説明

無線通信システム及びゲートウェイ装置

【課題】無線区間の帯域情報を考慮して各移動局の最大帯域を割り当てる。
【解決手段】基地局4〜端末6間および基地局4〜ゲートウェイ2間の各端末単位または端末かつサービス単位の最大帯域を、各端末6の受信強度などの無線区間の帯域情報に基づいてゲートウェイ2が割り当てる。また、基地局4〜端末6間および基地局4〜ゲートウェイ2間の各端末6の端末単位または端末かつサービス単位の最大帯域に対して、基地局4単位または基地局4かつサービス単位の最大帯域の総量を、各基地局4の送信待ちパケットバッファ量などの無線区間の帯域情報に基づいてゲートウェイ2が設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線端末毎に帯域を割り当てる無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体無線通信のさらなる高速化、高品質化を実現する方式として、近年、第3.9世代移動通信システムの研究、標準化活動が進められている。第3.9世代移動通信システムの一つであるLTE(Long Term Evolution)では、帯域保証を行わないベストエフォートのサービスに対する最大帯域を設定するためのパラメータとして、非特許文献1ではユーザかつサービス単位にAPN−AMBRが規定されている。APN−AMBR(Access Point Name−Aggregate Maximum Bit Rate)に基づく最大帯域制御は、下り方向はゲートウェイで、上り方向は移動局およびゲートウェイで行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−217815号公報(特願2001−7313号)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】3GPP TS23.401 V9.1.0、(2009−6)、Technical Specification
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、APN−AMBRのような移動通信システムの最大帯域の値は、各サービスのポリシーに基づいて設定されており、無線区間の帯域情報をゲートウェイに通知して、最大帯域の設定に使用することは規定されていない。したがって、受信強度が低い移動局にも、受信強度が高い移動局と同様の最大帯域が設定される。
一方、基地局において、移動局の受信強度などの無線区間の帯域情報を考慮して、各移動局のタイムスロットを割り当てる方式が、特許文献1などに示されている。しかし、非特許文献1にも示された図17のプロトコルスタック(詳細は非特許文献1参照)に示すように、無線区間のタイムスロット割り当てを行うプロトコルレイヤ1701と、ゲートウェイで最大帯域を設定するプロトコルレイヤ1702は異なるため、無線区間の帯域情報をゲートウェイに通知する方式は考慮されていない。
無線区間の帯域情報を考慮しないゲートウェイにおける各移動局の最大帯域割り当てでは、受信強度が低い移動局の場合、下りパケットがゲートウェイから基地局へは通知されるが、基地局から移動局へは通知できない場合があるため、基地局でパケットバッファのあふれによるパケット破棄が発生するおそれが高い。これにより、ゲートウェイが課金した送信バイト数と、実際に移動局が受信したバイト数とに差が生まれ、誤課金(課金超過)が発生する場合があり、誤課金を回避する構成が必要である。
また、無線区間の帯域情報を考慮しないゲートウェイにおける各移動局の最大帯域割り当てでは、ゲートウェイから基地局へパケットを送信できても、基地局から移動局へは送信できないパケットが発生し、ゲートウェイ〜基地局区間のリソースの利用効率が低くなり、輻輳が発生する可能性が高くなる。
また、無線区間の帯域情報を考慮しないゲートウェイにおける各移動局の最大帯域割り当てでは、ゲートウェイから通知された各移動局の上り方向の最大帯域にしたがって、受信強度の低い移動局も過剰な帯域要求をするおそれがあり、無線区間のリソースの利用効率が低下する場合がある。
【0006】
また、これまでの技術では、無線区間のリソース割り当ては、基地局のポリシーに基づくスケジューリングで行われてきたため、基地局のスケジュール割り当ての方針が必ずしもサービスのポリシーにそぐわないおそれがある。例えば、ゲートウェイではサービスのポリシーに基づいて優先度の高い端末により多くの帯域を割り当てたいが、優先度の高い端末の受信強度が低い場合、基地局のスケジューラでは、基地局のポリシーに基づいてセルのスループットを上げるために優先度の高い端末のパケットを犠牲にすることが発生しうる。逆に、ゲートウェイではサービスのポリシーに基づいて優先度の高い端末により多くの帯域を割り当てるより、セルのスループットを優先したいが、優先度の高い端末の受信強度が低い場合、基地局のスケジューラでは、基地局のポリシーに基づいてセルのスループットを犠牲にしても優先度の高い端末のパケットに多くのリソースを割り当てることが発生しうる。特に、複数ベンダの基地局と接続するゲートウェイの場合、各基地局のリソース割り当てのポリシーが異なる可能性があり、各基地局がそれぞれのポリシーでスケジューリングするため、基地局のスケジュール割り当ての方針がサービスのポリシーにそぐわない可能性は高くなる。
本発明は、以上の点に鑑み、無線通信システムにおいて、ゲートウェイがある基地局のセル内の各移動局に最大帯域を割り当てる場合、該基地局と移動局との無線区間の帯域情報に基づいて、該基地局に属する各移動局に最大帯域を割り当てることを目的とする。また、本発明は、ゲートウェイの割り当てる各端末の最大帯域と、該基地局と該基地局に属する端末との無線区間の帯域との齟齬を避けることを目的のひとつとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の無線通信システムは、基地局(BS)と移動局(MS)との間および基地局とゲートウェイ(BCGW)との間の通信における各端末のユーザ単位あるいはユーザかつサービス単位の最大帯域を、端末と経由する基地局との無線区間の帯域情報に基づいて設定する最大帯域割り当て機能を有することを特徴のひとつとする。また、本発明の無線通信システムは、基地局と移動局との間および基地局とゲートウェイとの間の通信における各端末のユーザ単位あるいはユーザかつサービス単位の最大帯域を設定するもので、端末と経由する基地局との無線区間の帯域情報に基づいて、該基地局に属する全端末に割り当てる最大帯域の合計量を設定し、該合計量に基づく最大帯域割り当て機能を有することを特徴のひとつとする。
例えば、本無線通信システムでは、ゲートウェイが基地局や端末から収集した無線区間の帯域情報に基づいて、所定の基地局に属する各端末に割り当てる基地局〜端末間および基地局〜ゲートウェイ間の最大帯域設定する。また、例えばゲートウェイが基地局や端末から収集した無線区間の帯域情報に基づいて、所定のサービスに接続する各端末に割り当てる基地局〜端末間および基地局〜ゲートウェイ間の最大帯域を設定してもよい。例えばゲートウェイが、基地局や端末から収集した無線区間の帯域情報に基づいて、所定の基地局に属する端末のうち、特定のサービスに接続する各端末に割り当てる基地局〜端末間および基地局〜ゲートウェイ間の最大帯域を設定してもよい。
【0008】
また、本無線通信システムでは、例えばゲートウェイが、基地局や端末から収集した無線区間の帯域情報に基づいて所定の基地局に属する端末に割り当てる最大帯域の総量を設定する。なお、ゲートウェイが、基地局や端末から収集した無線区間の帯域情報に基づいて所定の基地局に属する端末のうち、特定のサービスに接続する全端末に割り当てる最大帯域の総量を設定してもよい。
ゲートウェイが、例えば、上述の方式で求めた、所定の基地局に属する端末に割り当てる最大帯域の総量に基づいて、上述の方式のように該基地局に属する各端末に割り当てる基地局〜端末間および基地局〜ゲートウェイ間の最大帯域を設定してもよい。また、ゲートウェイが、上述の方式で求めた、所定の基地局に属する端末のうち、特定のサービスに接続する全端末に割り当てる最大帯域の総量に基づいて、上述の方式のように、該基地局に属する端末のうち、該サービスに接続する各端末に割り当てる基地局〜端末間および基地局〜ゲートウェイ間の最大帯域を設定してもよい。
上述の無線区間の帯域情報として、例えば端末の受信強度またはその指標(CQI:Channel Quality Indicator)を用いることができる。また、上述の無線区間の帯域情報として、基地局の送信待ちパケットバッファ量を用いてもよい。
基地局は、上述の無線区間の帯域情報をゲートウェイに通知する。また、上述の無線区間の帯域情報を基地局から取得し、ゲートウェイに通知する統計項目取得サーバを用いてもよい。
【0009】
本発明の第1の解決手段によると、
無線端末と無線で通信するひとつ又は複数の基地局と、前記無線端末に割り当てられる最大帯域に従い前記基地局を介して該無線端末にパケットを送信するゲートウェイ装置とを備えた無線通信システムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
予め設定された、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる、又は、
前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第2の帯域情報に基づいて、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を基地局毎又はサービス毎に設定し、設定された最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域割り当てる前記無線通信システムが提供される。
【0010】
本発明の第2の解決手段によると、
無線端末と無線で通信するひとつ又は複数の基地局と、前記無線端末に割り当てられる最大帯域に従い前記基地局を介して該無線端末にパケットを送信するゲートウェイ装置とを備えた無線通信システムにおける前記ゲートウェイ装置であって、
前記基地局と通信するためのインタフェースと、
各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる処理部と
を備え、
前記処理部は、
予め設定された、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる、又は、
前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第2の帯域情報に基づいて、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を基地局毎又はサービス毎に設定し、設定された最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域割り当てる前記ゲートウェイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、無線通信システムにおいて、ゲートウェイがある基地局のセル内の各移動局に最大帯域を割り当てる場合、該基地局と移動局との無線区間の帯域情報に基づいて、該基地局に属する各移動局に最大帯域を割り当てることができる。また、本発明によると、ゲートウェイの割り当てる各端末の最大帯域と、該基地局と該基地局に属する端末との無線区間の帯域との齟齬を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】CQIに基づく最大帯域割り当て機能およびBSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能を有する移動体無線通信システムの一例。
【図2】CQIに基づく最大帯域割り当て機能を有する移動体無線通信システムの一例。
【図3】ゲートウェイのブロック図の一例。
【図4】基地局のブロック図の一例。
【図5】最大帯域割り当て機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(UP別最大帯域比テーブル)の一例。
【図6】最大帯域割り当て機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(MS別最大帯域テーブル)の一例。
【図7】CQIに基づく最大帯域割り当て機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(CQI別最大帯域テーブル)の一例。
【図8】CQIに基づく最大帯域割り当て機能を有する基地局が保持するテーブル(MS別CQIテーブル)の一例。
