説明

無線ICデバイス

【課題】金属物品の作製コストを低減し、金属物品を放射体として用いる無線ICデバイスを構成する。
【解決手段】リーダ・ライタからの信号を受ける面とは反対面側に無線ICデバイス主要部6を設ける。無線ICデバイス主要部6は、絶縁性基板にループ状電極7と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。リーダ・ライタからの信号(磁界Ho)により、金属物品60の導体主面の全体にうず電流Jが発生し、このうず電流Jにより導体主面に垂直な方向に磁界Hiが発生する。そして、ループ状電極7は磁界Hiと結合する。このことにより、無線ICデバイス主要部6とは反対の主面からの信号に対してもRF−IDとして機能する。これにより、金属物品の作製コストが低減し、金属物品を放射体として用いる無線ICデバイスが構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波により非接触でデータ通信を行うRFID(RadioFrequency Identification)システムに適用する無線ICデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物品の管理システムとして、誘導電磁界を発生するリーダ・ライタと物品に付された所定の情報を記憶した無線ICデバイスとで非接触通信をし、情報を伝達するRFIDシステムが利用されている。
【0003】
図1はその特許文献1に示されているICタグラベルを装着した金属物品の例を示す外観斜視図である。
【0004】
ICタグラベル102は四角形の薄いフィルム状をなし、その中央にICチップ102aが配置され、外側周辺にはアンテナ102bが薄膜で形成されている。このICタグ102を金属物品101の頭部101aに設けている凹部105aに浮かせて収納するためにICタグ102は非金属性プレート103の裏面に固定している。この非金属性プレート103を凹部105a内に嵌合して固定する。また、この頭部101aには切欠部106を形成している。
【0005】
上記構造にすることにより、ICタグ102内のアンテナ102bで発生する磁界を、切欠部106、金属物品101の外部、非金属性プレート103を通ってアンテナ102bに戻るループ状にすることができる。
【0006】
これによって、ICタグ付き金属物品が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−6599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のICタグやそれを設けた金属物品では、以下のような問題がある。
【0009】
(1)凹部や切欠部等、複雑な構造を作る必要があり、工程が長くなること、余分な部材が必要なことにより金属物品の作製コストが高くなる。
【0010】
(2)凹部を閉鎖するプレートは非金属性であるため、金属物品とは異なる材料を用意する必要があり、工程が長くなることおよび余分な材料が必要なことにより金属製構造物の作製コストが高くなる。また、金属物品との固着部分において、熱膨張係数の差による応用歪みが発生するため、クラックの発生や、破壊の可能性もある。
【0011】
(3)ICタグとして動作するためのアンテナパターンが必要になる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上述の問題を解消して、金属物品の作製コストを低減し、金属物品を放射体として用いる無線ICデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、この発明の無線ICデバイスは次のように構成する。
(1)無線ICと該無線ICに導通あるいは電磁界結合する給電回路基板とからなる電磁結合モジュールまたは無線ICチップである、高周波デバイスと、
放射体として作用する放射電極と、
前記高周波デバイスおよび前記放射電極に結合し、ループ面が前記放射電極の面に対して垂直または傾斜関係にあるループ状電極と、
を備え
前記ループ状電極が、前記放射電極の領域内に近接配置されていることを特徴とする。
【0014】
(2)前記ループ状電極は、例えば絶縁層を介して前記放射電極と電磁界結合させる。
【0015】
(3)前記ループ状電極は、例えば前記放射電極に対して電気的に直接導通し、前記放射電極の一部をループ状電極に兼用させる。
【0016】
(4)前記高周波デバイスの実装部と前記ループ状電極との間には、前記高周波デバイスと前記ループ状電極とを直接導通させる整合回路を備えてもよい。
【0017】
(5)前記給電回路基板内には共振回路および/または整合回路を備えてもよい。
【0018】
(6)例えば、前記共振回路の共振周波数は、前記放射電極により送受信される信号の周波数に実質的に相当するものとする。
【0019】
(7)前記高周波デバイスまたは前記ループ状電極を例えば樹脂により被覆する。
【0020】
(8)前記高周波デバイスおよび前記ループ状電極を例えば前記放射電極に樹脂でモールドする。
【0021】
(9)前記放射電極は導電層を含む例えば円柱状の金属物品とする。
【0022】
(10)前記放射電極は例えば電子機器内の回路基板に形成された電極パターンとする。
【0023】
(11)前記放射電極は例えば電子機器内のコンポーネントに設けられた金属板とする。
【0024】
(12)前記ループ状電極は、例えば前記放射電極の外部の電磁波送受信面とは反対面側に配置する。
【0025】
(13)前記ループ状電極は、例えば前記放射電極または当該放射電極を含む導体面で覆われたものとする。
