無線通信システムおよび通信制御方法
【課題】中継装置として通信端末を使用する無線通信システムにおいて、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択できるとともに、中継装置を介して基地局との通信を行っている場合に、急速な通信品質の劣化や、突然に接続が切れることを防止する。
【解決手段】基地局BSにおいて、中継端末RS1、RS2から送られる第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報と、基地局BSにおいて第2の接続要求メッセージを受信した場合に取得した第2の通信品質の情報とに基づいて、中継端末RS1、RS2から中継に使用するものを選択する。その際、第1の通信品質の情報および第2の通信品質の情報を、中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する中継端末を中継に使用するものとして選択する。
【解決手段】基地局BSにおいて、中継端末RS1、RS2から送られる第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報と、基地局BSにおいて第2の接続要求メッセージを受信した場合に取得した第2の通信品質の情報とに基づいて、中継端末RS1、RS2から中継に使用するものを選択する。その際、第1の通信品質の情報および第2の通信品質の情報を、中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する中継端末を中継に使用するものとして選択する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび通信制御方法に関し、特に、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のように、移動しながら基地局と通信を行う通信端末では、通信端末が通信中の基地局から離れたり、建物の中などで電波が届かない場所では、通信端末と基地局との通信品質が低下する。
【0003】
このような不具合を解消するため、電波を中継する中継装置を利用することが考えられるが、一般的に中継装置は固定的に設置され、また中継の専用装置として構成されるので、中継装置を設置するにはコストがかかる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、一般ユーザが使用する携帯電話において、他の携帯電話と基地局との間の通信を中継するリピータ機能を付加した構成により、基地局の設置が充分でないエリアにおける通信環境を改善する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−135154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信端末を中継装置として利用する場合、中継装置が近くに複数存在する可能性があるが、特許文献1ではこのような場合に何れの中継装置を選択するかについては開示がない。また、通信端末を中継装置として利用するのであるから、中継装置も移動する可能性があり、中継装置が移動した場合には、基地局と中継装置間の通信品質も変化することとなる。通常、通信端末は受信の電波状態を監視し、電波が弱くなれば別の電波状態の良い基地局または中継装置を探して接続を切り替えるハンドオーバー制御を行う。しかし、通信端末を中継装置として利用する場合、中継装置と通信端末間の電波状態は良好でも、基地局と中継装置間の電波状態が低下する可能性があるが、そのような場合、従来の技術では対応することができず、急速に通信品質が劣化したり、あるいは突然に接続が切れることとなる。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムにおいて、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択できるとともに、中継装置を介して基地局との通信を行っている場合に、急速な通信品質の劣化や、突然に接続が切れることを防止した無線通信システムおよび通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る無線通信システムは、移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムであって、前記通信端末は、無線信号を送受信する無線通信部と、前記中継端末に通信の中継を要求する際に送信する第1の接続要求メッセージを作成するとともに、前記基地局との間での接続処理シーケンスを実行する制御部とを備え、前記中継端末のそれぞれは、無線信号を送受信する無線通信部と、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを作成する制御部とを備え、前記基地局は、無線信号を送受信する無線通信部と、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを作成するとともに、前記通信端末との間での接続処理シーケンスを実行する制御部と、を備え、前記基地局の前記制御部は、前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択する。
【0009】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、自機が選択されて前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継している場合に、自機よりも上位の装置との間での通信品質が所定のしきい値未満となった場合に、前記通信端末に対して中継端末の切り替え指示を送信する。
【0010】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記通信端末が、前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいては、前記第1の接続要求メッセージを破棄する。
【0011】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記通信端末が、前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいても、前記第1の接続要求メッセージを受け入れ、受信時の通信品質を取得して前記第1の通信品質の情報とする。
【0012】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、自機よりも下位の中継端末から前記第2の接続要求メッセージを受信した場合、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した前記第2の接続要求メッセージを作成して上位の装置に送信する。
【0013】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、前記通信端末と同じ構成の別の通信端末であって、前記別の通信端末は、前記第1の接続要求メッセージに、中継要求が含まれている場合に、前記中継端末として動作する。
【0014】
本発明に係る通信制御方法は、移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムにおける通信制御方法であって、(a)前記通信端末から、前記中継端末に通信の中継を要求する際に第1の接続要求メッセージを送信するステップと、(b)前記中継端末のそれぞれが、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを送信するステップと、(c)前記基地局が、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを送信するステップと、(d)前記中継端末のそれぞれが、前記基地局から前記応答メッセージを受信した場合に、自機の識別情報が含まれていない場合は前記応答メッセージを破棄し、自機の識別情報が含まれている場合には、前記通信端末に前記応答メッセージを送信するステップと、を備え、前記ステップ(c)は、前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択するステップを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る無線通信システムによれば、複数の中継端末において通信端末との間の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の中継端末から中継に使用するものを選択することで、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【0016】
本発明に係る通信制御方法によれば、複数の中継端末において通信端末との間の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の中継端末から中継に使用するものを選択することで、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る無線通信システムの中継端末および通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る無線通信システムの基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る無線通信システムの構成例を模式的に示す図である。
【図4】通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】中継端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図7】基地局の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図10】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図11】中継端末の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図13】通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態>
<装置構成>
図1は、本発明に係る無線通信システムの中継端末RSおよび通信端末MSの構成を示すブロック図である。なお、中継端末RSの構成は、後に説明する中継端末RS1およびRS2の構成に相当する。
