説明

無線端末装置及び無線ネットワークシステム

【課題】異種ネットワーク間ハンドオーバ時における通信サービスの継続性を向上させることを図る。
【解決手段】無線端末装置1は、無線ネットワークシステムの基地局2から送信されたビーコン信号に基づいて、該基地局2を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報を取得し、該通信環境情報を観測データベース13に蓄積し、観測データベース13内の通信環境情報を接続中の基地局2(AP−c)に送信する。無線端末装置1は、ハンドオーバの要求発生時に、接続中の基地局2(AP−c)から隣接基地局に係る通信環境情報を取得し、該取得した通信環境情報と観測データベース13内の通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補となる基地局を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークシステム間のハンドオーバを行う無線端末装置及び無線ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークシステム間のハンドオーバ技術として、例えば特許文献1に記載の従来技術が知られている。この従来技術では、移動ノードが、サーバから受信した周辺アクセスネットワークポイントを示す隣接情報を用いて、周辺アクセスネットワークポイントをチェックし、チェックされた周辺アクセスネットワークポイントに対応する通信インタフェースを活性化している。
【特許文献1】特開2006−229918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
異種ネットワーク間でのシームレスな通信サービスの提供のためには、高速かつ効率的なハンドオーバが大変重要である。このため、無線端末装置、接続中の無線ネットワークシステム、接続中の基地局、隣接する無線ネットワークシステム、隣接する無線ネットワークシステムのハンドオーバ先候補となる基地局等のエンティティ間の連携が必要となる。しかしながら、上述した従来技術では、そのような連携が考慮されていないために、異種ネットワーク間ハンドオーバ時における通信サービスの継続性が十分に確保できないという欠点がある。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、異種ネットワーク間ハンドオーバ時における通信サービスの継続性を向上させることのできる無線端末装置及び無線ネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る無線端末装置は、複数の無線ネットワークシステムの各々に対応して設けられる無線通信手段と、前記無線ネットワークシステムの基地局から送信されたビーコン信号に基づいて、該基地局を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報を取得し、該通信環境情報をデータベースに蓄積するデータベース化手段と、前記データベース内の通信環境情報を接続中の基地局に送信する通信環境情報送信制御手段と、ハンドオーバの要求発生時に、接続中の基地局から隣接基地局に係る通信環境情報を取得し、該取得した通信環境情報と前記データベース内の通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補となる基地局を決定するハンドオーバ制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明に係る無線端末装置においては、前記ハンドオーバ制御手段は、前記ビーコン信号の受信状態を測定する受信状態測定手段を有し、ビーコン信号の受信状態に基づいてハンドオーバ先としての基地局の安定度を判定することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る無線端末装置においては、前記受信状態測定手段のデータ、または前記受信状態測定手段のデータと接続中の基地局が持つ隣接ネットワークの接続に関するデータベースを参照してハンドオーバ先候補のネットワークの安定度を推定し、この推定結果に基づいてハンドオーバ先候補を決定するハンドオーバ先候補選択手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る無線端末装置においては、前記ハンドオーバ制御手段は、接続中の基地局から取得した隣接基地局に係る通信環境情報に基づいて、ハンドオーバ先候補になり得る基地局に係る前記無線通信手段を起動し、ビーコン信号を受信させることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る無線端末装置においては、前記受信状態測定手段は、ビーコン信号の受信電界強度を測定することを特徴とする。
本発明に係る無線端末装置においては、前記ビーコン信号の受信電界強度の測定結果に基づいて、該受信電界強度の変動が閾値以内にあるかを評価する評価手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る無線端末装置においては、前記受信状態測定手段は、ビーコン信号の損失を測定することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る無線端末装置においては、前記データベース化手段は、前記ビーコン信号から当該無線ネットワークシステムの通信サービス情報を取得し、前記ハンドオーバ制御手段は、無線ネットワークシステムの通信サービス情報と自無線端末装置のサービス受信ポリシーに基づいて基地局を選択することを特徴とする。
