説明

無線通信システム

【課題】受信装置における同期捕捉を容易にする無線通信システムおよびその通信方法を提供する。
【解決手段】符号分割多元接続方式により無線通信を行う無線通信システムは、同期検出情報とデータ情報とを含むデータを拡散変調させて無線電波により送信する送信装置と、無線電波を受信して拡散変調されたデータを拡散復調させて同期検出情報およびデータ情報を得る受信装置とを含み、送信装置は、同期検出情報をシステムにおいて独占的に送信し、データ情報を同期検出情報が送信されてから所定の無通信時間後に送信し、受信機は、同期検出情報から所定のデータが検出された場合には、同期検出情報を受信してから無通信時間後に受信されたデータをデータ情報と判定して同期検出情報の拡散復調に用いられた拡散符号と同じ拡散符号を用いてデータ情報の拡散復調を行う。これによって受信装置はデータの同期捕捉を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線ネットワークにおける通信方法、通信プログラムおよび無線通信システムに関するものであり、とくに符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)を行う無線通信システムにおける同期捕捉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、CDMAを用いて通信を行う装置が提案されている。CDMAは、狭帯域変調信号を拡散させることにより多元接続を可能とする方式であり、たとえば携帯電話、GPS(Global Positioning System)、無線LAN(Local Area Network)などに用いられている。
【0003】
CDMAは、伝送する信号に対して、信号より伝送速度が高い拡散符号系列をかけて変調を行うことにより、信号の周波数帯域を本来の帯域幅より広い帯域に拡散させて送信する。受信側では、受信した信号に拡散符号と相関のある逆拡散符号系列を用いて復調することにより元の信号を復元することができる。
【0004】
したがって、複数の通信装置が同時に信号を送信する場合には、送信装置ごとに異なる拡散符号を用いて信号を拡散させれば、それらの信号が干渉しても受信側はそれぞれの信号を正しく受信することができる。移動局同士でCDMA通信を行う場合には、たとえば基地局が移動局の利用する拡散符号を管理することで、それぞれの移動局が異なる拡散符号を用いて通信することができる。
【0005】
たとえば、4つの拡散符号が利用可能な通信システムでは、同時に4つの端末が任意のタイミングでデータを送信することが可能である。また、時分割による任意のアクセス制御方式(TDMA:Time Division Multiple Access)を採用しデータ送信のタイミング制御を行うことにより、拡散符号の利用効率を上げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−32007号公報
【特許文献2】特開平7−222227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のCDMAを用いた通信システムでは、拡散符号系列の同期処理において十分な性能を確保することができなかった。受信機における拡散復調においては、拡散符号系列と逆拡散符号系列との同期をとる必要があり、受信データのプリアンブル部分を用いて拡散符号と逆拡散符号との相関値を計算し、相関値のピークを得ることによって同期点の検出を行う。複数のデータを同時に受信した場合、すべてのデータのプリアンブル部分の受信タイミングが一致していれば、相関値の計算において周期的なピークを得ることができ、したがって両者の同期点を検出することができる。しかし、プリアンブル部分の受信タイミングが一致していない場合には、周期的なピークを得ることができず、したがって同期点を検出することができない。
【0008】
実際の伝搬環境では、電波は様々な障害物による反射や回折の影響を受けるため、複数のデータをプリアンブルの受信タイミングや位相の回転が完全に一致した状態で受信することはできない。よって、CDMAを利用した無線通信システムにとって、同期捕捉に起因するシステムの性能劣化は常に課題となっており、従来の方式では、このような課題を解決する技術として、十分に満足できるものは得られなかった。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑み、CDMA通信システムにおいて複数の送信端末が同時にデータを送信しても、受信端末では同期捕捉を十分に行うことのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために本発明の無線通信システムは、第1のデータと第2のデータとを含むデータを拡散変調させて無線電波により送信する送信装置を含み、この送信装置は、第1のデータが独占的に送信され、第2のデータが第1のデータが送信されてから所定の時間経過後に送信されるよう制御する送信タイミング制御手段を備え、本発明の無線通信システムはさらに、無線電波を受信して拡散変調されたデータを拡散復調させる受信装置を含み、この受信装置は、拡散復調したデータから所定の情報が検出された場合にはこれを第1のデータと判定し、第1のデータを受信してから所定の時間経過後に受信されたデータを第2のデータと判定して、第1のデータの拡散復調に用いた逆拡散符号と同じ逆拡散符号を用いて第2のデータを拡散復調することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、同期捕捉に必要な第1のデータは他のデータの干渉を受けずに受信されるため、同期捕捉を容易に行うことができる。また、第2のデータは第1のデータが送信されてから一定時間経過後に送信されるため、この一定時間の間に他のパケットの同期捕捉に必要なデータを独占的に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の無線通信システムに適用される送信機の実施例の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施例における受信機の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施例における無線通信システムを示す概要図である。
【図4】図1に示す送信機で生成されるパケットの構成を示す図である。
【図5】同実施例における無通信時間を説明する図である。
【図6】同実施例における無線通信システムで利用される無通信時間管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】図6に示す無通信時間管理テーブルの拡散符号を利用したパケットの送信方法を示す図である。
【図8】同実施例の無線通信システムにおける時分割制御方法を説明するタイミングチャートである。
【図9】図1に示す送信機におけるパケットの送信タイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】時間割当管理テーブルを用いた本発明の無線通信システムにおける時分割制御方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に添付図面を参照して本発明による無線通信装置および無線ネットワークシステムの実施例を詳細に説明する。図1および図2に、本発明による無線通信装置に適用される送信機および受信機の実施例の構成を示す。送信機10および受信機100は、たとえば図3に示す無線ネットワークシステム200に適用され、このシステム200は、本発明による送信機および受信機を用いる基地局202と複数の移動端末204、206、208および210とを含み、基地局と移動端末とが無線でデータパケットの通信を行う。図4にシステム200で通信されるデータパケットの構成の一例を示し、パケット300はプリアンブル302、ユニークワード304、ヘッダ306およびアプリケーションデータ308を含む。
【0014】
本実施例の送信機10はパケット300を生成して無線で送信するものであり、プリアンブル生成部14、ユニークワード生成部16、変調部18、拡散処理部20、ヘッダ生成部22、アプリケーションデータ生成部24、変調部26、拡散処理部28、拡散符号管理部30、送信タイミング制御部32および送信RF(Radio Frequency)部34の各機能部を含んでいる。なお、本発明の理解に直接関係の無い要素は省略し、冗長な説明を避ける。また、信号はその現れる接続線の参照番号で指示する。
【0015】
プリアンブル生成部14は、プリアンブル302のデータ列36を生成して変調部18に渡すものである。データ列36は、所定の0と1のパターンからなる連続したデータ列であり、受信機200において同期捕捉に利用される。
【0016】
ユニークワード生成部16は、ユニークワード304のデータ列38を生成し、データ列38を変調部18に渡すものである。データ列38も所定の0と1のパターンからなる連続したデータ列であり、本実施例では受信機200においてヘッダ306とアプリケーションデータ308の始まりを認識するために利用される。本実施例では、ユニークワードはパケット300の拡散に用いられる拡散符号によって異なるものとするが、すべてのパケットに同じユニークワードを用いてもよい。以下の説明では便宜上、プリアンブル302とユニークワード304とを合わせて同期検出情報310と呼ぶ。