【0019】
図1に示すように、中継端末RSは、送受信アンテナ1が接続された無線受信部2と、無線送信部6と、復調部3と、変調部5と、信号処理部4と、電波強度測定部7とを備えている。信号処理部4および電波強度測定部7は、中継端末RSの全体を制御する制御部10に含まれている。なお、図1においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0020】
中継端末RSにおいて、送受信アンテナ1で受信した受信信号は無線受信部2に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力される。なお、送受信アンテナ1で受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0021】
ベースバンド信号に変換された信号は、復調部3に与えられて誤り訂正処理等が実行されるとともに、電波強度測定部7に与えられ、電波の受信強度の測定(通信品質の測定)が行われる。
【0022】
信号処理部4では、復調部3で復調された信号に、後に説明する第1の接続要求メッセージがある場合には、当該メッセージの解析を行うとともに、また、電波強度測定部7で測定した電波の受信強度の情報(通信品質の情報)を第1の接続要求メッセージに付加して第2の接続要求メッセージとして基地局に対して送信すべく、変調部5に与える。
【0023】
そして変調部5では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部6を介して送受信アンテナ1から送信する。なお、無線受信部2および無線送信部6は、無線通信部と呼称する場合がある。
【0024】
また、上記においては通信端末を中継端末RSとして使用する場合について説明したが、通信端末MSとして使用する場合には、復調部3から出力される復調後の信号は、信号処理部4においてそれが音声信号であると解析された場合は、図示しないスピーカ等を介して音声信号に変換される。また、変調部5は、図示されないマイク等の音声入力部から音声信号が入力された場合、それをBPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて変調し、無線送信部6を介して送受信アンテナ1から送信する。
【0025】
図2は、本発明に係る無線通信システムの基地局BSの構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局BSは、送受信アンテナ11が接続された無線受信部12と、無線送信部16と、復調部13と、変調部15と、信号処理部14と、電波強度測定部17と、中継端末選択部18と、回線制御部19と、回線側送受信部20とを備えている。信号処理部14、電波強度測定部17、中継端末選択部18、回線制御部19および回線側送受信部20は、基地局BSの全体を制御する制御部21に含まれている。なお、図2においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0026】
基地局BSにおいて、送受信アンテナ11で受信した受信信号は無線受信部12に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力される。なお、送受信アンテナ11で受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0027】
ベースバンド信号に変換された信号は、復調部13に与えられて誤り訂正処理等が実行されるとともに、電波強度測定部17に与えられ、電波の受信強度の測定(通信品質の測定)が行われる。
【0028】
信号処理部14では、復調部13で復調された信号に、第2の接続要求メッセージがある場合には、当該メッセージの解読を行うとともに、電波強度測定部17で測定した電波の受信強度および第2の接続要求メッセージに付加して送られる当該中継端末RSでの受信強度の情報(通信品質の情報)に基づいて、中継端末選択部18において選択された中継端末の識別情報を応答メッセージに付加して各中継端末に対して送信すべく、変調部15に与える。そして変調部15では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部16を介して送受信アンテナ11から送信する。なお、無線受信部12および無線送信部16は、無線通信部と呼称する場合がある。
【0029】
また、上記においては基地局BSにおいて中継端末RSの選択を行う場合について説明したが、基地局BSが通常の動作を行う場合には、復調部13から出力される復調後の信号は、それが信号処理部14においてネットワーク回線を介して他の基地局に与えられるべき信号であると解析された場合は、回線側制御部19に与えられ、回線側送受信部20を介して図示されないネットワーク回線に与えられる。また、ネットワーク回線から通信端末に送信すべき信号が与えられた場合は、回線側送受信部20を介して回線側制御部19に与えられ、回線側制御部19から信号処理部14に与えられ、信号処理部14において送信すべき通信端末の識別情報を付加し、変調部15に与える。そして変調部15では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部16を介して送受信アンテナ11から送信する。
【0030】
<装置動作>
次に、図3〜図15を用いて本発明に係る無線通信システムの動作について説明する。図3は、本発明に係る無線通信システムの構成の一例を模式的に示す図であり、基地局BSとの接続を要求する通信端末MSに対して、中継端末RS1およびRS2が存在する場合を示している。なお、上述した通信端末MSや、中継端末RS1およびRS2は、携帯電話端末や、無線通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯電子機に該当する。
【0031】
通信端末MSは、基地局BSの通信エリアAの外部にあって、基地局BSとは直接に通信できない状況であるが、中継端末RS1およびRS2を中継端末として利用できる位置にある。このような状況にあって、通信端末MSが、基地局BSとの通信を開始するため、第1の接続要求メッセージを送信する。第1の接続要求メッセージは、従来から使用されるものであるが、通信端末MSが基地局BSの通信エリアAの外部にある場合には、これに中継情報を付加して送信する。
【0032】
ここでの中継情報は、中継端末に対して基地局への中継を要求するメッセージを含んでおり、例えば、複数のビットで構成される第1の接続要求メッセージの何れかのビットを中継要求フラグとして利用し、そこが“1”であれば中継要求があるものとし、“0”であれば中継要求がないものとすることで、中継要求の有無を付加することができる。
【0033】
以上説明した通信端末MSの動作を、図4に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図4に示すように、通信端末MSが基地局BSとの接続シーケンス処理を開始すると、通信端末MSでは、現在位置が基地局BSの通信エリア外であるか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、例えば、基地局BSから定期的に送信されるパイロット信号の受信強度を測定し、当該パイロット信号の受信強度が所定値以下となっている場合には、自機が基地局BSの通信エリア外に位置していると判断する。なお、この判断や接続シーケンス処理は、通信端末MSの制御部10(図1)において実行される。
【0034】
ステップS1において、基地局BSの通信エリア内であると判断された場合は、通信端末MSは第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS4)。この第1の接続要求メッセージは従来から使用されているものであり、中継情報は含んでいない。第1の接続要求メッセージを送信した後は、基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS3)、接続シーケンス処理を完了することで基地局BSとの接続を確立する。
【0035】
一方、ステップS1において、基地局BSの通信エリア外であると判断された場合は、通信端末MSは中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS2)。第1の接続要求メッセージを送信した後は、中継端末を介しての基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS3)、接続シーケンス処理を完了することで基地局BSとの接続を確立する。
【0036】
ここで、図3の説明に戻ると、第1の接続要求メッセージは、基地局BSには届かないが、基地局BSの通信エリアA内にある中継端末RS1およびRS2には届き、それを受けた中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、中継情報が付加されている場合には、接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定する。そして、中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第1の接続要求メッセージの中継情報に付加し基地局BSに向けて送信する。
【0037】
以上説明した中継端末RS1およびRS2の動作を、図5に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図5に示すように、中継端末RS1およびRS2は、通常は通信端末として機能しており、中継端末としての機能は待機状態にある。
【0038】
待機状態にある中継端末RS1およびRS2の無線受信部2(図1)が、通信端末MSから第1の接続要求メッセージを受信すると(ステップS11)、復調部3(図1)で復調された後、信号処理部4において解析され、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれているか否かが判断される(ステップS12)。そして、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれていない場合には、中継端末として動作する必要がないので第1の接続要求メッセージを破棄し(ステップS17)、待機状態に戻る。
【0039】