本発明に係る無線端末装置においては、前記通信サービス情報は、利用可能な通信帯域幅を表すことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る無線端末装置においては、無線端末装置間で通信するピアツーピア通信手段を設け、無線端末装置間で通信環境情報を交換することを特徴とする。
本発明に係る無線端末装置においては、前記交換した通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補を選択するハンドオーバ先候補選択手段を備えたことを特徴とする。
なお、ピアツーピア通信で得られた隣接無線端末装置の通信環境情報は、無線端末装置又は基地局でデータベース化されることで、安定度の悪いネットワークをハンドオーバ先候補から除外する処理において利用可能となる。これにより、無線端末装置は安定度の悪いネットワークへのハンドオーバを避けることができ、短時間の接続のみで元のネットワークまたは別のネットワークへハンドオーバしてしまうようなハンドオーバの繰り返しが頻繁に起きることを防ぐ効果が得られる。
【0013】
本発明に係る無線ネットワークシステムは、無線端末装置と無線通信する基地局を備えた無線ネットワークシステムにおいて、前記基地局が無線端末装置から受信した隣接基地局に係る通信環境情報をデータベースに蓄積するデータベース化手段を設け、前記基地局は、自基地局を介して前記無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報を無線端末装置が取得するためのビーコン信号を定期的に送信するビーコン信号送信制御手段と、ハンドオーバの要求が発生した無線端末装置からの要求に応じて、前記データベース内の隣接基地局に係る通信環境情報を返答するハンドオーバ制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る無線ネットワークシステムにおいては、前記データベース化手段は、各基地局に具備されることを特徴とする。
本発明に係る無線ネットワークシステムにおいては、前記データベース化手段は、基地局以外の他のネットワークエンティティに具備されることを特徴とする。なお、この場合、データベース化手段は基地局を経由あるいは他のネットワークを経由して基地局以外の他のネットワークエンティティでデータベースを構成するものであってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ハンドオーバ先となり得る基地局を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報に基づいて、ハンドオーバ先候補となる基地局を決定することができる。これにより、ハンドオーバ後の無線ネットワークシステムにおいても安定的に通信サービスを受けられることが期待でき、異種ネットワーク間ハンドオーバ時における通信サービスの継続性が向上するという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る無線システム全体の構成を示す概念図である。図1において、複数の無線ネットワークシステム#1,#2,#3が設けられている。これら無線ネットワークシステムとしては、例えば、セルラーネットワーク(Cellular Network)、無線LAN(Wireless Local Area Network:WLAN)、無線MAN(Wireless Metropolitan Area Network:WMAN)などが挙げられる。
【0017】
各無線ネットワークシステム#1,#2,#3は、基地局としてのアクセスポイント装置(AP)2を備える。アクセスポイント装置2(以下、AP_2と称する)は、移動局としての無線端末装置(UE)1と無線通信する。無線端末装置1(以下、UE_1と称する)は、複数の無線ネットワークシステムの各々に対応する通信インタフェースを有し、各無線ネットワークシステムのAP_2と無線通信することができる。
【0018】
図1において、UE−0_1が無線ネットワークシステム#1のAP−c_2と接続中である。なお、UE−0_1と接続中のAP−c_2以外のAP_2のことをAP−n_2と称する。
【0019】
図2は、本実施形態に係るUE_1の構成を示すブロック図である。図2において、UE_1は、複数の通信インタフェース11と測定部12と観測データベース(観測DB)13と制御部14を有する。UE_1は、複数の無線ネットワークシステムの各々に対応する通信インタフェース11を有する。通信インタフェース11は、当該無線ネットワークシステムのAP_2との間で無線信号を送受する。該無線信号は、AP_2が定期的に送信するビーコン信号を含む。
【0020】
測定部12は、通信インタフェース11がAP_2から受信したビーコン信号に基づいて、通信環境情報を取得する。該通信環境情報は、該AP_2を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報である。通信環境情報としては、例えば、受信電界強度、受信レベルの高低安定度、UE_1の接続数、利用可能な通信帯域レベルなどの情報が挙げられる。以下、通信環境情報のことを「コンテクスト」と称する場合がある。
【0021】
ビーコン信号は、ビーコン信号のシーケンス番号(“Sequence Num”)、当該AP_2が属する無線ネットワークシステムの識別子(“Network ID”)、当該無線ネットワークシステムの種類を示すメディア識別子(“Media ID”)、ビーコン信号の送信間隔(“Interval Time”)、当該AP_2の名称である基地局識別子(“AP ID”)、当該AP_2が管理しているUE_1の個数(“MNs Num”)、利用可能な通信帯域レベル(“Band Use Level”)などの情報を有する。
【0022】
