説明

無線通信装置

【課題】反射波読取器が反射波信号の距離減衰に拘らず通信距離の異なる複数の伝送形態で反射波信号を好適に受信処理する。
【解決手段】反射器との伝送形態に応じてアンテナの角度並びに位置、さらには送信部における無変調搬送波の電力増幅をコントロールする。近接通信又は近距離通信のいずれであっても、アンテナ指向性や送信電力レベルを動的に変化させて、好適な通信環境を構築する。あるいは、近接通信に特化したアンテナと、近距離通信に特化したアンテナをそれぞれ有し、使用するアンテナを切り替えるとともに、これに合わせて送信電力レベルを切り替えるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号として送られてくるデータを受信処理する無線通信装置に係り、特に、データ送信元となる端末に対して無変調搬送波を送信するとともに、端末からの無変調搬送波に対する変調反射波信号を受信処理する反射波伝送型の無線通信装置に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、複数の伝送形態で反射波信号を受信処理する無線通信装置に係り、特に、反射波信号の距離減衰に拘らず通信距離の異なる複数の伝送形態で反射波信号を受信処理する無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0003】
局所でのみ適用可能な無線通信手段の一例として、RFIDシステムが広く知られている。タグとリーダライタの間の通信方法には、電磁結合方式、電磁誘導方式、電波通信方式などが挙げられる。
【0004】
このうち電波通信方式のRFIDシステムは、変調処理を施した反射波によりデータを送信する反射器と、反射器からの反射波からデータを読み取る反射波読取器で構成され、「バックスキャッタ方式」とも呼ばれる反射波伝送を行なう。すなわち、反射器側からデータ伝送するときには、反射波読取器が無変調搬送波を送信し、反射器は、例えばアンテナの終端のオン/オフなどの負荷インピーダンス操作を用い、無変調搬送波に対し伝送データに応じた変調処理を施すことで、データを送出する。そして、反射波読取器側では、この反射波を受信し復調・復号処理して伝送データを取得することができる。反射器は、例えば、入射する連続波の電波を反射させるアンテナと、送信データの発生回路と、送信データに対応させてアンテナのインピーダンスを変化させるインピーダンス変化回路で構成される(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0005】
RFIDは、本来は識別情報や読み書き可能な記憶領域を含んだデバイスとして開発された。すなわち、無線タグは特定周波数の電波を受信したことに応答して識別情報や記憶されている情報に相当する電波を発信する動作特性を持ち、タグ読み取り装置は、無線タグの情報を近距離(例えば約1m程度)から非接触で読み出し、無線タグが貼付された物品が何であるかを特定することができる(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0006】
また、RFIDで用いられる通信方式が低消費電力で実現できることから、最近では、無線データ通信を、従来の無線LANやBluetooth通信などから、RFIDからなる反射波通信に置き換えることが検討されている。
【0007】
反射波通信では、反射波読取器側から無変調搬送波を送信し、反射器側におけるアンテナ負荷インピーダンスの切り替え操作などに基づいて反射波に対する反射波に変調を施してデータの送信を行なう。反射器側ではキャリア発生源が不要であることから、低消費でデータ伝送動作を駆動することができる。具体的に言えば、反射器側でアンテナの負荷インピーダンスを変化させる(すなわち、反射波の変調を行なう)ためのアンテナ・スイッチは一般的にガリウム砒素のICで構成され、その消費電力は数10μW以下である。すなわち、反射器から反射波読取器への一方向伝送では、数10μWでデータ伝送が可能であり、これは、一般的な無線LANの平均消費電力と比較すると、圧倒的な性能差である(例えば、特許文献3を参照のこと)。反射器を搭載した機器から反射波読み取り器を搭載した機器への一方向の送信比率が通信のほとんどを占めるような通信形態において特に有効と考えられる。
【0008】
例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話機といったバッテリ駆動のモバイル機器をデータ送信機とし、データの表示や再生、プリントアウト、保存、管理を行なうパーソナル・コンピュータなどのホスト機器をデータ受信機としたデータ通信システムについて考えてみる。この場合、モバイル機器側に反射器を搭載し、ホスト機器に接続された反射波読取器から無変調搬送波を送り出すことによって、モバイル機器のバッテリに負担を与えることなく、静止画や動画、音楽データなどの比較的大容量のデータを読み出す(アップロードする)ことができる。
【0009】
本発明者らは、このような反射波通信を利用した無線通信システムとして2つの伝送形態を想定している。
【0010】
1つ目の伝送形態は、反射波読取器を搭載したホストと反射器を備えた端末が近接された状態で無線通信を行なう形態である。例えば、図12に示すように、端末はホスト(若しくはホストに接続されたクレードル装置など)の上に配置される。そして、ユーザは、赤外線リモコンを通じてホストを操作する、あるいはホスト上のボタンで直接操作することにより、ホストに対して端末からのデータの取得要求を指示する。ホストは、この要求に応答して、端末が配置されている情報に向けて無変調搬送波を送出するとともに、端末からの反射波信号を読み取ることによってデータを取得する。
