説明

焦点検出装置、および焦点検出方法

【課題】人物の顔を認識してピント合わせを行うこと。
【解決手段】CPU9は、顔認識演算部11からの戻り値に基づいて画像内に含まれる人物の顔を認識し、認識した顔を含む領域をAF評価値算出エリアとして設定する。そして、CPU9は、AF評価値算出エリアを対象としてAF処理を行った結果、合焦しない場合には、AF評価値算出エリアを下方に移動させて新たなAF評価値算出エリアを設定し、この新たに設定したAF評価値算出エリアを対象としてAF処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置、および焦点検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次のようなオートフォーカス装置が知られている。このオートフォーカス装置は、被写体輝度が低いときに、オートフォーカス領域を拡大してオートフォーカスの精度を高めようとしている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−215426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顔認識機能を備えたカメラにおいて、認識した人物の顔にピントを合わせようとした場合に従来の装置による方法を用いた場合には、通常の撮影条件下では人物の顔は風景などに比べてコントラストが低いため、オートフォーカス領域が拡大される可能性がある。この場合、従来の装置では、オートフォーカス領域の拡大方向が何ら考慮されていないため、オートフォーカス領域を拡大した結果、オートフォーカス領域内に背景を含んでしまい、結果として背景にピントが合ってしまうという問題が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による焦点検出装置および焦点検出方法は、被写体像を撮像して取得した画像データに基づいて、画像内に含まれる人物の顔を認識し、認識した顔を含む領域を第1の焦点検出用領域として設定し、第1の焦点検出領域を対象として焦点検出を行った結果、合焦しない場合には、第1の焦点検出用領域の下端の境界を画像の下方向に移動させた第2の焦点検出用領域を設定して、第2の焦点検出領域を対象として焦点検出を行うことを特徴とする。
本発明では、第1の焦点検出領域を対象として焦点評価値を算出し、焦点評価値が所定値以上である場合には合焦したと判定し、焦点評価値が所定値未満である場合には合焦しないと判定するようにしてもよい。
第1の焦点検出領域を対象として焦点検出を行った結果、合焦しない場合には、第1の焦点検出用領域の上端の境界を画像の上方向に移動させて第2の焦点検出用領域を設定するようにしてもよい。
第2の焦点検出手段を設定するに当たっては、第1の焦点検出用領域の上端の境界を画像の上方向に移動させるときの移動量よりも、第1の焦点検出用領域の下端の境界を画像の下方向に移動させるときの移動量を大きくするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、主要被写体である人物に精度高くピントを合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本実施の形態における焦点検出装置としてカメラを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、レンズユニット1と、撮像素子2と、アナログ信号処理部3と、A/D変換器4と、デジタル信号処理部5と、EVF(電子ビューファインダー)処理部6と、D/A変換部7と、EVF8と、CPU9と、フォーカスモータ10と、顔認識演算部11と、バッファメモリ12と、操作部材13と、記録・再生信号処理部14とを備えている。また、記録・再生信号処理部14には、着脱可能な外部記憶媒体15が接続されている。
【0008】
レンズユニット1は、不図示のフォーカスレンズを含む。フォーカスレンズは、レンズユニット1を通過した光束による被写体像が撮像素子2の撮像面上に結像するように、焦点位置を調節するレンズである。フォーカスモータ10が不図示のフォーカス制御機構を駆動することにより、フォーカスレンズが光軸方向に進退移動する。フォーカスモータ10は、CPU9から出力されるレンズ駆動信号によって駆動される。例えば、フォーカスモータ10としては、ステッピングモータが使用され、このステッピングモータは、CPU9からパルス駆動によりオープンループ制御で駆動される。
【0009】
撮像素子2は、例えば、CCDやCMOSなどのイメージセンサである。撮像素子2は、撮像面上の被写体像を撮像し、各画素に対応する撮像信号(アナログ信号)をアナログ信号処理部3へ出力する。
