説明

無線端末位置計測システム

【課題】無線端末の存在する階層とは異なる階層にある無線基地局の測位情報を除去し、多階層建築物における算出位置誤差を著しく低減させることができる無線端末位置計測システムを提供する。
【解決手段】多階層建築物の各階層内を移動し無線信号を送出する無線端末と、前記多階層建築物の各階層内に設けられ、前記無線端末からの無線信号の電波特性パラメータを求めて送出するとともに、前記受信した無線信号の受信強度を求めて受信強度情報を送出する複数の無線基地局と、これら無線基地局からの電波特性パラメータと受信強度情報を収集し、この収集した受信強度情報に基づき、閾値以上の受信強度で無線信号を受信した無線基地局の数が最大となる階層を無線端末の存在する階層と推定し、前記収集された電波特性パラメータのうち前記推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータに基づき無線端末の位置を算出する測位計算部とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば、ビル構造のオフィスや工場等の多階層建築物において、各階層内を移動する移動可能な無線端末の位置を計測する無線端末位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、たとえば、プラントや工場あるいは病院のような広域かつ屋内の空間領域内で、自由に移動し作業を行なう人員や作業に使用される可搬型の機材類の現在位置を的確に把握し管理することにより作業効率を向上したいという要求があり、そのための位置計測システムが実用化されている。
【0003】
一般に、位置計測システムとして知られるGPS(Global Positioning System)測位は、衛星電波を受信して位置を計測するようになっているので、遮蔽物などの影響により衛星電波の届かない場合には位置精度が著しく劣化したり、計測不能となったりするため、屋内用途としては十分ではない。
【0004】
このため、最近、屋内用途として、無線LAN(Local Area Network)やZigBee、UWB(Ultra Wide Band)など近距離無線通信を利用した小型の移動可能な無線端末を用いて、その無線端末の位置を計測する無線端末位置計測システムが実用化されている。
【0005】
このような無線端末位置計測システムは、被測位対象である移動可能な無線端末と、あらかじめシステム内の既知かつ同一ではない位置座標にそれぞれ固定設置された複数の無線基地局と、当該無線基地局とネットワークで接続された測位計算部から構成され、各無線基地局で測定した電波特性パラメータから無線端末と無線基地局との距離関係を求め、この求めた距離関係と各無線基地局の既知である位置座標とから無線端末の位置を算出するようになっている。
【0006】
たとえば、各無線基地局において、無線端末から発信された電波の受信強度を測定し、電波と距離の減衰特性から無線端末と各無線基地局との間の距離を求め、3つ以上の距離データとこれを取得した各無線基地局の位置座標とから無線端末の位置を算出する受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)方式や、無線端末が発信した無線電波を各無線基地局で受信し、任意の2つの無線基地局の受信時間から到達時間差分を求め、3つ以上の差分データと各無線基地局の位置座標とから無線端末の位置を算出する到達時間差(TDOA:Time Difference of Arrival)方式がある。
【0007】
このような無線端末位置計測システムを多階層建築物、たとえば、ビル構造のオフィスや工場などに適用し、各階層ごとに無線基地局を設置して、無線端末を携行する人員や機材の位置を特定しようとすると、無線端末からの電波に床面の透過や回り込みなどによって減衰や遅延が生じるため、無線端末の存在する階層とは異なる階層に設置された無線基地局では直接波とは著しく異なる電波特性パラメータが測定される。
【0008】
そのため、これを含めて位置計測を行なうと算出位置が実際の位置とは大きく異なるという問題がある。また、電波特性パラメータを補正しようとすると、建築物の構造や設置されている遮蔽物や反射物を全て考慮した補正方式が必要となり、補正計算を行なうために測位計算部の処理能力の向上が必要となるため、システムコストの増大につながるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4382862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、無線端末の存在する階層とは異なる階層にある無線基地局の測位情報を除去し、多階層建築物における算出位置誤差を著しく低減させることができる無線端末位置計測システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態に係る無線端末位置計測システムは、多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線端末と、前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信することにより電波特性パラメータを計測し、計測した電波特性パラメータを外部へ送出する複数の無線基地局と、これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集するとともに前記無線端末の存在する階層を推定し、前記収集された電波特性パラメータのうち前記推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータを使用して前記無線端末の位置を算出する測位計算手段とを具備している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図2】第2の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図3】第3の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図4】第4の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図5】第5の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図6】第6の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図7】第7の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図8】第8の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
