無線通信装置、無線通信における接続制御方法およびコンピュータプログラム
【課題】無線通信装置において、ある装置と接続中に、他の装置と接続する際の利便性を向上させる。
【解決手段】1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、1または複数台の装置との接続状態を解除して、他の装置と無線接続する通信部を備えた無線通信装置。通信部は、他の装置と無線接続した後に、第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、1または複数台の装置と再接続することができる。
【解決手段】1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、1または複数台の装置との接続状態を解除して、他の装置と無線接続する通信部を備えた無線通信装置。通信部は、他の装置と無線接続した後に、第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、1または複数台の装置と再接続することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行なう通信装置に関し、特に、ある装置と接続中に他の装置から接続要求を受け付けた場合の接続制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置および周辺装置、携帯電話、車載装置間等で、近距離無線通信が広く行なわれるようになっている。近距離無線通信規格として代表的なBluetooth(登録商標)は、プロファイルと呼ばれる機器の種類毎に標準化されたプロトコルを利用して通信を行なう。このため、装置間でBluetooth接続を行なう場合には、双方が共通のプロファイルを対応している必要がある。
【0003】
Bluetooth接続は、2個のプロファイル間の1対1の接続に限られるが、1つの装置が複数個のプロファイルを対応していることもあり、この場合、同時に複数台の装置とBluetooth接続を行なうことができる。複数個のプロファイルは、同種のプロファイルに複数対応している場合も、異なる種類のプロファイルに対応している場合もある。また、ある装置間で初めてBluetooth接続を確立する場合には、互いを登録するペアリングという処理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対応しているプロファイルの個数にかかわらず、ある装置とBluetooth接続を行なっている場合に、他の装置をBluetooth接続するためには、ユーザは、接続中の装置とのBluetooth接続を一旦手動で切断して、他の装置と接続しなければならない。このため、ある装置と接続中に、他の装置を接続する際の、操作性が十分とはいえない。
【0006】
そこで、本発明は、無線通信装置において、ある装置と接続中に、他の装置と接続する際の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である無線通信装置は、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続する通信部を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記通信部は、無線接続中の前記1または複数台の装置のいずれかと所定の通信を行なっている最中に前記他の装置から接続要求を受け付けた場合には、前記1または複数台の装置との接続状態を維持して、前記他の装置からの接続要求を拒否することができる。
【0009】
また、前記通信部は、前記他の装置と無線接続した後に、前記第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、前記1または複数台の装置と再接続することができる。
【0010】
また、前記通信部は、前記1または複数台の装置との接続状態を解除し、前記他の装置と無線接続した後、前記第1または複数台の装置のうち、一部の装置と無線接続可能な場合には、あらかじめ定められた規則にしたがって設定した優先順位の高い順に再接続することができる。
【0011】
このとき、前記通信部は、最新に接続した装置の順位が高くなるように優先順位を設定することができる。また、ある装置の切断時に、別の装置が接続中の場合には、前記別の装置の順位が高くなるように優先順位を設定するようにしてもよい。
【0012】
ここで、前記無線接続可能な場合は、前記第1または複数台の装置と接続可能な未使用のプロトコルが存在している場合とすることができる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である無線通信における接続制御方法は、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、無線通信装置のコンピュータに、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続するステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信装置において、ある装置と接続中に、他の装置と接続する際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話からBluetooth接続要求を受け付けた場合の車載装置の基本的な動作について説明するフローチャートである。
【図3】車載装置の具体的な動作例の第1パターンを説明する図である。
【図4】車載装置の具体的な動作例の第2パターンを説明する図である。
【図5】車載装置の具体的な動作例の第3パターンを説明する図である。
【図6】車載装置の具体的な動作例の第3パターンの続きを説明する図である。
【図7】車載装置の具体的な動作例の第4パターンを説明する図である。
【図8】車載装置の具体的な動作例の第5パターンを説明する図である。
【図9】他装置との自動接続動作について説明するフローチャートである。
【図10】Bluetooth通信部の接続管理部が行なう優先順位リストの管理について説明するフローチャートである。
【図11】接続管理部が行なう優先順位リスト管理の具体例について説明する図である。
【図12】接続管理部が行なう優先順位リスト管理の具体例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。本図に示すように無線通信システム10は、車載装置100と携帯電話200を備えて構成される。なお、携帯電話200は、複数台備えることができる。ただし、本発明は、車載装置(無線通信装置)100、携帯電話200による無線通信システムに限られず、種々の装置間における無線通信システムに適用することができる。以下の説明では、一例として、車載の無線通信装置である車載装置100を用いて説明する。
【0018】
車載装置100と携帯電話200とは、Bluetooth接続によって比較的近距離の無線通信を行なうものとする。ただし、Bluetooth以外の規格による無線通信を行なうシステムであってもよい。車載装置100は、ハンズフリー機能を備えており、Bluetooth接続した携帯電話200でハンズフリー通話を可能とする。
【0019】
車載装置100は、制御部110、操作受付部120、表示部130、記憶部140、音声処理部150、Bluetooth通信部160を備えている。ただし、車載装置100の構成および機能は、車載装置100の機種、用途等に応じて適宜変更することができる。