【図9】ゲートウェイにおけるユーザ優先度に基づく最大帯域割り当て機能のフローチャートの一例。
【図10】ゲートウェイにおけるCQIに基づく最大帯域割り当て機能のフローチャートの一例。
【図11】BSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能を有する移動体無線通信システムの一例。
【図12】最大帯域の総量設定機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(UP別最大帯域比テーブル)の一例。
【図13】最大帯域の総量設定機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(MS別最大帯域テーブル)の一例。
【図14】BSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能を有するゲートウェイが保持するテーブル(最大帯域総量の増減量テーブル)の一例。
【図15】BSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能を有する基地局が保持するテーブル(送信待ちパケットバッファ量テーブル)の一例。
【図16】ゲートウェイにおけるBSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能のフローチャートの一例。
【図17】移動体無線通信システムのプロトコルスタックの一例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.概要
図1は、CQIに基づく最大帯域割り当て機能およびBSのバッファ量に基づく最大帯域総量設定機能を有する移動体無線通信システムの一例である。このシステムについては第3の実施の形態で詳述するが、まず、図1を参照して各実施の形態の概要を説明する。
本発明の実施の形態のひとつは、移動体無線通信システムにおいて、各無線端末(以下、MS:Mobile Station)6の基地局(以下、BS:Base Station)4〜MS6間およびBS4〜ゲートウェイ装置(なお、本明細書において単にゲートウェイと称することもある。以下、BCGW:Bandwidth Control Gatewayと記す)2間の最大帯域の割り当てを行うBCGW2が、収集したBS4〜MS6間(無線区間)の帯域情報を基に、各MS6に割り当てる最大帯域を設定できるシステムを提供する。
BS4〜MS6間の帯域情報の一例として、MS6の受信強度の指標であるCQI(Channel Quality Indicator)を用いて、各MS6に割り当てる最大帯域を設定するケースについて、第1の実施の形態で示す。また、無線区間の帯域に応じた他の情報に基づいて各MS6に割り当てる最大帯域を設定する例を変形例として示す。
【0014】
また、本発明の他の実施の形態のひとつは、移動体無線通信システムにおいて、各MS6のBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の割り当てを行うBCGW2が、収集したBS4〜MS6間の帯域情報を基に、あるBS4又はMS6に提供するサービスに属する全MS6に割り当てる最大帯域の総量を設定できるシステムを提供する。
BS4〜MS6間の帯域情報の一例として、BS4の送信待ちパケットバッファ量を用い、あるBS4に属する全MS6に割り当てる最大帯域の総量を設定するケースについて、第2の実施の形態で示す。また、無線区間の帯域に応じた他の情報に基づいて、あるBS4に属する全MS6に割り当てる最大帯域の総量を設定する例を変形例として示す。
また、本発明の実施の形態のひとつは、移動体無線通信システムにおいて、各MS6のBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の割り当てを行うBCGW2が、収集したBS4〜MS6間の帯域情報(第2の帯域情報)を基にあるBS4に属する全MS6に割り当てる最大帯域の総量を設定し、かつ収集したBS4〜MS6間の帯域情報(第1の帯域情報)を基に各MS6に割り当てる最大帯域を設定できるシステムを提供する。
BS4〜MS6間の帯域情報に基づく最大帯域の総量設定と、BS4〜MS6間の帯域情報に基づく最大帯域の割り当てを併せて用いる例として、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせるケースについて、第3の実施の形態で示す。
なお、各実施の形態のシステムは移動体通信に限らず、無線区間を有する無線通信システムであってもよい。
また、それぞれの実施の形態において、BCGW2が割り当てる最大帯域は、MS6単位あるいはMS6かつサービス単位のいずれの単位でも設定できる。MS6かつサービス単位に最大帯域を設定する場合、MS6が接続するサービス網ごとに独立に最大帯域の制御を行い、同じMS6でも接続するサービス網によって、互いに独立した通信路として扱う。
また、それぞれの実施の形態において、BCGW2がBS4〜MS6間の帯域情報を取得する場合、BS4から直接通知されるだけではなく、統計項目取得機能を有する外部装置(統計項目取得サーバ、以下、OAM7:Operation And Maintenance)を介して取得することも可能である。
また、それぞれの実施の形態において、各MS6の最大帯域の割り当てを、BS4〜MS6間の帯域情報の他にサービスのポリシーに基づくユーザ単位の優先度(以下、UP:User Priority)などをあわせて考慮して設定してもよい。各MS6のUPや、UPに基づく最大帯域割り当ての重み付けなどを含むポリシー情報は、BCGW2内に事前に設定されているか、ポリシー管理サーバ(以下、PS3:Policy Server)から取得するといった方法がある。
【0015】
2.第1の実施の形態
第1の実施の形態は、CQIに基づく最大帯域割り当てに関するものであり、各MS6のCQIに基づくBCGW2における該MS6のBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の割り当ての一例を示す。
本実施の形態では、無線通信システムにおいて、ゲートウェイがある基地局のセル内の各移動局に最大帯域を割り当てる場合、該基地局と移動局との無線区間の帯域情報に基づいて、該基地局に属する各移動局に最大帯域を割り当てることができる。また、本実施の形態では、ゲートウェイの割り当てる各端末の最大帯域と、該基地局と該基地局に属する端末との無線区間の帯域との齟齬を避けることができる。
【0016】
2−1.システム構成
[本実施の形態の移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例]
図2に、本実施の形態の移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例を示す。
移動体無線通信システムは、例えば、ゲートウェイ(BCGW2)2と基地局(BS4)4とを備える。基地局4の無線通信範囲5内にはひとつ以上の端末(MS6、移動局)6が存在する。移動体無線通信システムは、さらに、統計項目を取得する保守管理装置(OAM7)7、ポリシー制御装置(PS3、ポリシーサーバ)3をさらに備えてもよい。なお、OAM7、PS3は省略されてもよい。
BCGW2は、IP(IP:Internet Protocol)ネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と接続される。BCGW2は、BS4またはOAM7から各MS6のCQIを取得し、各MS6のCQIに基づく各MS6のBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の割り当て機能を有する。また、BCGW2は、IPネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と制御信号およびデータの送受信を行う。BCGW2は、決定されるMS6の最大帯域に従い、BS4を介して所定のサービスに応じたパケットをMS6に送信する。なお、ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。また、BCGW2がCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
PS3は、BCGW2と接続され、各MS6の最大帯域割り当てに用いる各MS6のUPや、UPに基づく最大帯域割り当ての重み付けなどの情報をポリシー情報として管理する、また、PS3は、BCGW2と制御信号およびデータの送受信を行う。ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。
【0017】
BS4は、BCGW2およびOAM7と接続され、BCGW2およびOAM7および自身の無線通信範囲5内にいるMS6と、制御信号およびデータの送受信を行う。例えばBS4は、BS4−MS6間の無線区間の帯域情報又は無線区間の帯域情報をBCGW2が求める際に使用する情報をBCGW2又はOAM7に通知する。上述のように、BCGW2がCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
MS6は、無線通信可能なBS4と、制御信号およびデータの送受信を行う。
OAM7は、BCGW2およびBS4と接続され、BS4の統計項目を取得する外部装置である。OAM7は、BCGW2およびBS4と制御信号およびデータの送受信を行う。取得する統計項目は予め定めることができる。上述のように、BCGW2がCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
【0018】
2−2.装置構成
2−2−1.BCGW2
[本実施の形態のBCGW2の一例]
図3に、本実施の形態で使用するBCGW2の機能ブロック図の一例を示す。
BCGW2は、例えば、ネットワークインタフェース部21と、BSインタフェース部22と、PSインタフェース部23と、OAMインタフェース部24と、メモリ部25と、処理部26とを有する。
ネットワークインタフェース部21は、IPネットワーク1とのインタフェースである。ネットワークインタフェース部21により、BCGW2はIPネットワークとIPパケットの送受信を行う。
BSインタフェース部22は、BS4とのインタフェースである。BSインタフェース部22により、BCGW2はBS4とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からCQIを受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からCQIを受信する。
PSインタフェース部23は、PS3とのインタフェースである。PSインタフェース部23により、BCGW2はPS3とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はPSインタフェース部23によってPS3から、例えば各MS6のユーザ識別子、各MS6のUP、各サービスにおける最大帯域の総量の初期値、各サービスにおける各UPに対応する最大帯域割り当て比、各CQIに対応する最大帯域などのポリシーに関する情報等を受信することができる。ポリシーに関する情報がBCGW2内に設定されたり、他の適宜のノードからBCGW2に通知されたりすることにより、PS3が省略されるアーキテクチャの場合、PSインタフェース部23は省略可能である。
OAMインタフェース部24は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部24により、BCGW2はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からCQIを受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からCQIを受信する。CQIがBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部24は省略可能である。
メモリ部25は、送受信するIPパケット、接続するPS3のアドレス、接続するBS4のアドレス、接続するOAM7のアドレス、各MS6のユーザ識別子などの情報を、必要に応じて記憶・管理する。本実施の形態では、メモリ部25は、例えば、UP別最大帯域比テーブルと、MS別最大帯域テーブルと、CQI別最大帯域テーブルとを有し、各MS6のUP、各サービスにおける最大帯域の総量の初期値、各サービスにおける各UPに対応する最大帯域割り当て比、各CQIに対応する最大帯域、各サービスにおける現在各MS6に割り当てられている最大帯域などの情報を管理することができる。なお、各テーブルの詳細は後述する。
