説明

無線通信システム

【課題】 親機と子機とが互いに通信可能であるか否かを容易に判断できる無線通信システムを提供する。
【解決手段】 親機1は、子機選択部1eでいずれかの子機2を選択し、無線通信部1bが当該選択した子機に対して親機信号を送信し、子機2は、親機信号を受信した場合に無線通信部2bが当該親機信号の送信元の親機1へ子機信号を送信し、親機1の報知部1fは、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機2との間で通信可能であることを報知し、子機2の報知部2dは、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機1との間で通信可能であることを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、親機と複数の子機の各々とが互いに無線通信を行い、親機が各子機からデータを取得する通信システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、集合住宅の各住戸やオフィスビル・商業ビルにおける各テナント、または工場における各設備機器等の各エリアや各ポイントに消費電力量を測定する電力計を子機として設置し、親機が複数の電力計の検針データを各々取得して上位の管理装置に送信し、管理装置が複数のエリアやポイントにおける消費電力量を一括管理するシステムがある。この場合、電力計に無線通信手段を設けて子機を構成し、検針データを取得する親機との間で無線通信を行うことで、電力計の検針データを親機が取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−140823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のシステムでは、親機が子機からデータを取得する場合や、設置完了した子機を親機側で確認する場合等に、親機と子機とが互いの無線通信範囲内に存在しているか否かが容易にわからなかった。すなわち、ユーザは、親機と子機とが互いに通信可能か否かを容易に判断できず、データ取得や設置確認等に手間取ることがあった。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、親機と子機とが互いに通信可能であるか否かを容易に判断できる無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために第1の発明の無線通信システムは、親機と複数の子機の各々とが互いに無線で通信可能な無線通信システムにおいて、親機は、いずれかの子機を選択する子機選択部と、当該選択した子機に対して親機信号を送信する親機側通信手段とを備え、子機は、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機へ子機信号を送信する子機側通信手段を備え、親機に設けられて、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知する親機側報知手段と、子機に設けられて、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機との間で通信可能であることを報知する子機側報知手段との少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために第2の発明の無線通信システムは、親機と複数の子機の各々とが互いに無線で通信可能な無線通信システムにおいて、子機は、親機に対して子機信号を送信する子機側通信手段を備え、親機は、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機へ親機信号を送信する親機側通信手段を備え、親機に設けられて、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知する親機側報知手段と、子機に設けられて、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機との間で通信可能であることを報知する子機側報知手段との少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、前記子機は、自機以外の他の子機を選択する子機選択部を備えて、前記子機側通信手段は、当該選択した子機へ親機を介して呼出信号を送信し、呼出信号を受信した場合に当該呼出信号の送信元の子機へ親機を介して子機信号を送信し、前記子機側報知手段は、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知することを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