説明

無線通信システム、及びチャネル割当方法

【課題】干渉条件から基地局が用いるべき周波数チャネルを決定し、システムスループットの増加を図る。
【解決手段】集中制御局10は、接続された複数の基地局AP1〜AP9の各々において測定された干渉状況を取得して、各チャネルにおける干渉量の総和が低くなるように、複数のチャネルのそれぞれに各基地局AP1〜AP9を割り当てる。このとき、一のチャネルに対して全ての基地局AP1〜AP9の中で最も干渉量の多い基地局を除く基地局を割り当てて、当該最も干渉量の多い基地局から順に他方のチャネルに割り当てることを、所定の基準を満たすまで繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信において、互いに隣接する複数のセルの各基地局に対して、システム全体の干渉量が低減するようにチャネル割当を行う無線通信システム、及びチャネル割当方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2.4GHz帯、または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などに基づいたアクセスポイント(基地局装置)が広く普及している。これらの規格に基づいたシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。
【0003】
なお、ここでの伝送速度とは、物理レイヤ上での伝送速度である。ユーザにとって有効なデータのスループットは、MAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるために、30Mbps程度が上限値となっている。
【0004】
一方、有線LAN(Local Area Network)の通信速度もFTTH(Fiber to the home)の普及から、上昇の一途を辿っており、今後、無線LANにおいても更なる伝送速度の高速化が求められることが想定される。無線区間のスループット増大のために、MIMO(Multiple Input Multiple Output)や、マルチユーザMIMOなど様々な空間信号処理技術が検討されているが、もう一つの方法として、通信周波数帯域の拡大が行なわれている。IEEE802.11aでは、各チャネル20MHzの周波数帯域が用いられていたが、IEEE802.11nでは、40MHz、IEEE802.11acでは、オプションを含めると、160MHzまで検討されており、チャネルの帯域拡大が進んでいる。
【0005】
このように、チャネルの周波数帯域は、IEEE802.11aから11acまでで、8倍に拡大しているが、無線LANに用いることのできる周波数帯域全体としては、大きな拡張は認められていない。よって、無線端末の普及に伴い、周波数資源は、十分でなくなりつつあり、複数の無線基地局(AP:Access point、以下、基地局という)が同じ周波数帯域を用いる環境が増加している。このため、基地局が選択したチャネルによっては、オーバーラップする基地局からのパケット信号の影響のため、スループットが低下したり、システム全体のスループット効率が低くなったりする問題があった。
【0006】
次に、従来の周波数チャネル選択の問題点について説明する。
図23は、従来の無線アクセスシステムの構成を示すブロック図である。図23において、無線アクセスシステムは、近接エリアに位置している9個の基地局AP1〜AP9からなる。位置関係に応じて、互いの信号の干渉量は異なるものとし、ここでは、上下、及び斜めの1つ隣りの基地局同士は、互いの送信信号が最小検出感度より、十分高いレベルで観測されることとし(実線の矢印)、上下の2つ隣りの基地局からの受信信号は、検出感度より高いレベルで観測されることもあるが、最小検出感度以下で受信される場合もある、一部スループットに影響を与える関係であることを示し(点線の矢印)、それより遠い基地局の信号は互いに聞こえないものとしている。
【0007】
基地局AP1、AP3、AP7、AP9においては、はっきり聞こえる実線の矢印の関係となる基地局(干渉関係の基地局)は3つ、干渉が聞こえる場合がある点線の矢印の関係となる基地局(弱干渉関係の基地局)は2つとなる。基地局AP2、AP4、AP6、AP8においては、干渉関係の基地局が5つと、弱干渉関係の基地局が1つとなる。そして、基地局AP5は、干渉関係の基地局を8つ有することとなる。
【0008】
図24は、無線アクセスシステムでのチャネル配置を示す概念図である。図23で説明した条件で、図24に記載のチャネル配置から自セルの端末と通信する周波数チャネルを選択する。図24のチャネル配置は、IEEE802.11の5GHz帯で用いることができる帯域を示したものである。用いることのできる最小の周波数帯域を20MHzとし、40MHz、80MHz、160MHzの帯域を用いることができることとしている。図24で示されたチャネルA〜ηの中から、それぞれが自基地局の通信セルのスループットを最大化するようにチャネルを選択することを考える。このような条件では、各基地局AP1〜AP9ができるだけ広い周波数帯域を用いるように動作し、チャネルAまたチャネルはBのうち、いずれかを選択することとなる。
【0009】
ここで、全ての基地局AP1〜AP9が同時に設置されることは考えにくいため、基地局AP1から順に基地局AP9まで、1つずつ電源が入り、セットアップがなされることを考える。基地局AP1がセットアップされると、いずれの周波数も使われていないため、チャネルAかチャネルBを選ぶことができるが、ここでは、チャネルAを選ぶものとする。次に、基地局AP2がセットアップされ、空きチャネルであるチャネルBを選択する。
【0010】
次に、基地局AP3がセットアップされると、基地局AP1が弱干渉関係であるため、再びチャネルAを選択する。ここまでは空きチャネルをもとに、使用するチャネルを選択できるが、基地局AP4〜AP9は、チャネルAもBもいずれも使われているために、ランダムにチャネルを選択せざるを得ない。ところが、各基地局AP1〜AP9の通信セルで用いられるスループットや、時間的なスループットの増減の関係によっては、スループットが偏った周波数チャネルA、またはBで、システムスループットの低下が生じることとなる。また、選択結果においては、ある基地局から見て、互いに視聴範囲にいない、独立に動作する複数の基地局が存在するチャネルを選択することで、当該基地局のスループットの低下が生じることも問題となる。例えば、図23の例で、基地局AP1、AP5、AP9がチャネルAを選択した場合、基地局AP1とAP9は、互いに送信信号が見えないため、独立に動作するが、基地局AP5から見ると、CSMA/CAや、RTS/CTSのようなMACプロトコルに従わずに両基地局が動作しているように見えるため、アクセス権がとりにくくなる問題が生じる。
【0011】
ここでは、無線LANを例に示したが、用いることのできる周波数チャネルに対し、基地局の数が多く、基地局が自律的にチャネルを決定するいかなるシステムでも同様の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−74097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、自律的に周波数チャネルを取得する基地局の数に対し、利用できる周波数チャネルの数が十分に存在しない環境では、自律的に周波数を選択する場合に、当該基地局のキャリアセンス機能ではランダム選択となってしまい、選択された周波数チャネルによって、用いている端末数やスループットの全体量に偏りが生じ、システムスループットが高くならないという問題があった。
【0014】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、複数の基地局全体のスループットを増大することができる無線通信システム、及びチャネル割当方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明は、複数の基地局装置に対して通信に用いるチャネルを割り当てる無線通信システムであって、複数の基地局装置に接続された集中制御局を備え、集中制御局は、各基地局装置から通知される干渉情報を収集する干渉情報収集手段と、干渉情報収集手段により収集された干渉情報から、干渉量が最小化されるように、各基地局装置のチャネル割り当てを決定するチャネル割り当て決定手段と、チャネル割り当て決定手段によって決定された割り当てチャネルを、各基地局装置に通知するチャネル通知手段とを備え、各基地局装置は、通信に用いるチャネルを、チャネル通知手段によって通知されたチャネルに変更するチャネル変更手段を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、集中制御局が、基地局装置毎に、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することにより干渉量が軽減されるか否かを評価する干渉量増減判定手段を更に備え、前記チャネル割り当て決定手段は、前記干渉量増減判定手段によって干渉量が低下すると評価された場合に、評価結果に基づいて当該基地局装置のチャネルの割り当てを更新することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、集中制御局が、各基地局装置に割り当てられたチャネルが、より周波数帯域の狭いチャネルに分割可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より大きいか否かを判定するチャネル分割判定手段と、チャネル分割判定手段によって干渉量が閾値より大きいと判定された場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割し、チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル細分化分配手段と、チャネル細分化分配手段によって再分配されたチャネル配置において、より周波数帯域の広いチャネルに統合可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より小さいか否かを判定するチャネル統合判定手段と、チャネル統合判定手段によって干渉量が閾値より小さいと判定された場合に、チャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル統合分配手段とを更に備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、集中制御局が、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅から決定されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量とから算出されるスループットの指標が増大するかを、各基地局装置について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段と、干渉・ペナルティ増減判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、基地局装置のチャネルを変更するチャネル変更情報更新手段と、チャネル変更情報更新手段によって決定されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か否か、またはスループット指標が増加可能か否かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段と、チャネル周波数帯域変更判定手段によって干渉量とペナルティの和が低減可能であると判定された場合、またはスループット指標が増加可能であると判定された場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段とを更に備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、集中制御局が、各基地局装置が通知する、干渉情報と、通信相手となる端末の周波数帯域機能とを収集する干渉情報・端末機能収集手段と、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅と通信相手となる端末の周波数帯域機能とから計算されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量から算出されるスループットの指標が増大するかを、各基地局装置について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段と、干渉・ペナルティ増減判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、基地局装置のチャネルを変更するチャネル変更手段と、チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か、または、スループットの指標が増加可能かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段と、チャネル周波数帯域変更判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低減可能であると判定された場合、または、スループットの指標が増加可能であると判定された場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段とを更に備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記チャネル周波数帯域変更判定手段は、前記チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明は、前記チャネル周波数帯域変更判定手段は、前記チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、当該基地局装置の干渉量の評価値を増大させるか、新たなペナルティを加えた上で、干渉量とペナルティとの和が低下するか判定し、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、集中制御局が、複数の基地局装置に対し、同一のチャネルを用いることを指定する干渉検出チャネル決定手段を更に備え、複数の基地局装置は、各々、集中制御局に指定されたチャネルを用いて、互いの通信の干渉情報について測定する干渉情報測定手段と、干渉情報測定手段によって得られた干渉情報を、集中制御局に通知する干渉情報出力手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、複数の基地局装置に対して通信に用いるチャネルを割り当てるチャネル割当方法であって、複数の基地局装置の各々に接続された集中制御局が、各基地局装置から通知される干渉情報を収集する干渉情報収集ステップと、干渉情報収集ステップで収集された干渉情報から、干渉量が最小化されるように、各基地局装置のチャネル割り当てを決定するチャネル割り当て決定ステップと、チャネル割り当て決定ステップで決定された割り当てチャネルを、各基地局装置に通知するチャネル通知ステップと、各基地局装置が、通信に用いるチャネルを、チャネル通知手段によって通知されたチャネルに変更するチャネル変更ステップとを含むことを特徴とするチャネル割当方法である。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、集中局によって、基地局が取得する周波数チャネルを制御することにより、制御された基地局全体のスループットを増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の無線アクセスシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本第1実施形態のケース#1における、9個の基地局AP1〜AP9間の干渉条件について、集中制御局(AC)10で情報を収集した結果を示す概念図である。
【図3】本第1実施形態のケース#1における、9個の基地局AP1〜AP9間の干渉状況の一例を数値で示す概念図である。
【図4】本第1実施形態(ケース#1)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図5】本第1実施形態(ケース#1)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図6】本第1実施形態(ケース#1)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図7】本第1実施形態(ケース#1)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図8】本第1実施形態のケース#2における、9個の基地局AP1〜AP9間の干渉状況の一例を数値で示す概念図である。
【図9】本第1実施形態(ケース#2)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図10】本第1実施形態(ケース#2)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図11】本第1実施形態(ケース#2)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。
【図12】本第2実施形態において、各基地局AP1〜AP9から選択したチャネルにおける干渉関係について報告させた結果を示す概念図である。
【図13】本第2実施形態において、基地局AP4をチャネルBに変更した場合の干渉関係を示す概念図である。
【図14】本第3実施形態による、帯域が異なる場合のペナルティの一例を示す概念図である。
【図15】本第3実施形態において、基地局AP5をチャネルAに割り当てた結果を示す概念図である。
【図16】本第4実施形態において、チャネルAとチャネルEへ基地局AP1〜AP9を割り当てた場合の端末の機能を考慮したペナルティの値を示す概念図である。
【図17】本第5実施形態において、チャネルを細分化して割り当てた場合の干渉関係示す概念図である。