【発明の効果】
【0026】
(1)放射電極と垂直または傾斜関係にあるループ状電極が、放射電極の領域内に設けられているので、磁界Hが放射板の表面に対して平行に発生したときに、放射板の面に対してほぼ垂直に電界Eが誘起され、この電界ループによって磁界ループを誘起し、その連鎖により電磁界分布が広がる。
【0027】
また、金属物品の全体または一部を放射体として利用できるため、放射特性を向上させることができる。
【0028】
さらに、電磁結合モジュールを用いることにより、無線ICチップと放射電極とのインピーダンス整合を給電回路基板内で設計できるため、設計自由度が向上する。
【0029】
この発明に係るループ状電極を放射電極に対して垂直にしたときに放射電極とループ状電極とが最も結合するが、ループ状電極のループ面が放射電極の面に対して斜めに傾斜しても結合量が小さくなるものの両者は結合する。そのため、放射電極に対するループ状電極の配置関係の自由度が高い。
【0030】
(2)高周波デバイスと結合し、且つ放射電極と絶縁層を介して電磁界結合するループ状電極を備えることによって、高周波デバイスとループ状電極とを容易に整合させることができ、且つループ状電極と放射電極とが直流的に絶縁されているので静電気に対する耐性が高い。
【0031】
(3)高周波デバイスと結合し、且つ放射電極と電気的に直接導通し、放射電極の一部をループ状電極に兼用したことによって、高周波デバイスとループ状電極とを容易に整合させることができ、且つループ状電極が放射電極と強く結合するので高利得化が図れる。
【0032】
(4)高周波デバイスを実装する実装部とループ状電極との間に整合回路を備えることにより、整合回路を放射電極と高周波デバイスとのインピーダンス整合用インダクタとして利用することができ、無線ICデバイスとしてのインピーダンス整合設計の設計自由度が高まり、その設計も容易になる。
【0033】
(5)前記給電回路基板内に共振回路を設けることによって、周波数の選択性が高まり、自己共振周波数により無線ICデバイスの動作周波数をほぼ決定することができる。それに伴い、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。これにより無線ICデバイスの放射特性を向上させることができる。
【0034】
また、前記給電回路基板内に整合回路を設けることによって、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。
【0035】
(6)前記共振回路の共振周波数を前記放射電極により送受信される信号の周波数に実質的に合わせることにより、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。また、放射用電極は単に給電回路部と結合して、必要な利得に応じた大きさを備えていればよく、使用する周波数に応じて放射電極の形状や材質を限定する必要がなく、どのような物品にも対応することができる。
【0036】
(7)高周波デバイスまたはループ状電極を樹脂により被覆したことによって、電磁結合モジュールを金属物品に直接取り付けることができ、設計自由度が向上する。
【0037】
(8)高周波デバイスおよびループ状電極を放射電極に樹脂でモールドしたことによって、電磁結合モジュールの被覆工程と金属物品への接着を同時に行うことができ、工程の短縮が図れ、低コスト化が可能になる。
【0038】
(9)導電層を含む円柱状の金属物品に成形した物品を放射電極とすることによって、金属物品をそのまま利用でき、且つ物品のほぼ全体が放射体として作用するので、複数の物品が重なっていても、各物品のIDを読み取ることが可能となる。
【0039】
(10)電子機器内の回路基板に形成された電極パターンを放射電極とすることによって、電子機器に備える回路基板をそのまま利用でき、且つ高周波デバイスの実装が容易となる。
【0040】
(11)電子機器内の例えば、液晶表示パネル等のコンポーネントに設けられた金属板を放射電極とすることによって、電子機器内に設けられるコンポーネントをそのまま利用することができ、大型化・コストアップすることもない。
【0041】
(12)前記ループ状電極を、前記放射電極の外部の電磁波送受信面、すなわち高周波デバイスの設置面とは反対面側に配置することによって、物品の内部に無線ICデバイスを設けることができ、無線ICデバイスが放射電極で保護され、その耐久性が増す。
【0042】
(13)前記ループ状電極を、前記放射電極または当該放射電極を含む導体面で覆うことにより 無線ICデバイスの耐久性が増し、耐環境性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】特許文献1に示されている無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図3】図2に示した無線ICデバイスの主要部の拡大図である。
【図4】図2に示した金属物品表面の無線ICデバイス付近の電磁界分布を示す概略図である。
【図5】第2の実施形態に係る無線ICデバイスの構成を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図7】図6に示した物品の無線ICデバイスの主要部の拡大図である。
【図8】第4の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図9】図8に示した無線ICデバイスの主要部の拡大図である。
【図10】第5の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図11】図10に示した無線ICデバイス主要部の拡大図である。