備え、前記子機側報知手段は、前記親機信号を受信した場合に検知手段の検知結果を表示する表示手段であることを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1乃至第4いずれかの発明において、子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備えて、検知手段の検知結果を子機信号に含み、前記親機側報知手段は、受信した子機信号の送信元の子機に対応する画像に当該子機から受信した検知結果を表示することを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、前記親機側報知手段および子機側報知手段は、音声報知することを特徴とする。
【0013】
第7の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、親機と当該親機との間で通信可能な子機との距離が所定距離以上の場合、前記子機側報知手段が親機と通信可能であることを音声報知し、親機と当該親機との間で通信可能な子機との距離が所定距離未満の場合、前記親機側報知手段が子機と通信可能であることを表示することを特徴とする。
【0014】
第8の発明は、第1乃至第3いずれかの発明において、子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備えて、検知対象の種別情報を子機信号に含み、前記親機側報知手段は、受信した子機信号に含まれる検知対象の種別情報に基づいて、子機信号の送信元の子機における検知対象の種別を報知することを特徴とする。
【0015】
第9の発明は、第8の発明において、前記親機側報知手段は、前記受信した子機信号に含まれる検知対象の種別情報毎に報知方法を変えることを特徴とする。
【0016】
第10の発明は、第1の発明において、親機は、当該親機と子機信号の送信元の子機との通信状況に関する情報の履歴を記憶することを特徴とする。
【0017】
第11の発明は、第2の発明において、子機は、当該子機と親機信号の送信元の親機との通信状況に関する情報の履歴を記憶することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明では、無線通信システムにおいて親機と子機とが互いに通信可能であるか否かを容易に判断できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1の無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】同上のシーケンスを示す図である。
【図3】同上の親機および子機の配置を示す図である。
【図4】同上の子機による報知動作を示す図である。
【図5】同上の親機による報知動作を示す図である。
【図6】実施形態2の無線通信システムの構成を示す図である。
【図7】同上のシーケンスを示す図である。
【図8】同上の親機および子機の配置を示す図である。
【図9】実施形態5の子機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の無線通信システムの構成を示し、1台の親機1と、複数台の子機2と、管理装置3とで構成される。
【0022】
親機1は、プログラマブル表示器等で構成されており、制御部1aと、無線通信部1b(親機側通信手段)と、ネットワーク通信部1cと、モード選択部1dと、子機選択部1eと、報知部1f(親機側報知手段)とを備える。無線通信部1bは、子機2との間で特定小電力無線等の無線通信を行う。ネットワーク通信部1cは、管理装置3との間でLANケーブル等の信号線を通した有線通信を行う。モード選択部1dは、後述の通常モードと子機確認モードとのいずれかのモードをユーザ操作によって選択し、選択したモードで親機1(制御部1a)を動作させる。子機選択部1eは、後述の検索信号の送信先となるいずれか1台の子機2を選択する。報知部1fは、LCD等の表示画面M1(表示手段)と、スピーカを有する音声出力部SP1(音声出力手段)とで構成される。制御部1aは、無線通信部1b、ネットワーク通信部1c、モード選択部1d、子機選択部1e、報知部1f等の各部の動作を監視・制御する。
【0023】
子機2は、集合住宅の各住戸やオフィスビル・商業ビルにおける各テナント、または工場における各設備機器等の各エリアや各ポイントに設置されており、制御部2aと、無線通信部2b(子機側通信手段)と、検知部2c(検知手段)と、報知部2d(子機側報知手段)とを備える。無線通信部2bは、親機1との間で特定小電力無線等の無線通信を行う。検知部2cは、各エリアや各ポイントにおける消費電力量を測定し、電力量データを作成する。報知部2dは、LCD等の表示画面M2(表示手段)と、スピーカを有する音声出力部SP2(音声出力手段)とで構成される。制御部2aは、無線通信部2b、検知部2c、報知部2d等の各部の動作を監視・制御する。