なお、本実施形態の適用分野としては、たとえば、ビル構造のオフィスや工場等の多階層建築物において、各階層内を移動する移動体(たとえば、作業者などの人物、機材等)に所持あるいは付設された移動可能な無線端末の位置を計測することにより、無線端末を携行する人物(作業者等)や機材の位置を特定して所在把握、管理等を行なう管理システムなどに適用することが考えられる。
【0014】
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。図1において、1−1,1−2,1−3は例えばビル構造のオフィスや工場等の多階層建築物における階層を示しており、この各階層1−1,1−2,1−3内を無線端末2が移動するものとする。無線端末2は、たとえば、作業者などの人物あるいは機材等の移動体に所持あるいは付設され、位置測定用の無線信号を送出する。
【0015】
各階層1−1,1−2,1−3内には、それぞれ複数の無線基地局が設置されている。図1の例では、階層1−1,1−2内にそれぞれ2個の無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2が設置されている場合を示している。無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2から送出される無線信号を受信するもので、ネットワーク回線5を介して測位計算部(測位計算手段)6に接続されている。
【0016】
無線端末2は、たとえば、アンテナ11を備えた無線部12、および、無線部12の送信タイミングを制御する発信制御部13から構成されていて、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を外部へ発信するようになっている。
【0017】
無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、たとえば、無線端末2から送出される無線信号を受信するアンテナ21を備えた無線部(受信手段)22、無線部22により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて送出する電波特性パラメータ計測部(電波特性パラメータ計測手段)23、無線部22により受信された無線信号の受信強度を求めて受信強度情報を送出する受信強度計測部(受信強度計測手段)24、および、電波特性パラメータ計測部23から送出された電波特性パラメータおよび受信強度計測部24から送出された受信強度情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信するデータ送信部25から構成されている。
【0018】
なお、電波特性パラメータ計測部23は、無線部22により受信された無線信号の電波特性パラメータとして、たとえば、無線信号が到達した到達時間(無線信号の受信時刻)あるいは無線部22により受信された無線信号の受信強度を計測するものとする。
【0019】
測位計算部6は、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送出される情報を受信するデータ受信部31、データ受信部31で受信した情報から各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する計測値収集部(収集手段)32、データ受信部31で受信した情報から各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度情報を収集し、この収集された受信強度情報に基づき、たとえば、あらかじめ設定される閾値以上の受信強度で無線信号を受信した無線基地局の数が最大となる階層を無線端末2の存在する階層と推定する階層推定部(階層推定手段)33、あらかじめ各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の位置座標値を記憶している基地局位置記億部(基地局位置記億手段)34、および、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値から無線端末2の位置を算出する位置計算部(位置計算手段)35から構成されている。
【0020】
なお、位置計算部35は、無線信号の電波特性パラメータとして無線信号の到達時間を用いた場合、少なくとも2つの無線基地局間の到達時間差を少なくとも3組以上について計算するとともに、求めた3つ以上の到達時間差情報を取得した無線基地局の位置座標値を基準局位置記億部34から取得し、上記求めた3つ以上の到達時間差情報とこれを取得した各無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出する。
【0021】
また、位置計算部35は、無線信号の電波特性パラメータとして無線信号の受信強度を用いた場合、電波と距離の減衰特性から無線端末2と無線基地局との間の距離を少なくとも3組以上について計算するとともに、求めた3つ以上の距離情報を取得した無線基地局の位置座標値を基地局位置記億部34から取得し、上記求めた3つ以上の距離情報とこれを取得した各無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出する。
【0022】
次に、このような構成において第1の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を階層内に発信する。
【0023】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
【0024】
また、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24は、無線部22により受信された無線信号の受信強度を算出し、受信強度情報をデータ送信部25へ送出する。
【0025】
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータおよび受信強度計測部24から送出された受信強度情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0026】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0027】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度情報を収集し、この収集された受信強度情報に基づき、たとえば、あらかじめ設定される閾値以上の受信強度で無線信号を受信した無線基地局の数が最大となる階層を無線端末2の存在する階層と推定する。
