説明

無菌環境下でバイアルを製造する方法および装置

医薬バイアルの製造方法であって、バイアル10および密閉部20を個々のバイアルおよび密閉部鋳型30、40で並列に成形し、次に密閉部20およびバイアル10を自動的に一体に組み立て、それらをいずれも無菌環境で行う方法。その方法を行うための装置も提供される。本発明の方法および装置によって、内部が無菌である封止バイアルを作製することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な医薬バイアル製造方法に関する。医薬バイアルは、注射によって投薬される医薬品を入れるために広く用いられている。医薬品には、ヒトおよび動物の疾患および状態の予防または治療のための固体(例:凍結乾燥品)または液体(例:液剤)状態での薬剤およびワクチン、あるいは希釈剤および再生材料などがある。そのようなバイアルは通常、医学的に許容されるポリマー、特にはシクロオレフィン系コポリマー(「COC」)などの熱可塑性ポリマー、その混合物またはそれと他のポリマーとの混合物製であることができるバイアル本体を有する。そのようなポリマーの例は、例えば特にはUS−A−5723189、EP−A−0436372およびEP−A−0556034に開示されている。製薬業界で使用する上で許容される好適な硬質プラスチック材料は、シクロオレフィン系コポリマーであるセラニーズ社(Celanese Corporation)の「トパス(Topas)」である。バイアル本体は通常、一般に多くのものが公知であるエラストマー製の穿刺可能な密閉部によって密閉された口部開口部を有する。通常、医薬品内容物は、穿刺可能密閉部に中空の注射針を貫通させることによって、公知の方法でバイアルから抜き取られる。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマー(「TPE」)製の穿刺可能密閉部で密閉された空のバイアルを提供し;密閉部を貫通する中空針から、医薬品内容物をバイアルに入れ;針をバイアルおよび密閉部から抜き;例えばレーザー光によって穿刺部位周囲の密閉部材料を加熱することで残った穿刺穴を封止する方法が、EP−A−0678574およびWO−A−02/064439から公知である。密閉部分は、例えばデュポン−ダウ(Dupont-Dow)から供給される「エンゲージ(Engage)」およびシェル(Shell)から供給されていて以前は「クラトン(Kraton)」と称されていたが現在はGLS(USA)から入手可能な「ダイナフレックス(Dynaflex)」というポリマーの混合物製であることができ、この混合物はGLSが供給しており、色素(例:灰色)を含有することでレーザー光の吸収を高めて、レーザー光を用いてエラストマー材料を加熱できるようにしている。この方法では、バイアル本体内部および少なくともバイアル本体内部と接触する密閉部の部分を、医薬品内容物を導入する前に無菌状態としておくことが重要である。この方法で用いる場合、密閉部が取り付けられた空のバイアルを、バイアルに向かい、そのバイアルおよび密閉部材料を通過する放射線によって滅菌することができるが、その放射線滅菌法は、放射線源が必要であることからコストがかさみ、複雑になる。そのような方法に好適なバイアル、密閉部およびバイアル−密閉部の組合せが、WO−A−04/018317(2002年8月16日出願のGB0219152.6に基づくもの)に開示されており、その内容は参照によって本明細書に含まれるものとする。WO−A−02/064439には、例えば下側不融性部分および集束レーザーで熱封止可能な熱可塑性の上側部分を有する、そのような方法に好適なバイアル密閉部が開示されている。
【0003】
滅菌容器に滅菌環境内で滅菌内容物を充填する手順は、例えばFDAによって当業界で「無菌」法として知られている。すなわち「無菌」状態下で行う。本明細書で使用される「滅菌(無菌)」という用語および例えば「無菌の」というその派生語は、この分野での従来の基準によって判断される医学的に許容されるレベル以下である生存微生物レベルを指す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記無菌法での使用に好適な、穿刺可能密閉部によって密閉された口部を有し、内部が無菌状態である医薬バイアルを製造することができる方法を提供することにある。下記の開示内容から、本発明の方法の他の目的および利点が明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、医薬バイアルの製造方法は、
(1)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有するバイアル鋳型を提供する段階;
(2)成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて、前記バイアル鋳型空洞部でバイアルを成形する段階;
(3)前記バイアル鋳型を開けて、前記で形成されたバイアルを露出させる段階;
(4)前記で形成されたバイアル本体を前記バイアル鋳型から取り出す段階;
(5)自動機械式取扱手段を用いて前記で形成されたバイアル本体の前記口部開口部に無菌の穿刺可能密閉部を自動的に挿入する段階
を有し;
少なくとも段階(3)〜(5)を無菌条件下で行う。
【0006】
本発明の方法の好ましい実施形態は、
(1)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有するバイアル鋳型を提供する段階;
(2)成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて、前記バイアル鋳型空洞部でバイアルを成形する段階;
(3)前記バイアル鋳型を開けて、前記で形成されたバイアルを露出させる段階;
(4)前記で形成されたバイアルを前記バイアル鋳型から取り出す段階;
(6)前記医薬バイアルの前記口部開口部のための穿刺可能密閉部の形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有する密閉部鋳型を提供する段階;
(7)成形可能な医学的に許容されるエラストマーポリマーを用いて、前記密閉部鋳型空洞部に穿刺可能密閉部を成形する段階;
(8)前記密閉部鋳型を開けて、前記で形成された穿刺可能密閉部を露出させる段階;
(9)前記で形成された穿刺可能密閉部を前記密閉部鋳型から取り出す段階;