“Sequence Num”はビーコン信号の受信の損失に関する安定度の測定に利用可能である。“Network ID”は、ハンドオーバ先となる無線ネットワークシステムの識別および契約連携の有無の確認に利用可能である。“Media ID”は、UE_1において受信可能か否かの判断に利用可能である。“Media ID”は、主にAP_2で管理される。“Interval Time”は、“Sequence Num”とともに利用し、ビーコン信号の損失の測定に利用可能である。
【0023】
“Band Use Level”は、当該無線ネットワークシステムが提供可能な通信サービスの情報であり、自UE_1のサービス受信ポリシーに合うか否かの判断に利用可能である。“Band Use Level”は、例えば映像配信サービスであれば、高画質、中画質、低画質などの提供可能な画像品質を表す。
【0024】
UE_1のサービス受信ポリシーとしては、例えば、以下に示す「最大」、「平均」、「最低」の3段階からなるものが挙げられる。
【0025】
「最大」:各無線ネットワークシステムで提供可能な通信品質(転送レート等)が最大となるようにするポリシーである。各無線ネットワークシステムが提供できる最大転送レートは異なるため、無線ネットワークシステム間でハンドオーバするごとに通信品質が異なる可能性があるが、各無線ネットワークシステムで提供可能な最大通信品質で通信サービスの提供を受けるようにするものである。
【0026】
「平均」:ハンドオーバを行っても通信品質が平均的となるように調整するポリシーである。各無線ネットワークシステムで同じような転送レートあるいは画像品質となるように、契約関係にある事業者間ネットワークの提供能力と勘案し、通信品質を決定するものである。
【0027】
「最低」:通信料が安ければよいというポリシーである。通信品質は低くても通信内容がわかる程度であればよいというレベルのものである。
【0028】
また、ハンドオーバ先候補のAP_2が属する無線ネットワークシステムが自UE_1のサービス受信ポリシーに適合するか否かの判断では、該AP_2の端末収容能力及びリアルタイム通信収容能力などを考慮する。AP_2の端末収容能力は、AP_2が接続できるUE_1の数であり、高い通信品質を要求するUE_1と接続すると、その分、接続できるUE_1の数が減少する。AP_2のリアルタイム通信収容能力は、QoS等の要求条件が厳しいリアルタイム通信の要求転送レートを維持する能力である。
【0029】
観測データベース13は、測定部12で取得された通信環境情報を蓄積する。通信環境情報は、AP_2毎に、レコード更新時刻とともに観測データベース13に蓄積される。
【0030】
制御部14は、通信環境情報送信制御機能とハンドオーバ制御機能を有する。通信環境情報送信制御機能は、観測データベース13内の通信環境情報を接続中のAP_2に送信する。ハンドオーバ制御機能は、ハンドオーバの要求発生時に、接続中のAP_2から隣接AP_2に係る通信環境情報を取得し、該取得した通信環境情報と観測データベース13内の通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補となるAP_2を決定する。また、制御部14は、AP_2から取得した通信環境情報を観測データベース13に格納する。
【0031】
図3は、本実施形態に係るAP_2の構成を示すブロック図である。図3において、AP_2は、通信インタフェース21とネットワークデータベース(ネットワークDB)22と制御部23を有する。通信インタフェース21は、UE_1との間で無線信号を送受する。該無線信号は、自AP_2が送信するビーコン信号を含む。
【0032】
ネットワークデータベース22は、UE_1から受信した隣接AP_2に係る通信環境情報を蓄積する。ネットワークデータベース22は、隣接AP_2毎に、AP_2の基地局識別子、無線ネットワークシステムの識別子、ハンドオーバ実績数、自無線ネットワークシステムとの契約上の連携の有無、自AP_2からの推定距離、閾値以内の期間(短時間)の接続のみで元のネットワークまたは別のネットワークへハンドオーバした無線端末装置の有無などの情報を蓄積する。無線ネットワークシステム間の契約上の連携がある場合には、無線ネットワークシステム同士が相互に接続可能であり、異種ネットワーク間における通信サービスの継続的提供を行うことができる。自AP_2からの推定距離は、接続中のUE_1で測定された受信電界強度のレベル値で表すことができる。
【0033】
制御部23は、ビーコン信号送信制御機能とハンドオーバ制御機能を有する。ビーコン信号送信制御機能は、ビーコン信号を定期的に放送形式で送信する。ハンドオーバ制御機能は、ハンドオーバの要求が発生したUE_1からの要求に応じて、ネットワークデータベース22内の隣接AP_2に係る通信環境情報を返答する。
【0034】
以下、本実施形態に係る実施例を挙げながら、UE_1及びAP_2の動作を説明する。
【実施例1】
【0035】
図4、図5は、本実施形態に係る実施例1である。図4及び図5を参照して、実施例1に係る動作を説明する。なお、図中、ハンドオーバ(Handover)の略称として「HO」を使用する。
UE−0_1は、各AP−n_2からのビーコン信号を受信し、該受信したビーコン信号から通信環境情報を取得し、該取得した通信環境情報を観測データベース13に蓄積する。AP−c_2は、UE−0_1に対してクエリを送信し、UE−0_1の通信環境情報を要求する(ステップS1)。このクエリ送信タイミングは、AP−c_2独自のスケジューリングである。AP−c_2は、例えば自己のリソースの余剰がある場合にクエリの送信を行うなど、端末の接続に関する性能が劣化する等の悪影響がでないようにクエリ送信タイミングを制御する。
【0036】