【0020】
制御部110は、制御プログラムにしたがって動作するCPU等によって構成され、車載装置100における種々の動作を制御する。操作受付部120は、操作キー、操作パネル等を備えており、ユーザからの操作を受け付ける。表示部130は、液晶表示装置等を備えており、操作メニューや各種処理に関する情報の表示を行なう。記憶部140は、揮発性および不揮発性の記憶装置を備えており、制御部110の処理に必要な情報を格納したり、通信処理に必要な情報を格納する。音声入出力部150は、マイク、スピーカ等を備えており、ハンズフリー通話等における音声の入出力を行なう。
【0021】
Buletooth通信部160は、Bluetoothによる通信を制御する機能ブロックであり、1または複数のプロファイル161と、接続管理部162とを備えている。プロファイル161には、ハンズフリー通信を実現するためのHFP(Hands-Free Profile)が含まれているものとする。HFPの個数や他のプロファイルについては、後にパターンに分けて説明する。接続管理部162は、Bluetoothによる他の装置との接続処理を管理制御する。特に本実施形態においては、ある装置とのBluetooth接続中に他の装置から接続要求を受け付けた場合の接続処理、および、車載装置100の起動時等における他装置との自動接続処理を管理制御する。
【0022】
携帯電話200は、Bluetooth通信機能を備えた一般的な携帯電話を用いることができ、制御部210、通話・通信処理部220、操作受付部230、表示部240、記憶部250、Buletooth通信部260を備えている。
【0023】
制御部210は、携帯電話200における種々の動作を制御する。通話・通信処理部220は、基地局と通信を行ない、音声通話・データ通信等の通常の電話機能の処理を行なう。操作受付部230は、操作キー等を備えており、ユーザからの操作を受け付ける。表示部240は、操作メニューや各種処理に関する情報の表示を行なう。記憶部250は、揮発性および不揮発性の記憶装置を備えており、制御部210の処理に必要な情報を格納したり、通話・通信処理に必要な情報を格納する。
【0024】
Buletooth通信部260は、Bluetoothによる通信を制御する機能ブロックであり、プロファイル261として、ハンズフリー通信を実現するためのHFPを備えている。
【0025】
次に、本実施形態における車載装置100の動作について説明する。まず、他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話200からBluetooth接続要求を受け付けた場合の基本的な動作について図2のフローチャートを参照して説明する。ここでは、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合を例にする。
【0026】
携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bからBluetooth接続要求を受け付けると(S101:Yes)、接続中の携帯電話A200aが切断可能状態であるかどうかを判定する(S102)。ここで、切断可能状態であるかどうかの判断基準は、あらかじめ定めておくものとする。例えば、携帯電話A200aが待機状態等であれば切断可能状態であり、車載装置100を介してハンズフリー通話状態等であれば切断不可とすることができる。また、車載装置100が、携帯電話A200aから単に電話帳等の情報を取得中の状態であれば、切断可能とすることができる。
【0027】
その結果、携帯電話A200aが切断可能状態でなければ(S102:No)、携帯電話B200bからの接続要求を拒否する(S104)。これにより、通話状態等が切断されてしまうことを防ぐことができる。なお、携帯電話B200bが接続要求状態を継続できる通信プロトコルを用いている場合には、携帯電話A200aが切断可能状態となるまで接続要求を待機させるようにしてもよい。
【0028】
一方、携帯電話A200aが切断可能状態であれば(S102:Yes)、携帯電話A200aとの接続を自動的に切断する(S103)。これにより、ユーザが手動で接続を切断する手間を省くことができる。なお、この際に、ユーザに携帯電話A200aとの接続を自動切断する旨を通知したり、自動切断することに対して許可を求めるようにしてもよい。
【0029】
携帯電話A200aとの接続を自動的に切断すると、接続要求を受け付けた携帯電話B200bとペアリングの必要があれば(S105:Yes)、所定の手順にしたがってペアリングを行なう(S106)。ここで、ペアリングは、初めて接続する装置同士で行なう接続設定である。
【0030】
携帯電話B200bと既にペアリング済(S105:No)の場合あるいはペアリングを完了すると、携帯電話B200bとBluetooth接続を行なう(S107)。このように本実施形態では、接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、切断不可状態でなければ、接続中の装置との接続を自動的に切断し、接続要求のあった装置と接続を行なう。このため、ユーザが接続中の装置を手動で切断する手間を省くことができ、車載装置100の操作性を向上させることができる。
【0031】
車載装置100は、自動切断した携帯電話A100aの同時接続が可能であれば、携帯電話A100aと再接続を行なう(S108)。これにより、ユーザが手動で再接続する手間を省くことができる。ここで、同時接続が可能な状態は、携帯電話A100aと接続可能なプロファイルが空いている場合である。例えば、車載装置100がHFPを2つ有している場合には、携帯電話B200bとHFPによって接続した後に、もう1つのHFPによって携帯電話A100aと再接続を行なうことができる。
【0032】
次に、本実施形態における車載装置100が他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話200からBluetooth接続要求を受け付けた場合の具体的な動作例についてパターンに分けて説明する。なお、以下の例では、接続中の装置は切断可能状態であるものとする。また、それぞれの装置は車載装置100とのペアリングを済ませているものとする。
【0033】
まず、第1パターンとして、図3(a)に示すように、1つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0034】
この場合、車載装置100は、図3(b)に示すように、携帯電話A200aとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図3(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとBluetooth接続する。車載装置100が対応するHFPは1つであるため、HFPの空きはなく、携帯電話A200aとの再接続は行なわない。
【0035】
次に、第2パターンとして、図4(a)に示すように、2つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0036】