【0010】
アナログ信号処理部3はCDS(相関二重サンプリング)回路、AGC回路、および色分離回路などを含む。このアナログ信号処理部3では、例えば、CDS回路によって撮像信号に対して相関二重サンプリング処理が実行されて撮像信号のノイズが低減される。また、AGC回路によって撮像信号のレベル調整が行われる。アナログ信号処理部3で処理された撮像信号は、A/D変換器4によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0011】
A/D変換器4によりデジタル化された画像信号は、デジタル信号処理部5へ入力される。デジタル信号処理部5は、ガンマ補正回路、輝度信号生成回路、および色差信号生成回路などを含み、入力された画像信号に対してガンマ補正や輪郭強調、ホワイトバランス調整などの所定のデジタル信号処理を行う。デジタル信号処理部5によって処理されたデジタル信号(画像データ)は、EVF理部6、CPU9、および記録・再生信号処理部14へ出力されるとともに、バッファメモリ12に記録される。なお、バッファメモリ12は、複数フレーム分の画像データを記録することができるフレームメモリである。
【0012】
EVF理部6は、デジタル信号処理部5から入力される画像信号に基づいてEVF8の表示解像度、表示倍率(電子ズーム倍率)に応じた再生表示信号を生成し、生成した再生表示信号をD/A変換器7へ出力する。D/A変換器7は、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換してEVF8へ出力する。EVF8は、アナログ化された再生表示信号による再生画像を表示する。
【0013】
記録・再生信号処理部14は、デジタル信号処理部5から出力される所定の記録形式の画像データを外部記憶媒体15に記録する。ここで外部記憶媒体15は、例えば、メモリカードなどの不揮発性の記憶媒体である。記録・再生信号処理部14はさらに、外部記憶媒体15に記録されている画像データを読出してデジタル信号処理部5へ出力することも可能である。
【0014】
CPU9は、AE(Auto Exposure/自動露出調整)演算部、AF(Auto Focus/自動焦点調整)演算部、およびAWB(Auto White Balance/自動ホワイトバランス調整)演算部などを含み、カメラ100の全体を制御する。また、CPU9は、操作部材13から入力される各種操作信号に応じて、種々の処理を実行する。なお、操作部材13には、不図示の電源ボタンやレリーズボタンなどが含まれる。
【0015】
CPU9は、AE演算部、およびAF演算部の演算には、デジタル信号処理部5からの出力のうち、デジタルフィルタを使用して、それぞれの評価関数に対する評価値(AF評価値/焦点評価値)を得る。通常、AF演算部は、撮像素子2の全撮影領域、または一部固定領域の撮像信号を用いて演算を行ってAF評価値を算出する。例えば、AF演算部は、図2に示すように、画像中央の領域A2とその左右の領域A1およびA3の3つの領域を固定領域として、この3つの固定領域の撮像信号を用いて演算を行う。CPU9は、AF演算部により算出されたAF評価値に基づいて、フォーカスモータ10を制御して、レンズユニット1に含まれるフォーカスレンズを合焦位置に移動する。
【0016】
AE演算部では、A/D変換器4から入力される撮像信号を用いて自動露出演算を行う。AWB演算部は、A/D変換器から入力される画像信号(R信号、G信号、B信号)に基づいて、ホワイトバランスゲインを設定する。
【0017】
顔認識演算部11は、CPU9からの指示に基づいて、バッファメモリ12に記録されている画像データに対して顔認識処理を実行する。CPU9は、使用者によって操作部材13が操作されて、顔認識機能の実行が指示された場合に、顔認識演算部11に対して顔認識処理の実行を指示する。なお、顔認識演算部11は、公知の手法を用いて顔認識処理を実行するものとし、処理の詳細な説明は省略する。顔認識演算部11は、顔認識処理を実行した結果、画像データ内から人物の顔を認識した場合には、画像内における人物の顔を含む範囲の位置および大きさに関する情報、例えば座標値を戻り値としてCPU9へ出力する。
【0018】
CPU9は、顔認識演算部11から戻り値を受けた場合には、その戻り値に基づいて特定される顔認識範囲をAF評価値算出エリアとして設定する。例えば、CPU9は、図3に示すように、顔認識演算部11からの戻り値に基づいて、AF評価値算出エリアA1を設定する。CPU9は、顔認識演算部11から受けた戻り値に基づいて、画像内における顔検出位置が変化したことを検出した場合や、撮影者によって操作部材13に含まれるレリーズボタンが半押しされたことを検出した場合には、以下に説明するAF演算処理を実行する。なお、本実施の形態では、CPU9は、コントラスト方式によるAF演算処理(以下、「コントラスト方式のAF」と呼ぶ)を実行する場合について説明する。