【0017】
変調部18は、プリアンブルデータ列36とユニークワードデータ列38とを含むデータ列を予め定められた方式で一次変調してシンボル列40を生成し、拡散処理部20へ渡すものである。
【0018】
ヘッダ生成部22は、ヘッダ306のデータ列42を生成し、変調部26へ渡すものである。ヘッダデータ列42は、所定のフォーマットに従ったフィールドから構成されるデータ列であり、通信の制御等に利用される。
【0019】
アプリケーションデータ生成部24は、アプリケーションデータ308のデータ列44を生成し、変調部26へ渡すものである。なお、以下の説明では便宜上、ヘッダとアプリケーションデータとを合わせてデータ情報312と呼ぶ。
【0020】
変調部26は、ヘッダデータ列42とアプリケーションデータ列44とを含むデータ列を所定の方式で一次変調してシンボル列46を生成し、拡散処理部28へ渡すものである。なお、本実施例による送信機10は同期検出情報310およびデータ情報312の変調を異なる変調部18および26で行うが、いずれか一方の変調部で行ってもよい。
【0021】
拡散符号管理部30は、シンボル列40および46の拡散変調に用いる拡散符号48を決定し、拡散処理部20および28へ渡すものである。拡散符号は同時に送信を行う送信機間で異なる拡散符号が使用されるよう決定されればよく、本実施例では端末ごとに決められているが、タイムテーブルや外部入力によって通信ごとに決定されてもよい。
【0022】
また、本実施例の拡散符号管理部30は、パケットの送信タイミングの制御に用いられる無通信時間の値を保持するものであり、拡散符号48に対応する無通信時間314の値50を検索して送信タイミング制御部32に渡す。
【0023】
ここで、無通信時間とは同期検出情報が送信されてからデータ情報の送信が開始されるまでの時間であり、パケット300の場合、図5に示すように、まず同期検出情報310が送信され、無通信時間314が経過するとデータ情報312の送信が開始される。無通信時間は、本実施例では無線通信システム200が有する無通信時間管理テーブルによって拡散符号ごとに異なる無通信時間が定められている。
【0024】
図6に、本実施例の通信システムで用いられる無通信時間管理テーブルを示す。無通信時間管理テーブル52には拡散符号1、2、3および4と、これらに対応する無通信時間53、54、55および56の値とが格納されている。無通信時間53、54、55および56は、それぞれ100μsec、70μsec、40μsecおよび10μsecである。
【0025】
図7を参照して、拡散符号1ないし4を用いて拡散されたパケット58、60、62および64の送信方法を示す。パケット58は拡散符号1を用いて拡散変調されているため、同期検出情報66が送信されてから100μsec後にデータ情報68の送信が開始される。同様に、拡散符号2を用いたパケット60では、同期検出情報70が送信されてから70μsec後にデータ情報72の送信が開始される。拡散符号3を用いたパケット62では、同期検出情報74が送信されてから40μsec後にデータ情報76の送信が開始される。拡散符号4を用いたパケット64では、同期検出情報78が送信されてから10μsec後にデータ情報80の送信が開始される。
【0026】
拡散処理部20は、変調部18から受け取ったシンボル列40に対し拡散符号系列48を用いて拡散変調を行ない、チップ列82を生成するものである。拡散処理部20はチップ列82を送信タイミング制御部32へ渡す。
【0027】
拡散処理部28は、変調部26から受け取ったシンボル列46に対し拡散符号系列48を用いて拡散変調を行ない、チップ列84を生成するものである。拡散処理部28はチップ列84を送信タイミング制御部32へ渡す。
【0028】
送信タイミング制御部32は、拡散処理部20、28から受け取ったチップ列82、84をバッファに一時格納し、それぞれの送信のタイミングになるとチップ列82または84を送信部RF部34へ渡すものである。
【0029】
図8および9を参照して送信タイミング制御部32における送信タイミングの制御方法について詳細に説明する。本実施例におけるシステム200は時分割による任意のアクセス制御方式を実装し、時分割により区切られた期間をスロット呼ぶ。システム200では、図8に示すように、各スロットS1、S2において拡散符号ごとに1パケットずつ通信することができる。
【0030】