【図18】第1実施形態に対応する第1の方法を説明するためのフローチャートである。
【図19】第2実施形態に対応する第2の方法を説明するためのフローチャートである。
【図20】第5実施形態に対応する第3の方法を説明するためのフローチャートである。
【図21】第3実施形態に対応する第4の方法を説明するためのフローチャートである。
【図22】第4実施形態に対応する第5の方法を説明するためのフローチャートである。
【図23】従来の無線アクセスシステムの構成を示すブロック図である。
【図24】無線アクセスシステムでのチャネル配置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
無線通信において、複数の無線セルが近接し、かつ、周波数チャネルの数が少ない場合には、各無線セル間で干渉が生じる。この場合における技術的課題の一つとして、各基地局に対する周波数チャネルの割当てを、システム全体の干渉量が低減するように行うことがある。本発明では、複数の基地局に接続された集中制御局が、各基地局において測定された干渉状況を取得して、各チャネルにおける干渉量の総和が低くなるように複数のチャネルのそれぞれに各基地局を割り当てる。特に、一のチャネルに対して全ての基地局の中で最も干渉量の多い基地局を除く基地局を割り当てて、当該最も干渉量の多い基地局から順に他方のチャネルに割り当てることを、所定の基準を満たすまで繰り返すことが特徴である。かかる構成により、基地局の数に対してチャネルの数が少ない環境においても、システム全体の干渉量を少なくするチャネル割当が可能となる。
【0027】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、本発明の無線アクセスシステムの構成を示すブロック図である。図1において、無線アクセスシステムは、従来技術と同様に、近接エリアに位置している9個の基地局AP1〜AP9からなり、さらに、各基地局の互いの干渉状況を収集し、基地局間の干渉が小さくなるように、各基地局にチャネルを割り当てるための制御を行う集中制御局(AC:Access control)10を備えている。すなわち、本発明の集中制御局10は、複数の基地局に対し、同一のチャネルを用いることを指定する干渉検出チャネル決定手段を備える。また、複数の基地局は、各々、集中制御局10に指定されたチャネルを用いて、互いの通信の干渉情報について測定する干渉情報測定手段を備える。また、複数の基地局は、各々、得られた干渉情報を、集中制御局10に通知する干渉情報出力手段を備える。全ての基地局AP1〜AP9は、集中制御局10に接続されている。以下、第1実施形態として、2つのケース(ケース#1とケース#2)について説明する。
【0029】
A.第1実施形態
A−1.ケース#1
第1実施形態は、集中制御局10に接続された各基地局AP1〜AP9が互いの干渉状況を集中制御局10に報告し、集中制御局10が基地局AP1〜AP9間の干渉が小さくなるように、各基地局AP1〜AP9にチャネルを割り当てることを特徴とする。特に、各基地局AP1〜AP9間の干渉を一斉に取得するため、干渉状況を収集する際には、全ての基地局AP1〜AP9が同一のチャネルを使用する。
【0030】
本第1実施形態において、集中制御局10は、基地局から通知される干渉情報を収集する干渉情報収集手段と、収集した干渉情報から、干渉量が最小化されるように、基地局のチャネルの割り当てを決定するチャネル割り当て決定手段と、決定したチャネルを、基地局に通知するチャネル通知手段とを備える。一方、基地局は、通信に用いるチャネルを、集中制御局10から通知されたチャネルに変更するチャネル変更手段を備える。
【0031】
図2は、本第1実施形態のケース#1における、9個の基地局AP1〜AP9間の干渉条件について、集中制御局(AC:Access controller)10で情報を収集した結果を示す概念図である。図2では、検出した基地局AP1〜AP9の情報を○とし、レベルがやや弱いが検出可能な基地局AP1〜AP9の情報を△としている。横軸で○や、△が多い基地局ほど、他の基地局の通信セルとオーバーラップしており、スループットが低下しやすい基地局であることを示す。○と△を区別せず、干渉関係にあるか否かで判断することもできる。
【0032】
すなわち、図3(a)は、基地局AP1〜AP6のグループと、基地局AP7〜AP9とが互いに独立である例を示す概念図である。このように、互いに影響しないグループが存在する場合には、それぞれ独立に周波数チャネルの割り当ての評価を行うことができる。また、図3(b)のように、基地局AP7のみが基地局AP1〜AP6のグループの少数の基地局と関連がある場合でも、演算負荷軽減のため基地局AP1〜AP6と基地局AP7〜AP9とを独立のグループとして扱うこともできる。
【0033】
ここから、図2に示すように、基地局AP1〜AP9が独立なグループを含まない場合に、チャネルの割り当てをどのように行うかについて説明する。
【0034】
図4(a)、(b)乃至図7(a)、(b)は、本第1実施形態(ケース#1)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。まず、図2に示すような関係が得られた場合に、最も近隣の基地局に影響を受けている基地局を見ると、基地局AP5が該当し、干渉関係の基地局(○)が8個存在しているため、この基地局AP5にチャネルに割り当てる。システムスループットを高めるため、図24に示す周波数チャネルのうち、最も帯域が広いチャネルAまたはBに割り当てる。ここでは、チャネルBに割り当てるものとする。また、残りの基地局をチャネルAに割り当てるものとする。
【0035】
次に、基地局AP2、AP4、AP6、AP8が干渉関係にある基地局、および弱干渉関係にある基地局の和が最も多いことが図4(a)、(b)より分かる(網かけ部分が当該チャネルから除外された基地局による干渉状況を示すことになる)。これら干渉関係が多いものから1つを、チャネルAから除外し、チャネルBに割り当てる。ここでは、基地局AP2をチャネルBへ移す。すると、図5(a)、(b)に示すように相互関係が更新される。
【0036】
ここで、チャネルAとBにおける干渉関係の基地局の数が、図4(a)、(b)に示す状態のときと比べると、チャネルAで干渉関係と弱干渉関係36個から26個に減少し、チャネルBでは0個から2個に増加している。干渉関係と弱干渉関係の和の合計について著しく改善しているのが分かる。図5(a)において、基地局AP8の干渉関係が4つ残っており、最も大きいことが分かる。よって、基地局AP8をチャネルAからチャネルBへ移動すると、さらに、図6(a)、(b)のように、干渉関係及び弱干渉関係の数が、チャネルAで26個から18個に減少し、チャネルBで2個から6個に増加している。しかし、全体で干渉関係の数は、大きく減少させたことが分かる。このように、干渉関係、もしくは弱干渉関係の和の数を最小化することで、チャネルの割り当てを決定することができる。
【0037】
また、図6(a)に示すチャネルAから、さらに干渉関係の多い基地局を除去することを考える。○と△の和が多いものから選択することができるが、チャネルAでは、全て○と△の数の和が同数のため、○と△にそれぞれ重みづけして得られる値を用いることができる。信号が強いレベルで受信される○に重きをおくと、○2△1の条件の基地局AP4、AP6が選択され、信号が弱いレベルで受信される△に重きを置くと、○1△2の条件の基地局AP1、AP3、AP7、AP9が選択される。
【0038】
信号が強い方が、通信パケットがはっきり受信され、スループットへの影響が大きい場合もあるが、信号が弱い関係の基地局の方が、隠れ端末や、さらし端末などの効果でスループットを大きく低下させる場合もある。ここでは、○に重きを置き、○2△1のAP4、AP6のいずれかをチャネルBへ移すことを考える。いずれの基地局も選ぶことができる。図7(a)、(b)には、基地局AP4をチャネルAからチャネルBへ移動した結果を示している。
【0039】
チャネルAにおける○と△の和は11、チャネルBでは、12となっており、総和は24から、23に若干減少している。ここで、図7(a)、(b)のように、チャネルAとチャネルBへの配置を決定することもできるが、最小改善干渉関係数を定義しておき、この数より小さい改善効果しかない場合には、チャネル間の基地局の移動を行わないように制御することもできる。図6(a)、(b)の例で、最小改善干渉関係係数が4であったとすると、図7(a)、(b)では、干渉関係の総和が1しか改善していない。この場合、図6(a)、(b)でチャネル割り当てを終了し、各基地局AP1〜AP9に対応する周波数チャネルを知らせることができる。
【0040】
A−2.ケース#2
次に、ケース#2について、図8を参照して説明する。
図8は、本第1実施形態のケース#2における、9個の基地局AP1〜AP9間の干渉状況の一例を数値で示す概念図である。また、図9(a)、(b)乃至図11(a)、(b)は、本第1実施形態(ケース#2)によるチャネルの割り当てを説明するための概念図である。図8において、数字は左列に記載した基地局にとって自通信セルにとって邪魔になっている基地局とその邪魔をされている度合いとを示している。つまり、列成分の数字の和は、最上段の行に記載の基地局が他の基地局を邪魔している影響力の大きさ(与干渉量)を表し、行成分の数字の和は、左端の列記載の基地局が、邪魔されている影響力の大きさ(被干渉量)を示すものである。