処理部26は、メモリ部25に保持される情報の管理、IPパケットの構築・解析などのIPパケット送受信処理などを行う。また、処理部26は、各MS6にBS4とMS6間及びBS4とBCGW2間の最大帯域を割り当てる。例えば、本実施の形態では、各サービスにおけるUPやCQIに基づく各MS6の最大帯域値計算などを行う。
【0019】
[本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例]
図5に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、UP別最大帯域比テーブルを示す。
UP別最大帯域比テーブルは、例えば、サービス識別子に対応して、最大帯域の総量と、UP毎の最大帯域比が記憶される。
サービス識別子は、BCGW2が接続するIPネットワーク1が提供するサービスの識別子である。最大帯域の総量Bは、サービス単位に予め設定され、各MS6に割り当てられる最大帯域の総量である。最大帯域比Rは、UP=iのMS6に割り当てる最大帯域をUPごとに比として表した値である。
図6に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、あるサービスに対するMS別最大帯域テーブルを示す。
MS別最大帯域テーブルは、例えば、ユーザ識別子に対応して、ユーザの優先度(UP)と最大帯域とが記憶される。MS別最大帯域テーブルは、サービスごとに有することができる。
ユーザ識別子は、MS6の識別子である。MS6を使用するユーザの識別子であってもよい。UPは、各ユーザに割り当てられた優先度の高さを示す値で、例えば値が小さいほど優先度が高いことを示す。最大帯域は、各ユーザ識別子に対応するMS6が、所望のサービスに接続する際に許容される最大帯域を示す。BCGW2の処理部26の計算によって求めた最大帯域値を保存し、以後最大帯域の再計算時に値が更新される。
【0020】
図7に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、あるサービスに対するCQI別最大帯域テーブルを示す。
CQI別最大帯域テーブルは、例えば、CQIと最大帯域が対応して記憶される。
CQIは、各MS6の受信強度を示す指標であり、例えば値が小さいほど受信強度が低いことを示す。最大帯域は、各CQIを有するMS6が、該サービスに接続する際に許容される最大帯域を示す。実際にBCGW2が最大帯域制御に使用する最大帯域は、この値とBCGW2の処理部26の計算によって求めた最大帯域値との比較によって決定する。
なお、これらの情報は、例えばPS3から予め受信して記憶されることができる。
【0021】
2−2−2.BS4
[本実施の形態のBS4の一例]
図4に、本実施の形態で使用するBS4の機能ブロック図の一例を示す。
BS4と、例えば、無線インタフェース部41と、BCGWインタフェース部42と、OAMインタフェース部43と、メモリ部44と、処理部45と、バッテリー部46とを有する。
無線インタフェース部41は、無線インタフェースである。無線インタフェース部41により、BS4はMS6とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2は無線インタフェース部41によってBS4からMS6へパイロット信号を送信し、MS6の応答から該MS6のCQIを測定する。BCGWインタフェース部42は、BCGW2とのインタフェースである。BCGWインタフェース部42により、BS4はBCGW2とIPパケットの送受信を行う。OAMインタフェース部43は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部43により、BS4はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BS4はBCGWインタフェース部42によってBCGW2へCQIを送信するか、OAMインタフェース部43によってOAM7へCQIを送信する。CQIがBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部43は省略可能である。
メモリ部44は、例えば、送受信するIPパケット、接続するBCGW2のアドレス、接続するMS6のアドレスなどの情報等を記憶、管理する。本実施の形態では、メモリ部44は、例えばMS別CQIテーブルを有し、各MS6のCQIなどの情報を管理する。処理部45は、メモリ部44に保持される情報の管理、IPパケットの構築・解析などのIPパケット送受信処理などを行う。バッテリー部46は、BS4のバッテリーである。BS4が常に電力供給されている場合は、バッテリー部46は省略可能である。
【0022】
[本実施の形態のBS4のメモリ部が保持する情報の一例]
図8に、本実施の形態のBS4のメモリ部が保持する情報の一例として、MS別CQIテーブルを示す。
MS別CQIテーブルは、例えば、ユーザ識別子に対応してMS6のCQIが記憶される。ユーザ識別子は上述と同様であり、例えばMS6の識別子である。CQIは、各MS6の受信強度を示す指標であり、例えば値が小さいほど受信強度が低いことを示す。
【0023】
2−3.最大帯域の割り当て
[本実施の形態のCQI取得前のBCGW2による最大帯域割り当ての一例]
BCGW2は、CQI取得前に各MS6の最大帯域の初期値をサービスのポリシーに基づいて割り当てることができる。以下、各MS6の最大帯域の初期値の設定の例をいくつか説明する。なお、これらに限らず、適宜のポリシーに基づいて設定してもよい。
BCGW2は、あるサービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値が、BCGW2に事前設定されている、またはPS3から通知されている場合、その値をサービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値として用いてもよい。
また、BCGW2は、あるサービスに接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該サービスに接続するMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、ある基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域の初期値がBCGW2に事前設定されている、またはPS3から通知されている場合、そのUPに基づいて、サービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値を、例えばUPが高いMS6に、UPが低いMS6よりもより大きな値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけRおよび該サービスに接続する全MS6の最大帯域の総量Bの情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該サービスに接続するMS6のうち、各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけおよび該基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6のうち、各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけおよび該基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6のうち、該サービスに接続しているMS6の中で各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の該サービスに対する最大帯域の初期値を設定してもよい。
図9に、最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理の一例を示す。上述の、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけRおよび該サービスに接続する全MS6の最大帯域の総量Bの情報が設定又は通知されている場合の例について、処理の一例を以下説明する。
【0024】
例えば、BCGW2は、サービスの識別子X、サービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量B、サービスXにおけるUP=iに対する最大帯域割り当ての重み(比)Rを含むUP別最大帯域比テーブルと、サービスXに接続する各MS6の識別子、サービスXに接続する各MS6のUP=iを含むMS別最大帯域テーブルを参照し、各MS6に割り当てる最大帯域の基準値Bを求めおよびUP=iを持つMS6の最大帯域をRに設定する。BCGW2 図9のS221で、BCGW2(例えば処理部26、以下フローチャートの説明において同様)は、MS別最大帯域テーブルの情報を基に、サービスXに接続する全MS6のうちUP=iを持つMS6の数Nを、各UPについてカウントして求める。
S222で、BCGW2は、カウント結果のNおよびUP別最大帯域比テーブルのB、Rを基に、以下の式に基づいて、各MS6に割り当てる最大帯域の基準値Bを設定する。
[式1]
=B/ΣR
ここで、Σはiに関する和(全UPに関する和)を表す算術記号である。
S223で、BCGW2は、S222で求めたBを基にUP=iを持つMS6の最大帯域をRに設定し、MS別最大帯域テーブルに保存する。保存された最大帯域は、BCGW2における下り方向の最大帯域制御に使用される。また、同様の方式で上り方向の最大帯域を求めて、BCGW2における上り方向の最大帯域制御に使用してもよい。また、同様の方式で求めた上り方向、または下り方向、または上りおよび下り方向の最大帯域をBS4やMS6に通知して、通知した値に基づいてBS4やMS6で最大帯域制御を行ってもよい。最大帯域制御の方式としては、例えば、シェーピングキューを用いたキューイングによるレートシェーピング、最大帯域を超えるパケットを破棄するレートポリシングなどがあるが、これ以外を用いてもよい。
本方式によって設定した最大帯域Rは、サービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量=Bを満たし、かつ、各UPを持つMS6に対してサービスXにおけるUP=iに対する最大帯域割り当ての重み(比)Rの条件を満たす。
【0025】
[本実施の形態のCQIに基づく最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理の一例]
図10に、最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理の一例を示す。
S201で、BCGW2は、BS4またはOAM7から各MS6のユーザ識別子とCQIを受信する。BS4は、MS6にパイロット信号を送信し、その受信強度をMS6から取得することで該MS6のCQIを測定することができる。OAM7は、各MS6のCQIを統計項目としてBS4から取得してもよい。これにより、BCGW2はBS4またはOAM7から各MS6のCQIを取得することができる。BCGW2は、全MS6のCQIを取得してもよいし、CQIが予め定められた閾値より低いMS6のCQIのみを取得してもよいし、CQIが上限閾値より高いMS6および下限閾値より低いMS6のCQIのみを取得してもよい。上限閾値、下限閾値は予め定められることができる。閾値を用いる場合、上記閾値条件に達した全MS6をCQI取得対象としてもよいし、上記閾値条件を一定時間以上満たしたMS6をCQI取得対象にしてもよい。例えば、受信強度が低い場合などが該当する。また、上記閾値条件を満たしてCQIを通知したが上記閾値条件を満たさなくなった全MS6、または、上記閾値条件を満たしてCQIを通知したが上記閾値条件を満たさない状態が一定時間継続したMS6をCQI取得対象としてもよい。これらは、例えば、受信強度が一旦低くなったが回復した場合が該当する。また、ある閾値に従って特定のMS6のCQIのみ取得する場合、閾値はBS4に設定してもよいし、BCGW2がOAM7からCQIを取得する場合はOAM7に設定してもよいし、BCGW2に設定して通知されたCQIの中から閾値に従って判定してもよい。また、BCGW2がCQIを取得する契機の例として、MS6の位置登録・エリア変更・ハンドオーバ、タイマによる定期的な通知、上記閾値を用いる場合で例示したCQI取得対象となったMS6のCQI取得などが挙げられる。また、上記閾値は、BCGW2がBCGW2に事前設定されている値またはPS3から取得した値をBS4またはOAM7に通知してもよいし、BS4またはOAM7に事前設定されていてもよい。また、BCGW2のCQI取得はBS4単位、またはサービス単位、またはBS4かつサービス単位に独立して行ってもよい。