【0019】
コントラスト方式のAFは、像のボケの程度とコントラストとの間には相関があり、焦点が合ったときには像のコントラストが最大になることを利用して焦点合わせを行う手法である。コントラストの大小は、撮像信号の高周波成分を抽出するような評価関数を与え、その評価関数から得られるAF評価値の大小により評価することができる。すなわち、CPU9は、AF評価値が最大となるフォーカスレンズ位置を探すことによって、ピント合わせを行う。
【0020】
CPU9は、AF評価値のピーク(最大値)を探す場合、あるフォーカスレンズ位置でAF評価値を算出した後、フォーカスモータ10を制御してフォーカスレンズを無限遠側または至近側に所定量ずらす。そして、CPU9は、そのときに算出されるAF評価値をフォーカスレンズを移動する前のAF評価値と比較する。その結果、フォーカスレンズを移動した後のAF評価値の方が高い場合には、より解像感(合焦度合い)が高まる傾向にあるとみなして、CPU9は、さらにフォーカスレンズを同一方向に移動した後、再度、フォーカスレンズの移動前と移動後でAF評価値の比較を行う。
【0021】
これに対して、フォーカスレンズを移動した後のAF評価値の方が低い場合には、合焦度合いが低くなる傾向にあるので、CPU9は、フォーカスレンズを逆方向に移動した後、再度、フォーカスレンズの移動前と移動後でAF評価値の比較を行う。この処理を繰り返し行うことによって、AF評価値の最大値を探すことができる。そして、CPU9は、AF評価値の最大値が所定値(合焦許可レベル)以上であれば、そのときのフォーカスレンズ位置を合焦位置として特定する。
【0022】
一方、CPU9は、AF評価値の合焦許可レベル未満である場合には、AF処理の対象とするAF評価値算出エリアを拡大するか、あるいは設定済みのAF評価値算出エリアの近傍に移動させて、再度、上記処理を行って、AF評価値の合焦許可レベルとなるフォーカスレンズ位置を特定する。なお、本実施の形態では、このようにフォーカスレンズを移動させながらAF評価値を算出し、AF評価値が最大となるフォーカスレンズ位置を合焦位置として特定することによってピント合わせを行うAF方式を、山登りAFと呼ぶ。
【0023】
図4は、設定するAF評価値算出エリアを同一サイズとして山登りAFによるAF処理を行った場合に、フォーカスレンズ位置と被写体ごとに算出されるAF評価値との関係を示した図である。この図4においては、フォーカスレンズ位置と人物の顔に対して算出されるAF評価値との関係を実線で示し、フォーカスレンズ位置と背景に対して算出されるAF評価値との関係を破線で示している。この図4に示すように、人物の顔は、一般的にコントラストが小さいため、AF評価値のピーク4aが低くなる。これに対して、背景は、一般的に高周波成分が多く含まれるためコントラストが高く、AF評価値のピーク4bは高くなる。
【0024】
このため、上述したように、CPU9は、顔認識範囲をAF評価値算出エリアとして設定してAF処理を行うと、AF評価値算出エリア内におけるAF評価値のピーク4aが合焦許可レベル4cよりも低くなる可能性がある。このような場合に、上述したように、AF評価値算出エリアを拡大したり、AF評価値算出エリアの近傍に移動させて、再度、AF評価値を算出するようにした場合には、拡大後または移動後のAF評価値算出エリアに背景が含まれる可能性があり、AF評価値のピーク4bに基づいて背景にピントが合ってしまう可能性がある。
【0025】
例えば、図5に示すように、AF評価値算出エリアA1を設定してAF処理を行った結果、AF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合に、AF評価値算出エリアA1を拡大して新たにAF評価値算出エリアA2を設定した場合には、AF評価値算出エリアA2内に顔の横方向の背景を含んでしまうことになる。この場合、AF評価値算出エリアA2内から図4に示す合焦許可レベル4cよりも高いAF評価値のピーク4bが検出されて、背景にピントが合ってしまうという問題が生じる。
【0026】
図4を用いて具体的に説明すると、本来であれば、フォーカスレンズ位置をL2として、人物の顔にピントが合わせる必要があるにもかかわらず、フォーカスレンズ位置をL1として背景にピントが合ってしまうという問題が生じる。本実施の形態では、このような問題を解消するために、CPU9は、次のように処理する。