【0041】
図2によるオーバーラップのみを考慮する場合では、与干渉量と被干渉量とは同じと考えているのと等化であり、列方向を考慮する必要はなかった。しかし、ケース#2では、各基地局の通信のデータ量の違いなどにより、与干渉と被干渉とをそれぞれ定義できる。干渉量は、各基地局で測定した他の基地局とその配下の端末のパケットの時間に占める割合や、通信を行おうとした際に邪魔になったパケットを送信していた基地局とその配下の端末の割合や、頻度、他の基地局に属する端末の数、および、集中制御局(AC)10から、接続されている各基地局へ送信または受信したデータ量のいずれか、またはそれらの組み合わせにより得られる通信を邪魔している(邪魔されている)指標である。
【0042】
例えば、2行1列目、基地局AP2と基地局AP1とのクロス部分の数字「15」は、基地局AP2が基地局AP1から邪魔されている大きさを表す。また、1行2列目の基地局AP2と基地局AP1とのクロス部分の数字「10」は、基地局AP1が基地局AP2から邪魔されている大きさを表す。これらの指標を各基地局において評価したのち、集中制御局(AC)10へ伝えることもできるし、集中制御局(AC)10において、基地局からフィードバックされた他の基地局の通信状況に対する情報から算出することもできる。すなわち、集中制御局(AC)10は、基地局毎に、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することにより干渉量が軽減されるか否かを評価する干渉量増減判定手段を備える。さらに、集中制御局(AC)10のチャネル割り当て決定手段は、干渉量増減判定手段によって干渉量が低下すると評価された場合に、評価結果に基づいてその基地局装置のチャネルの割り当てを更新する。
【0043】
図8から、全ての基地局AP1〜AP9を同じ周波数チャネルとした場合には、基地局AP4が最も他の基地局の通信の邪魔となっていることが、表の最下段の行から分かる。よって、基地局AP4とその他の基地局をそれぞれチャネルBとチャネルAに図9(a)、(b)に示すように割り当てる。このようにすることで、最も通信に影響を与えていた基地局AP4が図9(a)から削除されるため、最右列に記載の被干渉量の和が、図8における基地局AP4の与干渉量の和(320)と基地局AP4が受けていた被干渉の和(104)との総和(424)だけ、減少しているのが分かる。
【0044】
図9(a)、(b)では、チャネルAとチャネルBで干渉量および、AP数が不均衡であるため、さらにチャネルAからチャネルBへ割り当てる基地局を選択する。選択の指針は、チャネルBに割り当てることで生じる干渉量が、チャネルAから当該基地局を外すことにより得られる干渉量の減少量より小さいものを選択する。ここで、基地局AP4と互いに干渉条件になっていない基地局は、基地局AP3と基地局AP9であることが分かる。そこで、図10(a)、(b)のように、基地局AP3と基地局AP9をチャネルBに割り当てることができる。図9(a)で、チャネルAの干渉量の和は、676(=39+97+45+157+121+67+51+99)であったが、図10(a)で357(=24+52+105+69+63+44)に大きく減少している。これに対しチャネルBの干渉量の和は0から23に微増しているものの、チャネルAの改善量よりずっと小さい。
【0045】
さらに、集中制御局(AC)10は、チャネルAからチャネルBに変更するべき基地局がいるかを検討する。基地局AP1、AP2、AP5、AP6、AP7、AP8について、それぞれチャネルAから外すことで得られる干渉量の減少は、最下段の行に示す与干渉量と最右列の被干渉量との和から分かり、34+24=58、35+52=87、45+105=160、54+69=123、29+63=92、160+44=204、となっている。チャネルBに加えることで増加する干渉量は、選択した基地局に対応する斜線で示された領域の列方向と行方向とでの干渉量の和とることで得られ、基地局AP1が20+75=95、基地局AP2が20+105=125、基地局AP5が27+112=139、基地局AP6が46+72=118、基地局AP7が14+64=78、基地局AP8が100+67=167となっている。すなわち、前者引く後者で得られる干渉量の減少量は、それぞれ−37、−38、21、5、14、37であり、基地局AP8をチャネルBに加えることで得られる効果が大きいことが分かる。
【0046】
図11(a)、(b)は、基地局AP8をチャネルBに加えたことにより得られる干渉関係を示す概念図である。さらに、チャネルAからチャネルBに変更するべき基地局がいるか検証する。基地局AP1、AP2、AP5、AP6、AP7のチャネルAから外すことによる干渉量の減少量は、34+24=58、30+42=72、36+55=91、36+19=55、17+13=30である。また、チャネルBに加わることによる干渉量の増加量は、20+75=95、25+115=140、36+162=198、64+122=186、26+114=140である。
【0047】
干渉量の減少効果は、−37、−68、−107、−131、−110であり、いずれを移動しても干渉量が増加することが分かり、図11(a)、(b)のチャネル配置を各基地局AP1〜AP9に通知し、チャネル割り当てを決定することができる。
【0048】
または、ここまでの干渉量の評価値として、与干渉量と被干渉量との和を指標として用いたが、与干渉量、または被干渉量のいずれかを用いてチャネル割り当てを決定することもできる。
【0049】
また、予め干渉量改善効果の最小考慮値を定義しておき、この値よりも大きく干渉量を改善しない場合には、チャネル割り当てを変更しないこともできる。例えば、ここで、最少考慮値が、40と設定されていた場合に、図10(a)、(b)で基地局AP8をチャネルAからチャネルBへ移動する際の干渉量の改善量38は十分でなく、図10(a)、(b)のチャネル割り当てを各基地局に通知することもできる。
【0050】
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
上述した第1実施形態では、各基地局AP1〜AP9が同一のチャネルを使用して互いの干渉状況を取得していた。これに対して、本第2実施形態では、各基地局AP1〜AP9が現在用いているチャネルにおける干渉状況を取得することにある。すなわち、基地局AP1〜AP9は、基本動作として独立に使用するチャネルを決定し、決定したチャネルにおける干渉条件について、集中制御局(AC)10に報告する。または、第1実施形態でチャネル割り当てを行った後、割り当てられたチャネルのみを使って運用し、割り当てられたチャネルのみの干渉関係が明らかになった状態に対応させる。
【0051】
図12(a)、(b)は、本第2実施形態において、各基地局AP1〜AP9から選択したチャネルにおける干渉関係について報告させた結果を示す概念図である。図12(a)、(b)には、基地局AP1、AP3、AP4、AP6、AP7、AP8がチャネルAを選択し、基地局AP2、AP5、AP9がチャネルBを選択した状態を表し、各AP1〜AP9から選択したチャネルにおける干渉関係について報告させた結果を示している。ケース#1とは異なり、同じチャネルにおける干渉条件についてしか報告できないため、表が完全には埋まらない。ケース#2の状態であっても、ケース#1と同様に干渉量が小さくなるように基地局のチャネルの変更を設定することができる。
【0052】
図12(a)、(b)において、チャネルAとチャネルBにおける各基地局の干渉量(与干渉量と被干渉量の和)をみると、基地局AP4の干渉量が最も大きい(200+87=287)。このため、基地局AP4をチャネルBに変更することができる。ケース#1との違いは、基地局AP4をチャネルBに変更することで、チャネルBにおいて増大する干渉量を評価することが難しい点である。基地局AP4をチャネルBに変更した後、チャネルBの干渉量の増加を評価し、チャネルAでの干渉量の減少に比べチャネルBの干渉増大によるスループット低下が大きい場合には、基地局AP4をチャネルAに戻すこともできる。
【0053】
または、基地局AP4がチャネルAからチャネルBへ変更することを決定すると、集中制御局(AC)10が基地局AP4にチャネルBに移動した際の干渉条件を調査させることもできる。この場合、配下の端末には、チャネルを変更することを伝えず、基地局AP4が受信帯域幅を広げるか、または、通信セルにおいて送信の禁止(NAV:Network Allocation Vector)を通知し、この区間に他チャネルの干渉を測定することもできる。このようにして、チャネルBの干渉条件を測定することで、予めチャネルBへ移動した場合の被干渉量を測定できる。チャネルBへ変更することで、被干渉量が小さくなるかを評価し、被干渉量が小さくなる場合に、チャネルBへ変更できる。変更した後、与干渉量の情報がチャネルBを用いる基地局AP4以外の基地局から得られるので、被干渉量と与干渉量との和から、チャネルAでの干渉量の減少に比べチャネルBの干渉増大によるスループット低下が大きい場合には、基地局AP4をチャネルAに戻すこともできる。