一方、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれている場合には、接続要求メッセージ受信時に、電波強度測定部7(図1)において測定した受信電力(RSSI:Receive Signal Strength Indication)などの値を受信電波強度とし、その値を信号処理部4(図1)において第1の接続要求メッセージに中継情報として付加し、第2の接続要求メッセージとして無線送信部6(図1)を介して基地局BSに向けて送信する(ステップS13)。従って、ここでの中継情報には、通信端末MSと自機との間での受信電波強度の情報を含んでいる。また、送信元である自機の識別情報も含んでいる。
【0040】
第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1およびRS2は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待つ(ステップS14)。
【0041】
ここで、図3の説明に戻り、中継端末RS1およびRS2から第2の接続要求メッセージを受信した基地局BSは、接続要求メッセージ受信時の各中継端末との間での受信電波強度を測定する。そして、中継情報として付加された各中継端末での受信電波強度と、基地局BSで測定された各中継端末との間での受信電波強度とに基づいて、使用する中継端末の選択を行う。
【0042】
ここでの選択方法は、例えば通信端末−中継端末間と、中継端末−基地局間の受信電波強度のうち、最も値が小さな受信電波強度を示す区間についてすべての経路で受信電波強度を比較し、最も大きな値を示す区間を有する経路を選択する。
【0043】
例えば、図3において、中継端末RS1と基地局BSとの間での受信電波強度が最も小さい場合には、中継端末RS2を介する経路を使用し、例え、中継端末RS1と通信端末MSとの間での電波強度が最も大きい場合であっても、中継端末RS1を介する経路は使用しない、すなわち中継端末RS1は選択しない。
【0044】
使用する中継端末を選択した基地局BSは、図6に示すように接続応答メッセージを送信する。接続応答メッセージは、従来から使用されるものであるが、この場合には、これに選択された中継端末の識別情報を付加して送信する。
【0045】
以上説明した基地局BSの動作を、図7に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図7に示すように、基地局BSの無線受信部12(図2)が、中継端末RS1およびRS2あるいは通信端末MSから第1あるいは第2の接続要求メッセージを受信すると(ステップS21)、復調部13(図2)で復調された後、信号処理部14(図2)において解析され、当該接続要求メッセージに中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれているか否かが判断される(ステップS22)。そして、当該接続要求メッセージに中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれていない場合は、通信端末MSからの直接の第1の接続要求メッセージであると判断し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS24)。
【0046】
一方、中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれている場合には、第2の接続要求メッセージを受信したものとして中継端末選択部18に与える。
【0047】
中継端末選択部18では、接続要求メッセージ受信時に、電波強度測定部17(図2)において測定した、中継端末RS1およびRS2との間でのそれぞれの受信電力(RSSI)などの値を自機での受信電波強度とし、中継端末RS1およびRS2での通信端末MSとの間の受信電波強度の情報と合わせて中継端末の選択に用いる(ステップS23)。選択の方法の一例は、先に説明した通りである。
【0048】
中継端末選択部18での選択結果は信号処理部14(図2)に与えられ、信号処理部14において、選択された中継端末(図6の例では中継端末RS2)の識別情報を接続応答メッセージに付加して、無線送信部16(図2)を介して送信し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS24)。一連の接続シーケンス処理が終わると、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了する(ステップS25)。
【0049】
ここで、図6の説明に戻り、接続応答メッセージを受信した中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、接続応答メッセージの識別情報に基づいて、自機が中継端末として選択されているか否かを確認する。この場合は、中継端末RS2が選択されているので、中継端末RS2が接続応答メッセージを通信端末MSに中継する。
【0050】
以上説明した中継端末RS1およびRS2の動作を、図5に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図5のステップS14に示すように、第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1およびRS2は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待っており、接続応答メッセージを受信すると、その中に自機の識別情報が含まれているか否かを確認する(ステップS15)。そして、自機の識別情報が含まれていない場合には、自機が選択されなかったものと判断して接続応答メッセージを破棄(ステップS18)し、待機状態に戻る。この場合、以降のメッセージを受信してもすべて破棄する。
【0051】
一方、接続応答メッセージに自機の識別情報が含まれている場合には、接続応答メッセージを通信端末MSに中継し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS16)。
【0052】
以後、接続シーケンスは中継端末RS2が中継し、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了すると、通信が開始する。
【0053】
この時点では、図8に示すように、通信端末MS−中継端末RS2間、中継端末RS2−基地局BS間ともに通信品質は良好である。
【0054】
ここで、図9に示すように、中継端末RS2が移動し、基地局BSの通信エリアAの外縁部に近づくなどすると、中継端末RS2−基地局BS間の通信品質が低下するが、通信端末MS−中継端末RS2間の通信品質は良好なままである。この場合、中継端末RS2では、基地局BSとの間での電波強度が低くなったことを検出すると、図10に示すように中継端末の切り替えを指示する中継切替指示メッセージを通信端末MSに送信する。
【0055】
以上説明した中継端末RS2の動作を、図11に示すフローチャートを用いてさらに説明する。通信端末MSと基地局BSとの間の通信を中継している中継端末RS2は、電波強度測定部7(図1)において受信電力(RSSI)などを定期的に測定することで受信電波強度をモニタしているが、当該受信電波強度が所定のしきい値未満となった場合は(ステップS31)、その情報を受けた信号処理部4(図1)において中継切替指示メッセージを作成し、通信端末MSに送信する(ステップS32)。
【0056】
中継切替指示メッセージを受信した通信端末MSは、図12に示すように再び中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する。
【0057】
この通信端末MSの動作を、図13に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図13において、通信端末MSは、現在、中継端末RS2を介して基地局BSとの間で通信中である。この状態で、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信すると(ステップS41)、通信端末MSは、現在位置が基地局BSの通信エリア外であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0058】
ステップS42において、基地局BSの通信エリア内であると判断された場合は、通信端末MSは第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS46)。この第1の接続要求メッセージは従来から使用されているものであり、中継情報は含んでいない。第1の接続要求メッセージを送信した後は、基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS44)、現在、中継端末RS2を介して基地局BSとの間で行っている通信の接続を切断する処理を実行する(ステップS45)。その後、基地局BSとの間で直接に通信を行う。
【0059】
一方、ステップS42において、基地局BSの通信エリア外であると判断された場合は、通信端末MSは中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS43)。
【0060】
ここで、図12の説明に戻ると、第1の接続要求メッセージは、中継端末RS1およびRS2に届くが、中継端末RS2は、すでに通信中なので、第1の接続要求メッセージを受けてもそれを破棄する。これにより、中継切替指示メッセージを送信した中継端末RS2が再び中継端末として選択されることがなくなり、通信経路の選択に費やす時間を軽減できる。
【0061】
一方、第1の接続要求メッセージを受けた中継端末RS1は、中継情報が付加されている場合には、第1の接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定し、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第1の接続要求メッセージの中継情報に付加し、第2の接続要求メッセージとして基地局BSに向けて送信する。
【0062】
この場合の中継端末RS1動作は、図5を用いて説明した、ステップS11〜ステップS13の動作と同じである。
【0063】
第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待つ(ステップS14)。