UE−0_1は、AP−c_2からのクエリに応じて、観測データベース13内の通信環境情報を返答する(ステップS2)。このとき、AP−c_2に対して既に通信環境情報を提供している場合は、前回提供時から更新されたデータがある場合にのみ、通信環境情報を送信する。
【0037】
AP−c_2は、該返答された通信環境情報によってネットワークデータベース22を更新する。ネットワークデータベース22の更新は、返答された通信環境情報に含まれるUE−0_1でのレコード更新時刻を基準にして行う。AP−c_2は、接続中のため管理下にある各UE−x_1に対して順次、クエリを送信し、その返答により取得された通信環境情報をネットワークデータベース22に蓄積する。この通信環境情報は、AP−c_2の隣接AP_2に係る情報である。これにより、AP−c_2は、隣接する無線ネットワークシステムを把握することができる。
【0038】
UE−0_1は、ハンドオーバの要求発生時に、AP−c_2に対して通信環境情報を要求する(ステップS3)。AP−c_2は、その要求に応じて、ネットワークデータベース22内の通信環境情報を返答する(ステップS4)。
【0039】
UE−0_1は、その返答された通信環境情報及び観測データベース13内の通信環境情報に基づいて、ハンドオーバ先候補となるAP−n_2を決定する(ステップS5)。図5の例ではAP−n1_2がハンドオーバ先候補に決定される。
【0040】
UE−0_1は、ハンドオーバ先候補のAP−n1_2との間でネゴシエーション処理(ネットワーク系認証処理)を行う。その後、ハンドオーバ先候補のAP−n1_2とAP−c_2との間でネゴシエーション処理(サービス系認証処理)が行われる。UE−0_1は、それらのネゴシエーション処理が成功すると、ハンドオーバを実行し、AP−c_2に対してハンドオーバを通知する(ステップS6)。
【0041】
AP−c_2は、そのハンドオーバ通知に応じて、UE−0_1とのセッションを終了する。これにより、UE−0_1はハンドオーバ先候補のAP−n1_2とのセッションを開始する。
【0042】
図6は、実施例1に係るAP_2とUE_1の位置関係の例である。各AP_2は、図6中に示される通信エリア(カバーエリア)を有する。AP−c_2のカバーエリアは実線で、その他のAP−n1〜n5_2のカバーエリアは破線で、それぞれ示されている。図6の位置関係に対応するAP−c_2のネットワークデータベース22の例が図7に示されている。図7においては、通信環境情報として、受信電界強度の情報(5段階のレベル値)を利用している。
【0043】
図7に示されるように、AP−c_2は管理下にあるUE−0_1、UE−1_1(AP−n1_2のビーコン信号受信可能)、UE−2_1(AP−n1,n2_2のビーコン信号受信可能)、UE−3_1(AP−n2_2のビーコン信号受信可能)及びUE−5_1(AP−n4_2のビーコン信号受信可能)などから、通信環境情報を収集することにより、他のAP_2(AP−n1,n2,n4,n5_2)の存在を知ることができる。なお、図6中には、AP−c_2の管理下であってAP−n5_2のカバーエリア内に在るUE_1は存在しないが、過去に存在していたUE_1からの通信環境情報によってAP−n5_2の存在が把握されている。
なお、図6の位置関係の例では、AP−c_2は、通常、AP−n3_2、UE−4_1及びUE−6_1の存在を把握できないが、何らかの手段によってそれらと関連するUE_1と通信環境情報を交換することができれば、それらの存在を把握することが可能となる。
【0044】
なお、本実施例1では、AP−c_2から管理下のUE−x_1に対して通信環境情報を要求したが、UE−x_1の方から自発的にAP−c_2に通信環境情報を提供するようにしてもよい。その提供タイミングとしては、例えば、更新情報があるとき、UE−x_1のリソースが比較的空いているとき、定期的などが挙げられる。
【実施例2】
【0045】
図8、図9は、本実施形態に係る実施例2である。図8及び図9を参照して、実施例2に係る動作を説明する。図8は、実施例2に係るAP_2とUE_1の位置関係の例である。各AP_2は、図8中に示される通信エリア(カバーエリア)を有する。AP−c_2のカバーエリアは実線で、その他のAP−n1〜n4_2のカバーエリアは破線で、それぞれ示されている。
実施例2では、UE_1は、UE_1間で通信が可能なピアツーピア通信機能を有し、図8に示されるようにUE_1間で通信環境情報を交換する。ピアツーピア通信の対象となるピア(UE_1)は、自己がAP_2に対して通信環境情報を要求する際に、ピアツーピア通信モードを示すフラグを設定する。ある無線ネットワークシステムに接続中のピア(UE_1)は、他の無線ネットワークシステムから当該無線ネットワークシステムに移動してきたピア(UE_1)がピアツーピア通信モードを示すフラグを設定しているときのみ、該UE_1間でピアツーピア通信し、ハンドオーバ直前に接続していたAP_2の通信環境情報を交換する。
【0046】
ピアツーピア通信モードで通信環境情報を要求するUE_1は、フラグ(オン)及び自己の最新のハンドオーバ実行時刻を要求先のUE_1へ送信する。該要求を受信したUE_1は、受信したハンドオーバ実行時刻よりも後に、自己がハンドオーバを実行している場合にのみ、自己の通信相手のUE_1及びAP_2に通信環境情報を返答する。
【0047】
図8の位置関係に対応するAP−c_2のネットワークデータベース22の例が図9に示されている。図9においては、通信環境情報として、受信電界強度の情報(5段階のレベル値)を利用している。
