説明

無線通信システム、無線装置及び保守監視方法

【課題】チェーン接続を想定したアーキテクチャを有する無線装置であっても、該アーキテクチャを損なうことなく、簡易かつ安価なインタフェースで接続でき、無線装置間で保守監視情報を送受信できるようにする。
【解決手段】無線装置及び無線制御装置を有して構成される無線通信システムであって、無線装置は、高速回線と接続するための高速インタフェース部、低速回線と接続するための低速インタフェース部、低速インタフェース部を介して取得したデータを多重化する中間多重処理部を備え、他の無線装置との間で、低速インタフェース部を介して、無線装置の保守監視データを送受信し、低速インタフェース部を介して受信された保守監視データを中間多重処理部で多重化し、無線制御装置との間で、高速インタフェース部を介して、多重化した保守監視データを前記無線制御装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、無線装置及び保守監視方法に関し、特に、例えば遠隔地に設置された無線装置へ信号伝送を行う手段としての高速インタフェースを用いた無線通信システムに好ましく適用される技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムにおいて、無線制御装置と無線装置とが離れた場所に設置され、その間を光ファイバ等の高速回線で結ぶ1対nの接続形態が一般化している。また、無線制御装置と無線装置との間のインタフェース部に、CPRI(Common Public Radio Interface)を用いるケースが増加している。
【0003】
CPRIを用いた無線通信システムの例として、図6に構成図を示すようなものがある。当該システムでは、遠隔設置された無線装置への信号伝送を行う手段として公開されているCPRIを採用している。すなわち、無線通信システムを構成する無線制御装置と無線装置とがCPRIを介して接続され、データ通信を行っている。REC(Radio Equipment Control)は無線制御装置を表し、RE(Radio Equipment)は無線装置を表す。CPRIのインタフェースには、第1無線装置(RE(Master Unit))110と第2無線装置(RE)120を連続接続するチェーン型のインタフェースも用意されており、CPRI信号内部に収容されているユーザデータと保守監視信号を複数の無線装置分中継する機能も有している。
【0004】
図6に示す無線装置の構成及び動作について述べる。無線制御装置8から伝送されたCPRI信号は、インタフェース部(INF)21を介して第1無線装置110に入力する。多重処理部(DEMUX/MUX)3dは、このデータ系列から第1無線装置110に割り当てられた領域のデータを分離し、ユーザデータ(Ud)を無線ユニット(RFU)5rに、保守監視データ(Cd)を監視ユニット(SV Unit)5sに出力する。第2無線装置120やそれ以降にチェーン接続されたその他の無線装置へのCPRIデータはそのまま伝送され、インタフェース部(INF)21bを介して第2無線装置120に転送される。
【0005】
監視ユニット5sは、第1無線装置110内部のユニットの保守監視信号(例えば該無線装置が有する無線ユニット5rの警報信号、該無線装置が有するその他のユニット(Other Unit)5tの警報信号、該無線装置の外部に設置された外部装置(EX Unit)7の警報信号等)を統合し、保守監視データ(Cu)を生成する機能を有する。生成された保守監視データ(Cu)は、同じく無線ユニット5rにて処理されたユーザデータ(Uu)とともに多重処理部(MUX/DEMUX)3uに入力され、第2無線装置120から入力した高速信号に多重処理され、無線制御装置8に送出する。
【0006】
ところで、特許文献1では、低廉なコストで、CPRIを無線制御部と無線部間の内部インタフェースに採用した無線基地局のCPRIリンク障害に対処する手段として、CPRIのベンダ特有領域を用いた回線迂回方式が開示されている。特許文献1の発明では、無線制御部と無線部との間のCPRIリンクの冗長構成を必要とすることなく、また無線制御部と無線部との間のCPRIリンクの伝送容量を増加させることなく、無線制御部と無線部との間の迂回ルートを低廉なコストで構築できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−99137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、CPRIは、複数の無線装置が無線制御装置から比較的離れてチェーン接続される場合のユーザデータや保守監視データを多重可能で優れた方式を提供する。一方で、例えば大きなトラフィックが想定される大都市部に設置された携帯電話基地局等のエリアでは、無線装置が近接して設置される場合が多い。この場合、図7に示すように、無線装置が無線制御装置の近くに設置されるため、各無線装置はチェーン接続ではなくCPRIリンクで無線制御装置に直接接続されるケースが多い。このように各無線装置が無線制御装置と直接接続される場合、チェーン接続用のインタフェース(INF21b)は使用されず、システム的に過剰な構成となってしまう。
