説明

無線通信装置及び無線通信方法

【課題】複数の無線通信方式を切り替えて通信する無線通信装置及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信装置においては、異なる無線通信方式で通信するミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140を備え、ミリ波無線通信部140で送信データを送信する場合には、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124にその送信データのコピーが保持される。この無線通信装置は、ミリ波無線通信部140での通信が遮断された場合には、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持されている送信データのコピーがマイクロ波無線通信部140に転送され、マイクロ波無線通信部140でフレームが送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信方式を切り替えて通信する無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置には、種々の通信方式があり、近年、異なる無線通信方式を実現する複数の無線モジュールを備えるマルチシステムが出現している。このマルチシステムとしては、既存の2つ以上の無線モジュールを並設し、それらを統合する機能を上位に作成し、アプリケーションの状況或いは通信状況等に応じて無線モジュールを選択する方法或いは装置が多数提案されている。
【0003】
特許文献1には、送信するアプリケーションのデータ量に対してスレッショルドを設定し、このスレッショルド以上のデータ量を送信する通信には、Bluetooth(登録商標)の方式を利用し、それ以外の通信にはセルラー系統の無線通信を利用する無線通信方法が開示されている。このようなマルチシステムに係る無線通信方法或いは装置では、アプリケーションの特性ごとに使用する無線モジュールを切り替えて複数の無線モジュールを最適対応で使い分けている。
【0004】
一般的な無線通信は、複数のレイヤ構造で実現され、このレイヤ構造は、最下層に実際の物理的な電波の処理を行うPHY層、その上位にノード間のアクセス制御を行うMAC層、その上位にIPアドレス並びに経路情報を制御するIP層、及び複数の端末を経由した最終ノード間のアクセス制御を行うTCP層等を重ねた構造として設計されている。送信データが送信エラーとなった場合における再送制御は、このようなレイヤ構造におけるMAC層及びTCP層の双方で実施される。
【0005】
MAC層の再送制御は、非特許文献1に開示されるように、IEEE802.11で規格化されるように、送信側は、フレームデータを送信してからSIFS(short interframe space)時間後に受信側が送り返すACKフレームを受信することで、フレームデータの送信が成功したことを確認する。送信側がACKフレームを正常受信できない場合には、フレームデータの送信が失敗したと判断し、フレームデータの再送処理を行う。
【0006】
TCP層では、MAC層のように一対一のノード間のみならず、複数のノードを経由した通信の再送制御が行われる。このとき、MAC層と同様に、送信側がTCP層のパケットデータを送信した後に、受信側から送信されるACKパケットを受信することで送達確認が行われる。但し、TCP層では、MAC層と異なり複数のノードを経由する場合がほとんどであるため、MAC層のようにSIFS時間と固定された短い時間ではなく、送信側がある程度の時間経過後にACKパケットを受信することで送達確認が行われる。このTCP層の送達確認に使用されるACKパケットは、MAC層レベルでは、MAC層のデータフレームとして扱われる。即ち、パケットデータ及びACKパケットは、MAC層レベルでの再送処理が行われ、さらにMAC層に何らかの問題が発生し、TCP層による経路上のどこかでエラーが発生してTCP層のパケットデータ若しくはACKパケットが紛失された場合には、TCP層の再送処理が行われる。MAC層でエラーが発生してもTCP層における再送処理で通信継続の保証がなされる。この時、TCP層で多くのデータ誤りが確認されると、TCP層では、ネットワークの経路上で輻輳が発生した、又はネットワークが混雑しているために多くの誤りが発生したと判断し、パケットの送信間隔を広げ、TCP層レベルでのスループットを低下させることで輻輳状態を緩和させる制御が行われる。
【0007】
特許文献2には、複数のリンクレイヤを切り替えて通信する無線通信システムにおいて、リンクレイヤの切り替えを行う上位側の制御部で、各リンクレイヤのアドレスを保持し、使用するリンクレイヤごとにフレームのリンク層ヘッダに挿入する送信元アドレスを切り替えることで、複数のシステムを統合した1つの無線通信装置からの送信を制御する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、従来の方式で示すように、従来のTCP層の制御方法及びMAC層の制御方法を、上記のマルチシステムの構成例にそのまま適用すると、以下のような問題が発生する。
【0009】
特定の宛先へ送信するために使用している一方の無線通信モジュール(MAC層)による通信が、通信中に通信不能となった場合に、一度その無線通信モジュール内の送信キューに格納した送信データを取り出して、もう片方の無線通信モジュールへ再挿入し、通信を継続させることはできない問題がある。特に、複数のシステムとして既存の無線通信モジュールを並列に並べ、既存の無線通信モジュールを制御させる新規のモジュールを上位側(TCP層)に接続させる構成の場合は、元々、無線通信モジュールの送信キューに格納したデータを上位側のモジュールが取り出すことができるように設計されていない。従って、従来の無線通信装置は、送信データの送信中に通信不能となると、無線通信モジュールに既に格納したその送信データを破棄することとなる。
【0010】
この際、送信キューのサイズが大きく破棄するデータ量が多い場合は、並列に並べた複数のMAC層による無線通信モジュールの上位側にあるTCP層における通信遮断の期間が長くなる。そのため、TCP層では、輻輳が発生したと判断してTCP層から送信するデータのスループットが低下される。その結果、通信品質が劣化する問題がある。さらに、TCP層で通信が切断したと判断して、TCP層での接続を切断するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−350109号公報
【特許文献2】特開2005−277853号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】IEEE Std 802.11-1999 2003 Edition
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、従来の無線通信装置では、一方の無線通信モジュールで無線通信中に通信が遮断され、他の無線通信モジュールに切り替える際に、送信データを喪失することにより通信品質が劣化する問題がある。従って、送信データを喪失することなく、スムーズに無線通信モジュールを切り替えることができる無線通信装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1の周波数帯で通信する第1の無線モジュールと、第2の周波数帯で通信する第2の無線モジュールと、前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールの一方に対して送信データを出力し、当該一方の無線モジュールによって前記送信データを送信させる制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2の無線モジュールへ出力した前記送信データを保持し続ける記憶部を有し、前記送信データを送信させる無線モジュールを、前記第2の無線モジュールから前記第1の無線モジュールへ切り換えた場合に、前記記憶部に保持される前記送信データを前記第1の無線モジュールへ出力することを特徴とする無線通信装置が提供される。
【0015】