【0024】
管理装置3は、PLC(Programmable Logic Controller)等で構成されており、親機1との間でLANケーブル等の信号線を通した有線通信を行う。
【0025】
まず、親機1のモード選択部1dが通常モードを選択した場合の動作について説明する。親機1の無線通信部1bは、通常モードにおいて、データ要求を周期的に各子機2へ送信する。そして子機2の無線通信部2bは、親機1からのデータ要求を受信した場合に、検知部2cが作成した電力量データを、子機2毎に予め設定されたアドレス等の識別情報とともに、定期送信信号として所定時間毎に親機1へ無線送信する。親機1の無線通信部1bは、複数の子機2の各々から受信した電力量データを格納し、ネットワーク通信部1cは当該格納された電力量データを所定時間毎に管理装置3へ送信する。管理装置3は、複数の子機2における電力量データを受信して格納し、当該格納された電力量データを用いて、消費電力量の遠隔検針や、省エネルギーを目的とした機器制御等の各処理を行う。すなわち、通常モードの親機1は、子機2から電力量データを周期的に取得し、取得した電力量データを管理装置3へ周期的に送信する遠隔検針動作を行う。
【0026】
次に、子機確認モードにおける親機1と子機2との通信可否判定処理について、図2の動作シーケンスを用いて説明する。まず、親機1の無線通信部1bは、電力量データの取得対象となる複数の子機2(図2では4台の子機21〜24)のアドレス等の各識別情報を予め記憶している。さらに、親機1に対して4台の子機21〜24は、図3のように配置されており、3台の子機21〜23は親機1の無線通信範囲X1内に存在し、1台の子機24は親機1の無線通信範囲X1外に存在するものとする。
【0027】
そして、親機1のモード選択部1dが子機確認モードを選択すると、子機選択部1eが、親機信号(検索信号)の送信先として配下の子機2を順次選択し(子機21→子機22→子機23→子機24)、無線通信部1bは、親機信号を配下の子機2へユニキャストで送信する(S11,S13,S15,S17)。親機信号には送信先の子機2の識別情報が付与されており、当該識別情報に一致する子機2のみが当該検索のための親機信号を受信する。そして無線通信部1bは、親機信号を送信した後に受信待受状態に移行する。なお、無線通信部1bは、後述する子機信号の返信が子機2からない場合には、検索信号の再送信を所定回数行ってもよい。
【0028】
親機1の無線通信範囲内に存在する子機21,22,23では、無線通信部2bが受信待受状態で親機信号を受信した後に、検知部2cによる現在の電力量データを含む子機信号を親機1へ返信する(S12,S14,S16)。さらに報知部2dは図4に示すように、検知部2cによる現在の電力量データを表示画面M2に表示することで、親機1との通信が可能である旨を視覚的に報知する。そして子機21,22,23は、一定の報知期間が経過すると、報知部2dによる報知動作を停止して受信待受状態に移行する。一方、親機1の無線通信範囲内に存在しない子機24では、無線通信部2bが親機信号を受信できず、受信待受状態を維持する。また、親機信号を受信した子機2では、報知部2dによる報知動作を行った後に子機信号を送信してもよい。
【0029】
親機1では、無線通信部1bが、子機21,22,23から電力量データを含む子機信号を順次受信し、報知部1fが、子機21,22,23との間で通信可能である旨を報知する。具体的には図5に示すように、表示画面M1に子機21,22,23の各外観を示す画像G21,G22,G23を表示し、画像G21,G22,G23内に子機21,22,23における各電力量データを表示する。ここで、画像G21〜G23は子機2の外観を再現しており、電力量データは画像G21〜G23に再現された各表示画面に表示される。このように子機2の外観を再現した画像を表示することで、ユーザにとって視覚的にわかりやすいものとなる。
【0030】
また、画像G21,G22,G23は、最も新しく受信した子機信号に対応するいずれか1台の子機2の画像のみを表示する方法や、各子機2の電力量データの履歴を格納しておき、各子機2の最新の電力量データに基づいて画像G21,G22,G23を同時に表示する方法等がある。
【0031】
上記例において子機24から子機信号の返信はないので、ユーザは、施工ミス等によって子機24が親機1の無線通信範囲X1外に存在していると判断し、子機24の施工手直しを行うことが可能となる。また、故障によって通信不可能な子機24が親機1の無線通信範囲X1内にある場合も図2と同様のシーケンス処理が行われ、ユーザは子機24の故障を発見できる。
【0032】