【0009】
一方で、無線装置は、無線制御装置のみならず、他の無線装置と接続して保守監視データを送受信できるようにすることが望ましい。無線制御装置とのCPRIリンクに障害がある場合、その接続先の無線装置の保守監視データを無線制御装置に送ることができず、無線制御装置による無線装置異常の把握が困難となってしまうためである。もっとも、上記の構成でもINF21bを用いて無線装置同士を接続することは可能である。しかし、比較的長距離の接続が考慮されたINF21bは、光/電気変換モジュール等の高価なデバイスが用いられることが多く、比較的近くに設置された無線装置を接続するシステム構成としてコスト高となってしまう。したがって、コストを考慮して無線装置を比較的近くに設置する場合には、より安価なインタフェースを用いる必要がある。また、無線制御装置との直接接続及び無線装置同士の接続と、チェーン接続との両方に対応できるようにするため、既存の無線装置の装備(機器内部の実装やチェーン接続のアーキテクチャ)を損なうことなく活用することが好ましい。
【0010】
上記の特許文献1は、低廉なコストで無線制御装置と無線装置間のCPRIリンク障害に対処できるようにすることを目的としたもので、無線装置がチェーン接続でなく無線制御装置にCPRIで直接接続された場合のシステム的な過剰な構成を解消しようとするものではない。また、該接続形態において安価なインタフェースにより無線装置同士を通信させるようとするものではない。
【0011】
そこで、本発明は、チェーン接続を想定したアーキテクチャを有する無線装置であっても、該アーキテクチャを損なうことなく、簡易かつ安価なインタフェースで接続でき、無線装置間で保守監視情報を送受信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明の無線通信システムは、無線装置と、無線装置を監視制御する無線制御装置と、を有して構成される無線通信システムであって、無線装置は、高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、低速インタフェース部を介して取得したデータを多重化する中間多重処理部と、を備え、他の無線装置との間で、低速インタフェース部を介して、無線装置の保守監視データを送受信し、低速インタフェース部を介して受信された保守監視データを中間多重処理部で多重化し、無線制御装置との間で、高速インタフェース部を介して、多重化した保守監視データを前記無線制御装置へ送信する。
【0013】
また、本発明の無線装置は、監視制御を行う無線制御装置とともに無線通信システムを構成する無線装置であって、高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、低速イ
ンタフェース部を介して取得したデータを多重化する中間多重処理部と、を備え、他の無線装置との間で、低速インタフェース部を介して、無線装置の保守監視データを送受信し、低速インタフェース部を介して受信された保守監視データを中間多重処理部で多重化し、無線制御装置との間で、高速インタフェース部を介して、多重化した保守監視データを無線制御装置へ送信する。
【0014】
また、本発明の保守監視方法は、無線装置と、無線装置を監視制御する無線制御装置と、を有して構成される無線通信システムにおける保守監視方法であって、無線装置は、高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、を備え、無線装置において、高速インタフェースを介して、無線制御装置から無線装置の保守監視データを受信して自装置の保守監視データを取得するステップと、低速インタフェース部を介して、他の無線装置から該装置の保守監視データを受信するステップと、取得した自装置の保守監視データと受信した他の無線装置の保守監視データを用いて多重化するステップと、低速インタフェース部を介して、多重化されて生成された保守監視データを他の無線装置に送信するステップと、高速インタフェース部を介して、多重化されて生成された保守監視データを前記無線制御装置へ送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、チェーン接続を想定したアーキテクチャを有する無線装置であっても、該アーキテクチャを損なうことなく、簡易かつ安価なインタフェースで接続でき、無線装置間で保守監視情報を送受信することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る無線通信システムの構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線装置の内部構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る無線装置のデータ多重処理を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線装置のデータ多重処理を説明するための図である。
【図6】CPRIを用いた無線通信システムの一構成例を示す図である。
【図7】CPRIを用いた無線通信システムの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に係る無線通信システムの構成を示した図である。当該無線通信システムは、複数の無線装置10a及び10bと無線制御措置20とを有して構成される。無線装置10aは請求項に記載した無線装置に対応し、無線装置10bは請求項に記載した他の無線装置に対応し、無線制御装置20は請求項に記載した無線制御装置に対応する。なお、図1では他の無線装置として無線装置10bのみ記載したが、他の無線装置は少なくとも1台あればよく、複数台で構成してもよい。また、無線装置10aと無線装置10bは、低速インタフェースを介した保守監視データの送信側と受信側で機能的な立場が異なるが、同様の構成を有しており同じ動作を行うため、無線装置10aについてのみ説明する。
【0018】
無線装置10aは、高速インタフェース部11a、中間多重処理部12a、低速インタフェース部16aを備える。また、高速インタフェース部11aは請求項に記載した高速インタフェース部に対応し、中間多重処理部12aは請求項に記載した中間多重処理部に対応し、低速インタフェース部16aは請求項に記載した低速インタフェース部に対応する。高速インタフェース部11aは、無線制御装置20と無線装置10aを接続し、高速
回線によるデータ通信を行うためのインタフェースである。低速インタフェース部16aは、無線装置10aと無線装置10bを接続し、低速回線によるデータ通信を行うためのインタフェースである。
【0019】
中間多重処理部12aは、高速インタフェース部11aを介して多重化データを送信する前に、低速インタフェース部16aを介して取得されたデータの多重化処理を行う。また、中間多重処理部12aは、第1中間処理部13a、保守監視部14a、第2中間処理部15aを有する。第1中間処理部13aは請求項に記載した第1中間処理部に対応し、保守監視部14aは請求項に記載した保守監視部に対応し、第2中間処理部15aは請求項に記載した第2中間処理部に対応する。
【0020】
第1中間処理部13aは、高速インタフェース部11aを介して取得された無線装置10aの保守監視データと低速インタフェース部16aを介して取得された他の無線装置(無線装置10bを含む)の保守監視データを多重化し、中間保守監視データを生成する。保守監視部14aは、第1中間処理部13aで生成された中間保守監視データを終端処理し、さらに無線装置10a内の他の処理部の保守監視データを多重化して最終保守監視データを生成する。第2中間処理部15aは、保守監視部14aで生成された最終保守監視データを、低速インタフェース部16aを介して無線装置10bに送信する。また、第2中間処理部15aは、保守監視部14aで生成された最終保守監視データを、高速インタフェース部11aを介して無線制御装置20に送信するために多重化を行う処理部に送出する。
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の述べる実施形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る無線装置の内部構成を示したブロック図である。本実施形態では、無線制御装置から離れて設置された遠隔設置型の無線装置が無線制御装置と接続されて無線通信システムを構成している。なお、図2では、無線制御装置を省略しているが、図3のようにINF(高速のインタフェース部)を介して無線制御装置と接続されている。本実施形態の無線装置1は、INF21a及び21b、Local INF6、DEMUX/MUX3d、MUX/DEMUX3u、C−MUX4d及び4u、RFU5r、SV Unit5s、Other Unit5tを備える。
【0023】