この場合、車載装置100は、図4(b)に示すように、携帯電話A200aとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図4(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとBluetooth接続する。車載装置100は2つのHFPに対応しているため、1つのHFPが空いている。このため、図4(d)に示すように、携帯電話A200aと再接続を行なう。
【0037】
次に、第3パターンとして、図5(a)に示すように、2つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aおよび携帯電話B200bとBluetooth接続中に、携帯電話C200cから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0038】
この場合、車載装置100は、図5(b)に示すように、携帯電話A200aおよび携帯電話B200bとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図6(a)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200cとBluetooth接続する。車載装置100は2つのHFPに対応しているため、1つのHFPが空いている。このため、携帯電話A200a、携帯電話B200bのいずれかと再接続を行なう。図6(b)に示す例では、携帯電話A200aと再接続を行なっている。
【0039】
どちらの携帯電話200と接続するかは、あらかじめ定められた規則に従うものとする。例えば、先に接続した方と再接続したり、最後に通話を行なった方と再接続したり、切断処理を後に行なった方と再接続したりすることができる。また、後に説明するように、優先順位の高い携帯電話200と再接続するようにしてもよい。
【0040】
次に、第4パターンとして、図7(a)に示すように、1つのHFPと1つのA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)に対応した車載装置100が、音響装置X300と、A2DPでBluetooth接続中に、HFPに対応した携帯電話A200aから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0041】
この場合、車載装置100は、図7(b)に示すように、音響装置X300とのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図7(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話A200aとHFPでBluetooth接続する。車載装置100は1つのHFPと1つのA2DPに対応しているため、1つのA2DPが空いている。このため、図7(d)に示すように、音響装置X300とA2DPで再接続を行なう。
【0042】
次に、第5パターンとして、図8(a)に示すように、1つのHFPと1つのA2DPに対応した車載装置100が、1つのHFPと1つのA2DPに対応した携帯電話A200aと、HFPおよびA2DPでBluetooth接続中に、HFPに対応した携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0043】
この場合、車載装置100は、図8(b)に示すように、携帯電話A200aとのHFPおよびA2DPによるBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図8(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとHFPでBluetooth接続する。車載装置100は1つのHFPと1つのA2DPに対応しているため、1つのA2DPが空いている。このため、図8(d)に示すように、携帯電話A200aとA2DPで再接続を行なう。
【0044】
以上のように、本実施形態における無線通信装置(車載装置100)によれば、新たな接続要求があった際に、そのときに接続されている機器の接続を一度切断した状態で、新たな携帯端末と接続を行なうため、新たな携帯端末との接続を安定して行なうことができる。
【0045】
次に、本実施形態における車載装置100の動作として、起動時等における他装置との自動接続処理について説明する。車載装置100のBluetooth通信部160は、車載装置100の起動時やユーザからの自動接続指示に基づいて、過去に接続した他装置との自動接続を試みる。また、接続中の装置が切断された場合にも自動接続を試みるようにしてもよい。他装置との自動接続は、Bluetooth通信部160が管理する優先順位にしたがって行なわれる。優先順位にしたがって自動接続を試みることにより、よりユーザの利便性を高めることができる。図9は、他装置との自動接続動作について説明するフローチャートである。
【0046】
ここでは、車載装置100は、過去に複数台の携帯電話200との接続が行なわれており、車載装置100のBluetooth通信部160は、プロファイル161として複数のHFPに対応しているものとする。
【0047】
また、Bluetooth通信部160の接続管理部162は、1〜Nの優先順位リストを管理しており、過去に接続を行なった携帯電話200のうち、直近に接続を行なったN台が優先順位リストに登録されているものとする。優先順位の定め方については後述する。
【0048】
まず、変数Mに1を設定する(S201)。ここで、変数Mは、処理対象とする優先順位に対応する。すなわち、優先順位の高い順に処理を行なっていく。そして、優先順位Mに登録されている携帯電話200を検索し、検出されると(S202:Yes)、優先順位Mの携帯電話200との接続を行なう(S203)。
【0049】
優先順位Mの携帯電話200との接続を行なった結果、すべてのHFPが接続済になると(S204:Yes)、自動接続処理を終了する。また、検出の有無にかかわらず、優先順位リストのN番目まで処理を終えた場合(S205:Yes)も、自動接続処理を終了する。
【0050】
それ以外の場合は、MにM+1を代入して、優先順位が次の携帯電話200についての検索処理を行なう(S202)。これにより、優先順位の高い順に携帯電話200と自動接続を行なうことができる。
【0051】
次に、Bluetooth通信部160の接続管理部162が行なう優先順位リストの管理について図10のフローチャートを参照して説明する。ここでは、接続対象の装置をより一般化して装置X、装置Yを用いて説明する。
【0052】
接続管理部162は、車載装置100がある装置Xと接続すると(S301:Yes)、装置Xの優先順位を最上位とし、他の装置の順位を繰り下げる(S302)。すなわち、装置Xが接続した時点で、装置Xの優先順位が最も高くなる。最新に接続された装置Xは、次の起動時にもユーザにより使用されると考えられるからである。また、他の装置の順位をそのまま繰り下げることにより、他の装置の順列自体は維持されることになる。このとき、優先順位リストに登録可能な装置の数を超えた場合には、最下位の装置が優先順位リストから外れることになる。なお、少なくとも、新たに接続した装置の優先順位を、接続が切断された装置よりも上位に設定すればよい。
【0053】