(5)前記で形成されたバイアルの前記口部開口部に前記で形成された穿刺可能密閉部を自動的に挿入する段階
を有し;
少なくとも段階(3)、(4)、(5)、(8)および(9)を無菌条件下で行う。
【0007】
本発明はまた、上記方法を行う装置をも提供する。そのような装置は、
(A)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する開放可能空洞部を内部に有し、成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いてバイアルを成形することができ、開けることで内部で成形されたバイアルを露出させることができるバイアル鋳型;
(B)第1の鋳型で成形した場合に医薬バイアル用の密閉部の形状を画定する開放可能空洞部を内部に有し、成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて密閉部を成形することができ、開けることで内部に成形された密閉部を露出させることができる密閉部鋳型;
(C)前記バイアル鋳型で製造されたバイアルの前記口部開口部に前記密閉部鋳型で製造された穿刺可能密閉部を挿入するよう構成された自動機械式取扱手段;
(D)無菌環境下で、前記バイアルおよび密閉部鋳型を開けることができ、個々のバイアルおよび密閉部を前記個々のバイアルおよび密閉部鋳型から取り出すことができ、前記密閉部をバイアルに挿入するように、(A)、(B)および(C)に関して無菌環境を提供する手段
を有することができる。
【0008】
本発明の方法および装置は、バイアルおよび密閉部を上述のような個々の好適なポリマーから個々の成形方法によって製造できるようにし、そして直ちにまたは製造後可能な限り早く、挿入前のバイアルおよび密閉部の汚染の可能性を最小限とする条件下で、前記密閉部をバイアルの口部に挿入できるようにすることで、上記の問題に対処するものである。本発明の方法では、成形と封止の間に保管場所に移動させることなく、無菌環境で、バイアルを作製し、次に密閉部による密閉を行うことから、封止前にバイアルが汚染する可能性がないか、非常に小さい。
【0009】
代表的な成形方法では、ポリマー、代表的には通常はペレットの形態で供給される上述のような熱可塑性ポリマーを高温処理して、ポリマーを溶融させ、鋳型に高圧によって押し込み、採用される典型的な温度および圧力条件は、一般にポリマーを汚染すると考えられるいかなる微生物も破壊することで、ポリマーを滅菌するのに十分な条件とする。
【0010】
本発明の方法で使用される鋳型、すなわち前記装置のバイアル鋳型および密閉部鋳型は、一方または両方とも、ガス圧によって、代表的にはいわゆるプレフォームからバイアルまたは密閉部を成形する射出ブロー鋳型であることができる。比較的大きいバイアルの場合には、射出ブロー成形が相対的に適している。あるいは、バイアルおよび密閉部鋳型は、一方または両方とも、最初に代表的には螺旋スクリューにより加熱および圧力によって固体ポリマーを流動化させ、次に加圧下で鋳型空洞部に押し込む射出鋳型であることができる。そのような射出鋳型は、いわゆるホットまたはコールドランナー鋳型であることができ、好ましくはホットランナー鋳型である。鋳型は、1個または好ましくは複数の空洞部であることができる。
【0011】
前記で形成されたバイアル、ひいてはバイアル鋳型空洞部の形状は、鋳型が容易に、すなわち「張り出し部」なしに開けられるよう設計しなければならない。バイアルに好適な形状は、内部および好ましくは外部が円筒管形状であり、口部開口部を画定する開放端と反対側の閉鎖端があり、口部開口部の外側周囲にフランジがある。内側円筒形状により、バイアルの円筒形内部を鋳型の相当する円筒形心金によって画定することができ、それからバイアルをスムーズに抜き取って、前記で形成されたバイアルを鋳型から分離することができる。外側では、下記でより詳細に説明する自動機械式取扱手段用の係合部分を持たせて、バイアルの閉鎖端を形成することができる。
【0012】
密閉部は単一のエラストマーを含むことができるか、あるいは密閉部は下側不融性部分および熱封止可能な熱可塑性上側部分を有するWO−A−02/064439に開示の種類のものとすることができ、密閉部鋳型はその種の密閉部を作るような構造とすることができる。
【0013】
バイアルおよび密閉部を作る上での成形方法ならびに鋳型の一般的な構成および操作は従来の通りとすることができ、使用される成形装置は、GMPのような製薬上許容される基準に準ずるものであることが好ましい。
【0014】
バイアルに好適な熱可塑性ポリマーは、上記のポリマーである。COCまたはCOC系ポリマーを用いると、代表的な2.5〜100mL容量のバイアルの製造において、約10〜15秒のサイクル時間を達成することができる。例えば、チコナ社(Ticona GmbH(DE))などから入手可能な公知のCOCポリマーであるトパス(Topas)8007を用いることができる。このポリマーの射出成形の条件は当業界では公知である。トパス8007は、ガラス転移温度約85℃を有し、使用する場合には、形成されたバイアルを、約70℃以下に冷える前に鋳型から排出することが好ましい。別のCOCポリマーはトパス6015であり、そのポリマーを使用する場合は、形成されたバイアルを、約110〜120℃以下に冷える前に鋳型から排出することが好ましい。離型剤を用いないことが好ましい。
【0015】
特には相対的に壁厚が大きく、熱伝導度が低いために密閉部の冷却および硬化に要する時間が長くなることから、エラストマー密閉部の成形におけるサイクル時間は、ポリマーバイアルの場合の時間より長くなり得ることが認められる。代表的には、15〜20秒のサイクル時間を達成することができる。そのため、バイアルおよび密閉部を同時成形法で作る場合、密閉部鋳型を、バイアル鋳型が作るバイアル数の複数倍作るようにすることができる。例えば、密閉部を、バイアルの2倍長い成形サイクル時間とすることで、それを十分に冷却することができる場合、密閉部の2倍の数のバイアルを作ることができる。例えば、各1密閉部成形サイクルに対して、2バイアル成形サイクルを行うことができる。
【0016】
