説明

無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法、プログラム

【課題】マルチユーザMIMOにおける空間多重度を落とさずに通信を可能とする。
【解決手段】少なくとも1の基地局装置と、複数の移動局装置と、を含み、マルチユーザMIMOを用いてデータの通信が行われる無線通信システムにおける移動局装置であって、前記移動局装置を割り当てるクラスの割り当て基準として送信持続時間を用いる事を特徴とする移動局装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信におけるマルチユーザMIMO技術に関する。
【背景技術】
【0002】
センサネットワーク(Wireless Sensor Networks, WSN)とは、複数のセンサ付無線端末を空間に散在させ、それらが協調して環境や物理的状況を採取することを可能とする無線ネットワークのことであり、M2M(エムツーエム、Machine-to-MachineまたはMachine-to-Managementの略)で使用するコア技術としても用いられる。ここで、M2Mとは、ネットワークに繋がれた機械同士が人間を介在せずに相互に情報交換し、自動的に最適な制御が行われるシステム等のことである。で使用するコア技術である。
【0003】
昨今、センサネットワークの普及が進み、多種多様なシチュエーションに導入されている(下記非特許文献1参照)。センサネットワークの普及が進むに従って、センサノードからデータを集めるシンクノードへの通信帯域が足りなくなるという問題が発生している。
【0004】
この問題を解決するために、マルチユーザMIMO技術が開発され導入されてきた(下記非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】坂村健:ユビキタスコンピューティング,オペレーションズ・リサーチ,pp.203−209,2004年4月号
【非特許文献2】石原他,上りリンクマルチユーザMIMO−OFDM伝送における信号検出法 ―空間軸上周波数有効利用技術の研究開発―,電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集 2007年_通信(1),193,2007−08−29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、センサネットワークに収容されるセンサノードは、多種多様であり、各センサノードが送信するデータ長は一定でない。
【0007】
従って、マルチユーザMIMOによって複数のセンサノードからの送信データを多重しても送信データ長の短いセンサノードからの信号と送信データ長の長いセンサノードからの信号が多重されることがあり、時間方向で見たときの空間多重度が増えないという問題があった。
【0008】
本発明は、マルチユーザMIMOにおける空間多重度を落とさずに通信を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一観点によれば、少なくとも1の基地局装置と、複数の移動局装置と、を含み、マルチユーザMIMOを用いてデータの通信が行われる無線通信システムにおける移動局装置であって、前記移動局装置を割り当てるクラスの割り当て基準として送信持続時間を用いる事を特徴とする移動局装置が提供される。
【0010】
複数の移動局装置を、送信持続時間クラスタ単位で分散させて通信を行う。すなわち、移動局装置には、送信持続時間に基づいた複数のクラスの少なくとも1つが割り当てられる。これにより送信持続時間が同程度のセンサノード群が同時にデータの送信を行うことで、信号の多重度を有効に使用することが可能となる。マルチユーザMIMO使用時の効率低下を防ぐことができる。
【0011】
前記クラスに基づくクラスタ単位の割り当て基準として、1回のデータ送信における送信間隔も用いることを特徴とする。
【0012】
前記クラスに基づくクラスタ単位の割り当て基準として、装置の電源状態も用いることを特徴とする。
【0013】
前記クラスに基づいたクラスタが指定されたポーリングパケットを受信したときにデータの送信を行うことを特徴とする。
【0014】
通信先の基地局装置が初めて通信を行う相手であった場合に、割り当てられた前記クラスを前記通信先の基地局装置に通知することが好ましい。無線通信装置の電源状態によって、割り当てられた前記クラスを変更することが好ましい。電源状態によって、電源の残量が少ない場合には、送信間隔を長くする、初回送信タイミングをできるだけ早めにするなどにより、電力消費を抑制しつつ確実に通信を行うようにする。
【0015】
割り当てられたクラスが変更されたときに、変更後のクラスを前記基地局装置に通知することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、少なくとも1の基地局装置と、複数の移動局装置と、を含み、マルチユーザMIMOを用いてデータの通信が行われる無線通信システムにおける基地局装置であって、前記移動局装置に割り当てられたクラスに基づくクラスタの割り当て基準として1回のデータ送信における送信持続時間を用いることを特徴とする基地局装置である。
【0017】
前記クラスに基づくクラスタ単位の割り当て基準として、更に1回のデータ送信における送信間隔を用いることが好ましい。
【0018】
前記クラスに基づくクラスタ単位の割り当て基準として、更に自己の電源状態を用いることが好ましい。
【0019】
前記クラスに基づいたクラスタが指定され、クラスタを指定したポーリングパケットを受信したときに前記移動局装置へのデータの送信を行うことが好ましい。
【0020】
前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を、同じクラスタに割り当てるようにクラスタを構成することが好ましい。
【0021】
前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を同一のクラスタに割り当てを試みたときに、クラスタ内の移動局装置が所定の数を超える場合に、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を複数のクラスタに割り当てる事を特徴とする。前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信することが好ましい。
【0022】
ポーリングパケットを送信した前記複数の移動局装置から同時に送信される信号を受信することが好ましい。この時、クラスタ内の各ノードは割り当てられたクラスタ内IDに対応したプリアンブルを使用してデータパケットを送信する。
【0023】
初めて通信する移動局装置との間で、該移動局装置が割り当てられているクラスの通知を受けることが好ましい。前記移動局装置からクラスの変更を通知された際に、クラスタへの割り当てをやり直すことが好ましい。また、電源状態の良くないクラスの移動局装置が含まれるクラスタから順番にポーリングパケットを送信することが好ましい。