【0054】
図13(a)、(b)は、基地局AP4をチャネルBに変更した場合の干渉関係を示す概念図である。干渉量の指標は、基地局AP4をチャネルAから外すことにより287減少し、チャネルBに加えることで139増加し、システム全体の干渉量の指標を148低下させることができたことが表わされている。さらに、他の基地局をチャネルAからチャネルBへ、またはチャネルBからチャネルAへ変更するべきかについては、特定の優先すべき基地局の干渉量のみを考慮したり、チャネルに属している基地局の数の差を用いたり、チャネルに属している単位周波数あたりの基地局の数の差を用いたり、各チャネルで集中制御局(AC)10と基地局との間でやり取りされたデータビット量の差を用いて評価することができる。
【0055】
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態では、それぞれのチャネルの間に差異がある場合について説明する。すなわち、2つのチャネルの周波数帯域が異なる場合、例えば、チャネルAとチャネルEの間で基地局の割り当てを考える場合に、チャネルEの帯域が狭いことによるスループットの減少を考慮して、チャネルの広さに応じてペナルティを加える。
【0056】
すなわち、本第3実施形態における集中制御局10は、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅から決定されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量とから算出されるスループットの指標が増大するかを、各基地局装置について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段を備える。また、集中制御局10は、干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、当該基地局のチャネルを変更するチャネル変更手段を備える。
【0057】
また、集中制御局10は、決定されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か否か、またはスループット指標が増加可能か否かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段を備える。また、集中制御局10は、干渉量とペナルティの和が低減可能であると判定された場合、またはスループット指標が増加可能であると判定された場合に、当該チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、当該複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段を備える。
【0058】
図14(a)、(b)は、本第3実施形態による、帯域が異なる場合のペナルティの一例を示す概念図である。チャネルEは、チャネルAの半分の帯域のため、チャネル割り当てを考えるために、チャネルEの与干渉量にペナルティ「100」を加えている。この条件では、チャネルAとチャネルEとの全体で、与干渉量と被干渉量とペナルティとの和が最も大きくなるのは、基地局AP4で、120+19+100=239となり、基地局AP4をチャネルAに割り当てることもできる。または、基地局AP4を元々チャネルAから移動してきた場合、基地局AP4をチャネルAに割り当てた際の与干渉量と被干渉量とが分かっている。このため、チャネルAに基地局AP4を割り当てると、被干渉量と与干渉量とが148増加するため、ペナルティを考慮してもチャネルAに割り当てる効果が低く、これを割り当てないこともできる。
【0059】
または、被干渉量とペナルティとの和を基準にして、チャネルの割り当て変更を考えることもできる。図14(b)で被干渉量とペナルティとの和が最も大きいのは、基地局AP5であるため(177)、これをチャネルAに移動することができる。
【0060】
図15(a)、(b)は、本第3実施形態において、基地局AP5をチャネルAに割り当てた結果を示す概念図である。チャネルEから基地局AP5を外すことで、干渉量+ペナルティを27+77+100=204減らすことができ、チャネルAに加えることで、干渉量とペナルティとの和が185増えているが、全体で、干渉量とペナルティとの和を19減らすことができたことが分かる。このようにして、帯域の違いも考慮した上で、基地局へのチャネル割り当てを決定することができる。
【0061】
または、スループットを、使用するチャネルの帯域幅、または用いることができるOFDMのサブキャリア数と、当該チャネルでの干渉情報とを用いて評価することもできる。検討しているチャネルの帯域幅、または使用できるOFDMのサブキャリア数をBとすると、j番目の基地局のスループットの評価値Tは、次式(1)として計算ができる。
【0062】
【数1】

【0063】
εは検討しているチャネルにおける干渉量の指標であり、干渉関係数を用いてもよいし、図8に示されるような与干渉量や、被干渉量、それらの和などを用いてもよい。f(ε)はεの関数であり、干渉条件が大きいほど、小さい値をとるように設定される。このようにして計算されるスループットの指標を各基地局で計算し、この和を最大化するように、基地局のチャネルを決定することができる。
【0064】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本第4実施形態では、第3実施形態において与干渉として与えるペナルティを、基地局の配下の端末の能力と割り当てられた帯域幅とに応じてそれぞれ与える。すなわち、本第4実施形態の集中制御局10は、各基地局が通知する、干渉情報と、通信相手となる端末の周波数帯域機能とを収集する干渉情報・端末機能収集手段を備える。また、集中制御局10は、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅と通信相手となる端末の周波数帯域機能とから計算されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量から算出されるスループットの指標が増大するかを、各基地局について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段を備える。
【0065】
また、集中制御局10は、干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、当該基地局のチャネルを変更するチャネル変更手段を備える。また、集中制御局10は、変更されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か、または、スループットの指標が増加可能かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段を備える。
【0066】
また、集中制御局10は、干渉量とペナルティとの和が低減可能であると判定された場合、または、スループットの指標が増加可能であると判定された場合に、当該チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、当該複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段を備える。
【0067】
例えば、図24に示すチャネル割り当てにおいて、160MHzの帯域が割り当てられたとしても、基地局の配下の端末が40MHzまでしかサポートしていなければ、当該通信セルは、40MHzまでしか使うことはできない。よって、例えば、ペナルティの大きさを、160MHzで0、80MHzで100、40MHzで200、20MHzで400とした場合、基地局配下の端末が40MHzまでのサポートであれば、割り当てられた帯域が80MHz〜160MHzであってもペナルティを200と設定できる。また、基地局の配下の端末の機能の割合に応じて、ペナルティの値を柔軟に設定することもできる。
【0068】
このとき、各基地局は、配下の端末の周波数帯域の機能情報について集中制御局(AC)10に通知する。例えば、基地局AP2の配下の端末が4台あり、それぞれ20MHz、40MHz、80MHz、160MHzをサポートしている場合、これらの端末を160MHzのチャネルに割り当てる際のペナルティを、得られるペナルティの平均(400+200+100)/4=175とすることができる。このとき、80MHzのチャネルに割り当てる場合には、160MHzをサポートする端末も80MHzを用いるので、ペナルティは、(400+200+100+100)/4=200となる。
【0069】