図9を参照して各スロットにおける同期検出情報およびデータ情報の送信タイミングについて説明する。図9に示す例では、スロットS1において拡散符号1ないし4を用いたパケット58、60、62、64の送信が行われているが、各パケットの同期検出情報66、70、74および78はタイミングをずらして送信され、互いに干渉しないように送信されている。本実施例では、このように同一スロット内で複数のパケットが送信されても、各パケットの同期検出情報については独占的に、つまり他のパケットと干渉することなく送信されるよう制御される。
【0031】
本実施例では、各スロットをさらに、所定の拡散符号を用いたパケットのみ送信可能な期間と、すべてのパケットを送信可能な期間とに分けることにより、同期検出情報の送信タイミングの制御を実現する。
【0032】
具体的には、図9のスロットS1を期間T1、T2、T3、T4およびT5に分け、期間T1では拡散符号1を用いたパケット58の同期検出情報66を、期間T2では拡散符号2を用いたパケット60の同期検出情報70を、期間T3では拡散符号3を用いたパケット62の同期検出情報74を、期間T4では拡散符号4を用いたパケット64の同期検出情報78を独占的に送信することができる。そして、期間T5ではすべてのパケットのデータ情報68、72、76および80を送信することができる。他のスロットも同様に分割される。
【0033】
したがって送信タイミング制御部32は、拡散符号48に応じて同期検出情報310およびデータ情報312の送信タイミングを制御する。たとえば、拡散符号48が拡散符号1であった場合には、同期検出情報310は期間T1で、データ情報312は同期検出情報310を送信してから無通信時間53後に期間T5で送信されるよう制御する。
【0034】
送信RF部34は、送信タイミング制御部32から受け取ったチップ列82および84を、たとえば高周波の無線周波数信号に変換し、それぞれ無線電波86および88に変換して送信するものである。
【0035】
ここで、本実施例における送信機10の送信動作の例を説明する。
【0036】
プリアンブル生成部14ではプリアンブルデータ列36が生成され、またユニークワード生成部16ではユニークワードデータ列38が生成され、どちらも変調部18へ渡される。
【0037】
変調部18では、データ列36および38は変調されてシンボル列40が生成される。シンボル列40は拡散処理部20へ送られる。
【0038】
拡散処理部20では、シンボル列40は拡散符号管理部30より与えられた拡散符号48を用いて拡散されてチップ列82が生成される。チップ列82は送信タイミング制御部32へ送られて送信のタイミングになるまで保持される。
【0039】
ヘッダ生成部22ではヘッダデータ列42が、アプリケーションデータ生成部24ではアプリケーションデータのデータ44が生成され、どちらも変調部26へ送られる。
【0040】
変調部26では、データ列42および44は変調されてシンボル列46が生成される。シンボル列46は拡散処理部28へ送られる。
【0041】
拡散処理部28では、シンボル列46は拡散符号管理部30から与えられた拡散符号48で拡散されてチップ列84が生成される。チップ列84は送信タイミング制御部32へ送られ、拡散符号48に応じた所定の送信のタイミングになるまで保持される。
【0042】
拡散符号48で拡散されたパケットが独占的に送信可能な時間になると、チップ列82は送信RF部34へ送られ、送信RF部34で無線電波86に変換されて送信される。チップ列84も無通信時間314に基づく所定のタイミングで送信RF部34へ送られ、送信RF部34で無線電波88に変換され、電波86が送信されてから拡散符号48に対応する無通信時間314後に送信される。
【0043】
次に、図2を参照して本実施例による受信機100の構成を示す。受信機100は送信機10から送られてきた無線電波を受信するものであり、受信RF部102、受信タイミング制御部104、逆拡散符号管理部106、逆拡散処理部108、復調部110、ユニークワード検出部112、逆拡散処理部114、復調部116およびパケット解析部118を含む。
【0044】
受信RF部102は、無線電波86、88を受信し、それぞれをチップ列120、122に変換するものである。本実施例では、受信機100は、まず同期検出情報310の無線電波86を受信し、無線電波86を受信してから無通信時間314後にデータ情報312の無線電波88を受信する。無線電波の変換方法は公知の方法でよい。
【0045】
受信タイミング制御部104は、受信RF部102から受け取ったチップ列が同期検出情報のチップ列であるかデータ情報のチップ列であるかを判定し、同期検出情報のチップ列であれば逆拡散処理部108に、データ情報のチップ列であれば逆拡散処理部114へ渡すものである。本実施例では、受信タイミング制御部104はチップ列120を逆拡散処理部108へ、チップ列122を逆拡散処理部114へ渡す。
