設定を自動的に最適化できる仕組みが無いという問題があった。
【0003】
例えば、視力が弱い方が使用中に端末と使用者自身の距離が遠くなる状態に変化した場合にLCDのフォントの文字フォントが小さくて認識しにくいといった問題が考えられる。自分で見えやすい位置に調整することで容易に解決できるとが、手足の不自由な方にとっては問題となる場合が多い。
【0004】
また、別事例では、聴覚が不自由な方にとっては、端末が使用者本人から離れる場合にスピーカーの音量が小さくて聞こえにくいといった問題も考えられる。この問題は、ハンズフリー機器を使用することで容易それらの問題を解決できるが、ハンズフリー機器を装着することに操作の手間がかかるため、望まない使用者も少なく無いと思われる。
【0005】
ここで、距離センサにより装置本体の使用者との間の距離を測定すると共にマイクによる入力音声レベルを測定することで、装置本体が通常の通話位置(使用者の耳元付近)にあるか否かを判断し、装置本体が通常の通話位置にあれば、カメラ部、表示部、照明部をOFF、スピーカー音量及びマイク感度を小さくし、装置本体が通常の通話位置になければ、カメラ部を使用する場合と判断し、カメラ部、表示部、照明部をON、スピーカー音量及びマイク感度を大きくすることで、使用者が特に意識せずとも最適な動作環境を設定でき、面倒な調整作業を不要として操作性の向上が図れると共に、無駄な電力消費を抑えて電池寿命を延ばすことができる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、使用者と情報提供手段との距離を測定する距離測定手段を有し、文字の大きさ、色使い、図の大きさ、レイアウト、音声出力の要否などの情報提示方法、コンテンツの複雑さ、音声出力時の内容、日本語の場合には漢字への対応法など情報内容などのそれぞれの特性に対して、使用者の指定するプロファイルと測定した距離とに従って、コンテンツを変換することができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−111801号公報
【特許文献2】特開2004−336439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来例においては次のような問題点があった。
【0008】
カメラにて使用者自身と端末との距離をオートフォーカスの相対変動値で認識する仕組みを利用し、自動的に端末の電子メール受信などの電波送受信を制限したり、拡張することは困難であった。
【0009】
本発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者自身と端末との距離に応じて無線端末の電波送受信の設定を変更することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったカメラを搭載した無線端末であって、
人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別し、変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更する無線端末を提供する。
【0011】
また、本発明は、使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったカメラを搭載した無線端末の設定変更方法であって、
人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別するステップと、
その変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更するステップと
を有する無線端末の設定変更方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったコンピュータに、人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別し、変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更する機能を実現させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用者自身と端末との距離に応じて無線端末の電波送受信の設定を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1を参照すると、本実施の形態における無線端末は、カメラ1を具備した標準的な折りたたみ型の携帯電話機により実現されている。図1はその基本構成(表面)を表したものである。
【0016】
図2は同様にカメラ1を具備した標準的な折りたたみ型の携帯電話機の基本構成(裏面)を表している。
【0017】
図3には基本構成となるブロック図を示している。カメラモジュール1は、使用者本人を撮影することが可能なポジションに設置されており、且つ被者体との距離測定が可能であるか、またはオートフォーカス機能を具備しており、基準に対しての相対的な変動量を計測可能な機能を具備していることを前提としている。
【0018】
基本構成としては、情報の表示部であるLCD2と、発光表示部であるLED4と、バックライト14と、入力部となるテンキー3と、音声入力部であるマイク6と、音声出力を行うレシーバー5と、スピーカー7と、制御部9と、記憶部12と、通信を行うアンテナ11と、無線部10とから主に構成される。その他の構成要素は標準的な携帯電話機に構成されるものであり、その説明は省略する。
【0019】
次に、本実施の形態の処理動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図4は、本実施の形態として、LCD2の表示を自動的に変更させる仕組みについて簡潔なフローチャートで説明したものである。
【0021】
以下、LCD2の表示設定、例えば、LCDの表示フォントのサイズが自動的に最適化される事例の説明を行う。
【0022】
ステップS0の初期状態としては、LCDの表示機能を動作させた状態にて使用中の状態とする。また、カメラと被写体(使用者)のピントが合った状態とし、定期的に現在の状態を保存している。
【0023】
この使用状態を図5にて説明すると、人体31と使用状態の携帯端末のカメラ部1との直線距離32が距離aである状態を初期状態S0の状態とする。
【0024】
次に、ステップS1として、使用者本人が位置を変化させることにより、カメラ1と人体31の直線距離32が変化した状態を図6に示す。
【0025】
このときに距離32は距離bであったとする。次のステップとしてS2に移行し、カメラ1が画像検出入力動作を開始し、被対象の画像情報を制御に入力処理を行う。
【0026】
ステップS3としては、被写体とのピントが合っているかを識別処理を行う。
【0027】
ステップS3において、Noの場合はステップS4に移行し、ピントが合うようにオートフォーカス(以後「AF」という)を繰り返し処理を開始する。
【0028】
ステップS3において被写体とのピントが合っている場合はステップS5に移行し、AF処理後のレンズのフォーカス設定値K1を制御部9にて記憶部12に保存する。
【0029】
ステップS6において、S5で検出保存したフォーカス設定値K1から、LCDの表示変更の出力値を決定する処理を行う。
【0030】