段階(5)におけるバイアルの口部開口部への密閉部の自動挿入は好ましくは、バイアルおよび密閉部を鋳型から取り出した後、そして必要に応じて、挿入を容易にするためのバイアルおよび/または密閉部の位置再設定を行った後、できるだけ早く行う。この方法の好ましい実施形態では、密閉部を作る工程段階(7)〜(9)を、バイアルを作る段階(2)〜(4)と並列で行うことで、バイアル作製工程と密閉部作製工程を実質的に同時に行うことが好ましい。このようにして、バイアルを作ったらすぐに、それを密閉するための密閉部を使うことができ、密閉部を作ったらすぐに、それをバイアルに挿入する準備が整っている。それによって、バイアルおよび密閉部を係合に適した状態としたら直ちにまたは短時間のうちに、バイアルの作製と密閉部の作製を行うことができる。例えば、それらが十分に硬化および/または冷却したらバイアル口部へ密閉部を挿入し、バイアルおよび密閉部が無菌環境にある間にそれを行う。例えば、バイアル鋳型を10〜20秒間開けている間に、密閉部をバイアルと係合させることができる。従って、バイアルおよび密閉部を、成形操作において個々の鋳型で無菌状態で作製し、全て無菌環境内で係合させることができる。
【0017】
上記のように、バイアルおよび密閉部の成形における個々のサイクル時間は異なり得るものであり、一般的には密閉部の時間がバイアルの時間より長い。それを補償するため、密閉部を作製する鋳型は、バイアルを作製する鋳型より多い、好適には2倍の数の空洞部を有することができる。
【0018】
バイアルが円筒形内部を有する上記の円筒形状のものである場合、バイアル鋳型が射出鋳型である場合、そのような鋳型は好ましくは、バイアル鋳型を段階(3)で開けた時に、排出前に、心金によって画定される円筒形内部に延在するバイアル鋳型の円筒形心金部分によってバイアル鋳型上にバイアルが保持されるように構成されることから、円筒の長軸方向にバイアルを心金部分から滑らせて抜くことで、前記で形成されたバイアルを段階(4)で、バイアル鋳型から排出および取り出すことができる。バイアルおよび密閉部を作製するために段階(1)および(6)で提供されるバイアルおよび密閉部鋳型は好適には、一般には従来のものであることができるイジェクタ手段を有することで、前記で形成されたバイアルまたは密閉部を個々の鋳型から排出することができる。
【0019】
好ましくは段階(4)、(5)および(9)を、個々のバイアルおよび密閉部鋳型に形成されたバイアルおよび密閉部と解除可能に係合することができる自動取扱手段によって行って、形成されたバイアルおよび密閉部をそれらの個々の鋳型から取り出し、バイアルおよび密閉部を合体させて、バイアルを密閉部と係合させる。好ましくはそのような自動取扱手段は、複数のバイアルおよび密閉部と解除可能に係合し、複数のバイアルおよび密閉部をそれらの鋳型から取り出し、複数のバイアルおよび密閉部を合体させて、同時に複数のバイアルを複数の密閉部に係合させるように構成されている。
【0020】
自動取扱手段は、例えば個々のバイアルまたは密閉部鋳型からの排出の際または排出後に、形成されたバイアルまたは密閉部と解除可能に係合し、鋳型の周囲からそれを取り出すように構成されたロボットを有することができる。例えば、自動取扱機械は、鋳型に近い第1の位置と鋳型から遠い第2の位置の間で移動可能なロボットアームを有することができ、そのアームはバイアルまたは密閉部係合手段を有する。他の種類のロボットを用いることができる。好適なロボット機械は公知であって従来のものであり、そのような使用される機械は、製薬上許容されるGMP基準に準ずるものであることが好ましい。ストウブリ社(Staubli AG, (CH))が提供するロボットが好適であると考えられ、それはエレクトロニクス業界でシリコンウェハに関してクラス10で作業する能力を有する形で入手可能である。
【0021】
好ましくは、そのようなロボットなどの自動取扱手段を、例えばそれのアームにより、バイアルの密閉端、すなわち口部開口部から離れている端の外部と係合して、バイアル内部の汚染の可能性を低減し、その上好ましくは、密閉部が所定の位置にある時にはバイアル内部と接触しない密閉部の部分と係合することで、バイアル内部に露出している表面の汚染の可能性を低くする。
【0022】
そのようなロボットなどの自動取扱手段をバイアルまたは密閉部と解除可能に係合することができる好適な手段は、当業者には明らかであり、例えば把持ジョーなどがある。しかしながら、バイアルまたは密閉部を係合する手段が、バイアルまたは密閉部を引きつけて係合手段と接触させるようにする吸引手段を有することが好ましい。真空吸引手段はGMPに適合するものであり、ピンチフィンガーなどの複雑な機構を回避するものであって、クリーニングおよび保守が容易である。例えば前記自動取扱手段は、バイアルの密閉端の外部で係合部分と係合することができる。同様の機構を密閉部で用いることができる。
【0023】
吸引手段は、バイアルの外側部分、例えば成形バイアルの係合部分と係合することができ、そのような係合部分によってバイアルを保持することができる。同様に吸引手段は、密閉部がバイアルとともに組み立てられるときにバイアル内部と接触しない密閉部の部分と係合することができる。そのように係合した場合、自動取扱手段は、バイアルおよび密閉部をそれらの個々のバイアルおよび密閉部鋳型から取り出すことができる。
【0024】
本発明の方法および装置の好ましい形態では、密閉部と係合した取扱手段は、段階(5)でバイアル中に密閉部を導入することができ、その間にバイアルはさらに取扱手段によって係合される。取扱手段がバイアルまたは密閉部を放すことで、密閉部またはバイアルのいずれか、好ましくは密閉部と係合した取扱手段によって、係合したバイアルおよび密閉部を保持して、バイアルの係合部分を、その後の別の処理手段との係合のために妨害のない状態にしておくことができる。それに関しては、個々のバイアルおよび密閉部成形および自動取扱機構を、互いに隣接して配置することで、例えば一つの取扱ロボットが、別の取扱ロボットによって取り扱われるバイアルに密閉部を提供できるようにしても良い。
【0025】
バイアルおよび密閉部を組み立てた後、すなわち密閉部が段階(5)でバイアルの口部中に挿入された後、バイアルおよび密閉部の組立物を、例えば自動取扱機構によって自動的に別の処理ステーションに移動させることができ、そこで1以上の別の工程を組立物について、好ましくは自動的に、そしてやはり好ましくは無菌環境内で行うことができる。
【0026】