また、本発明の一実施形態によれば、第1の周波数帯で通信する第1の無線モジュールと、第2の周波数帯で通信する第2の無線モジュールと、前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールの一方に対して送信データを出力し、当該一方の無線モジュールによって前記送信データを送信させる制御部と、から構成される無線通信装置の制御方法において、前記第2の無線モジュールへ出力した前記送信データを保持し続ける記憶部を有し、前記送信データを送信させる無線モジュールを、前記第2の無線モジュールから前記第1の無線モジュールへ切り換えた場合に、前記記憶部に保持される前記送信データを前記第1の無線モジュールへ出力することを特徴とする無線通信方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の無線通信装置においては、複数の無線モジュールを切り替えて通信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係る無線通信装置のミリ波無線通信部における送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態に係る無線通信装置のマイクロ波無線通信部における送信処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係る無線通信装置におけるミリ波無線通信部からマイクロ波無線通信部への切り替え制御の手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態に係る無線通信装置におけるミリ波無線通信部からマイクロ波無線通信部への切り替え制御の手順を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態に係る無線通信装置におけるミリ波無線通信部からマイクロ波無線通信部への切り替え制御の手順を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施の形態に係る無線通信装置の波無線通信部における送信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第4の実施の形態に係る無線通信装置におけるミリ波無線通信部からマイクロ波無線通信部への切り替え制御の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る無線通信装置を説明する。
【0019】
本発明の具体的な実施の形態では、無線通信装置は、異なる周波数帯で通信する2つの無線モジュールを備え、これらの無線モジュールは、それぞれミリ波及びマイクロ波の周波数帯で通信する無線通信方式を採用している。但し、本発明による効果が適用できる無線通信方式の周波数帯は、ミリ波帯及びマイクロ波帯に限定されるものではない。無線通信方式の周波数帯がミリ波帯及びマイクロ波帯以外の周波数帯であってもよく、或いは、これらの無線モジュールが同一周波数帯に属する第1及び第2の無線波で通信する為に用意され、無縁モジュールの選択に応じた無線通信方式で通信が実施されてもよい。
【0020】
また、以下に説明する本発明の具体的な実施の形態では、複数の無線モジュールを備える無線通信装置として、2つの無線モジュールを協調させて通信する無線通信装置が記述されているが、本発明の無線通信装置及び無線通信方法は、3つ以上の無線モジュールを協調させて通信する無線通信装置にも適用することができる。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1〜図4を参照して、第1の実施の形態に係る無線通信装置を説明する。図1は、第1の実施の形態に係る無線通信装置100の概略構成を示している。この無線通信装置100は、図1に示されるように、ミリ波の周波数帯で通信するミリ波無線通信部130と、マイクロ波の周波数帯で通信するマイクロ波無線通信部140と、ミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140を選択し、選択した無線モジュールへの送信データの転送を制御する無線モジュール統合制御部120と、を備える。また、無線通信装置100は、上位側のプロトコルであるTCP/IPに基づく送信データの制御を行う上位側レイヤ制御部110と、を備える。この無線通信装置100では、送信データを送信する宛先の無線通信装置との通信状況に応じてミリ波無線通信部130とマイクロ波無線通信部140とが選択的に切り替えられて無線通信が実施される。
【0022】
ミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140のそれぞれは、無線モジュール統合制御部120から転送される送信データを一時的に格納する送信キュー132、142を備える。
【0023】
無線モジュール統合制御部120は、宛先の無線通信装置ごとにミリ波帯及びマイクロ波帯のどちらの周波数帯を使用するかを判断する転送先判断部122を備え、この転送先判断部122によってミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140の2つの無線通信部を統合して制御する。また、無線モジュール統合制御部120は、転送先判断部122で指定されたミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140のいずれか一方へ送信データを転送する処理を行う転送処理部126及びミリ波無線通信部130へ送信される送信データのコピーを保持する送信キュー124を備える。転送先判断部122は、一般的に知られるCPU等の演算部及びROM並びにRAM等の記憶部等を含み、この記憶部に、送信データの転送先を判断するための宛先の端末ごとに使用する無線通信部が記述された一覧表を保持することができる。また、転送先判断部122は、カウンタ(図示せず)を含み、ミリ波無線通信部130からリトライアウトを通知する信号を受け取り、宛先の無線通信装置ごとのリトライアウトの回数をカウントすることができる。
【0024】
上位側レイヤ制御部110で送信するデータが発生されると、上位側レイヤ制御部110は、このデータの宛先のアドレス及び上位側レイヤのパケット番号等を含んだTCPヘッダ及びIPヘッダを付与してデータを上位側レイヤのパケットフォーマットにパケット化し、この送信データ(パケット)が無線モジュール統合制御部120へ渡される。無線モジュール統合制御部120に渡された送信データは、ミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140に転送され、IEEE802.11にて規定されているMACプロトコルに従って、MAC層でのシーケンス番号及びMACアドレス等を含むMACヘッダを付与され、フレーム化されて無線で送信される。
【0025】
この無線通信装置100は、一方の周波数帯(例えば、ミリ波帯)による無線通信方式で通信中に、その通信が遮断された場合には、他方の周波数帯(例えば、マイクロ波帯)による無線通信方式に切り替えて通信を継続させることができる。ミリ波は、周波数が30GHzから300GHzとマイクロ波に比べて1桁以上周波数が高いため、ミリ波による無線通信では、マイクロ波による無線通信よりも高速なデータレートでの通信が可能である。しかしながら、ミリ波は、空間を伝播する際の直進性が強く、指向性が高いため、無線通信装置間に障害物等が存在する場合には、マイクロ波に比べて到達性が低く、無線伝搬環境の変化に対する耐性が弱い。即ち、ミリ波帯での通信は、マイクロ波帯での通信と比較して通信環境が不安定である。そのため、ミリ波及びマイクロ波のように特性の異なる周波数帯で動作する無線通信部を二つ以上並列させている無線通信装置100は、通常時には、ミリ波無線通信部130で通信し、ミリ波無線通信部130において通信障害が発生した場合に、無線通信部をマイクロ波無線通信部140に切り替えて通信を継続することができる。
【0026】
本発明の具体的な実施の形態では、無線通信装置100は、ミリ波無線通信部130が選択された際には、このミリ波無線通信部130から送信される送信データのコピーが無線モジュール統合制御部120の送信キュー124に少なくとも送信完了時まで格納し続ける。後に説明するようにマイクロ波無線通信部140を選択して無線通信部が切り替えられる場合には、この格納された送信データがマイクロ波無線通信部140に転送されることからスムーズに無線通信部を切り替えることができる。
【0027】
但し、ここで使用するミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140で使用されるMAC層のアクセス制御方式は、分散制御方式として代表的なCSMA/CA方式を採用するIEEE802.11に従った無線LAN通信方式を取り上げて以下に説明する。しかしながら、この無線LAN通信方式は、本発明による効果が適用できる無線通信方式の一例であり、本発明は、IEEE802.11に従った無線LAN通信方式に限定するものではなく、いかなる無線通信方式にも適用することができることは明らかである。
【0028】
本発明の実施の形態に係る無線通信装置においては、上記の構成とすることにより、無線通信を行う無線通信部が既存のLSIを用いて作製されることができる。
