説明

無電極放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具

【課題】無電極放電灯の大型化や長尺化を図りながらも、安定な出力が得られ、回路部品にかかる電気的なストレスが小さく、且つ、高い発光効率を維持することが可能な無電極放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】放電ガスが封入されたバルブ1を具備する無電極放電灯16を点灯させる無電極放電灯点灯装置であって、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる複数の誘導コイル4と、複数の誘導コイル4への通電を交互に切り替える切替部29とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電極放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、透光性のバルブに放電ガスである希ガス(例えば、アルゴンガス、クリプトンガスなど)および水銀が封入された無電極放電灯が知られている。また、上述の無電極放電灯と、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる誘導コイルとを備えた無電極放電灯点灯装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献1には、上述の無電極放電灯点灯装置を備えた照明器具も提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された無電極放電灯点灯装置は、例えば、図5に示すように、交流電源53を電源として直流電力を生成する直流電源部50と、直流電源部50の出力端間に接続された2つのスイッチング素子Q1,Q2の直列回路と両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする駆動部51とで構成されたスイッチング部52とを備えている。
【0004】
また、図5に示した構成の無電極放電灯点灯装置は、2つの無電極放電灯La1,La2にそれぞれ近接配置される誘導コイル54,55を具備する2つの共振負荷部56,57と、駆動部51が両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする周波数(以下、動作周波数と称する)を制御する制御部58とを備えている。
【0005】
共振負荷部56,57は、それぞれ異なる共振周波数fr1,fr2(図6参照)となるように構成されており、共振負荷部56の共振周波数fr1は、共振負荷部57の共振周波数fr2よりも高く設定されている。また、共振負荷部56,57は、無電極放電灯La1,La2の点灯を維持するために最低限必要な電力Woff(図6参照)以上の電力が供給され、各無電極放電灯La1,La2を点灯維持することが可能な周波数の範囲それぞれが互いに重ならないように構成されている。なお、図6中に示す矢印A1は、無電極放電灯La1を点灯維持することが可能な周波数の範囲(fl1〜fh1)を示し、図6中に示す矢印A2は、無電極放電灯La2を点灯維持することが可能な周波数の範囲(fl2〜fh2)を示す。
【0006】
制御部58は、図7に示すように、駆動部51(図5参照)が両スイッチング素子Q1,Q2(図5参照)を交互にオンする動作周波数を、各共振周波数fr1,fr2を含む掃引周波数の範囲内で掃引を繰り返す。また、制御部58は、動作周波数の掃引を1秒間に100回以上繰り返す。なお、図6および図7中に示す矢印A3は、各共振周波数fr1,fr2を含む掃引周波数の範囲を示す。
【0007】
また、特許文献1には、無電極放電灯の高出力化に伴う無電極放電灯の大型化や長尺化を図るために、図8に示すように、1つの無電極放電灯La3に2つの誘導コイル54,55を近接配置するようにした無電極放電灯点灯装置が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−302838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図8に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、駆動部51が両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする動作周波数を、各共振周波数fr1,fr2を含む掃引周波数の範囲A3(図7参照)内で掃引を繰り返すことによって、無電極放電灯La3を点灯させることが可能となる。また、図8に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、制御部58が、動作周波数の掃引を1秒間に100回以上繰り返すことで、無電極放電灯La3の点灯中のちらつきを抑制することが可能となる。
【0010】
しかしながら、図8に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、無電極放電灯La3を点灯させることができるが、駆動部51が両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする動作周波数を、各共振周波数fr1,fr2を含む掃引周波数の範囲A3内で掃引を繰り返すので、各共振負荷部56,57にそれぞれ供給される高周波電力の大きさを調整することが難しく、無電極放電灯La3から放射される可視光の出力を調整することが困難となる。また、図8に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、当該無電極放電灯点灯装置を構成する回路部品の特性のばらつきに起因して、無電極放電灯La3から放射される可視光の出力にばらつきが発生する。さらに、図8に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、駆動部51が両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする動作周波数を、各共振周波数fr1,fr2を含む掃引周波数の範囲A3内で掃引を繰り返す際に、無電極放電灯点灯装置を構成する回路部品にかかる電気的なストレスが大きくなるので、耐圧性能や耐大電流性能のよい回路部品を採用する必要があり、コストアップの要因となる。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、無電極放電灯の大型化や長尺化を図りながらも、安定な出力が得られ、回路部品にかかる電気的なストレスが小さく、且つ、高い発光効率を維持することが可能な無電極放電灯点灯装置およびそれを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無電極放電灯点灯装置は、放電ガスが封入されたバルブを具備する無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置であって、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる複数の誘導コイルと、前記複数の誘導コイルへの通電を交互に切り替える切替部とを設けてなることを特徴とする。