S202で、BCGW2は、CQIとMS6に割り当てる最大帯域との対応関係を示すCQI別最大帯域テーブルを基に、取得した該MS6のCQIに対応する最大帯域Brjを求める。CQI別最大帯域テーブルのCQIとMS6に割り当てる最大帯域との対応関係は、BCGW2に事前設定されていてもよいし、PS3から取得してもよい。また、CQI別最大帯域テーブルのテーブルは、BS4単位、またはサービス単位、またはBS4かつサービス単位に異なるテーブルを設定してもよいし、共通のテーブルを使用してもよい。
【0026】
S203で、BCGW2は、S202で求めた該MS6のCQIに対応する最大帯域Brjと、現在該MS6に割り当てている最大帯域とを比較する。なお、MS6に割り当てている最大帯域は、受信されたユーザ識別子に基づきMS別最大帯域テーブルを参照し、対応する最大帯域を特定することができる。この比較結果と対応するBCGW2の動作は、CQIが下限閾値より低いMS6または上限閾値より高いという条件を満たさなくなったMS6と、上限閾値より高いMS6または下限閾値より低いという条件を満たさなくなったMS6とで逆になる。以下では、前者のケースを例にして説明する。また、閾値条件を満たさなくなったMS6に対して、BCGW2は上記比較を行わず、CQIに対応する最大帯域を割り当てる前に割り当てられていた最大帯域を、再度割り当てるといった動作も可能である。
S202で求めたMS6のCQIに対応する最大帯域Brjより現在該MS6に割り当てている最大帯域の方が小さい場合(図10、S203:Noのルート)、BCGW2は、S204Nで該MS6の最大帯域を変更しないで、S205へ進む。このとき、該MS6のCQIを通知してきたBS4またはOAM7に対して、該MS6の最大帯域を変更しなかったことを通知してもよい。
一方、S202で求めたMS6のCQIに対応する最大帯域Brjより現在該MS6に割り当てている最大帯域の方が大きい場合(図10、S203:Yesのルート)、S204Yで、S202で求めたMS6のCQIに対応する最大帯域を該MS6の最大帯域として設定し、S205へ進む。例えば、MS別最大帯域テーブルの該当するユーザ識別子に対応する最大帯域を、S202で求めたMS6のCQIに対応する最大帯域に上書きする。MS6のCQIに対応する最大帯域より、割り当てている最大帯域の方が大きい場合、MS6〜BS4間の無線区間の帯域がBS4〜BCGW2間の帯域より小さくなりBS4でバッファあふれが発生する場合がある。本実施の形態では、S204でユーザに割り当てる最大帯域を変更して、MS6〜BS4間の帯域とBS4〜BCGW2間の帯域とに差が生じにくいようにしている。
なお、上述のように、上限閾値より高いMS6または下限閾値より低いという条件を満たさなくなったMS6のケース(上述の後者のケース)では、比較結果とS204Y/S204Nの関係が上述のケースと逆になる。例えば、MS6のCQIに対応する最大帯域Brjより現在MS6に割り当てている最大帯域の方が小さい場合(S203:N)、ステップS204Yの処理を実行し、MS6のCQIに対応する最大帯域Brjより現在MS6に割り当てている最大帯域の方が大きい場合(S203:Y)、ステップS204Nのように最大帯域を変更せずにステップS205に移る。
【0027】
S205で、BCGW2は、今回CQIを取得した別のMS6に対してS202〜S204を実行する。今回CQIを取得した全MS6に対して既にS202を実行している場合、S206へ進む。
S206で、BCGW2は、今回CQIを取得したMS6のうち、最大帯域を変更したMS6がいない場合(S206:N)、S207Nへ進み、最大帯域の割り当てフローを終了する。
S206で、BCGW2は、今回CQIを取得したMS6のうち、最大帯域を変更したMS6がいる場合(S206:Y)、S207Yで、BCGW2は、S203Yで最大帯域を変更したMS6を除くMS6の最大帯域を割り当てる。ここで最大帯域割り当ての対象となるMS6は、前記CQI取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで対象としたMS6の集合の中で、S203Yで最大帯域を変更したMS6を除いたMS6である。すなわち、対象となるMS6の集合は、サービス単位、基地局単位、基地局かつサービス単位などが考えられる。対象となるMS6の最大帯域割り当て方法は、前記CQI取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで例として挙げた方法などに基づくことができる。
例えば、BCGW2は、サービスの識別子X、サービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量B、サービスXにおけるUP=iに対する最大帯域割り当ての重み(比)Rを含むUP別最大帯域比テーブルと、サービスXに接続する各MS6の識別子、サービスXに接続する各MS6のUP=iを含むMS別最大帯域テーブルを基に、以下の式に基づいて、各MS6に割り当てる最大帯域の基準値Bを設定する。
[式2]
=B’/ΣRN’
ここで、N’は、サービスXに接続する各MS6のうちUP=iを持つMS6の数から、S203Yで最大帯域を変更したMS6のうちUP=iを持つMS6の数を除いたもので、MS別最大帯域テーブルの情報を基にBCGW2がカウントして求める。また、B’は、サービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量Bから、S203Yで最大帯域を変更したMS6の変更後の最大帯域の総量を除いたもので、UP別最大帯域比テーブルのBおよびMS別最大帯域テーブルの各MS6に割り当てられた最大帯域を基にBCGW2が求める。また、Σはiに関する和(全UPに関する和)を表す算術記号である。
【0028】
このようにして求めたBを基に、S203Yで最大帯域を変更していないMS6に対して、UP=iを持つMS6の最大帯域をRに設定し、MS別最大帯域テーブルに保存してBCGW2における下り方向の最大帯域制御に使用する。例えば、S204であるユーザの最大帯域が小さくなるように変更された場合には、この変更により余った帯域が、S207Yの処理で他のユーザに割り振られることになり、リソースを有効利用することができる。
また、同様の方式で上り方向の最大帯域を求めて、BCGW2における上り方向の最大帯域制御に使用してもよい。また、同様の方式で求めた上り方向、または下り方向、または上りおよび下り方向の最大帯域をBS4やMS6に通知して、通知した値に基づいてBS4やMS6で最大帯域制御を行ってもよい。最大帯域制御の方式としては、シェーピングキューを用いたキューイングによるレートシェーピング、最大帯域を超えるパケットを破棄するレートポリシングなどがある。
なお、タイマに基づく定期的な最大帯域割り当てなど、MS6の最大帯域の割り当て契機を別に持つ場合などにおいては、本ステップを省略してもよい。
上述のように、BCGW2は、サービス毎に所定のサービスに属するMS6について最大帯域を割り当ててもよい。例えば、BCGW2は、複数のサービスをそのサービスの提供が予め許容されたMS6に提供する。BCGW2は、所定のサービスに属するMS6について、該MS6が属するBS4又は該MS6から無線区間の帯域情報を収集し、無線区間の第1の帯域情報に基づいて、該サービスに接続する各MS6にBS4とMS6間およびBS4とBCGW2間の最大帯域を割り当ててもよい。
また、BCGW2は、MS毎かつサービス毎に最大帯域を割り当ててもよい。例えば、無線区間の帯域情報に基づいて、該BS4に属するMS6のうち所定のサービスに接続する各MS6に、BS4とMS6間およびBS4とBCGW2間の最大帯域を割り当ててもよい。
【0029】
2−4. 第1の実施の形態の変形例1
上述の実施の形態は、端末の受信強度に基づいて最大帯域を割り当てる例であるが、基地局(BS4)にバッファされている単位時間の下りバイト数に基づき、最大帯域を割り当ててもよい。例えば、BS4におけるユーザ単位の下りパケットバッファ量が予め定められた閾値以上に達したMS6は、その量に応じた最大帯域を現在の割り当て値から差し引いて新たな最大帯域とする。また、BS4におけるユーザ単位の下りパケットバッファ量が予め定められた閾値以下に回復したら、最大帯域を再設定する。
より具体的には、まず、BS4におけるユーザ単位の下りパケットバッファ量が閾値超過したことをBS4またはOAM7が検出する。閾値超過が検出されると、BS4またはOAM7からBCGW2にユーザ識別子とバッファ量の閾値超過量が通知される。BS4GWは、BS4におけるユーザ単位のバッファ量の閾値超過量の時間平均から、BS4にバッファされているユーザ単位のバイト数に対応する帯域bc+を算出し、最大帯域を再設定する。例えば、現在の最大帯域B’から帯域bc+を指し引き、新たな最大帯域B’を設定する(B’=B’−bc+)。
また、BS4におけるユーザ単位のバッファ量が閾値以下の状態が一定時間継続したら、BS4GWは、閾値とバッファ量の時間平均との差bc−を算出し、最大帯域を再設定する。例えば、現在の最大帯域B’に帯域bc−を加え新たな最大帯域を設定する(B’+bc−)。なお、閾値超過量、閾値との差を用いる以外にも、パケットバッファ量に応じた適宜の値を用いてもよい。
該当ユーザについて最大帯域を割り当てた後、上述のステップS206、S207Yの処理を実行して、他のユーザの帯域を再計算してもよい。
【0030】
2−5. 第1の実施の形態の変形例2
また、BCGW2が送信したバイト数と、MS6が受信したバイト数との差に基づいて最大帯域の割り当ててもよい。例えば、BCGW2が送信したバイト数とMS6が受信したバイト数の差が閾値以上に達した端末は、その量に応じた最大帯域を現在の割り当て値から差し引いた新たな最大帯域を割り当てる。また、BCGW2が送信したバイト数とMS6が受信したバイト数の差が閾値以下に回復したら、最大帯域を再設定する。
より具体的には、まず、BCGW2が送信したバイト数と、MS6が受信したバイト数とを、例えばBS4やOAM7が収集し、BCGW2が送信したバイト数と、MS6が受信したバイト数との差の閾値超過をBS4またはOAM7が検出する。閾値超過が検出されると、BS4またはOAM7からBCGW2にユーザ識別子とBCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数との差の閾値超過量が通知される。BS4GWは、上述の閾値超過量の時間平均から、BCGW2が送信したバイト数とMS6が受信したバイト数の差に対応する帯域bc’+を算出し、最大帯域を再設定する。例えば、現在の最大帯域B’から帯域bc’+を指し引き、新たな最大帯域B’を設定する(B’=B’−bc’+)。
また、BCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数との差が閾値以下の状態が一定時間継続したら、閾値と上述の差の時間平均との差分bc’−を算出し、最大帯域を再設定する。例えば、現在の最大帯域B’に帯域bc’−を加え新たな最大帯域を設定する(B’+bc−)。なお、閾値超過量、閾値との差分を用いる以外にも、BCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数との差に応じた適宜の値を用いてもよい。
該当ユーザについて最大帯域を割り当てた後、上述のステップS206、S207Yの処理を実行して、他のユーザの帯域を再計算してもよい。
【0031】
3.第2の実施の形態(BS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく)
第2の実施の形態は、最大帯域総量の設定に関するものであり、BS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく該BS4に属する全MS6に割り当てる最大帯域総量の設定の一例を示す。
本実施の形態によると、例えば無線通信システムにおいて、ゲートウェイがある基地局のセル内の各移動局に最大帯域を割り当てる場合、該基地局と移動局との無線区間の帯域情報に基づいて、該基地局又は移動局が受けるサービスに属する全移動局に割り当てられる最大帯域の総量を設定し、該総量に基づいて該基地局に属する各移動局に最大帯域を割り当て、ゲートウェイの割り当てる各端末の最大帯域と、該基地局と該基地局に属する端末との無線区間の帯域との齟齬を避けることができる。
【0032】
3−1.システム
[本実施の形態の移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例]