【0029】
(1−1)ミリ波無線通信部130で送信データを送信する処理手順
図2を参照して、第1の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波無線通信部130で通信する場合における動作を説明する。図2は、図1に示される無線通信装置100がミリ波無線通信部130で通信する場合における送信データを送信する処理手順を概略的に示している。
【0030】
第1の実施の形態に係る無線通信装置100においては、図2に示されるように、転送先判断部122が図示しない宛先の無線通信装置とのアソシエーション等の初期セットアップの設定を実施する際に、各宛先に対してミリ波及びマイクロ波のどちらの周波数帯で通信可能であるかを調査し、宛先ごとに使用する無線通信部をミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらを使用するかを判断する(ステップS201)。次に、両無線モジュール統合制御部120において、ステップS201で決定した宛先ごとに使用する無線通信部を記述した一覧表が作成され、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122に格納される(ステップS202)。このステップS202において、第1の実施の形態に係る無線通信装置100の設定が終了する。
【0031】
上位側レイヤ制御部110でデータが発生されると(ステップS203)、上位側レイヤ制御部110は、発生したデータを上位側レイヤのパケットフォーマットでパケット化し、このパケットを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122へ送信する。転送先判断部122は、送信データをミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらに転送するかを、格納している宛先ごとに使用する無線通信部が記述された一覧表を参照して判断し、送信データをミリ波無線通信部130へ転送することを決定する(ステップS204)。送信データをミリ波無線通信部130へ転送することを決定した転送先判断部122では、ミリ波無線通信部130へ転送する送信データのコピーを作成し、この送信データのコピーを無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124へ送信し、さらに送信データを転送処理部126へ送信する(ステップS205)。転送先判断部122で作成された送信データのコピーは、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124にコピー元の送信データが送信されるまで保持され続ける(ステップS206)。また、転送先判断部122から送信データを受け取った転送処理部126は、送信データをミリ波無線通信部130へ転送する(ステップS207)。送信データを受け取ったミリ波無線通信部130は、送信データ、即ち、パケットのヘッダに挿入されたパケット番号に従って送信データをミリ波無線通信部130内の送信キュー132に格納し、この送信キュー132に格納されている送信データをIEEE802.11方式に従ったMAC層アクセス制御方式に従って順次送信する(ステップS208)。フレームを送信したミリ波無線通信部130は、宛先から送り返される送達確認フレームとしてのACKフレームを受信したかどうかで、再送処理を行うか否か決定する(ステップS209)。ステップS209においてミリ波無線通信部130が宛先からのACKフレームを受信した場合には、ステップS210に進む。ミリ波無線通信部130は、MAC層でのフレームの送信が成功したと判断し、送信が成功したことを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122へIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知する(ステップS210)。Ma−Unitdata−status.indicationにて送信成功を通知された無線モジュール統合制御部120では、内部の送信キュー124から、送信データのヘッダに含まれる宛先アドレス(destination address)及び送信データを送信する優先度識別子(TID:Traffic Identifier)の一致するデータの中で一番古いデータを削除する(ステップS211)。また、ステップS209においてミリ波無線通信部130がACKフレームを受信できない場合には、ステップS212に進む。
【0032】
ミリ波無線通信部130においてフレームの再送処理が実行され、複数回に亘って再送を行ってもACKフレームを受信できない場合、リトライアウト(送信エラーに相当する)となり、再送処理を終了する(ステップS212)。リトライアウトとなった場合も、送信成功した場合と同様に、ミリ波無線通信部130がリトライアウトとなったことを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知する(ステップS213)。リトライアウトを通知された場合における動作は、図4を参照して後述される。また、リトライアウトを通知された場合におけるミリ波無線通信部130でのフレームの送信及び再送処理は、IEEE802.11で規定される通信方法で実施される。
【0033】
続いて、第1の実施の形態に係る無線通信装置100のマイクロ波無線通信部140でフレームを送信する処理手順を説明し、その後、ミリ波無線通信部130でのフレームの送信時にリトライアウトが発生した場合における無線通信部を切り替える制御方法を説明する。
【0034】
(1−2)マイクロ波無線通信部140でフレームを送信する処理手順
図3を参照して、図1に示される無線通信装置100がマイクロ波無線通信部140で通信する場合における動作を説明する。図3は、図1に示される無線通信装置100がマイクロ波無線通信部140で通信する場合におけるフレームを送信する処理手順を概略的に示している。
【0035】
第1の実施の形態に係る無線通信装置100は、図3に示されるように、図示しない宛先の無線通信装置とのアソシエーション等の初期セットアップの設定を実施する際に、各宛先に対してミリ波及びマイクロ波のどちらの周波数帯で通信可能であるかを調査し、宛先ごとに使用する無線通信部をミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらを使用するかを判断する(ステップS301)。次に、ステップS301で決定した宛先ごとに使用する無線通信部を記述した一覧表が作成され、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122に格納される(ステップS302)。このステップS302において、本発明の実施の形態に係る無線通信装置100の設定が終了する。
【0036】
上位側レイヤ制御部110でデータが発生されると(ステップS303)、上位側レイヤ制御部110は、発生したデータを上位側レイヤのパケットフォーマットでパケット化し、このパケットを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122へ送信する。転送先判断部122は、送信データをミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらに転送するかを、格納している宛先ごとに使用する無線通信部が記述された一覧表を参照して判断し、送信データをマイクロ波無線通信部140へ転送することを決定する(ステップS304)。送信データをマイクロ波無線通信部140へ転送することを決定した転送先判断部122では、送信データを無線モジュール統合制御部120内の転送処理部126へ送信する(ステップS305)。転送先判断部122から送信データを受け取った転送処理部126は、送信データをマイクロ波無線通信部140へ転送する(ステップS306)。送信データを受け取ったマイクロ波無線通信部140は、送信データ、即ち、パケットのヘッダに挿入されたパケット番号に従って送信データをマイクロ波無線通信部140内の送信キュー142に格納し、この送信キュー142に保持されているデータをIEEE802.11方式に従ったMAC層アクセス制御方式で順次送信する(ステップS307)。IEEE802.11方式のMAC層のアクセス制御方式でデータ送信処理を行ったマイクロ波無線通信部140は、ミリ波無線通信部130でのデータを送信する処理手順で説明したように、IEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いてデータ送信の成否が無線モジュール統合制御部120へ通知し、統計情報を更新する等の通常の処理が行われる(ステップS308)。