INF21aは、無線装置1を監視制御する無線制御装置(不図示)との間で高速信号の送受信を行うためのインタフェース部で、光多重信号等構成される高速データ信号の入力端子である。INF21bは、他の無線装置との間で高速信号の送受信を行うためのインタフェース部である。INF21a及び21bは、図1の高速インタフェース部11aに相当する。Local INF6は、近くに設置された他の無線装置との間で低速信号の送受信を行うためのインタフェース部で、図1の低速インタフェース部16aに相当する。なお、EX Unit7は、無線装置1の近くに設置され、警報等の保守監視信号を発する外部装置である。
【0024】
DEMUX/MUX3dは、INF21aを介して受信した信号について、高速の下りユーザデータ(Ud)と低速の下り保守監視データ(Cd)に分離するとともに、他の無線装置への伝送信号を再構築する多重処理部である。MUX/DEMUX3uは、高速の上りユーザデータ(Uu)と低速の上り保守監視データ(Cu)を、INF21bを介して他の無線装置から受信した上りデータへ多重処理し、無線制御装置(不図示)への伝送信号を再構築する多重処理部である。
【0025】
C−MUX4dは、DEMUX/MUX3dからの下り保守監視データ(Cd)とLocal INF6からの下り保守監視データ(Cd2)を多重処理して低速データ(Cd1)を生成する低速信号の下り多重処理部である。C−MUX4uは、多重された低速データ(Cd1)と無線装置1における保守監視信号が多重されたデータ(Cu1)を多重処理部3uとローカルインタフェース部6に複写伝送する多重処理部である。C−MUX4dは図1の第1中間処理部に相当し、C−MUX4uは図1の第2中間処理部に相当する。
【0026】
SV Unit5sは、多重されたデータ(Cu1)に、無線装置1の保守監視信号(例えば無線装置1が有するRFU(無線ユニット)5rの警報信号、無線装置1が有するOther Unit(その他のユニット)5tの警報信号、無線装置1の外部に設置されたEX Unit(外部装置)7の警報信号等)を多重して送出する処理ユニットである。
【0027】
このようにして、本実施形態では、無線装置1が、下り保守監視データ(Cd)に無線装置の保守監視データを多重するC−MUX4dと、上り保守監視データ(Cu)としてMUX/DEMUX3uで多重化する前の低速信号を分配し、Local INF6を介して他の無線装置へ出力するC−MUX4uとを備える。これにより、高速信号に多重する以前の低速データ信号のインタフェースから、本来高速化多重処理が不要な低速信号の授受を高速信号への多重前に低速段階での多重処理を行い、保守監視情報の無線制御装置への転送をフレキシブルかつ安価に提供することが可能となる。
【0028】
続いて、図4、図5を参照して、本実施形態において無線装置が行う動作についてさらに詳細に説明する。図4、図5は、本実施形態に係る無線装置のデータ多重処理を説明するための図で、(a)は無線装置の内部構成のブロック図を表し、(b)はデータ多重処理を表す。
【0029】
無線装置と無線制御装置との高速信号の授受を行うINF21aから入力した信号は、DEMUX/MUX3dに入力される。DEMUX/MUX3dは、CPRIインタフェースのフォーマットで規定された高速信号から、当該無線装置に割り当てられた下りユーザデータ(Ud)と低速の下り保守監視データ(制御用及び管理用の信号領域としてC&M信号又はベンダ固有領域(Vender Specific領域))(Cd)を分離し、無線装置の内部の処理ユニットに転送する。分離された下り保守監視データ(Cd)はC−MUX4dに送出される。
【0030】
CPRI信号には制御用及び管理用の信号領域としてC&M信号が定義されている。この信号は接続された無線装置の保守監視信号の授受に用いられている領域である。図4(b)に示すように、DEMUX/MUX3dは、当該無線装置固有のC&M信号(データ系列CdのRE1)のみ抽出してC−MUX4dに送出する。そして、このC&M信号情報・データ領域(図ではD1、D2、D3と表記)に当該無線装置固有の情報を示すヘッダを付記し、データ系列Cd1は構成される。
【0031】
一方で、C−MUX4dは、新たに設けられた低速信号用のインタフェース部であるLocal INF6を介して取得された信号を多重処理する。このLocal INF6から入力する信号は、別の無線装置から入力されるデータ系列Cd2であり、Cd1と同様な保守監視情報が複数個実装されているものである。データ系列Cd2は、複数の無線装置の保守監視情報をシリアル化した情報であり、接続された無線装置分のデータ領域を有する。C−MUX4dは、前述したCd1とCd2の2つのデータ系列をあらかじめ決められた様式に従って多重処理する。本例では、RE1、RE2、・・・、REnのデー
タ系列で示している。DEMUX/MUX3dから抽出された保守監視データは、Local INF6を介して入力した他の無線装置の保守監視情報を多重化した後、SV Unit5sに送出する。