【0046】
受信タイミング制御部104は、本実施例では、受信RF部102から受け取ったチップ列に受信タイミングが設定されているか否かの判定を行うことによりチップ列の判定を行う。受信タイミングは、本実施例では、後続の処理においてあるチップ列からユニークワードが検出された場合に、このチップ列のパケットと同じパケットのデータ情報を受信するタイミングを計測するために、このチップ列の拡散復調に用いられた逆拡散符号に基づいて設定されるが、たとえば、チップ列の無線電波が受信機100に受信された時刻に基づいてチップ列の判定を行ってもよい。
【0047】
本実施例では、チップ列120からユニークワード304が検出された場合、データ情報312の受信タイミングが設定され、これによりデータ情報312のチップ列122を逆拡散処理部114に渡すことができる。なお、本実施例では、データ情報312は同期検出情報310が受信されてから無通信時間314後に受信されるため、チップ列120の拡散復調に用いられた逆拡散符号に基づいてデータ情報312の受信タイミングを決定することができる。
【0048】
逆拡散符号管理部106はシステム200での通信に用いられる逆拡散符号を保持し、逆拡散符号を逆拡散処理部108へ渡すものである。逆拡散符号管理部106から逆拡散処理部108に渡される逆拡散符号には、拡散符号48と相関のある逆拡散符号124が含まれる。
【0049】
また、逆拡散符号管理部106は各逆拡散符号に応じた無通信時間の値を保持し、チップ列120からユニークワード304が検出された場合には、拡散符号124に対応する無通信時間314の値126を検索して受信タイミング制御部104に渡すものである。受信タイミング制御部104はこの値126に基づいてデータ情報312の受信タイミングの設定を行う。さらに逆拡散符号管理部106は、逆拡散処理部108に渡されたチップ列120が拡散符号124を用いて逆拡散されたことを記憶し、必要に応じて拡散符号124を逆拡散処理部114に渡す。
【0050】
逆拡散処理部108は、受信タイミング制御部104から受け取ったチップ列120に対し、逆拡散符号管理部106から受け取った逆拡散符号124を用いて拡散復調を行うものである。拡散復調は公知の方法で行ってよく、逆拡散処理部108は、拡散符号48と逆拡散符号124との相関値のピークを検出して所定の方法で同期を取り、シンボル列128を生成して復調部110へ渡す。
【0051】
本実施例では、逆拡散処理部108は、逆拡散符号管理部106が保持する複数の逆拡散符号を順次逆拡散処理に用いることにより拡散符号124が拡散符号48と相関することを発見するが、電波86を受信した時間帯に応じて逆拡散符号管理部106が拡散符号124を選択して逆拡散処理部108に渡してもよい。
【0052】
復調部110は、逆拡散処理部108から受け取ったシンボル列128を、所定の方式で復調してデータ列130を生成し、ユニークワード検出部112へ渡すものである。
【0053】
ユニークワード検出部112は、復調部110から受け取ったデータ列130からユニークワード304を検出するものである。ユニークワードの検出は公知の方法で行ってよい。本実施例では、ユニークワード検出部112は、参照用ユニークワードを保持し、データ列130のユニークワードのパターンと参照用ユニークワードのパターンとを比較することによりユニークワード304の検出を行う。両者のパターンが一致した場合には、ユニークワード検出部130は、受信タイミング制御部104にユニークワード304が検出されたことを知らせるユニークワード検出通知132を渡し、逆拡散符号管理部106に逆拡散符号124の情報134を渡す。
【0054】
本実施例では、ユニークワードは拡散符号ごとに異なるため、情報134はユニークワード304から得られ、情報134により逆拡散符号管理部106はチップ列120の拡散復調に逆拡散符号124が用いられたことを知ることができる。なお、たとえばすべてのパケットに同じユニークワードを用いていることにより、ユニークワードから逆拡散符号の情報が得られない場合には、逆拡散処理部108から情報134を得てもよいし、電波86を受診した時刻からチップ列120の逆拡散符号が逆拡散符号124であることを特定してもよい。
【0055】