このように本無線通信システムでは、親機1と子機2とが互いに無線通信可能であるか否かを容易に判断できる。さらに、子機2によって測定された電力量データを表示することで、親機1と子機2とが互いに通信可能であることを報知しており、通信可否の報知機能と検知結果の報知機能とを兼用することで、構成の簡略化を図り、さらには利便性を高めている。また、この電力量データの表示は、消費電力量の具体的な数字を表示する方法や、針等を用いたメータ表示等のいずれでもよい。
【0033】
また、親機1の報知部1fは、子機信号を受信する度に音声出力部SP1からブザー音等を音声出力することで、子機2との通信が可能である旨を聴覚的に報知してもよい。さらに子機2の報知部2dは、親機信号を受信する度に音声出力部SP2からブザー音等を音声出力することで、親機1との通信が可能である旨を聴覚的に報知してもよい。このように聴覚的に報知することによって、通信可能な子機2の存在をさらに確認しやすくなる。特に通信可能な子機2自身が音声報知することによって、当該子機2の位置を発見しやすくなる。
【0034】
また、管理装置3は、各子機2の消費電力量に基づいて電気料金を算出して表示画面M1に表示させたり、各子機2の消費電力量、電気料金の過去の履歴を、現在の消費電力量、電気料金と比較可能に表示画面M1に表示させてもよい。例えば、今月(今週)の消費電力量、電気料金を前年同月(前月同週)の消費電力量、電気料金と比較する。
【0035】
また、管理装置3は、消費電力量、電気料金の過去の履歴に基づいて、省エネルギー化のためのアドバイス情報を、親機1の表示画面M1に表示させてもよい。さらに、管理装置3は、電気機器の監視制御機能を備えることで、所定期間(1か月、1年)の消費電力量が予め設定された目標電力量となるように電気機器を省エネルギー方向に制御することも可能である。
【0036】
また、親機1の子機選択部1eは、ユーザ操作によって検索信号の送信先となる子機2を1台づつ選択することも可能である。
【0037】
(実施形態2)
本実施形態の無線通信システムは、図6に示すように、通常モードと子機確認モードとのいずれかのモードをユーザ操作によって選択し、選択したモードで子機2(制御部2a)を動作させるモード選択部2eを子機2が備えている。なお、親機1はモード選択部1dと子機選択部1eを備えておらず、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
【0038】
まず、子機2のモード選択部2eが通常モードを選択した場合の動作について説明する。子機2の無線通信部2bは、検知部2cが作成した各エリアや各ポイントにおける電力量データを、子機2毎に予め設定されたアドレス等の識別情報とともに、定期送信信号として所定時間毎に親機1へ無線送信する。親機1の無線通信部1bは、複数の子機2の各々から受信した電力量データを格納し、ネットワーク通信部1cは当該格納された電力量データを所定時間毎に管理装置3へ送信する。管理装置3は、複数の子機2における電力量データを受信して格納し、当該格納された電力量データを用いて、消費電力量の遠隔検針や、省エネルギーを目的とした機器制御等の各処理を行う。すなわち、通常モードの子機2は、親機1へ電力量データを周期的に送信し、親機1は、子機2から取得した電力量データを管理装置3へ周期的に送信する遠隔検針動作を行う。
【0039】
次に、子機確認モードにおける親機1と子機2との通信可否判定処理について、図7の動作シーケンスを用いて説明する。まず、親機1の無線通信部1bは、電力量データを取得する複数の子機2(図7では4台の子機21〜24)のアドレス等の各識別情報を予め記憶している。さらに、親機1に対して4台の子機21〜24は、図8のように配置されており、親機1は、3台の子機21〜23とは無線通信可能であるが、1台の子機24の無線通信範囲X2に対しては当該範囲外に存在するものとする。
【0040】
そして、各子機2のモード選択部2eが子機確認モードを選択すると、当該子機2の無線通信部2bが子機選択モードに移行する。子機選択モードに移行した無線通信部2bは、検知部2cによる現在の電力量データを含む子機信号を、子機2毎に予め設定されたアドレス等の識別情報とともに、親機1へ送信する(S21,S23,S25,S27)。そして無線通信部2bは、子機信号を送信した後に受信待受状態に移行する。
【0041】