【0027】
CPU9は、顔認識演算部11からの戻り値に基づいて特定される顔認識範囲をAF評価値算出エリアとして設定し、当該AF評価値算出エリアを対象としてAF処理を行った結果、AF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合には、AF評価値算出エリアの下端の境界を画像の下方向に移動させて新たなAF評価値算出エリアを設定する。
【0028】
例えば、図3に示したように、CPU9は、AF評価値算出エリアA1を設定してAF処理を行った結果、AF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合には、AF評価値算出エリアA1の下方にAF評価値算出エリアA1と同じ大きさのAF評価値算出エリアA2を新たに設定して、このAF評価値算出エリアA2を対象としてAF処理を行う。
【0029】
なお、CPU9は、図6(a)に示すように、AF評価値算出エリアA1の下端の境界線とAF評価値算出エリアA2の上端の境界線が接するようにAF評価値算出エリアA2を設定してもよく、図6(b)に示すように、AF評価値算出エリアA1とAF評価値算出エリアA2の一部が重複するようにAF評価値算出エリアA2を設定してもよい。図6においては、AF評価値算出エリアA1を点線で表し、AF評価値算出エリアA2を実線で表している。
【0030】
このようにAF評価値算出エリアA2を人物の顔の下部に再設定することにより、人物の襟元や胸元を含む範囲をAF評価値算出エリアとすることができ、着衣の模様や身につけている装飾品などがAF評価値算出エリア内に含まれる可能性が高くなる。これによって、人物の顔部分はコントラストが低くてAF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合であっても、着衣の模様や身につけている装飾品などのコントラストが高い部分から合焦許可レベルを満たすAF評価値のピークを得られる可能性が高くなる。
【0031】
図7は、本実施の形態における焦点検出装置100の処理を示すフローチャートである。図7に示す処理は、使用者によって操作部材13に含まれるレリーズボタンが半押しされると起動するプログラムとして、CPU9によって実行される。
【0032】
ステップS1において、CPU9は、顔優先AFサーチを行う。すなわち、CPU9は、顔認識演算部11からの戻り値に基づいて特定される顔認識範囲をAF評価値算出エリアA1として設定し、当該AF評価値算出エリアA1を対象として、上述した山登りAFによるAF処理を行う。その後、ステップS2へ進み、CPU9は、ステップS1におけるAF処理の結果、合焦したか否か、すなわちAF評価値のピークが合焦許可レベル以上であるか否かを判断する。肯定判断した場合には、そのときのフォーカスレンズ位置を合焦位置として特定して、処理を終了する。
【0033】
これに対して、ステップS2で否定判断した場合には、ステップS3へ進む。ステップS3では、CPU9は、拡張エリアAFサーチを行う。すなわち、CPU9は、上述したように、AF評価値算出エリア1の下方に設定したAF評価値算出エリアA2を対象として、上述した山登りAFによるAF処理を行う。その後、ステップS4へ進み、CPU9は、ステップS3におけるAF処理の結果、合焦したか否か、すなわちAF評価値のピークが合焦許可レベル以上であるか否かを判断する。肯定判断した場合には、そのときのフォーカスレンズ位置を合焦位置として特定して、処理を終了する。
【0034】
これに対して、ステップS4で否定判断した場合には、フォーカスレンズ位置をあらかじめ設定されている所定位置に移動させて、処理を終了する。
【0035】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)CPU9は、顔認識演算部11からの戻り値に基づいて画像内に含まれる人物の顔を認識し、認識した顔を含む領域をAF評価値算出エリアとして設定する。そして、CPU9は、AF評価値算出エリアを対象としてAF処理を行った結果、合焦しない場合には、AF評価値算出エリアを下方に移動させて新たなAF評価値算出エリアを設定し、この新たに設定したAF評価値算出エリアを対象としてAF処理を行うようにした。このようにAF評価値算出エリアA2を人物の顔の下部に再設定することにより、人物の襟元や胸元を含む範囲をAF評価値算出エリアとすることができ、着衣の模様や身につけている装飾品などがAF評価値算出エリア内に含まれる可能性が高くなる。これによって、人物の顔部分はコントラストが低くてAF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合であっても、着衣の模様や身につけている装飾品などのコントラストが高い部分から合焦許可レベルを満たすAF評価値のピークを得られる可能性を高くすることができる。