【0028】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値から無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0029】
次に、第2の実施形態について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第2の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、測位計算部6に受信強度記憶部(受信強度記憶手段)36が設けられた点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0030】
測位計算部6の受信強度記憶部36は、あらかじめ各階層1−1,1−2内の任意の複数位置に無線端末2を位置させて、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2で受信した無線信号の受信強度情報を計測し、この計測した複数の位置情報と受信強度情報とが対応付けて記憶されている。
【0031】
次に、このような構成において第2の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
なお、無線端末2および無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の動作は第1の実施形態と同一であるので説明は省略し、動作の異なる測位計算部6についてだけ以下に説明する。
【0032】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0033】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度情報を収集し、この収集された受信強度情報および受信強度記憶部36に記憶された位置情報および受信強度情報に基づき、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2で計測された受信強度情報間の相対強度および受信強度記憶部36に記憶された受信強度情報間の相対強度を求め、この求めた両相対強度があらかじめ定められた所定の関係、たとえば、両相対強度が一致する階層を無線端末2の存在する階層と推定する。
【0034】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0035】
次に、第3の実施形態について説明する。
図3は、第3の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第3の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、無線端末2に上下動検出部(位置変化検出手段)14およびデータ処理部(位置変化検出手段)15が設けられた点、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が通信処理部26に置き換わった点、および、測位計算部6に位置情報記憶部(位置情報記憶手段)37が設けられた点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0036】
無線端末2の上下動検出部14は、たとえば、無線端末2の上下動(垂直方向への位置変化量)を検出するもので、たとえば、加速度センサ等が使用可能である。データ処理部15は、位置変化検出部14からの検出情報を処理して当該無線端末2の上下変化量情報(位置変化量情報)として送出する。
【0037】
無線端末2の無線部12は、発信制御部13によって送信タイミングが制御され、位置測定用の無線信号およびデータ処理部15からの上下変化量情報をアンテナ11を介して階層内に発信する。
【0038】
各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の通信処理部26は、無線部22で受信された情報から無線端末2の上下変化量情報を収集し、データ送信部25へ送出する。
【0039】
測位計算部6の位置情報記憶部37は、位置計算部35において過去に算出された位置情報(位置算出結果)を蓄積(記憶)する。
【0040】
次に、このような構成において第3の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号およびデータ処理部15からの上下変化量情報を階層内に発信する。
【0041】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
【0042】
また、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の通信処理部26は、無線部22で受信された情報から無線端末2の上下変化量情報を収集し、データ送信部25へ送出する。
【0043】
データ送信部25は、電波特性パラメータ計測部23から送出された電波特性パラメータおよび通信処理部26から送出された上下変化量情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0044】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0045】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から無線端末2の上下変化量情報を収集し、この収集された上下変化量情報と位置情報記憶部37に記憶されている過去の位置算出結果に基づき無線端末2の存在する階層を推定する。
【0046】
たとえば、無線端末2がそれまでいた位置(階層)が位置情報記憶部37に記憶されている過去の位置算出結果から知ることができるので、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2からの無線端末2の上下変化量情報から、無線端末2がそれまでいた階層から上の階層に移動したのか、下の階層に移動したのか、移動していないのかを判断し、判断した階層を無線端末2の存在する階層と推定する。
【0047】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0048】
次に、第4の実施形態について説明する。
図4は、第4の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第4の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、無線端末2に識別情報送信部(識別情報送信手段)16が設けられた点、各階層1−1,1−2,1−3(図4では階層1−2だけ図示)内に識別情報受信部(識別情報受信手段)7および識別情報通信部(識別情報通信手段)8が設けられた点、および、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が削除された点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0049】