【0011】
この場合、ホストと端末は極めて接近した状態でデータ伝送が行なわれる近接通信と呼ばれる伝送形態であるが、データを取得するホスト側からデータを要求するので、pull型伝送と位置付けることもできる。このような伝送形態では、図12に示したように端末はホストの上に乗せられることから、ホストのアンテナの指向方向は上向きにすることが好ましい。また、端末がホストと近接しているため、ホストの送出する電波の電力レベルは小さめにするなどして、端末側での電波の受信電力レベルが飽和しないように留意する必要がある。
【0012】
2つ目の伝送形態は、ホストと端末が数メートル程度の近距離に配置された状態で無線通信を行なう形態である。例えば、図13に示すように、端末はユーザの手元にあり、ホストとはやや距離が離れている。そして、ユーザが端末を直接操作して、ホストへのデータ転送を指示する。端末は、この指示に応答して、ホストからの無変調搬送波に対してデータを乗せた変調反射波信号を送り出す。
【0013】
この場合、端末とホストが数メートル程度の離れた近距離通信と呼ばれる通信形態であるが、データ供給元の端末側からホストに対してデータ転送を要求することから、push型伝送と位置付けることもできる。このような伝送では、ホストのアンテナの指向方向は、端末に対峙する水平方向であることが好ましい。また、ある程度の距離の通信可能範囲が要求されるため、ホストの送出する電波の電力レベルを上げる必要がある。
【0014】
このように、近接通信型(若しくはpull型)と近距離通信型(若しくはpush型)という2つの無線伝送形態は、通信方向や通信距離の相違から、反射波読取器側に要求されるアンテナ仕様や送受信電力レベルが異なることになる。
【0015】
無線LANなどの一般的な無線通信システムでは、アクセスポイントのセル内にある通信局が同じネットワークに収容することでシステムの運営がなされるが、近接通信という伝送形態はない。また、電磁結合や電磁誘導など、その他のRFIDシステムではもっぱら近接通信が行なわれ、近距離通信との併用はない。
【0016】
これに対し、反射波伝送方式の無線通信システムは、他のRFIDシステムと同様に近接通信が可能であるとともに、反射波読取器側から送出する無変調搬送波の送信電力を大きくする(あるいは反射器側に反射波の出力を増幅させるアンプを設ける)ことなどにより、近距離通信も可能となる。
【0017】
しかしながら、上述したように、近接通信と近距離通信という伝送形態に応じて要求されるアンテナ指向性や送受信電力レベルの相違があるため、それぞれの伝送形態に合わせて、アンテナの取り付け角度や位置、送信電力を特化したホストすなわち反射波読取器を別箇に設計・製作しなければならないという問題がある。とりわけ、受信電波に対する反射波信号を返すという反射波伝送においては、距離減衰の影響が大きく、すべての伝送形態に対応したRF部の製作は困難である。このため、近接通信型のホストを用いる場合には近距離通信が困難になり、逆に近距離通信型のホストを用いると近接通信が困難になるから不便である。
【0018】
【特許文献1】特開平01−182782号公報
【特許文献2】特開平6−123773号公報
【特許文献3】特開2005−64822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、データ送信元となる端末に対して無変調搬送波を送信するとともに、端末からの無変調搬送波に対する変調反射波信号を好適に受信処理することができる、優れた反射波伝送型の無線通信装置を提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、複数の伝送形態で反射波信号を好適に受信処理することができる、優れた無線通信装置を提供することにある。
【0021】
本発明のさらなる目的は、反射波信号の距離減衰に拘らず通信距離の異なる複数の伝送形態で反射波信号を好適に受信処理することができる、優れた無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、データ送信元となる反射器に対する無変調搬送波の送信及び該端末からの無変調搬送波に対する変調反射波信号からデータの読み取りを行なう反射波読取器として動作する無線通信装置であって、
アンテナと、
無変調搬送波を生成し、電力増幅して所望する送信電力レベルにして、前記アンテナから送信する送信部と、
前記アンテナで受信した無変調搬送波に対する変調反射波信号を所望する受信電力レベルに電力増幅し復調処理を行なう受信部と、
前記反射器と行なう反射波伝送の伝送形態を判別する伝送形態判別手段と、
前記伝送形態判別手段による判別結果に基づいて、前記アンテナの角度及び位置、前記送信部において電力増幅する無変調搬送波の送信電力レベル、又は前記受信部において電力増幅する受信電力レベルのうち少なくとも1つを制御する伝送形態適応手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置である。
【0023】
本発明は、データを重畳させた反射波を反射波伝送する反射器と、反射器からの反射波からデータを読み取る反射波読取器で構成される、電波の反射技術を利用した無線伝送システムに関する。反射器側からデータ伝送するときには、反射波読取器が無変調搬送波を送信し、反射器は、例えばアンテナの終端のオン/オフなどの負荷インピーダンス操作を用い、無変調搬送波に対し伝送データに応じた変調処理を施すことで、データを送出する。そして、反射波読取器側では、この反射波を受信し復調・復号処理して伝送データを取得することができる。本発明は、とりわけ、反射波伝送システムにおける反射波読取器機能を備えた無線通信装置に関する。