親機1は、無線通信可能な子機21〜23から無線通信部1bが子機信号を受信する毎に、子機21〜23へ親機信号(受信確認信号)を各々返信する(S22,S24,S26)。さらに無線通信部1bが子機21〜23へ親機信号を各々返信すると、報知部1fが子機21,22,23との間で通信可能である旨を報知する。具体的には図5に示すように、表示画面M1に子機21,22,23の各外観を示す画像G21,G22,G23を表示し、画像G1内に子機21,22,23における各電力量データを表示する。ここで、画像G21〜G23は子機2の外観を再現しており、電力量データは画像G21〜G23に再現された各表示画面に表示される。そして親機1は、一定の報知期間が経過すると、報知部1fによる報知動作を停止して受信待受状態に移行する。このように子機2の外観を再現した画像を表示することで、ユーザにとって視覚的にわかりやすいものとなる。
【0042】
また、画像G21,G22,G23は、最も新しく受信した子機信号に対応するいずれか1台の子機2の画像のみを表示する方法や、各子機2の電力量データの履歴を格納しておき、各子機2の最新の電力量データに基づいて画像G21,G22,G23を同時に表示する方法等がある。そして親機1は、一定の報知期間が経過すると、報知部1fによる報知動作を停止して受信待受状態に移行する。
【0043】
また、子機信号を受信した親機1は、報知部1fによる報知動作を行った後に、親機信号を送信してもよい。
【0044】
親機1から受信確認を含む親機信号を受信した子機21〜23では、報知部2dが図4に示すように、検知部2cによる現在の電力量データを表示画面M2に表示することで、親機1との通信が可能である旨を視覚的に報知する。一方、親機1と通信不可能な子機24では、受信待受状態を所定期間維持する。なお、無線通信部2bは、親機1から親機信号の返信がない場合には、子機信号の再送信を所定回数行ってもよい。
【0045】
上記例においてユーザは、施工ミス等によって子機24が親機1の無線通信範囲外に存在していると判断し、子機24の施工手直しを行うことが可能となる。また、故障によって通信不可能な子機24の通信範囲X2内に親機1がある場合も図7と同様のシーケンス処理が行われ、ユーザは子機24の故障を発見できる。
【0046】
このように本無線通信システムでは、親機1と子機2とが互いに無線通信可能であるか否かを容易に判断できる。さらに、子機2によって測定された電力量データを表示することで、親機1と子機2とが互いに通信可能であることを報知しており、通信可否の報知機能と検知結果の報知機能とを兼用することで構成の簡略化を図り、さらには利便性を高めている。また、この電力量データの表示は、消費電力量の具体的な数字を表示する方法や、針等を用いたメータ表示等のいずれでもよい。
【0047】
また、親機1の報知部1fは、子機信号を受信する度に音声出力部SP1からブザー音等を音声出力することで、子機2との通信が可能である旨を聴覚的に報知してもよい。さらに子機2の報知部2dは、親機信号を受信する度に音声出力部SP2からブザー音等を音声出力することで、親機1との通信が可能である旨を聴覚的に報知してもよい。このように聴覚的に報知することによって、通信可能な子機2の存在をさらに確認しやすくなる。特に通信可能な子機2自身が音声報知することによって、当該子機2の位置を発見しやすくなる。
【0048】
また、管理装置3は、各子機2の消費電力量に基づいて電気料金を算出して表示画面M1に表示させたり、各子機2の消費電力量、電気料金の過去の履歴を、現在の消費電力量、電気料金と比較可能に表示画面M1に表示させてもよい。例えば、今月(今週)の消費電力量、電気料金を前年同月(前月同週)の消費電力量、電気料金と比較する。
【0049】
また、管理装置3は、消費電力量、電気料金の過去の履歴に基づいて、省エネルギー化のためのアドバイス情報を、親機1の表示画面M1に表示させてもよい。さらに、管理装置3は、電気機器の監視制御機能を備えることで、所定期間(1か月、1年)の消費電力量が予め設定された目標電力量となるように電気機器を省エネルギー方向に制御することも可能である。
【0050】
(実施形態3)
本実施形態では、実施形態1における親機1の報知部1f、子機2の報知部2dによる報知動作の他の形態を説明する。
【0051】
まず、子機確認モードに移行した親機1の制御部1aは、無線通信部1bが子機2へ親機信号を送信してから、子機2から返信された子機信号を受信するまでの時間を測定し、当該測定時間に基づいて、親機1と子機2との間の距離を算出する距離算出手段としても動作する。
【0052】
そして報知部1fは、親機1と子機2との間の距離が予め設定された所定距離未満の場合、音声出力部SP1による音声報知を行うことなく、表示画面M1に当該子機2との間で通信可能である旨を表示する。さらに子機2の報知部2dは、音声出力部SP2による音声報知を行うことなく、表示画面M2による報知のみを行う。すなわち、親機1と子機2との距離が近い場合には、子機2との通信が可能である旨を親機1および子機2が視覚的に報知する。
【0053】