【0013】
本発明の照明器具は、前記無電極放電灯点灯装置を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の無電極放電灯点灯装置においては、無電極放電灯の大型化や長尺化を図りながらも、安定な出力が得られ、回路部品にかかる電気的なストレスが小さく、且つ、高い発光効率を維持することが可能となる。
【0015】
本発明の照明器具においては、無電極放電灯の大型化や長尺化を図りながらも、安定な出力が得られ、回路部品にかかる電気的なストレスが小さく、且つ、高い発光効率を維持することが可能な前記無電極放電灯点灯装置を備えた照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の無電極放電灯点灯装置の概略説明図である。
【図2】同上の無電極放電灯点灯装置の回路図である。
【図3】同上の無電極放電灯点灯装置の動作説明図である。
【図4】同上の無電極放電灯点灯装置を備えた照明器具を示す概略側面図である。
【図5】従来例における無電極放電灯点灯装置の回路図である。
【図6】同上の無電極放電灯点灯装置において、動作周波数と共振負荷部に供給される高周波電力との関係を示す説明図である。
【図7】同上の無電極放電灯点灯装置における動作周波数の説明図である。
【図8】同上の無電極放電灯点灯装置の他の構成例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態の無電極放電灯点灯装置に用いられる無電極放電灯を説明した後に、本実施形態の無電極放電灯点灯装置を、図1および図2を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置に用いられる無電極放電灯は、図1に示すように、放電ガスである不活性ガス(例えば、ネオンガスなど)および水銀蒸気が封入された管体を閉ループ状の形としたバルブ1と、バルブ1の内側に配置された磁性体からなるコア11とを備えている。なお、バルブ1に封入された不活性ガスは、ネオンガスに限らず、例えばアルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどであってもよい。また、バルブ1に封入された水銀蒸気に代えて、例えばナトリウム、カドミウム、亜鉛などの金属蒸気を封入してもよい。
【0019】
バルブ1は、透光性材料であるガラスなどで形成されており、バルブ1の内壁面側に、高周波電磁界の作用による不活性ガスの放電により発生した紫外線を可視光に変換する蛍光体膜(図示せず)が設けられている。
【0020】
コア11は、例えば亜鉛、マンガン、ニッケル、鉄などの金属化合物で形成されている。
【0021】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、無電極放電灯16のコア11の少なくとも一部に巻回されて高周波電流が通電されることで高周波電磁界を発生させる複数(図1では、2個)の誘導コイル4と、各誘導コイル4に高周波電流を通電してバルブ1内にプラズマP1を発生させる主点灯回路部14とを備えている。
【0022】
各誘導コイル4は、例えば、めっき線やリッツ線などで形成されている。また、各誘導コイル4は、バルブ1内に発生するプラズマP1が広く分布できるように配置されている。なお、主点灯回路部14と一方の誘導コイル4(以下、説明の便宜上、第1のコイル4aと称することもある)とは、第1の電線15aを介して電気的に接続されており、主点灯回路部14と他方の誘導コイル4(以下、説明の便宜上、第2のコイル4bと称することもある)とは、第2の電線15bを介して電気的に接続されている。さらに、図1に示した構成の無電極放電灯点灯装置では、誘導コイル4を2つ備えているが、誘導コイル4の個数はこれに限らず、3つ以上備えてもよい。
【0023】
ここで、主点灯回路部14から供給される高周波電力の大きさ、高周波電流の周波数、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bの巻き数や巻き方向は、バルブ1内にプラズマP1が発生し且つ維持されるように設定されている。例えば、主点灯回路部14から供給される高周波電力が300W、高周波電流の周波数が135kHz程度、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bの巻き数が30ターン、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bの巻き方向は右回りもしくは左回りどちらであっても構わない。
【0024】
以下、本実施形態の無電極放電灯点灯装置の主点灯回路部14について、図2を参照しながら説明する。なお、図1に示した構成の無電極放電灯点灯装置と同様の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0025】
主点灯回路部14は、図2に示すように、交流電源19を電源として直流電力を生成する直流電源部20と、直流電源部20の出力端間に接続された2つのスイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする駆動部21を具備するスイッチング部22とを備えている。
【0026】
また、図2に示した構成の主点灯回路部14は、無電極放電灯16に近接配置された第1のコイル4aおよび第2のコイル4bに接続された共振回路部24と、駆動部21が両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンするための周波数(以下、動作周波数と称する)を制御する制御部25とを備えている。
【0027】
さらに、図2に示した構成の主点灯回路部14は、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が所定の電力になるように動作周波数を制御するフィードバック回路部26を備えている。
【0028】
直流電源部20は、交流電源19から供給された交流電圧を全波整流するダイオードブリッジ27と、ダイオードブリッジ27で全波整流された交流電圧を平滑する平滑コンデンサC1と、ダイオードブリッジ27の高電位側の出力端と平滑コンデンサC1のプラス側との間に接続されたインダクタL1とダイオードD1とで構成された直列回路と、インダクタL1とダイオードD1との接続点にドレイン側が接続され、ソース側が接地されたMOSFETなどの半導体スイッチからなるスイッチング素子Q3と、スイッチング素子Q3のゲート側に接続されスイッチング素子Q3をオンオフすることで平滑コンデンサC1の両端間の電圧VDCを制御する電圧制御部28とを備える昇圧回路である。なお、ダイオードブリッジ27の低電位側および平滑コンデンサC1のマイナス側はそれぞれ接地されている。