また、接続管理部162は、車載装置100がある装置Yと切断すると(S303:Yes)、他の装置が接続中であるかどうかを判定する(S304)。その結果、接続中の他の装置がなければ(S304:No)、優先順位の変更は行なわない。一方、接続中の他の装置があれば(S304:Yes)、接続中である他の装置の優先順位を最上位とし、その他の装置の順位を繰り下げる(S305)。接続中である他の装置は、より最近まで接続された装置となるため、次の起動時にもユーザにより使用されると考えられるからである。なお、ユーザが装置Yを操作して意図的に装置Yを切断した場合は、装置Yの優先順位を最下位としたり、優先順位リストから外すようにしてもよい。これにより、ユーザが接続不要と判断した装置が自動接続されること防ぐことができる。なお、少なくとも、ユーザによる操作によって意図的に切断された場合には、その意図的に切断された装置の優先順位を、ユーザによって意図せずに切断された場合よりも、大きく下げるようにすればよい。
【0054】
以上の処理を車載装置100がパワーオフするまで繰り返す(S306)。この結果、優先順位リストには、より最近まで接続していた装置の優先順位が高くなることになり、切断順序に応じた優先順位が付されることになる。
【0055】
次に、接続管理部162が行なう優先順位リスト管理の具体例について図11、図12を参照して説明する。本例で、「deviceA」「deviceB」…は、接続対象の装置を示し、接続管理部162は、優先順位1〜5まで管理しているものとする。また、Bluetooth通信部160は、最大2つの装置と同時接続が可能であり、二重枠に囲った装置が接続状態にあるものとする。
【0056】
まず、図11(a)に示した例について説明する。本例では、車載装置100のパワーオフ直前のP11において「deviceA」と「deviceB」とが接続状態にあったとする。その後、P12で車載装置100を起動すると、優先順位1の「deviceA」が検出され自動接続したとする。このとき、接続した「deviceA」は優先順位1を維持する。
【0057】
次いで、P13で優先順位2の「deviceB」が検出され自動接続したとする。これにより、新たに接続した「deviceB」を優先順位1として、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0058】
次に、図11(b)に示した例について説明する。本例では、車載装置100のパワーオフ直前のP21において「deviceA」と「deviceB」とが接続状態にあったとする。その後、P22で車載装置100を起動すると、優先順位1の「deviceA」が検出され自動接続したとする。このとき、接続した「deviceA」は優先順位1を維持する。
【0059】
次いで、P23で優先順位2の「deviceB」を検索したが検出されず、P24で優先順位3の「deviceC」が検出され自動接続したとする。これにより、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0060】
次に、図12(a)に示した例について説明する。本例では、P31において、接続状態にあった「deviceA」と「deviceB」のうち、「deviceA」を手動で切断したとする。「deviceA」切断時において、「deviceB」が接続中であるため、P32において「deviceB」を優先順位1とし、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。上述のように、意図的に切断した「deviceA」の優先順位をさらに下げたり、優先順位リストから除外するようにしてもよい。
【0061】
その後、「deviceC」を手動接続すると、P33において、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、接続中の「deviceB」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0062】
次に、図12(b)に示した例について説明する。本例は、図5、図6を用いて説明した2台の装置と接続中に他の装置から接続要求があり、2台の装置を自動切断した後の自動接続に関する例である。
【0063】
P41において、「deviceA」および「deviceB」と接続中に、「deviceC」から接続要求があったとする。このとき、「deviceA」が優先順位1であり、「deviceB」が優先順位2であったとする。
【0064】
すると、接続管理部162は、P42において「deviceA」および「deviceB」を自動切断する。次いで、P43において「deviceC」と接続し、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、他の装置の優先順位を繰り下げる。この状態で、次に優先順位の高い優先順位2は「deviceA」であるため、接続管理部162は、P44において、「deviceA」と自動接続を行なう。この後、再接続した「deviceA」を優先順位1としてもよいし、「deviceC」を優先順位1のままとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…無線通信システム
100…車載装置(無線通信装置)
110…制御部
120…操作受付部
130…表示部
140…記憶部
150…音声処理部
150…音声入出力部
160…Bluetooth通信部
161…プロファイル
162…接続管理部
200…携帯電話
210…制御部
220…通話・通信処理部
230…操作受付部
240…表示部
250…記憶部
260…Bluetooth通信部
261…プロファイル
300…音響装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を行なう通信装置に関し、特に、ある装置と接続中に他の装置から接続要求を受け付けた場合の接続制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置および周辺装置、携帯電話、車載装置間等で、近距離無線通信が広く行なわれるようになっている。近距離無線通信規格として代表的なBluetooth(登録商標)は、プロファイルと呼ばれる機器の種類毎に標準化されたプロトコルを利用して通信を行なう。このため、装置間でBluetooth接続を行なう場合には、双方が共通のプロファイルを対応している必要がある。
【0003】
Bluetooth接続は、2個のプロファイル間の1対1の接続に限られるが、1つの装置が複数個のプロファイルを対応していることもあり、この場合、同時に複数台の装置とBluetooth接続を行なうことができる。複数個のプロファイルは、同種のプロファイルに複数対応している場合も、異なる種類のプロファイルに対応している場合もある。また、ある装置間で初めてBluetooth接続を確立する場合には、互いを登録するペアリングという処理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−253602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
対応しているプロファイルの個数にかかわらず、ある装置とBluetooth接続を行なっている場合に、他の装置をBluetooth接続するためには、ユーザは、接続中の装置とのBluetooth接続を一旦手動で切断して、他の装置と接続しなければならない。このため、ある装置と接続中に、他の装置を接続する際の、操作性が十分とはいえない。
【0006】