【図12】第6の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図13】図12に示した物品の無線ICデバイス主要部の拡大図である。
【図14】無線ICデバイスの電磁結合モジュールの外観斜視図である。
【図15】給電回路基板の内部の構成を示す分解図である。
【図16】給電回路基板の等価回路図である。
【図17】第7の実施形態に係る無線ICデバイスの電磁結合モジュールの構成を示す図である。
【図18】図17に示した電磁結合モジュールの主要部の断面図である。
【図19】第8の実施形態に係る無線ICデバイスの電磁結合モジュールの構成を示す図である。
【図20】第9の実施形態に係る無線ICデバイスの給電回路基板の分解斜視図である。
【図21】図20に示した無線ICデバイスの主要部の等価回路図である。
【図22】第10の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた物品の構成を示す図である。
【図23】図22に示した無線ICデバイスを備えたノート型パソコン内部の回路基板の主要部の断面図である。
【図24】第11の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図25】第12の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図26】第13の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図27】第14の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図28】第15の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【図29】第16の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…電磁結合モジュール
4…給電回路基板
5…ICチップ
6…無線ICデバイス主要部
7…ループ状電極
8…インピーダンス整合部
9,9a,9b…金属リボン部
10…基材
11…整合回路
15…回路基板
16…電極パターン
17,18…電子部品
20…インダクタ電極
21…モールド樹脂
25…キャパシタ電極
30…ループ状電極
35a〜35d…無線ICチップ実装用ランド
40…給電回路基板
41A〜41H…誘電体層
42a…ビアホール
45a,45b…インダクタ電極
46,47…インダクタ電極
51…キャパシタ電極
53〜57…キャパシタ電極
60〜64,70…金属物品
65…絶縁性シート
66,67,68,69…無線ICデバイス主要部
71,72,73…ループ状電極部
81〜86…金属ケース
87,88…金属トレイ
91,92…パッキン
93…ヒンジ
94…突起部
95…隙間
96…リム
C1,C2…キャパシタ
L1,L1a,L1b,L2…インダクタ
E…電界
H…磁界
【発明を実施するための形態】
【0045】
《第1の実施形態》
図2は、第1の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた金属物品の外観斜視図である。金属物品60は、少なくとも表面または表面付近が金属である金属物品である。
【0046】
この金属物品60の所定の面に対して無線ICデバイス主要部6を設けている。符号6を無線ICデバイスと呼ばないのは、この符号6部分だけで無線ICデバイスを構成しているのではなく、金属物品60の金属面の一部を含めて無線ICデバイスとして作用させているからである。
【0047】
図3は無線ICデバイス主要部を拡大した図である。無線ICデバイス主要部6は、絶縁性基板にループ状電極7と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。この無線ICデバイス主要部6は、ループ状電極7のループ面が金属物品60に対してほぼ垂直に向くように配置している。
【0048】
なお、ループ状電極7を形成した無線ICデバイス主要部6は、絶縁性接着剤等により金属物品60に貼着している。
【0049】
図4は、ループ状電極7を送信用補助放射体として作用させた場合の金属物品60に生じる電磁界分布の例を概略的に示すものである。図中破線は、磁界Hのループ、実線は電界Eのループをそれぞれ示している。ループ状電極7は磁界用補助放射体として作用し、ループ状電極7によって磁界Hは金属物品60の表面に対して平行に発生し、金属物品60の面に対してほぼ垂直に電界Eを誘起し、この電界ループによって磁界ループを誘起し、その連鎖により電磁界分布が広がる。
【0050】
上述の例ではループ状電極7を送信用補助放射体として説明したが、これが受信用補助放射体として作用する場合にも同様に作用して高利得が得られる。
【0051】
なお、図3に示した電磁結合モジュール1は、後述する無線ICチップと給電回路基板とからなる。無線ICチップと給電回路基板は、電気的に導通するように接続しても、電磁界的に結合するようにしても構わない。電磁界結合させる場合は、両者の接続電極間に誘電体薄膜等で容量を形成する。無線ICチップと、給電回路基板と、を容量で結合させることにより、無線ICチップの静電気による破壊を防ぐことができる。
【0052】
また、給電回路基板を用いる場合には、給電回路基板の電極をループ状電極7の両端に電磁界結合させる。または電磁結合モジュール1は単体の無線ICチップに置換してもよい。いずれの場合でも、ループ状電極7は金属物品60から直流的には分離されているので、この無線ICデバイスは静電気に対する耐性が高いという効果をもつ。