【0064】
ここで、図12の説明に戻り、中継端末RS1から第2の接続要求メッセージを受信した基地局BSは、接続要求メッセージ受信時の中継端末RS1との間での受信電波強度を測定する。そして、中継情報として付加された中継端末RS1での受信電波強度と、基地局BSで測定された中継端末RS1との間での受信電波強度とに基づいて、使用する中継端末の選択を行う。この動作は、図7を用いて説明したステップS21〜S24の動作と同じである。
【0065】
ここでの選択方法は、先に説明したように、通信端末−中継端末間と、中継端末−基地局間の電波強度をすべての経路で比較し、最も値が小さな経路を構成する中継端末を除外するように選択を行う。ただし、図14に示す例では、中継端末RS1を介した経路しか対象となる経路は存在しないので、通信端末MS−中継端末間RS1と、中継端末RS1−基地局BS間での電波強度が、何れも所定値よりも大きい値であれば当該経路を使用する、すなわち中継端末間RS1を選択するものとする。
【0066】
使用する中継端末を選択した基地局BSは、選択された中継端末の識別情報を付加した接続応答メッセージを送信し、接続応答メッセージを受信した中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、接続応答メッセージの識別情報に基づいて、自機が中継端末として選択されているか否かを確認する。この場合は、中継端末RS1が選択されているので、中継端末RS1が接続応答メッセージを通信端末MSに中継し、接続シーケンス処理を続行する。以後、接続シーケンスは中継端末RS1が中継し、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了すると、通信が開始する。
【0067】
この場合の中継端末RS2動作は、図5を用いて説明した、ステップS14〜ステップS16,ステップS18の動作と同じである。
【0068】
このような方法で選択された中継端末RS1を介して通信を行うことで、図14に示されるように、通信端末MS−中継端末RS1間、中継端末RS1−基地局BS間ともに良好な通信品質を得ることができる。
【0069】
以上説明したように、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムにおいて、中継可能な中継端末が複数ある場合、各中継端末において通信端末との間の受信電波強度を測定し、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の受信電波強度を測定し、測定した受信電波強度と第2の接続要求メッセージに付加された各中継端末における通信端末との間の受信電波強度とに基づいて、中継に使用する中継端末を決定する。このため、複数の経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【0070】
また、中継中の中継端末において基地局との間の受信電波強度をモニタし、受信電波強度が低下した場合は中継端末を切り替えるように通信端末に指示を出すので、急速な通信品質の劣化や、突然に接続が切れることを防止できる。
【0071】
<変形例>
以上の説明において、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信した後、通信端末MSが送信する接続要求メッセージを中継端末RS2が受けた場合、中継端末RS2はすでに通信中なので、接続要求メッセージを受けても接続要求メッセージを破棄するとして説明したが、通信中であっても、再度、第1の接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定し、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第2の接続要求メッセージの中継情報に付加し基地局BSに向けて送信するようにしても良い。
【0072】
すなわち、中継端末RS2は、基地局BSとの間での受信信号強度が低下したために中継切替指示メッセージを送信したが、中継端末RS2がさらに移動することで基地局BSとの間での受信信号強度が回復する可能性もある。この場合には、中継端末RS2も再び、中継端末として使用可能となるので、上述した動作をさせることで、通信経路の候補を増やすことができる。
【0073】
また、以上の説明において、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信した後、通信端末MSが接続要求メッセージを送信することで、該通信端末MSの接続する中継端末RSの切り替えを行うと説明した。しかしながら、通信端末MSにおいて、例えば、利用するユーザが現在の通信速度が良好でないと判断して図示しない操作部を操作して通信端末MSに接続する中継端末RSの切り替えを行うよう指示したり、通信品質やスループットが予め定めている基準を満たさないようになると、該通信端末MSの制御部が該指示や該基準を満たさないことを検出して接続要求メッセージを送信するよう制御し、通信端末MSの接続する中継端末RSの切り替えを行うように構成すれば良い。
【0074】
さらに、以上の説明においては、中継端末は2台の場合を例示したが、さらに多くの場合であっても本発明は適用可能であることは言うまでもなく、また、複数の中継端末を直列に介して通信する場合にも本発明は適用可能である。
【0075】
この場合、中継端末から送信される第2の接続要求メッセージを受信した中継端末においても、図5に示すフローと同様の処理を行い、第2の接続要求メッセージに自機での受信信号強度の情報と識別情報とを付加して送信するように構成すれば良い。
【0076】
基地局では、1台の中継端末を介して得られた第2の接続要求メッセージや、複数の中継端末を介して得られた第2の接続要求メッセージを集積し、それらのもたらす情報に基づいて通信品質の最も良好な通信経路を選択することが可能となる。また、基地局では、選択した通信経路に含まれる各中継端末の識別情報を接続応答メッセージに含めて送信することで、該経路に含まれる中継端末にデータを中継するよう指示することも可能となる。このような構成を採ることで、1台の中継端末では中継できないような場所に通信端末がある場合でも、リレー式に中継することで基地局との通信を可能にできる。
【0077】
また、以上の説明においては、通信端末を中継端末として使用し、中継端末は通信端末と同じ構成を有するものとして説明した。このように、通信端末を汎用的に利用することで、専用の中継装置を設けずとも、基地局の設置が充分でないエリアにおける通信環境を改善できる。しかし、本発明は専用の中継装置を複数設けて基地局の通信エリアを拡大するシステムに対しても有効である。
【符号の説明】
【0078】
MS 通信端末
RS1,RS2 中継端末
BS 基地局
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムおよび通信制御方法に関し、特に、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムおよび通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機のように、移動しながら基地局と通信を行う通信端末では、通信端末が通信中の基地局から離れたり、建物の中などで電波が届かない場所では、通信端末と基地局との通信品質が低下する。
【0003】
このような不具合を解消するため、電波を中継する中継装置を利用することが考えられるが、一般的に中継装置は固定的に設置され、また中継の専用装置として構成されるので、中継装置を設置するにはコストがかかる。
【0004】
これに対し、特許文献1には、一般ユーザが使用する携帯電話において、他の携帯電話と基地局との間の通信を中継するリピータ機能を付加した構成により、基地局の設置が充分でないエリアにおける通信環境を改善する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−135154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信端末を中継装置として利用する場合、中継装置が近くに複数存在する可能性があるが、特許文献1ではこのような場合に何れの中継装置を選択するかについては開示がない。また、通信端末を中継装置として利用するのであるから、中継装置も移動する可能性があり、中継装置が移動した場合には、基地局と中継装置間の通信品質も変化することとなる。通常、通信端末は受信の電波状態を監視し、電波が弱くなれば別の電波状態の良い基地局または中継装置を探して接続を切り替えるハンドオーバー制御を行う。しかし、通信端末を中継装置として利用する場合、中継装置と通信端末間の電波状態は良好でも、基地局と中継装置間の電波状態が低下する可能性があるが、そのような場合、従来の技術では対応することができず、急速に通信品質が劣化したり、あるいは突然に接続が切れることとなる。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムにおいて、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択できるとともに、中継装置を介して基地局との通信を行っている場合に、急速な通信品質の劣化や、突然に接続が切れることを防止した無線通信システムおよび通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る無線通信システムは、移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムであって、前記通信端末は、無線信号を送受信する無線通信部と、前記中継端末に通信の中継を要求する際に送信する第1の接続要求メッセージを作成するとともに、前記基地局との間での接続処理シーケンスを実行する制御部とを備え、前記中継端末のそれぞれは、無線信号を送受信する無線通信部と、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを作成する制御部とを備え、前記基地局は、無線信号を送受信する無線通信部と、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを作成するとともに、前記通信端末との間での接続処理シーケンスを実行する制御部と、を備え、前記基地局の前記制御部は、前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択する。