【0024】
本発明は、送信持続時間に基づいた複数のクラスの1つが割り当てられる複数の移動局装置と、前記移動局装置と通信する基地局装置とを含み、前記基地局装置が、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスに基づき、前記複数の移動局装置を複数のクラスタに割り当て、前記基地局装置が、前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信することを特徴とする無線通信システムである。
【0025】
また、本発明の他の観点によれば、送信持続時間に基づいた複数のクラスの1つが割り当てられる複数の移動局装置と、前記移動局装置と通信する基地局装置とを含む無線通信方法であって、前記基地局装置が、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスに基づき、前記複数の移動局装置を複数のクラスタに割り当てるステップと、前記基地局装置が、前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信するステップと、を有することを特徴とする無線通信方法が提供される。
【0026】
本発明は、上記の無線通信方法を、コンテンツに実行させるためのプログラム、当該プログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体であっても良い。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、マルチユーザMIMOにおける空間多重度を落とさずに通信をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの一構成例を示す概略図である。
【図2】フレーム構成の一例を示す図である。
【図3】コンテンションフリー期間内の通信状況の一例を示す図である。
【図4】図4(a)は、シンクノードから全センサノードに向けて送信される下り方向通信用パケットの構成例を示す図である。図4(b)は、シンクノードからコンテンションフリー期間に送信を許可するクラスタに対して送信されるポーリングパケットの構成例を示す図である。図4(c)は、シンクノードを含む各々のノードがデータを送信するために使用するデータパケットの構成例を示す図である。
【図5】ノード(端末)に2つのクラスが割り当てられている様子を示す図である。
【図6】図5に記載のノード群をセンサノードのクラスによってクラスタ化した様子の一例を示す図である。
【図7】フレーム内のビーコン送信と下り送信、コンテンション期間の上り送信パケットフロー図である。
【図8】ノードを追加する場合の手順を示す図である。
【図9】スーパーフレームでクラスタマップ送信する際の手順を示す図である。
【図10】クラスタマップに含まれるデータの一例を示す図である。
【図11】シンクノードは送信したクラスタマップに従って、各クラスタに対してポーリングを行う様子を示す図である。
【図12】センサノードの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図13】シンクノードの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図14】本発明の第2実施形態のセンサノードの一構成例を示す機能ブロック図である。
【図15】本発明の第2実施形態の処理手順一例を示す図である。
【図16】電池容量多クラス(a)と、電池容量小クラス(b)における間隔クラスと持続時間クラスとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの一構成例を示す概略図である。本実施形態の通信システムAは、データ収集を行うための1つ以上のシンクノード101(以下、単に「シンク」とすることがある。また、基地局装置などと称されることがある。)と、データ測定を行う複数のセンサノード102(以下、単に「ノード」、または「端末」と称することがある。また、移動局装置などと称されることがある。)から構成される。以下、説明の簡略化のため、シンクノード101が1つ存在する通信システムを例にして説明を行う。
【0030】
本実施形態では、固定時間長のフレーム構成を用い、通信を行う。図2は、フレーム構成の一例を示す図である。図2に示すフレームは、シンクノードから送信されるビーコン201を基準とし、フレーム前半202をコンテンション期間、フレーム後半203をコンテンションフリー期間とする。ビーコン201には、ネットワークを管理するための情報と、シンクノードから各センサノードへの下り通信情報と、が含まれる。コンテンション期間202は、各センサノードから非同期に発生する通信イベントのために使用する期間で、CSMA/ACK(Carrier Sense Multiple Access/ACKnowledge)方式での通信が行われる。コンテンションフリー期間203は、シンクノードからポーリング制御が行われ、各センサノードが予め決められた定期的なデータ通信を行うために使用される。
【0031】
コンテンション期間202とコンテンションフリー期間203の割合は、シンクノードが決め、ビーコン内の制御情報によって通知される。また、一定のフレーム毎にスーパーフレームが挿入され、このスーパーフレームで送信される制御情報には特別な制御情報が含まれる。全ノード間で共有しなければならない情報は、スーパーフレームでのみ送信することにより、各ノードが個別の判断で受信動作を休止する機会を増やすことができる。
【0032】
以下、一例としてフレーム長が500ms、スーパーフレームが5秒に一度挿入される場合を例にして説明する。
【0033】
各フレームは、シンクノードから送信されるビーコンの送信開始時間を基準にする。各フレームには、0から始まり49999まで連続した番号が割り当てられるものとする。49999の次は0に戻るものとする。最初のスーパーフレームはフレーム番号0の時とし、以降のスーパーフレームはフレーム番号が10の倍数であるときとする。
【0034】
1フレームは、500スロット(スロット番号0〜499)から構成され、1スロットは1000変調単位(シンボル)から構成されるものとする。変調はBPSKで行われるものとし、1スロットで1000ビットの情報が送信できるものとする。各ノードがあるスロットで送信した時、直後のスロットはデータの衝突防止のためガードスロットとして使用しないものとする。
【0035】
図3は、コンテンションフリー期間内の通信状況の一例を示す図である。横軸が時間を表す。符号301がコンテンションフリー期間開始時間で、符号310がコンテンションフリー期間終了時間、即ち次フレームのビーコン送信開始時間である。図3では4つのクラスタ(後述する。)に対してポーリングを行う場合について説明する。