【0036】
(2)CPU9は、認識した顔を含むように設定したAF評価値算出エリアを対象としてAF評価値(焦点評価値)を算出し、算出したAF評価値が所定値以上、すなわち合焦許可レベル以上である場合には合焦したと判定し、AF評価値が合焦許可レベル未満である場合には合焦しないと判定するようにした。これによって、人物の顔のコントラストが高い部分に、その人物の顔に対してピントを合わせることができる。
【0037】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の焦点検出装置は、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、CPU9は、山登りAFの手法を用いてAF処理を行うことによりピント合わせを行う例について説明した。しかしながら、CPU9は、他の手法を用いてAF処理を行ってもよい。例えば、所定位置(例えば、無限端点または至近端点)からフォーカスレンズを完全移動させつつ、所定間隔でAF評価値を取得して、全体中のAF評価値のピークを探索し、AF評価値がピークとなるフォーカスレンズ位置を合焦位置として特定する全域サーチの手法を用いてAF処理を行ってもよい。
【0038】
(2)また、CPU9は、AF評価値算出エリアA1におけるコントラスト値と、その下方に設定したAF評価値算出エリアA2におけるコントラスト値との差(コントラスト差)を求め、求めたコントラスト差に基づいてAF評価値算出エリアA2のコントラスト値の方が所定閾値以上大きいとみなされる場合には、AF評価値算出エリアA2を対象としてAF処理を行うようにしてもよい。
【0039】
(3)上述した実施の形態では、CPU9は、AF評価値算出エリアA1におけるAF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合には、AF評価値算出エリアA2を新たに設定して、当該AF評価値算出エリアA2を対象としてAF処理を実行する場合について説明した。しかしながら、CPU9は、AF評価値算出エリアA1におけるAF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合には、AF評価値算出エリアA2を新たに設定し、AF評価値算出エリアA1とAF評価値算出エリアA2とを合わせた範囲を新たなAF評価値算出エリアとしてAF処理を実行するようにしてもよい。すなわち、AF評価値のピークが合焦許可レベルに満たない場合には、AF評価値算出エリアを下方に移動させるのではなく、AF評価値算出エリアを下方に拡大するようにしてもよい。
【0040】
(4)上述した実施の形態では、新たに設定するAF評価値算出エリアA2の大きさは、AF評価値算出エリアA1と同じ大きさとする場合について説明した。しかしながら、AF評価値算出エリアA2とAF評価値算出エリアA1とは同じ大きさでなくてもよい。例えば、図8に示すように、AF評価値算出エリアA1よりも大きいAF評価値算出エリアA2を、AF評価値算出エリアA1の下端の境界線とAF評価値算出エリアA2の上端の境界線が接するように設定してもよい。
【0041】
(5)上述した実施の形態では、CPU9は、AF評価値算出エリアの下端の境界を画像の下方向に移動させることによってAF評価値算出エリア2を設定する例について説明した。しかしながら、CPU9は、AF評価値算出エリアA1の上端の境界を画像の上方向に移動させることによってAF評価値算出エリア2を設定するようにしてもよい。例えば、CPU9は、図9(a)に示すように、AF評価値算出エリアA1の上方にAF評価値算出エリアA1の1/3の高さの追加領域1を追加し、AF評価値算出エリアA1、および追加領域1とを合わせた領域をAF評価値算出エリアA2として設定してもよい。
【0042】
また、CPU9は、図9(b)に示すように、AF評価値算出エリアA1の上方にAF評価値算出エリアA1の1/3の高さの追加領域1を追加するとともに、AF評価値算出エリアA1の下方にAF評価値算出エリアA1と同じ高さの追加領域2を追加し、AF評価値算出エリアA1、追加領域1、および追加領域2を合わせた領域をAF評価値算出エリアA2として設定してもよい。すなわち、AF評価値算出エリアA1の上端の境界を画像の上方向に移動させるときの移動量よりも、AF評価値算出エリアA1の下端の境界を画像の下方向に移動させるときの移動量を大きくして、AF評価値算出エリアA2を設定するようにしてもよい。これによって、人物の顔の上方にある頭(髪の毛)の範囲は、人物の顔の下方にある首や胴体の範囲よりも小さいことを加味して、AF評価値算出エリア内に背景を含まないように、AF評価値算出エリアA2を設定することができる。