【0009】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、自機が選択されて前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継している場合に、自機よりも上位の装置との間での通信品質が所定のしきい値未満となった場合に、前記通信端末に対して中継端末の切り替え指示を送信する。
【0010】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記通信端末が、前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいては、前記第1の接続要求メッセージを破棄する。
【0011】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記通信端末が、前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいても、前記第1の接続要求メッセージを受け入れ、受信時の通信品質を取得して前記第1の通信品質の情報とする。
【0012】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、自機よりも下位の中継端末から前記第2の接続要求メッセージを受信した場合、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した前記第2の接続要求メッセージを作成して上位の装置に送信する。
【0013】
本発明に係る無線通信システムの一態様は、前記中継端末が、前記通信端末と同じ構成の別の通信端末であって、前記別の通信端末は、前記第1の接続要求メッセージに、中継要求が含まれている場合に、前記中継端末として動作する。
【0014】
本発明に係る通信制御方法は、移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムにおける通信制御方法であって、(a)前記通信端末から、前記中継端末に通信の中継を要求する際に第1の接続要求メッセージを送信するステップと、(b)前記中継端末のそれぞれが、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを送信するステップと、(c)前記基地局が、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを送信するステップと、(d)前記中継端末のそれぞれが、前記基地局から前記応答メッセージを受信した場合に、自機の識別情報が含まれていない場合は前記応答メッセージを破棄し、自機の識別情報が含まれている場合には、前記通信端末に前記応答メッセージを送信するステップと、を備え、前記ステップ(c)は、前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択するステップを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る無線通信システムによれば、複数の中継端末において通信端末との間の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の中継端末から中継に使用するものを選択することで、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【0016】
本発明に係る通信制御方法によれば、複数の中継端末において通信端末との間の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と第2の接続要求メッセージに付加された第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の中継端末から中継に使用するものを選択することで、複数の通信経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る無線通信システムの中継端末および通信端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る無線通信システムの基地局の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る無線通信システムの構成例を模式的に示す図である。
【図4】通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】中継端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図7】基地局の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図10】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図11】中継端末の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【図13】通信端末の動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る無線通信システムにおける通信制御方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施の形態>
<装置構成>
図1は、本発明に係る無線通信システムの中継端末RSおよび通信端末MSの構成を示すブロック図である。なお、中継端末RSの構成は、後に説明する中継端末RS1およびRS2の構成に相当する。
【0019】
図1に示すように、中継端末RSは、送受信アンテナ1が接続された無線受信部2と、無線送信部6と、復調部3と、変調部5と、信号処理部4と、電波強度測定部7とを備えている。信号処理部4および電波強度測定部7は、中継端末RSの全体を制御する制御部10に含まれている。なお、図1においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0020】
中継端末RSにおいて、送受信アンテナ1で受信した受信信号は無線受信部2に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力される。なお、送受信アンテナ1で受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0021】
ベースバンド信号に変換された信号は、復調部3に与えられて誤り訂正処理等が実行されるとともに、電波強度測定部7に与えられ、電波の受信強度の測定(通信品質の測定)が行われる。
【0022】
信号処理部4では、復調部3で復調された信号に、後に説明する第1の接続要求メッセージがある場合には、当該メッセージの解析を行うとともに、また、電波強度測定部7で測定した電波の受信強度の情報(通信品質の情報)を第1の接続要求メッセージに付加して第2の接続要求メッセージとして基地局に対して送信すべく、変調部5に与える。
【0023】
そして変調部5では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部6を介して送受信アンテナ1から送信する。なお、無線受信部2および無線送信部6は、無線通信部と呼称する場合がある。
【0024】
また、上記においては通信端末を中継端末RSとして使用する場合について説明したが、通信端末MSとして使用する場合には、復調部3から出力される復調後の信号は、信号処理部4においてそれが音声信号であると解析された場合は、図示しないスピーカ等を介して音声信号に変換される。また、変調部5は、図示されないマイク等の音声入力部から音声信号が入力された場合、それをBPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて変調し、無線送信部6を介して送受信アンテナ1から送信する。
【0025】
図2は、本発明に係る無線通信システムの基地局BSの構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局BSは、送受信アンテナ11が接続された無線受信部12と、無線送信部16と、復調部13と、変調部15と、信号処理部14と、電波強度測定部17と、中継端末選択部18と、回線制御部19と、回線側送受信部20とを備えている。信号処理部14、電波強度測定部17、中継端末選択部18、回線制御部19および回線側送受信部20は、基地局BSの全体を制御する制御部21に含まれている。なお、図2においては、発明に係る構成についてのみ示しており、他の構成は省略している。
【0026】
基地局BSにおいて、送受信アンテナ11で受信した受信信号は無線受信部12に入力され、増幅処理やダウンコンバートを行って、ベースバンド信号に変換して出力される。なお、送受信アンテナ11で受信される信号は、BPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式やQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)変調方式などで変調されている。
【0027】
ベースバンド信号に変換された信号は、復調部13に与えられて誤り訂正処理等が実行されるとともに、電波強度測定部17に与えられ、電波の受信強度の測定(通信品質の測定)が行われる。
【0028】
信号処理部14では、復調部13で復調された信号に、第2の接続要求メッセージがある場合には、当該メッセージの解読を行うとともに、電波強度測定部17で測定した電波の受信強度および第2の接続要求メッセージに付加して送られる当該中継端末RSでの受信強度の情報(通信品質の情報)に基づいて、中継端末選択部18において選択された中継端末の識別情報を応答メッセージに付加して各中継端末に対して送信すべく、変調部15に与える。そして変調部15では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部16を介して送受信アンテナ11から送信する。なお、無線受信部12および無線送信部16は、無線通信部と呼称する場合がある。
【0029】
