説明

無菌充填用の湿潤剤

本発明は、湿潤剤組成物の製造および使用方法に向けられている。本発明の組成物は、シーティング剤、消泡剤および会合破壊剤を含んでいる。本発明の湿潤剤組成物は、大抵の基材上で、慣用の湿潤剤に比べて、より速い水はけ/乾燥時間をもたらす。本発明の湿潤剤組成物は、プラスチック基材への使用において特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤剤組成物、ならびにその湿潤剤組成物の製造および使用方法に関する。湿潤剤組成物は、一般に、シーティング剤、消泡剤、および1種もしくは2種以上の会合破壊剤を含んでいる。湿潤剤は、水溶液で、物品、例えば、調理器具、皿類、平食器、グラス、カップ、硬質表面、ガラス表面、車両表面など、に用いることができる。湿潤剤は、特にプラスチック表面に効果的である。また、湿潤剤は、無菌充填処理法における使用のための湿潤剤としても用いることができる。
【背景技術】
【0002】
湿潤剤は、溶液が表面をより効果的に濡らすことができるように水の表面張力を低下させるために、多くの用途において用いられる。湿潤剤は、例えば洗浄溶液、抗菌剤溶液、塗料、接着剤およびインクが挙げられるが、それらには限定されない多くの組成物中に含まれる。多くの湿潤剤が今日知られており、それぞれが特定の利点と欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
代替となる湿潤剤組成物への継続した要求が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0004】
態様によっては、本発明は、食品、飲料または薬品の無菌包装の方法に関する。この方法は、包装材を、湿潤剤および抗菌剤から本質的になる組成物と接触させることを含んでいる。この湿潤剤は、シーティング剤、消泡剤、1種もしくは2種以上の会合破壊剤;ならびに担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分から本質的になっている。また、この方法は、この包装材に、食品、飲料、薬品、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質を充填すること、ならびにこの包装材を封止することも含んでいる。
【0005】
態様によっては、この接触させる工程は、本組成物を、この包装材に、この包装材上の微生物個体群を低減させるのに十分な長さの時間適用することを含んでいる。他の態様では、本組成物は、少なくとも3秒間この包装材に適用される。更に他の態様では、接触の工程は、本組成物を、この包装材に、約0℃〜約100℃の範囲の温度で適用することを含んでいる。
【0006】
態様によっては、このシーティング剤は、式I:
R−O−(CHCHO)−H (I)
(ここで、Rは(C〜C12)アルキル基、そしてnは1〜100の範囲の整数である)で表される構造を有する少なくとも1種の化合物を含んでいる。態様によっては、nは、15〜30の範囲の整数である。他の態様では、nは21である。
【0007】
態様によっては、消泡剤は、1個もしくは2個以上のエチレンオキシド基を含むポリマー化合物を含んでいる。更に他の態様では、消泡剤は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物から調製されたポリエーテル化合物を含んでいる。他の態様では、消泡剤は、ポリオキシプロピレン―ポリオキシエチレンブロック共重合体界面活性剤を含んでいる。更に他の態様では、1種もしくは2種以上の会合破壊剤は、アルコールアルコキシドを含んでいる。態様によっては、会合破壊剤のアルコキシレート部分は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシドならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選ばれる。
【0008】
態様によっては、本組成物は、少なくとも2種の会合破壊剤を含んでいる。他の態様では、本組成物は、少なくとも3種の会合破壊剤を含んでいる。
【0009】
態様によっては、シーティング剤と消泡剤と会合破壊剤の比率は、約1.0:1.5:30〜約1:2:1である。他の態様では、会合破壊剤は、本組成物の接触角を約5°〜約15°の範囲だけ低下させるのに有効な量で存在する。更に他の態様では、抗菌剤は、過酸素化合物、過カルボン酸、ジカルボン酸のモノエステル、ジカルボン酸のジエステルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0010】
態様によっては、湿潤剤は、本組成物中に、約20ppm〜約2000ppmの量で存在する。他の態様では、この方法は、包装材を本組成物と接触する工程と、この包装材を物質で充填する工程の間に、更にリンス工程を含んでいる。
【0011】
態様によっては、本発明は、シーティング剤、消泡剤、少なくとも1種の会合破壊剤、ならびに、担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された付加的な成分、から本質的になる湿潤剤組成物を提供する。
【0012】
他の態様では、本発明は、シーティング剤、消泡剤、少なくとも1種の会合破壊剤、担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分から本質的になる湿潤剤組成物、ならびに抗菌剤から本質的になる組成物を提供する。
【0013】
態様によっては、本発明は無菌包装の方法に関する。この方法は、無菌包装使用溶液を形成すること、包装材をこの無菌包装使用溶液と接触させること、この包装材に、食品、飲料、薬品およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質を充填すること、ならびこの包装材を封止すること、を含んでいる。
【0014】
態様によっては、無菌包装使用溶液を形成する工程は、組成物を、約0.01質量%〜約10質量%の範囲の使用濃度に希釈することを含んでおり、ここで本組成物は、湿潤剤および抗菌剤から本質的になっている。他の態様では、湿潤剤は、シーティング剤、消泡剤、少なくとも1種の会合破壊剤、ならびに担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分から本質的になっている。態様によっては、抗菌剤は、過酸素化合物、過カルボン酸、ジカルボン酸のモノエステル、ジカルボン酸のジエステルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、例2に記載した種々の試験溶液の平均接触角の図示である。
【図2】図2は、例3に記載した種々の試験溶液の平均接触角の図示である。
【図3a】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3b】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3c】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3d】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3e】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3f】図3a〜3fは、本発明の組成物における使用のための例示的なシーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤のG’およびG''の図示である。
【図3g】図3gは、本発明の例示的な組成物のG’およびG''の図示である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、湿潤剤組成物、ならびにこの湿潤剤組成物の製造および使用方法に関する。湿潤剤は、包装プロセス、例えば無菌包装/充填において用いた場合に特に有効である。態様によっては、本発明は、シーティング剤、消泡剤、および1種もしくは2種以上の会合破壊剤を含む湿潤剤組成物を提供する。シーティング剤、消泡剤、および1種もしくは2種以上の会合破壊剤の組み合わせが、適度に低い粘弾性と増大した湿潤性を備えた、低起泡性湿潤剤組成物を生成することが見出された。更に、本発明の組成物は、増大した乾燥および水切り時間を有している。
【0017】
湿潤剤は、1種もしくは2種以上の抗菌剤と組み合わせて用いることができる。本発明の組成物は、種々の用途、例えば、無菌包装/充填、薬品包装、現場洗浄(CIP)または現場外洗浄(COP)システムにおいて湿潤剤として用いることができる。本発明がより明確に理解されるように、特定の用語を先ず定義する。
【0018】
ここで用いられる用語「再付着防止剤」は、汚れ組成物が、洗浄される目的物上に再付着する代わりに、水中に懸濁されたままにすることを助ける化合物を表している。
【0019】
ここで用いられる用語「器物」は、食事用、調理用、および給仕用具などの品目を表している。器物の例示的な品目としては、皿類、例えば、プレートおよびボール;食器、例えばフォーク、ナイフおよびスプーン;カップおよびグラス、例えば飲用カップおよびグラス;給仕用皿類、たとえばガラス繊維トレイ、絶縁プレートカバーが挙げられるが、それらには限定されない。ここで用いられる用語「器物洗浄」は、器物を洗浄(washing)すること、洗浄(cleaning)すること、またはすすぐこと表している。本発明の組成物と接触する、例えば本発明の組成物で洗浄する、またはすすぐことのできる器物の品目は、いずれかの材料から作ることができる。例えば、器物としては、木材、金属、セラミックス、ガラスなどで作った品目が挙げられる。また、器物は、プラスチックで作られた品目も表している。本発明による組成物で洗浄またはすすぐことができるプラスチックの種類としては、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル―ブタジエン―スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、それらには限定されない。本発明による方法および組成物を用いて洗浄することができる他の例示的なプラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0020】
ここで用いられる用語「硬質表面」としては、シャワー、流し、トイレ、バスタブ、カウンタートップ、窓、鏡、運搬用車両、床などが挙げられる。
【0021】
ここで用いられる用語「健康管理表面」としては、健康管理活動の一部として用いられる、器具、装置、カート、ケージ、家具、構造体、建築物などの表面を表している。健康管理表面の例としては、医療もしくは歯科用器具、医療もしくは歯科用装置、オートクレーブおよび滅菌装置、患者の健康を監視するために用いられる電子装置、ならびに床、壁、または健康管理が行われる構造物の備品の表面が挙げられる。健康管理表面は、病院、外科、疾患、出産、霊安、および臨床診断室の中に見られる。これらの表面は、「硬質表面」(例えば、壁、床、便器など)、または布帛表面、例えば編物、織物および不織表面(例えば手術衣、カーテン、ベッドリネン、包帯など)、または患者介護用器具(例えばマスク、診察用器具、シャント、ボディースコープ、車いす、ベッドなど)、または手術用および診断用器具に分類されるものであることができる。健康管理表面としては、動物の健康管理に用いられる物品および表面が含まれる。
【0022】
ここで用いられる用語「器具」は、本発明の方法によって処理された水を用いた洗浄から利益を得ることができる、種々の医療用または歯科用器具を表している。
【0023】
ここで用いられる用語「医療用器具」、「歯科用器具」、「医療用装置」、「歯科用装置」、「医療用設備」または「歯科用設備」は、医療または歯科において用いられる器具、装置(devices)、用具、装具、装置(apparatus)および設備を表している。このような器具、装置および設備は、本発明によって処理された水を用いて、冷温殺菌、浸漬または洗浄して、そして次いで高温殺菌することができ、あるいはその他の利益を得ることができる。これらの種々の器具、装置および設備としては、診断器具、トレイ、パン、容器、棚、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば骨用のこぎりおよびその刃)、止血鉗子、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり、ニッパー、ドリル、ドリルビット、石目やすり、掘削器具(burrs)、拡張器(spreaders)、遮断器(breakers)、挺子(elevators)、クランプ、持針器、キャリヤ(carriers)、クリップ(clips)、鉤(hooks)、切骨器(gouges)、キュレット(curettes)、開創器(retractors)、ストレイトナー(straightener)、搾孔鋏(punches)、摘出器(extractors)、へら(scoops)、角膜切開刀(keratomes)、へら(spatulas)、エクスプレッサー(expressors)、トロカール(trocars)、拡張器(dilators)、ケージ(cages)、ガラス製品、管類(tubing)、カテーテル、カニューレ、栓子(plugs)、ステント、観察器械(scopes)(例えば、内視鏡、聴診器および関節鏡(arthoscopes))ならびに関連の機器が挙げられるが、これらには限定されない。
【0024】
本発明の組成物を説明するのに用いられる用語「固体」は、硬化された組成物は、知覚されるほどには流動せず、そして中位の応力もしくは圧力もしくは単なる重量の下ではその形状、例えば、成形型から取り外された場合には型の形状、押出機から押出で成形された物品の形状など、を実質的に保持することを意味している。固体の組成物の硬さの度合いは、融解固体ブロックの硬さ(これは比較的に密度が高くまた硬くて、例えばコンクリートのようである)から、順応性があり、またスポンジ様(コーキング材と同様の)であることを特徴とする硬さまでの範囲にあることができる。
【0025】
界面活性剤すすぎ剤またはシーティング剤の「曇り点」は、暖められた場合に、界面活性剤の1質量%水溶液が濁った状態に変わる温度として規定される。
【0026】