【0053】
また、ループ状電極7は、電磁結合モジュール1の入出力端子間を結合するように配置されているものであれば、どのような形状であってもよい。
【0054】
因みに、金属物品の表面の電界は金属物品の表面に対して垂直に立つので、ループ状電極7のループ面が金属物品60の面に対して垂直から傾くと、ループ状電極7による磁界から誘起される電界の強度が低下するので、アンテナの利得は低下する。そのため、ループ状電極7のループ面は金属物品60に対してほぼ垂直に向ける程高利得が得られるが、ループ状電極7のループ面が金属物品60の面に対して斜めに傾斜していても、金属物品60は放射体として作用するため、必要に応じてループ状電極7のループ面を傾斜させてもよい。
【0055】
なお、ループ状電極7を金属物品60に対してほぼ垂直に配置するために、金属物品60の表面に給電回路基板の先端部を挿入するような凹部を形成しても構わない。その場合、凹部の内部に絶縁性接着剤等の絶縁材料を配置してもよい。
【0056】
また、第1の実施形態においては、ループ状電極7を金属物品60の表面に直接貼付しているが、例えば金属箔または金属板等の上にループ状電極7を貼付し、その金属箔または金属板を金属物品60に貼付してもよい。
【0057】
《第2の実施形態》
図5は第2の実施形態に係る2つの無線ICデバイスの構成を示す図である。この第2の実施形態は、高周波デバイスの実装部とループ状電極との間に、高周波デバイスとループ状電極とを直接導通させる整合回路を備えたものである。
【0058】
図5(A)において、金属物品70は、少なくとも表面または表面付近が金属である金属物品である。そして、この金属物品70に対して、ループ状電極73のループ面がほぼ垂直に向いて配置されることで、金属物品70が放射体として作用する。
【0059】
無線ICデバイス主要部69の内部には、ミアンダ状の電極からなる整合回路11および、高周波デバイス(電磁結合モジュールまたは無線ICチップ)の実装部である金属リボン部9a,9bを形成している。
【0060】
このように、整合回路11による整合回路を設けたことにより、金属リボン部9a,9bに無線ICチップを直接実装することができる。なお、無線ICチップをループ状電極に直接実装した場合は、整合回路11を含むループ状電極により無線ICデバイスの動作周波数を実質的に決定している。
【0061】
図5(B)は、図5(A)で示した無線ICデバイス主要部69の金属リボン部9a,9bに対して、電磁結合モジュール1を実装した状態を示している。整合回路11および電磁結合モジュールの実装部である金属リボン部9a,9b、ループ状電極73の構成は図5(A)と同様である。
【0062】
このような構成により、ループ状電極73は磁界用補助放射体として作用し、金属物品70と結合し、図4に示したものと同様の作用により、金属物品70が放射体として作用する。
【0063】
なお、図5の金属物品70は、例えば、携帯電話端末内部の回路基板上に形成したベタ電極であってもよい。
【0064】
《第3の実施形態》
図6は第3の実施形態に係る無線ICデバイスおよびそれを備えた金属物品の外観斜視図である。金属物品61は、少なくとも表面または表面付近が金属である金属物品である。
【0065】
図3に示した例では、無線ICデバイス主要部6の基板にループ状電極の全体を設けたが、この図6に示す例では、無線ICデバイス主要部66の基板にループ状電極の一部であるループ状電極部71を設け、金属物品61の一部をループ状電極の一部に兼用している。
【0066】
図7は図6に示した無線ICデバイス主要部66の拡大図である。無線ICデバイス主要部66は、基板にループ状電極部71,71と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。この電磁結合モジュール1の構成については図3に示したものと同様である。ループ状電極部71,71は、ループ状電極の一部を構成し、金属物品61の表面の一部をループ状電極の一部に兼用している。すなわち、ループ状電極部71,71と金属物品61の表面とによって、図中Lで示すようにループ状電極を構成している。
【0067】
このような構成であっても、ループ状電極部71,71と金属物品61の表面とによるループ状電極は磁界用補助放射体として作用し、金属物品61と結合して、図4に示したものと同様の作用により、金属物品61の表面が放射体として作用する。
【0068】
《第4の実施形態》
図8は第4の実施形態に係る無線ICデバイスを備えた金属物品の外観図である。金属物品62は例えば円柱状の金属製の缶である。図2・図6に示した例では金属物品は多面体状であったが、この図8に示す例では、金属物品62は円柱状であり、その側面に無線ICデバイス主要部67を取り付けている。
【0069】
図9は、図8に示した無線ICデバイス主要部67の実装部分の拡大図である。無線ICデバイス主要部67は、ループ状電極部72,72と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。図7に示した例では基板にループ状電極部71,71を形成したが、この図9の例では金属板によりループ状電極部72,72を形成している。電磁結合モジュール1の構成は図3または図7で示したものと同様である。
【0070】
このような構成であっても、ループ状電極部72,72と金属物品62の表面とによるループ状電極は磁界用補助放射体として作用し、金属物品62と結合して、図4に示したものと同様の作用により、金属物品62の表面が放射体として作用する。