図11に、本実施の形態の移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例を示す。
BCGW2は、IP(IP:Internet Protocol)ネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と接続される。BCGW2は、BS4またはOAM7から各BS4の送信待ちパケットバッファ量を取得し、あるBS4に属するMS6に割り当てるBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の総量を設定する機能を有する。また、BCGW2は、IPネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と制御信号およびデータの送受信を行う。ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。また、BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量をBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
PS3は、BCGW2と接続され、各MS6の最大帯域割り当てに用いる各MS6のUPや、UPに基づく最大帯域割り当ての重み付けなどの情報をポリシー情報として管理する。また、PS3は、BCGW2と制御信号およびデータの送受信を行う。ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。
BS4は、BCGW2およびOAM7と接続され、BCGW2およびOAM7および自身の無線通信範囲5内にいるMS6と、制御信号およびデータの送受信を行う。上述のようにBCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量をBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
MS6は、無線通信可能なBS4と、制御信号およびデータの送受信を行う。
OAM7は、BCGW2およびBS4と接続され、BS4の統計項目を取得する外部装置である。OAM7は、BCGW2およびBS4と制御信号およびデータの送受信を行う。取得する統計項目は予め定めることができる。上述のように、BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量をBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
【0033】
3−2.装置構成
3−2−1.BCGW2
[本実施の形態のBCGW2の一例]
本実施の形態で使用するBCGW2の機能ブロック図の一例として、第1の実施の形態で示した図3と同様の装置構成の場合を示す。但し、各ブロックの機能は以下のようになる。
ネットワークインタフェース部21は、第1の実施の形態と同様である。
BSインタフェース部22は、BS4とのインタフェースである。BSインタフェース部22により、BCGW2はBS4とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信する。
PSインタフェース部23は、PS3とのインタフェースである。PSインタフェース部23により、BCGW2はPS3とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はPSインタフェース部23によってPS3から各MS6のユーザ識別子、各MS6のUP、各サービスにおける最大帯域の総量の初期値、各サービスにおける各UPに対応する最大帯域割り当て比、各BS4の送信待ちパケットバッファ量に対応する最大帯域総量の増減量などのポリシーに関する情報等を受信することができる。ポリシーに関する情報がBCGW2内に設定されたり、他ノードからBCGW2に通知されたりすることにより、PS3が省略されるアーキテクチャの場合、PSインタフェース部23は省略可能である。
【0034】
OAMインタフェース部24は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部24により、BCGW2はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信する。BS4の送信待ちパケットバッファ量がBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部24は省略可能である。
メモリ部25は、送受信するIPパケット、接続するPS3のアドレス、接続するBS4のアドレス、接続するOAM7のアドレス、各MS6のユーザ識別子などの情報を、必要に応じて記憶、管理する。本実施の形態では、メモリ部25は、UP別最大帯域比テーブルと、MS別最大帯域テーブルと、最大帯域総量の増減量テーブルとを有し、各MS6のUP、各サービスにおける最大帯域の総量の初期値、各サービスにおける各UPに対応する最大帯域割り当て比、各BS4の送信待ちパケットバッファ量に対応する最大帯域総量の増減量、各サービスにおける現在各MS6に割り当てられている最大帯域などの情報を管理することができる。
処理部26は、メモリ部25に保持される情報の管理、IPパケットの構築・解析などのIPパケット送受信処理などを行う。本実施の形態では、処理部26は、各MS6に割り当てる最大帯域の総量の設定、各サービスにおけるUPやBS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく各MS6の最大帯域値計算などを行う。
【0035】
[本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例]
図12に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、UP別最大帯域比テーブルを示す。
サービス識別子は、BCGW2が接続するIPネットワーク1が提供するサービスの識別子である。最大帯域の総量Bcは、サービス単位に設定される各MS6に割り当てられる最大帯域の総量である。本実施の形態において、この値はBS4の送信待ちパケットバッファ量に応じて変更される。最大帯域比Rは、UP=iのMS6に割り当てる最大帯域をUPごとに比として表した値である。
図13に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、あるサービスに対するMS別最大帯域テーブルを示す。MS別最大帯域テーブルは、サービス毎に有することができる。
ユーザ識別子は、MS6の識別子である。MS6を使用するユーザの識別子であってもよい。UPは、各ユーザに割り当てられた優先度の高さを示す値で、例えば値が小さいほど優先度が高いことを示す。最大帯域は、各ユーザ識別子に対応するMS6が、所望のサービスに接続する際に許容される最大帯域を示す。BCGW2の処理部26の計算によって求めた最大帯域値を保存し、以後最大帯域の再計算時に値が更新される。
図14に、本実施の形態のBCGW2のメモリ部が保持する情報の一例として、あるサービスに対するBS4の送信待ちパケットバッファ量別最大帯域総量の増減量テーブルを示す。
最大帯域総量の増減量テーブルは、例えば、バッファ量に応じて最大帯域増減量が記憶される。
バッファ量は、BS4の下り方向または上り方向における全MS6に対する送信待ちパケットバッファ量を示す指標であり、値が小さいほど送信待ちパケットバッファ量が少ないことを示す。最大帯域増減量は、各BS4の送信待ちパケットバッファ量に対して、該BS4に接続する全MS6に割り当てられる最大帯域の総量を増減させる量を示す。
【0036】
3−2−2.BS4
[本実施の形態のBS4の一例]
本実施の形態で使用するBCGW2の機能ブロック図の一例として、第1の実施の形態で示した図4と同様の装置構成の場合を示す。各ブロックの機能は以下のようになる。
無線インタフェース部41は、無線インタフェースである。無線インタフェース部41により、BS4はMS6とIPパケットの送受信を行う。また、下り方向のBS4の送信待ちパケットバッファ量を最大帯域の総量設定に用いる場合、宛先IPアドレスなどの情報からデータパケットをサービス別に分けてバッファリングする。
BCGWインタフェース部42は、BCGW2とのインタフェースである。BCGWインタフェース部42により、BS4はBCGW2とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BS4はBCGWインタフェース部42によってBCGW2へBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信するか、OAMインタフェース部43によってOAM7へBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信する。また、下り方向のBS4の送信待ちパケットバッファ量を最大帯域の総量設定に用いる場合、送信元IPアドレスなどの情報からデータパケットをサービス別に分けてバッファリングする。
OAMインタフェース部43は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部43により、BS4はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BS4はBCGWインタフェース部42によってBCGW2へBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信するか、OAMインタフェース部43によってOAM7へBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信する。BS4の送信待ちパケットバッファ量がBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部43は省略可能である。
メモリ部44は、送受信するIPパケット、接続するBCGW2のアドレス、接続するMS6のアドレスなどの情報を記憶、管理する。MS6へのパケットを蓄積するバッファがメモリ部44上に構成されてもよい。本実施の形態では、メモリ部44は、例えば送信待ちパケットバッファ量テーブルを有し、各サービスのデータパケットに関するBS4の送信待ちパケットバッファ量などの情報を管理する。
処理部45は、メモリ部44に保持される情報の管理、IPパケットの構築・解析などのIPパケット送受信処理などを行う。
バッテリー部46は、第1の実施の形態と同様である。
【0037】
[本実施の形態のBS4のメモリ部が保持する情報の一例]
図15に、本実施の形態のBS4のメモリ部が保持する情報の一例として、サービス別BS4送信待ちパケットバッファ量テーブルを示す。
送信待ちパケットバッファ量テーブルは、例えば、サービス識別子に対応して、蓄積されているバッファ量が記憶される。
サービス識別子は、BCGW2が接続するIPネットワーク1が提供するサービスの識別子である。バッファ量は、BS4の下り方向または上り方向における全MS6に対する送信待ちパケットバッファ量を示す指標であり、値が小さいほど送信待ちパケットバッファ量が少ないことを示す。例えば、BCGWインタフェース部42のバッファや、無線インタフェース部41のバッファのバッファ量を示す。送信待ちパケットバッファ量は、所定の周期で更新されてもよいし、パケットの入力、出力を契機に逐次更新されてもよい。
【0038】
3−2.最大帯域の総量の設定
[本実施の形態のBS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2によるMS6の最大帯域の総量設定およびMS6の最大帯域割り当ての一例]
BCGW2は、BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前にMS6の最大帯域の総量の初期値をサービスのポリシーに基づいて割り当てることができる。なお、MS6の最大帯域の総量は、サービス単位、または基地局単位、または基地局かつサービス単位に設定してもよい。また、BCGW2は、BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前に、上述の第1の実施の形態と同様の方式で、各MS6の最大帯域の初期値をサービスのポリシーに基づいて割り当てて、割り当てられたMS6の最大帯域の合計を、最大帯域の総量の新たな初期値としてもよい。各MS6の最大帯域の初期値の割り当てについては、上述の第1の実施の形態と同様、以下の例がある。