ここで用いられる用語「アルキル」は、S、O、Si、またはNから独立して選択される、1種もしくは2種以上のヘテロ原子置換基を含んでいてもよい、直鎖もしくは分岐鎖の一価炭化水素基を表す。アルキル基としては、一般に、1個〜20個の原子を含むものが挙げられる。アルキル基は、置換されていなくても、または本組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロが挙げられる。ここで用いられる「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチルおよびイソプロピルなどが挙げられるが、それらには限定されない。更に、「アルキル」としては、「アリレン(alylenes)」、「アルケニレン」または「アルキリン(alkylynes)」を挙げることができる。
【0027】
ここで用いられる用語「アルキレン」は、S、O、SiまたはNから独立して選択される1種もしくは2種以上のヘテロ原子置換基を含んでいてもよい直鎖または分岐鎖の二価炭化水素基を表す。アルキレン基は、一般に1個〜20個の原子を備えたものを含む。アルキレン基は、置換されていなくても、または本組成物の特定の機能を妨げないそれらの置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロが挙げられる。ここで用いられる「アルキレン」の例としては、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイルなどが挙げられるが、それらには限定されない。
【0028】
ここで用いられる用語「アルケニレン」は、1つもしくは2つ以上の炭素−炭素二重結合を有し、そしてS、O、SiまたはNから独立して選択される1種もしくは2種以上のヘテロ原子置換基を含んでいてもよい直鎖もしくは分岐鎖の二価炭化水素基を表す。アルケニレン基は、一般に1個〜20個の原子を備えたものを含む。アルケニレン基は、置換されていなくても、または本組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロが挙げられる。ここで用いられる「アルケニレン」の例としては、エテン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルなどが挙げられるが、それらには限定されない。
【0029】
ここで用いられる用語「アルキリン(alkylyne)」は、1つもしくは2つ以上の炭素−炭素三重結合を有し、そしてS、O、SiまたはNから独立して選択される1種もしくは2種以上のヘテロ原子置換基を含んでいてもよい直鎖もしくは分岐鎖の二価炭化水素基を表す。アルキリン基は、一般に1個〜20個の原子を備えたものを含む。アルキリン基は、置換されていなくても、または本組成物の特定の機能を妨げない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、またはハロが挙げられる。
【0030】
ここで用いられる用語「アルコキシ」は、−O−アルキル基を表し、アルキルは上記で規定した通りである。
【0031】
ここで用いられる用語「ハロゲン」もしくは「ハロ」としては、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素が挙げられる。
【0032】
ここで用いられる用語「メルカプト」および「スルフヒドリル」は、置換基−SHを表す。
【0033】
ここで用いられる用語「ヒドロキシ」は、置換基−OHを表す。
【0034】
ここで用いられる用語「アミノ」は、置換基−NHを表す。
【0035】
ここで用いられる「質量%(wt%)」、「質量パーセント」、「質量%」などは同義語であり、これらはその物質の質量を本組成物の全体の質量で割り算して100を掛けたその物質の濃度を表している。
【0036】
本発明の方法および組成物は、列挙された工程または成分を含む、からなる、から本質的になることができる。ここで用いられる「本質的になる」は、列挙された成分または工程ならびに、本組成物または本方法の基本的なそして新規な性質に実質的に影響しない付加的な成分または工程を含むことを意味していると解釈されなければならない。態様によっては、列挙した成分「から本質的になる」本発明の態様による組成物は、本発明の基本的なそして新規な性質、例えば、本組成物の乾燥時間、シーティング能力、斑点付着または薄膜化の性質、を変更させるいずれかの付加的な成分を含まない。
【0037】
ここで用いられる用語「約」は、本発明の組成物中、または本発明の方法に用いられる成分の量を修正していて、発生する可能性がある数量の変化を表しており、その変化は例えば、現実の世界で濃縮液もしくは使用溶液を作るのに用いられる通常の測定および液体取扱い手順を通して、それらの手順における不注意な間違いを通して、組成物を作るまたはこの方法を行うのに用いられる成分の製造、出所もしくは純度の違いを通して、などにより発生する。また、この用語、約は、特定の初期の混合物からもたらされる組成物の異なる平衡状態によって異なる量をも包含する。用語「約」によって修正されてもいなくても、特許請求の範囲はその量の均等物を含んでいる。
【0038】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形「a」、「an」および「the」は、特に断りのない限り、複数の対象も含んでいる。また、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる、用語「または」は通常は、特に断りのない限り、「および/または」を含む意味で用いられている。
【0039】
<湿潤剤組成物>
態様によっては、本発明は、湿潤剤として用いることができる組成物を提供する。本発明の湿潤剤組成物は、慣用の湿潤剤に比べて、種々の表面に対して改善されたシーティング作用を提供することが見出された。また、本発明の湿潤剤は、他の成分、例えば抗菌剤の展開および浸透性を増大させることが見出された。本発明の湿潤剤は、無菌充填使用溶液中で用いられた場合に、特に有効である。
【0040】
本発明の湿潤剤組成物は、シーティング剤、消泡剤、および1種もしくは2種以上の会合破壊剤を含んでいる。本発明の湿潤剤に用いられるシーティング剤は、会合して、より高い薄膜粘弾性を生じさせる傾向にある界面活性剤を含んでいる。すなわち、シーティング剤は、比較的に高いそして安定な、比較的にゆっくりとした水切り時間を備えた泡を生じる。これらのシーティング剤は、比較的に単純な消泡剤を用いて消泡することができることが見出された。主としてシーティング剤を消泡するために本発明の組成物中に含まれているにも拘わらず、本発明で用いられる消泡剤はまた、本発明の組成物のシーティング性能にも寄与することができる。
【0041】
また、本発明の湿潤剤組成物は、会合破壊剤も含んでいる。ここで用いられる用語「会合破壊剤」または「会合破壊性剤」は、本発明の組成物中に含まれるシーティング剤および消泡剤の会合を妨げることができる界面活性剤の分類を表す。いずれかの特定の理論によって拘束されることは望まないが、会合破壊剤は、接触した物質からの湿潤剤組成物の乾燥/水切り時間における援けになると考えられる。すなわち、湿潤剤の他の活性成分の会合を妨げ、または低減させることによって、会合破壊剤は、表面からの湿潤剤の水切り時間を減少させると考えられる。しかしながら、消泡剤と同様に、会合破壊剤もまた、本発明の組成物のシーティング性能に寄与することができる。
【0042】
<シーティング剤>
態様によっては、本発明の湿潤剤組成物は、シーティング剤を含んでいる。態様によっては、シーティング剤は、12個以下の炭素原子を有するアルキル基を含む、1種または2種以上のアルコールエトキシレート化合物を含んでいる。例えば、本発明の湿潤剤に用いるためのアルコールエトキシレート化合物は、それぞれ独立に式Iで表される構造を有している。
R−O−(CHCHO)−H (I)
ここで、Rは(C〜C12)アルキル基、そしてnは1〜100の範囲の整数である。態様によっては、Rは(C〜C12)アルキル基であることができ、または(C〜C10)アルキル基であることができる。同様に、態様によっては、nは10〜50の範囲、または15〜30の範囲、または20〜25の範囲の整数である。態様によっては、1種または2種以上のアルコールエトキシレート化合物は、直鎖の疎水物質である。
【0043】
少なくともいくつかの態様では、シーティング剤は、それぞれが式Iで表される構造を有する、少なくとも2種の異なるアルコールエトキシレート化合物を含んでいる。すなわち、式IのRおよび/またはn変数、あるいはその両方は、シーティング剤中に存在する2種もしくは3種以上の異なるアルコールエトキシレート化合物中で異なっていてよい。例えば、いくつかの態様におけるシーティング剤は、Rが(C〜C10)アルキル基である第1のアルコールエトキシレート化合物、およびRが(C10〜C12)アルキル基である第2のアルコールエトキシレート化合物を含むことができる。少なくともいくつかの態様では、シーティング剤は、12個超の炭素原子を有するアルキル基を含むいずれのアルコールエトキシレート化合物も含まない。態様によっては、シーティング剤は、12個以下の炭素原子を有するアルキル基を含むアルコールエトキシレートのみを含んでいる。
【0044】
例えばシーティング剤が少なくとも2種の異なるアルコールエトキシレート化合物を含む態様によっては、その異なるアルコールエトキシレートの比率は、最終組成物の所望の特徴を得るように変えることができる。例えば、第1のアルコールエトキシレート化合物と第2のアルコールエトキシレート化合物を含む態様によっては、第2のアルコールエトキシレート化合物の質量パーセントに対する第1のアルコールエトキシレート化合物の質量パーセントの比率は、約1:1〜約10:1超の範囲に含まれることができる。例えば、態様によっては、シーティング剤は、約50質量%以上の範囲の第1の化合物、および約50質量%以下の範囲の第2の化合物、ならびに/あるいは約75質量%以上の範囲の第1の化合物、および約25質量%以下の第2の化合物、ならびに/あるいは約85質量%以上の範囲の第1の化合物、および約15質量%以下の範囲の第2の化合物を含むことができる。同様に、第2の化合物に対する第1の化合物のモル比の範囲は、約1:1〜約10:1であることでき、そして態様によっては、約3:1〜約9:1の範囲であることができる。
【0045】
態様によっては、シーティング剤に用いられるアルコールエトキシレートは、例えば環境に優しい、食品サービス工業での使用に好適であるなどの特定の特徴を有するように選ぶことができる。例えば、シーティング剤に用いられる特定のアルコールエトキシレートは、環境または食品サービス規制の要求、例えば、生分解性の要求に合致することができる。
【0046】
用いることができる好適なシーティング剤の具体的な例としては、第1のアルコールエトキシレート(ここで、RはC10アルキル基であり、そしてnは21である(すなわち、21モルのエチレンオキシド)および第2のアルコールエトキシレート(ここで、RはC12アルキル基であり、この場合もnは21である(すなわち、21モルのエチレンオキシド)を含んだアルコールエトキシレートの組み合わせが挙げられる。このような組み合わせは、アルコールエトキシレートC10〜C12、21モルEOと表すことができる。具体的な態様によっては、シーティング剤は、約85質量%以上の範囲のC10アルコールエトキシレートと約15質量%以下のC12アルコールエトキシレートを含むことができる。例えば、シーティング剤は、約90質量%以上の範囲のC10アルコールエトキシレートと約10質量%以下のC12アルコールエトキシレートを含むことができる。このようなアルコールエトキシレート混合物の1つの例としては、SasolからNOVEL II 1012-21として、商業的に入手可能である。
【0047】
シーティング剤成分は、所望の性質に応じて、全体の組成物の広い範囲のパーセントを構成することができる。例えば、態様によっては、シーティング剤成分が、抗菌剤組成物の一部として配合された湿潤剤中に含まれる場合には、シーティング剤の量は、湿潤剤が、抗菌剤組成物の一部として配合されない場合よりも、少なくてよい。態様によっては、シーティング剤は、本組成物中に、全体の組成物の約0.1〜約10質量%存在することができる。他の態様では、シーティング剤は、全体の組成物の約0.2〜約5質量%、存在することができる。希釈された、または使用溶液によっては、例えば使用水溶液では、シーティング剤は、全体の使用溶液の約5〜約250ppm、全体の使用溶液の約50〜約150ppm、または全体の使用溶液の約60〜約100ppm存在することができる。これらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本発明に包含されると理解されなければならない。
【0048】
<消泡剤>
態様によっては、湿潤剤組成物はまた、消泡剤を含むことができる。消泡剤は、水溶液中のアルコールエトキシレートシーティング剤によって生成させることができる泡の安定性を低減させるのに有効な量で存在する。また、消泡剤は、本発明の組成物のシーティング性能に寄与することができる。広範囲の好適な消泡剤のいずれか、例えば広範囲のノニオン性エチレンオキシド(EO)含有界面活性剤、を用いることができる。多くのノニオン性エチレンオキシド誘導体界面活性剤は、水溶性であり、そして湿潤剤組成物の意図する使用温度未満の曇り点を有しており、そして従って、有用な消泡剤であることができる。
【0049】
理論によって拘束されることは望まないが、好適なノニオン性EO含有界面活性は、比較的低い温度、例えば湿潤剤が用いられるであろう温度より低い温度で、親水性そして水溶性であると信じられる。EO成分は、水分子と水素結合を形成し、それによってその界面活性剤を可溶性にさせると理論付けられる。しかしながら、温度が上昇すると、これらの水素結合が弱められて、そしてEO含有界面活性剤の可溶性は低下するか、または水に不溶となる。温度が上昇すると、いずれかの点で、曇り点に達し、この曇り点で、界面活性剤は溶液から出て、そして消泡剤として機能する。従って、界面活性剤は、この曇り点の、または曇り点より高い温度で用いられた場合には、シーティング剤を消泡するように作用することができる。
【0050】
消泡剤として用いることができるエチレンオキシド誘導体界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルコールアルコキシレート、低分子量EO含有界面活性剤など、またはそれらの誘導体が挙げられる。ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブロック共重合体の例としては、下記の式を有するものが挙げられる。
【0051】
【化1】