好ましい別の処理段階は、バイアルおよび密閉部の組立物と好適なクランプ手段とを係合させることで、クランプ手段を用いてバイアルに密閉部を固定するというものである。従来において密閉部は、バイアル口部開口部の縁に対して、あるいは口部開口部を囲むフランジに対して密閉部を押し当てるクランプ手段によってバイアルの口部上の所定位置に固定される。そのようなクランプは金属製であることができるが、プラスチック材料製のクランプ部分を用いることが好ましく、それはスナップ留めによって、例えばバイアルおよび密閉部を組み合わせたものに対するクランプ部分の相対的な下方向の動きによって、バイアルおよび密閉部と係合させることができる。そのようなクランプ部分の係合は、バイアルおよび密閉部の組み合わせたものをなおも無菌環境下とした状態で行うことができる。
【0027】
例えば上記のWO−A−04/018317に開示のように、クランプ部分をバイアルと、特には口部開口部の縁と係合させ、密閉部分の上側表面上に圧迫させて、口部開口部との密閉関係に密閉部分を保持できるようにすることができる。そのようなクランプ部分は、WO−A−04/018317に開示のように、クランプ部分をバイアルと係合させた時に、密閉部分の上側表面の領域が露出するような開口部を有することができる。上記のWO−A−04/018317に開示のカバー部分をクランプ部分および/またはバイアルと係合させて、密閉部分の前記領域を覆うことができ、そのように係合するとカバー部分の下側表面が密閉部部分の上側表面に向かい合う。WO−A−04/018317に開示のように、カバー部分は、そこから密閉された周囲に続く封止縁部の方に突出した封止尾根部を有していても良く、その結果カバー部分をクランプ部分および/またはバイアルと係合させた時に、封止縁部が密閉部部分と係合して、密閉部分を有する包囲部が形成され、カバー部分の少なくともその部分には、クランプ部分および/またはバイアルとの係合から着脱可能である封止尾根部がある。
【0028】
そのさらなる処理は、例えば密閉部がバイアル口部に挿入される箇所から離れる方へバイアルおよび密閉部の組立物を移動させるためのコンベアを有する自動機構を用いて行うこともできる。好適なコンベアの例が、WO04/026735に開示されている。
【0029】
段階(3)〜(5)、そして好ましい形態では段階(3)〜(5)および(8)および(9)は、無菌条件下で、すなわち装置の無菌環境中で行う。「無菌」とは、ヒト患者に後に注射するための医薬内容物をバイアルに充填する上での製薬業界またはワクチン業界での許容された基準に適合することを意味する。通常無菌状態は、クラスで定義され、例えばクラス100は比較的無菌度が高く、10000は無菌性が低いなどであるが、本明細書で使用される「無菌」という用語は、その地域の基準によって要求される環境純度の許容される基準を指す。そのような無菌性は、標準的な滅菌技術の使用および清浄化された空気環境中での操作によって達成することができる。
【0030】
例えば、下方向の空気層流によって提供される、例えばクラス100の無菌環境中で、個々のバイアルおよび密閉部鋳型を開けることができ、バイアルおよび密閉部を組み立てることができる(しかしながら、バイアルおよび栓用の個々のポリマーは、そのような環境の外部から個々の成形機中に入れることができ、成形条件はポリマーを滅菌するのに好適である)。段階(5)の自動取扱機構は、完全にその空気層流の環境中で動作させることができる。バイアルおよび密閉部が組み立てられることで内部の無菌性が保護されたら、上記のようなさらなる処理のための処理ステーションに組立物を移動させることができ、その処理も無菌環境中で行われるが、鋳型を開けたり、バイアルおよび密閉部組立物を組み立てる場合より低い無菌度、例えばクラス10000であっても良い。
【0031】
無菌の状態を維持するため、例えば、手順中のあらゆる時点で、バイアルまたは密閉部の部分で、鋳型または自動取扱機構または他の装置の任意の部分に対して無菌空気層流の下流となるところがないように、鋳型および自動取扱機構を構成および配置して、鋳型、機構または他の装置からバイアルまたは密閉部上に汚染が掃き寄せられる可能性を低下させることができる。例えば、下方向の層流を用い、段階(3)および(8)で鋳型を水平軸方向に開くようにすることができ、密閉部およびバイアルが段階(5)で一緒に水平方向に移動するように、自動取扱機構を構成することができる。
【0032】
射出成形機全体、例えばそのポリマー供給システム、圧縮スクリュー、ヒーターなどを無菌環境中とすることは必要ない場合があり、この機構を無菌環境の外に配置することができ、例えば鋳型および機構の直接隣接する部分のみを無菌環境内とする。
【0033】
本発明はまた、そのような方法によって作製された場合のバイアルおよび密閉部の組合せも提供する。
【0034】
本明細書で開示の方法は一般論として説明しているが、その範囲に含まれる全ての変形形態が本発明の範囲に包含されることは明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の方法および装置について、添付の図面を参照して、実施例によって説明するが、それに限定されるものではない。
【0036】
図1について説明すると、バイアル10およびエラストマー密閉部20が、分解構成(図1A)および組立構成(図1B)の両方で縦断面図にて示してある。見やすくするため、密閉部20とバイアル10との間の間隔を誇張して示してある。バイアル10は、外部および内部が円筒形管形状であり、そこでは開放端11が、フランジ13によって囲まれた口部開口部12を画定している。バイアル10は反対側の閉鎖端14を持ち、そこでは凹状形状の外側底表面15に、下記でさらに詳細に説明する自動機械式取扱手段用の係合部分がある。バイアル10はCOCポリマー製であり、密閉部20は熱可塑性エラストマー製である。
【0037】
密閉部20には、バイアル10の口部開口部12に適合してしっかりと嵌合するような形状および寸法を有する下側栓部分21、フランジ13に対して適合してしっかりと嵌合するような形状および寸法を有するフランジ22、そして上側ドーム状穿刺可能部分23がある。密閉部20は、図1に示したように、所定位置でバイアル口部12に嵌合しており、後述するようにクランプ部分61によって固定されることから、バイアル10内部の無菌性を保護する緊密な耐微生物シールを形成している。
【0038】