【0071】
なお、導電部が放射体として作用する物品であれば、それらが多数重なっている場合には、上記電界と磁界の誘起は物品間でも連鎖して拡がっていく。そのため、多数の物品が重なっていても(寧ろ重なっている方が)、高利得な無線ICデバイスとして作用する。例えば、本願発明を適用した缶入り清涼飲料水の山の一部に対して、リーダ・ライタのアンテナを近接させた状態で、その山となっている全ての缶入り清涼飲料水のIDを読み取ることができる。
【0072】
また、紙製の容器であっても、アルミニウム等の導電層を含むものであれば、その導電層が放射体として作用する。
【0073】
《第5の実施形態》
図10は、第5の実施形態に係る無線ICデバイスを備えた金属物品の外観図である。金属物品63は例えば円柱状の金属製の缶である。図8に示した例では、金属物品62の側面に電磁結合モジュール1を配置したが、この図10に示した例では、金属物品63の一部に金属リボン部9,9を設け、その金属リボン部9,9に電磁結合モジュール1を配置している。この電磁結合モジュール1および金属リボン部9,9の周囲には樹脂等の絶縁物を被覆またはモールドしてもよい。
【0074】
図11は図10に示した電磁結合モジュール1の実装部分の拡大図である。金属物品63の一部に設けている金属リボン部9および金属物品63の一部が図中Lで示すようにループ状電極として作用する。
【0075】
このような構成であっても、金属リボン部9および金属物品63の一部が磁界用補助放射体として作用し、金属物品63と結合して、図4に示したものと同様の作用により、金属物品63が放射体として作用する。
【0076】
《第6の実施形態》
図12は、第6の実施形態に係る無線ICデバイスを備えた金属物品の外観図である。この金属物品64の表面には無線ICデバイス主要部68を備えている。
【0077】
図13は、この無線ICデバイス主要部68の拡大図である。無線ICデバイス主要部68は全体の形状が所謂タックインデックス形状をなし、絶縁性シート65の内面には粘着層を備えていて、絶縁性シート65でループ状電極7および電磁結合モジュール1を挟みこんでいる。ループ状電極7および電磁結合モジュール1の構成は図3に示したものと同様である。
【0078】
そして、ループ状電極7が図12に示した金属物品64の面に対して垂直に向くように丁度タックインデックスを貼り付けるようにして取り付ける。
【0079】
このような構成であっても、ループ状電極7は磁界用補助放射体として作用し、金属物品64と結合して、図4に示したものと同様の作用により、金属物品64の表面が放射体として作用する。
【0080】
なお、金属物品に沿ったループをループ状電極7として作用させたが、他の実施例で示した通り、金属物品64をループ状電極の一部として作用させるとともに金属物品64を放射体として作用させてもよい。
【0081】
《第7の実施形態》
図14は第7の実施形態に係る、無線ICデバイスに用いる電磁結合モジュール1の外観斜視図である。この電磁結合モジュール1は他の実施形態における各無線ICデバイスに適用できるものである。この電磁結合モジュール1は無線ICチップ5と給電回路基板4とで構成している。給電回路基板4は、放射体として作用する金属物品と無線ICチップ5との間のインピーダンス整合をとるとともに共振回路として作用する。
【0082】
図15は給電回路基板4の内部の構成を示す分解図である。この給電回路基板4は、それぞれに電極パターンを形成した複数の誘電体層を積層してなる多層基板で構成している。最上層の誘電体層41Aには無線ICチップ実装用ランド35a〜35dを形成している。誘電体層41Bには無線ICチップ実装用ランド35bと導通するキャパシタ電極51を形成している。誘電体層41Cにはキャパシタ電極51との間でキャパシタC1を構成するキャパシタ電極53を形成している。誘電体層41D〜41Hにはインダクタ電極45a、45bをそれぞれ形成している。これらの複数層に亘って形成したインダクタ電極45a、45bは全体として2重のスパイラル状をなし、互いに強く誘電結合するインダクタL1、L2を構成している。また、誘電体層41FにはインダクタL1と導通するキャパシタ電極54を形成している。キャパシタ電極54はこの2つのキャパシタ電極53、55の間で挟まれてキャパシタ電極55を形成している。各誘電体層の電極間にはビアホール42a〜42iで導通させている。
【0083】
図16は図15に示した給電回路基板4およびループ状電極を含めた等価回路図である。図16において、キャパシタC1は図15に示したキャパシタ電極51〜53間に生じる容量、キャパシタC2は図15に示したキャパシタ電極54と53、55との間に生じる容量、インダクタL1,L2は図15に示したインダクタ電極45a、45bによるものである。
【0084】
キャパシタ電極55はループ状電極(図3に示した例ではループ状電極7)の一方の端部に対して平行に対向していて、その間で容量を構成する。また、インダクタ電極L1,L2はループ状電極7の他方の端部と電磁界結合する。
【0085】
給電回路基板4においては、インダクタンス素子L1,L2とその浮遊容量とで構成される共振回路にて共振周波数が決定される。放射電極から放射される信号の周波数は、共振回路の自己共振周波数によって実質的に決まる。
【0086】
給電回路基板4上に前記無線ICチップ5を搭載してなる電磁結合モジュール1は、図示しないリーダ・ライタから放射される高周波信号(例えばUHF周波数帯)を放射電極を介して受信し、給電回路基板4内の共振回路を共振させ、所定の周波数帯の受信信号のみを無線ICチップ5に供給する。一方、この受信信号から所定のエネルギーを取り出し、このエネルギーを駆動源として無線ICチップ5にメモリされている情報を、共振回路にて所定の周波数に整合させた後、放射電極に伝え、この放射電極からリーダ・ライタに送信・転送される。