図9に示されるように、AP−c_2は管理下にあるUE−0_1、UE−1_1(AP−n1_2のビーコン信号受信可能)、UE−2_1(AP−n1,n2_2のビーコン信号受信可能)、UE−3_1(AP−n2_2のビーコン信号受信可能)及びUE−5_1(AP−n4_2のビーコン信号受信可能)などから、通信環境情報を収集することにより、他のAP_2(AP−n1,n2,n3,n4_2)の存在を知ることができる。ここで、UE−5_1は、ピアツーピア通信によりUE−4_1から通信環境情報を取得し、AP−c_2に該情報を提供している。これにより、AP−c_2は、AP−n3_2及びUE−4_1の存在を知ることができる。
【0048】
図10は、図8のUE−4_1の観測データベース13の例である。図10に示されるように、UE−4_1は、ビーコン信号が受信可能なAP−n3,n4_2に加えて、ビーコン信号が受信不可能なAP−c_2の存在を把握することができる。これは、UE−4_1がピアツーピア通信によりUE−5_1から通信環境情報を取得したためである。UE−4_1は、連続的に通信サービスが提供できない場合であっても、そのUE−5_1からの通信環境情報に基づいて、さらに移動すれば適切なAP_2があり再度通信サービスを受信できることを利用者に示すことができる。
【実施例3】
【0049】
図11、図12、図13は、本実施形態に係るUE_1が行うハンドオーバ先候補決定方法の一実施例の手順を示すフローチャートである。図11、図12及び図13を参照して実施例3に係る動作を説明する。なお、ここでは、AP−c_2に接続中のUE−0_1がハンドオーバ先候補を決定することとする。
【0050】
まず図11において、ステップS101では、接続中の無線ネットワークシステムを観測する。ステップS102では、一定間隔で、ビーコン信号の受信電界強度を測定時刻とともに観測データベース13に記録する。
【0051】
ステップS103では、ビーコン信号の受信電界強度の安定度を判定する。この結果、ビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好である場合(ステップS103、OK)はステップS101に戻り、ハンドオーバの要求なしとなる。一方、ビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好でない場合(ステップS103、NG)はステップS104に進み、ハンドオーバの要求発生となる。
ステップS103におけるビーコン信号の受信電界強度の安定度判定処理では、受信電界強度の閾値判定または受信電界強度の変動率の閾値判定を行う。受信電界強度が閾値以下であるときはビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好でないと判定し、受信電界強度が閾値超過であるときはビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好であると判定する。受信電界強度の変動率が閾値超過であるときはビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好でないと判定し、受信電界強度の変動率が閾値以下であるときはビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好であると判定する。なお、受信電界強度の閾値判定と受信電界強度の変動率の閾値判定の両方を行う場合には、「受信電界強度が閾値以下である」または「受信電界強度の変動率が閾値超過である」のいずれか一方を満たすときにビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好でないと判定し、「受信電界強度が閾値超過である」かつ「受信電界強度の変動率が閾値以下である」ときにビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好であると判定する。
【0052】
ステップS104では、UE−0_1の通信インタフェース11を起動し、現在接続中のAP−c_2以外のAP−n_2からのビーコン信号を探索する。このとき、AP−c_2に対して利用可能な隣接無線ネットワークシステムを問合せし、この返答に基づいて起動する通信インタフェース11を決定することが効率的であり望ましい。AP−c_2は、隣接無線ネットワークシステムの接続に関するデータベースを有し、該データベースを参照してUE−0_1からの「利用可能な隣接無線ネットワークシステムの問合せ」に返答する。
【0053】
ステップS105では、受信可能なビーコン信号が存在するか判断する。この結果、受信可能なビーコン信号が存在する場合はステップS106に進む。一方、受信可能なビーコン信号が存在しない場合はステップS104に戻り、他の通信インタフェース11を試す。
【0054】
ステップS106では、受信可能なビーコン信号(以下、処理対象ビーコン信号と称する)の測定を行い、その結果を測定時刻とともに観測データベース13に記録する。この後、図12のステップS107に進む。
【0055】
次いで、図12のステップS107では、処理対象ビーコン信号の連続受信の検出を行う。ここでは、受信した処理対象ビーコン信号に含まれるシーケンス番号が連続しているか否かを検出する。ステップS108では、ステップS107の検出結果に基づいて、処理対象ビーコン信号の受信安定度を計算する。ステップS109では、その受信安定度が閾値以下であるか判定する。この結果、受信安定度が閾値超過である場合はステップS110に進む。一方、受信安定度が閾値以下である場合は、図11のステップS118に進んで別の無線ネットワークシステムの測定を行う。
【0056】
ステップS110では、処理対象ビーコン信号の受信電界強度の安定度を判定する。この結果、処理対象ビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好である場合(ステップS110、OK)はステップS111に進む。一方、処理対象ビーコン信号の受信電界強度の安定度が良好でない場合(ステップS110、NG)は、図11のステップS118に進んで別の無線ネットワークシステムの測定を行う。