逆拡散処理部114は、受信タイミング制御部104から受け取ったチップ列122を逆拡散してシンボル列136を生成し、復調部116に渡すものである。本実施例では、逆拡散処理部114は、受信タイミング部104からチップ列122がチップ列120と同じパケットに属することを判定し、逆拡散符号管理部106からチップ列120と同じ逆拡散符号124を受け取る。チップ列の判定は、たとえば、受信タイミング制御部104においてチップ列122にチップ列120の情報を付加することによって行ってもよいし、ユニークワードが送信機ごとに異なる場合には、ヘッダ306からチップ列122と120とが同じパケットに属することを判定してもよい。
【0056】
復調部116は、逆拡散処理部114から受け取ったシンボル列136を、所定の方式で復調してデータ列138を生成し、パケット解析部118へ渡すものである。
【0057】
パケット解析部118は、データ列138から所定の方法でヘッダ306およびアプリケーションデータ308の検出し、解析を行うものである。
【0058】
ここで、受信機の受信動作の例を説明する。
【0059】
本実施例では、まず無線電波86が受信機100によって受信され、電波86は受信RF部102においてチップ列120に変換されて受信タイミング制御部104に渡される。
【0060】
受信タイミング制御部104では、チップ列120に受信タイミングが設定されているか否かの判定が行われ、チップ列120は逆拡散処理部108に渡される。
【0061】
逆拡散処理部108では、チップ列120はシンボル列128に変換されて復調部110に渡される。
【0062】
復調部110では、シンボル列128はデータ列130に変換され、データ列130はユニークワード検出部112に渡される。
【0063】
ユニークワード検出部112ではユニークワード304の検出が行われる。ユニークワード304が検出された場合には、受信タイミング制御部104にユニークワード検出通知132が、逆拡散符号管理部106には逆拡散符号124の情報134が渡される。
【0064】
逆拡散符号管理部106では、拡散符号情報134に基づいて、逆拡散符号124と相関する拡散符号48に対応する無通信時間314の値126が検索され、値126は受信タイミング制御部104へ渡される。
【0065】
受信タイミング制御部104では、ユニークワード検出通知132と無通信時間の値126に基づいて無線電波88の受信タイミングが設定され、計測される。
【0066】
受信機100によって無線電波88が受信されると、電波88は受信RF部に渡されてチップ列に変換され、受信タイミング制御部104に渡される。
【0067】
受信タイミング制御部104では、チップ列122に受信タイミングが設定されているか否かの判定が行われ、チップ列122はチップ120に関する情報と共に逆拡散処理部114へ渡される。
【0068】
逆拡散符号処理部114では、チップ列122は、チップ列120の逆拡散に用いた拡散符号と同じ逆拡散符号124で逆拡散されてシンボル列136に変換され、シンボル列136は復調部116に渡される。
【0069】
復調部116では、シンボル列136はデータ列138に変換されてパケット解析部118に渡される。
【0070】
パケット解析部118では、ヘッダ306とアプリケーションデータ308の解析が行われる。
【0071】
なお、無線通信ネットワークに参加する端末が決められている場合には、たとえば時間割当テーブルなどにより、各端末に送信可能なスロットおよびそのスロットで利用可能な拡散符号を割り当てることにより、同一スロットで複数の端末が同じ拡散符号を用いないよう制御してもよい。図10に示す例では、連続した5つのスロットについて時間割当テーブルが決められていて、各端末はこの時間割当テーブルに従って周期的にデータ送信を行っている。たとえば、サイクルC1はスロットS1、S2、S3、S4およびS5で構成され、サイクルC1の最初のスロットS1では端末1が拡散符号1を用いてデータ送信を行うことができる。そして端末1は、次のサイクルC2の最初のスロットS6においても同様に拡散符号1を用いてデータ送信を行うことができる。
【0072】
また、無線通信ネットワークに参加する端末の数が増減する場合には、システムに新たに加わる端末は上記時間割当テーブルに基づいて送信可能なスロットおよび利用可能な拡散符号を自律的に判断して送信してもよい。
【0073】
また、各端末は他の端末が送信するデータを受信することにより、送信可能なスロットおよび利用可能な拡散符号を判断してもよい。また、各端末は利用可能なスロットおよび拡散符号を、任意のアルゴリズムに従って、または、ランダムに選択してもよい。
【0074】
たとえば、近隣の端末からの送信データを受信することにより、近隣の端末の送信状況を確認した上で、利用可能なスロットおよび拡散符号を任意のアルゴリズムに従って判断し、またはランダムに選択して送信を行ってもよい。