【0036】
コンテンションフリー開始時刻301後、ガードスロットを一つ置いた後に、シンクノードからクラスタ1に対するポーリングパケット302が送信される。その後、ガードスロットを一つ置いた後に、クラスタ1に含まれるセンサノード群から一斉にパケット303が送信される。パケット303の送信後、ガードスロットを一つ置いた後に、シンクノードからクラスタ2に対するポーリングパケット304が送信される。その後、ガードスロットを一つ置いた後に、クラスタ2に含まれるセンサノード群から一斉にパケット305が送信される。パケット305の送信後、ガードスロットを一つ置き、シンクノードからクラスタ3に対するポーリングパケット306が送信される。その後、ガードスロットを一つ置いた後に、クラスタ3に含まれるセンサノード群から一斉にパケット307が送信される。パケット307の送信後、ガードスロットを一つ置き、シンクノードからクラスタ4に対するポーリングパケット308が送信される。その後、クラスタ4に含まれるセンサノード群から一斉にパケット308が送信される。以上のように各クラスタに対して順次ポーリングを行う。
【0037】
次に、本実施形態で使用する通信パケットの構成について説明する。本実施形態では、シンクノード、センサノード共に予めユニークなアドレスが割り当てられているものとし、通信元のノードのアドレスと、通信相手のノードのアドレスとを、通信パケット中に示すことによって通信を行う。特殊なアドレスとして、全端末を表すブロードキャストアドレスを設けることとし、このブロードキャストアドレスは個別の端末を表すアドレスとしては使用できないものとする。アドレスを示すための情報量は、ネットワークの規模に合わせて変えて良いが、本実施形態では48bit長とする。
【0038】
図4(a)は、シンクノードから全センサノードに向けて送信される下り方向通信用パケットの構成例を示す図である。パケット先頭に、同期、伝搬路推定、パスロス測定に使用するプリアンブル401が配置され、続いてシンクノードのアドレス402、現在のフレーム番号403、コンテンションフリー開始スロット番号404、シンクノードの送信電力405、後続のデータペイロード1のペイロード1長407、プリアンブル401以降ペイロード長1までのCRC(Cyclic Redundancy Code)が続き、ペイロード1がある場合はペイロード1・408が以降に続く。ペイロード1・408が無い場合はペイロード1長407の値は0となる。ペイロード1は後述するデータパケットのプリアンブル421を取り除いたものが連結されたものとする。
【0039】
図4(b)は、シンクノードからコンテンションフリー期間に送信を許可するクラスタに対して送信されるポーリングパケットの構成例を示す図である。パケット先頭に同期、伝搬路推定、パスロス測定に使用するプリアンブル411が配置され、続いてシンクノードのアドレス412が配置され、続いて送信を許可するクラスタのクラスタID・413が配置され、続いて次にポーリングパケットが送信されるスロット番号である次ポーリングスロット番号414が配置され、続いてプリアンブル411以降次ポーリングスロット番号414までのCRC・415が配置される。
【0040】
図4(c)は、シンクノードを含む各々のノードがデータを送信するために使用するデータパケットの構成例を示す図である。パケット先頭に同期、伝搬路推定、パスロス測定に使用するプリアンブル421が配置され、続いて送信元ノードのアドレス422が配置され、続いて送信先ノードのアドレス423が配置され、続いてペイロード2・425のデータ長であるペイロード2データ長424が配置され、続いてデータが格納されるペイロード2・425が配置され、続いてプリアンブル421以降からペイロード2までのCRC・426が配置される。
【0041】
上記パケットで使用するCRCの長さはどのようなものでも良く、例えば16ビット長のCRC−16−CCITTの生成多項式を用いても良い。また、ペイロード長の表示方法も特に指定しないが、例えばオクテット単位で指定しても良い。
【0042】
プリアンブルは、受信側でシンボル同期、伝搬路推定、パスロス測定に用いることが出来れば、どのような符号を用いても良い。ただし、複数の種類のプリアンブルを区別できるように相互相関の低く、フレーム同期を取るために自己相関が1箇所で大きくなる系列を用いる事が望ましい。例えば16ビット長のM系列を用いることが出来る。本実施形態では、シンクノードから送信されるビーコンパケット、ポーリングパケット、確認応答パケットと、センサノードからコンテンション期間に送信されるデータパケット、コンテンションフリー期間に送信されるデータパケット4種類の区別が出来れば良いので、16ビットのM系列から8つの系列を選択して使用するものとする。
【0043】
次に本実施形態におけるクラスタについて説明する。クラスタはデータの送信時間が同じ程度の長さのセンサノードを集めたもので、クラスタ単位で送信制御を行うことで、マルチユーザMIMO使用時の効率低下を防ぐものである。本実施形態では、各ノードをクラスタに分けるに当たり、各々のノードに2つのクラスを設け、クラスの種類によってクラスタ分けを行う。一つは一回のデータ送信における送信持続時間を表す送信持続時間クラスで、もう一つはデータ送信間隔を表す送信間隔クラスである。
【0044】
本実施形態では、送信持続時間クラスを送信持続時間が1ms以下、10ms以下、50ms以下の3種類とし、送信間隔クラスを送信間隔が1s、10s、100sの3種類とする。一例として、14のノード(端末)に2つのクラスが割り当てられている様子を図5に示す。図5に示すように、ノード1からノード4は送信持続時間が1ms以下で送信間隔が1s、ノード5からノード9は送信持続時間が1ms以下で送信間隔が10s、ノード10からノード12は送信持続時間が10ms以下で送信間隔が10s、ノード13、14は送信持続時間が50ms以下で送信間隔が100sである。
【0045】
なお、本実施形態では、送信持続クラス、送信間隔クラスをそれぞれ1つずつ割り当てる例を示すが、センサノードが送信するデータに複数の種類があり、それぞれデータ長や送信間隔が異なる場合や、複数の変調方式が使用できるセンサノード、シンクノードを使用する環境で、センサノードとシンクノード間の距離が十分に近いときは高速な変調方式を用い、距離が遠い場合は低速な変調方式を使用する場合などでは送信持続クラス、送信間隔クラスを複数割り当てても良い。
【0046】