【0037】
マイクロ波無線通信部140で送信データを送信する場合には、ステップS206で示されるような無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に送信データのコピーを保持する処理は、実行されない。このように、第1の実施の形態に係る無線通信装置100において、ミリ波無線通信部130が選択された通信時とマイクロ波無線通信部140が選択された通信時とで動作が異なっている。
【0038】
次に、ミリ波無線通信部130でのフレームの送信時にリトライアウトが検出された場合、即ちミリ波無線通信部130での通信に障害が発生した場合において、無線通信装置100がミリ波無線通信部130による通信からマイクロ波無線通信部140による通信へ切り替える制御方法を説明する。
【0039】
(1−3)ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替える制御方法
図2及び図4を参照して、第1の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波による通信を行っていた場合に、ミリ波による通信が遮断されたと判断し、使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替える制御方法を説明する。
【0040】
第1の実施の形態に係る無線通信装置100は、図1に示されるように、ミリ波無線通信部130及びマイクロ波無線通信部140の異なる無線通信方式を含み、一方の周波数帯(例えばミリ波)による無線通信方式で通信中に、その通信が遮断された場合には、他方の周波数帯(例えばマイクロ波)による無線通信方式に利用する無線通信方式を切り替えて無線通信を継続させる。ミリ波は、マイクロ波よりも無線伝搬環境の変化に対する耐性の弱いため、ミリ波による無線通信方式では、マイクロ波よる無線通信方式よりも通信に障害が発生し易い虞がある。ミリ波無線通信部130による通信が遮断された場合、ミリ波とマイクロ波のように特性の異なる周波数帯を二つ以上並列させた構成を有する図1に示されるような無線通信装置100では、無線通信部をマイクロ波無線通信部140に切り替えて通信を継続することができる。本発明の具体的な実施の形態においては、無線モジュール統合制御部120がミリ波無線通信部130で送信する送信データのコピーを送信完了まで保持し続けることで、無線通信部の切り替えをスムーズに実施することができる。
【0041】
ミリ波無線通信部130による通信を開始する前に、無線モジュール統合制御部120では、ミリ波無線通信部130から通知されるリトライアウトが一定数以上通知される場合にミリ波無線通信部130による通信からマイクロ波無線通信部140による通信へ切り替えるように、リトライアウトの回数に対してスレッショルドを設定する(ステップS401)。このスレッショルドは、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122に保持される。次に、この無線通信装置100は、前述した図2に示される処理手順に従って、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に送信データのコピーを保持しながら、ミリ波無線通信部130でミリ波による無線通信を行う。ミリ波による通信中に、ACKフレームを受信できない等の理由で送信処理がリトライアウトとなった場合、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122は、リトライアウトが発生したことがミリ波無線通信部130からIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知される(ステップS402)。転送先判断部122は、リトライアウトを通知された場合、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に対して、リトライアウトとなった送信データのコピーを保持し続けるように指示し、リトライアウトの回数をカウンタでカウントする。ここで、リトライアウトの回数が設定したスレッショルドを超える(ステップS403)と、転送先判断部122は、リトライアウトの回数が設定したスレッショルドを超えた宛先に対して使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定する(ステップS404)。
【0042】
転送先判断部122は、無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定すると、内部で保持している宛先ごとに使用する無線通信部の一覧表の中で、該宛先へ送信する際に使用する無線通信方法をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に変更する(ステップS405)。転送先判断部122は、ステップS405に示されるように、宛先ごとに使用する無線通信部の一覧表を更新すると、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持している該宛先へ送信する送信データのコピーを、転送処理部126を介してマイクロ波無線通信部140へ転送する(ステップS406)。同時に、ミリ波無線通信部130に対して該宛先への送信データを送信キュー132から削除するように指示する。引き続き上位側レイヤ制御部110においてデータが発生されると、転送先判断部122は、宛先毎に使用する無線通信部を記述した一覧表に従って、送信データをマイクロ波無線通信部140に転送する(ステップS407)。
【0043】
無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にて管理されるリトライアウトの回数をカウントする方法は、転送先判断部122において一定時間内にリトライアウトの通知が検出されなかった場合、カウンタにおいてカウントしていたリトライアウトの回数を初期値“0”にリセットするように設定することができる。通信が一定以上継続し、たまにリトライアウトが検出される環境においては、必ずしもミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に切り替える必要がない。そのため、一定時間内にリトライアウトが検出されない場合には、カウンタのカウントを初期値“0”にリセットすることで無線通信部の切り替えを実行しないようにする。
【0044】
また、伝搬環境の悪化を検出する他の方法では、転送先判断部122は、ミリ波無線通信部130での通信中、常にタイマーをかけ、タイマー期間内でリトライアウト回数のカウントを行い、カウントしている回数がスレッショルドを超えた場合に伝搬環境が悪いと判断し、ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に使用する無線通信部を切り替えるようにしてもよい。この方法では、スレッショルドを超える前にタイマーが切れた場合、転送先判断部122は、カウンタにおいてカウントしていたリトライアウトの回数を初期値“0”にリセットし、再度タイマーをかけてリトライアウトの回数のカウントを開始するように設定される。
【0045】
以上のように、第1の実施の形態に係る無線通信装置100においては、ミリ波無線通信部130で送信する送信データのコピーが無線モジュール統合制御部120に保持され、無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に切り替える際には、この送信データのコピーがマイクロ波無線通信部140に転送される。これにより、第1の実施の形態に係る無線通信装置100は、ミリ波無線通信部130で送信することができなくなった送信データを喪失することなくマイクロ波無線通信部140から送信することができ、送信データの喪失により発生する遅延や不具合を回避することができる。
【0046】