または、通信頻度に応じてペナルティを与えることもできる。例えば、20MHz〜160MHzサポートの端末でそれぞれ、通信頻度が0.2、0.5、0.1、0.2、であったとすると、160MHzのチャネルに割り当てる際のペナルティは、(400×0.2+200×0.5+100×0.1+0×0.2)=190とすることができる。ここで、80MHzのチャネルに割り当てる際のペナルティは、(400×0.2+200×0.5+100×0.1+100×0.2)=210となる。配下の端末がU個あったとし、各端末1〜Uの周波数帯域の機能から決まるペナルティをX〜Xと定義し、通信頻度等から決まる重みづけ係数をρ〜ρとし、割り当てられた周波数帯域から決まるペナルティをXとすると、当該周波数帯域に割り当てる際の基地局のペナルティZは、次式(2)と表すことができる。
【0070】
【数2】

【0071】
図16(a)、(b)は、本第4実施形態において、チャネルAとチャネルEへ基地局AP1〜AP9を割り当てた場合の端末の機能を考慮したペナルティの値を示す概念図である。ペナルティは、数式(1)でρを1/Uとして計算した結果である。基地局AP1は20MHzの端末と80MHzの端末と通信しており、基地局AP2は40MHzの端末と、基地局AP3は80MHzの端末と、基地局AP4は80MHzと160MHzの端末、基地局AP5は160MHzの端末、基地局AP6は160MHzの端末と80MHzの端末、基地局AP7は160MHzの端末、基地局AP8は40MHzの端末、基地局AP9は160MHzと80MHzと40MHzの端末と通信している。
【0072】
よって、基地局AP1〜AP9のペナルティは、(400+100)/2=250、Max(200、100)=200、100、(Max(0、100)+Max(100、100))/2=100、0、(0+100)/2=50、0、200、(Max(0,100)+Max(100、100)+Max(200、100))=150として計算されている。チャネルAのペナルティと被干渉量との和は、362+600=962として表せる。
【0073】
または、数式(1)におけるBを、基地局が通信を行う端末の機能を考慮して算出することで同様の評価を行うことができる。数式(1)のBを、次式(3)として計算ができる。
【0074】
【数3】

【0075】
はj番目の基地局が通信しているi番目の端末の機能で用いることができる周波数帯域幅、または周波数サブキャリア数であり、ρ〜ρは数式(2)と同様、通信頻度等から決まる重みづけ係数である。このようにしてスループットの指標を計算することで、基地局が通信している端末の機能を含めてチャネル割り当てを評価できる。
【0076】
E.第5実施形態
次に、本発明による第5実施形態について説明する。
本第5実施形態は、第4実施形態において、チャネルを細分化して割り当てることを特徴とする。すなわち、本第5実施形態における集中制御局10は、基地局に割り当てられたチャネルが、より周波数帯域の狭いチャネルに分割可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より大きいか否かを判定するチャネル分割判定手段を備える。また、集中制御局10は、干渉量が閾値より大きいと判定された場合に、そのチャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割し、そのチャネルを用いていた基地局を新たなチャネルに再分配するチャネル細分化分配手段を備える。
【0077】
また、集中制御局10は、再分配されたチャネル配置において、より周波数帯域の広いチャネルに統合可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より小さいか否かを判定するチャネル統合判定手段を備える。また、集中制御局10は、干渉量が閾値より小さいと判定された場合に、そのチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル統合分配手段を備える。
【0078】
例えば、チャネルAを80MHzごとのチャネルに分け、チャネルCとチャネルDを用いることを考える。このとき、周波数帯域が半分になるため、数式(2)のXは、チャネルAの0から、100に増加する。すなわち、基地局AP1、AP3、AP5、AP6、AP7、AP8の周波数帯域によるペナルティは、それぞれ、(Max(400、100)+Max(100、100))/2=250、Max(100、100)=100、Max(0、100)=100、(Max(0、100)+Max(100、100))/2=100、Max(0、100)=100、Max(200、100)=100となり、ペナルティは全体で250増加する。
【0079】
次に、基地局間の干渉量を考える。前述のプロセスと同様、チャネルAの基地局をチャネルCとチャネルDに割り当てていく。与干渉量の最も大きい基地局AP8をチャネルCに、それ以外の基地局をチャネルDに割り当て、干渉量の総和が最小になるように割り当てていった結果、基地局AP1、AP3、AP8をチャネルC、基地局AP4、AP5、AP6をチャネルDに割り当てる。
【0080】
図17(a)、(b)は、本第5実施形態において、上述したチャネルを細分化してチャネルCとチャネルDに割り当てた場合の干渉関係示す概念図である。図17(a)、(b)では、被干渉量とペナルティとの総和は、68+850=918となっており、図16(a)、(b)の結果より、この総和の指標を44低下させている。このように、使用するチャネルの帯域、端末の性能の情報を利用して、ペナルティを設定し、適切なチャネル割り当てを決定することもできる。
【0081】
または、チャネルをより細かい周波数帯域に分割するにあたって、ペナルティの改善度だけを用いたり、被干渉量の総和がある値より大きい場合に分割したりすることもできる。
【0082】
また、細分化したチャネルを用いた後、集中制御局(AC)10から細分化されたチャネルのAPへのデータ伝送量が低下したかを判定したり、干渉量の低下を判定したりすることで、元の細分化前の大きなチャネルに戻すかを判定することもできる。
【0083】
F.第6実施形態
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本第6実施形態では、第1実施形態〜第4実施形態に、独立に動作する複数の基地局の信号をある基地局が受信する状況を禁止する、または、独立に動作する複数の基地局の信号をある基地局が受信する状況に対し、ペナルティを付加することを特徴とする。ここで、独立に動作する基地局とは、互いの送信信号を受信できず、独立にCSMA/CAや、RTS/CTSに基づく通信を行う基地局を指す。
【0084】
すなわち、本第6実施形態における集中制御局10は、変更されたチャネル配置において、ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化する、チャネル周波数帯域変更判定手段を備える。
【0085】
各実施形態において決定されたチャネルに対し、本第6実施形態の条件を考慮する例を示す。図7(b)では、チャネルBを用いる基地局がそれぞれ受信可能エリアに存在し、干渉関係にない状態を示す記号「−」が存在しないことが分かる。図7(b)では、独立に動作する基地局は存在しない。しかし、図7(a)では、互いに干渉関係にない「−」が多数存在する。基地局AP1から見ると、基地局AP3とAP7が干渉関係にあるが、基地局AP3、及びAP7は互いに干渉関係にない。このようにある基地局から見て、干渉関係にない複数の基地局を干渉関係にある基地局に含む場合、独立に動作する基地局からの信号を受信する環境にあると言える。よって、本第6実施形態では、図7(a)のチャネルを更に細分化し、互いに独立して動作する複数の基地局信号を受信しないようにチャネル割り当てを決定する。ここでは、基地局AP1とAP7のグループG1と、基地局AP3とAP6とAP9のグループG2に分割し、異なるチャネル、例えばチャネルAを細分化したチャネルCとチャネルDを割り当てることができる。
【0086】
次に、図13の例をみると、図13(a)、及び図13(b)は共に、干渉関係にない条件「−」が多数存在している。図13(a)では、互いに独立に動作する基地局AP3とAP7とが干渉関係にある。よって、チャネルAでは、基地局AP1からなるグループG1、基地局AP3とAP6からなるグループG2、基地局AP7とAP8からなるグループG3に分け、それぞれチャネルを割り当てることができる。チャネルBでは、基地局AP5が基地局AP2、AP4とは独立に動作する(互いに干渉関係にない)基地局AP9を含んでいる。よって、基地局AP2とAP4をグループG1、基地局AP5とAP9をグループG2として分けることで、独立に動作する複数の基地局を含まないように選択することができる。
【0087】
図16(a)では、多数の独立に動作する基地局が存在し、例えば、基地局AP1は、独立に動作する基地局AP3とAP7、基地局AP2は、独立に動作する基地局AP1とAP6を含む。独立に動作する基地局を干渉関係に含まないように、かつ、与干渉、被干渉、ペナルティの和が最小になるチャネル分けを行うことができる。
【0088】
また、本第6実施形態では、変更されたチャネル配置において、ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、当該基地局装置の干渉量の評価値を増大させるか、新たなペナルティを加えた上で、干渉量とペナルティとの和が低下するか判定し、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するチャネル周波数帯域変更判定手段を備える。