また、上記においては基地局BSにおいて中継端末RSの選択を行う場合について説明したが、基地局BSが通常の動作を行う場合には、復調部13から出力される復調後の信号は、それが信号処理部14においてネットワーク回線を介して他の基地局に与えられるべき信号であると解析された場合は、回線側制御部19に与えられ、回線側送受信部20を介して図示されないネットワーク回線に与えられる。また、ネットワーク回線から通信端末に送信すべき信号が与えられた場合は、回線側送受信部20を介して回線側制御部19に与えられ、回線側制御部19から信号処理部14に与えられ、信号処理部14において送信すべき通信端末の識別情報を付加し、変調部15に与える。そして変調部15では、BPSK変調方式やQPSK変調方式などを用いて信号を再び変調し、無線送信部16を介して送受信アンテナ11から送信する。
【0030】
<装置動作>
次に、図3〜図15を用いて本発明に係る無線通信システムの動作について説明する。図3は、本発明に係る無線通信システムの構成の一例を模式的に示す図であり、基地局BSとの接続を要求する通信端末MSに対して、中継端末RS1およびRS2が存在する場合を示している。なお、上述した通信端末MSや、中継端末RS1およびRS2は、携帯電話端末や、無線通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯電子機に該当する。
【0031】
通信端末MSは、基地局BSの通信エリアAの外部にあって、基地局BSとは直接に通信できない状況であるが、中継端末RS1およびRS2を中継端末として利用できる位置にある。このような状況にあって、通信端末MSが、基地局BSとの通信を開始するため、第1の接続要求メッセージを送信する。第1の接続要求メッセージは、従来から使用されるものであるが、通信端末MSが基地局BSの通信エリアAの外部にある場合には、これに中継情報を付加して送信する。
【0032】
ここでの中継情報は、中継端末に対して基地局への中継を要求するメッセージを含んでおり、例えば、複数のビットで構成される第1の接続要求メッセージの何れかのビットを中継要求フラグとして利用し、そこが“1”であれば中継要求があるものとし、“0”であれば中継要求がないものとすることで、中継要求の有無を付加することができる。
【0033】
以上説明した通信端末MSの動作を、図4に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図4に示すように、通信端末MSが基地局BSとの接続シーケンス処理を開始すると、通信端末MSでは、現在位置が基地局BSの通信エリア外であるか否かを判断する(ステップS1)。この判断は、例えば、基地局BSから定期的に送信されるパイロット信号の受信強度を測定し、当該パイロット信号の受信強度が所定値以下となっている場合には、自機が基地局BSの通信エリア外に位置していると判断する。なお、この判断や接続シーケンス処理は、通信端末MSの制御部10(図1)において実行される。
【0034】
ステップS1において、基地局BSの通信エリア内であると判断された場合は、通信端末MSは第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS4)。この第1の接続要求メッセージは従来から使用されているものであり、中継情報は含んでいない。第1の接続要求メッセージを送信した後は、基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS3)、接続シーケンス処理を完了することで基地局BSとの接続を確立する。
【0035】
一方、ステップS1において、基地局BSの通信エリア外であると判断された場合は、通信端末MSは中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS2)。第1の接続要求メッセージを送信した後は、中継端末を介しての基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS3)、接続シーケンス処理を完了することで基地局BSとの接続を確立する。
【0036】
ここで、図3の説明に戻ると、第1の接続要求メッセージは、基地局BSには届かないが、基地局BSの通信エリアA内にある中継端末RS1およびRS2には届き、それを受けた中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、中継情報が付加されている場合には、接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定する。そして、中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第1の接続要求メッセージの中継情報に付加し基地局BSに向けて送信する。
【0037】
以上説明した中継端末RS1およびRS2の動作を、図5に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図5に示すように、中継端末RS1およびRS2は、通常は通信端末として機能しており、中継端末としての機能は待機状態にある。
【0038】
待機状態にある中継端末RS1およびRS2の無線受信部2(図1)が、通信端末MSから第1の接続要求メッセージを受信すると(ステップS11)、復調部3(図1)で復調された後、信号処理部4において解析され、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれているか否かが判断される(ステップS12)。そして、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれていない場合には、中継端末として動作する必要がないので第1の接続要求メッセージを破棄し(ステップS17)、待機状態に戻る。
【0039】
一方、第1の接続要求メッセージに中継情報(中継要求)が含まれている場合には、接続要求メッセージ受信時に、電波強度測定部7(図1)において測定した受信電力(RSSI:Receive Signal Strength Indication)などの値を受信電波強度とし、その値を信号処理部4(図1)において第1の接続要求メッセージに中継情報として付加し、第2の接続要求メッセージとして無線送信部6(図1)を介して基地局BSに向けて送信する(ステップS13)。従って、ここでの中継情報には、通信端末MSと自機との間での受信電波強度の情報を含んでいる。また、送信元である自機の識別情報も含んでいる。
【0040】
第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1およびRS2は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待つ(ステップS14)。
【0041】
ここで、図3の説明に戻り、中継端末RS1およびRS2から第2の接続要求メッセージを受信した基地局BSは、接続要求メッセージ受信時の各中継端末との間での受信電波強度を測定する。そして、中継情報として付加された各中継端末での受信電波強度と、基地局BSで測定された各中継端末との間での受信電波強度とに基づいて、使用する中継端末の選択を行う。
【0042】
ここでの選択方法は、例えば通信端末−中継端末間と、中継端末−基地局間の受信電波強度のうち、最も値が小さな受信電波強度を示す区間についてすべての経路で受信電波強度を比較し、最も大きな値を示す区間を有する経路を選択する。
【0043】
例えば、図3において、中継端末RS1と基地局BSとの間での受信電波強度が最も小さい場合には、中継端末RS2を介する経路を使用し、例え、中継端末RS1と通信端末MSとの間での電波強度が最も大きい場合であっても、中継端末RS1を介する経路は使用しない、すなわち中継端末RS1は選択しない。
【0044】
使用する中継端末を選択した基地局BSは、図6に示すように接続応答メッセージを送信する。接続応答メッセージは、従来から使用されるものであるが、この場合には、これに選択された中継端末の識別情報を付加して送信する。
【0045】
以上説明した基地局BSの動作を、図7に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図7に示すように、基地局BSの無線受信部12(図2)が、中継端末RS1およびRS2あるいは通信端末MSから第1あるいは第2の接続要求メッセージを受信すると(ステップS21)、復調部13(図2)で復調された後、信号処理部14(図2)において解析され、当該接続要求メッセージに中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれているか否かが判断される(ステップS22)。そして、当該接続要求メッセージに中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれていない場合は、通信端末MSからの直接の第1の接続要求メッセージであると判断し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS24)。
【0046】
一方、中継情報(受信電波強度の情報や中継端末の識別情報)が含まれている場合には、第2の接続要求メッセージを受信したものとして中継端末選択部18に与える。
【0047】
中継端末選択部18では、接続要求メッセージ受信時に、電波強度測定部17(図2)において測定した、中継端末RS1およびRS2との間でのそれぞれの受信電力(RSSI)などの値を自機での受信電波強度とし、中継端末RS1およびRS2での通信端末MSとの間の受信電波強度の情報と合わせて中継端末の選択に用いる(ステップS23)。選択の方法の一例は、先に説明した通りである。
【0048】
中継端末選択部18での選択結果は信号処理部14(図2)に与えられ、信号処理部14において、選択された中継端末(図6の例では中継端末RS2)の識別情報を接続応答メッセージに付加して、無線送信部16(図2)を介して送信し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS24)。一連の接続シーケンス処理が終わると、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了する(ステップS25)。
【0049】
ここで、図6の説明に戻り、接続応答メッセージを受信した中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、接続応答メッセージの識別情報に基づいて、自機が中継端末として選択されているか否かを確認する。この場合は、中継端末RS2が選択されているので、中継端末RS2が接続応答メッセージを通信端末MSに中継する。
【0050】