また、本発明の方法は、ミリ波無線通信部130とマイクロ波無線通信部140として、マルチシステムによる使用形態を考慮していない既存の無線LANベースバンドLSIまたは無線LANカード等を2つ以上並設し、それらを制御して無線通信するマルチシステムに適応されることができる。特に、本発明の方法は、このようなマルチシステムにおいて、既存の無線LANベースバンドLSIのミリ波無線通信部130へ挿入した送信データを取り出せない場合に、非常に有効である。さらに、ミリ波無線通信部130に対して不要なデータを廃棄させる指令をすることで、ミリ波無線通信部130における他の宛先へのデータ送信の遅延を回避することができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、第2の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる部分を中心に説明する。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130による通信中に、ミリ波無線通信部130による通信が遮断された場合に無線通信部をマイクロ波無線通信部140による通信に切り替えて通信を継続する。しかしながら、第2の実施の形態では、無線モジュール統合制御部120は、ミリ波無線通信部130による通信で送信エラーとなった送信データを保持し続けるのではなく、送信エラーとなった送信データについては即座にマイクロ波無線通信部140に転送し、マイクロ波無線通信部140でフレームを送信する。従って、第2の実施の形態では、ミリ波無線通信部130の通信におけるリトライアウトの回数がスレッショルドを超えて転送先判断部122が無線通信部を切り替える決定をする前にも、送信エラーとなったフレームをマイクロ波無線通信部140で送信することでフレームの保護を図る点が第1の実施の形態と異なる。
【0048】
第2の実施の形態に係る無線通信装置100は、図1に示される第1の実施の形態に係る無線通信装置100と同じ構成を有する。図5は、第2の実施の形態に係る無線通信装置100のミリ波無線通信部130でフレームの送信処理がリトライアウトとなった場合に、送信データをマイクロ波無線通信部140に転送する処理手順を概略的に示している。
【0049】
第2の実施の形態に係る無線通信装置100において、ミリ波無線通信部130による通信を行い、送信エラー無く通信できる場合の処理手順は、図5のステップS501〜S511に示されている。この処理手順は、第1の実施の形態で説明した図2に示されるステップS201〜S211の処理手順と同一のためその説明を省略する。また、第2の実施の形態に係る無線通信装置100において、マイクロ波無線通信部140による通信を行う場合の動作は、第1の実施の形態で説明した図3に示されるステップS301〜S308の処理手順と同一のためその説明を省略する。従って、第2の実施の形態では、ミリ波無線通信部130による通信を行っている際に、MAC層で再送処理を行ったが送信処理がリトライアウトとなった場合の動作を中心に説明する。
【0050】
第2の実施の形態に係る無線通信装置100は、ミリ波無線通信部130で宛先に送信データを送信する場合には、図5のステップS501〜S508に示されるように、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に送信データのコピーを保持した上で、ミリ波無線通信部130でMAC層のアクセス制御方式に従ってフレームを送信する。データ送信後、MAC層でACKフレームによる送達確認できなかった場合、何度か再送処理が行われる。再送処理の後にも送達確認が取れないと、IEEE802.11で規定されているように送信処理がリトライアウトとなる(ステップS512)。リトライアウトとなった場合、無線モジュール統合制御部120がミリ波無線通信部130から無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にリトライアウトとなったことをIEEE802.11で規定されたMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知する(ステップS513)。転送先判断部122は、リトライアウトを通知されると、転送先判断部122にてリトライアウトの回数をカウントし、この回数が無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122に保持される。次に、転送先判断部122は、リトライアウトとなった宛先端末への送信データのコピーをマイクロ波無線通信部140へ転送する(ステップS514)。転送先判断部122は、ステップS514に示される動作をミリ波無線通信部130からリトライアウトを通知されるたびに行い、一時的に使用する無線通信部をマイクロ波無線通信部140に切り替え、ミリ波無線通信部130で送信できなかった送信データのコピーをマイクロ波無線通信部140側から再度送信することなる。従って、ミリ波帯の無線環境悪化によってリトライアウトとなって従来破棄されていた送信データがマイクロ波無線通信部140から送信されることができる。
【0051】
その後、転送先判断部122は、再び図5のステップS501〜S507に示される手順に従ってミリ波無線通信部130に送信データを転送し、ミリ波無線通信部130で通信を継続する。ミリ波無線通信部130で送信エラーが発生した場合は、転送先判断部122が一時的に使用する無線通信部をマイクロ波無線通信部140に切り替え、マイクロ波無線通信部140で送信エラーとなった送信データのコピーが送信される。
【0052】
ミリ波無線通信部130でリトライアウトが何度も検出された場合に、ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ使用する無線通信システムを切り替える方法は、第1の実施の形態で記載した方法と同様である。即ち、転送先判断部122は、リトライアウト回数にスレッショルドを設定し、ミリ波無線通信部130から通知されるリトライアウトの回数がスレッショルドを超える場合に、ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定する。転送先判断部122は、リトライアウトの回数がスレッショルドを超えた宛先との通信に使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定すると、保持している宛先ごとに使用する無線通信部の一覧表を更新する。また、転送先判断部122は、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持されている該宛先への送信データ(ミリ波無線通信部130内の送信キュー132に保持されていて、送信成否のindicationを受けていない送信データ)をマイクロ波無線通信部140に転送する。さらに、転送先判断部122は、ミリ波無線通信部130に対してマイクロ波無線通信部140に転送した送信データに一致する送信データを削除するように指示する。第2の実施の形態に係る無線通信装置100は、このような処理手順により、スムーズに使用する無線通信部の切り替えることが可能となる。
【0053】
第2の実施の形態では、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にて管理されるリトライアウトの回数をカウントする方法は、第1の実施の形態で説明した方法と同一の方法で実施することができる。
【0054】
以上のように、第2の実施の形態に係る無線通信装置100においては、送信データのコピーが無線モジュール統合制御部120に保持され、ミリ波無線通信部130で送信エラーが生じる度に、送信エラーとなった送信データのコピーがマイクロ波無線通信部140に転送される。そして、この第2の実施の形態に係る無線通信装置100は、一時的に使用する無線通信部がマイクロ波無線通信部140に切り替えられてマイクロ波無線通信部140で送信エラーとなったフレームが宛先に送信され、無線通信部を切り替える前にも送信データを保護することができる。また、第1の実施の形態と同様に、送信データを喪失することなく通信が実施されて送信データの喪失により発生する遅延や不具合を回避することができる。さらに、ミリ波無線通信部130に対して不要なデータを廃棄させる指令をすることで、ミリ波無線通信部130における他の宛先へのデータ送信の遅延を回避することができる。
【0055】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、第3の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる部分を中心に説明する。第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130による通信中に、ミリ波無線通信部130による通信が遮断された場合に無線通信部をマイクロ波無線通信部140による通信に切り替えて通信を継続する。しかしながら、第3の実施の形態では、ミリ波無線通信部130による通信で送信エラーとなった送信データ毎に対応するのではなく、全体的な状況として判断し、送信データの保持及び管理する方法を容易にする点が第1の実施の形態と異なる。
【0056】
図6は、第3の実施の形態に係る無線通信装置100のミリ波無線通信部130でフレームの送信処理がリトライアウトとなった場合に、送信データをマイクロ波無線通信部140に転送する処理手順を概略的に示している。
【0057】