BCGW2は、サービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値が、BCGW2に事前設定されている、またはPS3から通知されている場合、その値をサービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値として用いてもよい。
また、BCGW2は、あるサービスに接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該サービスに接続するMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、ある基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域の初期値がBCGW2に事前設定されている、またはPS3から通知されている場合、そのUPに基づいて、サービスの提供が許容された各MS6の最大帯域の初期値を、例えばUPが高いMS6により大きな値を設定してもよい。
【0039】
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけおよび該サービスに接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該サービスに接続するMS6のうち、各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけRおよび該基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量Bの情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6のうち、各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の最大帯域の初期値を設定してもよい。
また、BCGW2は、各MS6のUPとともに各UPに対する最大帯域割り当ての重みづけおよび該基地局に接続する全MS6の最大帯域の総量の情報がBCGW2に事前設定されている、またはPS3、BS4、OAM7から通知されている場合、最大帯域の総量と該基地局に接続するMS6のうち、該サービスに接続しているMS6の中で各UPを持つMS6の数を基に、各MS6の該サービスに対する最大帯域の初期値を設定してもよい。
例えば、BCGW2は、各BS4に関して、サービスの識別子X、該BS4に属しておりかつサービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量B、サービスXにおけるUP=iに対する最大帯域割り当ての重み(比)Rを含むUP別最大帯域比テーブルと、該BS4に属しておりかつサービスXに接続する各MS6の識別子(ユーザ識別子)、該BS4に属しておりサービスXに接続する各MS6のUP=iを含むMS別最大帯域テーブルを基に、以下の式に基づいて、各MS6に割り当てる最大帯域の基準値Bc0を設定する。
[式3]
c0=B/ΣR
ここで、NはサービスXに接続する各MS6のうちUP=iを持つMS6の数で、MS別最大帯域テーブルの情報を基にBCGW2がカウントして求める。また、Σはiに関する和(全UPに関する和)を表す算術記号である。
なお、UP別最大帯域比テーブルは、BS4間で共通でもよいし、BS4ごとに異なる設定でもよい。また、BCGW2は、各MS6がどのBS4に属しているかを,BS4またはOAM7から取得したBS4の識別子BS4IDなどから知り、BS4ごとにMS別最大帯域テーブルを作成することができる。
このようにして求めたBc0を基に、UP=iを持つMS6の最大帯域をRc0に設定し、MS別最大帯域テーブルに保存する。保存された最大帯域は、BCGW2における下り方向の最大帯域制御に使用される。また、同様の方式で上り方向の最大帯域を求めて、BCGW2における上り方向の最大帯域制御に使用してもよい。また、同様の方式で求めた上り方向、または下り方向、または上りおよび下り方向の最大帯域をBS4やMS6に通知して、通知した値に基づいてBS4やMS6で最大帯域制御を行ってもよい。最大帯域制御の方式としては、シェーピングキューを用いたキューイングによるレートシェーピング、最大帯域を超えるパケットを破棄するレートポリシングなどがあるが、これら以外を用いてもよい。
本方式によって設定した最大帯域Rc0は、該BS4に属しておりかつサービスXに接続する全MS6の最大帯域の総量=Bを満たし、かつ、各UPを持つMS6に対してサービスXにおけるUP=iに対する最大帯域割り当ての重み(比)Rの条件を満たす。
【0040】
[本実施の形態のBS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく最大帯域の総量設定および最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理の一例]
図16に、最大帯域の総量設定におけるBCGW2の処理の一例を示す。
S211で、BCGW2は、BS4またはOAM7からBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信する。BS4の送信待ちパケットバッファ量は、MS6単位、またはサービス単位、またはMS6かつサービス単位、またはBS4に属する全MS6の送信待ちパケットバッファ量の総量のいずれで定義してもよい。OAM7は、各BS4の送信待ちパケットバッファ量を統計項目としてBS4から取得してもよい。これにより、BCGW2はBS4から直接またはOAM7を介して各BS4の送信待ちパケットバッファ量を取得することができる。BCGW2は、全BS4の送信待ちパケットバッファ量を取得してもよいし、BS4の送信待ちパケットバッファ量が閾値より多いBS4の送信待ちパケットバッファ量のみを取得してもよいし、BS4の送信待ちパケットバッファ量が上限閾値より多いBS4および下限閾値より少ないBS4の送信待ちパケットバッファ量のみを取得してもよい。閾値を用いる場合、上記閾値条件に達した全BS4をBS4の送信待ちパケットバッファ量取得対象としてもよいし、上記閾値条件を一定時間以上満たしたBS4をBS4の送信待ちパケットバッファ量取得対象にしてもよい。また、上記閾値条件を満たしてBS4の送信待ちパケットバッファ量を通知したが上記閾値条件を満たさなくなった全BS4の送信待ちパケットバッファ量または上記閾値条件を満たしてBS4の送信待ちパケットバッファ量を通知したが上記閾値条件を満たさない状態が一定時間継続したBS4をBS4の送信待ちパケットバッファ量取得対象としてもよい。また、ある閾値に従って特定のBS4の送信待ちパケットバッファ量のみ取得する場合、閾値はBS4に設定してもよいし、BCGW2がOAM7からBS4の送信待ちパケットバッファ量を取得する場合はOAM7に設定してもよいし、BCGW2に設定して通知されたBS4の送信待ちパケットバッファ量の中から閾値に従って判定してもよい。また、BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量を取得する契機の例として、MS6の位置登録・エリア変更・ハンドオーバ、タイマによる定期的な通知、上記閾値を用いる場合で例示したBS4の送信待ちパケットバッファ量取得対象となったBS4の送信待ちパケットバッファ量取得などが挙げられる。また、上記閾値は、BCGW2がBCGW2に事前設定されている値またはPS3から取得した値をBS4またはOAM7に通知してもよいし、BS4またはOAM7に事前設定されていてもよい。また、BCGW2のBS4の送信待ちパケットバッファ量取得はBS4単位、またはBS4かつサービス単位に独立して行ってもよい。ただし、前記BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで、MS6に割り当てる最大帯域の総量BをBS4かつサービス単位に独立して設定している場合、BCGW2のBS4の送信待ちパケットバッファ量取得もBS4かつサービス単位に独立して行う。
【0041】
S212で、BCGW2は、BS4の送信待ちパケットバッファ量とMS6に割り当てる最大帯域の総量を増減させる量(増減量)との対応関係を示すBS4の送信待ちパケットバッファ量別最大帯域総量の増減量テーブルを基に、取得した該BS4の送信待ちパケットバッファ量に対応する最大帯域の総量を増減させる量を求める。BS4の送信待ちパケットバッファ量別最大帯域総量の増減量テーブルのMS6に割り当てる最大帯域の総量を増減させる量は、前記BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで、MS6に割り当てる最大帯域の総量Bの設定単位に合わせて、BS4単位、またはBS4かつサービス単位に独立して設定してもよい。BS4の送信待ちパケットバッファ量別最大帯域総量の増減量テーブルのBS4の送信待ちパケットバッファ量とMS6に割り当てる最大帯域の総量を増減させる量との対応関係は、BCGW2に事前設定されていてもよいし、PS3から取得してもよい。
S213で、BCGW2は、S212で求めた該BS4の送信待ちパケットバッファ量に対応するMS6に割り当てる最大帯域の総量を増減させる量に基づいて、UP別最大帯域比テーブルのMS6に割り当てる最大帯域の総量Bを増減させる。
S214で、BCGW2は、最大帯域割り当て変更の対象となるMS6の最大帯域を割り当てる。例えば、上述の(式3)に従い、各MS6の最大帯域を再計算し、MS別最大帯域テーブルに記憶する。ここで最大帯域割り当て変更の対象となるMS6は、前記BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで対象としたMS6である。すなわち、対象となるMS6の集合は、BS4単位、またはBS4かつサービス単位などが考えられる。例えば、変更された最大帯域の総量があるBSに対するものである場合、そのBSに属する各MS6が対象となる。対象となるMS6の最大帯域割り当て方法は、前記BS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2による最大帯域割り当てで例として挙げた方法などに基づく。
なお、タイマに基づく定期的な最大帯域割り当てなど、MS6の最大帯域の割り当て契機を別に持つ場合などにおいては、本ステップを省略してもよい。
【0042】
3−3. 第2の実施の形態の変形例1
上述の第2の実施の形態は、BS4にバッファされた下りバイト数に基づいて全帯域を設定する例であるが、BCGW2が送信したバイト数とMS6が受信したバイト数の差に基づいて全帯域を割り当ててもよい。例えば、BCGW2が送信したバイト数と端末が受信したバイト数の差のセル内総量が閾値以上に達した端末は、その量に応じた帯域を現在の全帯域値から差し引いて新たな全帯域とし、各端末の最大帯域を再度割り当てる。また、BCGW2が送信したバイト数と端末が受信したバイト数の差のセル内総量が閾値以下の状態が一定時間継続したら、全帯域を増加させ、各端末の最大帯域を再度割り当てる。
より具体的には、まず、上記の閾値超過をBS4またはOAM7が検出する。閾値超過が検出されると、BCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数の差の総量について、閾値超過量の時間平均からBc’+を算出し、全帯域を再設定する(BNew=B−Bc’+)。また、BCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数の差の総量について、閾値以下の状態が一定時間継続した場合、閾値と差の総量の時間平均との差Bc’−を算出し、全帯域を再設定する(BNew=B+Bc’−)。
なお、Bc’±は、BCGW2が送信したバイト数と端末が受信したバイト数の差に対応する帯域であり、無線区間の輻輳に応じた全帯域を設定する。
全帯域の設定後、上述のステップ214の処理を実行して、各ユーザの最大帯域を求める。
【0043】
3−4. 第2の実施の形態の変形例2
また、セルスループット(基地局の下り方向送信バイト数)に基づき全帯域を割り当ててもよい。例えば、BCGW2が送信した単位時間当たりのバイト数とセルスループットの差が閾値以上に達した端末は、その量に応じた帯域を現在の全帯域値から差し引いて新たな全帯域とし、各端末の最大帯域を再度割り当てる。また、BCGW2が送信した単位時間当たりのバイト数とセルスループットの差が閾値以下の状態が一定時間継続したら、全帯域を増加させ、各端末の最大帯域を再度割り当てる。
より具体的には、まず、上記の閾値超過をBS4またはOAM7が検出する。閾値超過が検出されると、BCGW2の単位時間の送信バイト数とセルスループットの差について、閾値超過量の時間平均からBc’’+を算出し、全帯域を再設定する(BNew=B−Bc’’+)。また、BCGW2の送信バイト数とMS6の受信バイト数の差の総量について、閾値以下の状態が一定時間継続した場合、閾値と差の総量の時間平均との差Bc’’−を算出し、全帯域を再設定する(BNew=B+Bc’’−)。