図2には、バイアル10を作製することができる射出鋳型30であるバイアル鋳型の一部を示してある。鋳型30は、2個の鋳型ブロック31、32を有し、その間で空洞部33が画定されており、その空洞部は分割線34で鋳型を分割することで開けることができ、バイアル10の形状を決めるものである。COCまたはCOC系ポリマーなどの流体ポリマーを、そのようなポリマーの射出成形に関して当業界で公知の適切な温度および圧力条件下で射出することができる射出口35がある。
【0039】
バイアル鋳型30は、代表的には複数の空洞部33を有するホットランナー多空洞鋳型である。バイアルの上記形状によって、形成されたバイアル10の鋳型からの取り出しを妨害する「張り出し部」がなくなるようになっていることがわかる。図3には、鋳型30でバイアル10を作製した時に、鋳型30を線34で分割して、バイアル10内部の円筒形状を画定する円筒形心金を有するブロック31の部分36上に、形成されたバイアル10をどのように保持することができるかを示してある。
【0040】
図4には、密閉部20を作製することができる射出鋳型40である密閉部鋳型の一部を示してある。鋳型40は、2個の鋳型ブロック41、42を有し、その間で空洞部43が画定されており、その空洞部は分割線44で鋳型を分割することで開けることができ、バイアル20の形状を決めるものである。流体エラストマーポリマーを、そのような材料に関して当業界で公知の適切な温度および圧力条件下で射出することができる射出口45がある。鋳型40は、代表的には複数の空洞部43を有するホットランナー多空洞鋳型である。密閉部20の上記形状によって、形成されたバイアル20の鋳型からの取り出しを妨害する「張り出し部」がなくなるようになっていることがわかる。
【0041】
図5には、鋳型40で密閉部20を作製した時に、鋳型を線44で分割して、密閉部20のドーム状内部形状を画定する心金を有するブロック41の部分46上に、形成された密閉部20をどのように保持することができるかを示してある。バイアルおよび密閉部鋳型30および40には、形成されたバイアル10および密閉部20を鋳型30、40から排出するための従来の排出機構(図示せず)もある。
【0042】
図6には、鋳型30および40の配置および操作を平面図で模式的に示してある。動的にクラス10000に維持された無菌領域50が、クリーンルームの壁51内に設けられている。通常は、バイアル10および密閉部20を作製するために個々に鋳型30、40へ流し込むための従来の射出成形機52、53が設けられる。これらの機械52、53は、ホットランナー機械であり、通常ポリマー材料の貯留部(図示せず)および従来の加熱装置などを有する従来のスクリュー押出機(図示せず)を有する。これらの機械は壁51を貫通して構成されていることから、領域50の外部から駆動、保守およびポリマー供給することができ、壁51と機械52、53との間は無菌封止されている。各機械52、53は、その個々の鋳型30、40が領域50内、そして下方向の無菌空気層流によってクラス100に維持されたサブ領域54内で上記のように開くように構成されている。
【0043】
各鋳型30、40は、個々の線34、44でそれが水平方向に開放および閉鎖されるように配置されている。すなわち表面37、47に対して垂直な軸方向に開くことで、開いた時の各鋳型の表面37、47が無菌の空気層流に対して平行な垂直面になることで、鋳型30、40のいずれかの部分が領域54で空気層流の上流となる可能性を低くするようになっている。鋳型30でCOCポリマーおよび従来の射出成形条件を用いると、代表的な2.5〜100mL容量バイアル10の製造において、サイクル時間約10〜15秒を達成することができる。本発明の方法では、両方の鋳型30および40を並行して動作させる。すなわちバイアル10および密閉部20を同時に作製する。相対的に壁が厚い密閉部20の方が冷却に要する時間が長いことから、密閉部20作製におけるサイクル時間は、バイアル10作製のためのサイクル時間より長い。その結果図7に示したように、密閉部20が作製される鋳型40には2倍の数の空洞部43がある。すなわち、バイアル10を作製する鋳型30のようにそれぞれ16個の空洞部43を有する列が4つで、64個の空洞部43が配列されており、鋳型30では、32個の空洞部33が、16個の空洞部33が2列になった状態で配列されている。
【0044】
図7には、個々のバイアル10および密閉部20を作製する空洞部33および43を隣接する列で互い違いに配列できる方法を示してある。空洞部33、43は、バイアル空洞部33の列の配列が、密閉部空洞部43の交互の列の配列に相当するようなパターンで配列されている。そのような配列によって、バイアル10のパターンを維持しながら、全てのバイアル10を、それに応じて配列された複数の取扱機構59によって同時に鋳型37から取り出すことができ、バイアル20のパターンを維持しながら、全ての密閉部20を、それに応じて配列された複数の取扱機構によって同時に鋳型47から取り出すことができる。次に、バイアル10および密閉部20の対応するパターンを維持しながら、複数の密閉部20をバイアル10と合体させることができる。上記で説明したように、密閉部20の方がバイアル10よりサイクル時間が長いことから、鋳型37は2回の成形サイクルを通過することができる。すなわち、上記のようにバイアル10を作製するのに2回使用することができ、一方で、バイアル10が入ったこれら2つの鋳型が必要とするものと同数の密閉部20を作製するのに1個の鋳型47を用いる。
【0045】
領域50内およびサブ領域54内での動作に、自動取扱機構55、56が提供されている。各機械55、56は、鋳型30、40が開いている時に個々の鋳型30、40に隣接する点線で示した第1の位置に移動することができるロボットアーム57、58を有する。各ロボットアーム57、58の手部分には、バイアルおよび密閉部を図1に示したように組み立てた時にバイアル10の内部と接触しないような、バイアル10および密閉部20のそれぞれの表面に対して相補的であって、その表面と吸引によって係合できる形状の図8および9に示した1以上の真空取扱手段59、510がある。バイアル10の場合、その表面はバイアルの外側凹状底部15であり、密閉部20の場合、その表面はドーム23の外側である。各真空取扱手段59、510には真空口511があり、そこから真空にすることができる。各アーム57、58が個々の鋳型30、40に隣接して移動するに連れて、アーム57、58がバイアル10または密閉部20の前記表面と接触し、真空取扱手段59、510がバイアル10または密閉部20に係合する。次に、各鋳型に付随する排出機構(図示せず)を動作させることで、形成されたバイアルおよび密閉部を個々の鋳型30、40から取り出すことができる。