【0057】
ステップS111では、処理対象ビーコン信号の受信電界強度の変化量を計算する。ステップS112では、該受信電界強度の変化量が、一定期間における過去の測定データと比較して最大であるか判定する。この結果、該受信電界強度の変化量が一定期間における過去の測定データと比較して最大である場合は、図13のステップS113に進む。一方、そうではない場合は、図11のステップS118に進んで別の無線ネットワークシステムの測定を行う。
【0058】
次いで、図13のステップS113では、ある期間における処理対象ビーコン信号の受信電界強度の変化量(区間平均変化量)を測定する。ビーコン信号は一定間隔で送信されているので、電波伝播上の一時的な受信電界強度の変化に対応するために、ある時点を基準にして連続10回のビーコン信号受信を1群とし、受信電界強度の測定を行う。そして、その測定を数群行ったときの平均的な変化量および傾向を求める。この結果は、ハンドオーバ先候補の決定に利用される。従って、例えば、無線ネットワークシステム(A)のビーコン測定を10回、無線ネットワークシステム(B)のビーコン測定を10回、無線ネットワークシステム(C)のビーコン測定を10回、・・・、一巡して無線ネットワークシステム(A)のビーコン測定を10回というように数回巡回して測定し、無線ネットワークシステム毎の変化量を取得してゆく。
【0059】
次いで、ステップS114では、区間平均変化量の測定結果を判定する。ここでは、区間平均変化量が閾値内で安定しているか否かと区間平均変化量の増減傾向とを判定する。
この結果、区間平均変化量が閾値内で安定している、または、区間平均変化量がマイナス方向に減少傾向である場合は、ステップS115に進み、当該無線チャネルのAP−n_2をハンドオーバ先候補として使用しないと判定する。これは、当該AP−n_2の通信エリアを判定した結果、安定度の悪い無線ネットワークシステムであると判断できることから、当該AP−n_2をハンドオーバ先候補から除外している。ステップS115の後、図11のステップS118に進んで別の無線ネットワークシステムの測定を行う。
一方、ステップS114の結果、区間平均変化量がプラス方向に増加傾向である場合はステップS116に進む。
【0060】
ステップS116では、ある期間内に処理対象ビーコン信号の受信電界強度が閾値を越えるか判定する。この結果、受信電界強度が閾値を越えた場合は、ステップS117に進み、当該無線チャネルのAP−n_2をハンドオーバ先候補に決定する。一方、受信電界強度が閾値を越えない場合には、図11のステップS118に進んで別の無線ネットワークシステムの測定を行う。
【0061】
なお、自UE_1のサービス受信ポリシーに基づいて、さらにハンドオーバ先候補を選択するようにしてもよい。
【実施例4】
【0062】
図14〜図17は、本実施形態の実施例4に係るビーコン信号の構成を示す図である。
図14は、ビーコン信号の構成を示す図である。ビーコン信号は、基本部500と第1拡張部510と第2拡張部520とHMAC部530を有する。
図15は基本部500のデータ構成を示す図である。基本部500は、ビーコン信号のシーケンス番号と、ビーコン信号発信元のAP_2が属するサービスドメインの識別番号(ドメインID)と、ビーコン信号発信元のAP_2が管理するセル(無線通信範囲)の識別番号(ネットワークID)と、ビーコン信号の送信間隔を示す送信間隔情報と、ビーコン信号発信元のAP_2の識別子(AP_ID)を有する。
【0063】
図16は第1拡張部510のデータ構成を示す図である。第1拡張部510は、ビーコン信号発信元のAP_2の稼働率を示す稼働率情報と、ビーコン信号発信元のAP_2が提供する利用可能な帯域レベルの種類を示す帯域レベル情報を有する。
【0064】
図17は第2拡張部520のデータ構成を示す図である。第2拡張部520は、ビーコン信号発信元のAP_2のIPアドレス(APアドレス)と、ビーコン信号発信元のAP_2が管理するネットワークのプレフィックス(ネットワークプレフィックス)と、ビーコン信号が生成された時刻を示すタイムスタンプと、ビーコン信号発信元のAP_2からのメッセージオプションの情報を有する。これら第2拡張部520のデータは暗号化されている。この暗号鍵は、認証共通鍵Kをハッシュ関数により変換したハッシュ値(MAC鍵)である。認証共通鍵Kは、UE_1の加入契約時にネットワーク事業者から支給されたものであり、全加入者に共通である。
【0065】
HMAC部530は、HMAC(keyed-hash message authentication code)データを有する。HMACデータは、基本部データと第1拡張部データと第2拡張部データ(暗号化データ)を連結したデータを、MAC鍵を用いてハッシュ化したハッシュ値である。
【0066】
次に、実施例4に係るUE_1が行うビーコン信号の評価方法を説明する。
まず、制御部14が、通信インタフェース11を起動する。これにより、通信インタフェース11が、UE_1から送信されるビーコン信号の受信を開始する。次いで、測定部12が、通信インタフェース11によるビーコン信号受信状況を観測する。この観測項目は、受信電界強度、受信安定度などである。
【0067】
次いで、測定部12が、通信インタフェース11によって受信された最初のビーコン信号に対し、HMACデータを検査する。認証共通鍵Kは予めUE_1に具備しておく。その検査に合格した場合、測定部12は、ビーコン信号から第1拡張部データ510を取得し、第1拡張部データ510に含まれる稼働率情報及び帯域レベル情報に基づいて、ビーコン信号発信元のAP_2がハンドオーバ候補となり得るか判定する。なお、稼働率情報は、AP_2が管理しているUE_1の個数(“MNs Num”)に対応した情報である。また、帯域レベル情報は、AP_2で利用可能な通信帯域レベル(“Band Use Level”)を表す。