【0029】
共振回路部24は、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bの一端側に接続されたインダクタLs1とコンデンサCs1とで構成された直列回路と、インダクタLs1とコンデンサCs1との接続点に高電位側が接続され、低電位側が接地されたコンデンサCp1と、コンデンサCp1の低電位側と第1のコイル4aおよび第2のコイル4bの他端側とに接続され、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bへの通電を交互に切り替える切替部29とを備えている。
【0030】
切替部29は、MOSFETなどの半導体スイッチで構成され、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bへの通電を交互に切り替える周波数(切替え周波数)が、数百Hz〜数kHzとなるように設定されている。
【0031】
スイッチング部22は、直流電源部20の平滑コンデンサC1の両端間に接続されたMOSFETなどの半導体スイッチからなるスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2で構成された直列回路と、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のゲート側にそれぞれ接続された駆動部21とを備えている。なお、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点は、共振回路部24のインダクタLs1に接続されている。
【0032】
制御部25は、出力する電流Iswに応じた周波数で両スイッチング素子Q1,Q2を交互にオンする駆動部21を制御する周波数制御部30と、例えばPWM信号を出力するPWM回路からなる電流供給部31とを備えている。
【0033】
周波数制御部30は、ダイオードD2と抵抗R3とで構成された直列回路を介して、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。オペアンプOP1のマイナス側の入力端子(反転入力端子)は、コンデンサC3と抵抗R4とで構成された並列回路を介して、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。また、オペアンプOP1の反転入力端子は、抵抗R5を介して接地されている。オペアンプOP1のプラス側の入力端子(非反転入力端子)には、高電位側が接続されたコンデンサC2が接続されている。
【0034】
電流供給部31は、抵抗R1と抵抗R2とで構成された直列回路を介して接地されている。また、抵抗R1と抵抗R2との接続点は、コンデンサC2の高電位側に接続されている。なお、電流供給部31は、直流電源部20のコンデンサC1のプラス側に接続されており、コンデンサC2を充電可能となっている。
【0035】
コンデンサC2の両端間には、抵抗R6とMOSFETなどの半導体スイッチからなるスイッチング素子Q4とで構成された直列回路が接続されている。スイッチング素子Q4のゲート側は、抵抗R7とダイオードD3とで構成された直列回路を介して、周波数制御部30に接続されている。また、スイッチング素子Q4のゲート側と抵抗R7との接続点は、抵抗R8を介して接地されている。なお、スイッチング素子Q4は、電流供給部31から出力されるPWM信号がローレベルの場合に、周波数制御部30から出力される制御電流Ionによってオンされる。
【0036】
フィードバック回路部26では、制御部25のダイオードD2と周波数制御部30との接続点が、ダイオードD4と抵抗R8とで構成された直列回路を介して、オペアンプOP2の出力端子に接続されている。また、オペアンプOP2の出力端子は、抵抗R9とコンデンサC4とで構成された並列回路を介して、オペアンプOP2のマイナス側の入力端子(反転入力端子)に接続されている。さらに、オペアンプOP2のプラス側の入力端子(非反転入力端子)には、所定の基準電圧を供給する直流電源Vr1が接続されている。また、コンデンサC4とオペアンプOP2の反転入力端子との接続点は、抵抗R10を介して、スイッチング部22のスイッチング素子Q2のソース側と共振回路部24に供給される電圧を検出するための検出抵抗Rdとの接続点に接続されている。
【0037】
以下、本実施形態の無電極放電灯点灯装置の動作を、図2を参照しながら説明する。
【0038】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、制御部25の電流供給部31から出力されるPWM信号がハイレベルの場合に、抵抗R1と抵抗R2とで分圧された電圧によって、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2が充電されると、オペアンプOP1から出力される出力電圧が徐々に上昇する。オペアンプOP1から出力された出力電圧が徐々に上昇すると、周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が減少する。周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が減少すると、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される動作周波数が徐々に低くなり、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が徐々に高くなる。
【0039】
一方、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、制御部25の電流供給部31から出力されるPWM信号がローレベルの場合に、抵抗R2を介してコンデンサC2が放電される。コンデンサC2が放電されると、オペアンプOP1から出力される出力電圧が徐々に下降する。オペアンプOP1から出力された出力電圧が徐々に下降すると、周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が増加する。周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が増加すると、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される動作周波数が徐々に高くなり、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が徐々に低くなる。ここにおいて、制御部25のスイッチング素子Q4は、周波数制御部30から出力される制御電流Ionによってオンされることで、コンデンサC2が抵抗R6を介して放電される。
【0040】