【0043】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】焦点検出装置としてカメラを用いた場合の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】従来のAF処理におけるAF評価値算出エリアの設定例を示す図である。
【図3】顔認識結果に基づいてAF評価値算出エリアA1を設定し、AF評価値算出エリアA1の下方にAF評価値算出エリアA2を再設定した場合の具体例を示す図である。
【図4】山登りAFによるAF処理を行った場合の被写体とAF評価値との関係を示した図である。
【図5】AF評価値算出エリアA1を拡大して新たにAF評価値算出エリアA2を設定した場合の具体例を示す図である。
【図6】AF評価値算出エリアA1とAF評価値算出エリアA2との設定例を模式的に示す第1の図である。
【図7】焦点検出装置100の処理を示すフローチャート図である。
【図8】AF評価値算出エリアA1とAF評価値算出エリアA2との設定例を模式的に示す第2の図である。
【図9】AF評価値算出エリアA1とAF評価値算出エリアA2との設定例を模式的に示す第3の図である。
【符号の説明】
【0045】
100 カメラ、1 レンズユニット、2 撮像素子、3 アナログ信号処理部、4 A/D変換器、5 デジタル信号処理部、6 EVF処理部、7 D/A変換器、8 EVF、9 CPU,10 フォーカスモータ、11 顔認識演算部、12 バッファメモリ、13 操作部材、14 記録・再生信号処理部、15 外部記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像データを取得する撮像手段と、
前記撮像手段で取得した前記画像データに基づいて、画像内に含まれる人物の顔を認識する顔認識手段と、
前記顔認識手段で認識した顔を含む領域を第1の焦点検出用領域として設定する設定手段と、
前記第1の焦点検出領域を対象として焦点検出を行った結果、合焦しない場合には、前記第1の焦点検出用領域の下端の境界を画像の下方向に移動させた第2の焦点検出用領域を設定し、前記第2の焦点検出領域を対象として焦点検出を行う焦点検出手段とをさらに備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出手段は、前記第1の焦点検出領域を対象として焦点評価値を算出し、前記焦点評価値が所定値以上である場合には合焦したと判定し、前記焦点評価値が所定値未満である場合には合焦しないと判定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出手段は、前記第1の焦点検出領域を対象として焦点検出を行った結果、合焦しない場合には、前記第1の焦点検出用領域の上端の境界を画像の上方向に移動させて前記第2の焦点検出用領域を設定することを特徴とする焦点検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の焦点検出装置において、
前記焦点検出手段は、前記第2の焦点検出手段を設定するに当たっては、前記第1の焦点検出用領域の上端の境界を画像の上方向に移動させるときの移動量よりも、前記第1の焦点検出用領域の下端の境界を画像の下方向に移動させるときの移動量を大きくすることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項5】
被写体像を撮像して取得した画像データに基づいて、画像内に含まれる人物の顔を認識し、
認識した顔を含む領域を第1の焦点検出用領域として設定し、
前記第1の焦点検出領域を対象として焦点検出を行った結果、合焦しない場合には、前記第1の焦点検出用領域の下端の境界を画像の下方向に移動させた第2の焦点検出用領域を設定して、前記第2の焦点検出領域を対象として焦点検出を行うことを特徴とする焦点検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−78764(P2010−78764A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245415(P2008−245415)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】