【0087】
このように、給電回路基板内に共振回路を設けることによって、周波数の選択性が高まり、自己共振周波数により無線ICデバイスの動作周波数をほぼ決定することができる。それに伴い、RFIDシステムで用いる周波数の信号のエネルギーの授受(送受信)を高効率のもとで行うことができる。また、放射体の形状やサイズを考慮して最適な共振周波数に設定することができ、これにより無線ICデバイスの放射特性を向上させることができる。
【0088】
《第8の実施形態》
図17は、第8の実施形態に係る無線ICデバイスで用いる電磁結合モジュールの構成を示す図である。図17において基材10の内層には、ループ状電極30を形成している。この開放した2つの端部30a,30bの上部に絶縁層を介してインダクタ電極20およびキャパシタ電極25を形成している。インダクタ電極20はスパイラル状であり、その内側の端部は後述するようにキャパシタ電極25に接続している。
【0089】
このインダクタ電極20とキャパシタ電極25の端部には図中の拡大図に示す通り、無線ICチップ5を搭載している。すなわちインダクタ電極20の端部に無線ICチップ実装用ランド35a、キャパシタ電極25の端部に無線ICチップ実装用ランド35bをそれぞれ形成し、さらに無線IC実装用ランド35c、35dを形成して無線ICチップ5を搭載している。
【0090】
図18は図17におけるII−II部分の断面図である。図18において、ワイヤ21はインダクタ電極20とキャパシタ電極25とを接続している。
【0091】
また、第8の実施形態の変形例として、図19のように、インピーダンス整合部8,8を介して、無線ICチップ5とループ状電極30とを導通させてもよい。
【0092】
なお、インピーダンス整合部8,8をセラミック等の多層基板やガラスエポキシ基板等を用いて別に作製し、それをループ状電極30に対して導電性接着剤で貼着し導通させてもよい。
【0093】
《第9の実施形態》
図20は第9の実施形態に係る無線ICデバイスの給電回路基板40の分解斜視図である。また、図21はその等価回路図である。
【0094】
給電回路基板40は、それぞれに電極パターンを形成した複数の誘電体層を積層してなる多層基板で構成している。最上層の誘電体層41Aには無線ICチップ実装用ランド35a〜35dを形成している。誘電体層41Bには無線ICチップ実装用ランド35bと導通するキャパシタ電極51を形成している。誘電体層41Cにはキャパシタ電極51との間でキャパシタC1を構成するキャパシタ電極53を形成している。誘電体層41D〜41Hにはインダクタ電極45a、45bは全体として2重のスパイラル状をなすインダクタL1を構成している。
【0095】
また誘電体層41FにはインダクタL1と導通するキャパシタ電極54を形成している。キャパシタ電極54はこの2つのキャパシタ電極53、55(56)の間で挟まれてキャパシタを構成する。また誘電体層41Hにはキャパシタ電極53と導通するキャパシタ電極55を形成している。
【0096】
誘電体層41J〜41Nにはそれぞれインダクタ電極46、47を形成している。このインダクタ電極46、47によって複数回巻回したループ状電極L2を構成している。各誘電体層の電極間はビアホール42a〜42mで導通させている。
【0097】
すなわちこの給電回路基板40は丁度図15に示した給電回路基板4にループ状電極を含めて構成したものである。
【0098】
図21においてキャパシタC1は図20に示したキャパシタ電極51−53間に生じる容量、キャパシタC2は図20に示したキャパシタ電極54と53,55との間に生じる容量、インダクタL1a,L1bはそれぞれ図20に示したインダクタ電極45a,45bによるものであり、インダクタL2は図20に示したインダクタ電極46,47によるものである。
【0099】
《第10の実施形態》
図22は無線ICデバイスを備えたノート型パソコンの外観斜視図であり、図23はその内部の回路基板の主要部の断面図である。ノート型パソコン内の回路基板15には電子部品17、18と共に無線ICデバイス主要部6を回路基板15に対してほぼ垂直に実装している。回路基板15の上面には電極パターン16を形成している。この電極パターン16は無線ICデバイス主要部6と結合して放射体として作用する。
【0100】
また、その他の例として、図22に示したノート型パソコンの内部のコンポーネント(例えば液晶パネル)の背面に設けられている金属パネルに無線ICデバイスを構成してもよい、すなわち、第1〜第10の実施形態で示した無線ICデバイスを適用して上記金属パネルを放射体として作用させるようにしてもよい。
【0101】
なお、以上に示した各実施形態以外にも金属体である物品であれば同様に適用できる。例えば、金庫、コンテナにも適用できる。
【0102】
《第11の実施形態》
図24は、第11の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
第1の実施形態で図2に示した例では、リーダ・ライタから信号を受ける面(金属物品60の外部の電磁波送受信面)に無線ICデバイス主要部6を設けたが、第11の実施形態は、リーダ・ライタから信号を受ける面とは反対面側に無線ICデバイス主要部6を設けたものである。
【0103】
無線ICデバイス主要部6は、第1の実施形態の場合と同様に、絶縁性基板にループ状電極7と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。