以上のノード群を送信持続時間が揃うようにクラスタ化する。クラスタ化の際には、シンクノードにおける最大受信多重数を考慮し、同じクラスが割り当てられたノード群の数が多い場合は、クラスタに入れるノード数をこの最大受信多重数を超えないように設定する。クラスタ数が増えると、センサノードが次クラスタ宛のポーリングパケットを受信するまでの時間が増え、その間の消費電力が増加する可能性があるため、総クラスタ数が少なくなるように設定することが望ましい。また、シンクノードの受信部の構成にも依存するが、受信多重数が少ない方が、ユーザー間干渉が減り受信特性が良くなることが多いため、クラスタ数が変わらない範囲でクラスタ内のノード数が少なくなるように設定すること、すなわち、ノードを分散して割り当てることが望ましい。また、送信間隔が同じノードが同一クラスタに設定されているとスケジュールが簡易になる。以上の点を考慮し、図5に記載していたノード群をセンサノードのクラスによってクラスタ化した様子の一例を図6に示す。ただし、本実施形態では、シンクノードの最大受信多重数を4とする。
【0047】
クラスタ1は送信持続時間が1ms以下で送信間隔が1sのノード1からノード4、クラスタ2は送信持続時間が1ms以下で送信間隔が10sのノード5からノード7、クラスタ3はクラスタ2と同様に送信持続時間が1ms以下で送信間隔が10sのノード8とノード9、クラスタ4は送信持続時間が10ms以下で送信間隔が10sのノード10からノード12、クラスタ5は送信持続時間が50ms以下で送信間隔が100sのノード13とノード14で、それぞれ構成される。クラスタ2とクラスタ3とを構成するノードは、送信持続時間と送信間隔のクラスとが同じノードであるが、多重数を考慮し、クラスタ内のノード数が4と1ではなく、3と2となるようにクラスタ化している。
【0048】
本実施形態では、1つのセンサノードは1クラスタにのみ割り当てられる場合について説明するが、1つのセンサノードを複数のクラスタに割り当てるようにしても良い。例えば、送信持続時間が10ms、送信間隔が100sのセンサノードを割り当てているクラスタに割り当てているセンサノードの数が少なく(例えば2つ)、送信持続時間が1ms、送信間隔が10sのセンサノードが1つだけ余っているような場合、余っている送信持続時間が1ms、送信間隔が10sのセンサノードを送信持続時間が1ms、送信間隔が10sのクラスタと、送信持続時間が10ms、送信間隔が100sのクラスタの両方に割り当てて、送信間隔が100sの周期と送信間隔が10sの周期が重なるときは100sのクラスタの送信機会に送信持続時間が1ms、送信間隔が10sのセンサノードも送信するように制御することで1フレーム内のポーリング回数を減らすことができ、センサノードが受信動作を休止できる期間を増やすことができる。
【0049】
次に、フレーム内のビーコン送信と下り送信、コンテンション期間の上り送信パケットフローについて図7を参照しながら説明する。図7では、シンクノードがビーコンを発射した後に、ただちに、ノード1、ノード2、ノード3に対してビーコンパケットのペイロード1・408を使用してデータを送信し、続いてノード2がシンクノードに対してデータ送信を行い、更に続いてノード1がシンクノードにデータ送信を行う場合について説明する。
【0050】
まず、ビーコン送信時間になると、シンクノードはS701でビーコンパケットを送信する。続いて、S702でビーコンパケットのペイロード1・408内にノード1に対するプリアンブル421を除いた送信パケットを送信する。続いて、S703で同様にノード2に対する送信パケットを送信し、更に続いて、S704で同様にノード3に対する送信パケットを送信する。
【0051】
次はシンクノードが送信した送信先のノードから送信される確認応答をシンクノードが受信する。本実施形態では、確認応答を各ノードが送信する順番は、シンクノードが下りデータパケットを送信した順番に行うものとし、S705でノード1からシンクノードに対してS702で送信したパケットに対する確認応答のデータパケットを送信し、S706でノード2からシンクノードに対してS703で送信したパケットに対する確認応答のデータパケットを送信し、S707でノード3からシンクノードに対してS704で送信したパケットに対する確認応答パケットの送信を行う。確認応答のデータパケットの内容は特に規定しないが、送信期間が1スロットで収まる事が望ましい。これにより各ノードがS704で送信されたパケットの次のスロットから順次確認応答パケットを送信するスロットを特定することが可能となる。この際に、各パケットの間にガードスロットを一つ設けることが望ましい。
【0052】
確認応答パケット群の送信が終了した次のスロットからがコンテンション期間となる。各ノードは送信に先立ち他のノードが送信を行っていないか確認する必要がある。送信タイミングが衝突しないようにするため、送信タイミングを乱数である程度ずらし、再度送信前に再度確認する事が望ましい。S708でノード2は他のノードが送信していないことを確認し、シンクノードに対して上りのデータパケットの送信を行う。データパケットを受信したシンクノードは、S709で直ちにノード2に対する確認応答パケットを送信する。これは、他のシンクノードが送信する前に確認応答パケットを送信してしまうことで衝突を回避するものである。続いてノード1がS710で他のノードが送信していないことを確認し、シンクノードに対して上りのデータパケットの送信を行う。データパケットを受信したシンクノードはS711で直ちにノード1に対する確認応答パケットを送信する。
【0053】
以上のような手順により、ビーコン送信と下り送信、コンテンション期間の上りデータパケットの送信が行われる。
【0054】
次に、ノードを追加する場合の手順を図8に示す。追加するノードは、対象のシンクノードが送信するビーコンを受信し、コンテンション期間を特定する。コンテンション期間であるS801で、自ノードの送信持続時間と送信間隔のクラスとを含むアソシエーション要求パケットをシンクノードに対して送信する。アソシエーション要求パケットを受信したシンクノードは、アソシエーション要求パケットを送信してきたノードを追加して良い場合はS802で直ちにアソシエーション応答パケットを、アソシエーション要求パケットを送信してきたノードに対して送信する。ノードの追加を行わない場合は、シンクノードはアソシエーション応答パケットを送信しない。アソシエーションを要求したノードはアソシエーション応答パケットの受信により受け付けられた事を知ることができる。アソシエーションに成功したノードは引き続きビーコンを受信し、スーパーフレームで送信されるクラスタマップを受信することでどのフレームに自ノードに対するポーリングパケットが送信されるかを知ることができる。
【0055】
次に、スーパーフレームでクラスタマップ送信する際の手順を図9に示す。シンクノードが管理するノードの構成が変わった直後のスーパーフレームで、シンクノードはクラスタマップを送信する。クラスタマップは、どのノードがどのクラスタに含まれるか、クラスタ内のID番号はいくつか、ポーリングパケットが送信されるタイミングがいつかという情報を示すためにシンクノードから全ノードに対してブロードキャストされる情報である。シンクノードは、S901でスーパーフレームであることを示すビーコンパケットを送信した直後に、S902でビーコンパケットのペイロード1・408内に、ブロードキャストアドレス宛にデータパケットを送信し、そのデータパケット内にクラスタマップが含まれるようにする。クラスタマップは、基本的にはノード構成が変わった後一度送信すれば良いが、受信失敗の時を考慮して複数回送信したり、5分に一度等の定期的な間隔で送信したりしても良い。