【0052】
ここで、EOはエチレンオキシド基を表し、POはプロピレンオキシド基を表し、そしてxおよびyは、全体のブロック共重合体組成物中のそれぞれのアルキレンオキシドモノマーの平均の分子分率を表している。態様によっては、xは、約10〜約130の範囲であり、yは約15〜約70の範囲であり、そしてx足すyは約25〜約200の範囲である。分子中でそれぞれのxとyは異なっていてよいことが理解されなければならない。態様によっては、ブロック共重合体の全体のポリオキシエチレン成分は、ブロック共重合体の約20モル%以上の範囲、そして態様によっては、ブロック共重合体の約30モル%以上の範囲、であることができる。態様によっては、この材料は、約400超、そして態様によっては、約500超の分子量を有することができる。例えば、態様によっては、この材料は、約500〜約7000以上の範囲、約950〜約4000以上の範囲、または約1000〜約3100以上の範囲、または約2100〜約6700以上の範囲の分子量を有することができる。
【0053】
上記の例示的なポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブロック共重合体構造は3〜8ブロックを有しているが、このノニオン性ブロック共重合体界面活性剤は、3または8ブロック超もしくは未満を含むことができることが理解されなければならない。更に、ノニオン性ブロック共重合体界面活性剤は、更なる繰り返し単位、例えばブチレンオキシド繰り返し単位を含むことができる。更に、本発明によって用いることができるノニオン性ブロック共重合体界面活性剤は、ヘテリック(heteric)ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレンブロック共重合体と特徴付けることができる。好適なブロック共重合体の例としては、BASFから商業的に入手可能なPLURONIC(登録商標)およびTETRONIC(登録商標)などの商品が挙げられる。例えば、PLURONIC(登録商標)25-R2は、BASFから商業的に入手可能な有用なブロック共重合体の1つの例である。
【0054】
消泡剤成分は、所望の性質に応じて、全体の組成物の非常に広範囲な質量パーセントを構成することができる。例えば、態様によっては、この消泡剤が抗菌剤組成物の一部として配合される湿潤剤中に含まれる場合には、消泡剤の量は、この湿潤剤が抗菌剤組成物の一部として配合されない場合に比べて、少なくてよい。例えば、濃縮された態様では、消泡剤成分は、全体の組成物の約0.1〜約10質量%の範囲、態様によっては全体の組成物の約0.2〜約5質量%の範囲、態様によっては全体の組成物の約20〜約50質量%の範囲、そして態様によっては全体の約40〜約90質量%の範囲、を構成することができる。
【0055】
希釈された、または使用溶液によっては、消泡剤成分は全体の使用溶液の5〜約60ppmの範囲、態様によっては全体の使用溶液の約50〜150ppmの範囲、態様によっては全体の使用溶液の約100〜約250ppmの範囲、そして態様によっては使用溶液の約200〜約500ppmの範囲を構成することができる。
【0056】
また、本組成物中に存在する消泡剤の量は、本組成物中に存在するシーティング剤の量に依存する可能性がある。例えば、本組成物中に存在するシーティング剤がより少なければ、より少ない消泡剤成分の使用をもたらすことができる。例示的な態様によっては、消泡剤成分の質量パーセントに対するシーティング剤の質量パーセントの比率は、約1:5〜約5:1の範囲、または約1:3〜約3:1の範囲であることができる。消泡剤成分に対するシーティング剤の比率は、用いられる実際の成分のいずれかおよび/または両方の性質に依存する可能性があり、それらの比率は、所望の消泡効果を得るために与えられた例示の範囲から外れる可能性がある。
【0057】
<会合破壊剤>
態様によっては、湿潤剤組成物はまた、会合破壊剤を含むことができる。態様によっては、湿潤剤組成物は、1種もしくは2種以上の会合破壊剤を含んでいる。本発明の組成物中での使用に好適な会合破壊剤としては、他の活性剤、例えば本発明の湿潤剤中に含まれるシーティング剤および消泡剤、の会合を妨げることができる界面活性剤が挙げられる。
【0058】
態様によっては、本発明の湿潤剤組成物中に含まれる会合破壊剤は、湿潤剤組成物の接触角を低下させる。例えば、態様によっては、会合破壊剤は、湿潤剤組成物の接触角を、約5°、約10°、または約15°だけ低下させる。いずれかの特定の理論によって拘束されることは望まないが、接触角が低ければ低いほど、組成物はよりよく被覆(sheeting)を引き起こす。すなわち、より小さい接触角を備えた組成物は、より大きな接触角を備えた組成物よりも、より大きな表面積を備えた液滴を基材上に形成する。増加した表面積は、基材上へのより少ない斑点の形成とともに、より迅速な乾燥時間をもたらす。
【0059】
種々の会合破壊剤を、本発明の湿潤剤組成物中で用いることができる。態様によっては、会合破壊剤としては、アルコールアルコキシレートが挙げられる。態様によっては、アルコールアルコキシレートとしては、ポリオキシエチレン―ポリオキシプロピレン共重合体界面活性剤(「アルコールEO/PO界面活性剤」が挙げられる。このアルコールEO/PO界面活性剤としては、EOおよびPO基が小さなブロック形態、またはランダム形態である小型のアルコールEO/PO界面活性剤を挙げることができる。他の態様では、アルコールアルコキシレートとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0060】
商業的に入手可能な会合破壊剤の例としては、Genapol EP-2454(登録商標)(Clariantから商業的に入手可能)、Plurafac LF-221(登録商標)(BASFから商業的に入手可能)、Plurafac LF-500(登録商標)(BASFから商業的に入手可能)、および Dehypon(登録商標)LS-54 (Cognisから商業的に入手可能)が挙げられる。
【0061】
態様によっては、本発明の湿潤剤組成物は、少なくとも1種の会合破壊剤を含んでいる。他の態様では、本発明の会合破壊剤は、少なくとも2種、少なくとも3種、または少なくとも4種の会合破壊剤を含んでいる。
【0062】
会合破壊剤は、所望の性質に応じて、全体の組成物の非常に広範囲な質量パーセントを構成することができる。例えば、態様によっては、会合剤は、抗菌剤組成物の一部として配合される湿潤剤に含まれる場合には、この会合剤の量は、湿潤剤が抗菌剤組成物の一部として配合されない場合よりも少ないことができる。会合破壊剤は、湿潤剤組成物中に、約0.1質量%〜約25質量%の範囲で存在することができる。態様によっては、会合破壊剤は、湿潤剤組成物中に、約1質量%〜約20質量%の範囲で存在する。更に他の態様では、会合破壊剤は、湿潤剤組成物中に約15質量%で存在する。
【0063】
態様によっては、シーティング剤、消泡剤、および会合破壊剤の比率は、本発明の湿潤剤組成物の水切り/乾燥時間を最大限にするように選択される。態様によっては、シーティング剤と消泡剤と会合破壊剤の比率は、約1:1.5:30〜約1:2:1である。態様によっては、シーティング剤と消泡剤と会合破壊剤の比率は、約1:1.6:6.8である。それらの値および範囲の間の全ての値および範囲は、本発明によって包含されることが理解されなければならない。
【0064】
<付加的な成分>
本発明の湿潤剤組成物はまた、任意に多くの付加的な添加剤および/または機能性材料を含むことができる。付加的な成分は、湿潤剤組成物自体の一部として含むことができる。他の態様では、付加的な成分は、本発明の湿潤剤組成物をも含む組成物中の別箇の成分として与えることができる。好適な付加的な成分としては、担体、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、漂白剤および/または漂白活性化剤、殺菌剤および/または抗菌剤、活性化剤、洗剤ビルダーまたは充填剤、再付着防止剤、蛍光増白剤、染料、着臭剤または香料、保存料、安定剤、加工助剤、腐食防止剤、充填剤、凝固剤、硬化剤、溶解性改質剤、pH調節剤、保湿剤、ヒドロトープ、水処理ポリマーおよび/またはホスホン酸塩、機能性ポリジメチルシロキサンなど、またはいずれかの他の好適な添加剤、あるいはそれらの混合物または組み合わせが挙げられるが、それらには限定されない。
【0065】
<担体>
態様によっては、本発明の組成物は、液体組成物として配合される。担体は、そのような液体配合物中に含まれていてよい。湿潤剤組成物中で使用するために好適ないずれかの担体は、本発明中で用いることができる。例えば、態様によっては、本組成物は、担体として水を含んでいる。
【0066】
態様によっては、本発明による液体組成物は、約98質量%以下の水、そして典型的には約90質量%以下を含んでいる。他の態様では、液体組成物は、少なくとも50質量%の水、または少なくとも60質量%の水を担体として含んでいる。
【0067】
<ヒドロトープ>
態様によっては、本発明の組成物はヒドロトープを含むことができる。ヒドロトープは、シーティング剤または湿潤剤の溶解性を維持ずるのを助けるために用いることができる。また、ヒドロトロープは、有機材料への改善された溶解性を与えるように水溶液を改質するために用いることができる。態様によっては、ヒドロトロープとしては、低分子量の芳香族スルホナート材料、例えばキシレンスルホナート、ジアルキルジフェニルオキシドスルホネート材料およびクメンスルホネートがある。
【0068】
ヒドロトロープまたはヒドロトロープの組み合わせは、本組成物中に、約1質量%〜約50質量%の範囲の量で存在することができる。他の態様では、ヒドロトロープまたはヒドロトロープの組み合わせは、本組成物の約10質量%〜約30質量%で存在することができる。
【0069】
<抗菌剤>
湿潤剤は、任意で抗菌剤を含むことができる。抗菌剤は、種々の方法で提供することができる。例えば、態様によっては、抗菌剤は、湿潤剤組成物の一部として含まれる。他の態様では、抗菌剤は、湿潤剤組成物を含んだ組成物の別箇の成分として、例えば無菌包装/充填において用いられる組成物中に別箇の成分として、含むことができる。
【0070】
抗菌剤は、物質系、表面などの微生物汚染および劣化を防ぐために機能性材料中に用いることができる化学薬品組成物である。一般には、それらの材料は、フェノール類、ハロゲン化合物、第四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アナリド類(analides)、有機硫黄化合物および硫黄―窒素化合物、ならびに種々の化合物を含んだ特定の分類に入る。
【0071】
態様によっては、本発明の湿潤剤組成物とともに用いるのに好適な抗菌剤としては、過カルボン酸組成物、および/またはジエステルの混合物が挙げられる。例えば、態様によっては、含まれる抗菌剤としては、少なくとも1種の過酢酸、過オクタン酸、ならびにそれらの混合物および誘導体が挙げられる。他の態様では、抗菌剤は、米国特許第6,927,237号明細書中に開示されている組成物のような、2溶媒抗菌剤組成物であることができ、これを参照することによって本明細書の内容とする。
【0072】
他の態様では、抗菌剤としては、モノ―またはジエステルジカルボキシレートの組成物が挙げることができる。好適なモノ―またはジエステルジカルボキシレートとしては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸もしくはセバシン酸の、モノ―またはジメチル、モノ―またはジエチル、モノ―またはジプロピル(n―もしくはiso)、あるいはモノ―またはジブチルエステル(n―、sec―もしくはtert―)、あるいはアミルエステル(n―、sec―、iso―もしくはtert―)、あるいはそれらの混合物が挙げられる。また、混合エステル(例えば、モノメチル/モノエチル、またはモノプロピル/モノエチル)もまた用いることができる。好ましいモノ―またはジエステルジカルボキシレートは商業的に入手可能であり、そして水もしくは他の担体に、抗菌剤活性に有効な濃度で溶解することができる。好ましいモノ―またはジエステルジカルボキシレートは、微生物に対しては毒性であるが、しかしながら、配合もしくは使用条件下では、人間に対しては容認できない毒性を示さない。モノ―またはジエステルジカルボキシレートを含む例示的な組成物が、米国特許第7,060,301号明細書中に記載されており、この全てを参照することによって本明細書の内容とする。
【0073】
活性酸素化合物、例えば過酸素化合物、例えば漂白剤の項で議論したものもまた、抗菌剤として作用する可能性があり、そして殺菌活性を与えることができることが理解されなければならない。態様によっては、抗菌剤として作用する活性酸素化合物の能力は、本組成物中の更なる抗菌剤の必要性を低減させる。例えば、過炭酸塩および過カルボン酸組成物は、優れた抗菌剤活性を与えることが示されてきた。本発明に用いられる好適な過カルボン化合物としては、過酢酸、過オクタン酸、または過酸エステルが挙げられるが、それらには限定されない。他の態様では、過カルボン酸組成物としては、短鎖、中鎖または長鎖の過カルボン酸またはそれらの組み合わせがある。
【0074】
本発明の組成物および方法における使用に好適な例示的な過酸素化合物としては、過酸化水素およびその付加物、例えば過炭酸ナトリウムおよび過酸化尿素、過硫酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、あるいはそれらの対応するリチウム、カリウム、バリウム、カルシウム、またはマグネシウム塩が挙げられるが、それらには限定されない。与えられた抗菌剤は、化学組成および濃度に応じて、微生物の数の更なる増殖を単に制限するか、または微生物個体群の全てもしくは一部を破壊することができる。用語「微生物(microbes)」および「微生物(microorganism」」は、典型的には、主に細菌、ウイルス、酵母菌、胞子、および真菌微生物(fungus microorganisms)を表す。使用にあたっては、抗菌剤は、典型的には、固体の機能性材料に形成され、これは、任意で、例えば水流を用いて、希釈してそして分配されて、水性の消毒剤または殺菌剤組成物を形成し、これは、種々の表面と接触されて、微生物個体群の成長の防止もしくはその一部の死滅をもたらすことができる。微生物個体群の対数で3の減少は、殺菌剤組成物をもたらす。抗菌剤は、例えばその安定性を向上させるために、カプセルに包むことたできる。
【0075】
一般的な抗菌剤の例としては、フェノール系抗菌剤、例えば、ペンタクロロフェノール、オルソフェニルフェノール、クロロ−p−ベンジルフェノール、p−クロロ−m−キシレノールが挙げられる。ハロゲン含有抗菌剤としては、ナトリウムトリクロロイソシアヌレート、ナトリウムジクロロイソシアネート(無水または二水和物)、ヨウ素−ポリ(ビニルピロリジノン)錯体、臭素化合物、例えば2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、および第四級抗菌剤、例えば塩化ベンズアルコニウム、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、二ヨウ化塩化コリン(choline diiodochloride)、テトラメチルホスホニウムトリブロミドが挙げられる。他の抗菌剤組成物、例えば、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、ジチオカルバメート、例えばナトリウムジメチルジチオカルバメート、および種々の他の材料が、当技術分野においてその抗菌特性を知られている。態様によっては、洗浄組成物は、殺菌剤を、所望の水準の殺菌を与えるのに有効な量で含んでいる。態様によっては、抗菌成分は、本組成物の約75質量%以下、約20質量%以下の範囲、本組成物の、約1.0質量%〜約20質量%の範囲、約5質量%〜約10質量%の範囲、約0.01質量%〜約1.0質量%の範囲、または0.05質量%〜約0.05質量%の範囲で含むことができる。
【0076】
<キレート化剤/金属イオン封鎖剤>
湿潤剤は、所望により、1種または2種以上のキレート化剤/金属イオン封鎖剤を付加的な成分として含むことができる。キレート化剤/金属イオン封鎖剤としては、例えば、アミノカルボン酸、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、ポリアクリレート、ならびにそれらの混合物および誘導体を挙げることができる。一般には、キレート化剤は、天然水中に通常見られる金属イオンに配位して(すなわち結合して)、この金属イオンが、湿潤剤もしくは洗浄組成物の他の成分の作用を妨害することを防止することができる分子である。また、キレート化剤/金属イオン封鎖剤は、有効な量で含まれた場合には、閾値剤(threshold agent)として機能することができる。態様によっては、湿潤剤は、約70質量%以下の範囲、または約0.1質量%〜約60質量%の範囲、または約0.1質量%〜約5.0質量%のキレート化剤/金属イオン封鎖剤を含むことができる。他の態様では、本発明の組成物は、約1質量%未満、または約0.5質量%未満のキレート化剤/金属イオン封鎖剤を含むことができる。
【0077】
本組成物は、ホスホナート、例えば、1−ヒドロキシエタン―1,1−ジホスホン酸CHC(OH)[PO(OH)];アミノトリ(メチレンホスホン酸)N[CHPO(OH)];アミノトリ(メチレンホスホナート)、ナトリウム塩
【0078】
【化2】