【0104】
この構成によれば、リーダ・ライタからの信号(磁界Ho)により、金属物品60の導体主面の全体にうず電流Jが発生し、このうず電流Jにより導体主面に垂直な方向に磁界Hiが発生する。そして、ループ状電極7は磁界Hiと結合する。このことにより、無線ICデバイス主要部6とは反対の主面からの信号に対してもRF−IDとして機能させることができる。
【0105】
なお、無線ICデバイス主要部6を設ける物品は金属物品に限らず、例えばカーボン等の導電性材料による面を備えていれば同様に適用できる。
また、ループ状電極7は導体面に接していてもよいし、離れていてもよい。
【0106】
《第12の実施形態》
図25は、第12の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
第1の実施形態で図2に示した例では、金属物品60の表面(外面)に無線ICデバイス主要部6を設けたが、第12の実施形態は、金属物品60の内部(内面)に無線ICデバイス主要部6を設けたものである。
【0107】
図25(A)は金属ケース(ハーフケース)81,82の接合部をケース内部に突出させたもの、図25(B)は金属ケース(ハーフケース)81,82の接合部をケース外部に突出させたものである。図25(C)は金属ケース(ハーフケース)81,82の一端を、導電性を保つヒンジ構造にしたものである。いずれも、接合部をゴムパッキンなどの電気絶縁物や電気抵抗体を介して接合させている。
【0108】
無線ICデバイス主要部6は、第1の実施形態の場合と同様に、絶縁性基板にループ状電極7と、それに結合する電磁結合モジュール1とを備えている。
【0109】
この構成によれば、第11の実施形態の場合と同様に、リーダ・ライタからの信号(磁界)により、金属ケース81,82の導体主面の全体にうず電流が発生し、このうず電流により導体主面に垂直な方向に磁界が発生する。この磁界がループ状電極7と結合する。このことにより、RF−IDタグを内蔵した金属物品として用いることができる。
【0110】
図25(A)(B)の例では、上部の金属ケース82が、無線ICデバイス主要部6を設けた側の金属ケース81から直流的には絶縁されているが、金属ケースによる導体面に沿って電界ループおよび磁界ループの連鎖が広がるので、上部の金属ケース82側も放射体として作用する。
【0111】
このようにケース内に無線ICデバイス6を設けることによって無線ICデバイスの耐久性・耐環境性が向上する。
【0112】
また、図25に示した無線ICデバイス主要部6が例えば食品に設けられたRF−IDタグであり、金属ケース81,82が冷蔵庫や冷凍庫の筐体である場合も同様であるので、冷蔵庫や冷凍庫のドアを開けることなく、外部から各食品の情報を読み取ることができる。
【0113】
また、図25に示した無線ICデバイス主要部6が例えば電子部品や回路基板に設けられたRF−IDタグであり、金属ケース81,82がパソコンや携帯電話端末の筐体であるような場合にも同様であるので、パソコンや携帯電話端末の筐体を開くことなく、外部から各電子部品や回路基板の情報を読み取ることができる。
【0114】
図25に示した例では、缶状の金属ケースを用いる例について示したが、筒状やカップ状の導体ケースにも同様に適用できる。例えばカーボンシャフトのゴルフクラブのシャフト内に無線ICデバイス主要部6を設けることによって、外部から読み書きできるRF−IDタグ内蔵のゴルフクラブとして用いることができる。
【0115】
《第13の実施形態》
図26は、第13の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
図26の例では、表面に電気絶縁体または電気抵抗体の被膜を形成した金属ケース83,84を用いている。その他の構成は図25に示したものと同様である。
【0116】
このようにケース表面の被膜で、上下のケース同士の界面が絶縁状態または略絶縁状態になっていてもよい。
【0117】
《第14の実施形態》
図27は、第14の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
図27の例では、下部の金属ケース85と上部の金属ケース86との接合部に突起部94が設けられていて、隙間95が生じている。その他の構成は図25に示したものと同様である。
【0118】
このように金属ケースの一部に隙間があっても同様の作用によって、RF−IDタグを内蔵した金属物品として用いることができる。
【0119】
《第15の実施形態》
図28は、第15の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
図28の例では、表面に電気絶縁体または電気抵抗体の被膜を形成した金属トレイ87の内部に無線ICデバイス主要部6を設けて、RF−IDタグ付き金属トレイを構成している。また、この図28の例では複数の金属トレイを積み重ねた例を示している。
【0120】
このように金属トレイ同士を重ねることによって、上記電気絶縁体または電気抵抗体の被膜によって金属トレイ同士が直流的に絶縁され、無線ICデバイス主要部6が金属体で囲まれることになるが、第12〜第14の実施形態の場合と同様に、リーダ・ライタは各金属トレイのRF−IDタグと通信できる。
【0121】
《第16の実施形態》
図29は、第16の実施形態に係る無線ICデバイスの主要部の断面図である。
図29の例では、縁部分に電気絶縁体または電気抵抗体のリム96を形成した金属トレイ88の内部に無線ICデバイス主要部6を設けて、RF−IDタグ付き金属トレイを構成している。この図29の例では複数の金属トレイを積み重ねた例を示している。