【0056】
クラスタマップに含まれるデータの一例について図10を参照しながら説明する。必要な情報は、どのクラスタ番号1001にどのノード番号1004のノードが属していて、これらのノードがどのようなクラスタ内ID1003を与えられていて、そのクラスタのポーリング周期1005がどのくらいで、フレームオフセット1006がいくつに設定されているかである。
【0057】
クラスタ内IDは、ノードがポーリングパケットを受信した後に送信する際にどのプリアンブルを付加して送るかを決めるために使用される。そのため、クラスタ内ID1003はクラスタ内のノードに対してユニークに与えられなければならない。ポーリング周期1005とフレームオフセット1006とは、そのクラスタに対するポーリングパケットがどのフレームで送信されるかを知るために使用される。フレーム番号0が基準となり、1回目のポーリングがフレームオフセット1006後のフレームに送信され、以降ポーリング周期1005間隔でポーリングパケットが送信される。具体的には、ポーリング周期が10s、フレームオフセットが1の場合、フレーム番号1、2001、4001、…に対象のクラスタに対してポーリングパケットが送信される。また、ポーリング周期が100s、フレームオフセットが5の場合は、フレーム番号5、20005、40005、…に対象のクラスタに対してポーリングパケットが送信される。フレームオフセットを使用することで特定のフレームで多くのクラスタに対してポーリングパケットを送信する状態を減らすことが可能となる。1つのフレームで多くのクラスタに対してポーリングを行う場合、後の方にポーリングされるクラスタに含まれるノードが目的のポーリングパケットを待つまでの長い間、受信部を動作させる必要があり、若干であるが消費電力が増えてしまう。フレームオフセットを使用して1フレームでポーリングするクラスタを減らすことでノードの消費電力を低減する事が可能となる。
【0058】
クラスタマップへのデータの格納方法は特に限定されない。予め決められた領域にデータを格納しても、C言語の構造体のような可変領域に格納しても良いが、シンクノードとセンサノードとの間で予め決められている事が望ましい。
【0059】
次に、シンクノードは送信したクラスタマップに従って、各クラスタに対してポーリングを行う。この様子を図11に示す。図11では、クラスタ1からクラスタ3に対して3回ポーリングする場合の説明を行う。シンクノードはコンテンションフリー期間が開始されるのを待った後、S1101でクラスタ1へのポーリングパケットを送信する。クラスタ1へのポーリングパケットを受信したクラスタ1に含まれるノード群は、ガードスロットを1つあけた後にS1102でシンクノードに対して同時にデータパケットを送信する。この時、クラスタ内の各ノードは割り当てられたクラスタ内IDに対応したプリアンブルを使用してデータパケットを送信する。シンクノードはクラスタ内の各ノードから同時に送信されたデータパケットを受信する。データの復調方法については後述する。
【0060】
シンクノードはクラスタ1に含まれるノード群から送信されたデータパケットを受信した後、ガードスロットを1つあけた後に、S1103でクラスタ2に対するポーリングパケットを送信する。クラスタ2へのポーリングパケットを受信したクラスタ2に含まれるノード群は、ガードスロットを一つあけた後にS1004でシンクノードに対して同時にデータパケットを送信する。この時もクラスタ1と同様にクラスタ内の各ノードは割り当てられたクラスタ内IDに対応したプリアンブルを使用してデータパケットを送信する。シンクノードはクラスタ2に含まれるノード群から送信されたデータパケットを受信した後、ガードスロットを1つあけた後にS1105でクラスタ3に対するポーリングパケットを送信する。クラスタ3へのポーリングパケットを受信したクラスタ3に含まれるノード群は、ガードスロットを一つあけた後にS1006でシンクノードに対して同時にデータパケットを送信する。この時もクラスタ1と同様にクラスタ内の各ノードは割り当てられたクラスタ内IDに対応したプリアンブルを使用してデータパケットを送信する。
【0061】
以上に示した手順により、コンテンション期間、コンテンションフリー期間の通信が行われる。
【0062】
続いてセンサノードの構成の一例、シンクノードの構成の一例を示し、どのようにデータパケットの送受信を行うかについて説明する。
【0063】
図12はセンサノードの一構成例を示す機能ブロック図である。符号1201は電波の送受信を行うためのアンテナ部、1202は制御部1207からの指示でアンテナ部1201の接続先をRF受信部1203とRF送信部1212との間で切り替える切替部、符号1203は受信した電波から必要な帯域を取り出し、RSSI(Radio Signal Strength Indeication)を測定すると共にベースバンド信号に変換するRF受信部、符号1204はベースバンド信号からプリアンブルを、相関器を利用して検出し、シンクノードから送信されるパケットの種類とタイミングをプリアンブルの系列判定する事で測定し、またシンクノードとセンサノード間の伝搬路特性(伝達関数)を測定する伝搬路推定部、符号1205は伝搬路推定部1204で測定されたパケットタイミングと伝搬路情報を利用してベースバンド信号の復調を行う復調部、符号1206は制御部からの指示と、伝搬路推定部で測定したパケットのタイミングを利用し、復調部1205の復調出力のCRCを計算するCRC検出部、符号1207は受信時にはRSSIによる他ノード送信確認、パケットの受信タイミングを利用したシンクノードとの同期、受信するパケットのCRC判定、受信データを外部に出力する動作をし、送信時には送信バケットの構成、付加するプリアンブルの選択、送信電力制御を行う制御部、符号1208は制御部1207で構成された送信パケットにCRCを付加するCRC付加部、符号1209は制御部1207の指示で送信時に付加するプリアンブルを選択するプリアンブル選択部、符号1210はCRC付加部1208でCRCが付加された送信パケットに1208で選択されたプリアンブルを付加するプリアンブル付加部、符号1211はプリアンブルが付加された送信パケットを変調し、ベースバンド信号に変換する変調部、符号1212はベースバンド信号を送信に必要な周波数帯域に変換し、制御部1207から指示された電力に増幅するRF送信部である。
【0064】