無線端末2の識別情報送信部16は、あらかじめ設定されている当該無線端末2固有の識別情報を階層内へ送出する。識別情報受信部7は、識別情報送信部16と通信することにより、識別情報送信部16から送出される識別情報を受信する。識別情報送信部16および識別情報受信部7としては、たとえば、RFID(Radio Frequency Identification)などの近距離無線通信方式が利用可能である。
【0050】
識別情報通信部8は、識別情報受信部7により受信された無線端末2の識別情報および当該無線端末2が設置されている階層情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0051】
次に、このような構成において第4の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を階層内に発信する。
また、無線端末2は、識別情報送信部16から当該無線端末2固有の識別情報を階層内へ送出する。
【0052】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータをネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0053】
また、識別情報受信部7は、識別情報送信部16から送出される識別情報を受信すると、受信した識別情報を識別情報通信部8へ送出する。
識別情報通信部8は、識別情報受信部7により受信された無線端末2の識別情報および当該無線端末2が設置されている階層情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0054】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信するとともに、識別情報通信部8から送信される無線端末2の識別情報および階層情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0055】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から無線端末2の識別情報および階層情報を収集し、この収集された識別情報および階層情報に基づき無線端末2の存在する階層を推定する。
【0056】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0057】
次に、第5の実施形態について説明する。
図5は、第5の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第5の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、各階層1−1,1−2,1−3(図5では階層1−2だけ図示)内に階層情報送信部(階層情報送信手段)9が設けられた点、無線端末2に階層情報受信部(階層情報受信手段)17が設けられた点、および、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が通信処理部26に置き換わった点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0058】
階層情報送信部9は、あらかじめ設定されている当該階層情報送信部9が設置されている階層情報を外部へ送出する。
無線端末2の階層情報受信部17は、階層情報送信部9と通信することにより、階層情報送信部9から送出される階層情報を受信し、無線部12を介して外部へ送出する。
階層情報送信部9および階層情報受信部17としては、たとえば、RFIDなどの近距離無線通信方式が利用可能である。
【0059】
無線端末2の無線部12は、発信制御部13によって送信タイミングが制御され、位置測定用の無線信号および階層情報受信部17から送出される階層情報をアンテナ11を介して階層内に発信する。
【0060】
各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の通信処理部26は、無線部22で受信された情報から無線端末2の階層情報を収集し、データ送信部25へ送出する。
【0061】
次に、このような構成において第5の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号および階層情報受信部17からの階層情報を階層内に発信する。
【0062】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
【0063】
また、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の通信処理部26は、無線部22で受信された情報から無線端末2の階層情報を収集し、データ送信部25へ送出する。
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータおよび通信処理部26から送出された階層情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0064】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0065】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から無線端末2の階層情報を収集し、この収集された階層情報に基づき無線端末2の存在する階層を推定する。
【0066】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0067】
次に、第6の実施形態について説明する。
図6は、第6の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第6の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、各階層1−1,1−2,1−3(図4では階層1−2だけ図示)内に端末検知部(無線端末検知手段)10が設けられた点、および、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が削除された点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0068】