【0122】
このように金属トレイ同士を重ねることによって、上記電気絶縁体または電気抵抗体によって金属トレイ同士が直流的に絶縁され、無線ICデバイス主要部6が金属体で囲まれることになるが、第12〜第14の実施形態の場合と同様に、リーダ・ライタは各金属トレイのRF−IDタグと個別に通信できる。
【0123】
なお、図25〜図29に示した例はいずれも電気絶縁体または抵抗体で直流的に絶縁された部分を備えた例を示したが、隙間無く導体で囲まれたケースや筐体の内部に無線ICデバイス主要部6を設けた場合でも、アンテナ利得が多少低下するものの、同様にRD−IDタグとして用いることができる。
【0124】
なお、以上の各実施形態では矩形を成すループ状電極を用いたが、ループ状電極の形状は、収納する物品にあわせて円、楕円、多角形等、種々の形状をとることができる。また、ケースの底面と側面にまたがるように形成することもできる。このような形状によって信号の送受信面が変わってもRF−IDとして機能する。
【0125】
また、以上の各実施形態では単層の導体パターンによるループ状電極を形成したが、単層ループではなく、多層コイル構造にしてもよい。
【0126】
また、以上の各実施形態では開ループを成すループ状電極を形成したが、ループ状電極が給電回路基板内のインダクタと磁界結合するように構成すれば、ループ状電極は閉ループを成していてもよい。すなわち、ループ状電極のループ面に平行なインダクタ用パターンを給電回路基板に形成し、このインダクタ用パターンが閉ループのループ状電極と磁界結合するように構成してもよい。
【0127】
また、以上の各実施形態ではループ状電極を備えた無線ICデバイス主要部を所定の面に接して配置したが、これを面から離間して配置する構造にしてもよく、ケースの内部でケースの内面から吊す(空中に浮かす)構造にしてもよい。
【0128】
また、以上の各実施形態ではループ状電極を備えた無線ICデバイス主要部をケースの面積の広い主面に配置したが、これをケースの側面に配置してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICと該無線ICに導通あるいは電磁界結合する給電回路基板とからなる電磁結合モジュールまたは無線ICチップである、高周波デバイスと、
放射体として作用する放射電極と、
前記高周波デバイスおよび前記放射電極に結合し、ループ面が前記放射電極の面に対して垂直または傾斜関係にあるループ状電極と、
を備え
前記ループ状電極が、前記放射電極の領域内に近接配置されていることを特徴とする無線ICデバイス。
【請求項2】
前記ループ状電極は絶縁層を介して前記放射電極と電磁界結合する請求項1に記載の無線ICデバイス。
【請求項3】
前記ループ状電極は前記放射電極に対して電気的に直接導通し、前記放射電極の一部をループ状電極に兼用した請求項1に記載の無線ICデバイス。
【請求項4】
前記高周波デバイスの実装部と前記ループ状電極との間に、前記高周波デバイスと前記ループ状電極とを直接導通させる整合回路を備えた請求項1〜3の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項5】
前記給電回路基板内に共振回路および/または整合回路を備えた請求項1〜4の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項6】
前記共振回路の共振周波数は前記放射電極により送受信される信号の周波数に実質的に相当する請求項5に記載の無線ICデバイス。
【請求項7】
前記高周波デバイスまたは前記ループ状電極を樹脂により被覆した請求項1〜6の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項8】
前記高周波デバイスおよび前記ループ状電極を前記放射電極に樹脂でモールドした請求項1〜6の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項9】
前記放射電極は導電層を含む円柱状の金属物品である請求項1〜8の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項10】
前記放射電極は電子機器内の回路基板に形成された電極パターンである請求項1〜8の何れかに記載の無線ICデバイス。
【請求項11】
前記放射電極は電子機器内のコンポーネントに設けられた金属板である請求項1〜8のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項12】
前記ループ状電極は、前記放射電極の外部の電磁波送受信面とは反対面側に配置した、請求項1〜11のいずれかに記載の無線ICデバイス。
【請求項13】
前記ループ状電極は、前記放射電極または当該放射電極を含む導体面で覆われた、請求項12に記載の無線ICデバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2010−16886(P2010−16886A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238219(P2009−238219)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【分割の表示】特願2009−522591(P2009−522591)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】