【0079】
2−ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)HOCHCHN[CHPO(OH)];ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(HO)POCHN[CHCHN[CHPO(OH)]];ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホナート)、ナトリウム塩C(28−x)Na15(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホナート)、カリウム塩C10(28−x)12(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)(HO)POCHN[(CH)N[CHPO(OH)]];およびリン酸HPOを含むことができる。態様によっては、ホスホナートの組み合わせ、例えばATMPおよびDTPMPを用いることができる。中和した、もしくはアルカリ性のホスホナート、またはホスホナートとアルカリ源との組み合わせを、混合物中に加えられる前に、ホスホナートが加えられたときに、中和反応によって発生する熱もしくはガスが、ほとんど無い、または無いように、用いることができる。
【0080】
金属イオン封鎖剤としての使用に好適な高分子量のポリカルボキシレートの例としては、ペンダントのカルボキシレート(―CO)基を有するものが挙げられ、そして例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィン共重合体、アクリル/マレイン酸共重合体、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミド共重合体、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリル共重合体などが挙げられる。
【0081】
キレート化剤/金属イオン封鎖剤の更なる議論については、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻、p.339-366、および第23巻、p.319-320を参照することができ、その記載を参照することによって本明細書の内容とする。
【0082】
<漂白剤>
湿潤剤は、所望により漂白剤を含むことができる。漂白剤は、基質のライトニング(lightening)および白化のために用いることができ、そして活性ハロゲン種、例えば、Cl、Br、−OClおよび/または−OBrなどを、洗浄プロセスの間に典型的に遭遇する条件下で遊離することができる漂白化合物を含むことができる。用いられる好適な漂白剤としては、例えば、塩素含有化合物、例えば塩素、次亜塩素酸塩、クロラミンなどを挙げることができる。ハロゲン遊離化合物の例としては、アルカリ金属ジクロロイソシアヌレート、塩素化三ナトリウムリン酸塩、アルカリ金属次亜塩素酸塩、モノクロラミン、およびジクロラミンなどが挙げられる。被包性の塩素源もまた、本組成物中の塩素源の安定性を高めるために用いることができる。
【0083】
また、漂白剤は、活性酸素源を含む、または活性酸素源として作用する試薬を含むことができる。活性酸素化合物は、活性酸素源を与えるように作用して、例えば水溶液中で活性酸素を放出することができる。活性酸素化合物は、無機または有機であることができ、あるいはそれらの混合物であることができる。活性酸素化合物の例としては、過酸素化合物、または過酸素化合物付加物が挙げられる。活性酸素化合物または活性酸素源の例としては、活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミンなどを伴った、もしくは伴わない、過酸化水素、過ホウ酸塩、炭酸ナトリウム過酸化水素化物、リン酸塩過酸化水素化物、カリウム過モノ硫酸塩、および過ホウ酸ナトリウム一および四水和物が挙げられる。湿潤剤組成物は、少量の、しかしながら有効な量、例えば、態様によっては、約10質量%以下の範囲、そして態様によっては、約0.1〜約6質量%の範囲の漂白剤を含むことができる。
【0084】
<活性化剤>
態様によっては、湿潤剤の抗菌活性または漂白活性は、本組成物が使用状態に置かれた場合に、活性酸素と反応して活性化された成分を形成する材料の添加によって高めることができる。例えば、態様によっては、過酸または過酸塩が形成される。例えば、態様によっては、テトラアセチルエチレンジアミンが本組成物内に含まれていることができ、活性酸素と反応して、過酸または過酸塩を形成して、これが抗菌剤として作用する。活性酸素活性化剤の他の例としては、遷移金属およびそれらの化合物、カルボキシル、ニトリル、もしくはエステル部分を含む化合物、あるいは当技術分野で知られている他のそのような化合物が挙げられる。1つの態様では、活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン;遷移金属、カルボキシル、ニトリル、アミンもしくはエステル部分を含む化合物;またはそれらの混合物が挙げられる。
【0085】
態様によっては、活性化剤成分は、本組成物の約75質量%以下の範囲、態様によっては、約0.01質量%〜約20質量%の範囲、または態様によっては、本組成物の約0.05質量%〜10質量%の範囲で含むことができる。態様によっては、活性酸素化合物の活性化剤は、活性酸素と結合して抗菌剤を形成する。
【0086】
<ビルダーまたは充填剤>
湿潤剤は、所望により、少量の、しかしながら有効量の1種もしくは2種以上の充填剤を含むことができ、それは、それ自体は必ずしもすすぎ剤および/または洗浄剤としての役割を果たさないが、しかしながら、すすぎ剤と協同することができて、本組成物の全体の性能を高める。好適な充填剤の例としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C〜C10アルキレングリコール、例えばプロピレングリコールなどを挙げることができる。態様によっては、充填剤は、約20質量%以下の範囲、そして態様によっては、約1〜15質量の範囲の量で含むことができる。
【0087】
<再付着防止剤>
湿潤剤組成物は、所望により、すすぎ溶液中の汚れの懸濁の維持を促進し、そしてすすぎをされる基質上に、除去された汚れが再付着するのを防止することができる、再付着防止剤を含むことができる。好適な再付着防止剤の例としては、脂肪酸アミド、フルオロカーボン界面活性剤、錯リン酸エステル、スチレンマレイン酸無水物共重合体、およびセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどを挙げることができる。湿潤剤組成物は、約10質量%以下、そして態様によっては、約1〜約5質量%の範囲の再付着防止剤を含むことができる。
【0088】
<染料/着臭剤>
また、種々の染料、香料を含む着臭剤、および他の審美的向上剤(aesthetic enhancing agents)を、湿潤剤中に含むことができる。染料は、本組成物の外観を変えるために含むことができ、例えばFD&C Blue 1(Sigma Chemical)、FD&C Yellow 5(Sigma Chemical)、Direct Blue 86(Miles)、Fastusol Blue(Mobay Chemical Corp.)、Acid Orange 7(American Cyanamid)、Basic Violet 10(Sandoz)、Acid Yellow 23(GAF)、Acid Yellow 17(Sigma Chemical)、Sap Green(Keyston Analine and Chemical)、Metanil Yellow(Keystone Analine and Chemical)、Acid Blue 9(Hilton Davis)、Sandolan Blue/Acid Blue 182(Sandoz)、Hisol Fast Red(Capitol Color and Chemical)、Fluorescein(Capitol Color and Chemical)、Acid Green 25(Ciba-Geigy)などがある。
【0089】
本組成物中に含むことができる芳香剤または香料としては、例えば、テルペノイド、例えばシトロネロール、アルデヒド、例えばアミルシンナムアルデヒド、ジャスミン、例えば、C1S−ジャスミンまたはジャスマル、バニリンなどが挙げられる。
【0090】
<硬化剤、凝固剤(Solidification Agents)、溶解度調整剤>
態様によっては、本発明の組成物は水性液体湿潤剤組成物として配合される。他の態様では、本発明の組成物は、固体湿潤剤組成物である。
【0091】
湿潤剤は、有効な量の硬化剤、例えばアミド、例えばステアリン酸モノエタノールアミドもしくはラウリン酸ジエタノールアミド、またはアルキルアミドなど;固体ポリエチレングリコール、尿素または固体EO/POブロック共重合体など;酸もしくはアルカリ処理プロセスを通して水溶性にされたデンプン;加熱された組成物に冷却による凝固性を与える種々の無機物などを含むことができる。また、そのような化合物は、使用の間に水性媒体中での本組成物の溶解性を変化させることができ、そのため湿潤剤および/または他の活性成分は、固体組成物から長時間に亘って分配されることができる。本組成物は、硬化剤を、約50質量%以下の範囲、または態様によっては、約20質量%〜約40質量%、または約5〜約15質量%の範囲の量で含むことができる。
【0092】
<機能性ポリジメチルシロキサン>
また、本組成物は、所望により1種もしくは2種以上の機能性ポリジメチルシロキサンを含むことができる。例えば、態様によっては、ポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサン、ノニオン性界面活性剤またはポリベタイン変性ポリシロキサン両性界面活性剤を、添加剤として用いることができる。態様によっては、両方とも直鎖のポリシロキサン共重合体であり、それにポリエーテルまたはポリベタインが、ヒドロシリル化反応を通してグラフトされている。具体的なシロキサン界面活性剤の例は、Union Carbideから入手可能なSIL WET(登録商標)界面活性剤またはGoldschmidt Chemical Corp.から入手可能なABIL(登録商標)ポリエーテルもしくはポリベタインポリシロキサン共重合体として知られており、そして米国特許第4,654,161号明細書中に記載されていて、これを参照することによって本願の内容とする。態様によっては、用いられる具体的なシロキサンは、例えば低表面張力、高湿潤性および優れた潤滑性を有すると表現することができる。例えば、これらの界面活性剤は、ポリテトラフルオロエチレン表面を湿潤することができる少数に入ると云える。添加剤として用いられるシロキサン界面活性剤は、単独で、またはフルオロケミカル界面活性剤と組み合わせて用いることができる。態様によっては、所望によりシランと組み合わせて、添加剤として用いられるフルオロケミカル界面活性剤は、例えばノニオン性フルオロ炭化水素、例えば、フッ化アルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ化アルキルアルコキシレートおよびフッ化アルキルエステルであることができる。
【0093】