そこで、本発明は、無線通信装置において、ある装置と接続中に、他の装置と接続する際の利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である無線通信装置は、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続する通信部を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記通信部は、無線接続中の前記1または複数台の装置のいずれかと所定の通信を行なっている最中に前記他の装置から接続要求を受け付けた場合には、前記1または複数台の装置との接続状態を維持して、前記他の装置からの接続要求を拒否することができる。
【0009】
また、前記通信部は、前記他の装置と無線接続した後に、前記第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、前記1または複数台の装置と再接続することができる。
【0010】
また、前記通信部は、前記1または複数台の装置との接続状態を解除し、前記他の装置と無線接続した後、前記第1または複数台の装置のうち、一部の装置と無線接続可能な場合には、あらかじめ定められた規則にしたがって設定した優先順位の高い順に再接続することができる。
【0011】
このとき、前記通信部は、最新に接続した装置の順位が高くなるように優先順位を設定することができる。また、ある装置の切断時に、別の装置が接続中の場合には、前記別の装置の順位が高くなるように優先順位を設定するようにしてもよい。
【0012】
ここで、前記無線接続可能な場合は、前記第1または複数台の装置と接続可能な未使用のプロトコルが存在している場合とすることができる。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である無線通信における接続制御方法は、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の第3の態様であるコンピュータプログラムは、無線通信装置のコンピュータに、1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続するステップを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無線通信装置において、ある装置と接続中に、他の装置と接続する際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話からBluetooth接続要求を受け付けた場合の車載装置の基本的な動作について説明するフローチャートである。
【図3】車載装置の具体的な動作例の第1パターンを説明する図である。
【図4】車載装置の具体的な動作例の第2パターンを説明する図である。
【図5】車載装置の具体的な動作例の第3パターンを説明する図である。
【図6】車載装置の具体的な動作例の第3パターンの続きを説明する図である。
【図7】車載装置の具体的な動作例の第4パターンを説明する図である。
【図8】車載装置の具体的な動作例の第5パターンを説明する図である。
【図9】他装置との自動接続動作について説明するフローチャートである。
【図10】Bluetooth通信部の接続管理部が行なう優先順位リストの管理について説明するフローチャートである。
【図11】接続管理部が行なう優先順位リスト管理の具体例について説明する図である。
【図12】接続管理部が行なう優先順位リスト管理の具体例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。本図に示すように無線通信システム10は、車載装置100と携帯電話200を備えて構成される。なお、携帯電話200は、複数台備えることができる。ただし、本発明は、車載装置(無線通信装置)100、携帯電話200による無線通信システムに限られず、種々の装置間における無線通信システムに適用することができる。以下の説明では、一例として、車載の無線通信装置である車載装置100を用いて説明する。
【0018】
車載装置100と携帯電話200とは、Bluetooth接続によって比較的近距離の無線通信を行なうものとする。ただし、Bluetooth以外の規格による無線通信を行なうシステムであってもよい。車載装置100は、ハンズフリー機能を備えており、Bluetooth接続した携帯電話200でハンズフリー通話を可能とする。
【0019】
車載装置100は、制御部110、操作受付部120、表示部130、記憶部140、音声処理部150、Bluetooth通信部160を備えている。ただし、車載装置100の構成および機能は、車載装置100の機種、用途等に応じて適宜変更することができる。
【0020】
制御部110は、制御プログラムにしたがって動作するCPU等によって構成され、車載装置100における種々の動作を制御する。操作受付部120は、操作キー、操作パネル等を備えており、ユーザからの操作を受け付ける。表示部130は、液晶表示装置等を備えており、操作メニューや各種処理に関する情報の表示を行なう。記憶部140は、揮発性および不揮発性の記憶装置を備えており、制御部110の処理に必要な情報を格納したり、通信処理に必要な情報を格納する。音声入出力部150は、マイク、スピーカ等を備えており、ハンズフリー通話等における音声の入出力を行なう。
【0021】
Buletooth通信部160は、Bluetoothによる通信を制御する機能ブロックであり、1または複数のプロファイル161と、接続管理部162とを備えている。プロファイル161には、ハンズフリー通信を実現するためのHFP(Hands-Free Profile)が含まれているものとする。HFPの個数や他のプロファイルについては、後にパターンに分けて説明する。接続管理部162は、Bluetoothによる他の装置との接続処理を管理制御する。特に本実施形態においては、ある装置とのBluetooth接続中に他の装置から接続要求を受け付けた場合の接続処理、および、車載装置100の起動時等における他装置との自動接続処理を管理制御する。
【0022】
携帯電話200は、Bluetooth通信機能を備えた一般的な携帯電話を用いることができ、制御部210、通話・通信処理部220、操作受付部230、表示部240、記憶部250、Buletooth通信部260を備えている。
【0023】
制御部210は、携帯電話200における種々の動作を制御する。通話・通信処理部220は、基地局と通信を行ない、音声通話・データ通信等の通常の電話機能の処理を行なう。操作受付部230は、操作キー等を備えており、ユーザからの操作を受け付ける。表示部240は、操作メニューや各種処理に関する情報の表示を行なう。記憶部250は、揮発性および不揮発性の記憶装置を備えており、制御部210の処理に必要な情報を格納したり、通話・通信処理に必要な情報を格納する。
【0024】
Buletooth通信部260は、Bluetoothによる通信を制御する機能ブロックであり、プロファイル261として、ハンズフリー通信を実現するためのHFPを備えている。
【0025】
次に、本実施形態における車載装置100の動作について説明する。まず、他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話200からBluetooth接続要求を受け付けた場合の基本的な動作について図2のフローチャートを参照して説明する。ここでは、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合を例にする。
【0026】