【0046】
次に、アーム57、58を個々の鋳型30、40から離れるように移動させることで、形成されたバイアル10および密閉部20を個々のバイアルおよび密閉部鋳型30、40から運搬する。
【0047】
次に、各ロボットアーム57、58は、個々の真空取扱手段59、510および個々のバイアル10および密閉部20が互いに隣接する図6で実線で示した第2の位置まで移動する。図10に、取扱手段59、510のこの動作をより詳細に示してある。バイアル10の係合部分15と係合した真空取扱手段59ならびに密閉部20と係合した真空取扱手段510が、下側栓部分21がバイアル10の口部12に隣接し、それと同軸となるまで、相対的に移動する。次に、バイアル10および密閉部20が一緒に移動して、密閉部20をバイアル10の口部12に挿入する。この挿入動作は、サブ領域54内で行われる。手段59、510を、ロボットアーム57、58の手部分57A、58Aと係合できる部分組立物として作製できる方法が、図10でわかる。
【0048】
図5に示した複数空洞部鋳型30、40を用い、複数の取扱手段510を使って、32個の形成された密閉部30を鋳型40から取り出し、上記のように鋳型30で形成された32個の相当するバイアル10中にそれらを挿入する。個々の密閉部20およびバイアル10は、個々の鋳型30、40で列状の対応する配列を有することから、密閉部20の配列を維持しながら、2つの交互の密閉部20の列を図7に示したように鋳型40から同時に取り出し、対応するバイアル10に挿入することができる。
【0049】
全てのバイアル20を鋳型30から取り出したら、鋳型30を閉じて図2に示した配列を再形成し、さらに32個のバイアル10を射出成形によって作製し、鋳型30を開け、鋳型40にある32個の密閉部20の残った交互列を用いて、上記のようなそれらのバイアルへの密閉部20の挿入手順を繰り返す。64個の密閉部20全てを鋳型40から取り出したら、鋳型40を閉じて、図4に示した配列を再形成し、さらに64個の密閉部を上記の方法に従って作製する。
【0050】
図11でわかるように、形成されたバイアル10を係合させる取扱手段59がバイアル10を放すことで、密閉部20を保持する取扱手段510がバイアルおよび密閉部10、20の組立物を保持し、この組立物をさらに操作し、ロボットアーム57Aによってそのように保持しながら、別の処理ステーションに移動させることができる。
【0051】
上記のようにバイアル10および密閉部20を組み立てた後、バイアル10および密閉部20の組立物を別の処理ステーション60に移動させることができる。バイアルおよび密閉部の組合せ10、20を取扱機構57、58によって垂直方向に再整列させることができる。図11に示したように密閉部20で組立物10、20を保持することで、バイアル10の係合部分15に妨害がなくなることから、バイアル10の係合部分15を別の処理機構60の対応する係合部分(図示せず)と係合させることができる。そのような別の処理機構は、WO−A−04/026735に開示の種類のものであることができるコンベア70を有することができ、そこで示されている部分25はバイアル10の係合部分15と係合させることができ、その部分を次に、そこに示されている部分30でコンベア上に押し下げる。そのようなコンベア70上に、組立物10、20をそのように保持すると、その組立物はさらなる処理用に固定される。
【0052】
この別の処理ステーション60は、クランプ部分61が、例えばWO−A−04/018317に開示されているように、組立物10、20上に嵌合されることで、密閉部20を所定位置に保持することができ、バイアル10および密閉部20の組立物上に嵌合させることができるステーションであっても良い。図12には、口部開口部に密閉部20を有するバイアル10と、WO−A−04/018317に開示の種類のクランプ部分61との組み合わせたものを示してある。クランプ部分61は、弾性プラスチック材料のほぼ環形状の部材を有するものであり、その部材には、フランジ13の上を相対的に下方向に移動した時にバイアル10の口部開口部12周囲のフランジ13の下に弾性的にスナップ留めされ、クランプ部分の上側部分を密閉部20に対して下方向にしっかりと保持するような構成となっているスナップ留め係合歯62がある。クランプ部分61には溝63もあり、それによってWO−A−04/018317に開示された種類のカバー部分(図示せず)をクランプ手段61と係合させることができる。この別の処理ステーションはサブ領域54内に示してあるが、この時点ではバイアル10は密閉部20によって閉じられていることから、例えば領域50のように外側にあっても良い。
【0053】
クランプ部分61をバイアル10および密閉部20の組合せ物と係合させた後、それらをコンベアシステム70によって移動させることができ、それによって、例えば、それぞれバイアル充填ステーションおよびバイアル封止ステーションであることができる別の処理ステーション601、602でのさらに別の処理を行うために、バイアルをロボット55、56から離れて移動させる。
【0054】
自動取扱機構55、56、57、58などは従来のものであっても良く、好適な機構は当業者には明らかであろう。旋回式のロボットアーム55、56を示しているが、X−Y−Z軸ピック・アンド・プレイスロボットなどの他の種類および動きのロボットアームを用いることが可能である。鋳型30、40およびロボットアーム55、56の構成および配列においては、鋳型30、40またはアーム55、56のいかなる部分も、無菌空気流において、それによって作製または取り扱いされるバイアルまたは密閉部の上流になることが全くないようにして、鋳型30、40またはアーム55、56から個々のバイアルまたは密閉部に向かう空気層流によって運ばれる粒子により、バイアル−密閉部組立物が汚染される可能性を回避することが重要である。
【0055】