【0024】
反射波伝送システムによれば、反射器側ではガリウム砒素のICなどで構成されるアンテナ・スイッチの切り替えにより反射波信号を送出するため、反射器側ではキャリア発生源が不要であることから、極めて低い消費電力でデータ伝送を行なうことができ、一般的な無線LANに比べると圧倒的な性能差である。とりわけ、反射器を搭載した機器から反射波読取器を搭載した機器への一方向の送信比率が通信のほとんどを占めるような通信形態において効果的である。
【0025】
また、反射波通信を利用した無線通信システムの他の特徴として、ごく近距離でのみ通信路が確立される近接通信と、数メートル程度はなれた近距離通信の双方に適用が可能であるという特徴がある。
【0026】
しかしながら、伝送形態に応じて要求されるアンテナ指向性や送受信電力レベルの相違があり、とりわけ反射波伝送では距離減衰の影響が大きく、単一の反射波読取器で複数の伝送形態に対応するのは困難である。このため、伝送形態毎にアンテナの取り付け角度や位置、送信電力を特化した反射波読取器を別箇に設計・製作する必要があるため不便である。
【0027】
これに対し、本発明に係る無線通信装置は、反射波読取器として動作する際に、伝送形態判別手段により反射器との伝送形態を判別し、伝送形態適応手段は、この判別結果に基づいて、アンテナの角度並びに位置、さらには送信部における無変調搬送波の電力増幅をコントロールするように構成されている。すなわち、近接通信又は近距離通信のいずれの伝送形態であるかに応じて、適宜アンテナ指向性や、前記送信部並びに前記受信部において電力増幅する送受信電力レベルを動的に変化させて、反射器を備えたデータ送信元の無線通信装置との間で、好適な通信環境を構築することが可能となる。
【0028】
具体的には、pull型伝送などの近接通信とpush型伝送などの近距離通信の2つの伝送形態のうち、使用する形態に合わせてアンテナの角度あるいは位置を切り替えるとともに、これに合わせて前記送信部並びに前記受信部において電力増幅する送受信電力レベルを切り替えるようにしたので、いずれの伝送形態でデータ伝送を行なう場合でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0029】
あるいは、近接通信に特化したアンテナと、近距離通信に特化したアンテナをそれぞれ有し、使用するアンテナを切り替えるとともに、これに合わせて前記送信部並びに前記受信部において電力増幅する送受信電力レベルを切り替えることにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0030】
あるいは、アンテナ部の角度や位置などを変更してその指向性を調整するするとともに、設定されたアンテナ指向性に基づいて、現在の用途すなわち近接通信又は近距離通信のいずれに対応しているかを判別して送受信電力レベルを更新することにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、反射波信号の距離減衰に拘らず通信距離の異なる複数の伝送形態で反射波信号を好適に受信処理することができる、優れた無線通信装置を提供することができる。
【0032】
本発明に係る反射波伝送型の無線通信装置は、pull型伝送などの近接通信とpush型伝送などの近距離通信の2つの伝送形態のうち、使用する形態に合わせてアンテナの角度あるいは位置を切り替えるとともに、これに合わせて送受信電力レベルを切り替えることにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0033】
また、本発明に係る無線通信装置は、近接通信に特化したアンテナと、近距離通信に特化したアンテナをそれぞれ有し、使用するアンテナを切り替えるとともに、これに合わせて送受信電力レベルを切り替えることにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0034】
また、本発明に係る無線通信装置は、アンテナ部と受信処理回路を別体とし、用途に応じて、近接通信に特化したアンテナ部と近距離通信に特化したアンテナ部を着脱式に構成した。さらに、受信処理回路側では、取り付けたアンテナ部の用途、すなわち近接通信又は近距離通信のいずれに対応しているかに応じて送受信電力レベルを切り替えることにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0035】
また、本発明に係る無線通信装置は、アンテナ部の角度や位置などを変更してその指向性を調整することができ、さらに、設定されたアンテナ指向性に基づいて、無線通信装置に求められている現在の用途すなわち近接通信又は近距離通信のいずれの伝送形態に対応しているかを判別して送受信電力レベルを切り替えることにより、いずれの伝送形態でも反射波信号を良好に受信することができる。
【0036】
要するに、本発明に係る無線通信装置は、反射波伝送システムにおける反射波読取器として構成されるが、近接通信又は近距離通信のいずれの伝送形態であるかに応じて、アンテナの角度又は位置と送受信電力レベルを適宜切り替えることによって、伝送形態毎に好適な通信環境を構築することが可能である。
【0037】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0039】