センサノードはビーコンパケットを受信すると、伝搬路推定部1204がビーコンパケットのプリアンブルを検出し、制御部1207にプリアンブルの到来タイミングを伝える。プリアンブルの後に続くデータは復調部1205で復調され、CRC検出部1206で計算されたCRCと共に制御部1207に入力される。復調したデータに含まれるCRCと、計算したCRCとが等しかった場合、ビーコンパケットの受信が正常に行われたものとし、先に入力されたプリアンブルの到来タイミングをフレーム先頭の時間として以降の動作を行う。ビーコンパケットを復調した結果、ペイロード1長が0で無かった場合は、後続のデータがあるので、適宜、CRC検出部1206を初期化しながら後続のデータを受信する。クラスタマップもこの後続のデータの一種として受信される。また、ビーコンパケット中にはシンクノードの送信電力が含まれており、RSSIと比較することでシンクノードとセンサノード間のパスロスを測定することができる。シンクノードにおいて予め決められた受信強度を得るために、制御部1207は、パスロスを考慮した送信電力をRF送信部1212に対して設定する。
【0065】
センサノードがコンテンション期間にデータを送信する場合、制御部1207はRSSIを確認して他のノードが送信していないことを確認し、更にデータの送信がコンテンション期間に終了することを確認した後に、プリアンブル選択部1209にコンテンション期間用プリアンブルを選択させ、切替部1202をRF送信部1212側に切り替え、CRC付加部1208に対し構成した送信パケットを出力する。送信パケットはCRC付加部1208でCRCが付加され、プリアンブル付加部1210でコンテンション期間用プリアンブルが付加され、変調部1211で変調され、RF送信部1212で送信に必要な帯域に変換されアンテナ部1201より送信される。送信が終了したら制御部1207は切替部1202をRF受信部1203側に切り替える。
【0066】
センサノードが確認応答パケットを受信する場合、伝搬路推定部1204が確認応答パケットのプリアンブルを検出し、制御部1207にプリアンブルの到来タイミングを伝える。プリアンブルの後に続くデータは復調部1205で復調され、CRC検出部1206で計算されたCRCと共に制御部1207に入力される。復調したデータに含まれるCRCと、計算したCRCが等しかった場合、確認応答パケットの受信が正常に行われたものとし受信した確認応答パケットに対応するデータパケットの送信が成功したものと判断する。
【0067】
センサノードがポーリングパケットを受信した場合、伝搬路推定部1204がポーリングパケットのプリアンブルを検出し、制御部1207にプリアンブルの到来タイミングを伝える。プリアンブルの後に続くデータは復調部1205で復調され、CRC検出部1206で計算されたCRCと共に制御部1207に入力される。復調したデータに含まれるCRCと、計算したCRCが等しかった場合、ポーリングパケットの受信が正常に行われたものとし、ポーリングパケット中に指定されているクラスタIDが自ノードを含むクラスタであるかどうか判断し、該当した場合はコンテンションフリー期間のデータ送信を行う。
【0068】
センサノードがコンテンションフリー期間のデータ送信を行う場合、制御部1207は送信して良い時間であることを確認した後に、プリアンブル選択部1209に自ノードに割り当てられたクラスタ内IDに対応したコンテンションフリー期間用プリアンブルを選択させ、切替部1202をRF送信部1212側に切り替え、CRC付加部1208に対し構成した送信パケットを出力する。送信パケットはCRC付加部1208でCRCが付加され、プリアンブル付加部1210でコンテンション期間用プリアンブルが付加され、変調部1211で変調され、RF送信部1212で送信に必要な帯域に変換されアンテナ部1201より送信される。送信が終了したら制御部1207は切替部1202をRF受信部1203側に切り替える。
【0069】
続いて、図13にシンクノードの構成例を示す。符号1301から1304まではRF信号を受信するためのアンテナ1からアンテナ4、符号1305から1308までは受信したRF信号をベースバンド信号に変換するRF受信部1からRF受信部4までであり、符号1309はRF受信部1(1305)からRF受信部4(1308)までからそれぞれ出力されるベースバンド信号からプリアンブルを相関器を利用して検出し、センサノードから送信されるパケットの種類とタイミングをプリアンブルの系列判定する事で測定し、センサノードとシンクノード間の伝搬路特性(伝達関数)を測定する伝搬路推定部である。
【0070】
また、符号1310は伝搬路推定部1309で測定したパケットタイミングと、伝搬路情報を利用してベースバンド信号の復調を行う復調部、符号1311は制御部からの指示と、伝搬路推定部で測定したパケットのタイミングを利用し、復調部1310の復調出力のCRCを計算するCRC検出部、符号1312はフレームの時間管理を行い、受信時には伝搬路推定部の出力を利用した受信信号の選択、復調方法の選択、受信するパケットのCRC判定、受信データを外部に出力する動作をし、送信時には送信バケットの構成、付加するプリアンブルの選択を行う制御部、符号1313は制御部1312で構成された送信パケットにCRCを付加するCRC付加部、符号1314は制御部1312の指示で送信時に付加するプリアンブルを選択するプリアンブル選択部、符号1315はCRC付加部1313でCRCが付加された送信パケットに1314で選択されたプリアンブルを付加するプリアンブル付加部、符号1316はプリアンブルが付加された送信パケットを変調し、ベースバンド信号に変換する変調部、符号1317はベースバンド信号を送信に必要な周波数帯域に変換し、予め決められている電力に増幅するRF送信部、符号1318はRF送信部1317の出力信号を電波として送信する送信アンテナである。
【0071】
シンクノードは、ビーコンパケットを送信する場合、制御部1312がビーコンパケットを送信するタイミングを確認し、プリアンブル選択部1314に対してビーコンパケット用プリアンブルを選択させ、構成した送信パケットをCRC付加部1313に対して出力する。送信パケットはCRC付加部1313でCRCが付加され、プリアンブル付加部1315でビーコンパケット用プリアンブルが付加され、変調部1316で変調され、RF送信部で送信に必要な帯域に変換され、送信アンテナ1318より送信される。
【0072】
シンクノードがコンテンション期間にセンサノードから送信されるデータを受信すると、伝搬路推定部1309がコンテンション期間のデータパケットのプリアンブルを検出し、制御部1312に受信アンテナ1(1301)から受信アンテナ4(1304)で受信されたプリアンブルの到来タイミングと伝搬路特性を伝える。制御部1312はそれぞれのアンテナで得られたシンクノードとセンサノード間の伝搬路特性の中で、最も伝搬路の状態の良い受信アンテナ、例えば伝達関数の振幅の一番大きい受信アンテナを選択し、復調部1310に選択したアンテナの信号を復調するように設定する。
【0073】