【0068】
次いで、測定部12は、ビーコン信号発信元のAP_2がハンドオーバ候補となり得る場合、ビーコン信号から第2拡張部データ520を取得し、第2拡張部データ520を暗号鍵により復号する。この暗号鍵は、認証共通鍵Kをハッシュ関数により変換したハッシュ値である。復号の結果、測定部12は、第2拡張部データ520からAPアドレスとネットワークプレフィックスを取得して記録する。ここで、測定部12は、自UE_1のホームネットワークに在るホームエージェント(HA:home agent)に対し、第2拡張部データ520から取得したネットワークプレフィックスに係るネットワーク接続情報を問合せ、返答されたネットワーク接続情報をハンドオーバ候補の判定材料としてもよい。
【0069】
測定部12は、2回目以降のビーコン信号の受信に対しては、一定期間において受信状況の観測を行い、受信安定度の判定および間欠的にHMACデータの検査を行う。測定部12は、その受信安定度の判定結果およびHMACデータの検査結果に基づいて、再度、ビーコン信号発信元のAP_2がハンドオーバ候補となり得るか判定する。
【0070】
次いで、測定部12は、再度の判定の結果、ビーコン信号発信元のAP_2がハンドオーバ候補となり得る場合、通信インタフェース11によって受信されたビーコン信号に対し、最初のビーコン信号受信時と同様に、HMACデータの検査、稼働率情報及び帯域レベル情報に基づいたビーコン信号発信元AP_2に係るハンドオーバ候補判定、第2拡張部データ520の復号、並びにAPアドレスとネットワークプレフィックスの取得、を行う。そして、測定部12は、今回取得したAPアドレスとネットワークプレフィックスを、最初のビーコン信号受信時に取得して記録したAPアドレスとネットワークプレフィックスと比較し、両者が一致するかの正当性評価を行う。
【0071】
次いで、測定部12は、その正当性評価の結果、問題なし(比較結果が一致)である場合、制御部14に対し、ハンドオーバ先情報としてAPアドレスとネットワークプレフィックスを通知する。これにより、制御部14が、該自身のインタフェースIDとネットワークプレフィックスを用いて、気付アドレスの生成など、必要なネットワーク設定を行う。
【0072】
以上が本実施形態に係る実施例のいくつかの説明である。
【0073】
上述したように本実施形態によれば、ハンドオーバ先となり得るAP−n_2を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報に基づいて、ハンドオーバ先候補となるAP−n_2を決定することができる。これにより、ハンドオーバ後の無線ネットワークシステムにおいても安定的に通信サービスを受けられることが期待でき、異種ネットワーク間ハンドオーバ時における通信サービスの継続性が向上するという効果が得られる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述した実施形態では、ネットワークデータベース22がAP_2内に設けられているが、ネットワークデータベース22はAP_2とは別のサーバ装置内に設けられてもよい。この場合、AP_2は通信回線を介して該サーバ装置に接続し、ネットワークデータベース22にアクセスする。なお、コスト的に具現化が可能であり、ネットワークの処理速度が実用上耐えられる性能にあれば、AP_2とは別のネットワークエンティティでネットワークデータベース22を構成することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線システム全体の構成を示す概念図である。
【図2】同実施形態に係るUE_1の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態に係るAP_2の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る実施例1である。
【図5】本発明に係る実施例1である。
【図6】実施例1に係るAP_2とUE_1の位置関係の例である。
【図7】実施例1に係るネットワークデータベース22の例である。
【図8】本発明の実施例2に係るAP_2とUE_1の位置関係の例である。
【図9】実施例2に係るネットワークデータベース22の例である。
【図10】実施例2に係る観測データベース13の例である。
【図11】本発明の実施例3に係るハンドオーバ先候補決定方法の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例3に係るハンドオーバ先候補決定方法の手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施例3に係るハンドオーバ先候補決定方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】ビーコン信号の構成を示す図である。
【図15】図14に示す基本部500のデータ構成を示す図である。
【図16】図14に示す第1拡張部510のデータ構成を示す図である。
【図17】図14に示す第2拡張部520のデータ構成を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1…無線端末装置(移動局)、2…アクセスポイント装置(基地局)、11,21…通信インタフェース(無線通信手段)、12…測定部、13…観測データベース、14,23…制御部、22…ネットワークデータベース、#1,#2,#3…無線ネットワークシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線ネットワークシステムの各々に対応して設けられる無線通信手段と、