以上説明した中継端末RS1およびRS2の動作を、図5に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図5のステップS14に示すように、第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1およびRS2は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待っており、接続応答メッセージを受信すると、その中に自機の識別情報が含まれているか否かを確認する(ステップS15)。そして、自機の識別情報が含まれていない場合には、自機が選択されなかったものと判断して接続応答メッセージを破棄(ステップS18)し、待機状態に戻る。この場合、以降のメッセージを受信してもすべて破棄する。
【0051】
一方、接続応答メッセージに自機の識別情報が含まれている場合には、接続応答メッセージを通信端末MSに中継し、接続シーケンス処理を続行する(ステップS16)。
【0052】
以後、接続シーケンスは中継端末RS2が中継し、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了すると、通信が開始する。
【0053】
この時点では、図8に示すように、通信端末MS−中継端末RS2間、中継端末RS2−基地局BS間ともに通信品質は良好である。
【0054】
ここで、図9に示すように、中継端末RS2が移動し、基地局BSの通信エリアAの外縁部に近づくなどすると、中継端末RS2−基地局BS間の通信品質が低下するが、通信端末MS−中継端末RS2間の通信品質は良好なままである。この場合、中継端末RS2では、基地局BSとの間での電波強度が低くなったことを検出すると、図10に示すように中継端末の切り替えを指示する中継切替指示メッセージを通信端末MSに送信する。
【0055】
以上説明した中継端末RS2の動作を、図11に示すフローチャートを用いてさらに説明する。通信端末MSと基地局BSとの間の通信を中継している中継端末RS2は、電波強度測定部7(図1)において受信電力(RSSI)などを定期的に測定することで受信電波強度をモニタしているが、当該受信電波強度が所定のしきい値未満となった場合は(ステップS31)、その情報を受けた信号処理部4(図1)において中継切替指示メッセージを作成し、通信端末MSに送信する(ステップS32)。
【0056】
中継切替指示メッセージを受信した通信端末MSは、図12に示すように再び中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する。
【0057】
この通信端末MSの動作を、図13に示すフローチャートを用いてさらに説明する。図13において、通信端末MSは、現在、中継端末RS2を介して基地局BSとの間で通信中である。この状態で、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信すると(ステップS41)、通信端末MSは、現在位置が基地局BSの通信エリア外であるか否かを判断する(ステップS42)。
【0058】
ステップS42において、基地局BSの通信エリア内であると判断された場合は、通信端末MSは第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS46)。この第1の接続要求メッセージは従来から使用されているものであり、中継情報は含んでいない。第1の接続要求メッセージを送信した後は、基地局BSとの接続シーケンス処理を続行し(ステップS44)、現在、中継端末RS2を介して基地局BSとの間で行っている通信の接続を切断する処理を実行する(ステップS45)。その後、基地局BSとの間で直接に通信を行う。
【0059】
一方、ステップS42において、基地局BSの通信エリア外であると判断された場合は、通信端末MSは中継情報を含んだ第1の接続要求メッセージを送信する(ステップS43)。
【0060】
ここで、図12の説明に戻ると、第1の接続要求メッセージは、中継端末RS1およびRS2に届くが、中継端末RS2は、すでに通信中なので、第1の接続要求メッセージを受けてもそれを破棄する。これにより、中継切替指示メッセージを送信した中継端末RS2が再び中継端末として選択されることがなくなり、通信経路の選択に費やす時間を軽減できる。
【0061】
一方、第1の接続要求メッセージを受けた中継端末RS1は、中継情報が付加されている場合には、第1の接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定し、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第1の接続要求メッセージの中継情報に付加し、第2の接続要求メッセージとして基地局BSに向けて送信する。
【0062】
この場合の中継端末RS1動作は、図5を用いて説明した、ステップS11〜ステップS13の動作と同じである。
【0063】
第2の接続要求メッセージを送信した中継端末RS1は、基地局BSからの接続応答メッセージの受信を待つ(ステップS14)。
【0064】
ここで、図12の説明に戻り、中継端末RS1から第2の接続要求メッセージを受信した基地局BSは、接続要求メッセージ受信時の中継端末RS1との間での受信電波強度を測定する。そして、中継情報として付加された中継端末RS1での受信電波強度と、基地局BSで測定された中継端末RS1との間での受信電波強度とに基づいて、使用する中継端末の選択を行う。この動作は、図7を用いて説明したステップS21〜S24の動作と同じである。
【0065】
ここでの選択方法は、先に説明したように、通信端末−中継端末間と、中継端末−基地局間の電波強度をすべての経路で比較し、最も値が小さな経路を構成する中継端末を除外するように選択を行う。ただし、図14に示す例では、中継端末RS1を介した経路しか対象となる経路は存在しないので、通信端末MS−中継端末間RS1と、中継端末RS1−基地局BS間での電波強度が、何れも所定値よりも大きい値であれば当該経路を使用する、すなわち中継端末間RS1を選択するものとする。
【0066】
使用する中継端末を選択した基地局BSは、選択された中継端末の識別情報を付加した接続応答メッセージを送信し、接続応答メッセージを受信した中継端末RS1およびRS2のそれぞれは、接続応答メッセージの識別情報に基づいて、自機が中継端末として選択されているか否かを確認する。この場合は、中継端末RS1が選択されているので、中継端末RS1が接続応答メッセージを通信端末MSに中継し、接続シーケンス処理を続行する。以後、接続シーケンスは中継端末RS1が中継し、通信端末MSと基地局BSとの間で接続が完了すると、通信が開始する。
【0067】
この場合の中継端末RS2動作は、図5を用いて説明した、ステップS14〜ステップS16,ステップS18の動作と同じである。
【0068】
このような方法で選択された中継端末RS1を介して通信を行うことで、図14に示されるように、通信端末MS−中継端末RS1間、中継端末RS1−基地局BS間ともに良好な通信品質を得ることができる。
【0069】
以上説明したように、中継装置として通信端末を使用する無線通信システムにおいて、中継可能な中継端末が複数ある場合、各中継端末において通信端末との間の受信電波強度を測定し、その情報を第2の接続要求メッセージに付加して基地局に与え、基地局では自機と各中継端末との間の受信電波強度を測定し、測定した受信電波強度と第2の接続要求メッセージに付加された各中継端末における通信端末との間の受信電波強度とに基づいて、中継に使用する中継端末を決定する。このため、複数の経路から通信品質の最も良好な通信経路を選択することができる。
【0070】
また、中継中の中継端末において基地局との間の受信電波強度をモニタし、受信電波強度が低下した場合は中継端末を切り替えるように通信端末に指示を出すので、急速な通信品質の劣化や、突然に接続が切れることを防止できる。
【0071】
<変形例>
以上の説明において、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信した後、通信端末MSが送信する接続要求メッセージを中継端末RS2が受けた場合、中継端末RS2はすでに通信中なので、接続要求メッセージを受けても接続要求メッセージを破棄するとして説明したが、通信中であっても、再度、第1の接続要求メッセージ受信時の受信電波強度を測定し、自機の識別情報と測定した受信強度の値を第2の接続要求メッセージの中継情報に付加し基地局BSに向けて送信するようにしても良い。
【0072】
すなわち、中継端末RS2は、基地局BSとの間での受信信号強度が低下したために中継切替指示メッセージを送信したが、中継端末RS2がさらに移動することで基地局BSとの間での受信信号強度が回復する可能性もある。この場合には、中継端末RS2も再び、中継端末として使用可能となるので、上述した動作をさせることで、通信経路の候補を増やすことができる。
【0073】
また、以上の説明において、中継端末RS2から中継切替指示メッセージを受信した後、通信端末MSが接続要求メッセージを送信することで、該通信端末MSの接続する中継端末RSの切り替えを行うと説明した。しかしながら、通信端末MSにおいて、例えば、利用するユーザが現在の通信速度が良好でないと判断して図示しない操作部を操作して通信端末MSに接続する中継端末RSの切り替えを行うよう指示したり、通信品質やスループットが予め定めている基準を満たさないようになると、該通信端末MSの制御部が該指示や該基準を満たさないことを検出して接続要求メッセージを送信するよう制御し、通信端末MSの接続する中継端末RSの切り替えを行うように構成すれば良い。
【0074】
さらに、以上の説明においては、中継端末は2台の場合を例示したが、さらに多くの場合であっても本発明は適用可能であることは言うまでもなく、また、複数の中継端末を直列に介して通信する場合にも本発明は適用可能である。
【0075】
この場合、中継端末から送信される第2の接続要求メッセージを受信した中継端末においても、図5に示すフローと同様の処理を行い、第2の接続要求メッセージに自機での受信信号強度の情報と識別情報とを付加して送信するように構成すれば良い。
【0076】
基地局では、1台の中継端末を介して得られた第2の接続要求メッセージや、複数の中継端末を介して得られた第2の接続要求メッセージを集積し、それらのもたらす情報に基づいて通信品質の最も良好な通信経路を選択することが可能となる。また、基地局では、選択した通信経路に含まれる各中継端末の識別情報を接続応答メッセージに含めて送信することで、該経路に含まれる中継端末にデータを中継するよう指示することも可能となる。このような構成を採ることで、1台の中継端末では中継できないような場所に通信端末がある場合でも、リレー式に中継することで基地局との通信を可能にできる。