本発明は、データを重畳させた反射波を反射波伝送する反射器と、反射器からの反射波からデータを読み取る反射波読取器で構成される、電波の反射技術を利用した無線伝送システムに関する。反射器側からデータ伝送するときには、反射波読取器が無変調搬送波を送信し、反射器は、例えばアンテナの終端のオン/オフなどの負荷インピーダンス操作を用い、無変調搬送波に対し伝送データに応じた変調処理を施すことで、データを送出する。そして、反射波読取器側では、この反射波を受信し復調・復号処理して伝送データを取得することができる。本発明は、とりわけ、反射波伝送システムにおける反射波読取器機能を備えた無線通信装置に関する。
【0040】
ここで、まず反射波伝送システムの基本構成について説明する。
【0041】
図1には、反射波伝送システムにおいてデータの送信元となる反射器の構成を示している。図示の反射器100は、アンテナ101と、アンテナ・スイッチ102と、アンテナ負荷103と、バンド・パス・フィルタ104と、ASK検波部105とで構成される。本実施形態では、無線電波の周波数としてISMと呼ばれる2.4GHz帯を用いる。
【0042】
図示の通り、アンテナ・スイッチ102がオンのときは、アンテナ101は50Ωのアンテナ負荷103で終端され、オフのときは、アンテナ101はオープンとなる。このようなスイッチング動作により、転送先としての反射波読取器から到来する電波(無変調搬送波)に対して、オンのときは終端、オフのときは反射の振る舞いを行ない、反射波に変調処理を施すことができる。
【0043】
通信制御部106は、上位層アプリケーション(図示しない)によって生成される送信データを受け取ると、データのビット・イメージに従ってアンテナ101に接続されたアンテナ・スイッチ102のオン/オフ動作を行なう。例えば、データが1のときはアンテナ・スイッチ102をオンに、データが0のときオフとする。すなわち、画像データなどの送信データは、基本的に、アンテナ・スイッチ102のオン/オフ操作に伴うアンテナ負荷インピーダンスの変動によって生じる転送先からの電波の反射波としてバックスキャッタ送信される。
【0044】
なお、上述した反射波伝送動作では、反射器100から送出される反射波信号はASK変調波と等価である。勿論、ASK変調以外に、PSK、又はFSK変調方式を適用することも可能である(例えば、WO 2005/36767号公報を参照のこと)。
【0045】
バンド・パス・フィルタ(BPF)104並びにASK検波部105は、転送先からASK変調された送達確認信号(若しくはデータ)の受信時に用いるが、この2つのブロックは、伝送の送達確認を行なわない一方向の伝送であれば不要となる。一方、送達確認が行なわれる場合、その制御は、通信制御部106で行なわれる。
【0046】
このように、反射波伝送に基づくデータ伝送においては、反射器100側ではキャリア発生源が不要であることから、低消費でデータ伝送動作を駆動することができる。具体的に言えば、反射器100側ではアンテナの負荷インピーダンスを変化させる(すなわち、反射波の変調を行なう)ためのアンテナ・スイッチ102は一般的にガリウム砒素のICで構成され、その消費電力は数10μW以下である。すなわち、反射器から反射波読み取り器への一方向伝送では、数10μWでデータ伝送が可能であり、これは、一般的な無線LANの平均消費電力と比較すると、圧倒的な性能差である。とりわけ、反射器100を搭載した機器から反射波読取器を搭載した機器への一方向の送信比率が通信のほとんどを占めるような通信形態において効果的である。
【0047】
また、図2には、反射波伝送システムにおいてデータの受信先となる反射波読取器機能を備えた情報機器200のハードウェア構成を示している。
【0048】
情報機器200は、2.4GHz帯のアンテナ201と、送受信動作に応じてアンテナ201を択一的に接続するアンテナ・スイッチ若しくはその代替となるサーキュレータ202と、受信部203と、送信部206と、ベースバンド制御部210、復号部211と、復号後の受信データに関するさまざまな演算処理を実行する情報処理部212を備えている。
【0049】
反射器100からの反射波信号を読み取るために、反射波読取器からは、反射波を作り出すための無変調搬送波を送信する必要がある。この場合、受信部203は直交検波部204とAGCアンプ205からなり、また、送信部206はミキサ207とパワー・アンプ208からなり、さらに周波数シンセサイザ209を備えている。
【0050】
送信部206から無変調搬送波を送信するためには、ベースバンド制御部210からミキサ207に対してある直流電圧を与えることにより実現される。送信する無変調搬送波の周波数は、ベースバンド制御部210から制御される周波数シンセサイザの周波数で決まる。本実施形態では、ISMと呼ばれる2.4GHz帯を用いている。ミキサ207から出力される無変調キャリアは、パワー・アンプ208にて所定のレベルまで増幅され、サーキュレータ202経由でアンテナ201より送出される。
【0051】
反射器100からの反射波信号は、情報機器200内に搭載された反射波読取器自身から送信される無変調搬送波の周波数と同じである。この反射波信号は、アンテナ201で受信され、サーキュレータ202経由で上述した受信部203に入力される。直交検波部204には、送信時と同じローカル周波数が入力されるため、直交検波部204の出力には、反射器100で掛けられたASK変調波が現れることになる。但し、受信した信号はローカル信号と位相が異なるため、I軸信号とQ軸信号には、その位相差に応じた変調信号が現われる。
【0052】
AGCアンプ部205では、最適値にゲインを制御され、その出力信号はベースバンド制御部210に渡される。ベースバンド制御部210では、I軸及びQ軸の各信号よりデジタル・データへの復調を行ない、復号部211により正しいデータに復号化する。その後、復号データは、情報処理部212にてデータ・コンテンツの再生や保存を始めさまざまな処理が施される。
【0053】