そのような機能性ポリジメチルシロキサンおよび/またはフルオロケミカル界面活性剤の更なる記述が、米国特許第5,880,088号、第5,880,089号、および第5,603,776号明細書中に記載されており、これらの特許の全てを参照することによって本明細書の内容とする。本発明者らは、例えば、特定のポリシロキサン共重合体を炭化水素界面活性剤との混合物で用いることは、プラスチック器物への優れた湿潤剤を与えることを見出した。また、本発明者らは、特定のシリコーンポリシロキサン共重合体およびフルオロカーボン界面活性剤と、慣用の炭化水素界面活性剤との組み合わせもまた、プラスチック器物への優れた湿潤剤を与えることを見出した。この組み合わせは、特定のポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサンおよびポリベタインポリシロキサン共重合体(これらの場合は有効性はほぼ同等である)以外では、個々の成分より良好であることを見出した。従って、態様によっては、ポリシロキサン共重合体単独を包含しており、そしてフルオロカーボン界面活性剤との組み合わせは、ポリエーテルポリシロキサン、ノニオン性シロキサン界面活性剤を含むことができる。両性のシロキサン界面活性剤、ポリベタインポリシロキサン共重合体を、湿潤剤中の添加剤として単独で用いることができ、同じ結果が与えられる。
【0094】
態様によっては、本組成物は、機能性ポリジメチルシロキサンを、約10質量%以下の範囲の量で含むことができる。例えば、態様によっては、約0.1〜10質量%の範囲のポリアルキレンオキシド変性ポリジメチルシロキサンまたはポリベタイン変性ポリシロキサンを、所望により、約0.1〜10質量%のフッ化炭化水素ノニオン性界面活性剤との組み合わせで含むことができる。
【0095】
<保湿剤>
また、本組成物は、所望により1種もしくは2種以上の保湿剤を含むことができる。保湿剤は、水との親和性を有する物質である。保湿剤は、基質表面上の膜の可視性を低減することを援けるのに十分な量で与えることができる。基質表面上の膜の可視性は、すすぎ水が合計で200ppmを上回る溶解した固形分を含む場合に特に問題である。従って、態様によっては、すすぎ水が合計で200ppmを上回る溶解した固体を含む場合に、保湿剤を含まないすすぎ剤組成物に比べて、基質表面上の膜の可視性が十分に低減される量で、保湿剤が与えられる。用語「水固形分薄膜化」または「薄膜化」は、基質表面がきれいでない外観を与える、基質表面上の物質の可視の、連続した層の存在を表している。
【0096】
用いることができる湿潤剤の例としては、50%の相対湿度および室温で平衡状態に置いて、5質量%超の水(乾燥した保湿剤を基準として)を含む材料が挙げられる。用いることができる例示的な保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、アルキルポリグリコシド、ポリベタインポリシロキサンおよびそれらの混合物が挙げられる。態様によっては、湿潤剤組成物は、保湿剤を、全体の組成物を基準として約75質量%以下の範囲、そして態様によっては、本組成物の質量を基準として約5質量%〜約75質量%の範囲の量で含むことができる。態様によっては、保湿剤が存在する場合には、保湿剤のシーティング剤に対する質量比は、約1:3以上の範囲、そして態様によっては、約5:1〜約1:3の範囲であることができる。
【0097】
<他の成分>
また、有用な種々多様な他の成分を、それらを含むように配合されている特定の組成物に、所望の性質または機能を与えるために含むことができる。例えば、湿潤剤は、他の活性成分、例えばpH緩衝材、洗浄性酵素、担体、加工助剤、液体配合物への溶媒やその他のものなどを含むことができる。
【0098】
更に、湿潤剤は、水を用いた操作、例えば水を用いた洗浄操作での使用の間に、そのすすぎ水が所望のpHを有するように配合することができる。例えば、すすぎに用いるために設計された組成物は、水を用いたすすぎ操作における使用の間に、そのすすぎ水が約3〜約5の範囲、または約5〜約9の範囲のpHを有するように配合することができる。態様によっては、液体製品配合品は、約2〜約4の範囲、または約4〜約9の範囲のpH(10%希釈)を有している。pHを推奨される使用水準に調製する技術としては緩衝剤、アルカリ、酸などの使用が挙げられ、そして当業者にはよく知られている。pH調整のための好適な酸の1つの例としてはクエン酸がある。態様によっては、湿潤剤組成物には付加的な酸は加えられない。
【0099】
<使用方法>
本発明の湿潤剤組成物は、種々の家庭または工業用途に用いることができる。本組成物は、種々の領域、例えば台所、浴室、工場、病院、歯科医院、製薬プラントもしくは包装業者(co-packer)、および食品プラントもしくは包装業者に適用することができ、そして平滑な、でこぼこの、もしくは多孔質の形態を有する種々の硬質または軟質表面に適用することができる。好適な硬質表面としては、例えば、建築上の表面(例えば、床、壁、窓、流し、机、カウンターおよび看板);食器;硬質表面の医用もしくは外科用器具および装置;ならびに硬質表面の包装材が挙げられる。そのような硬質表面は、種々の材料、例えばセラミック、金属、ガラス、木材または硬質プラスチックから作られていることができる。好適な軟質表面としては、例えば、紙、濾材、病院および外科用のリネンと衣類、軟質表面の医用もしくは外科用器具および装置、ならびに軟質表面の包装材が挙げられる。そのような軟質表面は、種々の材料、例えば、紙、繊維、織られたもしくは不織の布帛、軟質プラスチックならびにエラストマーから作られていることができる。
【0100】
本発明の湿潤剤組成物は、種々の用途において用いることができる。例えば、態様によっては、本発明の組成物は、無菌包装および充填操作において用いるために配合することができる。他の態様では、湿潤剤は、器物洗浄機中での使用のために特に配合することができる。商業的な器物洗浄機では2つの一般的な種類のすすぎサイクルがある。すすぎサイクルの第1の種類は、一般的には熱いすすぎ水(約180°F)を使用するために、熱水消毒すすぎサイクルと表すことができる。すすぎサイクルの第2の種類は、化学的消毒すすぎサイクルと表すことができ、そしてそれは一般的により低い温度(約120°F)を用いる。
【0101】
態様によっては、本発明の湿潤剤組成物は、高固形分含有水の環境で、その水中に与えられる溶解した固形分の水準によって引き起こされる可視できる薄膜の外観を低減させるために用いることができることが信じられる。一般に、高固形分含有水は、200ppmを超えた総溶解固形分(TDS)含有量を有する水であると考えられる。場所によっては、用水は400ppmを超える、そしてさらには800ppmを超える総溶解固形分含有量を含んでいる。基材を洗浄した後に目に見える薄膜の存在が特に問題となる用途としては、レストランまたは器物洗浄業、自動車洗浄業、および一般的な硬質表面の洗浄が挙げられる。
【0102】
本発明による湿潤剤で処理することができる器物洗浄業における例示的な物品としては、プラスチック、皿類、カップ、グラス、平食器および調理道具が挙げられる。本発明の目的において、用語「皿」および「器物」、食品の調理、提供、消費、および処分において用いられる、鉢、平鍋、トレイ、ピッチャー、ボール、皿(plates)、受皿、カップ、グラス、フォーク、ナイフ、スプーン、ヘラ、通常施設または家庭のキッチンもしくはダイニングルームにおいて利用できる他のガラス、金属、セラミック、プラスチック複合材物品を含めた、種々の種類の物品を表すように、最も広い意味で用いられる。一般には、これらの種類の物品は、これらが食品および/または飲料と接触するために提供される表面を有しているために、食品もしくは飲料に接触する物品と表すことができる。これらの器物洗浄用途において用いられる場合には、湿潤剤は、有効な被覆作用と低泡立ち特性を与えなければならない。上記の望ましい特性を有することに加えて、湿潤剤は、生分解性で、環境に優しく、そして一般的に無毒性であることが有用である可能性がある。この種の湿潤剤は、「食品用銘柄」であると表現することができる。
【0103】
また、湿潤剤組成物は、器物以外の、医用および歯科用器具、ならびに硬質表面、例えば車両表面を含むがそれらには限定されない、表面および物体に適用することができる。また、本組成物は、種々の用途において、種々の表面のために、湿潤剤として、例えばプラスチック容器の無菌包装/充填用の湿潤剤として、用いることができる。
【0104】
態様によっては、本発明の湿潤剤は、飲料、食品、および製薬材料、例えば果汁、酪農製品、麦芽酒、大豆系製品、ヨーグルト、ベビーフード、ビン詰飲料水製品、茶、鎮咳薬、薬品、およびソフトドリンクの製造に用いることができる。湿潤剤は、無菌包装および充填に用いる組成物中に組み込むことができる。湿潤剤は、そのようなプロセス中で用いられる特定の高度に不溶性の抗菌剤の溶解を助ける。更に、包装で用いられる抗菌剤組成物中に含まれる場合には、本発明の湿潤剤は、接触した基材上の本組成物の被覆率を増加させる。この増加した被覆率は、基材の殺菌を強めることが見出された。いずれかの特定の理論に拘束されることは望まないが、本発明の湿潤剤は、より速い水切り/乾燥によって、プラスチック表面中への化学薬品の吸着を実質的に低減させるとも考えられる。更に、本発明の湿潤剤は、比較的に容易に表面からすすぎ落とされる。
【0105】
本発明の湿潤剤は、そのような飲料の製造に用いられるビン、ポンプ、管路、タンクおよび混合設備を、消毒する、滅菌する、殺胞子剤として作用する、あるいは殺菌するために用いられる組成物中に含むことができる。また、湿潤剤は、無菌の、低温充填操作において用いられる抗菌剤組成物中に含まれることができ、そこでは食品、飲料もしくは薬品容器の内部が、充填の前に消毒または殺菌される。そのような操作では、容器は、湿潤剤を含む抗菌剤で、典型的には噴霧、もしくは浸漬、もしくは充填装置を用いて接触されて、この容器の内側をこの組成物で、この容器内部の微生物個体群を低減させるのに十分な時間、密接に接触させる。この容器は、次いで用いられた抗菌剤組成物の全量を空ける。空にした後に、この容器を次いで飲料水または殺菌された水ですすぎ、そして次いで空にすることができ;しかしながらこれは必須の工程ではない。すすぎの後に、この容器は次いで飲料、食品または薬品で充填される。この容器は、次いで封止され、キャップされ、または閉じられ、そして次いで最終的な販売のための出荷のために包装される。封止された容器は、追加の微生物死滅のために、オートクレーブ処理またはレトルト処理することができる。
【0106】
他の態様では、本発明の湿潤剤は、低温無菌充填技術において用いることができる。このような技術では、低温無菌充填技術を用いて、金属、アルミニウムまたは鋼缶を充填することができ、ガラス瓶または容器を充填することができ、あるいはプラスチック(PETもしくはPBTもしくはPEN)ビンなどを充填することができる。本発明の湿潤剤は、炭酸飲料で充填される前に、飲料容器の内部を消毒するのに用いられる抗菌剤組成物中に含むことができる。この用途の典型的な炭酸飲料としては、コーラ飲料、果実飲料、ジンジャーエール飲料、ルートビア飲料、アイス・ティー飲料(これらは非炭酸であることができ)、ならびにソフトドリンクと考えられる他の一般の飲料が挙げられる。本発明の湿潤剤は、ソフトドリンク材料の製造と貯蔵に用いられるタンク、管路、ポンプおよび他の設備の両方を消毒するために用いられる、あるいは飲料用の瓶詰または容器に用いられる、組成物中に含めることができる。
【実施例】
【0107】
本発明は、以下の例中により具体的に説明されるが、それらは説明だけを意図されている。特に断りのない限り、以下の例で報告される全ての部、パーセント、および比率は、質量基準であり、そしてこれらの例において用いられる全ての試薬は、下記の化学薬品供給者から得られ、または入手可能であり、あるいは慣用の技術によって合成することができる。
【0108】
例1
本発明の例示的な湿潤剤(組成物A)の、抗菌剤とともに用いた場合の被覆能力を、比較の湿潤剤(比較組成物B)と比べて、測定するために試験を実施した。比較組成物Bは、5〜8質量%の脂肪族アルコールエトキシレート、2〜5質量%ジプロピレングリコールエーテル、16〜19質量%のアルキルエトキシプロポキシレート、および1〜2質量%有機酸の混合物を、活性成分として含んでいた。組成物Aは、下記の表中に示した質量パーセントでこれらの成分を用いて形成された湿潤剤を含んでいた。
【0109】
【表1】