したがって、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、制御部25のコンデンサC2が充放電を繰り返すことによって、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に高周波電力が供給され、無電極放電灯16が点灯する。
【0041】
ここで、フィードバック回路部26は、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が直流電源Vr1の上記基準電圧よりも高くなると、フィードバック回路部26のオペアンプOP2から出力される出力電圧が徐々に下降し、周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量を増加させるように作用する。周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が増加すると、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される動作周波数が徐々に高くなり、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が徐々に低くなる。また、フィードバック回路部26は、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が直竜電源Vr1の上記基準電圧よりも低くなると、フィードバック回路部26のオペアンプOP2から出力される出力電圧が徐々に上昇し、周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量を減少させるように作用する。周波数制御部30から出力される電流Iswの電流量が減少すると、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される動作周波数が徐々に低くなり、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が徐々に高くなる。したがって、フィードバック回路部26は、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に供給される高周波電力が所定の電力になるように動作周波数を制御することが可能となる。その結果、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、当該無電極放電灯点灯装置を構成する回路部品の特性のばらつきに起因して無電極放電灯16から放射される可視光の出力のばらつきを抑制し、無電極放電灯16の安定な光出力が得られる。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、回路部品にかかる電気的なストレスが小さくなるので、従来よりも耐圧性能や耐大電流性能の低い回路部品を用いることが可能となる。
【0042】
本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、図3に示すように、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの通電を、共振回路部24の切替部29(図2参照)で交互に切り替えることによって、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に上記高周波電流が通電され、第1のコイル4aによる無電極放電灯16の光出力と第2のコイル4bによる無電極放電灯16の光出力とを交互に繰り返す。また、本実施形態の無電極放電灯点灯装置では、図3に示すように、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に所定の電力が供給されなくなった直後に、バルブ1の内壁面側に設けられた上記蛍光体膜による残光が発生する。したがって、本実施形態の無電極放電灯点灯装置は、切替部29が、第1のコイル4aと第2のコイル4bとの一方に交互に所定の電力を供給することによって、第1のコイル4aおよび第2のコイル4bによる無電極放電灯16の点灯中のちらつきを抑制し、且つ、無電極放電灯16の発光効率を上昇させることが可能となる。
【0043】
以下、本実施形態の無電極放電灯点灯装置を備えた照明器具の一例について、図4に基づいて説明する。なお、図1に示した構成の無電極放電灯点灯装置と同様の構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0044】
本実施形態の照明器具は、図4に示すように、平面視長方形状の主片36aと主片36aの長手方向の両端部を折曲してなる2つの側片36bとを有する断面コ字状の器具本体36と、器具本体36内に収納される2つの無電極放電灯点灯装置18とを備えている。
【0045】
また、本実施形態の照明器具は、器具本体36において、一端が主片36aの長手方向の両端部に連続する2つの側片36bの他端には、器具本体36の長手方向において互いに離れる方向に延出した鍔部36c,36cが設けられており、ガラスなどで形成された透光性の板材35が、2つの鍔部36c,36cに当接する形で固定されている。なお、無電極放電灯点灯装置18の主点灯回路部14は、器具本体36内に収納されている。また、各バルブ1は、器具本体36に設けられた第1の保持具32および第2の保持具33によって固定されている。
【0046】
したがって、本実施形態の無電極放電灯点灯装置18を備えて照明器具を提供することができる。
【0047】
以上説明した本実施形態の無電極放電灯点灯装置18では、共振回路部24の切替部29で第1のコイル4aと第2のコイル4bとの通電を交互に切り替えることによって、無電極放電灯16の大型化や長尺化を図りながらも、無電極放電灯16の安定な光出力が得られ、回路部品にかかる電気的なストレスが小さく、且つ、高い発光効率を維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 バルブ
4 誘導コイル
16 無電極放電灯
18 無電極放電灯点灯装置
29 切替部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電ガスが封入されたバルブを具備する無電極放電灯を点灯させる無電極放電灯点灯装置であって、高周波電流が通電されることにより高周波電磁界を発生させる複数の誘導コイルと、前記複数の誘導コイルへの通電を交互に切り替える切替部とを設けてなることを特徴とする無電極放電灯点灯装置。
【請求項2】
請求項1記載の無電極放電灯点灯装置を備えてなることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−74154(P2012−74154A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216173(P2010−216173)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】