【0032】
次に、図5を参照してSV Unit5sの処理について述べる。SV Unit5sは、無線制御装置から送出された保守監視信号・データ系列Cd1の信号を終端処理するとともに、当該無線装置内の他のユニット(例えば無線信号の送受信を処理するRFU5rやOther Unit5t、また無線装置外部から入力するEX Unit7)からの保守監視情報を終端し、新たに当該無線装置の保守監視情報を生成して、データ系列Cu1としてC−MUX4uに出力する機能を有する。データ系列Cu1は、データフレームの互換性を考慮し、データ系列Cd1の様式と合わせるようにしてもよい。
【0033】
C−MUX4uは、データ系列Cu1をコピーし、MUX/DEMUX3uへの信号(データ系列Cu)と同じデータをLocal INF6に出力する機能を有する。MUX/DEMUX3uに送られたデータは、MUX/DEMUX3uにおけるCPRI信号への多重処理を施されて無線制御装置に伝送される。C−MUX4uから送られてMUX/DEMUX3uで多重化されるデータ系列Cuは、Local INF6を介して得られた複数の無線装置の保守監視信号を有しており、無線装置のチェーン構成による(高速インタフェースのINFを介して保守監視情報を取得する)ことなく、全ての無線装置の保守監視情報を取得できることになる。
【0034】
Local INF6を介して授受されるデータ系列は、CPRI信号に多重された低速の保守監視データであるが、CPRIで規定されたユーザデータ伝送に対応した高速信号伝送フォーマットによる信号終端を行わないようにしてもよい。この場合、比較的低速のインタフェースを用いてデータ転送することができ、ハードウェア構成を簡素化かつ低コスト化することができる。
【0035】
また、接続される無線装置の数に対応したフレームフォーマットを有するため、あらかじめ指定されたデータ系列の部分のデータのみ読み出し/書き込みを行うため接続された他の無線装置の情報を損なうことなく信号の授受を行うことができる。信号の授受に際して、複数の無線装置のうちマスタとなる無線装置の設定が行われ、そのマスタ無線装置が最初のフレームフォーマットを出力するとともに、最終終端を行うことになる。このマスタとなる無線装置は、無線制御装置と無線装置を結ぶ複数のCPRIラインから(唯一の)外部装置の保守監視情報を終端処理することを意図したCPRIラインの無線装置とすることが好ましい。CPRIラインは、インタフェース部にCPRIを使用し光ファイバ等の高速回線で両装置をつないだ接続線である。
【0036】
DEMUX/MUX3d及びMUX/DEMUX3uがチェーン構成されたときの保守監視信号を効率的に分離・多重するために、比較的簡素な分離・多重フォーマットを構成することが必要である。すなわち、本実施形態のように、CPRI信号の保守監視情報に無線装置固有のヘッダ情報のみ付加して処理する方式が好ましい。伝送レートは、CPRI信号の保守監視情報の伝送レートにヘッダを付加した分、また接続が想定される無線装置の数を伝送可能な伝送レートとする必要がある。
【0037】
他の実施形態として、図3に、複数の無線装置が存在し、各々がCPRIラインにより無線制御装置と接続され、低速インタフェースにより無線装置同士が接続されたシステム構成図を示す。図2のシステムが1つの無線制御装置に1つの無線装置が接続されたものであるのに対して、図3のシステムは1つの無線制御装置に複数の無線装置が接続されたものである(無線制御装置とは高速インタフェース、無線装置同士は低速インタフェース)。低速インタフェース(Local INF)間を接続する伝送媒体は、有線による通
信、見通し距離であれば赤外線や小電力のマイクロ波回線等を用いてもよいが、それらの通信に必要な変換モジュール等は本発明とは直接関係しないので説明及び図示を省略する。また、通信方式は、基準となる無線装置がマスタとなるフレームフォーマットを固定した時分割通信方式が好ましいが、伝送レートを上げることによりATM伝送、IP伝送、CAN通信(CONTROLLER AREA NETWORK:CANバス通信)等を用いてもよいが、本発明とは直接関係しないので説明及び図示を省略する。
【0038】
発明が解決しようとする課題において、無線装置間を接続する必要性を示すために、障害のあるCPRIリンクと接続された無線装置に異常をきたした場合を述べたが、無線装置と接続された外部装置についても同様のことがいえる。外部装置は、無線装置が設置された局舎等に付帯する機器のため、集中設置された無線装置の中では任意の無線装置のみに接続されることが多い。例えば図7に示したシステムのように、EX Unit7が任意の無線装置11のみに接続される。図7のシステムでは、EX Unit7の保守監視情報はCPRI1を介して無線制御装置8に転送されるが、CPRI1に障害が発生した場合には無線制御装置8はEX Unit7の保守監視情報を取得できない。つまり、CPRI1の障害発生中にEX Unit7が故障した場合、無線制御装置8はEX Unit7の故障を把握することができない。