まず、ユーザーは予め基準とするフォーカス値をk0としたときに対応したLCD出力設定値h0を設定済みとする。このとき、LCD出力設定値hに各々対応した表示文字の設定値を対応表が記憶部に生成されており、K1が対応するhの値を記憶部12から検索し決定する。
【0031】
ステップS6において決定されたLCD出力値はh3とすると、ステップS7でh3に対応したLCD4の表示文字の大きさに変更する表示更新処理を実行する。
【0032】
図5から図6への移行により、距離が遠くなる場合にLCDの文字が大きくなるパターンに設定されている場合、カメラと人体の距離が遠くなることで、文字が自動的に大きくなるため、視認性が向上する。
【0033】
なお、LCDの表示の文字の大きさを自動的に変更する動作について説明したが、文字のフォント種別、色、背景色を任意の最適なパターンに変更する構成とすることも可能である。
【0034】
また、カメラと人体の距離の変化をカメラのフォーカス値の変化で認識することを利用し、スピーカー(SPK7)の音量を距離に応じて自動的に変更する構成も可能であり、携帯電話が人体から遠くなると、着信音量が大きくなることによる音の認識を改善できる。
【0035】
また、カメラと人体の距離が近い場合に、LCDのback lightの輝度を変化させる構成も可能である。例えば、人体と携帯電話のカメラの距離が一定以上近くなるとバックライトの輝度が暗くなるか、OFFへ移行させるといったパターンを構成することで省電力化が可能となる。
【0036】
さらに、カメラと携帯電話機の距離が離れることをカメラで認識することにより、携帯電話機の電子メールの送受信において予め設定したルールに沿った優先度において優先度の低いデータの送受信を人体から一定以上離れた状態になったら送受信の処理を開始することとする。この構成によって即時に送受信されない欠点もあるが、優先度が低い宛先からの受信や送信の電子メールを人体の近傍におけるアンテナ特性の悪い状態で処理せず、人体から遠い状態(相対的にアンテナ特性が良好な状態)において処理することで、省電力化を図ることができる。
【0037】
カメラと携帯電話機の距離が離れることをカメラで認識することにより、携帯電話機の電子メールの送受信に限らず、電波送受信が行なわれる処理の実行制御を変更することであってもよい。例えば、自機の位置情報を取得する際の、所定の基地局やGPS衛星との通信を行うための電波出力を、通常よりも回数、出力値などを低減することがある。
【0038】
また、iアプリ(登録商標)や、電子マネーの残額照会・更新などのために行なわれる電波送受信を含む。
【0039】
また、PTT(Push To Talk)機能に関する電波送受信を含む。
【0040】
さらに、赤外線通信やBLUE TOOTHなどの近接間通信による電波送受信を含む。
【0041】
カメラと携帯電話機の距離が離れることをカメラで認識することにより、電波送受信が行なわれる処理の実行制御の変更は、人体の特定の部位との距離に応じて行われてもよい。例えば、頭部に近い場合には変更し、臀部に近い場合には変更しないなどの制御がなされてもよい。
【0042】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上記の実施の形態における携帯電話機の機能を実現するためのプログラムを装置に読込ませて実行することにより装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0043】
上述する各実施の形態は、携帯電話機の各機能が1つのコンピュータシステムとして実現されているシステム構成について説明したが、各機能が別個に接続されている構成や機能毎に複数の装置などが追加された構成にも適用可能であることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態における自分撮り撮影用カメラを搭載した折りたたみ式携帯電話機の外観構成(表面)を示す図である。
【図2】本発明の実施形態における自分撮り撮影用カメラを搭載した折りたたみ式携帯電話機の外観構成(裏面)を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における自分撮り撮影用カメラを搭載した折りたたみ式携帯電話機の機能ブロック図である。
【図4】カメラ動作によりLCDの表示変更される処理動作のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における使用状態の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態における使用状態の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるLCDの表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態におけるLCDの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 カメラ
2 LCD
3 入力キー
4 LED
5 レシーバー
6 マイク
7 スピーカー
9 制御部
10 無線部
11 アンテナ
12 記憶部
14 バックライト
31 使用者
32 使用者との端末機器のカメラとの直線距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったカメラを搭載した無線端末であって、
人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別し、変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更することを特徴とする無線端末。
【請求項2】
前記人体との相対距離は、人体の特定の部位との相対距離であることを特徴とする請求項1記載の無線端末。
【請求項3】
使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったカメラを搭載した無線端末の設定変更方法であって、
人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別するステップと、
その変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更するステップと
を有することを特徴とする無線端末の設定変更方法。
【請求項4】
前記人体との相対距離は、人体の特定の部位との相対距離であることを特徴とする請求項3記載の無線端末の設定変更方法。
【請求項5】
使用者本人を撮影可能な位置に設置されたオートフォーカス機能をもったコンピュータに、人体との相対距離を前記カメラのオートフォーカス機能の変動量により識別し、変動値に基づいて、電波送受信の設定を変更する機能を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記人体との相対距離は、人体の特定の部位との相対距離であることを特徴とする請求項5記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−259267(P2007−259267A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83294(P2006−83294)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】