【0110】
また、組成物Aは、0.48%のヒドロトロープを含んでいた。
【0111】
上記の組成物のそれぞれは、試験組成物を配合するのに用いられた。これらの試験組成物は、2種の抗菌剤組成物を含んでいる。第1の抗菌剤組成物は、過酢酸製品であり、そして第2の抗菌剤は、ジエステル(ヘキサン二酸のジメチルエステル、およびジメチルセバケート)の低溶解性混合物であった。第1の抗菌剤は、4200ppmの活性剤を含み、そして第2の抗菌剤は1250ppmの活性剤を含んでいた。下記の表は、試験した4つの組成物を示している。
【0112】
【表2】

【0113】
試験組成物1および3は、200ppmの活性湿潤剤濃度を有するように配合した。試験組成物2および4は、それぞれが50ppmの活性湿潤剤濃度を有していた。これらの組成物を作るために、抗菌剤組成物1および2を先ず一緒に混合した。水および組成物Aまたは比較組成物Bのいずれかを、次いで最初の混合の後に加えた。
【0114】
被覆試験を実施するために、PETスライドを、最下部から1センチメートルに食刻し、そして150mLビーカー中で、約140°Fに維持された上記の試験溶液の1つの100mL中に置いた。これらのスライドを取り出したら(約30秒間後)、それらを乾燥棚に置いた。この溶液が、食刻した線の下に通過するのに要する時間を記録した。これらの結果を下記の表中に示した。
【0115】
【表3】