反射器100に対するデータの送達確認を行なう場合、ベースバンド制御部210は、受信したパケット・データが正しければ肯定応答のAck(Acknowledgement)を、誤っていれば否定応答のNack(Negative Acknowledgement)のデジタル・データをミキサ207に転送し、ASK変調をかける。データの正誤は、画像データ・パケットに付加されたCRC(CyclicRedundancy Check)符号で判断する。
【0054】
図3には、TDD(時分割多重)方式を採用した反射波伝送システムの動作例を示している。本システムでは反射を利用するため、反射波読取器は、無変調搬送波を送信して反射波を受信する状態と、自らASK変調波によりデータ送信する状態を繰り返す。また、反射器では、無変調キャリアにデータを乗せて反射波として返信し、次に反射波読取器側からのASK変調波を受信する状態とを繰り返す。
【0055】
反射波伝送システムは、反射器から反射波読取器へのアップワードの伝送速度の方が反射波読取器から反射器へのダウンワードの伝送速度よりも高速であるという非対称の伝送システムである。したがって、上述したように、反射器側からの送信比率が通信のほとんどを占めるような通信形態において、伝送効率が高まり、非接触、低消費電力で且つ高速なデータ伝送を実現することができる。
【0056】
以上説明してきたように、反射波通信は、反射波読取器側から無変調搬送波を送信し、反射器側におけるアンテナ負荷インピーダンスの切り替え操作などに基づいて反射波に対する反射波に変調を施してデータの送信を行なうものであり、一方向の送信比率が通信のほとんどを占めるような通信形態において特に有効である。
【0057】
また、反射波通信を利用した無線通信システムの他の特徴として、ごく近距離でのみ通信路が確立される近接通信と、数メートル程度はなれた近距離通信の双方に適用が可能であるという特徴がある。
【0058】
しかしながら、近接通信と近距離通信とでは、伝送形態に応じて要求されるアンテナ指向性や送受信電力レベルの相違があるという問題がある。とりわけ、反射波伝送では距離減衰の影響が大きいことから、単一の反射波読取器でこのような複数の伝送形態に対応するのは困難である。
【0059】
そこで、本発明では、反射波読取器は、反射器との反射波伝送の形態が近接通信又は近距離通信のいずれであるかを判別し、この判別結果に基づいて、アンテナの角度並びに位置、さらには送信部における無変調搬送波の電力増幅をコントロールする、あるいは伝送形態毎のアンテナを複数用意しておき、ユーザが所望する伝送形態に対応したアンテナに切り替え操作を行なうとともに、このアンテナ切り替え操作に応じて送信系統並びに受信系統煮における電力増幅をコントロールするように構成した。
【0060】
すなわち、近接通信又は近距離通信のいずれの伝送形態であるかに応じて、適宜アンテナ指向性や送信系統並びに受信系統においてそれぞれ電力増幅する送受信電力レベルを動的に変化させて、反射器を備えたデータ送信元の無線通信装置との間で、好適な通信環境を構築することが可能となる。
【0061】
以下では、反射器を備え、データの供給元となる端末と、反射波読取器を備え、端末から取得したデータを表示、再生、プリントアウト、保存・管理などを行なうホストからなる無線通信システムを想定し、本発明に関する幾つかの実施形態について説明する。上述したように、端末とホスト間では、近接通信と近距離通信という2つの伝送形態で反射波伝送を行なうことができるものとする。
【0062】
図4には、本発明の一実施形態に係るホストのハードウェア構成を示している。また、図5には、当該ホストのアンテナ及びその周辺に着目した構造例を示している。
【0063】
ホスト6のアンテナ部62は、近接通信若しくはpull型伝送用アンテナ621と近距離通信若しくはpush型伝送用アンテナ622を備えている。
【0064】
図5に示すように、近接通信用アンテナ621は、指向性は垂直方向となるように設計され、ホスト6の上に乗せられた端末との通信性能が向上する。一方、近距離通信用アンテナ622は、指向性は水平方向になるように設計され、ホスト6とやや離れた距離(例えば数メートル程度)に位置する端末との通信性能が向上する。
【0065】
ホスト6の通信制御部612は、外部制御信号によってアンテナ・スイッチ6118を動作させ、近接通信用アンテナ621と近距離通信用アンテナ622を切り替える。
【0066】
ここで言う外部制御信号とは、例えば、ホスト6の筐体に設けられたユーザ・インターフェース部614からの信号、あるいは、IR受光部615によって受信したリモコン制御コマンドであり、ホスト機能部613経由で通信制御部612に通達される。
【0067】
通信制御部612は、外部制御信号によってアンテナ切替動作を行なう他、RF機能部611のパワー・アンプ(PA)6113の利得やロー・ノイズ・アンプ(LNA)6114の利得の制御を実行して、近接通信あるいは近距離通信にそれぞれ合わせた送受信電力レベルの切り替え制御を行なう。例えば、push型伝送を行なう近距離通信時は、より通信距離を伸ばす必要があることから、パワー・アンプ6113の利得やロー・ノイズ・アンプ6114の利得が大きくなるように制御する。
【0068】
また、送受信電力レベルのコントロール以外に、伝送形態に適用する方法として、近接通信用アンテナ621と近距離通信用アンテナ622自身のアンテナ利得に差異を設けることとが考えられる。この場合、上述したパワー・アンプ6113やロー・ノイズ・アンプ6114の利得制御を最小限にとどめる、若しくは省略することも可能である。
【0069】