【0089】
ゆえに、独立に動作する基地局が存在する場合に、新たにペナルティを加えることができる。例えば、図16(a)の例で、独立に動作する基地局の数×50のペナルティを新たに加えたり、独立に動作する基地局については、被干渉量をH倍にして評価することもできる。Hを2とすると、図16(a)の被干渉量を2倍とし、第4実施形態と同様に、チャネルの細分化を評価することができる。
【0090】
G.各実施形態の動作
上述した第1乃至第5実施形態の動作について、図18〜図23を参照して説明する。
【0091】
G−1.第1実施形態の動作
図18は、第1実施形態に対応する第1の方法を説明するためのフローチャートである。第1の方法では、集中制御局(AC)10は、接続された基地局AP1〜AP9から干渉情報を収集し、図2または図8に示されるような干渉関係の表を取得する(ステップS101)。得られた干渉関係の表から、干渉量(図2の○と△の数や、図8の被干渉量や、与干渉量の和)を最小化するように、各基地局AP1〜AP9が用いるチャネルを決定し(ステップS102)、それらの割り当てを各基地局AP1〜AP9に通知する(ステップS103)。チャネルを通知されると、基地局AP1〜AP9は、指定されたチャネルに切り替え、通信相手の端末と通信を行う(ステップS104)。
【0092】
G−2.第2実施形態の動作
図19は、第2実施形態に対応する第2の方法を説明するためのフローチャートである。第2の方法では、集中制御局(AC)10は、接続された基地局AP1〜AP9から干渉情報を収集し、図2、図3(a)、(b)〜図7(a)、(b)、図8、図9(a)、(b)〜図17(a)、(b)で得られるような干渉関係の表を取得する(ステップS201)。得られた干渉関係の表から、現在、各基地局AP1〜AP9に割り当てられているチャネルを、他のチャネルに割り当てることにより、干渉量が低下するか判定する(ステップS202)。そして、干渉量が低下する場合には(ステップS202のYES)、当該基地局のチャネル情報の変更を通知し(ステップS203)、当該基地局は、使用するチャネルを変更する(ステップS204)。
【0093】
各基地局AP1〜AP9で用いている現状のチャネルは、各基地局AP1〜AP9から通知してもらうこともできるし、集中制御局(AC)10が指定したチャネルを記憶しておくこともできる。このようにして、図4(a)、(b)から図5(a)、(b)、図5(a)、(b)から図6(a)、(b)、図6(a)、(b)から図7(a)、(b)、図9(a)、(b)から図10(a)、(b)、図10(a)、(b)から図11(a)、(b)、図12(a)、(b)から図13(a)、(b)のようにチャネル割り当てを変更できる。
【0094】
G−3.第5実施形態の動作
図20は、第5実施形態に対応する第3の方法を説明するためのフローチャートである。第3の方法では、集中制御局(AC)10は、接続された基地局AP1〜AP9から干渉情報を収集し、図2、図3(a)、(b)〜図7(a)、(b)、図8、図9(a)、(b)〜図17(a)、(b)で得られるような干渉関係の表を取得する(ステップS301)。得られた干渉関係の表から、現在、各基地局AP1〜AP9に割り当てられているチャネルを、他のチャネルに割り当てることにより、干渉量が低下するか否かを判定する(ステップS302)。
【0095】
そして、干渉量が低下する場合には(ステップS302のYES)、当該基地局のチャネル情報を変更する(ステップS303)。次に、チャネル割り当てが決定されると、干渉量が予め定めた閾値を上回り、かつ細分化可能なチャネルが存在するか否かを判定する(ステップS304)。そして、条件を満たすチャネルが存在すると(ステップS304のYES)、当該チャネルを周波数帯域の狭い複数のチャネルに分割し、当該チャネルに割り当てられていた周波数帯域の狭い複数のチャネルに、干渉量が小さくなるように再分配する(ステップS305)。
【0096】
さらに、まとめることで広帯域化が可能な複数のチャネルにおいて、干渉量の総和が予め定めた閾値より小さいか否を判定する(ステップS306)。そして、閾値より小さい統合可能なチャネルが存在する場合には(ステップS306のYES)、当該チャネルを周波数帯域の広いチャネルに変更する(ステップS307)。
【0097】
そして、上記のステップS303、S305、S307で変更されたチャネルを対応する基地局に通知し(ステップS308)、当該基地局は、指定されたチャネルに変更する(ステップS309)。このようにして、図15(a)に示すチャネルAの状態において、被干渉量の和(362)が閾値300より大きいことから、図17(b)のようにチャネルCとチャネルDに分割することもできる。
【0098】
G−4.第3実施形態の動作
図21は、第3実施形態に対応する第4の方法を説明するためのフローチャートである。第4の方法では、集中制御局(AC)10は、接続された基地局AP1〜AP9から干渉情報を収集し、図2、図3(a)、(b)〜図7(a)、(b)、図8、図9(a)、(b)〜図17(a)、(b)で得られるような干渉関係の表を取得する(ステップS401)。集中制御局(AC)10は、基地局AP1〜AP9が用いているチャネルの帯域幅から、各チャネルのペナルティ量を決定し、得られた干渉関係の表と、各チャネルの帯域幅から決定されるペナルティとの大きさから、現在、各基地局AP1〜AP9に割り当てられているチャネルを、他のチャネルに割り当てることにより、干渉量とペナルティとの和が低下するか否かを判定する(ステップS402)。
【0099】
そして、干渉量とペナルティとの和が低下する場合には(ステップS402のYES)、当該基地局のチャネルを変更する(ステップS403)。次に、チャネル割り当てが決定されると、各チャネルを周波数帯域の狭いチャネルに変更するか、または、複数のチャネルを統合して1つの大きなチャネルにすることで、干渉量とペナルティとの和が低下するか否かを判定する(ステップS404)。
【0100】
そして、条件を満たすチャネルが存在すると(ステップS404のYES)、当該チャネルを周波数帯域の狭い複数のチャネルに分割し、当該チャネルに割り当てられていた基地局を周波数帯域の狭い複数のチャネルに割り当てるか、または、複数のチャネルを周波数帯域の広いチャネルに統合し、当該複数のチャネルに割り当てられていた基地局を周波数帯域の広いチャネルに割り当て、干渉量とペナルティの和が小さくなるように再分配する(ステップS405)。
【0101】
集中制御局(AC)10は、当該チャネルの基地局に再割り当てされたチャネルを、対応する基地局に通知し(ステップS406)、当該チャネルの基地局は、指定されたチャネルに変更する(ステップS407)。このようにして、図14(a)、(b)から図15(a)、(b)のように、周波数帯域幅の異なるチャネル間での基地局の割り当てを考慮することができる。
【0102】
G−5.第4実施形態の動作
図22は、第4実施形態に対応する第5の方法を説明するためのフローチャートである。第5の方法では、集中制御局(AC)10は、接続された基地局AP1〜AP9から干渉情報を収集し、図2、図3(a)、(b)〜図7(a)、(b)、図8、図9(a)、(b)〜図17(a)、(b)で得られるような干渉関係の表を取得する(ステップS501)。集中基地局(AC)10は、基地局AP1〜AP9が用いているチャネルの帯域幅と、基地局AP1〜AP9が通信している端末の周波数帯域幅との機能情報から、各基地局AP1〜AP9のペナルティ量を計算する(ステップS502)。
【0103】
次に、得られた干渉関係の表と、各基地局AP1〜AP9の通信を行っている端末帯域幅情報から、現在、各基地局AP1〜AP9に割り当てられているチャネルを、他のチャネルに割り当てることによる、干渉量とペナルティとを計算し、これら干渉量とペナルティとの和が低下するか否か判定する(ステップS503)。そして、干渉量とペナルティとの和が低下する場合には(ステップS503のYES)、当該基地局のチャネルを変更する(ステップS504)。
【0104】
次に、チャネル割り当てが決定されると、各チャネルを周波数帯域の狭いチャネルに変更するか、または、複数のチャネルを統合して1つの大きなチャネルにすることで、各基地局AP1〜AP9の干渉量とペナルティ量とを計算し、干渉量とペナルティとの和が低下するか否かを判定する(ステップS505)。そして、条件を満たすチャネルが存在すると(ステップS505のYES)、当該チャネルを周波数帯域の狭い複数のチャネルに分割し、当該チャネルに割り当てられていた基地局を周波数帯域の狭い複数のチャネルに割り当てるか、または、複数のチャネルを周波数帯域の広いチャネルに統合し、当該複数のチャネルに割り当てられていた基地局を周波数帯域の広いチャネルに割り当て、干渉量とペナルティとの和が小さくなるように再分配する(ステップS506)。
【0105】