端末検知部10は、たとえば、階層内を常に撮像していて、画像処理により撮像画像内において無線端末2を検知した場合、当該無線端末2の識別情報および当該端末検知部10が設置されている階層情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信するもので、ビデオカメラおよび画像処理回路等を主体に構成されている。
【0069】
なお、端末検知部10は、無線端末2に製品番号やID番号等が表記されていれば、画像処理によりそれを読取って識別情報としてもよく、あるいは、無線端末2を検知すると自動的に識別情報を発行するようにしてもよい。
【0070】
次に、このような構成において第6の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を階層内に発信する。
【0071】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータをネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0072】
また、端末検知部10は、階層内を常に撮像していて、画像処理により撮像画像内において無線端末2を検知した場合、当該無線端末2の識別情報および当該端末検知部10が設置されている階層情報をネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0073】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信するとともに、識別情報通信部8から送信される無線端末2の識別情報および階層情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の到達時刻情報を収集する。
【0074】
また、階層推定部33は、データ受信部31で受信した情報から無線端末2の識別情報および階層情報を収集し、この収集された識別情報および階層情報に基づき無線端末2の存在する階層を推定する。
【0075】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0076】
次に、第7の実施形態について説明する。
図7は、第7の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第7の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が削除された点、および、測位計算部6に位置情報記憶部(位置情報記憶手段)37が設けられた点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0077】
測位計算部6の位置情報記憶部37は、位置計算部35において過去に算出された位置情報(位置算出結果)を蓄積(記憶)する。
【0078】
次に、このような構成において第7の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を階層内に発信する。
【0079】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータをネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0080】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0081】
また、階層推定部33は、位置情報記憶部37に記憶されている過去の位置算出結果から、無線端末2の存在する階層を推定する。たとえば、無線端末2がそれまでいた位置(階層)が位置情報記憶部37に記憶されている過去の位置算出結果から知ることができるので、過去の位置算出結果により一定時間水平方向に移動していると判断した場合、当該階層を無線端末2の存在する階層と推定する。
【0082】
なお、一定時間水平方向に移動していないと判断した場合、当該無線端末2は階層間を移動できる階段等で上の階層あるいは下の階層に移動中であると判断し、その階層に対する処理に移行するなどが考えられる。
【0083】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータのうち、階層推定部33により推定された無線端末2の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値とから無線端末2の位置を算出し、その位置算出結果を位置計測結果として出力する。
【0084】
次に、第8の実施形態について説明する。
図8は、第8の実施形態に係る無線端末位置計測システムの構成を概略的に示すものである。第8の実施形態の前述した第1の実施形態と異なる点は、各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の受信強度計測部24が削除された点、測位計算部6に位置判定部(位置判定手段)38が設けられた点、および、階層推定部33および位置計算部35の処理が若干異なる点にあり、その外は第1の実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてだけ詳細に説明する。
【0085】
測位計算部6の階層推定部33は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータに基づき無線端末2の存在する階層を推定する。この推定方法は、たとえば、電波特性パラメータとして無線信号の到達時間を用いた場合、あらかじめ設定される閾値以下の到達時間で無線信号を受信した無線基地局の数が最大となる階層を無線端末2の存在する階層と推定し、電波特性パラメータとして無線信号の受信強度を用いた場合、前述した第1の実施形態と同様な方法を用いることができる。
【0086】
測位計算部6の位置計算部35は、計測値収集部32により収集された各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2からの電波特性パラメータから任意の複数の組合わせを選択し、選択した複数の組合わせに対して、それぞれの電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値から無線端末2の位置を算出することにより複数の位置算出結果を取得する。
【0087】
測位計算部6の位置判定部38は、位置計算部35により取得した複数の位置算出結果のうち、階層推定部33により推定された階層にない位置算出結果を除外したものを最終的な位置算出結果として出力する。
【0088】
次に、このような構成において第8の実施形態に係る無線端末位置計測システムの動作を説明する。
被測位対象となる無線端末2は、発信制御部13によって送信タイミングを制御された無線部12からアンテナ11を介して位置測定用の無線信号を階層内に発信する。
【0089】