第3の実施の形態に係る無線通信装置100は、図1に示される第1の実施の形態に係る無線通信装置100と同じ構成を有するが、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124を管理する方法が第1の実施の形態と異なる。即ち、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124では、第1及び第2の実施の形態で記述したように、ミリ波無線通信部130から通知されるindicationの情報に応じて送信キュー124内に保持されている送信データの削除及び転送することで管理するのではなく、以下の方法で送信キュー124が管理される。
【0058】
第3の実施の形態に係る無線通信装置100では、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124は、ミリ波無線通信部130を介して送信する宛先の無線通信装置ごとに、固定数の容量を割り当てられる。例えば、送信キュー124は、宛先ごとに送信データを32パケットまで保持できるように構成される。ミリ波無線通信部130による通信を行う場合の処理手順は、図6のステップS601〜S608で示される。この処理手順は、第1の実施の形態で説明した図2に示されるステップS201〜S208の処理手順と同一のためその説明を省略する。但し、第3の実施の形態では、無線モジュール統合制御部120において、宛先ごとに送信データのコピーが管理され、保持される送信データが固定数、例えば、32パケット、を超えた場合に、送信データ、即ち、パケットのヘッダに挿入されているパケット番号に従って古いデータから順次破棄し、新規の送信データを保持する。これにより、ミリ波無線通信部130からフレームの送信の成否に関する情報を含むindicationを受けることなしに、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に常に新しい32パケットの送信データが保持される。
【0059】
ステップS609においてミリ波無線通信部130が宛先からのACKフレームを受信した場合には、ステップS610に進む。ミリ波無線通信部130は、MAC層でのフレームの送信が成功したと判断し、無線モジュール統合制御部120を経由して送信が成功したことを上位側レイヤ制御部へIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知する(ステップS610)。
【0060】
第3の実施の形態に係る無線通信装置100において、マイクロ波無線通信部140による通信を行う場合の動作は、第1の実施の形態で説明した図3に示されるステップS301〜S308の処理手順と同一のため省略する。従って、第2の実施の形態では、ミリ波無線通信部130による通信を行っている際に、MAC層で再送処理を行ったがリトライアウトとなった場合の動作を中心に説明する。
【0061】
第3の実施の形態に係る無線通信装置100において、マイクロ波通信部140で送信データを送信する処理手順は、第1の実施の形態で説明したように、図3に示される処理手順と同一であるためその説明を省略する。
【0062】
ステップS609においてミリ波無線通信部130が宛先からのACKフレームを受信できない場合には、ステップS611に進む。無線通信装置100において、ミリ波無線通信部130を使用して宛先にデータを送信する場合には、ミリ波無線通信部130におけるMAC層で再送処理が行われ、何度かの再送処理の後にも送達確認が取れないと、送信処理がリトライアウトとなる(ステップS611)。リトライアウトとなった場合、ミリ波無線通信部130がリトライアウトとなったことを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知する(ステップS612)。転送先判断部122は、リトライアウトを通知されると、転送先判断部122は、リトライアウトの回数をカウント(ステップS613)し、このリトライアウトの回数を保持する。ミリ波無線通信部130における送信処理でリトライアウトの回数が設定したスレッショルドを超えると、転送先判断部122は、使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定する。転送先判断部122は、リトライアウトの回数がスレッショルドを超えた宛先に対して使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定すると、保持している宛先ごとに使用する無線通信部の一覧表を書き換える。また、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持されている最新の32個の該宛先への送信データを全てマイクロ波無線通信部140に転送する(ステップS614)。転送先判断部122がミリ波無線通信部130に対して保持している該宛先への送信データを削除するように指示し、無線通信装置100は、更新した一覧表に基づいてマイクロ波無線通信部140で通信を行う。
【0063】
第3の実施の形態では、無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にて管理されるリトライアウトの回数をカウントする方法は、第1の実施の形態で説明した方法と同一の方法で実施することができる。
【0064】
以上のように、第3の実施の形態に係る無線通信装置100においては、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130で送信する送信データのコピーが無線モジュール統合制御部120に保持される。そして、無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に切り替える際には、この送信データのコピーがマイクロ波無線通信部140に転送されて、ミリ波無線通信部130で送信エラーとなった送信データを喪失することなくマイクロ波無線通信部から送信することができる。その結果、送信データの喪失により発生する遅延や不具合を回避することができる。また、ミリ波無線通信部130に対して不要な送信データを廃棄させる指令をすることで、ミリ波無線通信部130における他の宛先へのデータ送信の遅延を回避することができる。さらに、第3の実施の形態では、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に固定数の容量を割り当てる構成としたことで、送信データの保持及び管理が容易になる。
【0065】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、第4の実施の形態では、第1の実施の形態とは異なる部分を中心に説明する。第4の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130による通信中に、ミリ波無線通信部130による通信が遮断された場合に無線通信部をマイクロ波無線通信部140による通信に切り替えて通信を継続する。しかしながら、第4の実施の形態では、ミリ波無線通信部130で通信する送信データのコピーを無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持しておくのではなく、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132のサイズを小さく設定し、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124でなるべく送信データ保持を行い、ミリ波無線通信部130で送信エラーが発生した場合に破棄することとなる送信キュー132内に保持される送信データの数を減らし、破棄される送信データを減らすという点が第1の実施の形態と異なる。
【0066】
図7は、第4の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波無線通信部130で通信する場合における送信データを送信する処理手順を概略的に示している。図8は、第4の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波無線通信部130による通信からマイクロ波無線通信部140による通信に使用する無線通信部を切り替える動作手順を概略的に示している。
【0067】