無菌領域50および54により、上記工程を無菌条件下で行うことができ、領域50で無菌状態を維持できて、オペレータや材料の領域50への進入はエアロック512、513を介したものとすることができることは明らかであろう。バイアル10および密閉部20の両方をこれらの成形方法で作製することで、使用されるポリマーは、そのポリマーを汚染すると考えられる微生物を破壊する高温・高圧に曝される。バイアル10は製造直後に無菌環境54にて密閉部20で封止されることから、封止前にバイアルが汚染される可能性は全くないか非常にわずかである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】分解した場合での縦断面図でのバイアルおよび密閉部を示す図である。
【図1B】組み立てた場合での縦断面図でのバイアルおよび密閉部を示す図である。
【図2】バイアルを作製するためのバイアル鋳型を示す図である。
【図3】開放状態の図2のバイアル鋳型を示す図である。
【図4】密閉部を作製するための密閉部鋳型を示す図である。
【図5】開放状態の図4の密閉部鋳型を示す図である。
【図6】本方法を行うための設備の配置を示す図である。
【図7】鋳型空洞部の配置を示す図である。
【図8】バイアル用の真空把持手段を示す図である。
【図9】密閉部用の真空把持手段を示す図である。
【図10】バイアルおよび密閉部を組み立てる機械式取扱手段を示す図である。
【図11】バイアルおよび密閉部の組立物の取り扱いを示す図である。
【図12】バイアルおよび密閉部の組み合わせたものに適合したクランプ手段を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
10 バイアル
11 開放端
12 口部開口部
13 フランジ
14 閉鎖端
15 外側底部表面の側面
20 エラストマー密閉部
21 下側栓部分
22 フランジ
23 上側ドーム状穿刺可能部
30 射出鋳型の一部
31、32 2個の鋳型ブロック
33 空洞部
34 分割線
35 射出口
36 心金
37 表面
40 射出鋳型
41、42 鋳型ブロック
43 空洞部
45 射出口
46 心金
47 表面
50 無菌領域
51 無菌領域の壁
52、53 射出成形機
54 サブ領域
55、56 自動取扱機構
57、58 ロボットアーム
59、510 真空取り扱い
511 真空口
512、513 エアロック
60 クランプ部分を嵌合させるためのさらなる処理ステーション
601、602 別の処理ステーション
61 クランプ部分
62 スナップ留め歯
63 スナップ留め溝
70 コンベア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬バイアルの製造方法において、
(1)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有するバイアル鋳型を提供する段階;
(2)成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて、前記バイアル鋳型空洞部でバイアルを成形する段階;
(3)前記バイアル鋳型を開けて、前記で形成されたバイアルを露出させる段階;
(4)前記で形成されたバイアル本体を前記バイアル鋳型から取り出す段階;
(5)自動機械式取扱手段を用いて前記で形成されたバイアル本体の前記口部開口部に無菌の穿刺可能密閉部を自動的に挿入する段階
を有し;
少なくとも段階(3)〜(5)を無菌条件下で行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
(1)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有するバイアル鋳型を提供する段階;
(2)成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて、前記バイアル鋳型空洞部でバイアルを成形する段階;
(3)前記バイアル鋳型を開けて、前記で形成されたバイアルを露出させる段階;
(4)前記で形成されたバイアルを前記バイアル鋳型から取り出す段階;
(6)前記医薬バイアルの前記口部開口部のための穿刺可能密閉部の形状を画定する、内部に開放可能空洞部を有する密閉部鋳型を提供する段階;
(7)成形可能な医学的に許容されるエラストマーポリマーを用いて、前記密閉部鋳型空洞部で穿刺可能密閉部を成形する段階;
(8)前記密閉部鋳型を開けて、前記で形成された穿刺可能密閉部を露出させる段階;
(9)前記で形成された穿刺可能密閉部を前記密閉部鋳型から取り出す段階;
(5)前記で形成されたバイアルの前記口部開口部に前記で形成された穿刺可能密閉部を自動的に挿入する段階
を有し;
少なくとも段階(3)、(4)、(5)、(8)および(9)を無菌条件下で行う請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイアルおよび密閉部の一方または両方が射出成形によって作製され、その成形では最初に固体ポリマーを、代表的には螺旋スクリューによって加熱および加圧することで流動化し、次に前記鋳型空洞部中に加圧下で押し込む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記バイアル鋳型空洞部を、内部に円筒管形状を有し、口部開口部を画定する開放端と反対側の閉鎖端を持ち、前記口部開口部周囲の外部にフランジを有するバイアルを作製する形状とする請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記バイアル鋳型空洞部を、自動機械式取扱手段との係合に適した係合部分を持った閉鎖端を有するバイアルを作製する形状とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
シクロオレフィン系熱可塑性ポリマーを用いてバイアルを作製する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記密閉部鋳型を、前記バイアル鋳型によって作製されるバイアルの数の倍数を作製するよう構成する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