一方、親機1と子機2との間の距離が予め設定された所定距離以上の場合、親機1の報知部1fは、音声出力部SP1による音声報知を行うことなく、表示画面M1に当該子機2との間で通信可能である旨を表示する。さらに、無線通信部1bが、子機2へ音声報知コマンドを送信する。音声報知コマンドを受信した子機2の報知部2dは、表示画面M2による報知を行うことなく、音声出力部SP2による音声報知のみを行う。すなわち、親機1と子機2との距離が遠い場合には、親機1との通信が可能である子機2が聴覚的に報知する。
【0054】
したがって、親機1と子機2との距離が近い場合には視覚的に報知し、親機1と子機2との距離が遠い場合には聴覚的に報知することで、通信可能な子機2の位置を発見しやすくなる。
【0055】
さらに制御部1aは、算出した親機1と子機2との間の距離、受信した子機信号の電界強度、子機信号の受信時刻等のように、通信可能な親機1と子機2との通信状況に関する情報の履歴をメモリに格納してもよい。この場合、上記通信状況に関する情報をメモリから読み出して表示画面M1に表示させることで、通信可能な子機2との通信状況を必要に応じて確認できる。
【0056】
また、実施形態2における子機2の制御部2aが、子機信号を送信してから親機信号を受信するまでの時間を測定し、当該測定時間に基づいて、親機1と子機2との間の距離を算出する距離算出手段として動作してもよい。そして、親機1と子機2との距離が近い場合には、互いに通信が可能である旨を親機1および子機2が視覚的に報知し、親機1と子機2との距離が遠い場合には、親機1との通信が可能である子機2が聴覚的に報知する構成とすれば、上記同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに、実施形態2における子機2の制御部2aは、算出した親機1と子機2との間の距離、受信した親機信号の電界強度、親機信号の受信時刻等のように、通信可能な親機1と子機2との通信状況に関する情報の履歴をメモリに格納してもよい。この場合、上記通信状況に関する情報をメモリから読み出して表示画面M2に表示させることで、通信可能な親機1との通信状況を必要に応じて確認できる。
【0058】
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態1,2における親機1の報知部1fによる報知動作の他の形態を説明する。
【0059】
子機2の検知部2cの検知対象は消費電力量に限らず、温度や振動等でもよく、例えば、検知対象が温度の場合、温度データに基づく不快指数を表示してもよい。
【0060】
また、子機2毎に検知部2cの検知対象が異なる場合、子機確認モードでは子機2の検知対象毎に報知方法を変えてもよい。具体的には、子機2が送信する子機信号に、当該子機2が備える検知部2の検知対象の種別情報(消費電力量、温度、振動量等)を付加する。親機1は、受信した子機信号から検知対象の種別情報を抽出し、当該抽出した種別情報に基づいて、音声出力部SP1から音声報知する。例えば、検知データの種別情報が消費電力量であれば、「ピッピッ」というブザー音、種別情報が温度であれば、「ブー」というブザー音、種別情報が振動であれば、メロディ音に設定する。あるいは子機2の検知対象毎に上記表示画面M1に表示する子機2の画像を異なる形状に設定してもよい。このように子機2の検知対象毎に報知方法を変えることによって、通信可能な子機2の種別を容易に判別可能となる。
【0061】
(実施形態5)
本実施形態の子機2は、図9に示すように、自機以外の他の子機2を選択する子機選択部2fを備え、子機選択部2fで選択した他の子機2の検知部2cによる検知結果を表示できる。
【0062】
例えば、子機21において、子機選択部2fが子機23を選択したとする。すると、子機21の無線通信部2bは、子機23へ親機1を介して呼出信号を送信する。親機1の無線通信部1bは、子機2間の通信を中継する機能を有している。呼出信号を受信した子機23は、呼出信号の送信元の子機21へ親機1を介して子機信号を送信する。子機信号は、子機23の検知部2cによる現在の電力量データを含んでおり、子機21では、無線通信部2bが、子機23から電力量データを含む子機信号を受信し、報知部2dが、子機23との間で通信可能である旨を報知する。具体的には、表示画面M2に子機23の電力量データを表示する。
【0063】
したがって、子機2は、他の子機2の検知結果を表示でき、遠隔に位置する子機2や、設置場所がわかりにくい子機2の検知結果を容易に取得して確認できる。
【符号の説明】
【0064】
1 親機
1a 制御部
1b 無線通信部(親機側通信手段)
1c ネットワーク通信部
1d モード選択部
1e 子機選択部
1f 報知部(親機側報知手段)
2 子機
2a 制御部
2b 無線通信部(子機側通信手段)
2c 検知部(検知手段)
2d 報知部(子機側報知手段)