【0077】
また、以上の説明においては、通信端末を中継端末として使用し、中継端末は通信端末と同じ構成を有するものとして説明した。このように、通信端末を汎用的に利用することで、専用の中継装置を設けずとも、基地局の設置が充分でないエリアにおける通信環境を改善できる。しかし、本発明は専用の中継装置を複数設けて基地局の通信エリアを拡大するシステムに対しても有効である。
【符号の説明】
【0078】
MS 通信端末
RS1,RS2 中継端末
BS 基地局
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムであって、
前記通信端末は、
無線信号を送受信する無線通信部と、
前記中継端末に通信の中継を要求する際に送信する第1の接続要求メッセージを作成するとともに、前記基地局との間での接続処理シーケンスを実行する制御部とを備え、
前記中継端末のそれぞれは、
無線信号を送受信する無線通信部と、
少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを作成する制御部とを備え、
前記基地局は、
無線信号を送受信する無線通信部と、
前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを作成するとともに、前記通信端末との間での接続処理シーケンスを実行する制御部と、を備え、
前記基地局の前記制御部は、
前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択する、無線通信システム。
【請求項2】
前記中継端末は、
自機が選択されて前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継している場合に、自機よりも上位の装置との間での通信品質が所定のしきい値未満となった場合に、前記通信端末に対して中継端末の切り替え指示を送信する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信端末は、
前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、
前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいては、前記第1の接続要求メッセージを破棄する、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信端末は、
前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、
前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいても、前記第1の接続要求メッセージを受け入れ、受信時の通信品質を取得して前記第1の通信品質の情報とする、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記中継端末は、
自機よりも下位の中継端末から前記第2の接続要求メッセージを受信した場合、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した前記第2の接続要求メッセージを作成して上位の装置に送信する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記中継端末は、前記通信端末と同じ構成の別の通信端末であって、
前記別の通信端末は、
前記第1の接続要求メッセージに、中継要求が含まれている場合に、前記中継端末として動作する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項7】
移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムにおける通信制御方法であって、
(a)前記通信端末から、前記中継端末に通信の中継を要求する際に第1の接続要求メッセージを送信するステップと、
(b)前記中継端末のそれぞれが、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを送信するステップと、
(c)前記基地局が、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを送信するステップと、
(d)前記中継端末のそれぞれが、前記基地局から前記応答メッセージを受信した場合に、自機の識別情報が含まれていない場合は前記応答メッセージを破棄し、自機の識別情報が含まれている場合には、前記通信端末に前記応答メッセージを送信するステップと、を備え、
前記ステップ(c)は、
前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択するステップを含む、通信制御方法。
【請求項1】
移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムであって、
前記通信端末は、
無線信号を送受信する無線通信部と、
前記中継端末に通信の中継を要求する際に送信する第1の接続要求メッセージを作成するとともに、前記基地局との間での接続処理シーケンスを実行する制御部とを備え、
前記中継端末のそれぞれは、
無線信号を送受信する無線通信部と、
少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを作成する制御部とを備え、
前記基地局は、
無線信号を送受信する無線通信部と、
前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを作成するとともに、前記通信端末との間での接続処理シーケンスを実行する制御部と、を備え、
前記基地局の前記制御部は、
前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択する、無線通信システム。
【請求項2】
前記中継端末は、
自機が選択されて前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継している場合に、自機よりも上位の装置との間での通信品質が所定のしきい値未満となった場合に、前記通信端末に対して中継端末の切り替え指示を送信する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記通信端末は、
前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、
前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいては、前記第1の接続要求メッセージを破棄する、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信端末は、
前記中継端末から、前記中継端末の切り替え指示を受信した場合、前記第1の接続要求メッセージを作成して前記中継端末に送信し、
前記中継端末のうち、前記通信端末と前記基地局との間の通信を中継しているものにおいても、前記第1の接続要求メッセージを受け入れ、受信時の通信品質を取得して前記第1の通信品質の情報とする、請求項2記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記中継端末は、
自機よりも下位の中継端末から前記第2の接続要求メッセージを受信した場合、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した前記第2の接続要求メッセージを作成して上位の装置に送信する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記中継端末は、前記通信端末と同じ構成の別の通信端末であって、
前記別の通信端末は、
前記第1の接続要求メッセージに、中継要求が含まれている場合に、前記中継端末として動作する、請求項1記載の無線通信システム。
【請求項7】
移動可能な通信端末と、基地局と、前記通信端末と前記基地局との間の通信の中継を行う移動可能な中継端末を複数備えた無線通信システムにおける通信制御方法であって、
(a)前記通信端末から、前記中継端末に通信の中継を要求する際に第1の接続要求メッセージを送信するステップと、
(b)前記中継端末のそれぞれが、少なくとも前記第1の接続要求メッセージを受信した場合に、受信時の通信品質を取得して第1の通信品質の情報とし、自機の識別情報とともに前記第1の接続要求メッセージに付加した第2の接続要求メッセージを送信するステップと、
(c)前記基地局が、前記中継端末のそれぞれから前記第2の接続要求メッセージを受信した場合に、それぞれについて受信時の通信品質を取得して第2の通信品質の情報とし、該第2の通信品質の情報と前記第2の接続要求メッセージに付加された前記第1の通信品質の情報とに基づいて、複数の前記中継端末から中継に使用するものを選択し、選択した中継端末の識別情報を含む応答メッセージを送信するステップと、
(d)前記中継端末のそれぞれが、前記基地局から前記応答メッセージを受信した場合に、自機の識別情報が含まれていない場合は前記応答メッセージを破棄し、自機の識別情報が含まれている場合には、前記通信端末に前記応答メッセージを送信するステップと、を備え、
前記ステップ(c)は、
前記第1の通信品質の情報および前記第2の通信品質の情報を、前記中継端末を介するすべての経路に対応付け、最も値が小さな通信品質を示す区間についてすべての経路で通信品質を比較し、通信品質が最も大きな値を示す区間を有する経路を構成する前記中継端末を中継に使用するものとして選択するステップを含む、通信制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−30867(P2013−30867A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163931(P2011−163931)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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