無線端末2からの無線信号を待ち受けている各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2は、無線端末2が発信した無線信号をアンテナ21を介して無線部22で受信すると、受信したことを電波特性パラメータ計測部23に通知することで、電波特性パラメータ計測部23は当該無線信号の電波特性パラメータを算出し、データ送信部25へ送出する。
データ送信部25は、時間計測部23から送出された電波特性パラメータをネットワーク回線5を介して測位計算部6へ送信する。
【0090】
測位計算部6は、データ受信部31で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2から送信される情報を受信し、計測値収集部32で各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2の電波特性パラメータを収集する。
【0091】
また、階層推定部33は、計測値収集部32により収集された電波特性パラメータに基づき無線端末2の存在する階層を推定する。
【0092】
次に、位置計算部35は、計測値収集部32により収集された各無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2からの電波特性パラメータから任意の複数の組合わせを選択し、選択した複数の組合わせに対して、それぞれの電波特性パラメータから無線端末2と無線基地局3−1,3−2,4−1,4−2との間の距離関係を求め、この求めた距離関係と基地局位置記億部34内の無線基地局の位置座標値から無線端末2の位置を算出することにより複数の位置算出結果を取得する。
【0093】
次に、位置判定部38は、位置計算部35により取得した複数の位置算出結果のうち、階層推定部33により推定された階層にない位置算出結果を除外したものを最終的な位置算出結果として出力する。
【0094】
以上説明したように、上記実施形態によれば、多階層建築物における被測位対象である無線端末の位置計測に際し、無線端末が存在する階層を推定し、推定した階層の無線基地局からの測位情報だけを位置計測に使用することにより、無線端末の存在する階層とは異なる階層にある無線基地局の測位情報を除去し、多階層建築物における算出位置誤差を著しく低減させることができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0096】
1−1,1−2,1−3…多階層建築物の階層、2…無線端末、3−1,3−2,4−1,4−2…無線基地局、5…ネットワーク回線、6…測位計算部(測位計算手段)、7…識別情報受信部(識別情報受信手段)、8…識別情報通信部(識別情報通信手段)、9…階層情報送信部(階層情報送信手段)、10…端末検知部(無線端末検知手段)10、11…アンテナ、12…無線部、13…発信制御部、14…上下動検出部(位置変化検出手段)、15…データ処理部、16…識別情報送信部(識別情報送信手段)、17…階層情報受信部(階層情報受信手段)、21…アンテナ、22…無線部(受信手段)、23…電波特性パラメータ計測部(電波特性パラメータ計測手段)、24…受信強度計測部(受信強度計測手段)、25…データ送信部、26…通信処理部、31…データ受信部、32…計測値収集部(収集手段)、33…階層推定部(階層推定手段)、34…基地局位置記億部(基地局位置記億手段)、35…位置計算部(位置計算手段)、36…受信強度記憶部(受信強度記憶手段)、37…位置情報記憶部(位置情報記憶手段)、38…位置判定部(位置判定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信することにより電波特性パラメータを計測し、計測した電波特性パラメータを外部へ送出する複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集するとともに前記無線端末の存在する階層を推定し、前記収集された電波特性パラメータのうち前記推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータを使用して前記無線端末の位置を算出する測位計算手段と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項2】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段と、前記受信手段により受信された無線信号の受信強度を求めて受信強度情報を外部へ送出する受信強度計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、前記複数の無線基地局から送出される受信強度情報を収集し、この収集された受信強度情報に基づき、あらかじめ設定される閾値以上の受信強度で無線信号を受信した無線基地局の数が最大となる階層を前記無線端末の存在する階層と推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項3】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段と、前記受信手段により受信された無線信号の受信強度を求めて受信強度情報を外部へ送出する受信強度計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、あらかじめ前記多階層建築物の各階層内の複数位置で測定した位置情報と前記無線基地局の受信強度情報とを対応付けて記憶する受信強度記憶手段と、前記複数の無線基地局から送出される受信強度情報を収集し、この収集された受信強度情報および前記受信強度記憶手段に記憶された位置情報および受信強度情報に基づき、前記無線基地局で計測された受信強度情報間の相対強度および前記受信強度記憶手段に記憶された受信強度情報間の相対強度を求め、この求めた両相対強度があらかじめ定められた所定の関係となる階層を前記無線端末の存在する階層と推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項4】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段と、当該無線端末の垂直方向への位置変化量を検出して位置変化量情報を外部へ送出する位置変化検出手段とを備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号および位置変化量情報を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求める電波特性パラメータ計測手段と、この電波特性パラメータ計測手段により求められた電波特性パラメータおよび前記受信手段により受信された位置変化量情報を外部へ送出する送信手