【0116】
これらの結果から分かるように、本発明の例示的な湿潤剤を含むこれらの試験組成物は(試験組成物3および4)、より短い水切り/乾燥時間を有していた。本発明の例示的な湿潤剤を用いたこれらの試験組成物の水切り/乾燥時間は、平均で、約30%短かった。
【0117】
試験を、再度、400mLビーカー中で、それぞれの試験条件の300mLを用いて行った。このことは、150mLビーカー中で100mLを用いた場合には、スライドの約半分しか浸水されていなかったためである。300mLでの試験を用いることで、スライドが完全に被覆された。上記と同じ試験溶液を調製し、そして試験方法は同じであった(用いた溶液の量の他は)。しかしながら、この試験では、スライドはそのスライドの最下部から3センチメートルで食刻した。また、それぞれのスライドの表と裏の両方の水切り/乾燥時間もまた、この試験で測定した。これらの結果を下記の表中に示した。
【0118】
【表4】

【0119】
これらの結果から分かるように、本発明の例示的な湿潤剤を含む試験組成物(試験組成物3および4)は、より短い水切り/乾燥時間を有していた。活性組成物Aの200ppmを含んだ試験溶液(試験組成物3)は、より短い水切り/乾燥時間を有しており、そしてまた完全な被覆を与える唯一の溶液であった。この組成物の水切り/乾燥時間は、比較組成物Bの200ppmを含む試験組成物の水切り/乾燥時間よりも1分間超速かった。
【0120】
例2
本発明の組成物を含む試験溶液および他の比較の湿潤剤を備えた同様の試験組成物の接触角を比較するために、試験を実施した。この試験では、試験溶液は、室温より上には加熱しなかった。また、試験溶液は、下記の表中に示した。
【0121】
【表5】

【0122】
組成物A,比較組成物B,抗菌剤組成物1、および抗菌剤組成物2は、例1中で記載したのと同様であった。これらの溶液の接触角を、ポリエチレンテレフタレート(PET)スライド上で、室温で測定した。これらの組成物のそれぞれを調製した後に、これらの組成物を装置中に配置して、そこで組成物の単一の液滴をPETスライドに供給した。この液滴の基材への供給をカメラで記録した。このカメラで記録されたビデオは、コンピュータに送られ、接触角が定められた。この試験の結果は、下記の表中に示されている。
【0123】
【表6】

【0124】
また、これらの結果を図1中に示した。これらの結果から分かるように、本発明の例示的な湿潤剤を含んだ試験組成物(試験溶液3および4)は、慣用の湿潤剤を含んだ試験溶液(試験溶液1および2)よりも、ずっと小さな接触角を有していた。活性な組成物Aの200ppmを含む試験溶液(試験溶液3)は、比較組成物Bを同じ濃度で含む試験溶液の接触角よりも、平均で15°小さい接触角を有していた。全体として、本発明の例示の湿潤剤の含有は、慣用の湿潤剤を同じ濃度で用いて見られる接触角よりも、より小さい接触角をもたらした。
【0125】
例3
抗菌剤と共に用いた場合の、本発明の例示的な湿潤剤の被覆能力および水切り/乾燥時間を、比較の湿潤剤と比べて測定するために、試験を実施した。この試験では、例1中で記載したのと同じ湿潤剤組成物を試験した。すなわち、比較組成物Bは、5〜8質量%の脂肪族アルコールエトキシレート、2〜5質量%のジプロピレングリコールエーテル、16〜19質量%のアルキルエトキシプロポキシレート、および1〜2質量%の有機酸の混合物を、活性成分として含んでいた。組成物Aの配合は、下記の表中に示された本発明の例示的な湿潤剤組成物を含んでいた。
【0126】
【表7】

【0127】
また、組成物Aは0.48質量%のヒドロトロープも含んでいいた。
【0128】
それらの湿潤剤組成物のそれぞれは、50ppm活性分および200ppm活性剤濃度で試験した。用いた抗菌剤は、4200ppmの過酢酸を、活性抗菌剤として含んでいた。試験組成物を、下記の表中に示した。
【0129】
【表8】

【0130】
被覆試験を実施するために、PETスライドを最下部から3センチメートルに食刻し、そして400mLビーカー中で約140°Fに維持した上記の試験溶液の1つの300mL中に置いた。これらのスライドを、約30秒間後に試験溶液から取り出して、それらを乾燥棚中に置いた。この溶液が、表および裏(合計時間)に食刻した線の下に通過するのに要した時間を記録した。これらの結果を下記の表中に示した。
【0131】
【表9】

【0132】
これらの結果から分かるように、200ppmの活性分を含んでいる両方の試験溶液(試験組成物1および3)が完全な被覆をもたらしたが、本発明の例示的な湿潤剤を含む試験組成物(試験組成物3)は、完全な被覆およびずっと短い時間での水切り/乾燥をもたらした。200ppmの活性湿潤剤では、試験組成物3は、比較の湿潤剤を含んだ試験組成物1よりも、ほぼ1分間速い完全な水切り/乾燥を導いた。
【0133】
これらの溶液の接触角を、PETスライド上で、室温で測定した。これらの組成物のそれぞれを調製した後に、これらの組成物を装置中に置き、そこで組成物の単一の液滴をPETスライドに供給した。この液滴の基材への供給をカメラで記録した。このカメラで記録されたビデオは、コンピュータに送られ、接触角が定められた。この試験の結果は、下記の表中に示されている。
【0134】
【表10】