図6には、本発明の他の実施形態に係るホストのハードウェア構成を示している。図4に示した実施形態との主な相違は、アンテナを着脱式としアンテナ・コネクタにおいてアンテナを交換可能な構造とした点にあり、近接通信並びに近距離通信それぞれの伝送形態に適応したアンテナを用意して適宜アンテナ・コネクタに取り付けるとともに、ホスト内ではいずれのアンテナが取り付けられたかを自動認識して送受信電力レベルを自動切換えするようになっている。また、図7には、近接通信用のアンテナ73及び近距離通信用のアンテナ74を着脱する様子を示している。
【0070】
図6〜図7に示すように、ホスト7は、ホスト本体71と近接通信用アンテナ部73あるいは近距離通信用アンテナ部74の組み合わせで構成される。ホスト本体71は、アンテナ・コネクタ72によって近接通信用アンテナ部73あるいは近距離通信用アンテナ部74を着脱できる構造である。
【0071】
図7上段に示すように、近接通信用アンテナ部73は、ホスト本体71と接続された状態において、上にデジタルスチルカメラや携帯電話などの端末を乗せることができるような平面的な形状になっており、且つ、指向性が垂直方向(すなわちホスト本体71の上面方向)になるように設計され、上に乗せられた端末との通信性能が向上する。
【0072】
一方、近距離通信用アンテナ部74は、図7下段に示すように、ホスト本体71と接続された状態において、指向性が水平方向になるように設計され、ホスト7とやや離れた距離に位置する端末との通信性能が向上する。
【0073】
ユーザは、用途に応じてこれらのアンテナ部を交換して使用する。
【0074】
ホスト7の通信制御部712は外部制御信号によって送受信電力レベルを制御する。
【0075】
ここで言う外部制御信号とは、例えば、ホスト7の筐体に設けられたユーザ・インターフェース部714からの信号、あるいは、IR受光部715によって受信したリモコン制御コマンドであり、ホスト機能部713経由で通信制御部712に通達される。
【0076】
あるいは、外部制御信号は、検出部716によって近接通信用アンテナ部73と近距離通信用アンテナ部74のどちらが接続された状態にあるかを検出した信号である。図7に示す例では、検出部716はプッシュ・スイッチで構成され、プッシュ・スイッチが押下されていない状態ではハイ・レベル信号を、押下されるとロー・レベル信号をホスト機能部713に通達する仕組みとなっている。
【0077】
そして、図7上段に示すように、近接通信用アンテナ部73には、ホスト本体71と接続すると検出部716のプッシュ・スイッチを押下するような突起部75が形設されており、アンテナ・コネクタ72に装着すると、この突起部75がプッシュ・スイッチに当接して、ハイ・レベルの信号が通達される。他方の近距離通信用アンテナ部74にはこのような形状になっておらず、アンテナ・コネクタ72に装着してもプッシュ・スイッチは作動せず、ロー・レベルの信号が通達される。
【0078】
このようして、ホスト本体71は、近接通信用アンテナ部73と近距離通信用アンテナ部74のどちらが接続された状態にあるのかを認識することができる。
【0079】
なお、検出部716は、上述したプッシュ・スイッチに限定されるものではない。例えば、いずれか一方のアンテナ・アタッチメントに永久磁石を取り付け、これをホスト本体71側のホールICによって検出を行なうなど、他の検出手段を用いても構わない。
【0080】
通信制御部712は、上述したような外部制御信号によって、RF機能部711のパワー・アンプ7113の利得やロー・ノイズ・アンプ7114の利得を制御するなどして、近接通信又は近距離通信に合わせた送受信電力レベルの切り替えを行なう。例えば、push伝送などの近距離通信時は、より通信距離を伸ばす必要があるため、パワー・アンプ7113の利得やロー・ノイズ・アンプ7114の利得が大きくなるように制御する。
【0081】
また、近接通信用アンテナ部73と近距離通信用アンテナ部74自身のアンテナ利得に差異をつけることにより、パワー・アンプ7113やロー・ノイズ・アンプ7114の利得制御を最小限にとどめ、あるいは省略することも可能である。
【0082】
図8には、本発明のさらに他の実施形態に係るホストのハードウェア構成を示している。図6に示した実施形態との主な相違は、アンテナを着脱交換式とするのではなく、1つのアンテナの角度や位置を近接通信並びに近距離通信それぞれの伝送形態に応じて切り替え可能に構成する点にある。この場合も、ホスト内ではいずれのアンテナが取り付けられたかを自動認識して送受信電力レベルを自動切換えするようになっている。また、図9には、伝送形態に応じてアンテナの角度又は位置を変化させる様子を示している。
【0083】
ホスト8は、ホスト本体81とアンテナ部83で構成される。ホスト本体81は、同軸ケーブル82によってアンテナ部83と接続される。この場合、アンテナ部83は、同軸ケーブル82の長さだけ引き出すことが可能であり、アンテナ83と端末(図示しない)の配置(すなわち、端末に対するアンテナの指向性)の自由度が向上する。
【0084】
また、ホスト本体81には、アンテナ部83を据え置くためのアンテナ・ホルダー部84を配設されている。アンテナ・ホルダー部84はアンテナ部83の指向性が近接通信時の端末に対峙する水平正面方向に配置できるように形設されている。
【0085】
そして、ホスト本体81は、検出部816を備えており、アンテナ部83がアンテナ・ホルダー部84に取り付けられているか否かを検出することができる。検出部816は、例えばプッシュ・スイッチやホールICで構成され(同上)、アンテナ部83がアンテナ・ホルダー部84に収まっていることを検出する。
【0086】