【0075】
また、スロットと拡散符号の時間割当てが周期的であれば、新たにネットワークに参加する端末は、近隣の送信状況を一定期間確認することで、利用されていないスロットおよび拡散符号を自律的に判断して使用してもよい。
【0076】
また、時間割当を管理する管理装置を設け、時間割当管理装置から定期的に送られてくる時間割当テーブルに従って各端末は通信をおこなってもよい。
【0077】
あるいはGPSなどを利用してすべての端末が同期を取ることができる場合には、たとえばパケットのヘッダ部分にそのパケットの送信終了時刻情報を付加し、この情報からパケットの送信終了時刻を判断することにより、次のパケットの受信開始時刻を判断してもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 送信機
30 拡散符号管理部
32 送信タイミング制御部
100 受信機
104 受信タイミング制御部
106 逆拡散符号管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を含む第1のデータと第2のデータとを含むデータを拡散変調させて無線電波により受信側へ送信し、該受信側では、該無線電波を受信して該拡散変調されたデータを拡散復調させて第1および第2のデータを得る、符号分割多元接続方式により無線通信を行う無線送信装置において、
該送信装置は、第1および第2のデータの送信タイミングを制御する送信タイミング制御手段を含み、
該送信タイミング制御手段は、第1のデータが前記無線通信システムにおいて独占的に送信され、第2のデータは第1のデータが送信されてから所定の時間経過後に送信されるよう制御することを特徴とする無線送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線送信装置において、前記送信タイミングおよび所定の時間は第1および第2のデータの拡散変調に用いられた拡散符号によって決定されることを特徴とする無線送信装置。
【請求項3】
所定の情報を含む第1のデータと第2のデータとを含むデータを拡散変調させて無線電波により送信する送信装置と、
該無線電波を受信して該拡散変調されたデータを拡散復調させて第1および第2のデータを得る受信装置とを含む、符号分割多元接続方式により無線通信を行う無線通信システムにおいて、
前記送信装置は、第1および第2のデータの送信タイミングを制御する送信タイミング制御手段を含み、
該送信タイミング制御手段は第1のデータが前記無線通信システムにおいて独占的に送信され、第2のデータは第1のデータが送信されてから所定の時間経過後に送信されるよう制御し、
前記受信装置の拡散復調手段は、受信したデータを拡散復調して前記所定の情報が検出された場合にはこれを第1のデータと判定し、第1のデータを受信してから前記所定の時間経過後に受信されたデータを第2のデータと判定して、第1のデータの拡散復調に用いた拡散符号と同じ拡散符号を用いて第2のデータを拡散復調することを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線通信システムにおいて、該システムは時分割制御手段を備え、前記送信装置は分割された各期間において第1および第2のデータの送信を行うことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3に記載の無線通信システムにおいて、該システムは前記送信装置にデータ送信可能な期間および該期間において利用可能な拡散符号を予め割り当てることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信システムにおいて、前記データ送信可能な期間および利用可能な拡散符号はタイムテーブルによって決定されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載した送信タイミング制御手段をその機能としてコンピュータに実現させるための送信タイミング制御プログラム。
【請求項8】
請求項3に記載した拡散復調手段をその機能としてコンピュータに実現させるための受信タイミング制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−219877(P2010−219877A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64228(P2009−64228)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】