前記無線ネットワークシステムの基地局から送信されたビーコン信号に基づいて、該基地局を介して該無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報を取得し、該通信環境情報をデータベースに蓄積するデータベース化手段と、
前記データベース内の通信環境情報を接続中の基地局に送信する通信環境情報送信制御手段と、
ハンドオーバの要求発生時に、接続中の基地局から隣接基地局に係る通信環境情報を取得し、該取得した通信環境情報と前記データベース内の通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補となる基地局を決定するハンドオーバ制御手段と、
を備えたことを特徴とする無線端末装置。
【請求項2】
前記ハンドオーバ制御手段は、前記ビーコン信号の受信状態を測定する受信状態測定手段を有し、ビーコン信号の受信状態に基づいてハンドオーバ先としての基地局の安定度を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線端末装置。
【請求項3】
前記受信状態測定手段のデータ、または前記受信状態測定手段のデータと接続中の基地局が持つ隣接ネットワークの接続に関するデータベースを参照してハンドオーバ先候補のネットワークの安定度を推定し、この推定結果に基づいてハンドオーバ先候補を決定するハンドオーバ先候補選択手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の無線端末装置。
【請求項4】
前記ハンドオーバ制御手段は、接続中の基地局から取得した隣接基地局に係る通信環境情報に基づいて、ハンドオーバ先候補になり得る基地局に係る前記無線通信手段を起動し、ビーコン信号を受信させることを特徴とする請求項3に記載の無線端末装置。
【請求項5】
前記受信状態測定手段は、ビーコン信号の受信電界強度を測定することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項6】
前記ビーコン信号の受信電界強度の測定結果に基づいて、該受信電界強度の変動が閾値以内にあるかを評価する評価手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の無線端末装置。
【請求項7】
前記受信状態測定手段は、ビーコン信号の損失を測定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項8】
前記データベース化手段は、前記ビーコン信号から当該無線ネットワークシステムの通信サービス情報を取得し、
前記ハンドオーバ制御手段は、無線ネットワークシステムの通信サービス情報と自無線端末装置のサービス受信ポリシーに基づいて基地局を選択する、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項9】
前記通信サービス情報は、利用可能な通信帯域幅を表すことを特徴とする請求項8に記載の無線端末装置。
【請求項10】
無線端末装置間で通信するピアツーピア通信手段を設け、
無線端末装置間で通信環境情報を交換することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の無線端末装置。
【請求項11】
前記交換した通信環境情報に基づいてハンドオーバ先候補を選択するハンドオーバ先候補選択手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載の無線端末装置。
【請求項12】
無線端末装置と無線通信する基地局を備えた無線ネットワークシステムにおいて、
前記基地局が無線端末装置から受信した隣接基地局に係る通信環境情報をデータベースに蓄積するデータベース化手段を設け、
前記基地局は、
自基地局を介して前記無線ネットワークシステムに接続したときの通信環境に係る情報を無線端末装置が取得するためのビーコン信号を定期的に送信するビーコン信号送信制御手段と、
ハンドオーバの要求が発生した無線端末装置からの要求に応じて、前記データベース内の隣接基地局に係る通信環境情報を返答するハンドオーバ制御手段と、を有する、
ことを特徴とする無線ネットワークシステム。
【請求項13】
前記データベース化手段は、各基地局に具備されることを特徴とする請求項12に記載の無線ネットワークシステム。
【請求項14】
前記データベース化手段は、基地局以外の他のネットワークエンティティに具備されることを特徴とする請求項12に記載の無線ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−50898(P2010−50898A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215469(P2008−215469)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年5月15日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報 Vol.108 No.44」に発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年7月10日 社団法人電子情報通信学会発行の「電子情報通信学会技術研究報告 信学技報 Vol.108 No.134」に発表
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】