集中制御局(AC)10は、当該チャネルの基地局に再割り当てされたチャネルを対応する基地局に通知し(ステップS507)、当該チャネルの基地局は、指定されたチャネルに変更する(ステップS508)。このようにして、図14(a)、(b)から図15(a)、(b)のように、周波数帯域幅の異なるチャネル間での基地局の割り当てを考慮することができる。
【0106】
上述した第1乃至第5実施形態によれば、複数の基地局の周波数チャネルを制御する集中制御局(AC)10において、干渉条件から基地局が用いるべき周波数チャネルを決定し、システムスループットの増加を図ることができる。
【符号の説明】
【0107】
10 集中制御局(AC)
AP1〜AP9 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局装置に対して通信に用いるチャネルを割り当てる無線通信システムであって、
前記複数の基地局装置に接続された集中制御局を備え、
前記集中制御局は、
前記各基地局装置から通知される干渉情報を収集する干渉情報収集手段と、
前記干渉情報収集手段により収集された干渉情報に基づいて、干渉量が最小化されるように、前記各基地局装置のチャネルの割り当てを決定するチャネル割り当て決定手段と、
前記チャネル割り当て決定手段によって決定されたチャネルを、前記各基地局装置に通知するチャネル通知手段と
を備え、
前記各基地局装置は、
通信に用いるチャネルを、前記チャネル通知手段によって通知されたチャネルに変更するチャネル変更手段を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記集中制御局は、
前記基地局装置毎に、現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することにより干渉量が軽減されるか否かを評価する干渉量増減判定手段を更に備え、
前記チャネル割り当て決定手段は、前記干渉量増減判定手段によって干渉量が低下すると評価された場合に、評価結果に基づいて当該基地局装置のチャネルの割り当てを更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記集中制御局は、
前記各基地局装置に割り当てられたチャネルが、より周波数帯域の狭いチャネルに分割可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より大きいか否かを判定するチャネル分割判定手段と、
前記チャネル分割判定手段によって干渉量が閾値より大きいと判定された場合に、当該チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割し、当該チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル細分化分配手段と、
前記チャネル細分化分配手段によって再分配されたチャネル配置において、より周波数帯域の広いチャネルに統合可能である場合に、各チャネルの干渉量が予め定めた閾値より小さいか否かを判定するチャネル統合判定手段と、
前記チャネル統合判定手段によって干渉量が閾値より小さいと判定された場合に、当該チャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル統合分配手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記集中制御局は、
現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅から決定されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量とから算出されるスループットの指標が増大するかを、前記各基地局装置について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段と、
前記干渉・ペナルティ増減判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、当該基地局装置のチャネルを変更するチャネル変更手段と、
前記チャネル変更手段によって決定されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か否か、またはスループット指標が増加可能か否かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段と、
前記チャネル周波数帯域変更判定手段によって干渉量とペナルティの和が低減可能であると判定された場合、またはスループット指標が増加可能であると判定された場合に、当該チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、当該複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記集中制御局は、
前記各基地局装置が通知する、干渉情報と、通信相手となる端末の周波数帯域機能とを収集する干渉情報・端末機能収集手段と、
現在決定されているチャネルの割り当てを他のチャネルに変更することで、使用している周波数帯域幅と通信相手となる端末の周波数帯域機能とから計算されるペナルティと干渉量との和が軽減されるか、または使用している周波数帯域と干渉量から算出されるスループットの指標が増大するかを、各基地局装置について評価する干渉・ペナルティ増減判定手段と、
前記干渉・ペナルティ増減判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低下すると判定された場合、またはスループットの指標が増加すると判定された場合に、当該基地局装置のチャネルを変更するチャネル変更手段と、
前記チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化するか、または、複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合することによって、干渉量とペナルティとの和を低減可能か、または、スループットの指標が増加可能かを判定するチャネル周波数帯域変更判定手段と、
前記チャネル周波数帯域変更判定手段によって干渉量とペナルティとの和が低減可能であると判定された場合、または、スループットの指標が増加可能であると判定された場合に、当該チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに分割、または、当該複数のチャネルを広い周波数帯域のチャネルに統合し、当該チャネルを用いていた基地局装置を新たなチャネルに再分配するチャネル周波数帯域変更分配手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記チャネル周波数帯域変更判定手段は、
前記チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、
ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記チャネル周波数帯域変更判定手段は、
前記チャネル変更手段によって変更されたチャネル配置において、
ある基地局装置に対し、互いに干渉関係にない複数の基地局装置が干渉関係にある場合に、当該基地局装置の干渉量の評価値を増大させるか、新たなペナルティを加えた上で、干渉量とペナルティとの和が低下するか判定し、チャネルを狭い周波数帯域のチャネルに細分化する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記集中制御局は、
前記複数の基地局装置に対し、同一のチャネルを用いることを指定する干渉検出チャネル決定手段を更に備え、
前記複数の基地局装置は、各々、
前記集中制御局に指定されたチャネルを用いて、互いの通信の干渉情報について測定する干渉情報測定手段と、
前記干渉情報測定手段によって得られた干渉情報を、前記集中制御局に通知する干渉情報出力手段と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
複数の基地局装置に対して通信に用いるチャネルを割り当てるチャネル割当方法であって、
前記複数の基地局装置の各々に接続された集中制御局が、各基地局装置から通知される干渉情報を収集する干渉情報収集ステップと、
前記干渉情報収集ステップで収集された干渉情報から、干渉量が最小化されるように、前記各基地局装置のチャネル割り当てを決定するチャネル割り当て決定ステップと、
前記チャネル割り当て決定ステップで決定された割り当てチャネルを、前記各基地局装置に通知するチャネル通知ステップと、
前記各基地局装置が、通信に用いるチャネルを、前記チャネル通知手段によって通知されたチャネルに変更するチャネル変更ステップと
を含むことを特徴とするチャネル割当方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−81089(P2013−81089A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220233(P2011−220233)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】