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、前記複数の無線基地局から送出される位置変化量情報を収集し、この収集された位置変化量情報に基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項5】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段と、当該無線端末固有の識別情報を外部へ送出する識別情報送信手段とを備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される識別情報を受信する識別情報受信手段と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記識別情報受信手段により受信された無線端末の識別情報および当該無線端末が設置されている階層情報を外部へ送出する識別情報通信手段と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、前記識別情報通信手段から送出される識別情報および階層情報を収集し、この収集された識別情報および階層情報に基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項6】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、当該階層情報送信手段が設置されている階層情報を外部へ送出する階層情報送信手段と、
前記無線端末に設けられ、前記階層情報送信手段から送出される階層情報を受信して外部へ送出する階層情報受信手段と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号および階層情報を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求める電波特性パラメータ計測手段と、この電波特性パラメータ計測手段により求められた電波特性パラメータおよび前記受信手段により受信された階層情報を外部へ送出する送信手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、前記複数の無線基地局から送出される階層情報を収集し、この収集された階層情報に基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項7】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末を検知した場合、当該無線端末の識別情報および当該無線端末検知手段が設置されている階層情報を外部へ送出する無線端末検知手段と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、前記無線端末検知手段から送出される識別情報および階層情報を収集し、この収集された識別情報および階層情報に基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項8】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
前記複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、過去に算出された位置算出結果を記憶する位置情報記憶手段と、この位置情報記憶手段に記憶された位置算出結果に基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された電波特性パラメータのうち、前記階層推定手段により推定された無線端末の存在する階層に存在する無線基地局の電波特性パラメータから前記無線端末と無線基地局との間の距離関係を求め、この求めた距離関係から前記無線端末の位置を算出する位置計算手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項9】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信することにより電波特性パラメータを計測し、計測した電波特性パラメータを外部へ送出する複数の無線基地局と、
これら複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集するとともに前記無線端末の存在する階層を推定し、前記収集された複数の無線基地局からの電波特性パラメータから任意の複数の組合わせを選択してそれぞれの電波特性パラメータを使用して前記無線端末の位置を算出することにより複数の位置算出結果を取得し、取得した複数の位置算出結果のうち、前記推定された階層にない位置算出結果を除外したものを最終的な位置算出結果として出力する測位計算手段と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項10】
多階層建築物の各階層内を移動し、位置測定用の無線信号を外部へ送出する無線信号送出手段を備えた無線端末と、
前記多階層建築物の各階層内にそれぞれ設けられ、前記無線端末から送出される無線信号を受信する受信手段と、この受信手段により受信された無線信号の電波特性パラメータを求めて外部へ送出する電波特性パラメータ計測手段とを備えた複数の無線基地局と、
前記複数の無線基地局から送出される電波特性パラメータを収集する収集手段と、この収集手段により収集された電波特性パラメータに基づき前記無線端末の存在する階層を推定する階層推定手段と、前記収集手段により収集された複数の無線基地局からの電波特性パラメータから任意の複数の組合わせを選択してそれぞれの電波特性パラメータを使用して前記無線端末の位置を算出することにより複数の位置算出結果を取得する位置計算手段と、この位置計算手段により取得した複数の位置算出結果のうち、前記階層推定手段により推定された階層にない位置算出結果を除外したものを最終的な位置算出結果として出力する位置判定手段とを備えた測位計算部と、
を具備したことを特徴とする無線端末位置計測システム。
【請求項11】
前記複数の無線基地局で計測される電波特性パラメータは、前記受信された無線信号の到達時間あるいは前記受信された無線信号の受信強度であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の無線端末位置計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168056(P2012−168056A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30134(P2011−30134)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】