選択されたアンテナの信号のプリアンブル以降の信号は復調部1310で復調され、CRC検出部で計算されたCRCと共に制御部1312に入力される。復調したデータに含まれるCRCと計算したCRCが等しかった場合、コンテンション期間のデータパケットの受信が正常に行われたものとし、送信元のノードに対して確認応答パケットの送信を行う。
【0074】
シンクノードがコンテンション期間に確認応答パケットの送信を行う場合、制御部1312が確認応答パケットを送信するタイミングを確認し、プリアンブル選択部1314に対して確認応答パケット用プリアンブルを選択させ、構成した送信パケットをCRC付加部1313に対して出力する。送信パケットはCRC付加部1313でCRCが付加され、プリアンブル付加部1315で確認応答パケット用プリアンブルが付加され、変調部1316で変調され、RF送信部で送信に必要な帯域に変換され、送信アンテナ1318より送信される。
【0075】
シンクノードがコンテンションフリー期間にポーリングパケットの送信を行う場合、制御部1312がポーリングパケットを送信するタイミングを確認し、プリアンブル選択部1314に対してポーリングパケット用プリアンブルを選択させ、構成した送信パケットをCRC付加部1313に対して出力する。送信パケットはCRC付加部1313でCRCが付加され、プリアンブル付加部1315で確認応答パケット用プリアンブルが付加され、変調部1316で変調され、RF送信部で送信に必要な帯域に変換され、送信アンテナ1318より送信される。
【0076】
シンクノードがコンテンションフリー期間にセンサノード群から送信されたデータパケットを受信する場合、制御部1312は受信するクラスタに含まれるノードが使用するクラスタ内IDを伝搬路推定部1309と復調部1310に伝える。伝搬路推定部1309は各受信アンテナから受信された信号に含まれるセンサノード群から送信されたプリアンブルを検出し、信号の受信タイミングと、各センサノードと各受信アンテナ間の伝達関数を測定する。
【0077】

【0078】
本実施形態ではゼロフォーシング法による信号の分離を行うが、MMSE法等の他の方法を用いて信号の分離を行っても良い。復調部1310はこのように分離した信号を復調し、CRC検出部1311に入力するCRC検出部で入力された信号のCRCを計算し、CRC検出部に入力された信号と共に制御部1312に入力される。復調したデータに含まれるCRCと計算したCRCが等しかった場合、データパケットの受信が正常に行われたものとして受信データを出力する。
【0079】
以上に示したようにセンサノード、シンクノードが動作することで図7、図8、図9、図11に示したフローを実現することができる。これにより送信持続時間が同程度のセンサノード群が同時にデータの送信を行うことで、空間多重度を落とさずに信号を有効に多重することが可能となる。
【0080】
(第2実施形態)
第1実施形態では、センサノードは固定のクラスを用いていたが、本実施形態では、クラスが動的に変化する場合を説明する。
【0081】
センサノードが電池で動作している場合、電池の残量が多い場合は、多くのデータを高頻度で送信し、電池残量が減ってきたら少しのデータを低頻度で送信する場合のセンサノードの構成例と、動作について以下に記載する。
【0082】
図14は、センサノードの一構成例を示す機能ブロック図である。第1実施形態と同様のブロックについては同じ符号を付してその説明を省略する。符号1401は第1実施形態の制御部1207に相当する制御部であり、第1実施形態の制御部1207の機能と電池1402の残量を検出する機能とを持つ。符号1402は電池であり、残量を制御部1401に通知する機能を持つ。
【0083】
制御部1401は、例えば、電池1402の残量が所定の値より大きいときは送信持続時間が10msで送信間隔が10sのクラスのセンサノードとして、残量が所定の値以下のときは送信データを減らし、送信持続時間が1msで送信間隔が100sのクラスのセンサノードとして振る舞う。アソシエーション時に、その時の電池の残量に応じたクラスをシンクノードに通知すればよい。
【0084】
通信開始時は電池の残量が所定の値より大きく、通信中に電池残量が所定の値以下となったときは、再度アソシエーションを行い、クラスの変更をシンクノードに通知する。この手順を図15に示す。また、図16は、電池容量多クラス(a)と、電池容量小クラス(b)における間隔クラスと持続時間クラスとの関係を示す図である。
【0085】
電源投入時には、電池残量が所定の値より大きいため、S1501のアソシエーション要求時には送信時持続時間が10msで送信間隔が10sのクラスとして通知する。シンクノードはS1502でアソシエーション応答を行い、通知されたクラスに従ってクラスタを構成する(図16(a))。
【0086】
その後、センサノードの電池残量が減ったことが検知されると、S1503でアソシエーション要求を行う。この時は、送信持続時間が1msで送信間隔が100sのクラスとして通知する。シンクノードはS1504でアソシエーション応答を行い、通知されたクラスに従ってクラスタを再構成する(図16(b))。
【0087】
以上のように動作させることで、センサノードの電池残量が減り、送信持続時間、ならびに送信間隔が変化しても、クラスタを再構成することでクラスタ内には同程度の送信持続時間のセンサノードが集め直されようにしたため、信号の多重度を有効に使用することが可能となる。
【0088】
(第3実施形態)
本実施形態では、電源状態のクラスを追加し、電池残量による優先ポーリングを行う。受信時の消費電力の低減方法として受信動作を一定時間だけ止める方法が一般的に行われている。ポーリングによる制御を受ける場合、電源状態のクラスを追加し、電池残量多、電池残量少を表すクラスを更に追加する。センサノードはアソシエーション時に送信持続時間、送信間隔と共に電源状態のクラスをシンクノードに通知し、シンクノードはクラスタを構成する際に送信持続時間、送信間隔、電源状態によってクラスタを構成し、以降のポーリングパケット送信順を電池残量少のクラスを含むクラスタから行う。すると、以下のように制御される。
1)ポーリングをうけるまでは、ある程度の受信動作を行う必要があるため、電池残量が少ないセンサノードについては出来るだけ早くポーリングを行ってデータの送信を行う。
2)以降はできるだけ長い期間受信動作を止められるようにする。
これにより電池残量の少ないセンサノードの電力消費を減らすことが出来る。
【0089】
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0090】
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0091】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0092】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、無線通信装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