なお、Bc’’±は、BCGW2が送信した単位時間のバイト数とセルスループットの差に対応する帯域であり、無線区間の輻輳に応じた全帯域を設定する。
全帯域の設定後、上述のステップ214の処理を実行して、各ユーザの最大帯域を求める。
【0044】
4.第3の実施の形態
第3の実施の形態では、第2の実施の形態に基づいて設定した最大帯域総量を用いて、第1の実施の形態に基づきBCGW2において各MS6の最大帯域を割り当てる。一例として、BS4の送信待ちパケットバッファ量に基づいて設定した該BS4に属する全MS6に割り当てる最大帯域総量を用い、各MS6のCQIに基づくBCGW2における該MS6のBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の割り当てる例を説明する。なお、第1の実施の形態及びその各変形例と、第2の実施の形態及びその各変形例とを適宜組み合わせてもよい。
【0045】
4−1.システム
[本実施の形態の移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例]
図1に本実施の形態が想定している移動体無線通信システムのアーキテクチャの一例を示す。各装置は、第1の実施の形態の機能と、第2の実施の形態の機能の双方を有し、詳細は上述の通りである。なお、各装置の概略は以下の通りである。
BCGW2は、IP(IP:Internet Protocol)ネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と接続され、BS4またはOAM7から各BS4の送信待ちパケットバッファ量およびCQIを取得し、あるBS4に属するMS6に割り当てるBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域の総量を設定する機能を有する。BCGW2は、さらに、あるBS4に属するMS6に割り当てるBS4〜MS6間およびBS4〜BCGW2間の最大帯域を設定する機能を有する。また、BCGW2は、IPネットワーク1およびPS3およびBS4およびOAM7と制御信号およびデータの送受信を行う。ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。また、BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量およびMS6のCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
PS3は、BCGW2と接続され、各MS6の最大帯域割り当てに用いる各MS6のUPや、UPに基づく最大帯域割り当ての重み付けなどの情報をポリシー情報として管理し、BCGW2と制御信号およびデータの送受信を行う。ポリシー情報をBCGW2内に事前設定する場合は、PS3は省略可能である。
BS4は、BCGW2およびOAM7と接続され、BCGW2およびOAM7および自身の無線通信範囲5内にいるMS6と、制御信号およびデータの送受信を行う。BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量およびMS6のCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
MS6は、無線通信可能なBS4と、制御信号およびデータの送受信を行う。
OAM7は、BCGW2およびBS4と接続され、BS4の統計項目を取得する外部装置で、BCGW2およびBS4と制御信号およびデータの送受信を行う。BCGW2がBS4の送信待ちパケットバッファ量およびMS6のCQIをBS4から直接取得する場合、OAM7は省略可能である。
【0046】
4−2.装置構成
4−2−1.BCGW2
[本実施の形態のBCGW2の一例]
本実施の形態で使用するBCGW2の機能ブロック図の一例として、第1の実施の形態で示した図3と同様の装置構成の場合を示す。各ブロックの機能は以下のようになる。
ネットワークインタフェース部21は、第1の実施の形態と同様である。
BSインタフェース部22は、BS4とのインタフェースである。BSインタフェース部22により、BCGW2はBS4とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信する。CQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量は、一方をBS4から、他方をOAM7から取得してもよい。
PSインタフェース部23は、PS3とのインタフェースである。PSインタフェース部23により、BCGW2はPS3とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示したポリシーに関する情報を受信することができる。ポリシーに関する情報がBCGW2内に設定されたり、他の適宜のノードからBCGW2に通知されたりすることにより、PS3が省略されるアーキテクチャの場合、PSインタフェース部23は省略可能である。
OAMインタフェース部24は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部24により、BCGW2はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2はBSインタフェース部22によってBS4からCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信するか、OAMインタフェース部24によってOAM7からCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を受信する。CQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量は、一方をBS4から、他方をOAM7から取得してもよい。CQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量がBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部24は省略可能である。
メモリ部25は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示した情報を記憶、管理することができる。処理部26は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示した処理を行う。
【0047】
4−2−2.BS4
[本実施の形態のBS4の一例]
本実施の形態で使用するBS4の機能ブロック図の一例として、第1の実施の形態で示した図4と同様の装置構成の場合を示す。但し、各ブロックの機能は以下のようになる。
無線インタフェース部41は、無線インタフェースである。無線インタフェース部41により、BS4はMS6とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BCGW2は無線インタフェース部41によってBS4からMS6へパイロット信号を送信し、MS6の応答から該MS6のCQIを測定する。BCGWインタフェース部42は、BCGW2とのインタフェースである。BCGWインタフェース部42により、BS4はBCGW2とIPパケットの送受信を行う。OAMインタフェース部43は、OAM7とのインタフェースである。OAMインタフェース部43により、BS4はOAM7とIPパケットの送受信を行う。本実施の形態では、BS4はBCGWインタフェース部42によってBCGW2へCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信するか、OAMインタフェース部43によってOAM7へCQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量を送信する。CQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量は、一方をBCGW2へ、他方をOAM7へそれぞれ送信してもよい。CQIおよびBS4の送信待ちパケットバッファ量がBS4から直接BCGW2へ通知される場合、OAMインタフェース部43は省略可能である。
メモリ部44は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示した情報を記憶、管理する。処理部45は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で示した処理を行う。バッテリー部46は、第1の実施の形態と同様である。
【0048】
4−2.最大帯域の総量の設定および最大帯域の割り当て
[本実施の形態のBS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2によるMS6の最大帯域の総量設定およびCQI取得前のMS6の最大帯域割り当ての一例]
第2の実施の形態で示したBS4の送信待ちパケットバッファ量取得前のBCGW2によるMS6の最大帯域の総量設定およびMS6の最大帯域割り当てと同様の方式で、最大帯域を割り当てることができる。
【0049】
[本実施の形態のBS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく最大帯域の総量設定および最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理の一例]
第2の実施の形態におけるステップS214の処理に第1の実施の形態を用いる。例えば、第2の実施の形態の図16で示した、BS4の送信待ちパケットバッファ量に基づく最大帯域の総量設定および最大帯域割り当てにおけるBCGW2の処理において、S214のMS6の最大帯域の割り当てを、第1の実施の形態で示したCQIに基づく最大帯域の割り当てと同様の方式で実行することができる。
なお、BCGW2は、あるBS4に属するMS6に割り当てる最大帯域の総量を求め、求められた最大帯域の総量に基づいて該BS4に属する各MS6にBS4とMS6間およびBS4とBCGW2間の最大帯域を割り当ててもよい。また、BCGW2は、あるBS4に属するMS6のうち、あるサービスに接続するMS6に割り当てる最大帯域の総量を求め、求められた最大帯域の総量に基づいて、該BS4に属するMS6のうち、該サービスに接続する各MS6にBS4とMS6間およびBS4とBCGW2間の最大帯域を割り当ててもよい。
【0050】
5.各実施の形態の効果
上述の第1及び第3の実施の形態によると、無線区間の帯域情報を考慮したゲートウェイにおける各移動局の最大帯域割り当てでは、例えば受信強度が低い移動局の最大帯域を小さく設定することで、下りパケットがゲートウェイから基地局へは通知されるが、基地局から移動局へは所定時間内にそのすべてを通知できず、基地局でパケットバッファのあふれが生じることによるパケット破棄が発生するおそれが低くなる。これにより、ゲートウェイが課金した送信バイト数と、実際に移動局が受信したバイト数との差が小さくなり、誤課金が発生する可能性を低減できる。
また、上述の各実施の形態によると、ゲートウェイから基地局へ送信できても、基地局から移動局へは送信できないパケットを予めゲートウェイで制御することで、ゲートウェイ〜基地局区間のリソースを節約して輻輳を防いだり、節約した帯域を他ユーザに割り当ててリソースをより高い効率で使用したりすることができる。
また、上述の各実施の形態によると、ゲートウェイが無線区間の帯域情報に基づいて割り当てた各移動局の上り方向の最大帯域を、移動局に通知することで、移動局の過剰な帯域要求を抑制し、無線区間のリソースをサービスやシステムオペレータのポリシーに従い、より高効率に使用することができる。