【0039】
本実施形態では、図3に示すように、無線装置同士を低速インタフェース(Local
INF61、62、・・・、6n)で接続し、他の無線装置の保守監視情報とともにEX Unit7の保守監視情報を多重化して伝送する構成をとっている。このため、仮にEX Unit7が接続された無線装置11と無線制御装置8との間のCPRIリンク(CPRI1)に故障が発生したとしても、無線装置11にのみ接続されたEX Unit7の保守監視情報を他のCPRIリンクから取得することが可能となる。
【0040】
上述した本実施形態による第1の効果は、CPRIのチェーン接続機能を有する無線装置において、低速で安価なインタフェースを併せて有するので、高価なインタフェースモジュールを使用しなくても無線装置間で保守監視情報のやり取りを行えることである。
【0041】
また、上述した本実施形態による第2の効果は、低速で安価なインタフェースを有するものの、該インタフェースはCPRIの保守監視信号に準拠したインタフェースとするため、CPRIのチェーン構成の開発資産を効果的に流用できることである。
【0042】
また、上述した本実施形態による第3の効果は、低速で安価なインタフェースを用いて複数の全ての無線装置の保守監視情報を授受するため、任意の無線装置の保守監視情報であっても、異なるCPRIリンクから保守監視情報を取得できることである。
【0043】
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1,11〜1n,110〜11n RE(無線装置)
3d DEMUX/MUX(多重処理部)
3u MUX/DEMUX(多重処理部)
4d,4u C−MUX(多重処理部)
5r RFU(無線ユニット)
5s SV Unit(監視ユニット)
5t Other Unit(その他ユニット)
6,61〜6n Local INF(ローカルインタフェース部)
7,71,72 EX Unit(外部装置)
8 REC(無線制御装置)
10a,10b 無線装置
11a,11b 高速インタフェース部
12a,12b 中間多重処理部
13a,13b 第1中間処理部
14a,14b 保守監視部
15a,15b 第2中間処理部
16a,16b 低速インタフェース部
20 無線制御装置
21a,21b INF(CPRIインタフェース部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置と、前記無線装置を監視制御する無線制御装置と、を有して構成される無線通信システムであって、
前記無線装置は、
高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、
低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、
前記低速インタフェース部を介して取得したデータを多重化する中間多重処理部と、
を備え、
他の無線装置との間で、前記低速インタフェース部を介して、無線装置の保守監視データを送受信し、
前記低速インタフェース部を介して受信された保守監視データを前記中間多重処理部で多重化し、
前記無線制御装置との間で、前記高速インタフェース部を介して、前記多重化した保守監視データを前記無線制御装置へ送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとを多重化して中間保守監視データを生成し、前記中間保守監視データを用いてさらに多重化され新たに生成された最終保守監視データを、前記低速インタフェース部を介して他の無線装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとを多重化して中間保守監視データを生成する第1中間処理部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとが多重化され生成された中間保守監視データを終端処理し、該データに自装置内の他の処理部の保守監視データをさらに多重化して最終保守監視データを生成する保守監視部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データ、前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データ、自装置内の他の処理部の保守監視データが多重化され生成された最終保守監視データを、前記低速インタフェース部を介して他の無線装置へ送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