【0135】
また、これらの結果は、図2中に図示した。これらの結果から分かるように、本発明の湿潤剤を含む試験組成物(試験溶液3および4)は、慣用の湿潤剤を含むこれらの溶液のよりも、より小さい接触角を有していた。本発明の湿潤剤を200ppm含む組成物(試験溶液3)は、慣用の湿潤剤を200ppm含んだ対応する組成物(試験溶液1)の接触角よりも、約30%小さい接触角を有していた。
【0136】
例4―粘弾性試験
本発明の例示的な湿潤剤組成物および比較組成物の粘弾性を測定ための検討を実施した。いずれかの特定の理論によって拘束されるのは望まないが、溶液の薄膜粘弾性は、それらが適用される基材上の、その溶液の全体の被覆、水切りおよび乾燥に関係すると考えられる。特定の弾性率が、この液体が広く「被覆」を保持するために重要であると考えられる。しかしながら、弾性率の水準が高過ぎると、基材からのすすぎ助剤の水切りと乾燥を妨げる可能性がある。
【0137】
この検討のための粘弾性測定は、Bohlin CVO 120 HR NF Rheometerを用いて行った。測定は、個々の界面活性剤および界面活性剤の組み合わせの、単体の、もしくは高濃度の溶液(100%の材料が室温で固体の場合には)で行った。測定は、線形粘弾性範囲で測定した。プロットしたデータは、歪に対するG’およびG''であった。G’は、複素弾性率の弾性成分であり、そしてG''は、複素弾性率の粘性成分である。界面活性剤分子の会合効果を検討した。この検討の結果を、図3A〜3Gに示した。これらの図で、x軸は、歪を表している。この例では、歪は2つの長さの比であり、そして単位を有していない。歪は、下記の式で定義される。
せん断歪 = δu/h
【0138】
これらの図において、y軸はパスカル(「Pa」)の単位で示されている。パスカルは、圧力、応力、ヤング率および引張応力のSI誘導単位である。これは、面積単位当たりの力、すなわち平方メートル当たり1ニュートンに相当する尺度である。
【0139】
これらの図から分かるように、例示的なシーティング剤界面活性剤、Novel 1012GB-21は、大きなG’およびG''を有し、このことは強い会合効果を示唆している。試験した例示的な消泡剤界面活性剤、Pluronic(登録商標)25R2は、大きなG''だが、小さなG’を有していた。これらの界面活性剤の50/50の組み合わせは、大きなG’およびG''を示し(図3C)、このことはこれらの2種の界面活性剤を混合することによって破壊されない強い会合効果を示していた。
【0140】
会合破壊型の界面活性剤、例えば、Genapol EP-2454(登録商標)、Plurafac LF-221(登録商標)、およびPlurafac LF-500(登録商標)は、全てが比較的に低いG’およびG''を有していた(図3D、3Eおよび3F)。このことは、それらの非会合性のために予期された。しかしながら、図3G中に示された、上記の種類の界面活性剤の全ての組み合わせは、非常に小さいG’およびG''を示し、この会合破壊剤型の界面活性剤が、シーティング剤と消泡剤型の界面活性剤の会合を破壊することを示唆していた。
【0141】
例5―起泡性の評価
幾つかの、本発明による例示的な湿潤剤の泡立ちの特徴(foam profiles)を定めるために試験を実施した。Glewwe泡装置をこの試験のために用いた。以下の手順を用いた。先ず、それぞれの配合物を調製し、そしてGlewweシリンダー中にゆっくりと注いた。試験した試料は、すすぎ補助添加剤の活性分または評価される界面活性剤の組み合わせの50ppmを含んでいた。定規をシリンダーの側面に取り付け、そして溶液を、定規の底部の水準に合わせた。ポンプを作動させた。定規に従って泡立ちの平均の水準を読み取ることによって、泡の高さを評価した。泡の高さの読みを時間に対して、ストップウォッチまたはタイマーで測った。ポンプを停止して、そして泡の高さを種々の時間に記録した。食品汚れを、1分間の運転時間の後に加えた。それぞれの試料を、140°F、6.0psiの圧力で試験した。泡の水準を、1分間の撹拌の後、および再度の5分間の撹拌の後に、所定の時間、読み取った。撹拌を停止した後に、安定な泡が数分間存続した。部分的に安定な泡は1分間の内にゆっくりと破壊した。不安定な泡は、15秒間未満に迅速に破壊した。望ましいすすぎ補助剤は、不安定な泡を有するか、ないしは泡を有しないものでなければならない。
【0142】
下記の表は、試験した界面活性剤、およびこの検討におけるそれらの対応する分類を示している。
【0143】
【表11】

【0144】
起泡性試験からの結果を下記の表中に示した。
【0145】
【表12】

【0146】
この表から分かるように、Novel(登録商標)1012GB-21は、シーティング剤型の界面活性剤として、Neodol 45-13よりも優れていた。Neodol界面活性剤を含んだ、試験した全ての界面活性剤の組み合わせは、過剰な泡を有していた。会合破壊剤または消泡剤の組み合わせはいずれも、すすぎ補助用途のためのNeodol界面活性剤の消泡に有効でなかった。また、会合破壊剤は、シーティング剤単独を消泡することはできないことが見出された。むしろ、消泡剤と会合破壊剤の組み合わせは、試験したシーティング剤の効果的な消泡に必要であった。
【0147】
<他の態様>
本発明を、その詳細な説明と組み合わせて記載したが、前記の説明は、例示を意図したものであり、そして添付の特許請求の範囲に規定する本発明の範囲を限定するものではない。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0148】
更に、上記で議論した全ての特許文献の内容は、その全体を参照することによって本明細書の内容とする。
【0149】
ここに与えた値と範囲、これらの値および範囲によって包含される全ての値と範囲は、本発明の範囲内に包含されることを意味している。更に、これらの範囲内に入る全ての値、ならびに値の範囲上限または下限もまた、本願によって想定されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)包装材を湿潤剤および抗菌剤から本質的になる組成物と接触させること、ここで該湿潤剤は、
(i)シーティング剤;
(ii)消泡剤;
(iii)1種もしくは2種以上の会合破壊剤;および
(iv)担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤とそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分、
から本質的になり、
(b)該包装材に、食品、飲料、薬品およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質を充てんすること;ならびに
(c)該包装材を封止すること;
を含んでなる、食品、飲料または薬品の無菌包装方法。
【請求項2】
前記接触させる工程が、前記組成物を、前記包装材に、前記包装材上に存在する微生物個体群を低減するのに十分な時間適用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、前記包装材に、少なくとも3秒間適用される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記接触させる工程が、前記組成物を前記包装材に、約0℃〜約100℃の範囲の温度で適用することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記シーティング剤が、式I:
R−O−(CHCHO)−H (I)
ここで、Rは(C〜C12)アルキル基、そしてnは1〜100の範囲の整数である、
で表される構造を有する少なくとも1種の化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
nが、15〜30の範囲の整数である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
nが、21である、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記消泡剤が、1個もしくは2個以上のエチレンオキシド基を含むポリマー化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記消泡剤が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはそれらの混合物から調製されるポリエーテル化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記消泡剤が、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体界面活性剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記1種もしくは2種以上の会合破壊剤が、アルコールアルコキシレートを含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記会合破壊剤のアルコキシレート部分が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ペンタレンオキシド、ヘキシレンオキシド、ヘプタレンオキシド、オクタレンオキシド、ノナレンオキシド、デシレンオキシドならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選ばれた、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも2種の会合破壊剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、少なくとも3種の会合破壊剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記シーティング剤と消泡剤と会合破壊剤の比が、約1.0:1.5:30〜約1:2:1である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記会合破壊剤が、前記組成物の接触角を、約5°〜約15°の範囲だけ減少させるのに有効な量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記抗菌剤が、過酸素化合物、過カルボン酸、ジカルボン酸のモノエステル、ジカルボン酸のジエステルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれた、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記湿潤剤が、前記組成物中に、約20ppm〜約2000ppmの量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、前記包装材を前記組成物と接触させる工程と、前記包装材を物質で充てんする工程との間に、すすぎ工程を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
(a)シーティング剤;
(b)消泡剤;
(c)少なくとも1種の会合破壊剤;ならびに
(d)担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分;
から本質的になる湿潤剤組成物。
【請求項21】
(a)湿潤剤組成物であって、
(i)シーティング剤;
(ii)消泡剤;
(iii)少なくとも1種の会合破壊剤;
(iv)担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分;
から本質的になる湿潤剤;ならびに
(b)抗菌剤、
から本質的になる組成物。
【請求項22】
(a)無菌包装使用溶液を形成すること;
(b)包装材を該無菌包装使用溶液と接触させること;
(c)該包装材を、食品、飲料、薬品およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた物質で充てんすること;ならびに
(d)該包装材を封止すること、
を含んでなる無菌包装方法。
【請求項23】
前記無菌包装使用溶液を形成する工程が、組成物を、約0.01質量%〜約10質量%の範囲の使用濃度に希釈することを含み、ここで該組成物が、湿潤剤および抗菌剤から本質的になる、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記湿潤剤が、
(a)シーティング剤;
(b)消泡剤;
(c)少なくとも1種の会合破壊剤;ならびに
(d)担体、ヒドロトロープ、キレート化剤/金属イオン封鎖剤およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた付加的な成分、
から本質的になる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記シーティング剤が、約0.1質量%〜約10質量%存在する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記シーティング剤が、約0.2質量%〜約5質量%存在する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記消泡剤が、約0.1質量%〜約10質量%存在する、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記消泡剤が、約0.2質量%〜約5質量%存在する、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記1種または2種以上の会合破壊剤が、約0.1質量%〜約25質量%の範囲で存在する、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記会合破壊剤が、約1質量%〜約20質量%の範囲で存在する、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記抗菌剤が、過酸素化合物、過カルボン酸、ジカルボン酸のモノエステル、ジカルボン酸のジエステルおよびそれらの混合物からなる群から選ばれた、請求項23記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【公表番号】特表2012−528047(P2012−528047A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512483(P2012−512483)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052130
【国際公開番号】WO2010/136926
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(510250467)イーコラブ ユーエスエー インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】