通信制御部812は、検出部816から検出信号を受け、アンテナ部83がアンテナ・ホルダー部84に配置されているか否かによって、RF機能部811のパワー・アンプ8113の利得やロー・ノイズ・アンプ8114の利得を制御して、近接通信あるいは近距離通信にそれぞれ適応させて送受信電力レベルの切り替えを行なう。例えば、近距離通信時は、より通信距離を伸ばす必要があるため、パワー・アンプ8113の利得やロー・ノイズ・アンプ8114の利得が大きくなるように制御する。
【0087】
このように、本発明の第3の実施形態では、アンテナの角度や位置を近接通信並びに近距離通信それぞれの伝送形態に応じて切り替え可能に構成されるが、図9に示した構造に限定されるものではない。図10には、アンテナの角度や位置を切り替え可能に装着するホストの構成例を示している。
【0088】
図10に示す例では、図8に示したアンテナ・ホルダー部84の代わりに、回転機構部85によってホスト本体81に対してアンテナ部83が回動可能に取り付けられ、アンテナ部83は(紙面)仰角方向の角度調整が可能な構造となっている。
【0089】
ユーザは、手動で、あるいはリモコン操作を通じて、アンテナ部83の仰角を変える。検出部816は、例えば回転機構部85の角度を検出可能なロータリ・スイッチ(図示しない)で構成される。そして、通信制御部812は、検出部816から角度検出信号を受け取ると、アンテナ部83の角度に応じて近接通信又は近距離通信のいずれであるかを判別し、その判別結果に従ってRF機能部のパワー・アンプ8113の利得やロー・ノイズ・アンプ8114の利得を制御する。
【0090】
このようにして、近接通信あるいは近距離通信にそれぞれ合わせた送受信電力レベル切り替えを行なうことができる。例えば、通信制御部812は、アンテナ部83の仰角が垂直に近くなるに従って、近接通信が行なわれると判別し、パワー・アンプ8113の利得やロー・ノイズ・アンプ8114の利得を上げるように制御する。逆に、水平になるに従って、近距離通信が行なわれると判断し、パワー・アンプ8113やロー・ノイズ・アンプ8114の利得を下げるように制御する。したがって、近接通信又は近距離通信という伝送形態に応じて、適宜アンテナ指向性や送受信電力レベルを動的に変化させて、反射器を備えた端末との間で、好適な通信環境を構築することが可能となる。
【0091】
通信制御部812が2つの伝送形態のうちいずれで通信が行なわれるかを判断してアンプの利得を制御して送受信電力レベルの切り替えを行なう点は、図8に示した例と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【0092】
また、図11には、アンテナの角度や位置を切り替え可能に装着するホストについての他の構成例を示している。図示の実施形態では、図10の場合と同様に、ホスト本体81に対してアンテナ部83が回動可能に取り付けられ、アンテナ部83は(紙面)仰角方向の角度調整が可能な構造となっているが、アンテナ部と回転機構部がホスト本体に内蔵されている点と、ホストの上部にアタッチメント・タイプの上蓋カバーが取り付けられている点で相違する。
【0093】
アタッチメント・タイプの上蓋カバーには、pull型伝送などの近接通信時に用いるカバー86とpush型伝送などの近距離通信時に用いるカバー87があり、用途に応じてこれらを着脱する。図11に示す実施形態では、近距離通信時に用いるカバー87をホストに取り付けると、アンテナ831は、カバー87の略中央付近で下方に向かって突出した突起部によって端が押され、回転機構部85を中心に仰角方向に傾く。この結果、アンテナ831の指向性は水平になり、ホスト81とやや離れた距離(例えば数メートル程度)に位置する端末との通信性能が向上する。
【0094】
通信制御部812が2つの伝送形態のうちいずれで通信が行なわれるかを判断してアンプの利得を制御して送受信電力レベルの切り替えを行なう点は、図8に示した例と同様であるから、ここでは説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0096】
本明細書では、反射波伝送システムに本発明を適用した実施形態を中心に説明してきたが、本発明の要旨は必ずしもこれに限定されない。近接通信と近距離通信といったように、通信機に求められるアンテナ指向性や送受信電力レベルが異なる複数の伝送形態に対応することが可能なその他の無線通信システムに対しても、同様に本発明を適用することができる。
【0097】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、反射波伝送システムにおいてデータの送信元となる反射器の構成を示した図である。
【図2】図2は、反射波伝送システムにおいてデータの受信先となる反射波読取器機能を備えた情報機器200のハードウェア構成を示した図である。
【図3】図3は、TDD(時分割多重)方式を採用した反射波伝送システムの動作例を示した図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るホストのハードウェア構成を示した図である。
【図5】図5は、図4に示したホストのアンテナ及びその周辺に着目した構造例を示した図である。
【図6】図6は、本発明の他の実施形態に係るホストのハードウェア構成を示した図である。
【図7】図7は、近接通信用のアンテナ73及び近距離通信用のアンテナ74を着脱する様子を示した図である。
【図8】図8は、本発明のさらに他の実施形態に係るホストのハードウェア構成を示した図である。
【図9】図9は、伝送形態に応じてアンテナの角度又は位置を変化させる様子を示した図である。
【図10】図10は、アンテナの角度や位置を切り替え可能に装着するホストの構成例を示した図である。