携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bからBluetooth接続要求を受け付けると(S101:Yes)、接続中の携帯電話A200aが切断可能状態であるかどうかを判定する(S102)。ここで、切断可能状態であるかどうかの判断基準は、あらかじめ定めておくものとする。例えば、携帯電話A200aが待機状態等であれば切断可能状態であり、車載装置100を介してハンズフリー通話状態等であれば切断不可とすることができる。また、車載装置100が、携帯電話A200aから単に電話帳等の情報を取得中の状態であれば、切断可能とすることができる。
【0027】
その結果、携帯電話A200aが切断可能状態でなければ(S102:No)、携帯電話B200bからの接続要求を拒否する(S104)。これにより、通話状態等が切断されてしまうことを防ぐことができる。なお、携帯電話B200bが接続要求状態を継続できる通信プロトコルを用いている場合には、携帯電話A200aが切断可能状態となるまで接続要求を待機させるようにしてもよい。
【0028】
一方、携帯電話A200aが切断可能状態であれば(S102:Yes)、携帯電話A200aとの接続を自動的に切断する(S103)。これにより、ユーザが手動で接続を切断する手間を省くことができる。なお、この際に、ユーザに携帯電話A200aとの接続を自動切断する旨を通知したり、自動切断することに対して許可を求めるようにしてもよい。
【0029】
携帯電話A200aとの接続を自動的に切断すると、接続要求を受け付けた携帯電話B200bとペアリングの必要があれば(S105:Yes)、所定の手順にしたがってペアリングを行なう(S106)。ここで、ペアリングは、初めて接続する装置同士で行なう接続設定である。
【0030】
携帯電話B200bと既にペアリング済(S105:No)の場合あるいはペアリングを完了すると、携帯電話B200bとBluetooth接続を行なう(S107)。このように本実施形態では、接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、切断不可状態でなければ、接続中の装置との接続を自動的に切断し、接続要求のあった装置と接続を行なう。このため、ユーザが接続中の装置を手動で切断する手間を省くことができ、車載装置100の操作性を向上させることができる。
【0031】
車載装置100は、自動切断した携帯電話A100aの同時接続が可能であれば、携帯電話A100aと再接続を行なう(S108)。これにより、ユーザが手動で再接続する手間を省くことができる。ここで、同時接続が可能な状態は、携帯電話A100aと接続可能なプロファイルが空いている場合である。例えば、車載装置100がHFPを2つ有している場合には、携帯電話B200bとHFPによって接続した後に、もう1つのHFPによって携帯電話A100aと再接続を行なうことができる。
【0032】
次に、本実施形態における車載装置100が他の装置とBluetooth接続中に、携帯電話200からBluetooth接続要求を受け付けた場合の具体的な動作例についてパターンに分けて説明する。なお、以下の例では、接続中の装置は切断可能状態であるものとする。また、それぞれの装置は車載装置100とのペアリングを済ませているものとする。
【0033】
まず、第1パターンとして、図3(a)に示すように、1つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0034】
この場合、車載装置100は、図3(b)に示すように、携帯電話A200aとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図3(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとBluetooth接続する。車載装置100が対応するHFPは1つであるため、HFPの空きはなく、携帯電話A200aとの再接続は行なわない。
【0035】
次に、第2パターンとして、図4(a)に示すように、2つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aとBluetooth接続中に、携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0036】
この場合、車載装置100は、図4(b)に示すように、携帯電話A200aとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図4(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとBluetooth接続する。車載装置100は2つのHFPに対応しているため、1つのHFPが空いている。このため、図4(d)に示すように、携帯電話A200aと再接続を行なう。
【0037】
次に、第3パターンとして、図5(a)に示すように、2つのHFPに対応した車載装置100が、携帯電話A200aおよび携帯電話B200bとBluetooth接続中に、携帯電話C200cから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0038】
この場合、車載装置100は、図5(b)に示すように、携帯電話A200aおよび携帯電話B200bとのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図6(a)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200cとBluetooth接続する。車載装置100は2つのHFPに対応しているため、1つのHFPが空いている。このため、携帯電話A200a、携帯電話B200bのいずれかと再接続を行なう。図6(b)に示す例では、携帯電話A200aと再接続を行なっている。
【0039】
どちらの携帯電話200と接続するかは、あらかじめ定められた規則に従うものとする。例えば、先に接続した方と再接続したり、最後に通話を行なった方と再接続したり、切断処理を後に行なった方と再接続したりすることができる。また、後に説明するように、優先順位の高い携帯電話200と再接続するようにしてもよい。
【0040】
次に、第4パターンとして、図7(a)に示すように、1つのHFPと1つのA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)に対応した車載装置100が、音響装置X300と、A2DPでBluetooth接続中に、HFPに対応した携帯電話A200aから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0041】
この場合、車載装置100は、図7(b)に示すように、音響装置X300とのBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図7(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話A200aとHFPでBluetooth接続する。車載装置100は1つのHFPと1つのA2DPに対応しているため、1つのA2DPが空いている。このため、図7(d)に示すように、音響装置X300とA2DPで再接続を行なう。
【0042】