第4の実施の形態に係る無線通信装置100は、図1に示される第1の実施の形態に係る無線通信装置100と同じ構成を有するが、ミリ波無線通信部130内の送信キュー124を設定及び使用する方法が第1の実施の形態と異なる。即ち、第4の実施の形態では、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132のサイズが小さく設定され、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124のサイズが大きく設定される。例えば、送信キューのサイズが全体で“100”必要な場合に、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132のサイズを“20”とし、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124のサイズを“80”と設定する。
【0068】
以降では、第4の実施の形態に係る無線通信装置100において、ミリ波無線通信部130で送信データを送信する処理手順及び無線モジュール統合制御部120がミリ波無線通信部130での通信が遮断されたと判断し、この通信が遮断されたと判断された宛先との通信に使用する無線通信部をマイクロ波無線通信部140へ切り替える動作手順を説明する。マイクロ波無線通信部140で送信データを送信する処理手順は、図3に示されるように、第1の実施の形態と同一であるためその説明を省略する。
【0069】
(4−1)ミリ波無線通信部130で送信データを送信する処理手順
図7を参照して、第4の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波無線通信部130で通信する場合における動作を説明する。図7は、図1に示される無線通信装置100がミリ波無線通信部130で通信する場合における送信データを送信する処理手順を概略的に示している。
【0070】
第4の実施の形態に係る無線通信装置100は、図2に示されるように、図示しない宛先の無線通信装置とのアソシエーション等の初期セットアップの設定を行う際に、各宛先に対してミリ波及びマイクロ波のどちらの周波数帯で通信可能であるかを調査する。宛先の無線通信装置がミリ波による通信が可能であると判断されると、ミリ波無線通信部130及び無線モジュール統合制御部120の双方に含まれるこの宛先へ送信データを送信のために使用される送信キュー132、124のサイズを上述した方法(例えば、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132のサイズを20、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124のサイズを80の割合とする)で設定する(ステップS701)。
【0071】
次に、転送先判断部122は、宛先ごとに使用する無線通信部をミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらを使用するかを判断する(ステップS702)。無線モジュール統合制御部120において、ステップS702で決定した宛先ごとに使用する無線通信部を記述した一覧表が作成され、転送先判断部122に格納される(ステップS703)。
【0072】
上位側レイヤ制御部110でデータが発生されると(ステップS704)、上位側レイヤ制御部110は、発生したデータを上位側レイヤのパケットフォーマットでパケット化し、このパケットを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122へ送信する。転送先判断部122は、送信データをミリ波無線通信部130またはマイクロ波無線通信部140のどちらに転送するかを、格納している宛先ごとに使用する無線通信部を一覧にした一覧表を参照して判断し、この送信データをミリ波無線通信部130へ転送することを決定する(ステップS204)。転送先判断部122は、送信データをミリ波無線通信部130へ転送することを決定すると、ミリ波無線通信部130へ転送する送信データを無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124へ送信する(ステップS706)。無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124は、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132に送信データが蓄積されていないので、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132に送信データを転送する(ステップS707)。ミリ波無線通信部130は、送信キュー132が一杯でなく、送信キュー132に送信データを蓄積可能かを判断する(ステップS708)。送信キュー132が蓄積可能な場合には、その送信データをミリ波無線通信部130内の送信キュー132に格納し、IEEE802.11で規定されるMAC層アクセス制御方式に従ってフレームを送信する(ステップS709)。
【0073】
その後、多くの送信データがミリ波無線通信部130に転送された場合、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132が一杯になり、送信キュー132に送信データを蓄積することが不可能となる。この場合、ステップS708においてミリ波無線通信部130で送信キュー132に送信データを蓄積することが不可能であると判断された場合は、ステップS710に進む。ミリ波無線通信部130内の送信キュー132が満杯であると判断されると、ミリ波無線通信部130は、この送信データを無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に戻す(ステップS710)。この戻された送信データは、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に保持される(ステップS711)。この宛先に送信するデータがさらに、ステップS704で示されるように、発生すると、転送先判断部122は、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124にこの送信キュー124に蓄積された送信データの最後に新たに発生した送信データを乗せて保持する(ステップS712)。ミリ波無線通信部130ではあ、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132から送信データが送信されて空きが生じると、ミリ波無線通信部130は、無線モジュール統合制御部120に送信データの転送を要求する信号を渡し、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124からミリ波無線通信部130に送信データが転送される(ステップS713)。
【0074】
(4−2)ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替える制御方法
図8を参照して、第4の実施の形態に係る無線通信装置100がミリ波による通信を行っていた場合に、ミリ波による通信が遮断されたと判断し、使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ使用する無線通信部を切り替える制御方法を説明する。
【0075】
まず、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130での通信を開始する際に、無線モジュール統合制御部120は、ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ使用する無線通信部を切り替える判断をするためにリトライアウトの回数にスレッショルドを設定し、このスレッショルドを無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122に保持する(ステップS801)。次に、転送先判断部122では、リトライアウト回数の計測用のタイマーをかける(ステップS802)。ミリ波無線通信部130での通信中に、ACKフレームを受信できない等の理由で送信処理がリトライアウトとなった場合、ミリ波無線通信部130から無線モジュール統合制御部120内の転送先判断部122にリトライアウトが発生したことがIEEE802.11で規定されるMa−Unitdata−status.indicationを用いて通知される(ステップS803)。リトライアウトを通知されると、転送先判断部122は、リトライアウトの回数をカウンタにおいてカウントし、リトライアウトの回数が設定したスレッショルドを超えたか否かを判断する(ステップS804)。リトライアウトの回数がスレッショルドを超えていない場合には、ステップS805に進む。タイマーが切れた場合には、タイマーが切れた場合には、カウントしたリトライアウトの回数を初期値“0”にリセットし、ステップS803に戻り、カウンタにおけるリトライアウトのカウントを継続する。ステップS804において、リトライアウトの回数がスレッショルドを超えた場合には、ステップS806に進む。リトライアウトの回数がスレッショルドを超えると、転送先判断部122は、リトライアウトの回数がスレッショルドを超えた宛先との通信に使用する無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に切り替えることを決定する(ステップS806)。