【図11】図11は、アンテナの角度や位置を切り替え可能に装着するホストについての他の構成例を示した図である。
【図12】反射波読取器を搭載したホストと反射器を備えた端末が近接された状態で無線通信を行なう伝送形態を示した図である。
【図13】ホストと端末が数メートル程度の近距離に配置された状態で無線通信を行なう伝送形態を示した図である。
【符号の説明】
【0099】
100…反射器
101…アンテナ
102…アンテナ・スイッチ
103…アンテナ負荷
104…バンド・パス・フィルタ
105…ASK検波部
106…通信制御部
200…情報機器
201…アンテナ
202…サーキュレータ
203…受信部
204…直交検波部
205…AGCアンプ
206…送信部
207…ミキサ
208…パワー・アンプ
209…周波数シンセサイザ
210…ベースバンド制御部
211…復号部
212…情報処理部
6…ホスト
611…RF機能部
6113…パワー・アンプ
6114…ロー・ノイズ・アンプ
6118…アンテナ・スイッチ
612…通信制御部
613…ホスト機能部
614…ユーザ・インターフェース部
615…IR受光部
62…アンテナ部
621…近接通信用アンテナ、622…近距離通信用アンテナ
7…ホスト
71…ホスト本体、72…アンテナ・コネクタ
73…近接通信用アンテナ部、74…近距離通信用アンテナ
75…突起部
712…通信制御部
713…ホスト機能部
714…ユーザ・インターフェース部
715…IR受光部
716…検出部(プッシュ・スイッチ)
7113…パワー・アンプ
7114…ロー・ノイズ・アンプ
8…ホスト
81…ホスト本体、82…同軸ケーブル、83…アンテナ部
84…アンテナ・ホルダー部
811…RF機能部
8113…パワー・アンプ
8114…ロー・ノイズ・アンプ
812…通信制御部
816…検出部
831…アンテナ
86…カバー、87…カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信元となる反射器に対する無変調搬送波の送信及び該端末からの無変調搬送波に対する変調反射波信号からデータの読み取りを行なう反射波読取器として動作する無線通信装置であって、
アンテナと、
無変調搬送波を生成し、電力増幅して所望する送信電力レベルにして、前記アンテナから送信する送信部と、
前記アンテナで受信した無変調搬送波に対する変調反射波信号を所望する受信電力レベルに電力増幅し復調処理を行なう受信部と、
前記反射器と行なう反射波伝送の伝送形態を判別する伝送形態判別手段と、
前記伝送形態判別手段による判別結果に基づいて、前記アンテナの角度及び位置、前記送信部において電力増幅する無変調搬送波の送信電力レベル、又は前記受信部において電力増幅する受信電力レベルのうち少なくとも1つを制御する伝送形態適応手段と、
を具備することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
伝送形態として、当該装置に近接配置された反射器と反射波伝送を行なう近接通信と、当該装置から離間して配置された反射器と反射波伝送を行なう近距離通信を少なくとも含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記伝送形態適応手段は、反射波伝送を行なう反射器との距離に応じて前記送信部における送信電力レベル又は前記受信部における受信電力レベルを切り替える、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
設置される角度及び位置の異なる複数のアンテナを備え、
前記伝送形態適応手段は、前記伝送形態判別手段により近接通信と判別された場合には、反射器が近接配置される角度及び位置に配設されたアンテナに切り替え、近距離通信と判別された場合には、離間して配置された反射器を向く角度に設定されたアンテナに切り替える、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
それぞれの伝送形態に対応した複数のアンテナを備え、
前記伝送形態判別手段は、いずれのアンテナに切り替えられたかに応じて伝送形態を判別する。
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項6】
伝送形態毎に対応したアンテナを取り外し可能に取り付けるアンテナ取付け部を備え、
前記伝送形態判別手段は、前記アンテナ取付け部にいずれのアンテナに取り付けられているかに応じて伝送形態を判別する。
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記アンテナの角度又は位置の少なくとも一方を変更可能に支持するアンテナ支持部を備え、
前記伝送形態判別手段は、前記アンテナ支持部が支持する前記アンテナの角度又は位置の少なくとも一方に基づいて伝送形態を判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項8】
近接通信に適応した利得を持つ近接通信用アンテナと、近距離通信に適応した利得を持つ近距離通信用アンテナを交換可能に取り付けるアンテナ取付け部を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の無線通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−110611(P2007−110611A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301674(P2005−301674)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】