監視制御を行う無線制御装置とともに無線通信システムを構成する無線装置であって、
高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、
低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、
前記低速インタフェース部を介して取得したデータを多重化する中間多重処理部と、
を備え、
他の無線装置との間で、前記低速インタフェース部を介して、無線装置の保守監視データを送受信し、
前記低速インタフェース部を介して受信された保守監視データを前記中間多重処理部で多重化し、
前記無線制御装置との間で、前記高速インタフェース部を介して、前記多重化した保守監視データを前記無線制御装置へ送信することを特徴とする無線装置。
【請求項7】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとを多重化して中間保守監視データを生成し、前記中間保守監視データを用いてさらに多重化され新たに生成された最終保守監視データを、前記低速インタフェース部を介して他の無線装置に送信することを特徴とする請求項6に記載の無線装置。
【請求項8】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとを多重化して中間保守監視データを生成する第1中間処理部を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の無線装置。
【請求項9】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとが多重化され生成された中間保守監視データを終端処理し、該データに自装置内の他の処理部の保守監視データをさらに多重化して最終保守監視データを生成する保守監視部を有することを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項10】
前記中間多重処理部は、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データ、前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データ、自装置内の他の処理部の保守監視データが多重化され生成された最終保守監視データを、前記低速インタフェース部を介して他の無線装置へ送信することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項11】
無線装置と、前記無線装置を監視制御する無線制御装置と、を有して構成される無線通信システムにおける保守監視方法であって、
前記無線装置は、高速回線と接続してデータ通信を行うための高速インタフェース部と、低速回線と接続してデータ通信を行うための低速インタフェース部と、を備え、
前記無線装置において、
前記高速インタフェースを介して、前記無線制御装置から無線装置の保守監視データを受信して自装置の保守監視データを取得するステップと、
前記低速インタフェース部を介して、他の無線装置から該装置の保守監視データを受信するステップと、
前記取得した自装置の保守監視データと前記受信した他の無線装置の保守監視データを用いて多重化するステップと、
前記低速インタフェース部を介して、前記多重化されて生成された保守監視データを他の無線装置に送信するステップと、
前記高速インタフェース部を介して、前記多重化されて生成された保守監視データを前記無線制御装置へ送信するステップと、
を有することを特徴とする保守監視方法。
【請求項12】
前記多重化するステップは、前記高速インタフェース部を介して前記無線制御装置から取得された自装置の保守監視データと前記低速インタフェース部を介して受信された他の無線装置の保守監視データとを多重化して中間保守監視データを生成し、前記中間保守監視データを用いてさらに多重化され新たに生成された最終保守監視データを、前記低速インタフェース部を介して他の無線装置に送信することを特徴とする請求項11に記載の保
守監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−171739(P2010−171739A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12361(P2009−12361)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】