段階(4)、(5)および(9)を、前記個々のバイアルおよび密閉部鋳型で形成される前記バイアルおよび密閉部と解除可能に係合し、前記形成されたバイアルおよび密閉部をそれらの鋳型から取り出し、バイアルと密閉部を合体させてバイアルを密閉部と係合させることができる自動取扱手段によって行う請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記自動取扱手段が、複数のバイアルおよび密閉部と解除可能に係合され、複数のバイアルおよび密閉部をそれらの鋳型から取り出し、複数のバイアルおよび密閉部を合体させて複数のバイアルを複数の密閉部と同時に係合させるように構成されている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記自動取扱手段が前記バイアルの前記閉鎖端の外部と係合し、前記密閉部が所定位置にある時には前記バイアルの内部と接触しない前記密閉部の一部と係合する請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記自動取扱手段が、前記バイアルまたは密閉部を引きつけて前記自動取扱手段の係合手段と接触させる吸引手段によって、前記バイアルまたは密閉部と解除可能に係合する請求項8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
密閉部と係合した前記取扱手段が、段階(5)でバイアル中に前記密閉部を導入し、その間に前記バイアルも取扱手段によって係合される請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記取扱手段が前記バイアルを解除することで、前記係合したバイアルおよび密閉部が、前記密閉部と係合した前記取扱手段によって保持される請求項12に記載の方法。
【請求項14】
段階(5)でのバイアルおよび密閉部の組み立ての後、その組立物を別の処理ステーションに自動的に移動させ、そこで前記組立物について1以上の別の処理を行う請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法を行うための装置であって、
(A)口部開口部を有する医薬バイアルの形状を画定する開放可能空洞部を内部に有し、成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いてバイアルを成形することができ、開けることで内部に成形されたバイアルを露出させることができるバイアル鋳型;
(B)第1の鋳型で成形した場合に医薬バイアル用の密閉部の形状を画定する開放可能空洞部を内部に有し、成形可能な医学的に許容されるポリマーを用いて密閉部を成形することができ、開けることで内部に成形された密閉部を露出させることができる密閉部鋳型;
(C)前記バイアル鋳型で製造されたバイアルの前記口部開口部に前記密閉部鋳型で製造された穿刺可能密閉部を挿入するよう作製された自動機械式取扱手段;
(D)無菌環境下で、前記バイアルおよび密閉部鋳型を開けることができ、個々のバイアルおよび密閉部を前記個々のバイアルおよび密閉部鋳型から取り出すことができ、前記密閉部をバイアルに挿入できるように、(A)、(B)および(C)に関して無菌環境を提供する手段
を有する装置。
【請求項16】
前記バイアル鋳型および密閉部鋳型の一方または両方が射出鋳型であり、そこでは最初に固体ポリマーを、代表的には螺旋スクリューによって加熱および加圧することで流動化し、次に前記鋳型空洞部中に加圧下で押し込む請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記バイアル鋳型空洞部が、自動機械式取扱手段との係合に適した係合部分を持つ閉鎖端を有するバイアルを作製する形状となっている請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記密閉部鋳型が、前記バイアル鋳型によって作製されるバイアルの数の倍数を作製するよう構成されている請求項15、16または17に記載の装置。
【請求項19】
段階(4)、(5)および(9)を行うために、前記個々のバイアルおよび密閉部鋳型で形成される前記バイアルおよび密閉部と解除可能に係合し、前記形成されたバイアルおよび密閉部をそれらの鋳型から取り出し、バイアルと密閉部を合体させてバイアルを密閉部と係合させることができる自動取扱手段が設けられた請求項15〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記自動取扱手段が、複数のバイアルおよび密閉部と解除可能に係合され、複数のバイアルおよび密閉部をそれらの鋳型から取り出し、複数のバイアルおよび密閉部を合体させて複数のバイアルを複数の密閉部と同時に係合させるように構成されている請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記自動取扱手段が、前記バイアルの前記閉鎖端の外部と係合し、前記密閉部が所定位置にある時には前記バイアルの内部と接触しない前記密閉部の一部と係合するよう構成されている請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記自動取扱手段が、前記バイアルまたは密閉部を引きつけて前記自動取扱手段の係合手段と接触させる吸引手段によって、前記バイアルまたは密閉部と解除可能に係合するよう構成されている請求項19、20または21に記載の装置。
【請求項23】
前記取扱手段が、段階(5)で前記取扱手段によって係合された密閉部をバイアル中に導入し、その間に前記バイアルも取扱手段によって係合されるよう構成されている請求項19〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記取扱手段が、前記バイアルを解除することで、前記係合したバイアルおよび密閉部が、前記密閉部と係合した前記取扱手段によって保持されるよう構成されている請求項23に記載の装置。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図9】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2009−513381(P2009−513381A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518145(P2006−518145)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007503
【国際公開番号】WO2005/005128
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(305060279)グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム (169)
【Fターム(参考)】