次に、第5パターンとして、図8(a)に示すように、1つのHFPと1つのA2DPに対応した車載装置100が、1つのHFPと1つのA2DPに対応した携帯電話A200aと、HFPおよびA2DPでBluetooth接続中に、HFPに対応した携帯電話B200bから接続要求を受け付けた場合の動作について説明する。
【0043】
この場合、車載装置100は、図8(b)に示すように、携帯電話A200aとのHFPおよびA2DPによるBluetooth接続を自動的に切断する。そして、図8(c)に示すように、接続要求のあった携帯電話B200bとHFPでBluetooth接続する。車載装置100は1つのHFPと1つのA2DPに対応しているため、1つのA2DPが空いている。このため、図8(d)に示すように、携帯電話A200aとA2DPで再接続を行なう。
【0044】
以上のように、本実施形態における無線通信装置(車載装置100)によれば、新たな接続要求があった際に、そのときに接続されている機器の接続を一度切断した状態で、新たな携帯端末と接続を行なうため、新たな携帯端末との接続を安定して行なうことができる。
【0045】
次に、本実施形態における車載装置100の動作として、起動時等における他装置との自動接続処理について説明する。車載装置100のBluetooth通信部160は、車載装置100の起動時やユーザからの自動接続指示に基づいて、過去に接続した他装置との自動接続を試みる。また、接続中の装置が切断された場合にも自動接続を試みるようにしてもよい。他装置との自動接続は、Bluetooth通信部160が管理する優先順位にしたがって行なわれる。優先順位にしたがって自動接続を試みることにより、よりユーザの利便性を高めることができる。図9は、他装置との自動接続動作について説明するフローチャートである。
【0046】
ここでは、車載装置100は、過去に複数台の携帯電話200との接続が行なわれており、車載装置100のBluetooth通信部160は、プロファイル161として複数のHFPに対応しているものとする。
【0047】
また、Bluetooth通信部160の接続管理部162は、1〜Nの優先順位リストを管理しており、過去に接続を行なった携帯電話200のうち、直近に接続を行なったN台が優先順位リストに登録されているものとする。優先順位の定め方については後述する。
【0048】
まず、変数Mに1を設定する(S201)。ここで、変数Mは、処理対象とする優先順位に対応する。すなわち、優先順位の高い順に処理を行なっていく。そして、優先順位Mに登録されている携帯電話200を検索し、検出されると(S202:Yes)、優先順位Mの携帯電話200との接続を行なう(S203)。
【0049】
優先順位Mの携帯電話200との接続を行なった結果、すべてのHFPが接続済になると(S204:Yes)、自動接続処理を終了する。また、検出の有無にかかわらず、優先順位リストのN番目まで処理を終えた場合(S205:Yes)も、自動接続処理を終了する。
【0050】
それ以外の場合は、MにM+1を代入して、優先順位が次の携帯電話200についての検索処理を行なう(S202)。これにより、優先順位の高い順に携帯電話200と自動接続を行なうことができる。
【0051】
次に、Bluetooth通信部160の接続管理部162が行なう優先順位リストの管理について図10のフローチャートを参照して説明する。ここでは、接続対象の装置をより一般化して装置X、装置Yを用いて説明する。
【0052】
接続管理部162は、車載装置100がある装置Xと接続すると(S301:Yes)、装置Xの優先順位を最上位とし、他の装置の順位を繰り下げる(S302)。すなわち、装置Xが接続した時点で、装置Xの優先順位が最も高くなる。最新に接続された装置Xは、次の起動時にもユーザにより使用されると考えられるからである。また、他の装置の順位をそのまま繰り下げることにより、他の装置の順列自体は維持されることになる。このとき、優先順位リストに登録可能な装置の数を超えた場合には、最下位の装置が優先順位リストから外れることになる。なお、少なくとも、新たに接続した装置の優先順位を、接続が切断された装置よりも上位に設定すればよい。
【0053】
また、接続管理部162は、車載装置100がある装置Yと切断すると(S303:Yes)、他の装置が接続中であるかどうかを判定する(S304)。その結果、接続中の他の装置がなければ(S304:No)、優先順位の変更は行なわない。一方、接続中の他の装置があれば(S304:Yes)、接続中である他の装置の優先順位を最上位とし、その他の装置の順位を繰り下げる(S305)。接続中である他の装置は、より最近まで接続された装置となるため、次の起動時にもユーザにより使用されると考えられるからである。なお、ユーザが装置Yを操作して意図的に装置Yを切断した場合は、装置Yの優先順位を最下位としたり、優先順位リストから外すようにしてもよい。これにより、ユーザが接続不要と判断した装置が自動接続されること防ぐことができる。なお、少なくとも、ユーザによる操作によって意図的に切断された場合には、その意図的に切断された装置の優先順位を、ユーザによって意図せずに切断された場合よりも、大きく下げるようにすればよい。
【0054】
以上の処理を車載装置100がパワーオフするまで繰り返す(S306)。この結果、優先順位リストには、より最近まで接続していた装置の優先順位が高くなることになり、切断順序に応じた優先順位が付されることになる。
【0055】
次に、接続管理部162が行なう優先順位リスト管理の具体例について図11、図12を参照して説明する。本例で、「deviceA」「deviceB」…は、接続対象の装置を示し、接続管理部162は、優先順位1〜5まで管理しているものとする。また、Bluetooth通信部160は、最大2つの装置と同時接続が可能であり、二重枠に囲った装置が接続状態にあるものとする。
【0056】
まず、図11(a)に示した例について説明する。本例では、車載装置100のパワーオフ直前のP11において「deviceA」と「deviceB」とが接続状態にあったとする。その後、P12で車載装置100を起動すると、優先順位1の「deviceA」が検出され自動接続したとする。このとき、接続した「deviceA」は優先順位1を維持する。
【0057】
次いで、P13で優先順位2の「deviceB」が検出され自動接続したとする。これにより、新たに接続した「deviceB」を優先順位1として、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0058】
次に、図11(b)に示した例について説明する。本例では、車載装置100のパワーオフ直前のP21において「deviceA」と「deviceB」とが接続状態にあったとする。その後、P22で車載装置100を起動すると、優先順位1の「deviceA」が検出され自動接続したとする。このとき、接続した「deviceA」は優先順位1を維持する。
【0059】
次いで、P23で優先順位2の「deviceB」を検索したが検出されず、P24で優先順位3の「deviceC」が検出され自動接続したとする。これにより、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0060】
次に、図12(a)に示した例について説明する。本例では、P31において、接続状態にあった「deviceA」と「deviceB」のうち、「deviceA」を手動で切断したとする。「deviceA」切断時において、「deviceB」が接続中であるため、P32において「deviceB」を優先順位1とし、「deviceA」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。上述のように、意図的に切断した「deviceA」の優先順位をさらに下げたり、優先順位リストから除外するようにしてもよい。