【0076】
転送先判断部122は、無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140へ切り替えることを決定すると、内部で保持している宛先ごとに使用する無線通信部が記述された一覧表の中で、リトライアウトの回数がスレッショルドを超えた宛先の無線通信装置100へ送信する際に使用する無線通信部を、ミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に変更する(ステップS807)。転送先判断部122は、宛先ごとに使用する無線通信部が記述された一覧表を更新すると、無線モジュール統合制御部120内の送信キュー124に対して、送信キュー124内に保持している上記宛先への送信データのコピーを、転送処理部126を通じてマイクロ波無線通信部140へ転送させる(ステップS808)。同時に、ミリ波無線通信部130に対して該宛先へ送信する送信データを送信キュー124から削除するように指示する(ステップS809)。
【0077】
以上のように、第4の実施の形態に係る無線通信装置100においては、第1の実施の形態と同様に、ミリ波無線通信部130で送信する送信データのコピーが無線モジュール統合制御部120に保持される。そして、第4の実施の形態に係る無線通信装置100は、無線通信部をミリ波無線通信部130からマイクロ波無線通信部140に切り替える際には、この送信データのコピーがマイクロ波無線通信部140に転送されることで、ミリ波無線通信部130で送信エラーとなった送信データを喪失することなくマイクロ波無線通信部から送信することができ、送信データの喪失により発生する遅延や不具合を回避することができる。また、ミリ波無線通信部130に対して不要な送信データを廃棄させる指令をすることで、ミリ波無線通信部130における他の宛先へのデータ送信の遅延を回避することができる。さらに、第4の実施の形態では、ミリ波無線通信部130内の送信キュー132のサイズを小さく設定することで、無線通信部の切り替え時において破棄される送信データを減らすことができる。
【0078】
なお、第1乃至第4の実施の形態では、使用する無線通信部の周波数帯としてミリ波帯とマイクロ波帯の2つの場合で説明したが、本発明の無線通信方法は、双方の周波数帯が同一の周波数帯で、チャネルが異なる場合にも適用することができる。その場合には、通信する端末の数が多い、通信のトラフィック量が多い、或いは基地局の設置状況が悪い等の通信状況が悪い方の無線通信部の送信データのコピーを無線モジュール統合制御部120に保持することで同様の効果を発揮できる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
110…上位側レイヤ制御部、120…無線モジュール統合制御部、122…転送先判断部、124,132,142…送信キュー、126…転送処理部、130…ミリ波無線通信部、140…マイクロ波無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信データを保持する第1の送信キューを有し、第1の周波数帯で通信する第1の無線モジュールと、
送信データを保持する第2の送信キューを有し、第2の周波数帯で通信する第2の無線モジュールと、
前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールに転送する送信データを保持する第3の送信キューを有し、前記送信データを前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールに送信させる制御部と、を備え、
前記第2の送信キューのサイズは、前記第3の送信キューのサイズより小さく、
前記制御部は、前記第2の無線モジュールでの通信時において、前記第2の送信キューに空きがある間、前記送信データを前記第3の送信キューから前記第2の送信キューに転送し、前記第2の無線モジュールから前記第1の無線モジュールへ切り替えた場合に、前記第3の送信キューに保持される前記送信データを前記第1の送信キューに転送する無線通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールに転送した送信データを、前記第3の送信キューから削除する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1の無線モジュールは、第1の指向性を有する前記第1の周波数帯で通信し、前記第2の無線モジュールは、前記第1の指向性より高い指向性を有する第2の指向性を有する前記第2の周波数帯で通信する請求項1または請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第2の周波数帯がミリ波帯である請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御部は、送信データの宛先ごとに使用する無線モジュールを記述した表を有し、前記第3の送信キューが保持する送信データの転送先を、前記表を利用して決定する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第2の無線モジュールは、フレームを送信した後に、前記フレームの送達確認フレームを受信した場合には前記フレームの送信処理の成功を前記制御部に通知し、前記送達確認フレームを受信できない場合には前記フレームの再送処理を行い、再送処理後にも前記送達確認フレームを受信できない場合には前記フレームの送信処理の失敗を前記制御部に通知し、
前記フレームの送信処理が失敗した回数に対して基準値が予め設定されていて、
前記制御部は、前記第2の無線モジュールでの通信時に、前記フレームの送信処理が失敗した回数が前記基準値を超えた場合には、前記フレームを送信させる無線モジュールを前記第2の無線モジュールから前記第1の無線モジュールへ切り替える請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、送信処理が失敗した回数をカウントするための第1の時間間隔が予め設定されていて、前記第1の時間間隔内に前記フレームの送信処理が失敗したことが通知されない場合には、前記送信処理の失敗をカウントした回数をリセットする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項8】
送信処理が失敗した回数をカウントするための第2の時間間隔が予め設定されていて、
前記制御部は、前記第2の設定時間内に前記カウントした送信処理の失敗の回数が前記基準値を超えない場合には、前記カウントした送信処理の失敗の回数をリセットする請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項9】
送信データを保持する第1の送信キューを有し、第1の周波数帯で通信する第1の無線モジュールと、
送信データを保持する第2の送信キューを有し、第2の周波数帯で通信する第2の無線モジュールと、
前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールに転送する送信データを保持する第3の送信キューを有し、前記送信データを前記第1の無線モジュールまたは前記第2の無線モジュールに送信させる制御部と、を備え、
前記第2の送信キューのサイズが、前記第3の送信キューのサイズより小さい無線通信装置の制御方法において、
前記第2の無線モジュールでの通信時において、前記第2の送信キューに空きがある間、前記送信データを前記第3の送信キューから前記第2の送信キューに転送し、前記第2の無線モジュールから前記第1の無線モジュールへ切り替えた場合に、前記第3の送信キューに保持される前記送信データを前記第1の送信キューに転送する無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−13151(P2013−13151A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228140(P2012−228140)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2008−286990(P2008−286990)の分割
【原出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】