A…無線通信システム、101…シンクノード、102…センサノード、201…ビーコン、202…コンテンション期間、203…コンテンションフリー期間、301…コンテンションフリー期間開始時間、302…ポーリングパケット、303…パケット、304…ポーリングパケット、305…パケット、306…ポーリングパケット、307…パケット、308…ポーリングパケット、310…コンテンションフリー期間終了時間、401…プリアンブル、402…シンクノードのアドレス、403…現在のフレーム番号、404…コンテンションフリー開始スロット番号、405…シンクノードの送信電力、407…後続のデータペイロード1のペイロード1長、1201…アンテナ、1202…切替部、1203…RF受信部、1204…伝搬路推定部、1205…復調部、1206…CRC検出部、1207…制御部、1208…CRC付加部、1209…プリアンブル選択部、1210…プリアンブル付加部、1211…変調部、1212…RF送信部、1401…制御部、1402…電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の基地局装置と、複数の移動局装置と、を含み、マルチユーザMIMOを用いてデータの通信が行われる無線通信システムにおける移動局装置であって、
前記移動局装置を割り当てるクラスの割り当て基準として送信持続時間を用いる事を特徴とする移動局装置。
【請求項2】
前記クラスの割り当て基準として、更に1回のデータ送信における送信間隔を用いることを特徴とする請求項1に記載の移動局装置。
【請求項3】
前記クラスの割り当て基準として、更に装置の電源状態を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動局装置。
【請求項4】
前記クラスに基づいたクラスタが指定されたポーリングパケットを受信したときにデータの送信を行うことを特徴とする請求項1か項3までのいずれか1項に記載の移動局装置。
【請求項5】
通信先の基地局装置が初めて通信を行う相手であった場合に、割り当てられた前記クラスを前記通信先の基地局装置に通知することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の移動局装置。
【請求項6】
無線通信装置の電源状態によって、割り当てられた前記クラスを変更することを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の移動局装置。
【請求項7】
割り当てられたクラスが変更されたときに、変更後のクラスを前記基地局装置に通知することを特徴とする請求項6に記載の移動局装置。
【請求項8】
少なくとも1の基地局装置と、複数の移動局装置と、を含み、マルチユーザMIMOを用いてデータの通信が行われる無線通信システムにおける基地局装置であって、
前記移動局装置に割り当てられたクラスに基づくクラスタの割り当て基準として1回のデータ送信における送信持続時間を用いることを特徴とする基地局装置。
【請求項9】
前記クラスに基づくクラスタの割り当て基準として、更に1回のデータ送信における送信間隔を用いることを特徴とする請求項8に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記クラスに基づくクラスタの割り当て基準として、更に自己の電源状態を用いることを特徴とする請求項8又は9に記載の基地局装置。
【請求項11】
前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を、同じクラスタに割り当てるようにクラスタを構成することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項12】
前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を同一のクラスタに割り当てを試みたときに、クラスタ内の移動局装置が所定の数を超える場合に、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスが同一である移動局装置を複数のクラスタに割り当てる事を特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項13】
前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信することを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項14】
ポーリングパケットを送信した前記複数の移動局装置から同時に送信される信号を受信する請求項13に記載の基地局装置。
【請求項15】
初めて通信する移動局装置との間で、該移動局装置が割り当てられているクラスの通知を受けることを特徴とする請求項8から14までのいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項16】
前記移動局装置からクラスの変更を通知された際に、クラスタへの割り当てをやり直すことを特徴とする請求項8から15までのいずれか1項に記載の基地局装置。
【請求項17】
電源状態の良くないクラスの移動局装置が含まれるクラスタから順番にポーリングパケットを送信することを特徴とする請求項13又は14に記載の移動局装置。
【請求項18】
送信持続時間に基づいた複数のクラスの1つが割り当てられる複数の移動局装置と、前記移動局装置と通信する基地局装置とを含み、
前記基地局装置が、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスに基づき、前記複数の移動局装置を複数のクラスタに割り当て、
前記基地局装置が、前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項19】
送信持続時間に基づいた複数のクラスの1つが割り当てられる複数の移動局装置と、前記移動局装置と通信する基地局装置とを含む無線通信方法であって、
前記基地局装置が、前記複数の移動局装置に割り当てられているクラスに基づき、前記複数の移動局装置を複数のクラスタに割り当てるステップと、
前記基地局装置が、前記割り当てたクラスタ単位で、前記複数の移動局装置にポーリングパケットを送信するステップと
を有することを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−78047(P2013−78047A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217709(P2011−217709)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】