3 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と複数の子機の各々とが互いに無線で通信可能な無線通信システムにおいて、
親機は、いずれかの子機を選択する子機選択部と、当該選択した子機に対して親機信号を送信する親機側通信手段とを備え、
子機は、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機へ子機信号を送信する子機側通信手段を備え、
親機に設けられて、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知する親機側報知手段と、子機に設けられて、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機との間で通信可能であることを報知する子機側報知手段との少なくとも一方を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
親機と複数の子機の各々とが互いに無線で通信可能な無線通信システムにおいて、
子機は、親機に対して子機信号を送信する子機側通信手段を備え、
親機は、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機へ親機信号を送信する親機側通信手段を備え、
親機に設けられて、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知する親機側報知手段と、子機に設けられて、親機信号を受信した場合に当該親機信号の送信元の親機との間で通信可能であることを報知する子機側報知手段との少なくとも一方を備える
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
前記子機は、自機以外の他の子機を選択する子機選択部を備えて、前記子機側通信手段は、当該選択した子機へ親機を介して呼出信号を送信し、呼出信号を受信した場合に当該呼出信号の送信元の子機へ親機を介して子機信号を送信し、前記子機側報知手段は、子機信号を受信した場合に当該子機信号の送信元の子機との間で通信可能であることを報知することを特徴とする請求項1または2記載の無線通信システム。
【請求項4】
子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備え、
前記子機側報知手段は、前記親機信号を受信した場合に検知手段の検知結果を表示する表示手段である
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の無線通信システム。
【請求項5】
子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備えて、検知手段の検知結果を子機信号に含み、前記親機側報知手段は、受信した子機信号の送信元の子機に対応する画像に当該子機から受信した検知結果を表示することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記親機側報知手段および子機側報知手段は、音声報知することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の無線通信システム。
【請求項7】
親機と当該親機との間で通信可能な子機との距離が所定距離以上の場合、前記子機側報知手段が親機と通信可能であることを音声報知し、親機と当該親機との間で通信可能な子機との距離が所定距離未満の場合、前記親機側報知手段が子機と通信可能であることを表示することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の無線通信システム。
【請求項8】
子機は、所定の検知対象の状態を検知する検知手段を備えて、検知対象の種別情報を子機信号に含み、前記親機側報知手段は、受信した子機信号に含まれる検知対象の種別情報に基づいて、子機信号の送信元の子機における検知対象の種別を報知することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記親機側報知手段は、前記受信した子機信号に含まれる検知対象の種別情報毎に報知方法を変えることを特徴とする請求項8記載の無線通信システム。
【請求項10】
親機は、当該親機と子機信号の送信元の子機との通信状況に関する情報の履歴を記憶することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項11】
子機は、当該子機と親機信号の送信元の親機との通信状況に関する情報の履歴を記憶することを特徴とする請求項2記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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