また、これまでの技術では、無線区間のリソース割り当ては、基地局のポリシーに基づくスケジューリングで行われてきたが、上述の各実施の形態によると、ゲートウェイでサービスのポリシーに基づいて帯域を制御することで、基地局のスケジュール割り当ての方針をサービスのポリシーに近い形に近づけることができる。例えば、これまでの技術では、ゲートウェイではサービスのポリシーに基づいて優先度の高い端末により多くの帯域を割り当てたいが、優先度の高い端末の受信強度が低い場合、基地局のスケジューラでは、基地局のポリシーに基づいてセルのスループットを上げるために優先度の高い端末のパケットを犠牲にすることが発生しうる。このような場合、例えば上述の第2の実施の形態において、ゲートウェイで、優先度の低い端末により小さな最大帯域を割り当てることで、優先度の高い端末により多くのリソースが割り当てられるように制御するといった運用が可能となる。また、逆に、ゲートウェイではサービスのポリシーに基づく優先度の高い端末により多くの帯域を割り当てるより、セルのスループットを優先したいが、優先度の高い端末の受信強度が低い場合、基地局のスケジューラでは、セルのスループットを犠牲にしても優先度の高い端末のパケットに多くのリソースを割り当てることが発生しうる。このような場合、例えば上述の第1の実施の形態において、ゲートウェイで、優先度は高いが受信強度が低い端末により小さな最大帯域を割り当てることで、優先度は低いが受信強度は高い端末により多くのリソースを割り当て、セルのスループットを上げるといった運用が可能となる。特に、複数ベンダの基地局と接続するゲートウェイの場合、各基地局のリソース割り当てのポリシーが異なる可能性があり、全ての基地局にサービスのポリシーを適用するためには、ゲートウェイで制御することが必要となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、例えば、無線端末ごとに最大帯域を割り当てる無線通信システム及びゲートウェイ装置に利用可能であり、特に、基地局〜移動局間および基地局〜ゲートウェイ間の移動局ごとのユーザ単位あるいはユーザかつサービス単位の最大帯域を、基地局〜移動局間の無線区間の帯域情報に基づいてゲートウェイが設定する無線通信システム及びゲートウェイ装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 IPネットワーク
2 帯域制御ゲートウェイ
21 ネットワークインタフェース部
22 BSインタフェース部
23 PSインタフェース部
24 OAMインタフェース部
25 メモリ部
26 処理部
S201〜S207 CQIに基づく最大帯域設定におけるゲートウェイによる処理フローのステップ
S211〜S214 基地局のバッファ量に基づく最大帯域総量設定におけるゲートウェイによる処理フローのステップ
S221〜S223 ユーザ優先度に基づく最大帯域設定におけるゲートウェイによる処理フローのステップ
3 ポリシー管理サーバ
4 基地局
41 無線インタフェース部
42 BCGWインタフェース部
43 OAMインタフェース部
44 メモリ部
45 処理部
46 バッテリー部
5 基地局の無線通信範囲
6 移動局
7 中継局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と無線で通信するひとつ又は複数の基地局と、前記無線端末に割り当てられる最大帯域に従い前記基地局を介して該無線端末にパケットを送信するゲートウェイ装置とを備えた無線通信システムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
予め設定された、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる、又は、
前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第2の帯域情報に基づいて、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を基地局毎又はサービス毎に設定し、設定された最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域割り当てる前記無線通信システム。
【請求項2】
前記ゲートウェイ装置は、予め設定された、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記ゲートウェイ装置は、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第2の帯域情報に基づいて、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を基地局毎又はサービス毎に設定し、設定された最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域割り当てる請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイ装置は、設定された最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記ゲートウェイ装置は、複数のサービス毎に、該サービスの提供が予め許容された前記無線端末に提供し、
所定のサービスに属する前記無線端末について、該無線端末が属する基地局又は該無線端末から前記無線区間の第1の帯域情報を収集し、該無線区間の第1の帯域情報に基づいて、該サービスに接続する各無線端末に基地局と無線端末間および基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置が、所定の基地局について、
前記無線区間の第1の帯域情報に基づいて、該基地局に属する無線端末のうち所定のサービスに接続する各無線端末に、基地局と無線端末間および基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記ゲートウェイ装置は、前記無線区間の第1の帯域情報として、前記無線端末での電波の受信強度又はその指標を用いることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記ゲートウェイ装置は、前記無線端末での電波の受信強度又はその指標に対応して帯域情報が予め記憶され、
収集された前記無線端末での電波の受信強度又はその指標に対応する帯域情報が、該無線端末に現在割り当てられている最大帯域より小さい場合、該帯域情報を該無線端末の新たな最大帯域として割り当てる請求項7に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記ゲートウェイ装置は、前記無線区間の第1の帯域情報として、前記基地局から前記無線端末へ送信するパケットを蓄積する前記基地局のバッファの送信待ちパケットバッファ量を用いることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記ゲートウェイ装置は、所定の無線端末の前記送信待ちパケットバッファ量が予め定められた閾値を超えると、該パケットバッファ量又は該閾値を超えた量に応じた帯域を、該無線端末に現在割り当てられている最大帯域から差し引いて新たな最大帯域とする請求項9に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記ゲートウェイ装置は、最大帯域を割り当てる際の前記無線区間の第1の帯域情報として、前記ゲートウェイ装置が所定の無線端末宛てに基地局へ送信したデータ量と、該無線端末が受信したデータ量との差を用いることを特徴とする請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記ゲートウェイ装置は、前記ゲートウェイ装置が所定の無線端末へ送信したデータ量と、該無線端末が受信したデータ量との差が予め定められた閾値を超えると、該差又は該閾値を超えた量に応じた帯域を、該無線端末に現在割り当てられている最大帯域から差し引いて新たな最大帯域とする請求項11に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記ゲートウェイ装置が、前記無線区間の第2の帯域情報に基づいて前記基地局のひとつに属する無線端末のうち、所定のサービスに接続する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を設定することを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記ゲートウェイ装置は、前記無線区間の第2の帯域情報として、前記基地局から前記無線端末へ送信するパケットを蓄積する前記基地局のバッファの送信待ちパケットバッファ量を用いることを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項15】
前記ゲートウェイ装置は、最大帯域を割り当てる際の前記無線区間の第2の帯域情報として、前記ゲートウェイ装置が所定の無線端末宛に基地局へ送信したデータ量と、該無線端末が受信したデータ量との差を用いることを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項16】
前記ゲートウェイ装置は、最大帯域を割り当てる際の前記無線区間の第2の帯域情報として、前記ゲートウェイ装置が所定の基地局へ送信した単位時間当たりのデータ量と、該基地局でのセルスループットとの差を用いることを特徴とする請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項17】
前記ゲートウェイ装置は、ある基地局に属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を求め、求められた最大帯域の総量に基づいて該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間および基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てることを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項18】
前記ゲートウェイ装置は、ある基地局に属する無線端末のうち、あるサービスに接続する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を求め、求められた最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する無線端末のうち、該サービスに接続する各無線端末に基地局と無線端末間および基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てることを特徴とする請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記基地局は、各無線端末との無線区間の第1若しくは第2の帯域情報、又は、該無線区間の第1若しくは第2の帯域情報を前記ゲートウェイ装置で求めるための情報を、前記ゲートウェイ装置に通知することを特徴とする請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項20】
前記無線区間の第1若しくは第2の帯域情報、又は、該無線区間の第1若しくは第2の帯域情報を前記ゲートウェイ装置で求めるための情報を、前記基地局又は前記無線端末から取得する統計項目取得サーバをさらに備え、
前記ゲートウェイ装置は、前記統計項目取得サーバを介して前記無線区間の第1及び/又は第2の帯域情報を収集する請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項21】
無線端末と無線で通信するひとつ又は複数の基地局と、前記無線端末に割り当てられる最大帯域に従い前記基地局を介して該無線端末にパケットを送信するゲートウェイ装置とを備えた無線通信システムにおける前記ゲートウェイ装置であって、
前記基地局と通信するためのインタフェースと、
各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる処理部と
を備え、
前記処理部は、
予め設定された、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量と、前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第1の帯域情報とに基づいて、各無線端末に、基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域を割り当てる、又は、
前記基地局又は前記無線端末から収集された該基地局と該無線端末間の無線区間の第2の帯域情報に基づいて、所定の基地局又はサービスに属する無線端末に割り当てる最大帯域の総量を基地局毎又はサービス毎に設定し、設定された最大帯域の総量に基づいて、該基地局に属する各無線端末に基地局と無線端末間及び基地局とゲートウェイ装置間の最大帯域割り当てる前記ゲートウェイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−223497(P2011−223497A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93043(P2010−93043)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】