【0061】
その後、「deviceC」を手動接続すると、P33において、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、接続中の「deviceB」を含む他の装置の優先順位を繰り下げる。
【0062】
次に、図12(b)に示した例について説明する。本例は、図5、図6を用いて説明した2台の装置と接続中に他の装置から接続要求があり、2台の装置を自動切断した後の自動接続に関する例である。
【0063】
P41において、「deviceA」および「deviceB」と接続中に、「deviceC」から接続要求があったとする。このとき、「deviceA」が優先順位1であり、「deviceB」が優先順位2であったとする。
【0064】
すると、接続管理部162は、P42において「deviceA」および「deviceB」を自動切断する。次いで、P43において「deviceC」と接続し、新たに接続した「deviceC」を優先順位1として、他の装置の優先順位を繰り下げる。この状態で、次に優先順位の高い優先順位2は「deviceA」であるため、接続管理部162は、P44において、「deviceA」と自動接続を行なう。この後、再接続した「deviceA」を優先順位1としてもよいし、「deviceC」を優先順位1のままとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…無線通信システム
100…車載装置(無線通信装置)
110…制御部
120…操作受付部
130…表示部
140…記憶部
150…音声処理部
150…音声入出力部
160…Bluetooth通信部
161…プロファイル
162…接続管理部
200…携帯電話
210…制御部
220…通話・通信処理部
230…操作受付部
240…表示部
250…記憶部
260…Bluetooth通信部
261…プロファイル
300…音響装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続する通信部を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、
無線接続中の前記1または複数台の装置のいずれかと所定の通信を行なっている最中に前記他の装置から接続要求を受け付けた場合には、前記1または複数台の装置との接続状態を維持して、前記他の装置からの接続要求を拒否することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、
前記他の装置と無線接続した後に、前記第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、前記1または複数台の装置と再接続することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記通信部は、
前記1または複数台の装置との接続状態を解除し、前記他の装置と無線接続した後、前記第1または複数台の装置のうち、一部の装置と無線接続可能な場合には、あらかじめ定められた規則にしたがって設定した優先順位の高い順に再接続することを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記通信部は、
最新に接続した装置の順位が高くなるように優先順位を設定することを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通信部は、
ある装置の切断時に、別の装置が接続中の場合には、前記別の装置の順位が高くなるように優先順位を設定することを特徴とする請求項4または5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線接続可能な場合は、前記第1または複数台の装置と接続可能な未使用のプロトコルが存在している場合であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続することを特徴とする無線通信における接続制御方法。
【請求項9】
無線通信装置のコンピュータに、
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続するステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続する通信部を備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記通信部は、
無線接続中の前記1または複数台の装置のいずれかと所定の通信を行なっている最中に前記他の装置から接続要求を受け付けた場合には、前記1または複数台の装置との接続状態を維持して、前記他の装置からの接続要求を拒否することを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記通信部は、
前記他の装置と無線接続した後に、前記第1または複数台の装置と無線接続可能な場合には、前記1または複数台の装置と再接続することを特徴とする請求項1または2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記通信部は、
前記1または複数台の装置との接続状態を解除し、前記他の装置と無線接続した後、前記第1または複数台の装置のうち、一部の装置と無線接続可能な場合には、あらかじめ定められた規則にしたがって設定した優先順位の高い順に再接続することを特徴とする請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記通信部は、
最新に接続した装置の順位が高くなるように優先順位を設定することを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記通信部は、
ある装置の切断時に、別の装置が接続中の場合には、前記別の装置の順位が高くなるように優先順位を設定することを特徴とする請求項4または5に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記無線接続可能な場合は、前記第1または複数台の装置と接続可能な未使用のプロトコルが存在している場合であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続することを特徴とする無線通信における接続制御方法。
【請求項9】
無線通信装置のコンピュータに、
1または複数台の装置と無線接続中に他の装置から接続要求を受け付けると、前記1または複数台の装置との接続状態を解除して、前記他の装置と無線接続するステップを実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−147146(P2012−147146A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2734(P2011−2734)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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